JP2005232413A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法安定性、成形性、剛性、衝撃性、軽量性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体の提供。
【解決手段】(A)MFRが10g/10分以上、アイソタクチックペンタッド分率が98.0%以上のプロピレン単独重合体、及び/又はアイソタクチックペンタッド分率が98%以上のプロピレン単独重合体部分とプロピレン含量が30〜65重量%、重量平均分子量が40万以上のプロピレンと他のα−オレフィンの共重合体部分とからなり、MFRが30g/10分以上のポリプロピレンブロック共重合体60〜94重量%、(B)平均粒径が10μm以下のタルク、炭酸カルシウム、マイカ、ワラストナイト、及びモンモリロナイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機フィラー5〜30重量%、及び(C)繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mmの炭素繊維1〜10重量%を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、寸法安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体に関し、さらに詳しくは、寸法安定性の優れ、かつ線膨張係数、流動性、剛性、衝撃性と軽量性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体に関する。
ポリプロピレンは、成形加工しやすく、且つ、剛性、耐熱性、衝撃性、リサイクル性等に優れた熱可塑性樹脂である。そのため、各種工業部品、とりわけバンパー、インストルメントルパネル、ドアトリム等の自動車部品として広く普及してきており、従来、鉄などの金属材料を使用していた部分にまで、その用途が拡大されてきている。
しかしながら、ポリプロピレンは、金属材料に比べて形状自由度が高い反面、寸法安定性が劣り、特に自動車の外板などは、温度変化の大きい屋外で使用されるため、その隙間品質不良、波打ち等が発生し、車両外観を悪化させてしまうという問題を有している。
そこで、従来から、上記寸法安定性を向上させるための方策として、例えば、ポリプロピレンにタルク、炭酸カルシウム、マイカ等の無機充填材、エラストマー成分等を添加することにより成形性、機械物性、外観などを向上させることが行われているが、その効果は十分ではない。
また、例えば、ゴム成分をポリプロピレンマトリックス中で容易に配向しやすくさせるために、低粘度ゴムを使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、その効果は十分ではない。
さらに、タルクとチタン酸カリウムなどのウイスカーを併用することにより、寸法安定性を更に向上させる方法(例えば、特許文献2〜4参照。)が示されているが、到達する線膨張係数は、3〜4×10−5cm/cm℃程度であり、金属代替を考慮した場合、その寸法安定性はいまだ不十分であるといえ、更なる改良が求められていた。
また、これらの先行事例においては、線膨張係数を抑制するために、意図的に低粘度のゴム成分を配合することが主張されているが、この様な低粘度ゴムは線膨張係数の抑制には効果的であるものの、耐衝撃性という観点では性能を低下させており、耐衝撃性と寸法安定性のバランスに優れた材料開発が待ち望まれていた。
特開2002−249635号公報 特許2521380号公報 特許2566469号公報 特許2622891号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、従来のポリプロピレン系樹脂組成物がなし得なかった寸法安定性を有し、なおかつ、成形性、剛性、衝撃性、軽量性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく寸法安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関して鋭意検討した結果、特定の構造を有するポリプロピレン樹脂に、特定の粒径を有する無機フィラーと特定の繊維径及び繊維長を有する炭素繊維、さらに必要に応じて、エチレン系及び/又はスチレン系エラストマーとを配合することにより、寸法安定性が劇的に向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(A)〜(C)成分を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A)メルトフローレート(以下、MFRと記す)が10g/10分以上、アイソタクチックペンタッド分率が98.0%以上であるプロピレン単独重合体、及び/又は、プロピレン単独重合体部分と、プロピレンと他のα−オレフィンを共重合した共重合体部分とからなり、MFRが30g/10分以上のポリプロピレンブロック共重合体であって、その単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上、共重合体部分のプロピレン含量が30〜65重量%、重量平均分子量が40万以上であるポリプロピレンブロック共重合体:60〜94重量%
(B)レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下である、タルク、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、ワラストナイト、及びモンモリロナイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機フィラー:5〜30重量%
(C)繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mmの炭素繊維:1〜10重量%
また、本発明の第2の発明によれば、下記(A)〜(D)成分を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A)MFRが10g/10分以上、アイソタクチックペンタッド分率が98.0%以上であるプロピレン単独重合体、及び/又は、プロピレン単独重合体部分と、プロピレンと他のα−オレフィンを共重合した共重合体部分とからなり、MFRが30g/10分以上のポリプロピレンブロック共重合体であって、その単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上、共重合体部分のプロピレン含量が30〜65重量%、重量平均分子量が40万以上であるポリプロピレンブロック共重合体:10〜89重量%
(B)レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下である、タルク、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、ワラストナイト、及びモンモリロナイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機フィラー:5〜30重量%
(C)繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mmの炭素繊維:1〜10重量%
(D)MFRが0.1〜20g/10分、密度が0.850〜0.910g/cmである、エチレン系、及び/又は、スチレン系エラストマー:5〜50重量%
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、(D)エチレン系エラストマーが、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体又はエチレン・オクテン共重合体から選ばれる少なくとも1種のエラストマーであって、かつエチレンと共重合したコモノマー成分の含量が10〜50重量%であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2の発明において、(D)スチレン系エラストマーが、下記構造を有するスチレン系水添ブロック共重合ゴムであって、そのポリスチレン構造を有するAセグメントの含量が1〜25重量%であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
A−B 又は、A−B−A
(但し、Aはポリスチレン構造セグメントを示し、Bはエチレン・ブテン又はエチレン・プロピレンの構造セグメントを示す。)
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが10〜130g/10分、23〜80℃の線膨張係数が0.1×10−5cm/cm℃以上3×10−5cm/cm℃未満、密度が0.91〜1.2g/cm、曲げ弾性率が2000MPa以上、23℃で測定したアイゾッド衝撃強度が200J/m以上、−30℃で測定したアイゾッド衝撃強度が40J/m以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明のポリプロピレン系樹脂組成物から得られるペレット中に存在する炭素繊維の平均繊維長さが0.05mm以上20mm未満であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明のポリプロピレン系樹脂組成物を使用してなり、射出成形、圧縮成形、及び射出圧縮成形からなる群から選ばれた成形加工方法により賦型されるポリプロピレン系樹脂組成物の成形体が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、ポリプロピレン系樹脂組成物の成形体が、車両用部品、家電製品用ハウジング、又は住宅建材であることを特徴とする成形体が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第7又は8の発明において、成形体中に存在する炭素繊維の平均繊維長さが0.05mm以上20mm未満であることを特徴とする成形体が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、寸法安定性、成形性、剛性、衝撃性、軽量性等の物性バランスに優れ、かつポリプロピレン樹脂が本来持ち合わせた易加工性を維持しているため、従来金属材料でしか成し得なかった部品を、ポリプロピレンという軽量性に富んだ樹脂材料で製造することを可能ならしめ、車両用部品、家電製品用ハウジング、住宅建材、などの重要な部品の形に成形加工して使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン樹脂、(B)無機フィラー、(C)炭素繊維、必要に応じて、(D)エチレン系及び/又はスチレン系エラストマーとから構成される。以下に、各構成成分、樹脂組成物の物性、製法、及びそれを用いた成形体等について詳細に説明する。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
(A)ポリプロピレン樹脂
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される(A)ポリプロピレン樹脂は、下記に示す(i)プロピレン単独重合体及び/又は(ii)ポリプロピレンブロック共重合体である。
(i)プロピレン単独重合体
本発明のポリプロピレン樹脂として用いられる(i)ポリプロピレン単独重合体は、MFRが10g/10分以上であり、好ましくは20g/10分以上、更に好ましくは30〜200g/10分である。MFRが10g/10分未満であると樹脂組成物の流動性が劣り、200を超えると樹脂が脆弱化してしまうため、それぞれ好ましくない。
MFRは、重合時に水素濃度を制御したり、重合パウダーを押出機等の溶融混練装置を用いて溶融混練する際に、有機化酸化物等を用いて分子鎖切断したりすることにより調整することができる。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、230℃で測定する値である。
また、(i)ポリプロピレン単独重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、98.0%以上であり、好ましくは98.0〜99.5%、更に好ましくは、98.5〜99.5%である。アイソタクチックペンタッド分率が98.0%未満の場合、単純な立体規則性に起因する剛性の低下を示すだけでなく、炭素繊維や無機フィラーとポリプロピレンが接触する界面における剛直性が低下し、後述の炭素繊維や無機フィラーの補強効果を組成物全体に反映しにくくなるため、結果として複合的に樹脂組成物の剛性や耐熱性が劣るため好ましくない。
アイソタクチックペンタッド分率は、重合触媒の電子供与体(外部及び/又は内部ドナー)の添加量を制御し、さらにこれらの重合過程での欠落を防止することにより側鎖の立体配置を制御することにより、調整することができる。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率とは、Macromolecules,6,925(1973年)記載の方法、すなわち13C−NMRを使用する方法で測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。換言すれば、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレンモノマー単位が5個接続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、ピークの帰属に関しては、Macromolecules,8,687(1975年)に記載の方法に基づいて行った。具体的には13C−NMRスペクトルの、メチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピーク強度分率としてアイソタクチックペンタッド単位を測定する。
(ii)ポリプロピレンブロック共重合体
本発明のポリプロピレン樹脂として用いられる(ii)ポリプロピレンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体部分と、プロピレンと他のα−オレフィンを共重合した共重合体部分とからなり、MFRが30g/10分以上のポリプロピレンブロック共重合体であって、その単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上、共重合体部分のプロピレン含量が30〜65重量%、重量平均分子量が40万以上である。
ポリプロピレンブロック共重合体のMFRは、30g/10分以上であり、好ましくは30〜200g/10分、更に好ましくは50〜150g/10分である。ポリプロピレンブロック共重合体のMFRが30g/10分未満の場合、炭素繊維や衝撃改良材として配合するエラストマー成分の配合に伴い、樹脂組成物の流動性が低下してしまうため好ましくない。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、230℃で測定する値である。
また、単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率は、98.0%以上、好ましくは、98.0〜99.5%、更に好ましくは、98.5〜99.5%である。アイソタクチックペンタッド分率が98.0%未満の場合、単純な立体規則性に起因する剛性の低下を示すだけでなく、炭素繊維や無機フィラーとポリプロピレンが接触する界面における剛直性が低下し、炭素繊維や無機フィラーの補強効果を組成物全体に反映しにくくなるため、結果として複合的に樹脂組成物の剛性や耐熱性が劣るため好ましくない。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率は、上記の方法と同じ方法で測定する値である。
さらに、単独重合体部分のMFRは、好ましくは35〜400g/10分、より好ましくは40〜350g/10分、更に好ましくは45〜300g/10分である。MFRが上記範囲を逸脱した場合、樹脂組成物の流動性が低下したり、衝撃性や靭性が低下したりするため好ましくない。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、230℃で測定する値である。
さらにまた、プロピレンと他のα−オレフィンを共重合した共重合体部分のプロピレン含量は、30〜65重量%であり、好ましくは35〜65重量%、更に好ましくは40〜63重量%である。プロピレン含量が上記範囲を逸脱した場合、共重合体部分の分散性が低下したり、ガラス転移温度が上昇したりするため好ましくない。
また、共重合体部分のプロピレン含量は、共重合体部分の重合時に、プロピレンと共重合α−オレフィンの濃度比を制御することにより、調整することができる。この共重合体部分のプロピレン含量は、赤外分光スペクトル法や13C−NMR法を用いた、従来公知の常法によって測定することができる。
さらに、共重合体部分の重量平均分子量は40万以上であり、好ましくは50万〜200万、更に好ましくは60万〜150万である。重量平均分子量が上記範囲を逸脱した場合、樹脂組成物の流動性が低下したり、共重合体成分の分散性が低下したりするため好ましくない。
共重合体部分の分子量は、共重合体部分の重合時に、水素濃度を制御することにより調整することができる。
ここで、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαにおいて、K及びαとして、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.78
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:ο−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる
さらにまた、ブロック共重合体中の共重合体部分の濃度は、好ましくは3〜50重量%である。共重合体部分の濃度が3重量%未満では、共重合体部分を導入する意味が事実上なく、50重量%を超えると、樹脂組成物の剛性や耐熱性、加工性が低下するため好ましくない。
共重合体部分の濃度は、ブロック共重合体の重合時に、プロピレン単独重合体部分と共重合体部分の重合量比や重合時間を制御することにより調整することができる。
共重合体部分の濃度は、赤外分光スペクトル法、13C−NMR法、昇温溶出分別法等を用いた従来公知の常法によって測定することができる。
また、ブロック共重合体中の共重合体部分のガラス転移温度は、好ましくは−40℃以下、より好ましくは−40〜−60℃、さらに好ましくは−41〜−55℃である。共重合体部分のガラス転移温度が−40℃を超えると、低温での耐衝撃特性が急激に低下してしまうため好ましくない。
共重合体部分のガラス転移温度は、プロピレンと共重合モノマーの共重合比により操作することが出来る。
共重合体部分のガラス転移温度は、動的固体粘弾性測定装置により測定する。
また、ブロック共重合体の共重合部分でプロピレンと共重合される共重合モノマーは、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等の任意のα−オレフィンを使用することができるが、プロピレン単独重合体との相溶性や靭性の観点から、好ましくは、エチレン、ブテン、オクテン、であり、中でも、エチレンが最も好適に使用される。
上記の(i)プロピレン単独重合体や(ii)ポリプロピレンブロック共重合体は、従来公知の任意の方法により重合することができるが、例えば、気相重合法、塊状重合法、溶液重合法、スラリー重合法などを挙げることができ、1つの反応器でバッチ式に重合したり、複数の反応器を組み合わせて連続式に重合してもよい。具体的には、最初にプロピレンの単独重合により結晶性プロピレン単独重合体を重合する。プロピレン単独重合体を使用する場合はこれをそのまま抜き出して使用し、ポリプロピレンブロック共重合体とする場合には、前段のプロピレン単独重合体の重合に続いて、プロピレンと他のα−オレフィンのランダム共重合によって共重合体部分を形成して製造するのが好ましい。
本発明で用いるプロピレン単独重合体やポリプロピレンブロック共重合体を製造する重合触媒は、先に述べた物性値(MFR及びアイソタクチックペンタッド分率)を有する重合体を製造できるものであれば特に限定されず、高立体規則性触媒として公知の特定のチーグラーナッタ触媒(ZN触媒)や特定のメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
そのような高立体規則性触媒としては、チタン、マグネシウム、ハロゲン及び特定の電子供与性化合物を必須とする固体成分(a成分)と有機アルミニウム化合物(b成分)、任意成分としての電子供与性化合物(c成分)からなる触媒等のいわゆるZN触媒、メタロセン錯体(a’成分)と、有機アルミニウムオキシ化合物、ルイス酸、アニオン性化合物、あるいは粘土鉱物の助触媒成分(b’成分)からなるいわゆるメタロセン触媒が用いられる。
特定のZN触媒としては、チタン、マグネシウム、ハロゲン及び特定の電子供与性化合物を必須とする重合触媒成分(a成分)であり、特定の電子供与体としては、珪酸エステル、置換コハク酸エステル、フタル酸エステル等の多価カルボン酸エステル、酢酸セロソルブエステル、フタル酸ハライド、ジエーテル、有機アルコキシ珪素化合物等が好ましく用いられる。例えば、特開昭57−63310号、特開昭60−23404号、特開昭62−187706号、特開昭62−212407号、特開昭63−235307号、特開平2−160806号、特開平2−163104号、特開平3−234707号、特開平3−706号、特開平3−294304号、特開平7−258328号、特開平8−20607号、特開平8−151407号等の各公報に記載されている重合触媒成分があげられる。
ZN触媒における有機アルミニウム化合物(b成分)としては、一般式R AlX3−m(式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、mは1〜3の数である。)で表される化合物が使用できる。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。また、メチルアルモキサン、ブチルアルモキサン等のアルモキサン類も使用可能である。
ZN触媒における任意成分としての電子供与性化合物(c成分)は、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン、t−ブチル−メチル−ジエトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン等の一般式R 3−pSi(OR(式中、Rは炭素数3〜20、好ましくは4〜10の分岐状脂肪族炭化水素残基、又は、炭素数5〜20、好ましくは5〜10の環状脂肪族炭化水素残基を示し、Rは炭素数1〜20、好ましくは1〜10の分岐又は直鎖状、あるいは環状の脂肪族炭化水素残基を示し、Rは炭素数1〜10、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素残基を示し、pは1〜3の数である。)で表される有機珪素アルコキシ化合物、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジエーテル、2,2−ジイソブチル−1,3−ジエーテル等の2,2−置換基を有する1,3−ジエーテル類、フタル酸ブチル、フタル酸オクチル、1,2−ジイソプロピルコハク酸ジブチル等多価カルボン酸エステル等が用いられる。また、これらを複数種併用することも可能である。特に好ましいものは、上記一般式で表される特定の有機アルコキシケイ素化合物、特定の有機アルコキシケイ素化合物の併用、2,2−置換の特定の1,3−ジエーテル類、2,2−置換の特定の1,3−ジエーテル類の共存使用、2,2−置換の1,3−ジエーテル類と上記一般式で表される特定の有機珪素アルコキシ化合物の併用、あるいは1,2−ジ置換コハク酸エステルやフタル酸エステル等のカルボン酸ジエステル誘導体、カルボン酸ジエステル誘導体と上記一般式で表される有機珪素アルコキシ化合物の併用等が特に好ましく用いられる。
次に、メタロセン系触媒について説明する。メタロセン系触媒におけるメタロセン化合物(a’成分)としては,炭素架橋、あるいは珪素、ゲルマン架橋基を有し、かつ置換あるいは非置換のシクロペンタジエン、インデン、フルオレン、アズレンを配位子とする4族の遷移金属化合物が挙げられる。
非限定的な具体例としては、(1)炭素架橋としては、エチレンビス(2、4−ジメチルインデニル)ジルコニウムクロリド、エチレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−メチルインデニル)(フルオレニル)ジルコニウムクロリド、イソプロピリデン(2−メチルシクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
(2)珪素架橋としては、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−(3,5−ジイソプロピルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−プロピル−4−フェナントリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、シラフルオレニルビス(2−エチル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)アズレニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
(3)ゲルマン架橋としては、上記の(2)の珪素架橋のシリレンをゲルミレンに置き換えた化合物が用いられる。また、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物は、そのまま、好適な化合物として例示される。さらに、例示化合物のジクロリドは、その他のハライドや、メチル基、イソブチル基、フェニル基、ヒドリド基、ジメチルアミド、ジエチルアミド基等に置き換えた化合物も、好適化合物として例示可能である。
メタロセン系触媒に用いる助触媒(b’成分)としては、有機アルミニウムオキシ化合物、ルイス酸、イオン性化合物、粘土鉱物が使用可能である。
(1)有機アルミニウムオキシ化合物の例としては、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルメチルアルミニウムビスペンタフルオロフェノキシド等が挙げられる。
(2)ルイス酸としては、BR(式中、Rはフッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトルフルオロボラン、トリフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(p−トリル)ボラン、トリス(o−トリル)ボラン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボランなどが挙げられ、また、塩化マグネシウム、酸化アルミニウム、等の無機化合物も例示される。
(3)イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネートなどが挙げられる。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレートなどが挙げられる。アンモニウム塩以外のイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が例示される。
(4)粘土鉱物としては,モンモリロナイト、マイカ、テニオライト、ヘクトライト、あるいはそれらの酸・塩基処理した変性体、その他の無機酸化物との複合体等が例示される。
尚、これらのうちで粘土鉱物を用いた助触媒系では、特に本発明の組成物の効果が顕著である。
本発明で用いるプロピレン単独重合体やポリプロピレンブロック共重合体の重合において、成分(a)、成分(b)及び成分(c)の使用量は、本発明の効果が認められる限り任意のものでありうるが、一般的には次の範囲内が好ましい。成分(a)が0.01〜1000mol.ppm、成分(b)の使用量は、反応器に供給するプロピレンに対して、0.1〜10000mol.ppm、好ましくは1〜1000mol.ppm、さらに好ましくは、10〜300mol.ppmの範囲内である。また、成分(c)の使用量は、反応器に供給するプロピレンに対して、0〜100mol.ppm、好ましくは0〜50mol.ppm、特に好ましくは0〜20mol.pmの範囲内である。
一方、メタロセン系触媒の場合の成分(a’)、成分(b’)は、成分(a’)が0.001〜100mol.ppm、成分(b’)の使用量は、成分(a’)に対して、10〜100000(mol/mol)が一般的である。
(B)無機フィラー
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される(B)無機フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、ワラストナイト、及びモンモリロナイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機フィラーである。これらの無機フィラーの中では、タルク、炭酸カルシウムが好適に用いられる。
また、発明で使用される無機フィラーは、レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下、好ましくは0.5〜8μmである。平均粒径が10μmを超えると線膨張係数の抑制効果が低下してしまうため、好ましくない。
無機フィラーの平均粒径の測定は、レーザー回折法(例えば堀場製作所製LA920W)によって測定した粒度累積分布曲線から読み取った累積量50重量%の粒径値より求めることができる。
上記無機フィラーは、機械的に微粉砕化することにより得られたものをさらに精密に分級することによって得られる。又、この分級操作は複数回重ねて行ってもよい。機械的に粉砕する方法としては、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ロールクラッシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミル等の粉砕機を用いる方法が挙げられる。これらの粉砕された無機フィラーは、本発明で示される平均粒径に調整するために、サイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、シャープカットセパレーター等の装置で、1回又は繰り返し湿式又は乾式分級する。
本発明で用いる無機フィラーを製造する際は、特定の粒径に粉砕した後、シャープカットセパレーターにて分級操作を行うのが好ましい。これらの無機フィラーは、ポリプロピレン樹脂との接着性或いは分散性を向上させる目的で、各種有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
(C)炭素繊維
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において使用される(C)炭素繊維は、繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mmであることが必要である。繊維径が3μm未満の場合、炭素繊維の剛性が著しく低下し、繊維径が15μmを超えると、アスペクト比(径と長さの比)が低下することにより、結果的に樹脂組成物の補強効果が夫々低下してしまうため好ましくない。繊維長が0.1mm未満の場合、アスペクト比が低く十分な補強効率が得られず、繊維長が20mmを超えると、加工性や外観が著しく悪化してしまうため夫々好ましくない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を得るためには、この炭素繊維の形状要件が特に重要である。特許文献2(特許2521380号公報)には、チタン酸カリウムなどのウイスカーを繊維状フィラーとして、無機フィラーと共に配合することにより、ポリプロピレン樹脂の寸法安定性を向上させる方法が提案されているが、特許文献2で規定されている繊維状フィラーの直径は、2μm以下であり、繊維径が細すぎるために、繊維そのものの剛性が低く、その結果として、これを配合した樹脂組成物の線膨張係数が4〜5(×10−5cm/cm℃)程度にしか低下せず、金属代替を目指した場合の寸法安定性としては、不十分である。
また、特許文献3(特許2566469号公報)や特許文献4(特許2622891号公報)にも同様に、チタン酸カリウムなどのウイスカーを繊維状フィラーとして、タルクなどの増量材と共に配合することにより、ポリプロピレン樹脂の寸法安定性を向上させる方法が提案されているが、特許文献3〜4で示されている繊維状フィラーの長さは1〜50μmであり、本発明の形態と比べて、明らかに繊維状フィラーのアスペクト比が小さく、その結果として、これを配合した樹脂組成物の線膨張係数が3〜4(×10−5cm/cm℃)程度にしか低下せず、金属代替を目指した場合の寸法安定性としては、不十分であるといえる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、従来成し得た寸法安定性を遥かに超越し、鉄などの金属材料に匹敵する線膨張係数を実現することを目的に開発されたものである。
本発明者らは、上記目的を実現するため、繊維状フィラーと無機フィラーを併用することを基軸に、用いるフィラーの種類と形状を特に重要な因子として捉え、これらの検討を鋭意行ってきた結果、以下の結論に到達した。
すなわち、繊維状フィラーは、上記のような先行文献の実施例で示されているような、繊維径が細く、繊維長が数十μm以下のものよりも、繊維径が太いがために剛直性が高く、繊維長が数mmレベルのものを選択することが、線膨張係数の抑制に多大なる効果を示すことを見出し、本発明に至ったものである。
本発明の構成要素としては、上記繊維状フィラーの選択のみならず、無機フィラーの粒径や用いるポリプロピレン樹脂の構造なども必要な要件ではあるが、中でもとりわけ、この繊維状フィラーの形状因子を選択することがきわめて重要な要件である。
この様に、本発明で用いる炭素繊維の形状は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を得るために重要な要件ではあるが、更に、前記形状因子を満たした炭素繊維の中でも、ピッチ系炭素繊維を用いるよりも、アクリロニトリルを主原料とするPAN系炭素繊維を用いた方が、より高度な寸法安定性を実現できるため好ましい。このPAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維で効果の違いが生じる原因は明らかではないが、原料純度の違いなどが影響しているのではないかと考えられている。
これらの炭素繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップドカーボンファイバーとして用いることが出来、又必要に応じて、各種サイジング剤を用いて収束処理されたものであっても良い。この繊維収束に用いるサイジング剤は、ポリプロピレン系樹脂との溶融混練において融解する必要があるため、200℃以下で溶融するものであることが好ましい。
このようなチョップドカーボンファイバーの具体例としては、PAN系炭素繊維では、東レ(株)製商品名『トレカチョップ』、三菱レーヨン(株)製商品名『パイロフィル(チョップ)』、東邦テナックス(株)製商品名『ベスファイト(チョップ)』等を挙げることが出来、ピッチ系炭素繊維では、三菱化学産資(株)製商品名『ダイアリード』、大阪ガスケミカル(株)製商品名『ドナカーボ(チョップ)』、呉羽化学(株)製商品名『クレカチョップ』等を挙げることが出来る。
これらの炭素繊維は、上記(A)〜(B)成分と共に、更に必要に応じて、後述する(D)成分を加えた形で、本発明で規定している配合比の範囲内で配合し、溶融混練されて、ポリプロピレン系樹脂組成物となるが、この溶融混練の際には、得られた樹脂組成物ペレット、あるいは成形体中に存在する炭素繊維の平均長さが0.05mm以上となるような複合化方法を選択するのが好ましい。これを実現する方法としては、例えば、2軸押出機による溶融混練では、(A)及び(B)成分、更に必要に応じて(D)成分とを十分に溶融混練した後、炭素繊維成分をサイドフィード法等によりフィードし、繊維の折損を最小限に押さえながら、収束繊維を分散させる方法等を例示することができる。
(D)エラストマー
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、耐衝撃性等の付与を目的として、(D)エチレン系、及び/又は、スチレン系エラストマーを配合することができる。
本発明で用いるエチレン系、及び/又は、スチレン系エラストマーのMFRは、好ましくは0.1〜20g/10分であり、より好ましくは、0.1〜15g/10分、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合、エラストマーの分散性が低下するために樹脂組成物の衝撃性が低下し、20g/10分を超えると、エラストマー分子鎖の絡み合いが低下するためにエラストマー自身の靭性が低下し、樹脂組成物の衝撃性が低下してしまうため夫々好ましくない。
ここで、エラストマーのMFRは、JIS K7210に準拠し、230℃で測定する値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物にエラストマーを配合する場合には、炭素繊維による衝撃性の低下を十分に補えるエラストマーである必要があり、上記MFR範囲であることが必要である。線膨張係数の抑制に対しては、エラストマー成分は十分に配向させることが有効であることが知られているが、これを実現するためには、配合するエラストマー成分の粘度を下げる必要がある。この様なゴムを配合することは、低線膨張率という観点では有効な手段であるといえるが、一方、耐衝撃性という観点では、マイナス要因となる。特に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、繊維状フィラーとして剛直で長い炭素繊維を用いており、この炭素繊維は衝撃性を大幅に低下させてしまう。さらに、この炭素繊維は、粒径の細かい無機フィラーと併用することにより、劇的に線膨張係数を低下させることが可能であるため、エラストマー成分の配向が不十分であっても、本発明の目的である高度な寸法安定性を得ること可能である。この様な観点から、従来、線膨張係数の低減のためには低粘度エラストマーを用いることが一般的であったが、本発明の場合では、逆に高粘度エラストマーを用いることが、より高度な、衝撃性と寸法安定性のバランスを実現するための重要な要件となる。
また、エラストマーの密度は、好ましくは0.850〜0.910g/cmであり、より好ましくは、0.855〜0.910g/cmである。エラストマーの密度が、0.850g/cm未満の場合、エラストマーのハンドリング性が著しく低下し、0.910g/cmを超えると、衝撃性の改良効果が十分に得られないために夫々好ましくない。
ここで、エラストマーの密度は、JIS−7112に準拠して、水中置換法にて測定する値である。
エラストマーとして、エチレン系エラストマーを用いる場合には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、又は、エチレン・オクテン共重合体から選ばれたエラストマーであることが好ましく、このうち、エチレン・ブテン共重合体、又は、エチレン・オクテン共重合体が、特に好ましい。これらのエチレン系エラストマーは、エチレンと共重合するコモノマー成分の含量が、10〜50重量%であることが好ましい。コモノマー成分の含量が10重量%未満の場合、十分なゴム弾性を示さず、50重量%を超えると、ガラス転移温度が上昇するため低温の衝撃性が低下し、夫々好ましくない。
この様なエチレン系エラストマーは、その重合法として、例えば気相流動床法、溶液法、スラリー法や高圧重合法などを挙げることができ、また少量の例えばジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのジエン成分が共重合されていてもよい。
エチレン系エラストマーの重合触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、バナジウム化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルコキシアルミニウム−マグネシウム錯体のような有機アルミニウム−マグネシウム錯体や、アルキルアルミニウム或いはアルキルアルミニウムクロリドなどの有機金属化合物との組合せによるいわゆるチーグラー型触媒、もしくはWO−91/04257号公報等に示されるようなメタロセン系触媒が挙げられる。なお、メタロセン系触媒と称せられる触媒は、アルモキサンを含まなくてもよいが、好ましくはメタロセン化合物とアルモキサンとを組み合わせた触媒、いわゆるカミンスキー系触媒のことである。
エラストマーとしてスチレン系エラストマーを用いる場合には、下記構造を有するスチレン系水添ブロック共重合ゴムであって、そのポリスチレン構造を有するAセグメントの含量が1〜25重量%であることが必要である。
A−B 又は、A−B−A
(但し、Aはポリスチレン構造セグメントを示し、Bはエチレン・ブテン又はエチレン・プロピレンの構造セグメントを示す)
上記Aセグメントの含量が1%未満では、事実上スチレン系エラストマーとはいえず、25%を超えると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が著しく低下し、十分な分散が得られないため、好ましくない。
なお、ポリスチレン構造単位の含有量は、赤外スペクトル分析法、13C−NMR法などの常法によって測定される値である。
スチレン系水添ブロック共重合ゴムの具体例としては、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。該ブロック構造を有するエラストマー共重合体は、上記構造式に示すようなトリブロック構造とジブロック構造の混合物であってもよい。これらのブロック共重合体は、一般的なアニオンリビング重合法で製造することができる。これには、逐次的にスチレン、ブタジエン、スチレンを重合しトリブロック体を製造した後に水添する方法(SEBSの製造方法)と、スチレン−ブタジエンのジブロック共重合体を始めに製造した後、カップリング剤を用いてトリブロック体にした後水添する方法がある。また、ブタジエンの代わりにイソプレンを用いることにより、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック体の水素添加物(SEPS)も製造することができる。
(E)その他の成分
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、上述した成分の他に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、その他の成分が配合されていてもよい。この様なその他の配合成分としては、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ・燐酸エステル等の各種造核剤、有機過酸化物、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤、カーボンブラック、ビニルエステル、カーボンナノチューブ、フラーレン、塗装改質剤、各種カップリング剤等を挙げることができる。また、本発明では疎水性であるポリプロピレン樹脂と炭素繊維の複合効果を高めるために、シランカップリング剤、有機チタネートのような、汎用のカップリング剤で炭素繊維を表面処理する態様も本発明に包含するが、特に、未処理の炭素繊維でも本発明は達成される。
さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分を必須とし、必要に応じて(D)成分を配合したうえ、ポリプロピレン樹脂の性質を補足する他の樹脂、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体のような、各種ブレンド用高分子材料、鉱油、テルペン、クマロン樹脂のような、天然樹脂、天然ゴム、共役ジエン系ゴム、アクリロニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム、ブチルゴムなどの天然又は合成ゴムのような、いわゆる高分子可塑剤又は加工助剤として機能するもの、あるいは耐衝撃性改良に機能する、各種高分子材料を併用することもできる。
2.各成分の配合割合
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分と、耐衝撃性等の付与を目的として、必要に応じて、(D)成分を配合することにより、目的とする樹脂組成物が得られるが、各成分の配合比率は、以下の範囲内であることが必要である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、上記(A)〜(C)成分で構成する場合には、各成分の配合比率は重量比で、(A):(B):(C)=60〜94:5〜30:1〜10である。(A)成分が60重量%未満の場合、樹脂組成物の加工性が劣り、94重量%を超えると、本発明の目的である、高度な寸法安定性が得られないため好ましくない。(B)成分が5重量%未満の場合も、十分な寸法安定性が得られず、30重量%を超えると、ポリプロピレン樹脂の特徴の一つである軽量性が損なわれるため夫々好ましくない。(C)成分が1重量%未満の場合も、十分な寸法安定性が得られず、10重量%を超えると、樹脂組成物の延性が著しく低下してしまうため夫々好ましくない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、上記(A)〜(D)成分で構成する場合には、各成分の配合比率は重量比で、(A):(B):(C):(D)=10〜89:5〜30:1〜10:5〜50である。(A)成分が10重量%未満の場合、樹脂組成物の加工性が劣り、89重量%を超えると、十分な寸法安定性が得られないため好ましくない。(D)成分が5重量%未満の場合、耐衝撃性の改良効果が不十分で、50重量%を超えると、剛性や耐熱性、加工性等が低下するため好ましくない。
3.ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記(A)〜(C)、必要に応じて、(D)成分を上記所定量配合して得られるが、更により高度な寸法安定性を実現するためには、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物ペレット或いは成形体中に存在する、炭素繊維の平均長さが0.05mm以上20mm未満であることが重要である。炭素繊維の平均長さが0.05mm未満の場合、本発明の目的である、金属材料並みの高度な寸法安定性が得られにくく、20mm以上であると、加工性や外観が著しく低下してしまうため好ましくない。
ポリプロピレン樹脂に炭素繊維を溶融混練する際の炭素繊維仕込み段階の平均繊維長さが0.1〜20mmであるから、溶融混練後の炭素繊維の平均繊維長さが0.05mm以上20mm未満ということは、炭素繊維の過度な折損を起こさずに必要な仕込み段階の繊維長を維持しているということを表す。このために、本発明は、ポリプロピレン系樹脂特有の性質を、例えば、軟化点または溶融点になれば、急激に粘弾性が低下するという性質を利用して、そのような粘弾性が低下した状態において、炭素繊維を投入すれば、溶融混練時のせん断負荷の影響が軽減されるので、損傷が少ない。
このため、成形の原材料(粉末状、ペレット状のもの)を造る段階の押出機の温度制御、押出量等の混練条件を制御、スクリユーの回転速度、およびホッパー以外にも、例えばダイ近くというような、炭素繊維の投入箇所にも、技術的な調整を加えて本発明は達成できる。
この平均繊維長は、ペレットや成形体の断面を光学顕微鏡等により観察することにより確認できる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、前述した炭素繊維の複合化を除けば、特に制限無く、従来公知の方法で、炭素繊維以外の配合成分を混合し、溶融混練することにより製造することが出来るが、炭素繊維以外の成分の分散を良好にしながら、炭素繊維に対してはその折損を防止する工夫が必要で、この相反する目的に対しては、サイドフィーダーを備えた2軸押出機を用いて、なるべく後工程のサイドフィーダーから炭素繊維を投入することが最も好ましい方法として推奨される。
この様にして得られた本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の内、特に下記物性値を有しているものが、好適に自動車部品等の工業用材料として用いられる。
このような物性値とは、MFRが10〜130g/10分、23℃〜80℃の線膨張係数が0.1×10−5cm/cm℃以上3×10−5cm/cm℃未満、密度が0.91〜1.20g/cm、曲げ弾性率が2000MPa以上、23℃で測定したノッチ付アイゾッド衝撃強度が200J/m以上、−30℃で測定したノッチ付アイゾッド衝撃強度が40J/m以上である。
4.成形体
このようにして得られた本発明のプロピレン系樹脂組成物は、公知の各種方法による成形に用いることができる。例えば、射出成形(ガス射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、中空成形、カレンダー成形、インフレーション成形、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形等にて成形することによって各種成形品を得ることができる。このうち、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形が、特に好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記の高度な物性バランスを有し、かつ、ポリプロピレン樹脂が本来持ち合わせた易加工性を維持しているため、上記成形加工法により、車両用部品、家電製品用ハウジング、住宅建材、などの重要な部品の形に成形加工し、使用することができる。本発明は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた、この様な部品・製品の態様も包含するものである。
以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
なお、実施例における各種物性の測定方法及び使用材料を下記に示す。
1.測定方法
(1)MFR(単位:g/10min):JIS−K7210 条件14に準拠し、230℃、21.18N荷重で測定した。
(2)線膨張係数(単位:cm/cm℃):ASTM D696に準拠して、23℃〜80℃の温度範囲で測定した。
(3)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7171に準拠して23℃下で測定した。
(4)アイゾット(IZOD)衝撃強度(単位:J/m):JIS−K7110に準拠し、23℃、及び−30℃で測定した。
(5)荷重たわみ温度(単位:℃):JIS−K7191−2に準拠して、0.45MPaの条件で測定した。
(6)引張破断伸度(単位:%):JIS−K7113に準拠して、1号形試験片にて、引張速度10mm/minの条件で測定した。
(7)密度(単位:g/cm):JIS−K7112に準拠して、水中置換法にて測定した。
(8)ペレット中の炭素繊維の平均繊維長(単位:mm):ストランドカットしたペレットをストランドカット面に垂直に裁断し、裁断面を反射型光学顕微鏡(インテルプレイ社製:MODEL.APB−24221−99A)を用いて、60倍の倍率で観察し、観察された繊維の長さを平均化して、平均長さとした。
2.使用材料
(A)ポリプロピレン樹脂
製造例1〜4で製造したポリプロピレン樹脂を用いた。なお、製造したポリプロピレン樹脂のインデックスを表1に示す。
(製造例1)
(i)重合触媒成分(1)の製造
充分に窒素置換した10L反応器に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン4000mlを導入し、次いでMgClを8モル、Ti(O−n−Cを16モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークス)を960ml導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、充分に窒素置換した10L反応器に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを1000ml導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で4.8モル導入した。次いでn−ヘプタン500mlにSiCl8モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでn−ヘプタン500mlにフタル酸クロライド0.48モルを混合して、70℃、30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、SiCl200mlを導入して80℃で6時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し固体成分を得た。このもののチタン含量は1.3重量%であった。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを1000ml導入し、上記で合成した固体成分を100グラム導入し、(t−C)Si(CH)(OCH24ml、Al(C34グラムを30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする重合触媒成分(1)を得た。このもののチタン含量は1.1重量%であった。
(ii)プロピレン樹脂の製造
上記で得た重合触媒成分(1)及びトリエチルアルミニウムを使用し、反応部容積280Lを有する気相反応器を用い、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cmの条件下プロピレン単独重合を連続的に行った。この時、固体触媒成分は1.8g/hrの速度で、またトリエチルアルミニウムを5.5g/hrの速度で連続的に供給した。所定量重合させた後、連続的に重合体を抜き出して、ポリプロピレン単独重合体(PP−1)とした。得られたポリプロピレン単独重合体の[mmmm]は、0.987、MFRは40g/10分であった。
(製造例2)
製造例1で得た重合触媒成分(1)及びトリエチルアルミニウムを使用し、第1重合工程として反応部容積280Lを有する流動床式気相反応器を用い、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cmの条件下プロピレン単独重合を連続的に行った。この時、固体触媒成分は1.8g/hrの速度で、またトリエチルアルミニウムを5.5g/hrの速度で連続的に供給した。第1重合工程より抜き出されるパウダーを25kg/hrで連続的に第2重合工程として用いる反応部容積280Lを有する流動床式気相反応器に送り、プロピレンとエチレンの共重合を連続的に行った。第2重合工程から連続的に27kg/hrのポリマーを抜き出した。各重合工程での水素濃度は、1槽目でH/プロピレン=0.045モル比、2槽目でH/(エチレン+プロピレン)=0.01モル比にコントロールすることにより分子量を制御した。ゴム状プロピレン・エチレン共重合体部のエチレン組成は、第2重合工程でのプロピレンとエチレンのガス組成をプロピレン/エチレン=1/1モル比にコントロールすることによりプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)を得た。1段重合槽から抜き出したプロピレン単独重合体の[mmmm]は、0.986、MFRは142g/10分、2段目重合槽から抜き出したプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは65g/10分であった。
(製造例3)
第1重合工程の水素量を、H/プロピレンモル比で0.048、第2重合工程の水素量を、H/プロピレンモル比で0.015に変更した以外は、製造例1と同様にしてプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−3)を得た。
1段重合槽から抜き出したプロピレン単独重合体の[mmmm]は、0.986、MFRは213g/10分、2段目重合槽から抜き出したプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは100g/10分であった。
(製造例4)
(i)重合触媒成分(2)の製造
充分に窒素置換したフラスコに、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン200ミリリットルを導入し、次いでMgClを0.4モル、Ti(O−n−Cを0.8モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を48ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを50ミリリットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で0.06モル導入した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにSiCl0.2モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、90℃で4時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して塩化マグネシウムを主体とする固体成分を得た。このもののチタン含量は3.5重量%であった。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを50ミリリットル導入し、上記で合成した固体成分を5グラム導入し、SiCl0.2モル、(t−C)Si(CH)(OCH2.8ミリリットル、Al(C9.0グラムを30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする重合触媒成分(2)を得た。このもののチタン含量は、3.0重量%であった。
(ii)プロピレン樹脂の製造
上記(i)で製造により得られた重合触媒成分(2)及びトリエチルアルミニウムを使用し、製造例2と同様にして、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−4)を得た。
1段重合槽から抜き出したプロピレン単独重合体のアイソタクチックペンタッド分率の[mmmm]は、0.972、MFRは138g/10分、2段目重合槽から抜き出したプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは66g/10分であった。
Figure 2005232413
(B)無機フィラー
表2に示す、タルク−1〜タルク−3を用いた。
Figure 2005232413
(C)炭素繊維
表3に示す、チョップドカーボンファイバーCF−1〜CF−3を用い、さらに比較物としてウイスカー−1〜ウイスカー−2を用いた。
Figure 2005232413
(D)エラストマー
表4に示す、ゴム−1〜ゴム−3を用いた。
Figure 2005232413
(実施例1〜16)
表5に示す配合比率で、炭素繊維以外の成分を、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製:イルガノックス1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製:イルガフォス168)0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.3重量部とともに混合した後、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)の根元ホッパーから投入し、さらに押出機先端から3バレル手前の位置から、サイドフィーダーを用いて炭素繊維を所定の濃度となるようにサイドフィードし、スクリュー回転数300rpm、押出レート15kg/hで溶融混練し、ペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたペレットを用いて、金型温度40℃、シリンダ温度220℃の条件で射出成形し、ポリプロピレン系樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。評価結果を表6に示す。
Figure 2005232413
Figure 2005232413
(比較例1〜16)
表7に示す配合比率で、実施例と同様に溶融混練・射出成形し、各種物性を評価した。評価結果を表8に示す。
Figure 2005232413
Figure 2005232413
表5〜8より明らかなように、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、線膨張係数、曲げ弾性率、アイゾッド衝撃強度、引張伸び、荷重たわみ温度のバランスに優れる組成物である(実施例1〜16)。一方、プロピレン単独重合体部分のアイッソタクチックペンタッド分立が98%未満のプロピレンブロック共重合体を用いたポリプロピレン系樹脂組成物は、線膨張係数、剛性、耐熱剛性の点で劣り(比較例1〜2)、平均粒径が10μmを超えるタルクを用いたポリプロピレン系樹脂組成物は、線膨張係数、剛性、耐熱剛性の点で劣り(比較例3)、繊維径が細く、繊維長が短いウイスカーを用いたポリプロピレン系樹脂組成物は、線膨張係数と衝撃性のバランスの点で劣り(比較例5〜13)、炭素繊維を配合しないポリプロピレン系樹脂組成物は、線膨張係数、剛性、耐熱剛性の点で劣った(比較例14〜16)。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体は、高度な物性バランスと易加工性を有し、従来、金属材料でしか成し得なかった部品を、ポリプロピレンという軽量性に富んだ樹脂材料で製造することを可能ならしめ、この様な樹脂部品を提供できる。すなわち、本発明は、各種部品の軽量化を実現する技術であるといえ、特に自動車部品等においては、この様な軽量化技術は燃費向上に直結し、その結果、有限なエネルギー資源の節約、及び地球環境の保護に貢献することとなるため、その工業的価値は極めて大きい。

Claims (9)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    (A)メルトフローレート(以下、MFRと記す)が10g/10分以上、アイソタクチックペンタッド分率が98.0%以上であるプロピレン単独重合体、及び/又は、プロピレン単独重合体部分と、プロピレンと他のα−オレフィンを共重合した共重合体部分とからなり、MFRが30g/10分以上のポリプロピレンブロック共重合体であって、その単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上、共重合体部分のプロピレン含量が30〜65重量%、重量平均分子量が40万以上であるポリプロピレンブロック共重合体:60〜94重量%
    (B)レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下である、タルク、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、ワラストナイト、及びモンモリロナイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機フィラー:5〜30重量%
    (C)繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mmの炭素繊維:1〜10重量%
  2. 下記(A)〜(D)成分を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    (A)MFRが10g/10分以上、アイソタクチックペンタッド分率が98.0%以上であるプロピレン単独重合体、及び/又は、プロピレン単独重合体部分と、プロピレンと他のα−オレフィンを共重合した共重合体部分とからなり、MFRが30g/10分以上のポリプロピレンブロック共重合体であって、その単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上、共重合体部分のプロピレン含量が30〜65重量%、重量平均分子量が40万以上であるポリプロピレンブロック共重合体:10〜89重量%
    (B)レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下である、タルク、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、ワラストナイト、及びモンモリロナイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機フィラー:5〜30重量%
    (C)繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mmの炭素繊維:1〜10重量%
    (D)MFRが0.1〜20g/10分、密度が0.850〜0.910g/cmである、エチレン系、及び/又は、スチレン系エラストマー:5〜50重量%
  3. (D)エチレン系エラストマーが、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体又はエチレン・オクテン共重合体から選ばれる少なくとも1種のエラストマーであって、かつエチレンと共重合したコモノマー成分の含量が10〜50重量%であることを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. (D)スチレン系エラストマーが、下記構造を有するスチレン系水添ブロック共重合ゴムであって、そのポリスチレン構造を有するAセグメントの含量が1〜25重量%であることを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    A−B 又は、A−B−A
    (但し、Aはポリスチレン構造セグメントを示し、Bはエチレン・ブテン又はエチレン・プロピレンの構造セグメントを示す。)
  5. ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが10〜130g/10分、23〜80℃の線膨張係数が0.1×10−5cm/cm℃以上3×10−5cm/cm℃未満、密度が0.91〜1.2g/cm、曲げ弾性率が2000MPa以上、23℃で測定したアイゾッド衝撃強度が200J/m以上、−30℃で測定したアイゾッド衝撃強度が40J/m以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物から得られるペレット中に存在する炭素繊維の平均繊維長さが0.05mm以上20mm未満であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を使用してなり、射出成形、圧縮成形、及び射出圧縮成形からなる群から選ばれた成形加工方法により賦型されるポリプロピレン系樹脂組成物の成形体。
  8. ポリプロピレン系樹脂組成物の成形体が、車両用部品、家電製品用ハウジング、又は住宅建材であることを特徴とする請求項7に記載の成形体。
  9. 成形体中に存在する炭素繊維の平均繊維長さが0.05mm以上20mm未満であることを特徴とする請求項7又は8に記載の成形体。
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