JP2005230643A - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重金属等で汚染された土壌から汚染物質を除去して、環境リスクを低減することができる浄化方法を提供する。
【解決手段】汚染土壌の浄化方法であって、水相を有する土壌溶液(土壌と水の混合物)に、金属鉄と、酸化鉄と、カルシウム化合物とを含む浄化剤を接触させた後、前記接触させた浄化剤を分離する。この方法は汚染現場で実施することも可能である。汚染土壌を汚染度の高い成分(土壌)と低い成分(土壌)とに分離し、汚染度の高い土壌に浄化剤を接触させる方法を採ってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、汚染土壌の浄化方法、特に、現場で、重金属等で汚染された土壌から汚染物質を除去する汚染土壌の浄化方法に関する。
土壌汚染は深刻な社会問題であり、重金属等で汚染された土壌からなる土地は、汚染物質が溶出してくる可能性がある環境リスクを有する土地として行政機関等により管理される。この環境リスクを取り除くためには、汚染土壌から汚染物質を除去する技術が必要である。
重金属等で汚染された土壌を汚染現場で処置する方法としては、汚染された土壌にセメント等の薬剤を注入して重金属等を不溶化する方法が知られている。この方法によれば汚染土壌からの重金属等の溶出は防止できるが、重金属等の含有量は変化しないので、環境リスクを取り除くことはできない。
重金属等を不溶化できない土壌は、管理型の最終処分場に運搬され、埋立処分される。この方法では、汚染された土壌を取り除いたあと清浄な土壌が埋め戻されるので、環境リスクは取り除かれる。しかし、最終処分場が不足することが予想されるため、今後は、この方法の実施は困難になる。
一般に、土壌は粒子の大きさによって以下の構成成分に分けられる。粒径が、2mm以上のものは礫成分、0.2〜2mmのものは粗砂成分、0.02〜0.2mmのものは細砂成分、0.002〜0.02mmのものは微砂(シルト)成分、そして0.002mm以下のものは粘土成分である。
このうち、重金属等が蓄積しやすいのはシルト成分および粘度成分であり、したがって、粒径の差により汚染土壌から重金属等が多い成分(土壌)を分離することができる。例えば、汚染土壌を洗浄し、篩分級することにより、重金属が多く含まれる土壌と、含まれない(厳密に言えば、環境基準以下の)土壌とに分離できれば、埋立処分すべき汚染土壌の量を減少して、効率的な処理をすることができる。しかし、管理型処分場に運搬される汚染土壌の量は低減するが、最終処分場の不足には対応できない。
現状で、唯一現場処理可能な重金属等は、水銀とシアンである。例えば、汚染現場で土壌を加熱する方法により水銀やシアンを揮発除去できるので、これらの汚染物質に関する限り、汚染土壌の環境リスクは取り除かれる。しかし、この加熱除去方法は、その他の重金属等に対しては適用できない。
排水処理においては、それに含まれる重金属等の除去が行われ、浄化された処理水が排出される。例えば、硫酸鉄と水酸化ナトリウムを重金属等を含有する排水に加えて60℃以上に加熱するフェライト化処理方法が、多くの種類の重金属等の除去に有効である。また、鉱山の排水処理に使用される鉄粉法は、金属鉄と重金属等のイオン間の酸化・還元反応、および鉄イオンの共沈作用を応用したものであり、多種類の重金属の処理に適用することができる。
しかし、これらの排水処理技術を重金属等に汚染された土壌に適用するのは困難である。例えば、フェライト化処理を行う場合には、大量の土壌を加熱する必要がある。また、鉄粉法では不溶性の水酸化鉄を主成分とする多量のスラッジが生成する。さらに、これらの方法で重金属等による汚染土壌を処理したとしても、重金属等を取り除く方法が確立されていないので、汚染現場の環境リスクを低減することができない。
一方、揮発性有機化合物で汚染された土壌では、吸引や加熱により、汚染物質を分離・除去することができる。また、金属鉄粉の作用により汚染物質を分解できることも知られている。
例えば、揮発性有機化合物として、テトラクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロメタン、ヘキサクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1-ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、cis-1,2-ジクロロエチレン、trans-1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、塩化ビニル、1,2,3-トリクロルプロパン、1,2-ジクロロプロパン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、ヘキサクロロブタジエン、1,2-ジブロモエタン、フロン113、N-ニトロソジメチルアミン等があげられるが、これらを代表して有機塩素化合物をとり、RCl(Rはアルキル基を表す)で示すと、下記(1)式に従い、有機塩素化合物が還元され、分解される。
RCl+H++2e- →RH+Cl- ・・・(1)
金属鉄粉を用いて重金属等により汚染された土壌を浄化する方法として、金属鉄粉からなる浄化壁を汚染地下水の下流側に設置して汚染地下水を浄化する方法が従来から知られている。汚染土壌から溶出してくる重金属等のイオンと浄化壁の金属鉄粉との間の酸化・還元反応により溶出水を浄化する方法であるが、この方法では、重金属等が溶出し終わるのを待たなければならず、処理を完了するまでにかなりの長期間が必要になる。
また、金属鉄粉を重金属等の不溶化剤として汚染土壌に散布し、還元された重金属等のイオンを金属鉄粉上に固定する方法も公知であるが、重金属等は散布された金属鉄粉とともに土壌中に存在したままであり、環境リスクを取り除くことはできない。
さらに、例えば、特許文献1には、重金属で汚染された土壌に水と鉄粉と重金属の移動を促す薬剤を加えて攪拌し、土壌中の重金属を鉄粉に吸着・結合させた後、この鉄粉を湿式磁選機を用いて土壌から分離する土壌の浄化方法が記載されている。しかし、この方法では、用いる鉄粉の粒径が小さく(150μm以下の粒径のものが90重量%以上存在する鉄粉が望ましい、としている)シルト、粘土との分離が困難である上に、溶解した鉄が酸化して赤水が発生するという問題がある。
このように、重金属等を汚染現場から除去する浄化手段はごく限られたものであり、種々の重金属等に対して有効な除去方法の開発が望まれている。特に、多種類の重金属等で汚染された複合汚染土壌を、1種類の浄化工法で処理することができれば、浄化に要するコストの節減、期間の短縮等に有効である。
特開2000−51835号公報
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、その目的は、重金属等で汚染された土壌から汚染物質を除去する汚染土壌の浄化方法、特に、汚染現場で処理を行い、環境リスクを低減する効率的な浄化方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、特定の組成を有する鉄系の浄化剤を使用することにより、土壌汚染物質を分解し、または、浄化剤上に固定して浄化剤と共に土壌から分離し、環境リスクを低減できることを知見した。
本発明の要旨は、下記の汚染土壌の浄化方法にある。
『汚染土壌の浄化方法であって、水相を有する土壌溶液に、金属鉄と、酸化鉄と、カルシウム化合物とを含む浄化剤を接触させた後、前記接触させた浄化剤を分離する汚染土壌の浄化方法。』
ここでいう「汚染土壌」とは、重金属等で汚染された土壌である。なお、「重金属等」とは、環境省環境管理局水環境部発行の「平成12年度土壌汚染調査・対象事例及び対応状況に関する調査結果の概要」における定義と同様に、鉛、クロム、亜鉛など、密度が比較的大きく一般に重金属と称される金属だけでなく、砒素、フッ素、ホウ素、シアン等の有害な元素なども含めた総称である。
「土壌溶液」とは、土壌と水の混合物である。土壌は、一般に、固相(土粒子)を骨組として、液相(水)、気相(空気)の3相で構成されている。通常、土の中の水(土中水)には、土壌中の固相の孔隙に毛細管張力で拘束されている土壌水分と、土の中を移動できる水とがあるが、土壌溶液を構成している水は、この土の中を移動できる水である。
前記本発明の汚染土壌の浄化方法において、土壌溶液と浄化剤との接触を汚染現場で実施することとすれば、汚染物質の取扱いを限定された場所で行うこととなり、飛散その他の環境汚染を防止する上で望ましい。
前記本発明の浄化方法において、汚染土壌を汚染度の高い成分(土壌)と汚染度の低い成分(土壌)とに分離し、汚染度の高い成分を浄化する方法を採ることもできる。
また、汚染土壌が、鉛、砒素、クロム、カドミウム、水銀、セレン、フッ素、ホウ素、シアンおよび硝酸性窒素のうちの1種以上を含むものである場合、本発明の浄化方法は特に効果的である。
本発明の汚染土壌の浄化方法によれば、篩分級で浄化剤を容易に分離することができ、また、浄化剤中に酸化鉄を存在させることにより、赤水の発生を抑制し、しかも、常温で酸化鉄上にフェライト(再溶出しない)を生成させ得るという特徴を有しており、常温で多種類の重金属等の汚染物質を不溶化または還元、分解し、土壌から除去して環境リスクを低減することができる。この浄化方法は汚染現場で実施することも可能であって、汚染土壌の浄化に極めて有効である。
以下に、本発明の汚染土壌の浄化方法について詳細に説明する。
本発明の浄化方法は、先に述べたように、「汚染土壌の浄化方法であって、水相を有する土壌溶液に、金属鉄と、酸化鉄と、カルシウム化合物とを含む浄化剤を接触させた後、前記接触させた浄化剤を分離する方法」である。
浄化の対象である汚染土壌は重金属等で汚染された土壌であるが、この汚染土壌には、重金属等以外の汚染物質(例えば、有機塩素化合物など)が含まれていてもよい。
前記の土壌溶液は、土壌(土の微粒子)と水の混合物で、この水は土の微粒子の他、土の粒子から溶けこんだ可溶物や重金属等の塩類を含んでおり、それらを伴って土の中を移動する。すなわち、土壌が粒子間にこの土壌溶液を有することによって、土壌中の重金属の塩類は自由に液相内を移動することができる。
本発明の浄化方法では、この土壌溶液に、金属鉄と、酸化鉄と、カルシウム化合物とを含む浄化剤を接触させ、浄化剤と重金属等の塩類との間で浄化反応を進行させるのであるが、そのためには、浄化剤と重金属等の塩類が十分に接触できるように水相が存在していることが必要である。水相が存在せず、浄化剤を土壌に接触させるだけでは浄化反応が十分に進行しないからである。
土壌溶液に浄化剤を接触させると、浄化剤と重金属等との間で、(a)カルシウム化合物による重金属等の不溶化反応、(b)水酸化第一鉄とアルカリによる重金属等のフェライト化反応、および、(c)金属鉄と重金属等のイオン間の酸化・還元反応、が並列的に進行する。なお、「並列的に進行」というのは、土壌に含まれる汚染物質の種類や量、その他の条件によって、(a)〜(c)の反応のいずれもが進行する場合もあるし、それらのうちのいずれか1また2の反応が進行する場合もある、という意味である。
前記(a)の重金属等の不溶化反応は、浄化剤中のカルシウム化合物が土壌溶液に溶解して土壌溶液のpHが上昇し、土壌溶液中の重金属イオンが難溶性の水酸化物やカルシウム塩を生成する反応である。例えば、カドミウム、銅、水銀、亜鉛、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、フッ素、砒酸等は、生成する水酸化物やカルシウム塩が難溶性であり、不溶化する。しかし、鉛、マンガン、アンチモン、ホウ酸、シアン、6価クロム、セレン、硝酸性窒素等は、それらの水酸化物やカルシウム塩の溶解度から判断して、不溶化できない。
前記(b)の重金属等のフェライト化は、重金属等を含む排水処理に用いられており、排水に対して、硫酸鉄と水酸化ナトリウムを、2NaOH/FeSO4(モル比)=1となるように添加し、60℃以上に保持すると、下記の(2)式および(3)式(これらの式で、Mは鉄以外の重金属を表す)で表されるフェライト化反応が進行する。
(3−x)Fe2++xM2++6OH-→ Fe3-xx(OH)6 ・・(2)
Fe3-xx(OH)6+O2→ MxFe3-x4 ・・・(3)
本発明の浄化方法では、前記の(2)式の反応に関与する鉄イオンの供給源として、硫酸鉄の代わりに金属鉄が用いられ、水酸イオンの供給源として、水酸化ナトリウムの代わりに、水の存在下で水酸イオンをわずかずつ供給し得る水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物が用いられる。
これは、排水のフェライト化処理では、多量の排水を対象として前記(2)式および(3)式の反応を進行させるために、重金属イオンの含有量に見合う所定量の硫酸鉄と水酸化ナトリウムを添加し、加温して、急速に処理する必要があるのに対し、汚染土壌の処理では、フェライト化反応を徐々に進行させ、重金属等をフェライトとして取り込んで不溶化するからである。そのために、鉄イオンの供給源として金属鉄が、アルカリの供給源として溶解度が小さなカルシウム化合物が適している。
このフェライト化反応を進行させる上において、浄化剤に、金属鉄とカルシウム化合物に加えて酸化鉄を混合しておくことが重要である。酸化鉄としては、マグネタイトが望ましい。マグネタイトを浄化剤に混合することにより、重金属等のイオンと鉄イオンからフェライトを生成させる反応を常温でも顕著に進行させることができるからである。さらに、浄化剤中に酸化鉄を混合しておくことにより、溶解した2価の鉄イオンの酸化に起因する赤水の発生も抑制される。
フェライト化反応では、多くの重金属類が鉄イオンの代わりにフェライト構造の中に取込まれて、不溶化する。鉄イオンの代わりにフェライト化する重金属としては、砒素、カドミウム、クロム、銅、鉛等が知られている。また、イオン半径からみて、モリブデン、マンガン、ニッケル、セレン、アンチモン、亜鉛等は、フェライト化が可能であるが、ホウ素、フッ素、水銀等はフェライト化は困難である。
前記(c)の金属鉄と重金属等のイオン間の酸化・還元反応は、ほとんどの重金属等や硝酸性窒素等において進行する。さらに、金属鉄の溶解反応と比べ、より卑な水酸イオンによる酸化反応が進行することにより、金属鉄の溶解反応よりも卑なホウ酸の還元反応等を行わせることができる。
これらの3種の反応(以下、これらの反応を総称して「浄化反応」ともいう)が並列的に進行することにより、常温で多種類の重金属等や揮発性有機化合物等の汚染物質を、不溶化し、または還元、分解して無害化することが可能となる。
本発明の浄化方法で使用する浄化剤は、金属鉄と、酸化鉄と、カルシウム化合物とを含む浄化剤である。
金属鉄とカルシウム化合物の混合比は、金属鉄/カルシウム化合物のモル比で1以上が望ましい。これは、カルシウムの溶解度が小さいこと、微量で作用することによるもので、系内に金属鉄とカルシウム化合物とが共存することにより長期にわたって作用するので、カルシウム化合物を多量に混合する必要がないからである。
一方、酸化鉄の混合比率は、浄化剤の全体量に対して10質量%未満であるのが望ましい。
製鉄所等で発生する鉄系のダストをカルシウム化合物とともに溶融・還元して成形された還元鉄は、金属鉄、酸化鉄およびカルシウム化合物が混合した状態で成形されており、適度な粒径を有しているので、本発明の浄化方法で使用する浄化剤として特に好適である。
この浄化剤を土壌溶液と接触させるのであるが、この接触は、浄化剤と土壌とを混合することにより行う。その際、使用する金属鉄、カルシウム化合物および酸化鉄をそれぞれ土壌に混合することも可能であるが、これらを予め混合し、焼結した浄化剤を用いるのが、後に行う汚染土壌からの浄化剤の分離を容易にするので望ましい。
浄化剤の混合量について特に限定はない。汚染土壌は、通常は、その土質や量、汚染物質の種類、濃度などがあらかじめ把握され、管理されているので、それらを勘案して、浄化剤の混合量、混合方法等を適宜定めればよい。
土壌には、通常、かなりの水分が含まれており、土壌溶液は浄化反応の進行に十分な水相を有している。しかし、水相が十分に存在していないか、または乾いた土壌の場合には、適宜水を加えて浄化反応の促進を図るのが望ましい。
浄化剤と土壌溶液との接触時間は特に限定されないが、24時間以上接触させることが望ましい。24時間未満では浄化反応が十分に進行しないからである。
浄化剤と土壌溶液とを接触させ、前述した(a)、(b)および(c)の反応を並列的に進行させた後、土壌から浄化剤を分離する。なお、分離に際し、土壌を乾燥させることが望ましい。
乾燥条件は特に限定されない。浄化剤と土壌の分離を行うことができる程度であればよい。
分離の方法は特に限定されないが、磁気による方法が望ましい。これは、前記(b)に述べた反応で生成させたフェライトは、強磁性を有するからである。また、(c)に述べた金属鉄と重金属等のイオン間の酸化還元反応では、重金属等が還元された状態で金属鉄上に固定されていて、磁性を有するからである。
浄化剤として、前記の予め混合し焼結した浄化剤や、製鉄所等で発生する鉄系のダストをカルシウム化合物とともに溶融・還元して成形された還元鉄などを使用した場合は、篩分級により分離するのが好適である。これらの浄化剤は特定の粒径を有しており、篩分級によって粒径の小さい汚染土壌から容易に分離することができる。
上記本発明の汚染土壌の浄化方法は、例えば、汚染土壌を現場から離れた専用の処理場へ運搬し、そこで処理することももちろん可能である。しかし、汚染現場で一連の処理を実施することとすれば、汚染物質の取扱いを限定された場所で行うので、飛散その他の環境汚染を防止する上で望ましい。現場と処理場間の運搬費用の節減、処理時間の短縮などの面でも有利である。特に、汚染土壌が沼地や河川、またはそれらに隣接する土地の土壌等である場合、土壌の運搬その他の取扱いが容易ではなく、汚染現場での処理が望ましい。
また、本発明の浄化方法を実施するに際し、汚染土壌を汚染度の高い成分(土壌)と低い成分(土壌)とに分離し、汚染度の高い土壌を対象として浄化する方法を採ってもよい。前述したように、重金属等が蓄積しやすいのはシルト成分および粘度成分であり、したがって、粒径の差により汚染土壌から重金属等が多く含まれる成分(土壌)を分離することができるので、土質によって、汚染度の低い土壌に含まれる汚染物質の量が環境基準以下であるような場合は、これを分離し、重金属等が多い土壌のみを処理すれば、処理量を減少して、汚染土壌を効率的に浄化することができる。
この場合の分離は篩分級により行うのが一般的である。篩分級は乾式でも湿式でも行うことができるが、汚染度の高い土壌は洗浄水と共に浄化処理することができるので、湿式で分級するのが望ましい。
浄化しようとする汚染土壌が、鉛、砒素、クロム、カドミウム、水銀、セレン、フッ素、ホウ素、シアンおよび硝酸性窒素のうちの1種以上を含むものである場合、本発明の浄化方法(汚染現場での実施、汚染度の高い土壌を処理の対象とする実施を含む)は特に効果的である。
このようにして、浄化剤を接触させた後、前記接触させた浄化剤を分離した後の土壌には汚染物質は含まれておらず、環境リスクは取り除かれているので、そのまま埋め戻すことが可能である。
本発明の汚染土壌の浄化方法によれば、浄化反応を常温で並列的に進行させて多種類の重金属等や揮発性有機化合物等の汚染物質を不溶化、または還元、分解し、これら汚染物質を土壌から除去して環境リスクを低減することができる。この浄化方法は汚染現場で実施することも可能であり、汚染土壌の浄化に極めて有効である。
製鉄所で発生したダスト類をロータリーキルン方式の還元ペレット製造装置で焼結した還元鉄を浄化剤として使用した。なお、還元ガスには、不完全燃焼で発生した燃焼排ガスを用い、還元ペレット装置の中心温度は1350℃に制御した。得られた還元鉄(浄化剤)の主な性状を表1に示す。
Figure 2005230643
(実施例1)
酸化鉛、3酸化2砒素、重クロム酸カリウム、硝酸カドミウム、青酸カリウム、フッ素、ホウ酸、硝酸ナトリウム、塩化第2水銀および酸化セレンを汚染物質として、それぞれ環境基準値の10倍の濃度の溶液(模擬汚染水)を調製した。なお、「検出されないこと」が基準とされているシアンについては0.7mg/l(リットル)の濃度の模擬汚染水を調製した。
前記の模擬汚染水各20mlと前記浄化剤5gを30mlのスクリュウ管にいれ、24時間振とうした後、それぞれの濃度を測定した。その結果、いずれの模擬汚染水についても、汚染物質の濃度が減少していることが認められ、硝酸性窒素を除く汚染物質濃度は環境基準以下であった。
(実施例2)
トリクロロエチレンを汚染物質として、その濃度が10mg/lの模擬汚染水を調製し、この模擬汚染水20mlと前記浄化剤1gを20mlのバイアル管にいれ、振とうした。
トリクロロエチレン濃度は、振とうを開始してから24時間(1日)後に11mg/l、7日後に7mg/l、21日後に5mg/lであり、徐々に分解されていることが認められた。
(実施例3)
蒸留水100mlに硝酸鉄(9水和物)約220mgを加え、鉄濃度が60mg/lの模擬汚染水を調製した。この模擬汚染水に前記浄化剤20gを加え、1日攪拌した後、ろ過して、ろ液(これを「浄化水」とい)と浄化剤に分離した。さらに、この浄化剤にその10倍量(質量)の蒸留水を加えた(この操作により得られる液を「浸出液」という)。
前記の浄化水および浸出液の鉄濃度は、それぞれ0.09mg/lおよび0.11mg/lと、いずれも微量であり、模擬汚染水(原水)中の鉄イオンが浄化剤によって除去(浄化)され、しかも浄化剤に固定化されていることが確認された。
(実施例4)
蒸留水に塩化鉄(II)またはクエン酸鉄(III)を加えて鉄の模擬汚染水を調製し、また、蒸留水に塩化鉛またはクエン酸鉛を加えて鉛の模擬汚染水を調製した。これらの模擬汚染水について、実施例3の場合と同様の方法で、「浄化水」と「浸出液」を得た。
前記の模擬汚染水(原水)、浄化水および浸出液中の鉄濃度、鉛濃度を表2に示す。
Figure 2005230643
表2に示した結果から、実施例3の場合と同様に、模擬汚染水(原水)中の鉄や鉛が浄化剤によって除去され、しかも浄化剤に固定化されていることが確認された。
(実施例5)
酸化アルミナに塩化鉛水溶液を含浸させた後、乾燥し、模擬汚染土壌を調製した。その鉛含有量は1283mg/kgで、溶出試験により溶出した鉛濃度は0.005mg/l未満であった。
この鉛で汚染された模擬汚染土壌20gを110mlのスクリュウ管に入れ、前記浄化剤5g、水20gを加え、攪拌した。なお、水20gを加えることにより、模擬汚染土壌に水相が存在した。
24時間経過後、スクリュウ管のふたを開け、風乾した。乾燥後、磁石で浄化剤を分離した。模擬汚染土壌中の鉛濃度は1100mg/kgであった。
(実施例6)
実施例5で使用した鉛で汚染された模擬汚染土壌20gを110mlのスクリュウ管に入れ、前記浄化剤5g、水7gを加え、攪拌した。なお、水7gを加えることにより、当初模擬汚染土壌には水相が若干存在したが、次第に模擬汚染土壌に吸着され団粒となった。
24時間経過後、スクリュウ管のふたを開け、風乾した。乾燥後、磁石で浄化剤を分離した。模擬汚染土壌中の鉛濃度は1200mg/kgであった。
(比較例)
実施例5で使用した鉛で汚染された模擬汚染土壌20gを110mlのスクリュウ管に入れ、前記浄化剤5gを加え、攪拌した。
24時間経過後、スクリュウ管のふたを開け、磁石で浄化剤を分離した。模擬汚染土壌中の鉛濃度は1280mg/kgであり、鉛汚染は改善されなかった。これは、模擬汚染土壌に水相が存在しないため、前記の反応が進行しなかったことによるものである。
本発明の汚染土壌の浄化方法は、多種類の重金属等の汚染物質を常温で除去することができる極めて有効な技術で、汚染現場で実施することも可能である。重金属等で汚染され、汚染物質が溶出してくる可能性がある環境リスクを有する土地(土壌)に対してこの方法を適用すれば、その環境リスクを取り除きまたは低減することができるので、深刻な社会問題である土壌汚染に対する有力な解決手段として利用することができる。

Claims (4)

  1. 汚染土壌の浄化方法であって、水相を有する土壌溶液に、金属鉄と、酸化鉄と、カルシウム化合物とを含む浄化剤を接触させた後、前記接触させた浄化剤を分離することを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
  2. 前記土壌溶液と浄化剤との接触を汚染現場で実施することを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
  3. 汚染土壌を汚染度の高い成分と汚染度の低い成分とに分離し、汚染度の高い成分を浄化することを特徴とする請求項1または2に記載の汚染土壌の浄化方法。
  4. 汚染土壌が、鉛、砒素、クロム、カドミウム、水銀、セレン、フッ素、ホウ素、シアンおよび硝酸性窒素のうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚染土壌の浄化方法。
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