JP2005229693A - 昇圧回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力電源電圧(Vba)が正常状態の場合には、その値に等しい電圧を出力電圧(Vpp)として出力する。出力電圧が低下した場合には、その出力電圧を分圧した帰還電圧(V1)をローパスフィルタ(5a)を通した後、PWM変調して帰還電圧が低下するに従ってパルス幅が増すパルス電圧(V4)を生成する。パルス幅が広くなる程昇圧能力が強くなるように入力電源電圧を入力とするDC/DC変換器(2)を動作させる。ローパスフィルタを抵抗回路網(8)とコンデンサ(C2)で構成し、パルス電圧が出力されていない期間は抵抗回路網の抵抗値は小さく、出力されている期間は大きくなるように切り換える。
【選択図】図1
Description
直流安定化電源装置が高精度に制御された一定の電圧を出力するためには、供給される電源電圧が所定の値以上であることが要求される。ところが、車両に搭載されたバッテリーの電圧は変動が激しい。例えば、セルモータを回転させた場合などには大電流がバッテリーから供給されるため、その電圧は一時的に大きく低下することがある。バッテリーの電圧が大幅に低下すると、直流安定化電源装置に供給される電源電圧が最低許容値を下回って出力電圧は定格値を維持できなくなる。すると、負荷として接続された電子回路が誤動作を起こす。
図5は、このような目的に使用される従来の昇圧回路の構成例である。図5に示す昇圧回路1は、バッテリーから供給される入力電源電圧Vbaを電源とし、直流安定化電源装置が必要とする最低許容電源電圧以上の出力電圧Vppを出力する回路である。入力電源電圧Vbaは接地電位GNDを基準として入力端子N1に与えられ、出力電圧Vppは接地電位GNDを基準として出力端子N2より取り出される。
入力電源電圧Vbaが十分に高い場合にはDC/DC変換器2は停止状態となり、入力電源電圧VbaよりもダイオードD1の順方向電圧だけ低い電圧が出力電圧Vppとして出力される。入力電源電圧Vbaが一定値以下に低下するとDC/DC変換器2が入力電源電圧Vbaの昇圧を開始し、昇圧した電圧が出力電圧Vppとして出力されるようになる。
−(R5/R3)・Vcc (1)式
演算増幅器OP1は、正の電源電位+Vpと接地電位GNDとの間で動作する。その出力の低レベル側の飽和電圧は接地電位GNDにほぼ等しく、高レベル側飽和電圧は電源電位+Vpに近い値である。
DC/DC変換器2は、スイッチング素子としてのNMOSトランジスタQ1、リアクトルL1、第2のダイオードD2、第1のコンデンサC1、PWM変換回路(6)により構成される。トランジスタQ1のソースは接地電位GNDに接続され、ドレインはリアクトルL1を介して入力端子N1に接続される。ダイオードD2はカソードを出力端子N2側にして出力端子N2とトランジスタQ2のドレインとの間に接続され、コンデンサC1は出力端子N2と接地電位GNDとの間に接続される。
パルス電圧V4のパルスOFF期間に入るとトランジスタQ1は非導通となる。すると、リアクトルL1に蓄積されていた電磁エネルギーがダイオードD2を通ってコンデンサC1に放出される。コンデンサC1には、正の電荷が注入されその充電電圧が上昇する。このようにして、トランジスタQ1がON/OFF動作を1回繰り繰り返す毎に正電荷がコンデンサC1に注入され、出力電圧Vppは上昇する。この正電荷の注入動作は入力電源電圧Vbaが出力電圧Vppより低くても行なわれるので、出力電圧Vppには入力電源電圧Vbaより高い昇圧された電圧を生成させることができる。
電圧V3が低下しても、その値が三角波生成回路6から出力される三角波電圧のピーク電圧Vs以上である間は、コンパレータCP1の出力は低レベルのままでありトランジスタQ1は非導通のままである。その間は昇圧動作が行なわれないため出力電圧Vppは引き続き低下を続ける。
出力電圧Vppが電圧Vhiと電圧Vloの間に制御されている間に、やがて入力電源電圧Vbaが回復して高い電圧が入力される。すると、ダイオードD1を通って電流が供給されるようになり出力電圧Vppも上昇する(図6の(1)、(2)参照)。出力電圧Vppが上昇すると電圧V2、V3も上昇してパルス電圧V4が出力されなくなり、DC/DC変換器2の昇圧動作は停止する(図6の(3)、(4)、(5)参照)。
そのように波打っている電圧V2を、仮にローパスフィルタ5を通さずに直接にコンパレータCP1の反転入力端子に入力した場合には、その波(リプル)の位相(この波は途中の伝搬、増幅の過程で位相遅れを生ずる。)と三角波電圧の位相との関係によっては正帰還がかかる場合がある。即ち、出力電圧Vppを上昇させるべき時に低下させるような弱い昇圧動作が行なわれ、下降させるべき時に上昇させるような強い昇圧動作が行なわれる場合がある。そのような動作が行なわれると、出力電圧Vppは益々激しく変動して安定した出力電圧を得ることが困難となる。
このRC時定数が大きいと、電圧V2の変化は時間が遅れて電圧V3に現れる。図6の(4)中の電圧V3の立ち下がり勾配が、図6の(3)の電圧V2の立ち下がり勾配よりも緩いのはこのためである。このように電圧V3の立ち下がり勾配が緩いと、電圧V2が低下を始めた時刻t1から昇圧動作が開始される時刻t2との間に図6の(5)に示すようなかなりの時間差td1が生ずる。この時刻t1からt2の間は昇圧動作が行なわれていないために出力電圧Vppは低下を続ける。そして時刻t2で昇圧動作が開始された時に出力電圧Vppは図6の(2)に示す最低電圧のA点に達する。そして、その後に上昇を開始する。
出力電圧に比例する帰還電圧に重畳しているリプル電圧を効果的に除去すると共に、バッテリーからの入力電源電圧が低下した場合には速やかに昇圧動作が開始される昇圧回路を提供することにある。
前記入力電源電圧を印加する入力端子(N1)と直流出力電圧(Vpp)を取り出す出力端子(N2)との間にアノードを入力端子側にして接続した第1のダイオード(D1)と、
該第1のダイオードに並列接続した昇圧型のDC/DC変換器(2)と、
前記直流出力電圧を分圧する分圧回路(3)と、
該分圧回路で分圧した帰還電圧(V1)を増幅する非反転増幅器(4)と、
該非反転増幅器の出力電圧(V2)を入力とし高周波成分を除去した出力電圧(V3)を前記DC/DC変換器に出力するローパスフィルタ(5a)とを備えて構成し、
前記DC/DC変換器(2)は、一端を前記入力端子に接続したリアクトル(L1)と、該リアクトルの他端と前記出力端子間にアノードをリアクトル側にして接続した第2のダイオード(D2)と、該第2のダイオードのカソードと接地電位(GND)との間に接続した第1のコンデンサ(C1)と、該第2のダイオードのアノードと接地電位間に接続したスイッチング用のトランジスタ(Q1)と、前記ローパスフィルタの出力電圧(V3)が所定値電圧(Vs)より低下した場合に該出力電圧と所定値電圧との差に比例するパルス幅で所定周波数のPWM変調されたパルス電圧(V4)を出力するPWM変換回路(6)とを備え、該パルス電圧のパルス幅期間中のみ前記トランジスタが導通するように構成し、
前記ローパスフィルタは、前記非反転増幅器の出力端子(N3)と前記DC/DC変換器の入力端子(N4)間に接続した抵抗回路網(8)と、該DC/DC変換器の入力端子と接地電位との間に接続した第2のコンデンサ(C2)とを備え、該抵抗回路網は前記入力電源電圧が正常状態の場合には前記非反転増幅器の出力端子(N3)と前記DC/DC変換器の入力端子(N4)との間の抵抗値が低くなるように回路を切り換え、前記電源電圧が正常状態を外れ且つ前記パルス電圧(V4)が出力し始めた場合には該抵抗値が高くなるように回路を切り換え、前記入力電源電圧(Vba)が正常状態に戻った場合には元の低い抵抗値に再び回路を切り換えるように構成したことを特徴とする昇圧回路である。
入力電源電圧が正常で昇圧動作が行なわれていない場合には、入力電源電圧の方が直流出力電圧よりも高いので、このように判定することで入力電源電圧が正常であることを容易に判定することができる。
該切り換え回路は、前記入力電源電圧(Vba)が正常状態である場合には前記アナログスイッチを導通状態に切換え、前記入力電源電圧が正常状態を外れ且つ前記パルス電圧(V4)が出力し始めた場合には前記アナログスイッチを非導通状態に切り換え、前記入力電源電圧(Vba)が正常状態に戻った場合には前記アナログスイッチを導通状態に切り換えるように構成したことを特徴とする。
該切り換え回路は、前記PWM変換回路(6)の出力より前記パルス電圧(V4)のパルスが連続して出力されている期間中のみ前記アナログスイッチを導通状態に切り換え、該期間以外は非導通状態に切り換えるように構成したことを特徴とする。
本実施形態の昇圧回路10は、入力端子N1と出力端子N2との間に接続したダイオードD1と、昇圧型のDC/DC変換器2と、分圧回路3と、非反転増幅器4と、ローパスフィルタ5aとにより構成される。このうちローパスフィルタ5aを除く回路構成は図5の回路構成と同じである。
フリップフロップFF1、FF2は従属接続されて2ビットのシフトレジスタを構成している。1段目のフリップフロップFF1のデータ入力Dには、高レベルの電圧+Vが印加されている。各クロック入力CKには、DC/DC変換器2内のコンパレータCP1の出力であるパルス電圧V4が入力され、リセット入力RESにはコンパレータCP2の出力電圧が印加される。2段目のフリップフロップFF2の出力Qの出力信号は、インバータIN1で反転されてアナログスイッチSW1の制御入力端子N5に印加される。
コンパレータCP2の反転入力端子には出力電圧Vppが、非反転入力端子には入力電源電圧Vbaが入力されており、入力電源電圧Vbaが出力電圧Vppより大きい時に出力に高レベルの信号電圧が出力される。
この状態から入力電源電圧Vbaが低下した場合を説明する。入力電源電圧Vbaが低下を開始すると出力電圧Vppも低下を開始する(図3の(1)、(2)参照)。出力電圧Vppが時刻t1において図3の(2)に示すように電圧Vhiよりも低くなると非反転増幅器4は飽和から抜け出し、その出力電圧V2は図3の(3)に示すように下降を開始する。前述した(1)式の右辺の第1項で表わされる出力電圧Vppと電圧V2間の増幅率は高いので、電圧V2は出力電圧Vppの勾配よりも急勾配で低下する。そして、出力電圧Vppの値が図3の(2)に示した電圧Vloに低下した時点で低レベル側の飽和電圧に達する。
アナログスイッチSW1が非導通状態となり抵抗R7が切り離された状態においては、図1の昇圧回路10と図5の従来技術の昇圧回路1との回路構成は全く同じとなる。従って、パルス電圧V4にPWM変調されたパルスが現れ昇圧動作が開始された以降の昇圧回路10の動作は、「背景技術」の項で説明した昇圧回路1の動作と同じとなる。
電圧V3が上昇するとパルス電圧V4のパルス幅が狭くなっていき昇圧能力は弱まる。そして、昇圧作用によりコンデンサC1に単位時間に注入される電荷量と、出力端子N2から単位時間に負荷に流出する電荷量とが等しくなった時点で電圧V3の上昇は止まり平衡状態となる。
図1に示した昇圧回路10中のローパスフィルタ5aの他の実施形態を図4に示す。なお図4中、図2のローパスフィルタ5と同一部分には同一符号が付してある。この実施形態のローパスフィルタ5bも、抵抗回路網8aと第2のコンデンサC2により構成され、その抵抗回路網8aは、抵抗R6、R7、アナログスイッチSW1、切り換え回路9aにより構成される。
Claims (5)
- 入力電源電圧(Vba)が正常時には該入力電源電圧にほぼ等しい電圧を出力し、入力電源電圧が正常値を外れて低下した場合には低下した入力電源電圧を昇圧して正常範囲に入る準安定化した直流出力電圧(Vpp)を出力する昇圧回路であって、
前記入力電源電圧を印加する入力端子(N1)と直流出力電圧(Vpp)を取り出す出力端子(N2)との間にアノードを入力端子側にして接続した第1のダイオード(D1)と、
該第1のダイオードに並列接続した昇圧型のDC/DC変換器(2)と、
前記直流出力電圧を分圧する分圧回路(3)と、
該分圧回路で分圧した帰還電圧(V1)を増幅する非反転増幅器(4)と、
該非反転増幅器の出力電圧(V2)を入力とし高周波成分を除去した出力電圧(V3)を前記DC/DC変換器に出力するローパスフィルタ(5a)とを備えて構成し、
前記DC/DC変換器(2)は、一端を前記入力端子に接続したリアクトル(L1)と、該リアクトルの他端と前記出力端子間にアノードをリアクトル側にして接続した第2のダイオード(D2)と、該第2のダイオードのカソードと接地電位(GND)との間に接続した第1のコンデンサ(C1)と、該第2のダイオードのアノードと接地電位間に接続したスイッチング用のトランジスタ(Q1)と、前記ローパスフィルタの出力電圧(V3)が所定値電圧(Vs)より低下した場合に該出力電圧と所定値電圧との差に比例するパルス幅で所定周波数のPWM変調されたパルス電圧(V4)を出力するPWM変換回路(6)とを備え、該パルス電圧のパルス幅期間中のみ前記トランジスタが導通するように構成し、
前記ローパスフィルタは、前記非反転増幅器の出力端子(N3)と前記DC/DC変換器の入力端子(N4)間に接続した抵抗回路網(8)と、該DC/DC変換器の入力端子と接地電位との間に接続した第2のコンデンサ(C2)とを備え、該抵抗回路網は前記入力電源電圧が正常状態の場合には前記非反転増幅器の出力端子(N3)と前記DC/DC変換器の入力端子(N4)との間の抵抗値が低くなるように回路を切り換え、前記電源電圧が正常状態を外れ且つ前記パルス電圧(V4)が出力し始めた場合には該抵抗値が高くなるように回路を切り換え、前記入力電源電圧(Vba)が正常状態に戻った場合には元の低い抵抗値に再び回路を切り換えるように構成したことを特徴とする昇圧回路。 - 請求項1に記載の昇圧回路において、前記入力電源電圧(Vba)が正常状態であることの判定は、前記入力電源電圧が前記直流出力電圧(Vpp)より高いことを検出して行なうことを特徴とする昇圧回路。
- 請求項1又は2に記載の昇圧回路において、前記抵抗回路網(8)は、前記非反転増幅器(4)の出力端子(N3)と前記DC/DC変換器(2)の入力端子(N4)との間に接続した第1の抵抗(R6)と、該第1の抵抗に並列に接続した第2の抵抗(R7)とアナログスイッチ(SW1)の直列回路と、該アナログスイッチの切り換えを制御する切り換え回路(9)とを備え、
該切り換え回路は、前記入力電源電圧(Vba)が正常状態である場合には前記アナログスイッチを導通状態に切換え、前記入力電源電圧が正常状態を外れ且つ前記パルス電圧(V4)が出力し始めた場合には前記アナログスイッチを非導通状態に切り換え、前記入力電源電圧(Vba)が正常状態に戻った場合には前記アナログスイッチを導通状態に切り換えるように構成したことを特徴とする昇圧回路。 - 請求項1に記載の昇圧回路において、前記抵抗回路網(8)は、前記PWM変換回路(6)の出力より前記パルス電圧(V4)のパルスが連続して出力されている期間中のみ前記非反転増幅器の出力端子(N3)と前記DC/DC変換器の入力端子(N4)との間の抵抗値を高く、該期間以外は低くするように構成したことを特徴とする昇圧回路。
- 請求項1に記載の昇圧回路において、前記抵抗回路網(8)は、前記非反転増幅器(4)の出力端子(N3)と前記DC/DC変換器の入力端子(N4)との間に接続した第1の抵抗(R6)と、該第1の抵抗に並列に接続した第2の抵抗(R4)とアナログスイッチ(SW1)の直列回路と、該アナログスイッチの切り換えを制御する切り換え回路(9a)とを備え、
該切り換え回路は、前記PWM変換回路(6)の出力より前記パルス電圧(V4)のパルスが連続して出力されている期間中のみ前記アナログスイッチを導通状態に切り換え、該期間以外は非導通状態に切り換えるように構成したことを特徴とする昇圧回路。
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