JP2005228771A - 基板搬送方法、及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
基板の製品仕掛り時間(TAT)を短縮させることである。
【解決手段】
周回コンベア装置Kの周囲に、基板Wに施す処理の工程順に各処理装置A〜Eを配設すると共に、前記周回コンベア装置Kと前記各処理装置A〜Eとの間に、両者の間で基板Wの受渡しを行うための基板受渡し装置Ga,Gb を配設し、前記周回コンベア装置KによりパレットPに収納されて1枚ずつ搬送される基板Wを、各処理装置A〜Eに受け渡して所定の処理をさせ、各処理装置A〜Eで処理された基板Wを基板受渡し装置Ga,Gb によって周回コンベア装置Kに待機している空のパレットPに受け渡して、後工程の処理装置A〜Eに搬送する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多数工程を順次経て基板に半導体素子を成形する半導体製造装置において、各工程の処理を行うために工程順に配置された多数の処理装置から成る処理装置群に沿って前記基板を搬送する方法、及び装置に関するものである。
基板に成形される半導体素子は、連続した異なる複数の工程を一工程群とした場合に、同一又は近似の複数の工程群を経て多層となって基板に成形されるものが多い。
例えば、図11に示される基板Wでは、洗浄装置Aによって基板Wの表面を洗浄した後、CVD装置Bにより、その表面に酸化膜51を形成する。その後、フォト装置Cによって、前記酸化膜51に感光剤52を塗布し、露光パターンに従って露光し、現像する。次に、エッチング装置Dによって露光パターン以外の部分を溶かし、更に、感光剤52を取り除く。これにより、基板Wの表面に、第1層の半導体素子が成形される。ある種の基板Wでは、その表面に半導体素子が多層に亘って成形されるものがあり、また、各層の成形工程も、図11に示されるものとは異なる場合もある。
このため、図12に示されるように、半導体素子の各層を成形する複数の工程群のうち、同一又は近似の工程を処理する複数の処理装置A〜Dを並列状態で配置したり、或いは並列状態で配置したものを対向配置させ、各層において同一又は近似の処理を行う「ベイ」と称される処理装置群をまとめて1箇所に配置させ、各層の工程数に対応する複数の「ベイ」を異なる場所に設置して行われている(例えば、特許文献1参照)。
そして、基板の搬送に関しては、多数枚の基板がカセットに収納された状態で行われ、全ての工程において、カセットに収納された多数枚の基板はまとめて同一処理(バッチ処理)が行われる。各ベイ間における基板群(カセットに収納された多数枚の基板を意味する)の移動は、各ベイ間を結ぶ専用の搬送車53によって行われる。基板に半導体素子を多層にして成形するには、基板群は、各層毎に相前後する工程の各ベイ間を何回も往復することとなる。なお、図12において、54は、カセットを仮置きするためのストッカである。
このように、上記した「ベイ方式」は、多数枚の基板をまとめて各工程毎にバッチ処理するために、製造ラインに基板を投入してから、全工程の処理を終えて完成品(製品)となるまでに要する製造ライン内での全待機時間を含んだ時間(製品仕掛り時間T12)は、相当に長くなる(図8参照)。この結果、製造ライン内に多数の仕掛り品(製造途中の未完成品)が在庫状態となって製造ライン内に滞留するため、受注後から起算して発注主に完成品を納入できるまでの期間であるリードタイム(納期)が長くなる。このため、短納期の製品の製造には不適である。また、製品仕掛り時間T12が長いことは、製品として計上できずに、製造ライン内に恰も在庫のように滞留している未完成品の数(仕掛り在庫)が多いために、経営面からは投下資本の回転率(回収率)が悪くなる。更に、近時では、基板も大きくなり、それに伴って高価になるため、上記の問題は一層、顕著になっている。なお、「製品仕掛り時間」及び「仕掛り在庫」は、それぞれ「TAT(Turn Around Time)」、「WIP(Work-in-process)」と称されており、前者の略称「TAT」は、以下の説明で使用する。
特開2002−26106号公報
本発明は、半導体製造装置において、基板の製品仕掛り時間(TAT)が短くなるようにすることを課題としている。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、多数工程を順次経て基板に半導体素子を成形する半導体製造装置において、各工程の処理を行うために工程順に配置された多数の処理装置から成る処理装置群に沿って前記基板を搬送する方法であって、各処理装置とコンベア装置との間に配設された基板受渡し装置によって、前記コンベア装置で1枚ずつ搬送される基板を各処理装置に受け渡し、各処理装置で処理された基板を前記基板受渡し装置によってコンベア装置に受け渡して後工程の処理装置に搬送することを特徴としている。
この発明により、後述の請求項2とほぼ同一の作用効果が奏される。
請求項2の発明は、多数工程を順次経て基板に半導体素子を成形する半導体製造装置において、各工程の処理を行うために工程順に配置された多数の処理装置から成る処理装置群に沿って前記基板を搬送する装置であって、各処理装置の配列方向に沿って配設され、基板を1枚ずつ搬送するためのコンベア装置と、前記コンベア装置と各処理装置との間に配設され、両者の間で基板の受渡しを行うための基板受渡し装置とを備え、前記各処理装置で処理された基板を、前記コンベア装置によって後工程の処理装置に搬送することを特徴としている。
工程順に配置された処理装置群に沿って基板を1枚ずつ流して、多工程の処理を行う方式であるので、製品仕掛り時間が短くなる。このため、多数枚の基板をまとめて同一処理を行った後に、次の処理を同様にまとめて行う「ベイ方式」に比較して、前記製品仕掛り時間(TAT)が著しく短くなると共に、製造ライン内に仕掛り品(未完成品)となって滞留する基板の数も激減されるため、リードタイム(納期)が短くなって、短納期、或いは即納期に対応可能となる。この結果、上記した基板搬送方法に特徴を有する半導体の製造方法を経営面から見ると、投下資本の回収(回転)がはやくなって、資本回転率(回収率)が高まる。
請求項3の発明は、請求項2の発明を前提として、前記基板は、パレットに収容された状態で搬送されることを特徴としている。基板が、コンベア装置に直接載置された状態で搬送されると、基板におけるコンベア装置の接触面が汚染したり、損傷したりするおそれがあるが、この発明では、基板はパレットに収容されているため、そのようなおそれがない。
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明を前提として、コンベア装置における処理装置の直下流側には、前記処理装置による処理が終了した基板を、一時保管するための基板保管装置が配設されていることを特徴としている。後工程の処理装置の故障や保守点検等により、基板を後工程に搬送することができなくなっても、処理途中(それより上流側の工程の処理が終了したものをいう)の基板を、基板保管装置に一時保管しておくことにより、前工程の処理が終了した基板を、そのままの状態(例えば、処理装置内に収容させたままの状態)で滞留させなくても済む。
請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかの発明を前提として、前記コンベア装置は周回コンベア装置であって、基板に半導体素子を成形するための各処理装置群は、周回コンベア装置の周囲に配設されていることを特徴としている。この発明では、コンベア装置が周回コンベア装置であり、しかも、各処理装置群がその周囲に配設されている。このため、基板に多層に亘って半導体素子を成形するために、多数の処理装置を配設しなければならない場合であっても、全体の設置面積を小さくすることができる。
請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかの発明を前提として、処理途中の基板に付帯処理を行うために、前記基板を各処理装置間で搬送可能なバイパス搬送装置が配設されていることを特徴としている。このため、処理途中の基板の抜取り検査を行ったり、いずれかの処理装置の故障時に、他の処理装置で代替して処理を施すべく、前記他の処理装置に基板を搬送したりすることができ、基板の処理効率が向上する。
本発明は、多数工程を順次経て基板に半導体素子を成形する半導体製造装置において、各工程の処理を行うために工程順に配置された多数の処理装置から成る処理装置群に沿って前記基板を搬送する方法であって、各処理装置とコンベア装置との間に配設された基板受渡し装置によって、前記コンベア装置で1枚ずつ搬送される基板を各処理装置に受け渡し、各処理装置で処理された基板を前記基板受渡し装置によってコンベア装置に受け渡して後工程の処理装置に搬送することを特徴としている。即ち、工程順に配置された処理装置群に沿って基板を1枚ずつ流して、多工程の処理を行う方式であるので、製品仕掛り時間(TAT)が短くなると共に、製造ライン内に仕掛り品(未完成品)となって滞留する基板の数も激減されるため、リードタイム(納期)が短くなって、短納期、或いは即納期に対応可能となる。
以下、本発明の最良実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。図1は第1実施例の半導体製造装置U1 の全体平面図、図2はパレットPの斜視図、図3は洗浄装置Aに対する基板搬出位置RaにパレットPが配置された状態の平面図、図4は基板受渡し装置Gaの拡大平面図、図5は周回コンベア装置Kの側面断面図、図6は同じく正面断面図である。
最初に、半導体製造装置U1 の全体構成について説明する。図1に示されるように、この半導体製造装置U1 は、平面視においてコーナー部が、緩やかな円弧形状となった周回コンベア装置Kの周囲に、基板Wの処理工程順に配設された各処理装置(洗浄装置A、CVD装置B、フォト装置C、エッチング装置D、検査装置E)と、処理前後の基板Wを保管するための基板保管庫Fとから構成されている。そして、周回コンベア装置Kと各処理装置A〜E及び基板保管庫Fとの間には、両者の間で基板Wの受渡しを行うための基板受渡し装置Ga,Gb が配設されている。また、周回コンベア装置Kの内側で各処理装置A〜Eと対応する位置に、基板Wの一時保管装置Lが配設されている。上記した周回コンベア装置Kと各基板受渡し装置Ga,Gb とにより、基板搬送装置Sが構成されている。
本実施例の基板搬送装置Sでは、基板Wは、周回コンベア装置Kにより、1枚ずつパレットPに収納された状態で搬送される。このパレットPは、周回コンベア装置Kの作用により搬送(前進)されると共に、各処理装置A〜Eと対応する位置で停止される。そして、それらに対応して配設された基板受渡し装置Ga,Gb によって、パレットPから基板Wが搬出され、各処理装置A〜Eに搬入される。各処理装置A〜Eでの処理が終了した基板Wは、再び、基板受渡し装置Ga,Gb によって各処理装置A〜Eから搬出され、周回コンベア装置K上に待機している空のパレットP(基板Wが収納されていないパレットP)に搬入され、下流側に搬送される。以降、パレットPから基板Wが搬出される位置を「基板搬出位置Ra」と記載し、空のパレットPに基板Wが搬入される位置を「基板搬入位置Rb」と記載する。各処理装置A〜Eにおいて、上記した工程が順次行われることにより、前記基板Wに所定の処理が施され、基板保管庫Fに収納される。図1において、基板Wの処理の流れ(動線)を矢印で示す。
最初に、パレットPについて説明する。図2に示されるように、本実施例のパレットPは、樹脂又は樹脂と金属との複合材より成る。このパレットPを構成するパレット本体1は、基板Wを1枚だけ収納可能な直方体枠状であり、前記基板Wを搬入出させるために一側面(基板受渡し装置Ga,Gb と相対向する面)が開口されて、搬入出開口1aが形成されている。前記パレット本体1の両側及び上下の各面には、縦板2と横板3とから成る3本の補強板が、所定間隔をおいて周設されている。同様に、パレット本体1の上下の各面及び背面のほぼ中央部には、縦板4と横板5とから成り、前記各補強板と直交する別の補強板が設けられている。そして、両側面に設けられた各縦板2どうしの同一高さ位置には、各支持ワイヤ6が張力付与状態で取付けられている。パレットPに搬入された基板Wは、各支持ワイヤ6によって支持される。なお、図2における矢印は、基板Wの搬入出方向Qを示している。
周回コンベア装置Kについて説明する。図3に示されるように、本実施例の周回コンベア装置Kは、動力式のローラコンベアである。即ち、内外の各装置枠7,8の間に、所定間隔で平行に並べられた多数本の基板搬送ローラ9が、回転自在にして取付けられている。前記内外の各装置枠7,8の間隔は、パレットPの奥行方向(長手方向)の長さよりも少し広く、各パレットPは、それらの搬入出開口1aを、外側(外周側)の装置枠8に相対向させた状態で配置される。各基板搬送ローラ9の一端部は、内側(内周側)の装置枠7から突出されていて、それぞれ鎖歯車11が装着されている。各鎖歯車11には、鎖12が掛止されている。このため、駆動モータMを作動させて鎖歯車11を駆動回転させると、鎖12を介して全ての鎖歯車11が駆動回転される。この結果、各基板搬送ローラ9が同一方向に回転され、それらに載置されたパレットPが搬送(前進)される。前記外側の装置枠8において、基板搬出位置Ra及び基板搬入位置Rbに対応する部分は、基板Wを搬入出させるためにそれぞれ切り欠かれていて、各切欠部8a,8b が設けられている。
次に、基板昇降装置Hについて説明する。なお、以下に説明する基板昇降装置Hとパレット停止装置Jは、各処理装置A〜Eに対応して配設されていて、しかも、それらの構成は全く同一であるため、ここでは、洗浄装置Aに対する基板搬出位置Raに配設されている基板昇降装置Hとパレット停止装置Jについてのみ説明する。この基板昇降装置Hは、図4ないし図6に示されるように、パレットPに収納された基板Wを搬出するとき、或いは、空のパレットPに基板Wを搬入するときに、該基板Wを支持ワイヤ6から持ち上げた状態で搬入出させるためのものであり、周回コンベア装置Kにおける基板搬出位置Raと基板搬入位置Rbとの直下に配設されている。そして、各基板搬送ローラ9どうしの隙間に進入可能な4本の基板昇降アーム13が、昇降可能に取付けられている。各基板昇降アーム13の上面には、基板Wを支持すると共に、該基板Wを搬入出させる際にガイドするための支持ローラ14が取付けられている。各支持ローラ14は、基板Wの搬入出方向Q(図4参照)と直交する水平方向に沿って設けられた支点軸を中心として回転自在である。
基板Wを収納したパレットPが基板搬出位置Raに配置されたとき、各基板昇降アーム13が上昇される。そして、各基板搬送ローラ9どうしの隙間から突出し、パレット本体1の底面部からパレットP内に進入し、各支持ワイヤ6に支持されている基板Wを持ち上げる。これにより、パレットPに収納されている基板Wは、各支持ワイヤ6から離脱され、基板受渡し装置Ga,Gb によって搬出可能となる。また、空のパレットPが基板搬入位置Rbに配置されたときにも、各基板昇降アーム13が上昇される。このため、基板受渡し装置Ga,Gb によって搬入される基板Wは、基板昇降装置Hの各支持ローラ14に支持され、パレットPの各支持ワイヤ6と干渉するおそれはない。そして、前記基板Wの全体がパレットP内に搬入されると、各基板昇降アーム13が下降される。これにより、基板Wは各支持ワイヤ6に支持される。
次に、パレット停止装置Jについて説明する。図6に示されるように、前述した基板昇降装置Hの直下流側には、周回コンベア装置Kによって搬送されるパレットPを基板搬出位置Raで停止させるためのパレット停止装置Jが配設されている。このパレット停止装置Jは、昇降可能にして取付けられたストッパプレート15が、基板搬送ローラ9どうしの隙間から突出することにより、搬送されるパレットPを停止させる構成である。このパレット停止装置Jは、周回コンベア装置Kの内外の各装置枠7,8の所定位置に取付けられた近接スイッチ(図示せず)によって作動される。これにより、パレットPは、周回コンベア装置Kの基板搬出位置Raに位置決め状態で配置される。
次に、基板受渡し装置Ga,Gb について説明する。図1に示されるように、各処理装置A〜Eと周回コンベア装置Kとの間には、それぞれ基板受渡し装置Ga,Gb が配設されている。この基板受渡し装置Ga,Gb は、周回コンベア装置Kで搬送されるパレットP内の基板Wを各処理装置A〜Eに受け渡し、各処理装置A〜Eで処理された基板Wを前記基板受渡し装置Ga,Gb によって周回コンベア装置Kに受け渡して後工程の処理装置A〜Eに搬送するためのものである。本実施例の半導体製造装置U1 では、各処理装置A〜Eに対応して、2種類の基板受渡し装置Ga,Gb のうちのいずれかが配設されている。ここで、各処理装置A〜Eに対して、いずれの基板受渡し装置Ga,Gb が使用されるかは、当該処理装置A〜Eの構成によって定められる。即ち、洗浄装置A、フォト装置C及び検査装置Eのように、基板Wが通常の雰囲気で処理される場合には、引出しアーム16の前端部に真空吸着装置16aが設けられた基板受渡し装置Gaが使用され、CVD装置Bやエッチング装置Dのように、基板Wが真空の雰囲気で処理される場合には、処理中にそれらの搬入出開口を閉じておく必要があるため、一対の受渡しアーム17(図1参照)が設けられた基板受渡し装置Gbが使用される。
図3ないし図5に示されるように、各基板受渡し装置Ga,Gb は、床面に敷設された一対のガイドレール18にガイドされて、パレットPの搬送方向に沿って自走可能である。また、それらのベース19は、水平面内で回転可能である。前記基板受渡し装置Gaを構成するベース19には、基板Wを吸着して搬入出するための引出しアーム16と、搬入出される基板Wをガイドするための複数本のガイドローラ21とが設けられている。前記引出しアーム16は、例えば、駆動モータ22によりボールねじ23を駆動回転させることにより進退される。
このように、パレットPに収納されて搬送される基板Wは、基板搬出位置Raにおいて、いずれかの基板受渡し装置Ga,Gb によって搬出され、各処理装置A〜Eに搬入される。また、各処理装置A〜Eによる処理が施された基板Wは、いずれかの基板受渡し装置Ga,Gb によって搬出され、周回コンベア装置Kの基板搬入位置Rbに待機している空のパレットPに搬入される。そして、後工程の処理装置A〜Eと対応する基板搬出位置Raまで搬送される。各処理装置A〜Eにおいて上記の工程が繰り返されることにより、各処理装置A〜Eで所定の処理が施された基板Wが搬送される。
次に、基板Wの一時保管装置Lについて説明する。図1及び図3に示されるように、周回コンベア装置Kの内側で、検査装置Eを除く各処理装置A〜Dと対応する位置には、基板Wの一時保管装置Lが配設されている。この一時保管装置Lは、例えば処理途中の基板Wに対して、その後工程の処理装置A〜Eの故障或いは保守点検のために、前記基板Wを下流側に搬送することが不能となった際に、該基板Wを収納したパレットPを一時的に保管させるためのものである。この一時保管装置Lは、多数枚のパレットPを多段に収納するためのパレット棚部24と、周回コンベア装置K上のパレットPを受け取って、前記パレット棚部24にパレットPを搬入出させるためのパレット搬入出装置25とから成る。前記パレット搬入出装置25は水平面内で回転自在であり、周回コンベア装置Kと対面配置されてパレットPを搬入出すること、及び、パレット棚部24と対面配置されてパレットPを搬入出することが可能である。このため、周回コンベア装置Kの基板搬入位置Rbにおける内側の装置枠7の部分には、パレットPの搬入出ができるように切除されていて、切欠部7aが形成されている。図3において、パレット棚部24に搬入出されるパレットPの処理の流れ(動線)を、一点鎖線の矢印で示す。なお、本実施例の半導体製造装置U1 では、検査装置Eによる検査が終了した基板Wはそのまま基板保管庫Fに収容されるため、検査装置Eに対する一時保管装置Lは設けられていない(図1参照)。
次に、基板搬送装置Sの作用について説明する。ここで、各処理装置A〜Eにおける基板搬送装置Sの作用(周回コンベア装置K上のパレットPと各処理装置A〜Eとの間における基板Wの受渡し作用)は、いずれの処理装置A〜Eにおいてもほぼ同一なので、本明細書では、洗浄装置Aにおける基板Wの受渡し作用についてのみ説明する。図1に示されるように、前工程の装置から基板搬送車(図示せず)等によって基板保管庫Fに搬入された基板Wは、基板受渡し装置Gaによって1枚だけ搬出され、周回コンベア装置Kに待機されている空のパレットPに収納される。図1において、基板Wを収納したパレットPを実線で示し、空のパレットPを二点鎖線で示す。この状態で駆動モータMが作動される。各基板搬送ローラ9が駆動回転され、パレットPが下流側に搬送される。近接スイッチ(図示せず)の作用により、パレット停止装置Jが作動してストッパプレート15が上昇され、その上端部が、各基板搬送ローラ9どうしの隙間から突出される。これにより、パレットPは、周回コンベア装置Kにおいて洗浄装置Aと対応する基板搬出位置Raに、位置決めされて停止する。
図4ないし図6に示されるように、パレットPが基板搬出位置Raで停止すると、基板昇降装置Hが作動され、各昇降アーム13が上昇される。これにより、パレットPに収納されている基板Wは持ち上げられ、各支持ワイヤ6から離脱する。基板受渡し装置Gaを構成する引出しアーム16を前進させ、その前端部を、基板Wの先端部の直下に配置させる。真空吸着装置16aを作動させて引出しアーム16と基板Wとを吸着させ、そのまま後退させる。パレットPから引き出された基板Wは、基板受渡し装置Gaを構成する各ガイドローラ21に支持されて、ベース19の上面に配置される。続いて、前記ベース19が回転され、洗浄装置Aの搬入開口26と対向配置される。前記引出しアーム16が前進され、基板Wが、搬入開口26を介して洗浄装置Aに搬入される。
図3に示されるように、洗浄装置Aにより、前記基板Wに洗浄処理がされている間に、基板受渡し装置Gaは、一対のガイドレール18にガイドされて移動し、洗浄装置Aの搬出開口27と対向配置される。また、パレット停止装置Jのストッパプレート15が下降すると共に駆動モータMが作動され、前記パレットPは下流側に搬送され、基板搬入位置Rbで停止される。
洗浄装置Aにおける処理が終了した基板Wは、洗浄装置Aの搬出開口27を介して基板受渡し装置Gaに受け渡され、周回コンベア装置Kにおける基板搬入位置Rbに待機している空のパレットPに搬入される。このときの基板受渡し装置Gaの作用は、パレットPに収納されていた基板Wを搬出するときの逆の工程である。以降、CVD装置B、フォト装置C、エッチング装置D、検査装置Eにおいて、同様の作用が行われて基板Wが搬送され、1枚の基板Wに対して順次、所定の処理が施され(枚葉処理)、基板保管庫Fに収納される。
次に、上記した基板搬送装置Sにおける基板Wの処理時間を、従来のベイ方式によるバッチ処理の場合と比較して説明する。図7は、処理途中の基板Wが枚葉処理、及びバッチ処理により正常に処理されている場合の基板Wの流れを示す模式的なタイムチャートである。なお、図7及び図9は、基板Wの正常な流れを理解するための模式的なタイムチャートであるため、前述した実施例の処理工程とは対応しておらず、その工程数を少なくしてある。以下、1枚の基板Wを示すときは、符号に添字「1 」〜「n」を付す。なお、各処理装置の処理時間(タクトタイム)は、ほぼ同一となるように設定されている。
本発明に係る枚葉処理においては、各基板(W1 〜Wn)は、設定タクトタイムT1 で工程(イ)の処理装置に投入されて処理された後に、工程(ロ)の処理装置に投入されて処理される。更に、工程(ロ)の処理装置から取り出された基板Wは、工程(ハ)の処理装置に投入されて処理される。このように、基板Wが正常に流れている場合(換言すれば、各処理装置に故障が発生しない場合)には、各基板(W1 〜Wn)は下流の工程に順次流れて、各工程において、ほぼ同一の設定タクトタイムT1 で処理される。
以上のことを、具体的に説明する。本発明の場合、図7に示されるように、1枚目の基板W1 が工程(イ)に投入されると、該工程(イ)の処理装置によって、基板W1 に所定の処理が施される。この処理が終了すると、該基板W1 は、周回コンベア装置Kによって搬送され、工程(ロ)の処理装置に投入される。これに伴い、2枚目の基板W2 が、工程(イ)の処理装置に投入される。このように、本発明では、基板W1 〜W3 が、それぞれ1枚ずつ各工程(イ),(ロ),(ハ)に投入されて処理される(枚葉処理)。これに対して、従来のベイ方式では、多数枚の基板Wが、各工程毎にまとめて処理されるため、各工程毎の処理時間は長くなってしまう。しかし、本発明の場合、各基板W1 〜W3 のTAT(T2 )は、ベイ方式の場合のTAT(T12)と比較して、極めて短くなる。また、本発明の各基板W1 〜W3 のタクトタイムT1 も、ベイ方式のタクトタイムT11と比較して、短くなる。
また、図8に示されるグラフは、本発明に係る枚葉処理とバッチ処理との時間に対する基板Wの処理枚数の関係を示したものである。この図において、実線28は、本発明の枚葉処理の場合を示していて、二点鎖線29は、従来のベイ方式の場合を示している。ただし、本図は、基板Wを製造ラインに投入してから完成品として取り出されるまでに要する基板W1枚当りの総処理時間が、枚葉処理とバッチ処理とで同一であると仮定した場合である。従来のベイ方式では、例えば20枚の基板Wをまとめて処理しているため、そのTAT(T12)が経過しなければ、完成品である基板Wが得られない。しかし、本発明の場合、1枚ずつ処理する形態であるため、1枚分のTAT(T2)が経過すれば1枚の基板Wが生産される。
上記した結果、製造ライン内に仕掛り品(未完成品)となって滞留する基板W(仕掛り在庫)の数も少なくなり、運転資金が少なくて済む、投下資本に対して回収が短時間で済むので資本回転率が良い等の経理上の利点がある。また、仕掛り在庫の減少により、製造ライン内における基板Wの保管スペースが少なくて済むため、クリーンルームの建設費が安価になるという利点がある。特に、近時では、基板Wのサイズが大きくなっていて、基板W1枚当りの単価も高額となっているため、上記したTATの短縮や仕掛り在庫の減少は、大きな利益を発生させることとなる。更に、リードタイム(納期)が短くなって、短納期、或いは即納期に対応可能となる。
次に、特定の処理装置が故障した場合について説明する。図9は、特定の処理装置が一時的に故障した場合の基板Wの流れを理解するための模式的なタイムチャートである。工程(ロ)において基板W3 の処理を終えた後に、工程(ロ)の処理装置が故障した場合であり、故障後においても、数枚(4枚) の基板W4 〜W7 は、設定タクトタイムT1 で工程(イ)の処理をされ、これに続く数枚(3枚)の基板W8 〜W10は、工程(ロ)の処理装置の停止による処理調整のために設定タクトタイムT1 よりも長いタクトタイム(T1 +β)で処理される。これらの複数枚の基板W4 〜W10は、後続の基板(例えば、基板W4 に対しては基板W5 )が工程(イ)の処理を終えた後においても、工程(ロ)に投入できないために、工程(イ)と工程(ロ)の間の一時保管装置Lに順次搬入されて収納される。
3番目の基板W3 が工程(ロ)の処理を終えてから停止時間T4 を経過した後に、工程(ロ)の処理装置が再開すると、一時保管装置Lに収納されている複数枚の基板W4 〜W10は、先に搬入された基板から順次搬出されて、設定タクトタイムT1 で工程(ロ)の処理装置に投入される。そして、最終に設定タクトタイムT1 よりも大きなタクトタイム(T1 +β)で工程(イ)に投入された基板W11の次の基板W12を含んでこれ以降の基板は、順次設定タクトタイムT1 で工程(イ)に投入されて、全工程においてスムーズに連続処理される。
図1に示される第1実施例の半導体製造装置U1 は、基板Wに半導体素子を一層だけ成形するための場合である。しかし、この半導体製造装置U1 は、基板Wに半導体素子を多層に亘って成形するものであっても構わない。例えば、図10に示される第2実施例の半導体製造装置U2 は、基板に半導体素子を三層に亘って成形する場合である。この実施例の場合、周回コンベア装置Kの周囲に、第1ないし第3の各層を成形するための処理装置A〜Eが群となって、その工程順に配設されている。即ち、第1処理装置群A1 〜E1 により、基板Wに第1層の成形がなされ、第2処理装置群A2 〜E2 により、基板Wに第2層の成形がなされ、第3処理装置群A3 〜E3 により、基板Wに第3層の成形がなされる。また、最終工程の部分に、第3処理装置群A3 〜E3 における検査装置E3 に隣接して、抜取り検査装置31が配設されている。そして、この実施例の半導体製造装置U2 では、周回コンベア装置Kの内側に、バイパス搬送装置Vが配設されている。このバイパス搬送装置Vは、周回コンベア装置Kの内側に、半導体製造装置U2 の長手方向に沿って敷設されたバイパス搬送路32と、前記バイパス搬送路32に往復移動可能にして装着されたバイパス搬送車33とを備えている。
前記バイパス搬送車33により、基板Wを、いずれかの処理装置A〜Eから他の処理装置A〜Eへ搬送することができる。図10に示される半導体製造装置U2 の場合では、第1処理装置群のエッチング装置D1 での処理が終了した基板Wが抜き取られ、バイパス搬送車33によって、抜取り検査装置31に搬送される。前記抜取り検査装置31での検査が終了した基板Wは、再びバイパス搬送車33により、周回コンベア装置Kとは別の搬送経路を通って、第2処理装置群の洗浄装置A2 に搬送され、以降の処理が施される。また、前記バイパス搬送車33により、いずれかの処理装置A〜Eの故障時に、他の処理装置で代替して処理すべく、基板Wを前記他の処理装置に搬送することも可能である。この半導体製造装置U2 の場合、処理途中の基板Wに所定の付帯処理(例えば、抜取り検査等)を施すことができ、基板Wの処理効率が向上するという利点がある。このバイパス搬送車33は、パレットPに収納したまま基板Wを搬送する形態のものであっても、或いは、前記パレットPから取り出した基板Wのみを搬送する形態のものであっても構わない。また、上記した実施例の半導体製造装置U2 におけるバイパス搬送装置Vは、バイパス搬送車33であるが、例えば、ロボットであっても構わない。
このように、コンベア装置が周回コンベア装置Kである場合、その周囲に各処理装置A〜Eを配設することができるため、全体の設置面積が小さくなり、クリーンルームの建設費を安価にすることができる。
上記した各実施例において、基板Wは、パレットPに収納された状態で搬送される。もし、前記基板Wを、各基板搬送ローラ9に直接載置させた状態で搬送させると、基板Wにおける基板搬送ローラ9との接触面が汚染されたり、損傷されたりするおそれがある。しかし、本実施例では、基板WがパレットPに収納されているため、上記した不具合が発生するおそれはない。
本実施例の半導体製造装置U1,U2 では、周回コンベア装置Kの周囲に各処理装置A〜Eが配設されている。このため、各半導体製造装置U1,U2 が設置されるクリーンルームの敷地面積を少なくすることができる。しかし、このコンベア装置が、周回形状でなく、例えば一直線形状であっても構わない。また、各実施例における周回コンベア装置Kは、動力式のローラコンベアである。しかし、別の形態のコンベア装置、例えば、パレットPが天井に敷設されたコンベアレールから吊り下げられたトロリーによって搬送される形態のコンベア装置や、パレットPを縦方向に搬送するためのコンベア装置と、同じく横方向に搬送するためのコンベア装置を組み合わせて周回構造にしたものであっても構わない。
第1実施例の半導体製造装置U1 の全体平面図である。 パレットPの斜視図である。 洗浄装置Aに対する基板搬出位置RaにパレットPが配置された状態の平面図である。 基板受渡し装置Gaの拡大平面図である。 周回コンベア装置Kの側面断面図である。 同じく正面断面図である。 処理途中の基板Wが枚葉処理、及びバッチ処理により正常に処理されている場合の基板Wの流れを示す模式的なタイムチャートである。 本発明に係る枚葉処理とバッチ処理との時間に対する基板Wの処理枚数の関係を示す図である。 特定の処理装置が故障した場合の基板Wの流れを示す模式的なタイムチャートである。 第2実施例の半導体製造装置U2 の全体平面図である。 基板Wに半導体素子が成形される工程を示す図である。 従来のベイ方式による半導体製造装置の全体平面図である。
符号の説明
A:洗浄装置(処理装置)
B:CVD装置(処理装置)
C:フォト装置(処理装置)
D:エッチング装置(処理装置)
E:検査装置(処理装置)
Ga,Gb :基板受渡し装置
K:周回コンベア装置
L:一時保管装置
P:パレット
S:基板搬送装置
1,U2 :半導体製造装置
V:バイパス搬送装置
W:基板

Claims (6)

  1. 多数工程を順次経て基板に半導体素子を成形する半導体製造装置において、各工程の処理を行うために工程順に配置された多数の処理装置から成る処理装置群に沿って前記基板を搬送する方法であって、
    各処理装置とコンベア装置との間に配設された基板受渡し装置によって、前記コンベア装置で1枚ずつ搬送される基板を各処理装置に受け渡し、各処理装置で処理された基板を前記基板受渡し装置によってコンベア装置に受け渡して後工程の処理装置に搬送することを特徴とする基板搬送方法。
  2. 多数工程を順次経て基板に半導体素子を成形する半導体製造装置において、各工程の処理を行うために工程順に配置された多数の処理装置から成る処理装置群に沿って前記基板を搬送する装置であって、
    各処理装置の配列方向に沿って配設され、基板を1枚ずつ搬送するためのコンベア装置と、
    前記コンベア装置と各処理装置との間に配設され、両者の間で基板の受渡しを行うための基板受渡し装置とを備え、
    前記各処理装置で処理された基板を、前記コンベア装置によって後工程の処理装置に搬送することを特徴とする基板搬送装置。
  3. 前記基板は、パレットに収容された状態で搬送されることを特徴とする請求項2に記載の基板搬送装置。
  4. コンベア装置における処理装置の直下流側には、前記処理装置による処理が終了した基板を、一時保管するための基板保管装置が配設されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板搬送装置。
  5. 前記コンベア装置は周回コンベア装置であって、基板に半導体素子を成形するための各処理装置群は、周回コンベア装置の周囲に配設されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の基板搬送装置。
  6. 処理途中の基板に付帯処理を行うために、前記基板を各処理装置間で搬送可能なバイパス搬送装置が配設されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の基板搬送装置。
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