JP2005228685A - 鉛蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 制御弁式鉛蓄電池あるいは電解液が枯渇状態で極板耳部およびストラップが電解液から露出している液式鉛蓄電池では、極板耳部とストラップとの溶接界面での粒界腐食が鉛蓄電池の寿命に大きな影響を及ぼすことがわかってきた。
【解決手段】 極板耳部とストラップとが一体に形成された鉛蓄電池において、前記極板耳部のカルシウムの含有量をX1質量%、錫の含有量をY1質量%、ストラップ部のカルシウムの含有量をX2質量%、錫の含有量をY2質量%としたとき、極板耳部およびストラップ部が、0.03質量%≦X1≦0.1質量%および0.03質量%≦X2≦0.1質量%ならびに15X1≦Y1≦7X1+1.8および15X2≦Y2≦7X2+1.8の関係式に基づくカルシウム量(質量%)ならびに錫量(質量%)を含有することを特徴とする発明である。
【選択図】 図1
【解決手段】 極板耳部とストラップとが一体に形成された鉛蓄電池において、前記極板耳部のカルシウムの含有量をX1質量%、錫の含有量をY1質量%、ストラップ部のカルシウムの含有量をX2質量%、錫の含有量をY2質量%としたとき、極板耳部およびストラップ部が、0.03質量%≦X1≦0.1質量%および0.03質量%≦X2≦0.1質量%ならびに15X1≦Y1≦7X1+1.8および15X2≦Y2≦7X2+1.8の関係式に基づくカルシウム量(質量%)ならびに錫量(質量%)を含有することを特徴とする発明である。
【選択図】 図1
Description
非アンチモン系合金格子を備えた鉛蓄電池に関する。
現在、鉛蓄電池は自動車用や産業用をはじめとしてあらゆる分野で広く使用されており、軽量化、コストダウン、メンテナンスフリー化、長寿命化、品質の安定化等が強く求められている。
鉛蓄電池の発電要素を構成している極板群は極板、極板耳部、ストラップおよび極柱あるいは接続捍からなっており、図2はその一例を示す要部模式図で、1(b)は負極板、2(a)は正極板耳部、2(b)は負極板耳部、3(a)は正極ストラップ、3(b)は負極ストラップ、4(a)は正極極柱、4(b)は負極極柱、5はセパレータ、6は極板群をそれぞれ示す。
図3は、図2の破線部分の上面図を示すもので、1(a)は正極板を示す。他の構成部材は図2と同じ番号を付記する。
図2および図3に示すように、複数の極板耳部がストラップと一体に溶接・接合され、電気的に接続される。
このように溶接・接合する方法として、前記ストラップおよび極柱(あるいは接続捍)の形状を有する鋳型に溶融鉛を注入し、極板群を倒立して、極板耳部を該鋳型に浸漬し、ストラップ、極柱および極板耳部とを鋳造により一体に形成する、いわゆる、キャスト・オン・ストラップ法(Cast on Strap、略してCOSという)と、あらかじめ鋳造により作製した極柱(あるいは接続捍)と極板耳部とをガスバーナー等で部分的に溶融すると共に、足し鉛と呼ばれる鉛棒を溶融しながら供給してストラップを形成して、極板耳部、ストラップおよび極柱(あるいは接続捍)を一体に溶接・接合するガス溶接法とがある。後者は多品種少量生産の鉛蓄電池に適用されている。
図4は、ガスバーナーにより足し鉛を溶融しながら供給してストラップを形成すると共に極板耳部と極柱とを一体に溶接・接合する一例を示す模式図で、7は溶接補助具1(通常櫛型と称している。以降、櫛型と記載)、8は溶接補助具2(通常、当金と称している。以降、当金と記載)、9は前記当金に設けた凹部、10は足し鉛、11はガスバーナーをそれぞれ示す。他の構成部材は図2と同じ番号を付記する。
極板群6の正極板耳部2(a)を櫛型7に設けた切込み部(図4では図示せず)に嵌合し、当金8を当接して、前記当金8の凹部9に正極極柱4(a)を載置して、ガスバーナー11で前記正極板耳部2(a)と正極極柱4(a)を部分的に溶融し、足し鉛10を溶かしながら供給して破線で示す正極ストラップ3(a)を形成すると共に正極板耳部2(a)と正極極柱4(a)とが一体に溶接・接合される。負極板についても同様の方法で溶接・接合される。
前記極板に使用される材質は、鉛−アンチモン(Pb−Sb、以降、Pb−Sbと記載)系合金と鉛−非アンチモン(Pb−非Sb、以降Pb‐非Sbと記載)系合金に大別できるが、特に、近年はメンテナンスフリーおよび無漏液特性が重要視されてきており、Pb−非Sb系合金がこれらの特性を維持するのに適していることから、よく使用されるようになってきた。Pb−非Sb系合金としては、鉛―カルシウムー錫(Pb−Ca−Sn、以降Pb−CaーSnと記載)系合金が最もよく用いられている。Pb−Ca−Sn系合金とは、Pb、CaおよびSnで構成されている合金であるが、その他の元素を含む場合も、合金の特性に対するCaおよびSnの影響力が大きいことから、これらを含めてPb−Ca−Sn系合金と称している。第四の元素として、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ビスマス(Bi)等が挙げられる。
このように、メンテナンスフリーあるいは無漏液の特性を鉛蓄電池が維持するためには、上述したようにPb−非Sb系の鉛合金を使用する必要があるが、その理由は、Sbは水素ガスの発生電位、すなわち水素過電圧が低いために、負極の自己放電が多くなり、上記のメンテナンスフリー化あるいは無漏液の特性が維持できなくなるからである。したがって、同様の理由から極板耳部と接続するストラップを形成する足し鉛にもPb−非Sb系の合金が用いられている。
鉛蓄電池において、ストラップと極板群との溶接部の腐食を抑制する提案が特許文献1でなされている。
また、非特許文献1では、Pb−Ca−Sn格子合金中のCaおよびSnの含有量が前記格子の機械的特性、時効効果および耐食性に及ぼす影響について詳細な検討を行っている。
鉛蓄電池の寿命劣化の主要因が正極格子の腐食であることは周知である。しかし、上述した無漏液・メンテナンスフリー特性を備えた制御弁式鉛蓄電池では、電解液が正・負極活物質およびセパレータに含浸・保持されただけで遊離の電解液が存在せず極板耳部およびストラップは電解液から露出した状態にあり、また、液式の鉛蓄電池でも電解液が減少すると前記極板耳部とストラップとが露出することがある。その場合、ストラップと極板耳部の溶接部(以降、ストラップ/耳部溶接界面と記載する)での腐食が鉛蓄電池の寿命に大きな影響を及ぼすことがわかってきた。
図5は、ストラップおよび極板耳部を図3に示すA−A断面で切断し、研磨・エッチングして金属顕微鏡でその部分の腐食状態を観察した結果を模式的に示したもので、図において、12はストラップおよび極板耳部表面に層状に生成した均一腐食層、13はストラップ/耳部溶接界面に選択的に進行した腐食を示す。
図5に示すように、ストラップ/耳部溶接界面での腐食13が進行すると極板耳部が破断に至り、寿命になる問題を抱えている。
この問題は、ストラップの部材には、溶接性の優れている純鉛あるいはPb−Sn合金が用いられることが一般的であり、一方、正・負極格子には、機械的特性、時効効果および耐食性の観点からPb−Ca−Sn合金が一般的に用いられていることに起因しているといえる。このように合金組成が異なると極板耳部とストラップとの間では電位差が生じ、それがストラップ/耳部溶接界面の腐食に大きく影響していることが分かってきた。特に、極板耳部およびストラップが電解液から露出している状態では、その部分の硫酸分が微量なため、自己放電により硫酸分が失われ、電解液濃度の低い状態となり、鉛の溶解度が高くなり、前記電位差に起因しての腐食が促進されると考えられる。
また、負極では、極板耳部およびストラップが鉛であるので、その部分が正極で発生した酸素ガスにより酸化され、酸化鉛となり、周囲に存在する僅かな硫酸と反応して硫酸鉛を生成するので、硫酸濃度の低下速度が正極の場合よりも速く、鉛の溶解度が一層高くなり、腐食速度がより大きくなることが考えられる。
上記腐食に加えて、格子の合金組成によっては、正極格子が腐食によりストラップ方向に伸びてストラップに応力を加える、いわゆる、応力腐食、あるいは、正・負極のストラップ/耳部溶接界面において耐食性に劣る金属間化合物が時効析出することによる腐食が伴うことが分かってきた。
そこで、本願発明者は、極板耳部およびストラップを形成する足し鉛中のCaの含有量(質量%、以降、質量を省略)およびSnの含有量(%)を変えたものを準備し、溶接により極板耳部とストラップとを一体に形成し、まず図3に示すA−A断面で切断し、研磨・エッチングして金属顕微鏡でその部分の溶接状態を観察すると共に、前記極板群を用いて制御弁式鉛蓄電池を作製し、寿命試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、極板耳部およびストラップ部のCa含有量(%)およびSn含有量(%)を限定することにより、極板耳部とストラップとの溶接状態およびストラップ/耳部溶接界面の耐食性のいずれにも優れた鉛蓄電池が得られることを見出した。
したがって、本願発明の目的は、上記知見に基づき、極板耳部とストラップとの溶接状態が良好で、しかも、ストラップ/耳部溶接界面に沿った腐食が抑制され、耐食性の優れた信頼性の高い鉛蓄電池を提供することである。
(背景技術)の項で示した特許文献1は、極板耳部とストラップ部とに同じ合金組成を用いることが提案されているが、Pb−Sb合金のみについて言及されており、Pb−Ca−Sn合金については記載されていない。
また、(背景技術)の項で示した非特許文献1は、Pb−Ca−Sn合金格子中のCaおよびSnの含有量と前記格子の機械的特性、時効効果および耐食性との関係について言及しているが、ストラップ部の溶接性は勿論、ストラップ/耳部溶接界面の耐食性については記載されていない。
本願発明の課題を解決するための手段として、請求項1の発明によれば、極板耳部とストラップとが一体に形成された鉛蓄電池において、前記極板耳部のカルシウムの含有量をX1質量%とし、錫の含有量をY1質量%、ストラップ部のカルシウムの含有量をX2質量%とし、錫の含有量をY2質量%、としたとき、極板耳部およびストラップ部が、0.03質量%≦X1≦0.1質量%および0.03質量%≦X2≦0.1質量%ならびに15X1≦Y1≦7X1+1.8および15X2≦Y2≦7X2+1.8の関係式に基づくカルシウム量(質量%)ならびに錫量(質量%)を含有すると共に極板耳部およびストラップの残部が鉛あるいは鉛合金からなることを特徴とするものである。
上記構成にすることにより、ストラップ/耳部溶接界面に沿った腐食が抑制され、耐食性の優れた信頼性の高い鉛蓄電池が得られることがわかった。
以上説明したように、極板耳部とストラップ部のCaおよびSn含有量(%)を本願発明に基づいて決定した構成にすることにより、極板耳部とストラップとの溶接状態が良好で、特に、遊離の電解液が存在しない制御弁式鉛蓄電池あるいは液式であっても電解液が減少して極板耳部およびストラップ部分が電解液から露出している鉛蓄電池のストラップ/耳部溶接界面の耐食性が大幅に改善され、寿命性能の優れた鉛蓄電池が得られ、その工業的効果が極めて大である。
本願発明を実施するための最良の形態は、極板耳部とストラップとが一体に形成された鉛蓄電池において、前記極板耳部のカルシウムの含有量をX1質量%、錫の含有量をY1質量%、ストラップ部のカルシウムの含有量をX2質量%、錫の含有量をY2質量%としたとき、極板耳部およびストラップ部が、0.03質量%≦X1≦0.1質量%および0.03質量%≦X2≦0.1質量%ならびに15X1≦Y1≦7X1+1.8および15X2≦Y2≦7X2+1.8の関係式に基づくカルシウム量(質量%)ならびに錫量(質量%)を含有すると共に極板耳部およびストラップの残部が鉛あるいは鉛合金からなる構成にすることである。
本願発明者は、実施例の項で詳細に説明するように、CaおよびSnの含有量(%)の種々異なる極板耳部および足し鉛を用いてストラップを形成すると共に、前記ストラップを備えた制御弁式鉛蓄電池を作製し、寿命試験を行った結果、極板耳部およびストラップ部中のCaおよびSnの含有量(%)を本願発明に基づく式にしたがって決定することにより、ストラップ/耳部溶接界面の耐食性の優れた鉛蓄電池が得られることを見出したものである。本願発明においては、CaおよびSnの含有量(%)が極板耳部とストラップ部とで同じである必要はない。この点においても、上述の特許文献1とは異なる。
本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
(実施例1)
まず、Ca含有量(%)およびSn含有量(%)を種々変えた格子を鋳造により作製した。その内容を表1〜表4に示す。
(実施例1)
まず、Ca含有量(%)およびSn含有量(%)を種々変えた格子を鋳造により作製した。その内容を表1〜表4に示す。
格子と耳部とは一体に形成され、極板耳部とは前記耳部のことをいい、上記格子のCa含有量(%)およびSn含有量(%)は極板耳部のことを意味している。
これらの格子に鉛酸化物を主体とする微粉末を希硫酸で練膏したペースト状正極原料を充填し、熟成・乾燥を経て、未化成正極板を作製した。前記正極板の寸法は、高さ130mm、幅140mm、厚さ4mmである。
一方、正極と同じ構成の鉛合金からなる格子に酸化物を主体とする微粉末に有機エキスパンダー、カーボンおよび硫酸バリウムを添加した後、希硫酸で練膏したペースト状負極原料を充填し、熟成・乾燥を経て、未化成負極板を作製した。前記負極板の寸法は、高さ130mm、幅140mm、厚さ2.5mmである。
これらCa含有量(%)およびSn含有量(%)の異なる正・負極板を微細ガラス繊維セパレータを介して交互に積層して極板群を作製した。一方、CaおよびSnの含有量(%)の異なる足し鉛を準備し、前記CaおよびSn含有量の異なる極板群と組み合せて、図4に示すガス溶接法によりストラップを形成した。その内容も表1〜表4に示す。
溶接により形成された表1〜表4に示す140種類のストラップを図3に示すA−A断面で切断し、その部分を研磨・エッチングして溶接状態を観察した。ストラップ断面の溶接状態の模式図を図6に示す。図において、2(a)は正極耳部、3(a)は正極ストラップ、14は断面観察で見られた溶接欠陥をそれぞれ示す。
溶接欠陥14とは、足し鉛と極板耳部がよく溶け合っていない未溶接部および凝固時の収縮によりストラップ/耳部溶接界面近傍に発生したクラックを総称したものをいう。
溶接状態の評価は前記溶接欠陥14の長さを測り、その長さの長短に基づいて行った。前記溶接欠陥は、図6に示すように曲折があるが、溶接欠陥14の始点から終点までの直線距離(図6で示すL)を溶接欠陥の長さとした。また、溶接欠陥14が複数存在した場合には、それらの長さの合計値とした。
上記溶接欠陥長さ(L)に基づいて、溶接状態をA、B、CおよびDの4段階に分けた。その分類基準を以下に示す。
A:溶接欠陥長さが0〜0.3mm
B:溶接欠陥長さが0.31〜0.6mm
C:溶接欠陥長さが0.61〜0.9mm
D:溶接欠陥長さが0.91mm以上
A:溶接欠陥長さが0〜0.3mm
B:溶接欠陥長さが0.31〜0.6mm
C:溶接欠陥長さが0.61〜0.9mm
D:溶接欠陥長さが0.91mm以上
今回、溶接により形成した140種類のストラップの溶接状態を上記基準に基づき、A、B、C、Dに分類した。その結果を同じく表1〜表4に示す。
表1〜表4からわかるように、極板耳部とストラップとの溶接性は、極板耳部あるいはストラップのいずれかにCa含有量が多い、また、極板耳部とストラップのいずれにもSn含有量が少ないと、溶接性が悪い傾向、すなわち、溶接状態CあるいはDを示した。
このような傾向はSnおよびCaの溶融鉛に対する特性に起因していると考えられる。すなわち、Snは溶融鉛の表面張力を低くする特性を有しているので、Snの含有量が多いと湯流れがよくなり溶接性が改善される。一方、Caは、溶融鉛の表面張力を高くする特性を有しているので、Ca含有量が多くなると湯流れおよび溶接性が低下し表1〜表4に示すような結果になったと考えられる。また、Caは酸化され易く、溶接時に酸化滓が発生し、それが溶接性をさらに悪くしているといえる。
溶接性を評価したと同じ構成の140種類の極板群を用いて、公称電圧2V、定格容量50Ah(C5)の制御弁式鉛蓄電池を作製し、定電流過充電寿命試験を行い、ストラップの耐食性を調べた。試験条件を下記に示す。
試験温度:65℃
過充電電流:0.01CA(0.5A)(C:定格容量)
試験期間:12ヶ月
ここでの定格容量とは、規定条件下で放電したときに蓄電池から取り出せる、製造業者が定めた電気量をいい、通常Ahで示される。また、定格容量は通常、Cで表示され、CNで表記された場合のNは時間率を表し、その時間率での定格容量を意味する。すなわち、上記のようにC5で50Ahと記載された場合には、50Ah/5h(時間)=10Aで該蓄電池を放電したときに、放電持続時間が5h以上、すなわち10A×5h=50Ah以上が得られること意味する。
試験温度:65℃
過充電電流:0.01CA(0.5A)(C:定格容量)
試験期間:12ヶ月
ここでの定格容量とは、規定条件下で放電したときに蓄電池から取り出せる、製造業者が定めた電気量をいい、通常Ahで示される。また、定格容量は通常、Cで表示され、CNで表記された場合のNは時間率を表し、その時間率での定格容量を意味する。すなわち、上記のようにC5で50Ahと記載された場合には、50Ah/5h(時間)=10Aで該蓄電池を放電したときに、放電持続時間が5h以上、すなわち10A×5h=50Ah以上が得られること意味する。
上記試験を終了した鉛蓄電池を解体し、溶接状態の観察を行ったのと同じ方法で正極ストラップのA−A断面を観察した。その耐食性の評価は、図5で模式的に示したストラップ/耳部溶接界面に沿った腐食13の進行度合いにより行い、その良否は、下記の条件で行った。
良好(○):ストラップ/耳部溶接界面に沿った腐食層の長さが極板耳部の厚さの1/3未満。
不可(×):ストラップ/耳部溶接界面に沿った腐食層の長さが極板耳部の厚さの1/3以上または極板耳部が破断したもの。
不可(×):ストラップ/耳部溶接界面に沿った腐食層の長さが極板耳部の厚さの1/3以上または極板耳部が破断したもの。
以上のように判定した理由は、上記試験条件は、65℃の加速寿命試験であり、12カ月で終了した時点で25℃に換算すると16年に相当し、図5に示すストラップ/耳部溶接界面に沿った腐食層13の長さが、極板耳部の厚さ(ここでは4mm)の1/3未満であればまだ、十分に使用可能であり、本鉛蓄電池の設計寿命を十分に満足するものとして耐食性が良好(○)であるとした。一方、極板耳部が破断したものは勿論であるが、腐食層13の長さが極板耳部の厚さの1/3以上に進行したものは、極板耳部が破断するまでの時間的余裕が少なく、蓄電池の寿命性能のバラツキを考慮すると設計寿命を満足できないことが起こり得ることから不可(×)とした。
試験を行った140種類の試料について、上記基準に従って耐食性の良否の判定を行った、その結果も同じく表1〜表4に示す。
表1〜表4に示す溶接性の評価分類と寿命試験後のストラップ/耳部溶接界面の耐食性の良否との関係を見た場合、耐食性が良好(○)であったものは、溶接状態に関していえば、溶接欠陥長さが0.6mm以下のAおよびBのものであった。このことは、溶接時の欠陥が小さければ、ストラップ/耳部溶接界面の腐食に影響しておらず、むしろ、極板耳部とストラップのCaおよびSnの含有量の影響の方がはるかに大きいことがわかった。しかし、溶接欠陥が大きいCあるいはDでは、耐食性も全て不可(×)であり、溶接欠陥がストラップ/耳部溶接界面の腐食に影響を与えているといえる。
ストラップ/耳部溶接界面の耐食性に及ぼす極板耳部およびストラップのCaならびにSn含有量(%)の影響を今回の試験結果から検証すると、極板耳部およびストラップ中のCaならびにSnの含有量(%)が多くなるとストラップ部の耐食性が低下する傾向のあることがわかった。これは、Snの含有量(%)が多いと、Snがストラップ部の粒界に析出し、腐食が促進されるためと考えられる。一方、Caの含有量(%)が多く、特に、Sn含有量(%)が少ないと、Caの一部がPb3Caとなり、この物質の耐食性が低いために、腐食が促進する結果となったと考えられる。
ストラップに純鉛を用いた場合、溶接性は概ね良好であったが、耐食性に関して、良好なものがなかった。これは、本試験では極板耳部にはCaおよびSnが含有されており、極板耳部とストラップとの間に電位差が生じ、それに起因する腐食によるものと考えられる。極板耳部およびストラップに純鉛を用いれば、前記の電位差の問題は解決されるが、純鉛は周知のように軟らかく、極板耳部、すなわち格子を純鉛で構成した場合、強度が低く、格子の量産性が劣る問題がある。
また、極板耳部の合金組成がPb−0.02質量%Ca−1.7質量%Snで、ストラップ部の合金組成がPb−0.06質量%―1.5%質量%Snの構成であるNo.2−3は、耐食性の点では良好であったが、Ca含有量が少ないために格子の強度が十分でなく純鉛の場合と同様の量産性の問題を抱えている。
次に、表1〜表4において、ストラップ/耳部溶接界面の耐食性が良好(○)であった極板耳部およびストラップ部中のCa含有量(%)とSnの含有量(%)をCa含有量(%)を横軸、Sn含有量(%)を縦軸にしたグラフにプロットした。その結果を図1に示す。
図1に示す斜線の範囲(この部分をDとする)がストラップ/耳部溶接界面において優れた耐食性が得られる範囲であることがわかった。しかし、表1〜4に示すように、CaおよびSnの含有量(%)に関して、極板耳部もしくはストラップ部の組成のどちらか一方がDで示す範囲内であっても、他方がその範囲外である場合は、耐食性は不可(×)になり、極板耳部およびストラップ部の両方の組成がDの範囲内に入っていることが必須条件であることが明らかになった。
Ca含有量(%)に関していえば、Ca含有量0.02%は耐食性は良好であったが、上述したように格子の強度に問題があり除外すると、最適なCa含有量は0.03%以上、0.1%以下である。一方、Sn含有量(%)に関しては、耐食性の優れた範囲Dの上限の線(Gとする)は、Y=7X+1.8で表され、Dの下限の線(Hとする)は、Y=15Xで表される。
したがって、極板耳部のCaの含有量をX1%、Snの含有量をY1%、ストラップ部のCa含有量をX2(%)、Snの含有量をY2(%)した時に、0.03%≦X1≦0.1%および0.03%≦X2≦0.1%の組成範囲において、Caの含有量(%)X1およびX2を任意に決めた時に、耐食性の優れた極板耳部中のSnの含有量Y1(%)およびストラップ部の含有量Y2(%)は、15X1≦Y1≦7X1+1.8および15X2≦Y2≦7X2+1.8の式からそれぞれ決定することができる。
上式で求めたCaおよびSnの含有量(%)を極板耳部とストラップとで同じにすることが好ましいが、極板耳部とストラップとでCaおよびSnの含有量(%)を変えても、上式にしたがって、CaおよびSn含有量(%)が決定されている限り、耐食性の優れたD領域内にあるので、耐食性に問題ないことはいうまでもない。
以上のことから、本願発明の方式を適用することによって、正極格子が腐食によりストラップ方向に伸びて応力がかかり、ストラップ/耳部溶接界面に発生する応力腐食、正・負極のストラップ/耳部溶接界面において耐食性に劣る金属間化合物が時効析出することに起因する腐食、および合金種の違いによる電位差の発生に起因する腐食を抑制することができ、ストラップ/耳部溶接界面の耐食性を改善できることがわかった。前記領域Dの組成を有する合金はそれ自体の耐食性も高いため、図5に示すストラップと極板耳部表面に層状に生成した均一腐食12も非常に少なくすることができた。
また、負極ストラップ部についても正極ストラップ部と同じ方法で観察し、溶接性および耐食性の評価を行った。その結果、極板耳部およびストラップ(足し鉛)中のCaならびにSn含有量(%)の組み合わせで溶接性ならびにストラップ/耳部溶接界面の耐食性において良好な状態を示したものは、正極ストラップの場合と同様のD領域であった。このことから本願発明は負極の極板耳部とストラップについても適用できることがわかった。
(実施例2)
実施例1と同様に表1〜表4に示す極板耳部の合金および足し鉛(ストラップ)合金を用いて、上述したCOS法により極板耳部とストラップとを一体に形成した。
(実施例2)
実施例1と同様に表1〜表4に示す極板耳部の合金および足し鉛(ストラップ)合金を用いて、上述したCOS法により極板耳部とストラップとを一体に形成した。
COS法で作製したストラップを用いて実施例1と同様に公称電圧2V、定格容量50Ah(C5)の制御弁式鉛蓄電池を組み立て、実施例1と同じ条件の寿命試験を行い、試験終了後、ストラップ部の観察を行い、溶接性ならびに耐食性を評価した。その結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。溶接方法は異なるが、ストラップ/耳部溶接界面付近の微細構造や元素分布はほぼ同じであるため、ガス溶接法で作製したものと同様にCOS法で作製したストラップでも本願発明の条件を適用することによって、ストラップ/耳部溶接界面に沿った粒界腐食を抑制できることがわかった。
なお、実施例では、Pb−Ca−Sn合金について説明したが、Pb−Ca−Sn以外に、第四の元素が加わったPb−Ca−Sn系合金、ここではAgを0.05%添加したものについて、実施例1と同じようにCaおよびSnの含有量(%)の組み合せを変えてストラップを形成し、試験・観察した結果、実施例1とほぼ同じ結果が得られ、前記Pb−Ca−Sn系合金でも本願発明の効果の得られることを確認した。
1(a) 正極板
1(b) 負極板
2(a) 正極板耳部
2(b) 負極板耳部
3(a) 正極ストラップ
3(b) 負極ストラップ
4(a) 正極極柱
4(b) 負極極柱
5 セパレータ
6 極板群
7 溶接補助具1(櫛型)
8 溶接補助具2(当金)
9 当金8に設けた凹部
10 足し鉛
11 ガスバーナー
12 ストラップと極板耳部表面に層状に生成した均一腐食
13 ストラップ/極板耳部溶接界面に沿って進行した粒界腐食
14 ストラップ/耳部溶接界面近傍に発生した溶接欠陥
1(b) 負極板
2(a) 正極板耳部
2(b) 負極板耳部
3(a) 正極ストラップ
3(b) 負極ストラップ
4(a) 正極極柱
4(b) 負極極柱
5 セパレータ
6 極板群
7 溶接補助具1(櫛型)
8 溶接補助具2(当金)
9 当金8に設けた凹部
10 足し鉛
11 ガスバーナー
12 ストラップと極板耳部表面に層状に生成した均一腐食
13 ストラップ/極板耳部溶接界面に沿って進行した粒界腐食
14 ストラップ/耳部溶接界面近傍に発生した溶接欠陥
Claims (1)
- 極板耳部とストラップとが一体に形成された鉛蓄電池において、
前記極板耳部のカルシウムの含有量をX1質量%、錫の含有量をY1質量%、ストラップ部のカルシウムの含有量をX2質量%、錫の含有量をY2質量%としたとき、極板耳部およびストラップ部が、0.03質量%≦X1≦0.1質量%および0.03質量%≦X2≦0.1質量%ならびに15X1≦Y1≦7X1+1.8および15X2≦Y2≦7X2+1.8の関係式に基づくカルシウム量(質量%)ならびに錫量(質量%)を含有すると共に、極板耳部およびストラップの残部が鉛あるいは鉛合金からなることを特徴とする鉛蓄電池。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004038268A JP2005228685A (ja) | 2004-02-16 | 2004-02-16 | 鉛蓄電池 |
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JP2004038268A JP2005228685A (ja) | 2004-02-16 | 2004-02-16 | 鉛蓄電池 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2004
- 2004-02-16 JP JP2004038268A patent/JP2005228685A/ja active Pending
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