JP2005223652A - トランスバーサル弾性表面波フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電基板上に入力用IDT電極と出力用IDT電極を所定の間隔をあけて配置したトランスバーサルSAWフィルタにおいて、通過帯域近傍の阻止域減衰量を改善することを目的とする。
【解決手段】入力用IDT電極2及び出力用IDT電極3の互い隣接する基本区間において、負から零の励振、もしくは零から正の励振、もしくは負から正の励振に移行する場合を正の変化とし、正から零の励振、もしくは零から負の励振、もしくは正から負の励振に移行する場合を負の変化とした時、前記正の変化から前記負の変化に、もしくは前記負の変化から前記正の変化に変極する変極点の数MをIDT電極の基本区間の数Nに対し0.2≦M/N≦0.3の範囲内に設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電基板上に入力用IDT電極と出力用IDT電極を所定の間隔をあけて配置したトランスバーサル弾性表面波フィルタにおいて、通過帯域近傍の阻止域減衰量を高減衰にしたトランスバーサル弾性表面波フィルタに関する。
近年、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、SAW)フィルタは移動体通信分野で広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴があることから特に携帯電話、無線LAN等に多く用いられている。これらの機器に用いられるIF用SAWフィルタは、小型軽量、広帯域、低損失であると共に、隣接するキャリア周波数の信号を阻止するために通過帯域近傍の阻止域において高減衰な特性が要求される。更に、前記IF用SAWフィルタは高速なデジタルデータの品質を保持するために位相直線性も要求される。このような要求仕様を満足するフィルタ形式としては、振幅特性と位相特性を別々に設計可能なトランスバーサルSAWフィルタが最も適している。
図7は従来のトランスバーサルSAWフィルタの平面図を示している。圧電基板101の主表面上にSAWの伝搬方向に沿って入力用IDT電極102と出力用IDT電極103を所定の間隔をあけて配置すると共に、該IDT電極102、103の間に入出力端子間の直達波を遮蔽するためのシールド電極104を配置する。前記IDT電極102、103は互いに間挿し合う複数の電極指を有する一対のくし形電極より構成されており、IDT電極102の一方のくし形電極を入力端子INに接続すると共に他方のくし形電極は接地し、IDT電極103の一方のくし形電極を出力端子OUTに接続すると共に他方のくし形電極は接地した構造である。また、基板端面からの不要な反射波を抑圧するために、圧電基板101の長辺方向(SAWの伝搬方向)の両端に吸音材105を塗布している。
前記トランスバーサルSAWフィルタにおいて、入力側IDT電極102及び出力用IDT電極103のどちらか一方もしくは両方に、SAWの伝搬方向に対して励振の強度に重み付けを行うことで高減衰な特性が得られることが一般的に知られている。重み付けの代表的な手法としては電極の交差幅を伝搬方向に対して変化させるアポダイズ法、また交差幅を一定として励振に寄与する電極の有無を伝搬方向に対して変化させることで伝搬方向の励振の強度に重み付けを行う間引き法が知られている。
図8は、前記間引き法により励振の重み付けを施したIDT電極の例を示している。該IDT電極112は、電極指のピッチで規定される1波長に相当する区間を基本区間とした時、基本区間A〜Dで構成されている。基本区間A及び基本区間Dは、約λ/8の幅を有する励振電極と約3λ/8の幅を有する反射電極を3本配置した構造であり、左右非対称な電極指配列にすることによりSAWの励振に方向性を付けている。この基本区間は、単相一方向性電極(Single Phase Uni-Directional Transducer:SPUDT)とも呼ばれる。また、基本区間Bはλ/8の幅を有する電極指4本配置しており、一部の電極指の極性を反転させることでSAWの励振に方向性を付けている。そして、基本区間Cは約λ/8の幅を有する電極指を4本配置し、全て同極性の電極指で形成した構造であるのでSAWの励振は行わない。このように励振の重み付けを施した基本区間を複数組み合わせてIDT電極を形成することにより、阻止域減衰量を高減衰にすることできる。
ところで、弾性表面波の伝搬モードにはレイリーSAWやリーキーSAW、縦波型のSSBW(Surface Skimming Bulk Waves)等がある。図9は、圧電基板に33.5°回転YカットX伝搬水晶基板を用い、レイリーSAWを主伝搬モードにしたトランスバーサルSAWフィルタのフィルタ特性を示している。なお、中心周波数foは200(MHz)に設定している。同図に示すようにリーキーSAWはレイリーSAWの約1.6倍の周波数位置、縦波型SSBWはレイリーSAWの約1.8倍の周波数位置に主応答が現れ、通過帯域から比較的離れた位置に主伝搬モード以外の伝搬モードの主応答が出現することが分かる。一方、図示していないが、リーキーSAWを主伝搬モードにしたトランスバーサルSAWフィルタの場合、レイリーSAWはリーキーSAWの約0.6倍の周波数位置、縦波型SSBWはリーキーSAWの約1.1倍の周波数位置に主応答が現れ、通過帯域に比較的近い位置に主伝搬モード以外の伝搬モードの主応答が出現してしまうので、レイリーSAWを主伝搬モードにしたトランスバーサルSAWフィルタと比較して通過帯域近傍の減衰量が劣ってしまうことが知られている。従って、通過域近傍において高減衰が要求されるSAWフィルタにおいては、レイリーSAWを主伝搬モードとして選択することが多い。
ところが、レイリーSAWを主伝搬モードとしたトランスバーサルSAWフィルタにおいて、前記リーキーSAWの低域側の応答がスプリアスとしてレイリーSAWの応答に混入してしまい、通過帯域近傍の阻止域減衰量が劣化してしまう問題があった。この問題を図10を用いて説明する。同図は図9のフィルタ特性における中心周波数fo付近の通過特性を拡大した図であり、レイリーSAWのみの応答(実線)とリーキーSAWのみの応答(点線)を分けて図示している。ここで、通過帯域近傍の阻止域Xに着目すると、実線に示すレイリーSAWのみの応答は阻止域Xにおいて高減衰であるが、点線に示すリーキーSAWのみの応答は阻止域Xにおいて減衰量が劣化しているのが分かる。従って、両伝搬モードを合成したフィルタ特性で見ると、阻止域XにおいてリーキーSAWの応答がスプリアスとして現れてしまうので減衰量が劣化してしまうのである。
特許第2583384号公報
本発明の解決しようとする課題は、レイリーSAWを主伝搬モードにしたトランスバーサルSAWフィルタにおいて、リーキーSAWの低域側の応答がレイリーSAWの応答に混入し阻止域減衰量を劣化させてしまう点である。
上記課題を解決するために本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタの請求項1に記載の発明は、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿ってIDT電極を所定の間隔をあけて2個配置してなるトランスバーサル弾性表面波フィルタにおいて、前記IDT電極は、互いに間挿し合う複数の電極指を有するくし形電極から構成され、前記電極指のピッチで規定される1波長に相当する区間を基本区間とした時、複数個の基本区間を組み合わせて形成され、前記基本区間は、該基本区間の弾性表面波の伝搬方向の中心位置に対し、左側に弾性表面波の励振中心が存在する場合を正の励振、右側に弾性表面波の励振中心が存在する場合を負の励振、また、励振中心が存在しない場合を零の励振とした時、いずれかの励振の重み付けが施されており、前記IDT電極を一つの方向から見た時に互い隣接する基本区間において、負から零の励振、もしくは零から正の励振、もしくは負から正の励振に移行する場合を正の変化とし、正から零の励振、もしくは零から負の励振、もしくは正から負の励振に移行する場合を負の変化とした時、前記正の変化から前記負の変化に、もしくは前記負の変化から前記正の変化に変極する変極点の数MがIDT電極を構成する基本区間の数をNとした時、0.2≦M/N≦0.3を満足していることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、前記正の励振の重み付けが施された基本区間及び負の励振の重み付けが施された基本区間のうち少ないほうの基本区間の数が、前記IDT電極を構成する全ての基本区間の数に対し0.3%以上1.0%以下であることを特徴とている。
請求項3に記載の発明は、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿ってIDT電極を所定の間隔をあけて2個配置してなるトランスバーサル弾性表面波フィルタにおいて、前記IDT電極は、互いに間挿し合う複数の電極指を有するくし形電極から構成され、前記電極指のピッチで規定される1波長に相当する区間を基本区間とした時、複数個の基本区間を組み合わせて形成され、前記基本区間は、該基本区間の弾性表面波の伝搬方向の中心位置に対し、左側に弾性表面波の励振中心が存在する場合を正の励振、右側に弾性表面波の励振中心が存在する場合を負の励振、また、励振中心が存在しない場合を零の励振とした時、いずれかの励振の重み付けが施されており、前記正の励振の重み付けが施された基本区間及び負の励振の重み付けが施された基本区間のうち少ないほうの基本区間の数が、前記IDT電極を構成する全ての基本区間の数に対し0.3%以上1.0%以下であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、前記基本区間は、約3λ/8の幅を有する電極指と約λ/8の幅を有する電極指を3本配置して構成されることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、前記基本区間は、約λ/8の幅を有する電極指を4本配置して構成されることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、前記圧電基板は水晶基板であることを特徴としている。
本発明のトランスバーサルSAWフィルタは、IDT電極内の隣接する基本区間の励振強度の変化を緩和することにより通過帯域近傍の阻止域減衰量を高減衰にしたので、隣接するキャリア周波数の信号による妨害を防ぐことができるという利点がある。
以下、本発明を図面に図示した実施の形態例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例に係るトランスバーサルSAWフィルタの平面図を示したものである。圧電基板1の主表面上にSAWの伝搬方向に沿ってAlを主成分とする金属からなる入力用IDT電極2と出力用IDT電極3とを所定の間隔をあけて配置すると共に、前記IDT電極2、3の間に入出力端子間の直達波を遮蔽する為のシールド電極4を配置したレイリーSAWを主伝搬モードとするトランスバーサルSAWフィルタである。前記IDT電極2、3は互いに間挿し合う複数の電極指を有する一対のくし形電極より構成されており、入力用IDT電極2の一方のくし形電極を入力端子INに接続すると共に他方のくし形電極は接地し、出力用IDT電極3の一方にくし形電極を出力端子OUTに接続すると共に、他方のくし形電極は接地した構造である。また、基板端面からの不要な反射波を抑圧するために圧電基板1の長辺方向(SAWの伝搬方向)の両端に吸音材5を塗布する。なお、λはくし形電極のピッチで規定される波長であり、本実施例においては1λ毎に形成された電極指郡を基本区間として、基本区間をn個組み合わせて入力用IDT電極2を形成し、基本区間をn個組み合わせて出力用IDT電極3を形成している。
図2は、前記入力用IDT電極2及び前記出力用IDT電極3を形成している基本区間の詳細な構造を示している。(a)に示す3個の基本区間は1λにおいて約λ/8の幅を有する電極指と約3λ/8の幅を有する電極指を3本配置した構造であり、(b)に示す3個の基本区間は1λにおいて約λ/8の幅を有する電極指を4本配置した構造である。図2の(a)及び(b)の基本区間は電極指の配列や幅を変化させることによりSAWの励振の強度に重み付けを施した間引き法を適用している。また、各基本区間の斜線で示した電極指は、その基本区間におけるSAWの励振の中心の電極指であることを示している。これらの基本区間は一般に単相一方向性電極(Single Phase Uni-Directional Transducer:以下、SPUDTと称す)と呼ばれ、左右非対称な電極指構造にしてSAWの励振の中心をずらすことによりSAWの励振に一方向性を付けている。図2の各基本区間においてSAWの伝搬方向の中心位置Xに対し、励振の中心が左側に位置している場合を正の励振、励振の中心が右側に位置している場合を負の励振、励振がない場合を零の励振とすると、図2の(a)及び(b)の基本区間は、左から順に正の励振、零の励振、負の励振の重み付けが施されていると言える。
図3(a)は、本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタにおいて、入力用IDT電極2の基本区間数nを111、出力用IDT電極3の基本区間数nを186、IDT電極全体の基本区間数Nを297として、入力用IDT電極2の基本区間と出力用IDT電極3の基本区間の全てについて各基本区間に施した励振の重み付けの変化を示している。同図は、正の励振の重み付けが施されている基本区間を「1」、零の励振の重み付けが施されている基本区間を「0」、負の励振の重み付けが施されている基本区間を「−1」として、各基本区間に施された励振の重み付けに応じてプロットして各点を端から順に直線で結んでいる。また、図3(b)は従来のトランスバーサルSAWフィルタにおける基本区間の励振の重み付けの変化を示している。
ここで、図3において隣り合う基本区間の励振の重み付けが「−1」から「0」、「0」から「1」、「−1」から「1」に移行する場合を正の変化、「1」から「0」、「0」から「−1」、「1」から「−1」に移行する場合を負の変化とし、正の変化から負の変化、もしくは負の変化から正の変化に変わる点を変極点と定義する。図3(a)の本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタの入力用IDT電極2の変極点mは24、出力用IDT電極3の変極点mは40、IDT電極全体の変極点Mは64であり、IDT電極内の基本区間数に対する変極点数の割合(変極点率)は、入力用IDT電極2がm/n×100=24/111×100=21.6(%)、出力用IDT電極3がm/n×100=40/186×100=21.5(%)、IDT電極全体でM/N×100=64/(111+186)×100=21.5(%)である。同様に、図3(b)の従来のトランスバーサルSAWフィルタの入力用IDT電極2の変極点mは46、出力用IDT電極の変極点mは59、IDT電極全体の変極点Mは105であり、変極点率は入力用IDT電極2が41.4(%)、出力用IDT電極3が31.7(%)、IDT電極全体で35.3(%)である。このように本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタは、従来のトランスバーサルSAWフィルタと比較して変極点率を減少させている。即ち、隣接する基本区間の励振の強度の変化を緩和したことを特徴としている。
また、図3に示す本発明構造及び従来構造のIDT電極は共に正の励振「1」の重み付けを施した基本区間を多用している。ここで、負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間に注目してみると、図3(a)に示す本発明構造の負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間は2個、また、図3(b)に示す従来構造の負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間は10個あり、全基本区間数Nに対する負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間数の割合は本発明構造が2/(111+186)×100=0.7(%)程度、従来構造が10/(111+186)×100=3.7(%)程度である。このように本発明構造は、負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間を従来構造に比べて少なくしていることも特徴の一つである。
図4は、図3(a)に示す本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタと図3(b)に示す従来のトランスバーサルSAWフィルタのフィルタ特性の比較をシミュレーションしたものである。図4(a)は中心周波数に対し±100MHzスパンのフィルタ特性、図4(b)は中心周波数に対し±10MHzスパンのフィルタ特性を示している。なお、太線が本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタのフィルタ特性であり、細線が従来のトランスバーサルSAWフィルタのフィルタ特性である。また、本発明構造及び従来構造は共に、圧電基板に33.5°回転YカットX伝搬水晶基板を用い、基本区間長1λ=15(μm)、基本区間数をn=111、n=186とし、中心周波数を200(MHz)としている。図4に示すように、本発明のトランスバーサルSAWフィルタの方が広範囲の阻止域において高減衰になっており、また通過帯域近傍の阻止域においても減衰量劣化の原因となっていたリーキーSAW応答が抑圧されて高減衰な特性が得られていることが分かる。
このように、本発明においては励振の重み付けを施した基本区間を複数組み合わせて構成したトランスバーサルSAWフィルタにおいて、変極点率を減らす、或いは負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間の数を減らすことにより通過帯域近傍の広範囲の阻止域を高減衰にできることが判明した。これは、IDT電極内の隣り合う基本区間において励振の強度の変化を緩和することでリーキーSAW応答が抑圧され、通過帯域近傍の阻止域減衰量が高減衰になった為と考えられる。
本発明における基本区間の配置方法は、コンピューターによる遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて最適化問題を解くことで求めている。最適化問題においては、真の最適解である大域的最適解もしくは探索空間におけるある点の近傍だけに限定される最適解である局所的最適解を求めることが必要となる。複雑な問題において、ニュートン法、準ニュートン法に代表される非線形最適化手法では、計算の初期値すなわち探索空間のどの点から探索を開始するかで得られる最適解(局所解)は変わり、一回の計算において大域的最適解を求めることは困難である。そのため、何度も初期値を振って、得られた局所解の中で最も優れた解を採用することが一般的である。一方、GAは計算時間が多くかかるが局所解への収束を回避するように確率的に探索するため、大域的最適解を近似的に求めることができると一般に考えられている。GAは多点探索手法であり、初期の個体集団を大きくとれば大域的最適解を比較的効率よく探索することができる。このように、GAは最適化手法の中で最も大域的収束性に優れるが、最適化設計の結果は初期値の設定如何に多少なりとも依存するので、最適化設計ごとに初期値を異ならせて複数回の最適化を試行した。
図5(a)は、図3(a)に示す本発明のトランスバーサルSAWフィルタにおいて、初期値を6回異ならせて最適化設計を行ったときの変極点率、及び負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間数の割合を示している。なお、図5(b)は図3(b)の従来のトランスバーサルSAWフィルタにおける最適化設計を示している。図5において(1)は入力用IDT電極及び出力用IDT電極の変極点率とIDT電極全体の変極点率を示しており、(2)はIDT電極全体の基本区間数Nに対する負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間数の割合を示している。図5に示すように、従来構造における変極点率は30〜40%程度の範囲内に収束されているのに対し、本発明構造における変極点率は20〜30%程度の範囲内に収束されていることが分かる。また、負の励振「−1」の重み付けを施した基本区間数の割合は、従来構造は2〜5%程度の範囲内に収束されているのに対し、本発明構造は0.3〜1.0%程度の範囲内に収束されていることが分かる。
前記最適化設計の結果に基づきトランスバーサルSAWフィルタを実際に試作した。図6にフィルタ特性を示す。同図の太線は本発明のトランスバーサルSAWフィルタを実際に試作し測定したフィルタ特性であり、IDT電極全体の変極点率を21.5%、負の励振の重み付けを施した基本区間数の割合を0.7%に設定している。なお、細線は従来のトランスバーサルSAWフィルタのフィルタ特性である。同図に示す通り、通過帯域近傍の阻止域減衰量を従来より高減衰にできる効果が確認された。
本実施例では、正の励振の重み付けを施した基本区間を負の励振の重み付けを施した基本区間より多く設計したが、逆に負の励振の重み付けを施した基本区間の方を多く設計してもかまわない。その場合は、正の励振の重み付けを施した基本区間数を全体の基本区間数に対し0.3〜1.0%程度に設定することにより通過帯域近傍の阻止域減衰量を高減衰化することができる。
以上では圧電基板に33.5°回転YカットX伝搬水晶基板を用いたトランスバーサルSAWフィルタについて説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、圧電基板にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、四硼酸リチウム、ランガサイト等に用いた場合にも適用できることは言うまでもない。
本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタの平面図を示す。 本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタの基本区間の詳細な構造を示す。 本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタの基本区間に施した励振の重み付けの変化を説明する図であり、(a)は本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタのIDT電極の構成、(b)は従来のトランスバーサルSAWフィルタのIDT電極の構成である。 本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタの通過特性と従来のトランスバーサルSAWフィルタの通過特性の比較を示しており、(a)は中心周波数に対し±100MHzスパンのフィルタ特性、(b)は中心周波数に対し±10MHzスパンのフィルタ特性である。 最適化設計した時の変極点率と負の励振の重み付けを施した基本区間の割合を示しており、(a)は本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタの最適化設計結果、(b)は従来のトランスバーサルSAWフィルタの最適化設計結果である。 本発明に係るトランスバーサルSAWフィルタを実際に試作した時のフィルタ特性を示す。 従来のトランスバーサルSAWフィルタの平面図を示す。 従来の励振の重み付けを施したIDT電極を示す。 従来のトランスバーサルSAWフィルタのフィルタ特性を示す。 従来のトランスバーサルSAWフィルタの通過帯域付近のレイリーSAW応答とリーキーSAW応答を示す。
符号の説明
1:圧電基板
2:入力用IDT電極
3:出力用IDT電極
4:シールド電極
5:吸音材

Claims (6)

  1. 圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿ってIDT電極を所定の間隔をあけて2個配置してなるトランスバーサル弾性表面波フィルタにおいて、
    前記IDT電極は、互いに間挿し合う複数の電極指を有するくし形電極から構成され、前記電極指のピッチで規定される1波長に相当する区間を基本区間とした時、複数個の基本区間を組み合わせて形成され、
    前記基本区間は、該基本区間の弾性表面波の伝搬方向の中心位置に対し、左側に弾性表面波の励振中心が存在する場合を正の励振、右側に弾性表面波の励振中心が存在する場合を負の励振、また、励振中心が存在しない場合を零の励振とした時、いずれかの励振の重み付けが施されており、
    前記IDT電極を一つの方向から見た時に互い隣接する基本区間において、負から零の励振、もしくは零から正の励振、もしくは負から正の励振に移行する場合を正の変化とし、正から零の励振、もしくは零から負の励振、もしくは正から負の励振に移行する場合を負の変化とした時、前記正の変化から前記負の変化に、もしくは前記負の変化から前記正の変化に変極する変極点の数MがIDT電極を構成する基本区間の数をNとした時、0.2≦M/N≦0.3を満足していることを特徴としたトランスバーサル弾性表面波フィルタ。
  2. 前記正の励振の重み付けが施された基本区間及び負の励振の重み付けが施された基本区間のうち少ないほうの基本区間の数が、前記IDT電極を構成する全ての基本区間の数に対し0.3%以上1.0%以下であることを特徴とした請求項1に記載のトランスバーサル弾性表面波フィルタ。
  3. 圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿ってIDT電極を所定の間隔をあけて2個配置してなるトランスバーサル弾性表面波フィルタにおいて、
    前記IDT電極は、互いに間挿し合う複数の電極指を有するくし形電極から構成され、前記電極指のピッチで規定される1波長に相当する区間を基本区間とした時、複数個の基本区間を組み合わせて形成され、
    前記基本区間は、該基本区間の弾性表面波の伝搬方向の中心位置に対し、左側に弾性表面波の励振中心が存在する場合を正の励振、右側に弾性表面波の励振中心が存在する場合を負の励振、また、励振中心が存在しない場合を零の励振とした時、いずれかの励振の重み付けが施されており、
    前記正の励振の重み付けが施された基本区間及び負の励振の重み付けが施された基本区間のうち少ないほうの基本区間の数が、前記IDT電極を構成する全ての基本区間の数に対し0.3%以上1.0%以下であることを特徴としたトランスバーサル弾性表面波フィルタ。
  4. 前記基本区間は、約3λ/8の幅を有する電極指と約λ/8の幅を有する電極指を3本配置して構成されることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のトランスバーサル弾性表面波フィルタ。
  5. 前記基本区間は、約λ/8の幅を有する電極指を4本配置して構成されることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のトランスバーサル弾性表面波フィルタ。
  6. 前記圧電基板は水晶基板であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトランスバーサル弾性表面波フィルタ。
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