JP2008124703A - 弾性表面波フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電基板上にSAWの伝搬方向に沿って第1、第2IDTとその両側に反射器とを備える縦2重モードSAWフィルタにおいて、十分な挿入損失及び減衰率と同時に小型化を実現する。
【解決手段】第1及び第2IDT3,4を構成する交差指電極の対数Nidt1,Nidt2及び各反射器5,6を構成する反射器電極の対数Nr は、それらの総対数Nに対して0.11≦Nr /N≦0.20となるように選択する。更にSAW伝搬方向と交差する圧電基板12の各端辺12aをSAW伝搬方向と直交する向きに関して4°以上の角度で傾斜させると、その端面から反射されるSAWの影響が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、弾性表面波(SAW)を利用した共振子型のSAWフィルタに関する。
従来より、携帯電話等の情報通信機器には、圧電基板上に形成したIDT(すだれ状トランスデューサ)により励振されるSAWを利用したSAWフィルタが帯域フィルタとして広く使用されている。一般にSAWフィルタは、入力用IDTにより励振されたSAWを出力用IDTにより検出するトランスバーサル型と、近接配置したIDT間の音響結合により励起される異なる周波数の共振モードを利用した共振子型とに大別される。
典型的な共振子型のSAWフィルタは、圧電基板上にSAWの伝搬方向に沿って2組のまたはそれ以上のIDTとそれらの両側に反射器とを配置して構成される。かかる共振子型SAWフィルタにおいて、Q値を高めかつ挿入損失を低減するために、反射器の電極本数を多くする方法が一般に知られている(例えば、特許文献1を参照)。同特許文献によれば、反射器電極の本数が大幅に増加することにより圧電基板が長大化する虞があるが、高周波領域のSAWフィルタは反射器の電極ピッチが狭いので、全体として寸法に大きな影響はないとしている。
一般にSAWフィルタにおける挿入損失は、1.5dB程度またはそれ以下に低減すれば、携帯電話等の通信機器やGPS等の無線システム等の分野において、実用上良好な特性が得られるので好ましいとされている(例えば、特許文献2,3を参照)。
反射器電極の本数が少ない場合には、反射器を通過したSAWが圧電基板の端面で反射することによりスプリアスが発生し、SAWフィルタの減衰特性を劣化させる。そこで、SAWの進行方向に対して圧電基板の短辺を傾斜させることにより、基板端面からの反射波をIDTに直接到達させないようにし、大幅にスプリアスを抑制したSAWデバイスが知られている(例えば、特許文献4を参照)。
特開平5−55871号公報 特開平9−23133号公報 特開2006−135921号公報 特開平9−116378号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のSAWフィルタは、低周波領域を対象とする場合、反射器の電極ピッチが比較的大きいので、反射器の電極本数を大幅に増加させると、圧電基板即ちフィルタ自体を大幅に長大化させることになる。そのため、最近のSAWフィルタの小型化という要請に対応することができないという問題がある。
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分な挿入損失の低減を図りつつ、反射器の電極本数を少なくして、低周波領域を対象とする場合にも、小型化を実現することができる共振子型のSAWフィルタを提供することにある。
また、励振するSAWが低周波のSAWフィルタに多く使用されるSH波の場合、圧電基板の端面で全反射する性質があるため、反射器の電極本数を少なくすると、反射器を通過して基板端面で反射された不要なSAWがフィルタ特性を大きく劣化させる虞がある。そこで、本発明の別の目的は、SH波を用いた場合にも、同様に十分な挿入損失の低減及び小型化を図りつつ、反射器の電極本数を少なくできる共振子型SAWフィルタを提供することにある。
本発明によれば、上記目的を達成するために、圧電基板と、該圧電基板上にSAWの伝搬方向に沿って配置された複数のIDTと、該IDTの両側にそれぞれ配置された反射器とを備え、IDTを構成する交差指電極の総対数Nidt 及び各反射器を構成する反射器電極の対数Nr を、IDT及び反射器の総電極対数N(=Nidt +2Nr )に対する反射器電極対数Nr の割合が0.11≦Nr /N≦0.20となるように選択したSAWフィルタが提供される。
このように反射器電極の対数Nr を選択することによって、後述するように、十分に低い挿入損失及び高い減衰量の双方を同時に実現することができる。しかも、反射器電極の対数は総電極対数Nに対応して決定すればよいので、従来技術のように挿入損失を低減するために反射器電極の本数を大きく増加させる必要が無いから、圧電基板即ちSAWフィルタの小型化を図ることができる。
或る実施例では、SAWの伝搬方向と交差する圧電基板の両端辺をSAW伝搬方向と直交する向きに関して4°以上の角度で傾斜させることにより、圧電基板の端辺で反射される不要なSAWによるフィルタ特性の劣化を生じさせないようにすることができる。これは、後述するように、特に低周波SAWフィルタにおいて、励振されるSAWが圧電基板の端面で全反射するSH波である場合に有利である。
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明による縦2重モードSAWフィルタの第1実施例を示している。本実施例のSAWフィルタ1は、例えばリチウムタンタレート、リチウムナイオベート、水晶などの従来公知の圧電材料で形成された圧電基板2の表面中央に第1IDT3と第2IDT4とがSAWの伝搬方向に沿って配置されている。更に圧電基板2表面には、前記IDTを挟むようにそれらの両側に各1個の反射器5,6が配置されている。
各IDT3,4は、それぞれ圧電基板2上にAl等の導体金属薄膜を蒸着又はスパッタ等の公知方法により形成してパターニングした交差指電極3a,3b,4a,4bから構成される。前記交差指電極は、SAWの伝搬方向に沿って等間隔でSAWの1波長λ中に正負各1本ずつ配置されている。本実施例において、第1IDT3はSAWフィルタ1の送信側IDTを、第2IDT4は受信側IDTを構成する。
各反射器5,6は、同様にそれぞれ圧電基板2上にAl等の導体金属薄膜を蒸着又はスパッタ等の公知方法により形成してパターニングした複数の反射体電極5a、6aから構成される。前記反射体電極は、SAWの伝搬方向に沿って等間隔でSAWの1波長λ中に2本ずつ配置されている。
第1及び第2IDT3,4を構成する前記交差指電極の対数をそれぞれNidt1,Nidt2とし、各反射器5,6を構成する前記反射器電極の対数をNr とし、両IDT及び反射器の総電極対数をN(=Nidt1+Nidt2+2Nr )とする。本実施例では、総電極対数Nに対する反射器電極対数Nr の割合を、以下に詳述する所定の範囲に設定する。尚、図中第1及び第2IDT3,4の交差指電極対数は同じであるが、実際には同数とする必要はない。また、反射器電極の対数はSAWの1波長λ中に配置された2本を1対とするから、前記各反射器の電極本数はそれぞれ2Nr である。
SAWフィルタ1を試作し、総電極対数Nに対する反射器電極対数Nr の割合を変化させた場合の挿入損失及び減衰量の変化を測定した。圧電基板2には、共振子型SAWフィルタに広く使用されている38.7°回転YカットLiTaO 基板を用い、各IDT及び反射器はアルミニウム電極膜で形成した。中心周波数は50〜200MHzの低周波に設定した。
図2は、反射器電極の対数比Nr /Nに関する挿入損失の変化のシミュレーション結果を示している。同図から分かるように、反射器電極の対数比Nr /Nを11〜28%の範囲としたとき、挿入損失は1.5dB以下の良好な値を示す。尚、携帯電話等の通信機器やGPS等の無線システムにおいて使用されるSAWフィルタは、多くの場合1.5dB以下の低い挿入損失が要求されている。
図3は、反射器電極の対数比Nr /Nに関する減衰量の変化のシミュレーション結果を示している。各Nr /Nにおける減衰量の平均値をとると、Nr /Nが8〜20%の範囲において、同図に示すように15dB以上の高い減衰量が得られた。
図2及び図3の結果を綜合すると、本実施例によれば、反射器電極の対数比Nr /Nを0.11≦Nr /N≦0.20となるように選択することによって、十分に低い挿入損失と高い減衰量とを同時に実現することができる。しかも、反射器電極の対数は総電極対数Nに対応して決定すればよいので、従来技術のように挿入損失を改善するために反射器電極の本数を大きく増加させる必要が無く、従ってSAWフィルタ1の小型化を図ることができる。
図4は、本発明によるSAWフィルタの第2実施例を示している。第2実施例のSAWフィルタ11は、圧電基板12の長手方向の両端辺、即ちSAWの伝搬方向と交差する圧電基板の両端辺12a,12aが、SAW伝搬方向と直交する向きに関して所定の角度θで傾斜している。その他の構成は第1実施例と実質的に同一であるので、第2実施例のSAWフィルタ11も、同様に十分に低い挿入損失及び高い減衰量と、反射器電極対数を少なくしたことによる小型化を実現できる。
SAWフィルタ11を上述したSAWフィルタ1と同様の条件で試作し、傾斜角度θを変化させた場合に群遅延時間に生じるリップルの変化を測定した。第1IDT3が励振するSAWはSH波とし、第1実施例の場合と同様に、中心周波数を50〜200MHzの低周波に設定した。SAWが例えば300MHz以上の高周波の場合は、圧電基板12の端面12aでのSAWの反射によるスプリアスの影響が比較的小さい。しかしながら、200MHz以下の低周波では、圧電基板12の端面12aで反射されたSAWがフィルタ特性を大きく劣化させる虞がある。
図5は、圧電基板端面12aの傾斜角度θに関する群遅延リップルの変化の測定結果を示している。同図から分かるように、傾斜角度θを4°以上の範囲としたとき、群遅延リップルは大幅にかつ急激に低下する。更に、圧電基板端面12aの傾斜角度θを0°から徐々に大きくしたときの挿入損失及び群遅延時間を測定した。その結果、傾斜角度θを4°以上の範囲において、挿入損失は通過帯域近傍の低域側でスプリアスが消滅し、良好な特性が得られた。群遅延時間も通過帯域近傍の低域側でディップが大幅に小さくなり、通過帯域において平坦な特性が得られた。従って、第2実施例は、特にSH波を用いた低周波SAWフィルタであっても、傾斜角度θを適当に選択することによって、反射器電極対数を少なくしたことで圧電基板端面12aから反射される不要なSAWによるフィルタ特性の劣化を生じることはない。
以上、本発明の好適実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において上記各実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、本発明の共振子型SAWフィルタは、圧電基板上に3組またはそれ以上のIDTをSAW伝搬方向に沿って配置した構成を採用することができる。
本発明によるSAWフィルタの第1実施例を示す平面図。 第1実施例における反射器電極の対数比Nr /Nに関する挿入損失を示す線図。 第1実施例における反射器電極の対数比Nr /Nに関する減衰率を示す線図。 本発明によるSAWフィルタの第2実施例を示す平面図。 第2実施例における傾斜角度θに関する群遅延リップルの変化を示す線図。
符号の説明
1,11…SAWフィルタ、2,12…圧電基板、3…第1IDT、4…第2IDT、3a,3b,4a,4b…交差指電極、5,6…反射器、5a,6a…反射器電極、12a…端辺。

Claims (3)

  1. 圧電基板と、前記圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された複数のIDTと、前記IDTの両側にそれぞれ配置された反射器とを備え、
    前記IDTを構成する交差指電極の総対数Nidt 及び前記各反射器を構成する反射器電極の対数Nr を、前記IDT及び前記反射器の総電極対数N(=Nidt +2Nr )に対する反射器電極対数Nr の割合が0.11≦Nr /N≦0.20となるように選択したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
  2. 前記弾性表面波の伝搬方向と交差する前記圧電基板の両端辺が、該弾性表面波伝搬方向と直交する向きに関して4°以上の角度で傾斜していることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
  3. 前記弾性表面波がSH波であることを特徴とする請求項2記載の弾性表面波フィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022019072A1 (ja) * 2020-07-20 2022-01-27 株式会社村田製作所 弾性波フィルタおよびマルチプレクサ

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