JP2005220391A - 極低炭素鋼の溶製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高清浄度の極低炭素鋼を、脱炭処理時間を短縮して効率よく溶製するための方法を提供する。
【解決手段】 転炉または電気炉から取鍋に出鋼した溶鋼に、真空脱ガス法による脱炭処理(以下「真空脱炭処理」という)を施して極低炭素鋼を溶製するにあたり、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中の総鉄量(以下「T.Fe」という)を、例えば転炉または電気炉の溶鋼およびスラグを弱還元性状態もしくは非還元性状態で取鍋へ出鋼することによって、12%(質量%の意味、以下同じ)超にし、かつ真空脱炭処理後の取鍋スラグ中(T.Fe)を、例えば真空脱炭処理後の溶鋼および/または取鍋スラグに、Al、Si、CaおよびMgよりなる群から選択される1種以上の元素を含む還元剤を添加することによって12%以下にする。

Description

本発明は、極低炭素鋼の溶製方法に関するものであり、詳細には、介在物の抑制された極低炭素鋼(炭素濃度:0.02%以下)を、効率良く脱炭処理を行って溶製する方法に関するものである。
極低炭素鋼の溶製では、転炉や電気炉等で、溶銑中または溶鋼中に酸素を吹き込んで溶鋼中の炭素濃度を約0.03〜0.07%まで低減する。しかしこの段階では、Al、Si等の添加による脱酸処理を行うことなく、溶存酸素濃度が約0.04〜0.08%と比較的高い状態のまま出鋼するのが一般的である。
これはその後に、循環脱ガス装置(RH装置)などの真空脱ガス装置で溶鋼を還流させ、溶鋼中に残存する溶存酸素と溶鋼中の炭素を反応させることにより、COガスとして溶鋼から炭素を十分に除去し、炭素濃度の著しく低い鋼を得るためである。
上記脱炭処理の反応速度を高めるには、溶鋼中の溶存酸素濃度が高いことに加えて、出鋼時に転炉や電気炉から取鍋内へ流入したスラグ(取鍋スラグ)が酸素リッチな状態であることが好ましく、具体的には、取鍋スラグ中のFeO濃度が高いことが好ましい。
ところで上記脱炭処理により、溶鋼中の溶存酸素も約0.01〜0.02%まで減少するが、諸特性に悪影響を及ぼす溶存酸素を更に低減すべく、脱炭処理後には、金属Al等を添加して脱酸処理を行うのが一般的である。脱酸処理で生じた脱酸生成物(アルミナ)は、溶鋼を還流させることにより浮上分離して除去する。しかし上述の様に、脱炭処理速度を高めるため取鍋スラグ中のFeO濃度を高めた場合には、添加した金属Al等が、下記化学式(I)で示す様にFeOと反応してAlが新たに生成するため、見かけ上Al低減速度が低下する。Alが十分除去されず鋳片中に残留すると、線状または点状の疵などの欠陥が圧延製品に生じる原因となる。
2Al+3FeO → Al+3XFe …(I)
そこで、脱炭処理を効率良く行いつつ、上記アルミナ等の介在物も低減することのできる極低炭素鋼の溶製方法が提案されている。例えば特許文献1には、転炉出鋼時にスラグ改質剤等を添加し、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中の総鉄量を低減すると共に、取鍋耐火物中のSiO濃度を低減することで、極低炭素鋼の鋼中介在物を抑制する方法が示されている。
特許文献2には、未脱酸溶鋼または弱脱酸溶鋼を取鍋へ出鋼する際に、金属AlまたはAl合金を含有するスラグ改質剤を添加することにより、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中のFeOとMnOの合計量を5wt%以下とし、その後に真空脱炭処理して、それから再度、前記スラグ改質剤を添加して脱酸処理を行う方法が示されている。特許文献3には、出鋼時に流入した取鍋内スラグを除去し、新たな成分組成のスラグを添加して、取鍋スラグ中の総鉄量を6%以下にする技術が開示されている。
これらの技術は、脱炭処理後に行うAl脱酸時に、前記化学式(I)で示した様な反応によりAlが生成するのを抑制するため、取鍋スラグ中の総鉄量の低減を図ったものである。しかし上記技術では、脱炭処理時における取鍋スラグ中のFeO濃度が低く、結果としてCを脱炭するための酸素(O)源が不足するため、脱炭速度が低下して処理に長時間を要し、生産性が低下するという問題が生じる。
脱炭速度を低下させずに介在物を低減する方法も提案されている。例えば特許文献4には、スラグ改質剤の添加を転炉出鋼時(真空脱炭処理前)と真空脱炭処理後の2回に分けて行う方法が示されている。また特許文献5や特許文献6には、転炉出鋼時(真空脱炭前)のスラグ改質剤の添加量を調整して、特許文献5では脱炭処理前の取鍋スラグ中のFeOとMnOの合計量を8〜10%に制御する方法が、また特許文献6では取鍋スラグ中の総鉄量を6〜12%に制御する方法が提案されている。
これらの技術は、脱炭処理時に必要な酸素を確保することで、脱炭速度を維持しながら、Al脱酸で生じるAlの生成も抑制しようとするものである。しかし、介在物量の極力低減された高清浄度の極低炭素鋼を、脱炭処理時間をより短縮して更に効率よく溶製することのできる技術の確立が切望されている。
特許第2744466号公報 特開平9−41028号公報 特許第2690350号公報 特開平11−158537号公報 特開2002−69527号公報 特開2003−119514号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高清浄度の極低炭素鋼を、短い脱炭処理時間で効率よく溶製するための方法を提供することにある。
本発明に係る極低炭素鋼の溶製方法は、転炉または電気炉から取鍋に出鋼した溶鋼に、真空脱ガス法による脱炭処理(以下「真空脱炭処理」または単に「脱炭処理」という)を施して極低炭素鋼を溶製するにあたり、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中の総鉄量[取鍋スラグ中のFeO量をFe濃度(質量%)に換算した値。以下、取鍋スラグ中(T.Fe)という]を12%(質量%の意味、以下同じ)超とし、かつ真空脱炭処理後の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下にするところに特徴がある。
上記の通り、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%超にするには、転炉または電気炉の溶鋼およびスラグを弱還元性もしくは非還元性の状態で取鍋へ出鋼することが有効な手段として挙げられる。
また、真空脱炭処理後の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下にするには、真空脱炭処理後の溶鋼および/または取鍋スラグに、Al、Si、CaおよびMgよりなる群から選択される1種以上の元素を含む還元剤を添加することが有効な手段として挙げられる。
鋼中介在物(特にアルミナ)の極めて少ない炭素量が0.02質量%以下の極低炭素鋼を、短い脱炭処理時間で効率良く製造することができ、極低炭素鋼の溶製コストを更に低減することができる。
本発明者らは、介在物量の著しく低減された高清浄度の極低炭素鋼を、脱炭処理時間を短縮して効率良く溶製するための技術を確立すべく様々な角度から検討した。その結果、転炉または電気炉から取鍋に出鋼した溶鋼に、真空脱ガス法による脱炭処理を施して極低炭素鋼を溶製するにあたり、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中の総鉄量を12%超と比較的高めにした状態で脱炭処理を行い、該脱炭処理終了後には、取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下に抑えることが極めて重要であることを見出した。
以下、本発明が完成された経緯に沿って、本発明の作用効果を説明する。まず本発明者らは、介在物の抑制を脱炭処理後に行えるか否かの検討を行った。具体的には、脱炭処理後に取鍋スラグ中(T.Fe)を制御することで介在物を抑制できるか否かについて確認するため、取鍋スラグ中(T.Fe)を変化させて脱酸処理を行い、Al添加(脱酸)後の経過時間と取鍋スラグ中(T.Fe)とがアルミナ介在物量に及ぼす影響について調べた。
実験は、取鍋スラグ中(T.Fe)の異なる10種類の溶鋼に、RH真空脱ガス装置で脱炭処理を施し、該脱炭処理が終了した時点で、Alを溶鋼1トンあたり0.5〜0.7kg添加して8分間溶鋼を還流した。この脱酸処理において、Al添加時から2分、4分、6分、8分経過後(RH脱炭終了時)の溶鋼からサンプルを採取し、後述する方法で20μm以上のアルミナ介在物の個数を調べた。また上記還流後、連続鋳造するためタンディッシュに取鍋内の溶鋼を半分装入した時点で、タンディッシュ内の溶鋼をサンプリングして、上記と同様にアルミナ介在物の個数を調べた。
この様にして得られた実験データを基に、取鍋スラグ中(T.Fe)およびAl添加後の経過時間と溶鋼中アルミナ介在物量との関係を整理して図1に示す。この図1から、Al脱酸時(還流時)の溶鋼(図1中の◇、□、△、○)は、Al添加後からの経過時間が長いほど、即ち、還流時間が長いほどアルミナ介在物の個数は減少傾向を示すが、その減少度合いは、取鍋スラグ中(T.Fe)に依存していない。
しかし、タンディッシュに装入された溶鋼(図1中の●)は、アルミナ介在物の個数が取鍋スラグ中(T.Fe)に依存しており、取鍋スラグ中(T.Fe)が高くなるほどアルミナ介在物量は増加することがわかる。即ち、RH処理終了からタンディッシュ装入までの取鍋スラグ中(T.Fe)が低い状態であれば、アルミナ介在物の個数を効率良く低減できるのである。
次に上記データを基に、下記式(1)で示されるアルミナ介在物減少速度定数(K)を用いて、取鍋スラグ中(T.Fe)と各サンプリング時点間のアルミナ介在物減少速度との関係を調べた。その結果を図2に示す。
尚、下記式(2)において、K>0の場合はアルミナ介在物個数の減少を意味し、K<0の場合はアルミナ介在物個数の増加を意味し、またK=0はアルミナ介在物個数が変化しないことを意味している。
Figure 2005220391
[式(1)中、N:ある時点でのサンプリンク゛試料中の20μm以上のアルミナ個数(個/kg)
N:次にサンプリンク゛した試料中の20μm以上のアルミナ個数(個/kg)
t:サンプリンク゛した時間間隔(分間)]
この図2からも、還流時の溶鋼(図2中の□、△、○)は、Al介在物の減少速度が取鍋スラグ中(T.Fe)に依存していないが、RH処理終了後からタンディッシュ装入までの溶鋼(図1中の●)のAl介在物の減少速度は、取鍋スラグ中(T.Fe)に依存しており、特に、取鍋スラグ中(T.Fe)が12%を超えると、K<0、即ちアルミナ介在物が増加する場合があることがわかる。
これらの結果から、アルミナ介在物の低減という観点からすると、脱炭処理またはそれ以前にスラグ中(T.Fe)を制御する必要はなく、脱炭処理後の脱酸処理工程等で、取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下に抑えれば、図1や図2のタンディッシュ内溶鋼に示される様に、アルミナ介在物を効果的に低減できることが分かる。図2から明らかなように、取鍋スラグ中(T.Fe)を好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下に抑えれば、更に効率よくアルミナ介在物を抑制できる。取鍋スラグ中(T.Fe)の下限は特に定めないが、脱酸剤の使用コスト等の観点からは約0.5%が下限となる。
本発明は、この様に真空脱炭処理後の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下にするための方法まで限定するものでなく、様々な方法を適用でき、例えばAl、Si、Ca、Mg等の還元剤を、金属、合金または酸化物(CaO、MgO)等の形態でスラグに添加して取鍋スラグ中(T.Fe)を希釈する等の方法が挙げられる。また、脱炭処理工程では取鍋スラグ中のFeOが消費され、取鍋スラグ中(T.Fe)はある程度低下するので、脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)の値によっては、特に手段を講じなくとも12%以下になることもある。しかし、真空脱炭処理後の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下に確実に抑えるには、脱炭処理後の溶鋼中および/またはスラグに、Al、Si、CaおよびMgよりなる群から選択される1種以上を含む還元剤を装入して、FeOを還元し(T.Fe)を低下させるのがよい。
上記還元剤としては、具体的にAl金属、Al−Fe合金、Fe−Si−Mg合金、Ca−Si合金、Fe−Si合金等が挙げられ、ワイヤー状、粉末状、またはペレット状のものを供給すればよい。
このとき還元剤の添加量は、該還元剤添加前の取鍋スラグ中の(T.Fe)濃度に応じて決定すればよく、還元剤添加前の取鍋スラグ中(T.Fe)は、例えば前記特許文献6に記載の方法で溶鋼中溶存酸素活量から推定することができる。
上述の通り、脱炭処理時またはそれ以前の取鍋スラグ中(T.Fe)は、アルミナ介在物の低減に寄与しないことから、脱炭処理時には、該処理を促進させるために脱炭処理時の(T.Fe)を高めることができる。
そこで脱炭処理を行うにあたり、取鍋スラグ中(T.Fe)をどの程度高めればよいかを把握するため、該(T.Fe)と脱炭速度との関係を調べた。具体的には、取鍋スラグ中(T.Fe)の異なる溶鋼を10〜30分間真空脱ガス法で脱炭処理して処理前後の溶鋼中炭素濃度を測定し、脱炭速度は、下記式(2)で示される見かけの総括脱炭速度定数(Kc)を用いて評価を行った。
その結果を、取鍋スラグ中(T.Fe)濃度と見かけの総括脱炭速度定数(Kc)との関係として図3に示す。図3から、取鍋スラグ中(T.Fe)が高いほど脱炭速度は速くなり、特にKcが約0.2付近まで著しく上昇し、約0.2を超えると上昇率が小さくなることがわかる。本発明では、この様な結果に基づき、Kcが約0.2以上となるように、脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%超に制御することとした。取鍋スラグ中(T.Fe)は、好ましくは14%以上、より好ましくは15%以上である。取鍋スラグ中(T.Fe)の上限は特に定めないが、転炉、RH、取鍋等に用いる耐火物コストの抑制やスラグの泡立ち現象の防止等を考慮すると30%を上限とすることが好ましい。
Figure 2005220391
[式(2)中、C:脱炭処理前の溶鋼C濃度(質量%)
:脱炭処理前の溶鋼C濃度(質量%)
:脱炭処理時間(分間)]
本発明は、この様に、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%超にするための方法まで規定するものではなく、一般的に知られている様々な方法を適用できる。
尚、取鍋スラグの泡立ち現象を抑制したり耐火物の損耗を抑制するため、転炉出鋼後の取鍋スラグ上に、Al等を含む還元剤を少量添加して弱還元性状態とした場合でも、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%超にすることができるが、確実に(T.Fe)を制御するには、出鋼時の溶鋼およびスラグをともに非還元性状態とすることが推奨される。
尚、本発明では、真空脱ガス法で脱炭処理を行うが、このときの真空脱ガスの形態については特に限定するものではなく、前記したRH法の他、鍋型真空脱ガス法、DH法等も適用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
240トンの転炉で溶銑を吹錬し、溶銑中の炭素量を0.03〜0.07%、溶存酸素量を0.05〜0.08%まで低減した後、取鍋に出鋼した。そして出鋼後の取鍋スラグ上に、Al換算で0.1〜0.7kg/溶鋼トンのAl含有還元剤(1〜2cm角状の金属Al粒)を投入するか、または未投入のままとした。その後、還流式真空脱ガス装置(RH)で脱炭処理を行い、C濃度を0.0010〜0.0040%まで低減した。それから脱炭処理終了直後に、Al換算で0.3〜0.7kg/溶鋼トンの金属Alワイヤーを取鍋に投入して脱酸処理を行うか、または未脱酸のままとした(以下、これら脱炭処理および脱酸処理をまとめて「RH処理」ということがある)。上記各実施条件について表1に示す。
そして上記RH処理後に連続鋳造設備で鋳造を行い、得られた鋳片に熱間圧延を施して圧延鋼材(厚さ1〜2mmの薄鋼板)を得た。
前記連続鋳造工程では、鋼材の清浄度を評価するため、タンディッシュ内の溶鋼をサンプリングし、得られた試料のうち約5gを酸で溶解し、抽出して得られた長径が20μm以上のアルミナ介在物の個数をEPMA(Electron Probe X-ray MicroAnalyzer)で測定し、鋼材1kg当たりの個数に換算した。
また圧延鋼材表面の線状欠陥の発生状況を調べた。具体的には、圧延鋼材の表面(目視観察領域)を目視で観察し、線状欠陥の発生個数を測定した。そして、線状欠陥の発生個数がコイル1kmあたり1個の場合を「線状欠陥発生頻度=1」と指標を置き、各試料の線状欠陥発生頻度を求めた。これらの結果を表1に併記する。
Figure 2005220391
表1より次の様に考察できる(尚、以下のNo.は表1の実験No.を示す)。
No.1〜6は、転炉出鋼から脱炭処理の間(脱炭処理前)に還元剤を添加しないか、またはAl換算で0.1または0.3kg/溶鋼トンのAl含有還元剤を取鍋スラグ中に添加して、脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%超にし、脱炭処理後の溶鋼には上記還元剤を投入しなかった比較例である。
これらの例では、脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)が高く、脱炭処理は効率良く行えたが、得られた鋼材にはアルミナ介在物が多く、圧延鋼材における線状欠陥発生頻度が高くなっている。
No.7〜9は、転炉出鋼から脱炭処理の間に還元剤を取鍋スラグ上に投入して、脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下とし、脱炭処理後の溶鋼には、還元剤を投入しなかった比較例である。これらの例では、得られた圧延鋼材のアルミナ介在物量が少なく線状欠陥の発生頻度は低いが、脱炭処理時間が長くなっている。
これらに対しNo.10〜14は、本発明で規定する要件を満たす方法で鋼を溶製した本発明例である。即ち、脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%超にし、脱炭処理後の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下とした例であり、具体的には、転炉出鋼から脱炭処理の期間に還元剤を投入しないか、またはAl換算で0.3kg/溶鋼トンのAl含有還元剤を取鍋スラグ上に添加して脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を比較的高く維持した状態で脱炭処理を行い、該脱炭処理直後の溶鋼中に、表1に示す通り還元剤を投入した。これらの例では、アルミナ介在物の抑制された線状欠陥の少ない極低炭素鋼が、短時間の脱炭処理で得られていることがわかる。
取鍋スラグ中(T.Fe)とAl添加後の経過時間とが溶鋼中アルミナ介在物量に及ぼす影響を示したグラフである。 取鍋スラグ中(T.Fe)とAl添加後の一定時間内のアルミナ介在物減少速度定数(K)との関係を示したグラフである。 取鍋スラグ中(T.Fe)と見かけの総括脱炭速度定数(Kc)との関係を示したグラフである。

Claims (3)

  1. 転炉または電気炉から取鍋に出鋼した溶鋼に、真空脱ガス法による脱炭処理(以下「真空脱炭処理」という)を施して極低炭素鋼を溶製するにあたり、
    真空脱炭処理前の取鍋スラグ中の総鉄量[以下、取鍋スラグ中(T.Fe)という]を12%(質量%の意味、以下同じ)超とし、かつ
    真空脱炭処理後の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下にする
    ことを特徴とする極低炭素鋼の溶製方法。
  2. 転炉または電気炉の溶鋼およびスラグを弱還元性状態もしくは非還元性状態で取鍋へ出鋼することによって、真空脱炭処理前の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%超にする請求項1に記載の極低炭素鋼の溶製方法。
  3. 真空脱炭処理後の溶鋼および/または取鍋スラグに、Al、Si、CaおよびMgよりなる群から選択される1種以上の元素を含む還元剤を添加することによって、真空脱炭処理後の取鍋スラグ中(T.Fe)を12%以下にする請求項1または2に記載の極低炭素鋼の溶製方法。
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