JP2005219462A - 液体吐出装置、液体吐出方法及び印刷システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液体吐出装置は、素子を駆動して液体を媒体に吐出する液体吐出装置であって、前記素子を駆動して前記液体を吐出するための吐出用駆動信号を発生する駆動信号発生器と、前記駆動信号発生器の温度を検出するためのセンサと、を備える。そして、前記駆動信号発生器は、複数の種類の前記吐出用駆動信号を発生可能であり、前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させることを特徴とする。
【選択図】 図12
Description
インクジェットプリンタが連続して印刷処理を行うと、駆動信号発生器が発熱する。この発熱により、駆動信号発生器が高温になると、インクジェットプリンタが故障するおそれがある。
そこで、駆動信号発生器からの吐出用駆動信号の発生を待機させることが行われている。
そこで、本発明は、処理速度の速い安価な液体吐出装置を提供可能にすることを目的とする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
このような液体吐出装置によれば、処理速度の速い安価な液体吐出装置を提供可能にする。
前記吐出用駆動信号に応じて液体を吐出する
液体吐出方法であって、
前記駆動信号発生器が、発生可能な複数の種類の前記吐出用駆動信号からいずれかの吐出用駆動信号を発生し、
前記駆動信号発生器の温度を検出し、
前記吐出用駆動信号の種類と前記駆動信号発生器の温度とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させる
ことを特徴とする液体吐出方法。
前記印刷装置は、前記素子を駆動するための吐出用駆動信号を発生する駆動信号発生器と、前記駆動信号発生器の温度を検出するためのセンサと、を備え、
前記駆動信号発生器は、複数の種類の前記吐出用駆動信号を発生可能であり、
前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させることを特徴とする印刷システム。
次に、印刷システム(コンピュータシステム)の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
<プリンタドライバについて>
コンピュータ110では、コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバやアプリケーションプログラムやプリンタドライバなどのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバは、アプリケーションプログラムやプリンタドライバからの表示命令に従って、例えばユーザインターフェース等を表示装置120に表示する機能を有する。アプリケーションプログラムは、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザは、アプリケーションプログラムのユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラムにより編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラムは、印刷の指示を受けると、プリンタドライバに画像データを出力する。
図2は、プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。このプリンタドライバのユーザインターフェースは、ビデオドライバを介して、表示装置に表示される。ユーザーは、入力装置130を用いて、プリンタドライバの各種の設定を行うことができる。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷に用いられる印刷用紙を選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷用紙として、普通紙や光沢紙を選択することができる。紙の種類(紙種)が異なれば、インクの滲み方や乾き方も異なるため、印刷に適したインク量も異なる。そのため、プリンタドライバは、選択された紙種に応じて、画像データを印刷データに変換する。
ユーザーが選択した印刷モードや印刷用紙の種類に応じて、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔)が決定される。また、ユーザーが選択した印刷モードや印刷用紙の種類に応じて、後述するキャリッジの移動速度や、吐出用駆動信号COMの種類が決定される。この決定内容は、印刷データのコマンドデータとしてプリンタに送信される。
このように、プリンタドライバは、ユーザインターフェースを介して設定された条件に従って、画像データを印刷データに変換する。
<インクジェットプリンタの構成について>
図3は、本実施形態のプリンタの全体構成のブロック図である。また、図4は、本実施形態のプリンタの全体構成の概略図である。また、図5は、本実施形態のプリンタの全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
図6は、ヘッドの駆動を行う構成要素の説明図である。図7は、駆動信号発生器の電気回路の概略説明図である。図8は、駆動信号発生器が発生する駆動信号の説明図である。図9は、画素データと、レベルシフタの出力信号及び圧電素子への入力信号との関係の説明図である。既に説明した構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
ラッチ回路422にラッチされた画素データは、デコーダ423に入力される。デコーダ423は、2ビット分の画素データをパルス選択データ(パルス選択信号)に変換する。駆動信号発生器の発生する吐出用駆動信号がCOM1である場合、デコーダ423は、画素データ「00」をパルス選択データ「1000000」に変換する。同様に、デコーダ424は、画素データ「01」をパルス選択データ「0000100」に、画素データ「10」をパルス選択データ「0001100」に、画素データ「11」をパルス選択データ「0111111」に、変換する。なお、デコーダ423が2ビットの画素データを7ビットのパルス選択データに変換するのは、吐出用駆動信号COM1が7つの波形から構成されているからである。吐出用駆動信号COMを構成する波形の数が変われば、パルス選択データのビット数も変わることになる。
スイッチ425は、レベルシフタの出力がLレベルの場合にはOFF状態になり、レベルシフタの出力がHレベルの場合にはON状態になる。この結果、スイッチ425に吐出用駆動信号COM1の波形が入力されたとき、レベルシフタの出力がHレベルならば、そのときの波形が圧電素子411へ入力され、その波形に応じて圧電素子411が駆動される。スイッチ425に吐出用駆動信号COM1の波形が入力されたとき、レベルシフタの出力がLレベルならば、そのときの波形は圧電素子411へ入力されず、圧電素子411は駆動されない。
また、画素データが「01」〜「11」の場合、吐出用駆動信号COM1の中央部の波形が圧電素子へ入力される。画素データが大きいほど、圧電素子へ入力される波形の数が多くなり、吐出される液滴の量が多くなり、紙に形成されるドットが大きくなる。
プリンタは、以上の動作により、画素データが「00」の場合はドットを形成せず、画素データが「01」の場合は小ドットを形成し、画素データが「10」の場合は中ドットを形成し、画素データが「11」の場合は大ドットを形成する。
上記の説明では、1つの画素へ1つのドットを形成するための動作しか説明していないが、実際には、キャリッジ31の移動中にヘッド41はインク滴を断続的に吐出するので、上記の動作が連続的に繰り返される。
既に説明した通り、駆動信号発生器は、2つのトランジスタQ1及びQ2を有する。この2つのトランジスタは、吐出用駆動信号COMを発生するときに、発熱する。この発熱によって、トランジスタ自身の温度が高温になると、トランジスタが破壊されるおそれがある。そこで、高温によるトランジスタの破壊を回避すべく、温度センサを設け、コントローラ60がトランジスタの温度を管理している。
2つのトランジスタQ1及びQ2は、基板とヒートシンクに挟まれるように設けられている。ヒートシンクはトランジスタと接触しており、トランジスタが発熱すると、その熱がヒートシンクに伝熱されて、外部へ放熱される。
一方、トランジスタを構成する半導体には接合部というポイントがあり、この部分で熱が発生する。発生した熱は、トランジスタ本体を熱伝導して外に逃げていく。そして、トランジスタ毎に接合部に許容される最高温度が決められており、この温度をジャンクション温度(あるいは接合部温度)という。このジャンクション温度が125℃以上になると、熱によりトランジスタが破壊される。
そこで、ジャンクション温度とケースの温度(温度センサ55の検出温度)との関係が問題となる。
Tj = Rθjc×P + Tp
この式から理解される通り、ケース温度Tpが同じであっても、消費電力Pが大きい場合は、消費電力Pが小さい場合と比較して、ジャンクション温度Tjが高くなる。言い換えれば、温度センサ55の検出結果が同じであっても、トランジスタの消費電力が大きいのであれば、トランジスタが破壊されやすい状態になる。
そこで、本実施形態では、温度センサの検出結果及び吐出用駆動信号COMの種類に基づいて、吐出用駆動信号COMの発生を待機(一時停止)させ、トランジスタ自身の温度の上昇を抑えている。
<印刷処理について>
図11は、印刷処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
また、図12A〜図12Cは、待機条件を示す表である。図12Aの表はCOM1の待機条件を示し、図12Bの表はCOM2の待機条件を示し、図12Cの表はCOM3の待機条件を示す。各待機条件は、温度センサ55の検出温度と、吐出用駆動信号の発生を待機する待機時間との関係を示している。これらの3つの待機条件は、メモリ63内に格納されている。
本実施形態では、印刷データ中のコマンドデータとして、駆動信号指定データがある。駆動信号指定データは、3種類の吐出用駆動信号COM1〜COM3のいずれの吐出用駆動信号を印刷時に用いるかを指定するための情報である。ここでは、駆動信号指定データが、吐出用駆動信号COM1を指定しているものとして、説明を進める。
ドット形成処理の間、コントローラ60は、駆動信号発生器641を利用して、駆動信号指定データにより指定された吐出用駆動信号COM1を連続して発生させる。このとき、2つのトランジスタQ1及びQ2が発熱する。
搬送処理の間、コントローラ60は、駆動信号発生器641を利用して、非吐出用駆動信号を発生させる。圧電素子が非吐出用駆動信号によってチャンバ412を振動させることにより、チャンバ内のインクが撹拌されるので、ノズル内のインクの固化を抑制することができる。なお、コントローラ60は、次のドット形成処理が開始されるまでの間、駆動信号発生器641から非吐出用駆動信号を発生させ続けている。
温度検出センサの検出温度が60℃以上65℃未満の間、プリンタは、ドット形成処理毎に、1秒間の待機処理を行うことになる。ドット形成処理とドット形成処理の間に待機時間があるため、1枚の紙を印刷するまでの時間が長くなる。
図13は、印刷処理を続けたときのジャンクション温度Tjの時間変化のグラフである。グラフの縦軸は温度(℃)を示し、横軸は時間を示す。なお、横軸の時間軸は、数十枚〜数百枚を印刷する程度の時間軸である。
待機処理を行わない場合、印刷処理を続けると、ジャンクション温度Tjが上昇し続ける。そして、印刷処理をしばらく続けると、ジャンクション温度が125℃に達し、トランジスタが破壊され、プリンタが故障する。
一方、本実施形態のように待機処理を行えば、ジャンクション温度Tjが高くなると(ケース温度が約60℃になると)、プリンタは、待機処理を行うようになる。この結果、1枚当たりの印刷速度が遅くなるが、ジャンクション温度の上昇が抑えられる。
図14は、最初から待機時間を3秒としたときのジャンクション温度Tjの温度変化のグラフである。最初から待機時間を3秒とした場合、本実施形態と比較して、ジャンクション温度Tjの上昇が最初から抑えられることになる。
一方、本実施形態では、温度検出センサ55の検出温度が60℃に達するまでの間、待機処理が行われないので(待機時間が0秒なので)、最初から待機時間を3秒とした場合と比較して、プリンタの印刷速度が速い。また、本実施形態では、温度検出センサ55の検出温度が65℃に達するまでの間、待機処理が1秒なので、最初から待機時間を3秒とした場合と比較して、プリンタの印刷速度が速い。
本実施形態では、最初から待機時間を3秒とした場合と比較して、ジャンクション温度Tjが高くなる。しかし、本実施形態でも、ジャンクション温度Tjは125℃を越えないので、トランジスタの破壊を回避することができる。
図15は、吐出用駆動信号の種類によらず同じ待機条件としたとき(比較例)のジャンクション温度Tjの温度変化のグラフである。ここでは比較のため、COM2の吐出用駆動信号でプリンタが印刷を行うときも、COM1の待機条件(図12A)で待機処理が行われる(本来ならば、COM2の吐出用駆動信号でプリンタが印刷を行うとき、COM2の待機条件で待機処理が行われる。)。
そこで、本実施形態では、吐出用駆動信号COMの種類に応じて、待機条件を変えている。例えば、COM2の吐出用駆動信号でプリンタが印刷するとき、COM1の待機条件とは異なる待機条件(図12B参照)で待機処理が行われる。
これにより、COM2の吐出用駆動信号でプリンタが印刷するとき、温度検出センサ55の検出温度が70℃に達するまでの間、待機処理が行われない。この結果、温度検出センサ55の検出温度が60℃から70℃までの間、本実施形態のプリンタは、上記の比較例よりも、印刷速度が速い。
また、本実施形態では、温度検出センサ55の検出温度が70℃から75℃までの間、待機時間は0.5秒に設定される。このため、本実施形態は、待機時間が1秒の場合と比較して、印刷速度が速い。
また、本実施形態では、温度検出センサ55の検出温度が80℃になるまで、印刷処理が続行される。このため、本実施形態は、70℃で印刷処理が停止される場合と比較して、連続して印刷できる枚数が多い。
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
前述の実施形態では、プリンタは、繰り返し行われるドット形成処理の間に待機処理を行っていた。しかし、待機処理のタイミングは、これに限られるものではない。
図16は、待機処理の他のタイミングを説明するためのフロー図である。この実施形態では、プリンタが1枚印刷する毎に、待機処理が行われる。このような待機処理のタイミングであっても、吐出用駆動信号COMの種類に基づいて待機処理を行うことができる。
プリンタが1枚印刷する毎に待機処理を行う場合、波形信号COMの種類が同じであっても、紙の大きさに応じて待機時間を変更しても良い。例えば、A4サイズの紙を複数印刷する場合の待機時間は、A5サイズの紙を複数印刷する場合の待機時間よりも、長くなる。紙が大きければ、1枚印刷する間に蓄積される熱量が多くなるからである。したがって、この場合、プリンタのメモリ63は、図17A〜図17Cのような表を、紙の種類に応じて格納する。
なお、プリンタが1枚印刷する毎に待機処理を行う場合、待機時間が長いので、コントローラは、待機処理の間、ヘッドをキャップで覆っている(不図示)。これにより、ノズルからのインクの蒸発を防ぎ、ノズル内のインクの固化を抑制している。ヘッドがキャップで覆われている間、駆動信号発生器は非吐出用駆動信号を発生しなくても良い。但し、待機処理の後、ヘッドからインクを空吐出させて、インクの目詰まりを回復させることが望ましい。
前述の実施形態では、プリンタは、待機時間を段階的に変えていた(例えば、1秒から3秒)。しかし、これに限られるものではない。
図18は、別の実施形態のフロー図である。また、図19は、吐出用駆動信号の種類と閾値・待機時間との関係を示す表である。
その後、コントローラ60は、1枚印刷する毎に温度を検出する(S007)。そして、設定された閾値を検出温度が越えていなければ(S108でYES)、待機処理を行わない。一方、設定された閾値を検出温度が越えていれば(S108でNO)、設定された待機時間で待機処理を行う(S109)。
このようにしても、吐出用駆動信号COMの種類に基づいて待機処理を行うことができる。
なお、この実施形態では、閾値と待機時間を設定していたが、これに限られるものではない。例えば、吐出用駆動信号COMの種類に応じて、閾値のみを設定することにし、待機時間を同じにしても良い。
前述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタが説明されていたが、液体吐出装置は、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
(1)前述のプリンタ(液体吐出装置)は、ピエゾ素子を駆動してインク(液体)を紙(媒体)に吐出する。このプリンタは、ピエゾ素子を駆動するための吐出用駆動信号COMを発生する駆動信号発生器641と、駆動信号発生器641の温度を検出するための温度センサ55とを備える。
そして、この駆動信号発生器641は、3種類の吐出用駆動信号COM1〜COM3を発生可能である。
駆動信号発生器が発生する吐出用駆動信号が複数種類ある場合、吐出用駆動信号の種類に応じて消費電力が異なる。このため、吐出用駆動信号の種類にかかわらず同じようにプリンタが待機処理を行うと、印刷速度が低下する。例えば、吐出用駆動信号COM2でプリンタが印刷するときに、消費電力が多い吐出用駆動信号COM1の待機条件を基準に待機処理を行うと、ジャンクション温度Tjが低いときにも待機処理が行われることになり、1枚当たりの印刷速度が遅くなる。
一方、印刷速度が低下しないような部品を採用すれば、コストアップを招く。例えば、前述の実施形態では125℃で破壊されてしまうトランジスタを採用していたが、200℃まで耐久性のあるトランジスタを採用すると、コストアップを招く。
そこで、前述のプリンタは、吐出用駆動信号COMの種類と温度センサ55の検出結果とに基づいて、駆動信号発生器641からの吐出用駆動信号COMの発生を待機させる。これにより、印刷速度の速い安価なプリンタを提供することができる。
消費電力が大きい吐出用駆動信号COM1は、大きいドットを形成するのに向いている。本実施形態では、吐出用駆動信号COM1は、360dpiの解像度の印刷時に用いられる。印刷媒体が普通紙の場合、吐出用駆動信号COM1が採用される。一方、消費電力が小さい吐出用駆動信号COM3は、小さいドットを形成するのに向いている。本実施形態では、吐出用駆動信号COM3は、1440dpiの解像度の印刷時に用いられる。印刷媒体が専用紙の場合、吐出用駆動信号COM3が採用される。
普通紙に印刷する場合、大ドット(画素データが「11」)により画素を塗りつぶすことが多い。このため、吐出用駆動信号COM1を用いた普通紙印刷では、消費電力がより多くなる。一方、専用紙に印刷する場合、大ドットよりも小ドット(画素データが「01」)を吐出する方が多い。このため、吐出用駆動信号COM3を用いた専用紙印刷では、消費電力がより少なくなる。
このように、消費電力の異なる複数の吐出用駆動信号COM1〜COM3を発生可能なプリンタに、上記の実施形態を実現させれば、印刷速度の速い安価なプリンタを提供することができる。
これにより、ドット形成処理毎に、駆動信号発生器641のトランジスタの放熱を行うことができる。
仮に、検出温度60℃以上65℃未満のときに待機時間を3秒にすると、駆動信号発生器の温度上昇を抑えることはできるが、印刷速度が遅くなる(図14参照)。しかも、検出温度が60℃〜65℃の範囲はトランジスタが破壊される温度でない。そのため、この範囲では、温度が上昇しても、印刷速度を速めることが望ましい。
したがって、前述の実施形態によれば、印刷速度の速い安価なプリンタを実現可能である。
例えば、図12Aの例では、吐出用駆動信号COM1に対して閾値60℃が決定され、温度検出結果が60℃を越えたとき、待機処理が行われる(図11参照)。また、図19の例では、吐出用駆動信号COM1に対して閾値65℃が決定され、温度検出結果が65℃を越えたとき、待機処理が行われる(図18参照)。
このように、吐出用駆動信号COMの種類に応じた閾値を設定すれば、吐出用駆動信号COMの種類に応じて待機処理を開始する温度が異なることになる。この結果、吐出用駆動信号COMの種類に基づいて待機処理を行うことができる。
検出温度Tpが同じであっても、消費電力が大きい場合は、消費電力が小さい場合と比較して、ジャンクション温度Tjが高くなる(Tj=Rθjc×P+Tp)。言い換えれば、温度センサ55の検出結果が同じであっても、トランジスタの消費電力が大きいのであれば、トランジスタが破壊されやすい。
したがって、本実施例では、ジャンクション温度Tjに沿った閾値を設定していることになる。
例えば、プリンタは、吐出用駆動信号COM1に対して限界値を70℃に決定し、吐出用駆動信号COM2に対して限界値を80℃に決定する。
これにより、吐出用駆動信号がCOM2の場合、温度検出センサ55の検出温度が80℃になるまで、印刷処理が続行される。このため、COM1の限界値と同じ70℃で印刷処理が停止される場合と比較して、連続して印刷できる枚数が多くなる。
これにより、チャンバ内のインクが撹拌されるので、ノズル内のインクの固化を抑制することができる。
但し、これに限られるものではない。駆動信号発生器641は、吐出用駆動信号COMの発生を待機させるとき、非吐出用駆動信号の発生を待機させても良い。この場合、ヘッドをキャップ等で覆い、ノズル内のインクの蒸発を抑制することが望ましい。
また、駆動信号発生器641が非吐出用駆動信号の発生を行わないものであっても良い。
そのため、ジャンクション温度Tjと温度センサ55の検出温度の関係は、Tj=Rθjc×P+Tpとなる。すなわち、温度センサ55の検出温度が同じであっても、吐出用駆動信号COMの消費電力Pが多ければ、ジャンクション温度Tjが高くなり、トランジスタが破壊されやすくなる。
すなわち、温度センサ55が発熱部分の温度を直接検出できないような構造の場合に、吐出用駆動信号COMの種類に応じた待機処理を行うことが有効なのである。
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ(PFモータ)、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ(CRモータ)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、411 圧電素子、412 チャンバ、
42 ヘッド駆動回路、421 シフトレジスタ、422 ラッチ回路、
423 デコーダ、424 レベルシフタ、425 スイッチ、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、55 温度センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、641 駆動信号発生器、
Q1・Q2 トランジスタ、
100 印刷システム、110 コンピュータ、
120 表示装置、
130 入力装置、130A キーボード、130B マウス、
140 記録再生装置、
140A フレキシブルディスクドライブ装置、
140B CD−ROMドライブ装置
Claims (20)
- 素子を駆動して液体を媒体に吐出する液体吐出装置であって、
前記素子を駆動して前記液体を吐出するための吐出用駆動信号を発生する駆動信号発生器と、
前記駆動信号発生器の温度を検出するためのセンサと、
を備える液体吐出装置であって、
前記駆動信号発生器は、複数の種類の前記吐出用駆動信号を発生可能であり、
前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記複数の種類の前記吐出用駆動信号は、前記駆動信号発生器の消費電力がそれぞれ異なることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記複数の種類の前記吐出用駆動信号は、電圧がそれぞれ異なることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項2又は請求項3に記載の液体吐出装置であって、
前記複数の種類の前記吐出用駆動信号は、波形がそれぞれ異なることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置は、前記液体を吐出する吐出処理と、前記媒体を搬送する搬送処理とを繰り返し行うものであり、
繰り返し行われる前記吐出処理毎に、前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項5に記載の液体吐出装置であって、
前記媒体は、連続紙であることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置は、複数の前記媒体に連続して前記液体を吐出するものであり、
前記媒体毎に、前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項7に記載の液体吐出装置であって、
前記媒体は、カット紙であることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに応じて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機する待機時間が決定されることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項9に記載の液体吐出装置であって、
前記駆動信号発生器の消費電力の大きい前記吐出用駆動信号の種類ほど、前記待機時間が長くなることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項9又は請求項10に記載の液体吐出装置であって、
前記センサが高い温度を検出するほど、前記待機時間が長くなることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記吐出用駆動信号の種類に応じて、閾値が決定され、
前記センサの検出結果が前記閾値を越えたとき、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項12に記載の液体吐出装置であって、
前記駆動信号発生器の消費電力の大きい前記吐出用駆動信号の種類ほど、前記閾値が低い温度になることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜13のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置は、前記センサの検出結果が限界値を超えたとき、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を停止させるものであり、
前記吐出用駆動信号の種類に応じて、前記限界値が決定されることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜14のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記駆動信号発生器は、前記液体を吐出しないように前記素子を駆動するための非吐出用駆動信号を発生可能であり、
前記駆動信号発生器は、前記吐出用駆動信号の発生を待機させるとき、前記非吐出用駆動信号を発生することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜15のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記駆動信号発生器は、トランジスタを有し、
前記駆動信号発生器から前記吐出用駆動信号を発生するとき、前記トランジスタが発熱することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜16のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記センサは、前記駆動信号発生器の発熱部分とは異なる位置の温度を検出することを特徴とする液体吐出装置。 - 素子を駆動して液体を媒体に吐出する液体吐出装置であって、
前記素子を駆動して前記液体を吐出するための吐出用駆動信号を発生する駆動信号発生器と、
前記駆動信号発生器の温度を検出するためのセンサと、
を備える液体吐出装置であって、
前記駆動信号発生器は、複数の種類の前記吐出用駆動信号を発生可能であり、
前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させ、
前記複数の種類の前記吐出用駆動信号は、前記駆動信号発生器の消費電力がそれぞれ異なり、
前記複数の種類の前記吐出用駆動信号は、電圧がそれぞれ異なり、
前記複数の種類の前記吐出用駆動信号は、波形がそれぞれ異なり、
前記液体吐出装置は、前記液体を吐出する吐出処理と、前記媒体を搬送する搬送処理とを繰り返し行うものであり、繰り返し行われる前記吐出処理毎に、前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させ、
前記媒体は、連続紙であり、
前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに応じて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機する待機時間が決定され、
前記駆動信号発生器の消費電力の大きい前記吐出用駆動信号の種類ほど、前記待機時間が長くなり、
前記センサが高い温度を検出するほど、前記待機時間が長くなり、
前記吐出用駆動信号の種類に応じて、閾値が決定され、前記センサの検出結果が前記閾値を越えたとき、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させ、
前記駆動信号発生器の消費電力の大きい前記吐出用駆動信号の種類ほど、前記閾値が低い温度になり、
前記液体吐出装置は、前記センサの検出結果が限界値を超えたとき、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を停止させるものであり、
前記吐出用駆動信号の種類に応じて、前記限界値が決定され、
前記駆動信号発生器は、前記液体を吐出しないように前記素子を駆動するための非吐出用駆動信号を発生可能であり、
前記駆動信号発生器は、前記吐出用駆動信号の発生を待機させるとき、前記非吐出用駆動信号を発生し、
前記駆動信号発生器は、トランジスタを有し、
前記駆動信号発生器から前記吐出用駆動信号を発生するとき、前記トランジスタが発熱し、
前記センサは、前記駆動信号発生器の発熱部分とは異なる位置の温度を検出する
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 駆動信号発生器から吐出用駆動信号を発生し、
前記吐出用駆動信号に応じて液体を吐出する
液体吐出方法であって、
前記駆動信号発生器が、発生可能な複数の種類の前記吐出用駆動信号からいずれかの吐出用駆動信号を発生し、
前記駆動信号発生器の温度を検出し、
前記吐出用駆動信号の種類と前記駆動信号発生器の温度とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させる
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 素子を駆動してインクを紙に吐出する印刷装置とコンピュータとを備えた印刷システムであって、
前記印刷装置は、前記素子を駆動するための吐出用駆動信号を発生する駆動信号発生器と、前記駆動信号発生器の温度を検出するためのセンサと、を備え、
前記駆動信号発生器は、複数の種類の前記吐出用駆動信号を発生可能であり、
前記吐出用駆動信号の種類と前記センサの検出結果とに基づいて、前記駆動信号発生器からの前記吐出用駆動信号の発生を待機させることを特徴とする印刷システム。
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