JP4419590B2 - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
圧電素子を駆動してインクを紙に吐出するインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタは、圧電素子を駆動するための駆動信号を発生する駆動信号発生器を備えている。
インクジェットプリンタが連続して印刷処理を行うと、駆動信号発生器が発熱する。この発熱により、駆動信号発生器が高温になると、インクジェットプリンタが故障するおそれがある。
そこで、駆動信号発生器からの駆動信号の発生を待機させることが行われている。
特開2003−72058号公報
連続印刷するジョブをプリンタが実行する際に、プリンタが1枚印刷する毎に待機処理を行うことがある。このようなタイミングで待機処理を行う場合、ドット形成処理毎に待機処理を行う場合と比較して、待機処理の待機時間が長くなる傾向にある。しかし、駆動信号発生器からの駆動信号の発生を長時間待機させると、ノズルからのインクの蒸発により、インクの粘度が増し、印刷時に吐出不良となるおそれがある。
そこで、本発明は、待機処理時のインクの蒸発を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、ジョブを受信し、前記ジョブに従って素子を駆動してインクを吐出口から媒体に吐出し、前記媒体に印刷を行う印刷装置であって、前記素子を駆動するための駆動信号を発生する駆動信号発生器と、前記吐出口を覆うためのキャップと、を備える印刷装置である。そして、本発明では、複数の媒体を連続印刷する前記ジョブに従って前記印刷装置が前記複数の媒体を印刷する際に、前記印刷装置が各媒体への前記インクの吐出を終える毎に、前記駆動信号発生器は前記駆動信号の発生を待機し、前記キャップは前記吐出口を覆うことを特徴とする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明は、待機処理時のインクの蒸発を抑制することができる。
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
ジョブを受信し、前記ジョブに従って素子を駆動してインクを吐出口から媒体に吐出し、前記媒体に印刷を行う印刷装置であって、
前記素子を駆動するための駆動信号を発生する駆動信号発生器と、
前記吐出口を覆うためのキャップと、
を備え、
複数の媒体を連続印刷する前記ジョブに従って前記印刷装置が前記複数の媒体を印刷する際に、前記印刷装置が各媒体への前記インクの吐出を終える毎に、
前記駆動信号発生器は前記駆動信号の発生を待機し、
前記キャップは前記吐出口を覆う
ことを特徴とする印刷装置。
このような印刷装置によれば、待機処理時のインクの蒸発を抑制することができる。
かかる印刷装置であって、前記駆動信号発生器が前記駆動信号の発生を待機した後、前記印刷装置が次の前記媒体に印刷を行う前に、前記吐出口からインクを空吐出させることが望ましい。これにより、次の紙の印刷前に目詰まりを回復することができる。また、前記キャップは、前記吐出口から空吐出されたインクを受けることが好ましい。これにより、フラッシング時にキャップを兼用することができる。
かかる印刷装置であって、前記駆動信号発生器が前記駆動信号の発生を待機した後、前記印刷装置が次の前記媒体に印刷を行う前に、前記吐出口からインクを吸引することが望ましい。これにより、次の紙の印刷前に目詰まりを回復することができる。また、前記インクを吸引するとき、前記キャップと前記吐出口との間を負圧にすることが好ましい。これにより、インク吸引時にキャップを兼用することができる。
かかる印刷装置であって、前記印刷装置の電源をOFFにしたとき、前記キャップが前記吐出口を覆うことが望ましい。これにより、待機処理時と電源OFF時に同じキャップを用いることができる。
かかる印刷装置であって、前記印刷装置は、大きさの異なる前記媒体を印刷可能であり、印刷する前記媒体の大きさに応じて、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生の待機を待機させる待機時間を決定することが望ましい。これにより、駆動信号発生器に蓄積される熱に応じた待機時間を決定できる。
かかる印刷装置であって、前記駆動信号発生器の温度を検出するためのセンサを更に有し、前記センサの検出結果に基づいて、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生を待機させることが望ましい。また、閾値が設定されており、前記センサの検出結果が前記閾値を越えたとき、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生を待機させることが好ましい。これにより、印刷装置の印刷速度が速くなる。また、前記センサの検出結果に基づいて、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生を待機させる待機時間を決定することが好ましい。これにより、印刷装置の印刷速度が速くなる。また、前記センサが高い温度を検出するほど、前記待機時間が長くなることが好ましい。これにより、駆動信号発生器の温度が上昇しても良い範囲で、印刷装置の印刷速度が速くなる。
かかる印刷装置であって、前記駆動信号発生器は、複数の種類の前記駆動信号を発生可能であり、前記駆動信号の種類に基づいて、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生を待機させることが望ましい。これにより、印刷速度の速い安価な印刷装置を提供できる。また、前記駆動信号の種類に基づいて、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生を待機させる待機時間を決定することが好ましい。これにより、印刷速度の速い安価な印刷装置を提供できる。また、前記複数の種類の前記駆動信号は、前記駆動信号発生器の消費電力がそれぞれ異なり、前記駆動信号発生器の消費電力の大きい前記駆動信号の種類ほど、前記待機時間が長くなることが良い。消費電力が大きいほど、駆動信号発生器の放熱を行う必要があるからである。
なお、上記の構成要素を全て備えた印刷装置は、全ての効果を奏するので、有利である。
ジョブを受信し、前記ジョブに従って素子を駆動してインクを吐出口から媒体に吐出し、前記媒体に印刷を行う印刷方法であって、
複数の媒体を連続印刷する前記ジョブに従って前記印刷装置が前記複数の媒体を印刷する際に、前記印刷装置が各媒体への前記インクの吐出を終える毎に、
前記素子を駆動するための駆動信号の発生を待機させ、
前記吐出口をキャップで覆う
ことを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、待機処理時のインクの蒸発を抑制することができる。
===印刷システムの構成===
次に、印刷システム(コンピュータシステム)の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを備えている。プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ110は、プリンタ1と電気的に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。表示装置120は、ディスプレイを有し、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のユーザインタフェースを表示する。入力装置130は、例えばキーボード130Aやマウス130Bであり、表示装置120に表示されたユーザインタフェースに沿って、アプリケーションプログラムの操作やプリンタドライバの設定等に用いられる。記録再生装置140は、例えばフレキシブルディスクドライブ装置140AやCD−ROMドライブ装置140Bが用いられる。
コンピュータ110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインタフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
なお、「印刷装置」とは、狭義にはプリンタ1を意味するが、広義にはプリンタ1とコンピュータ110とのシステムを意味する。
また、アプリケーションプログラムからプリンタドライバが受け取った画像データに対応する印刷データを、ジョブと呼ぶ。ジョブの内容が、紙1枚分の印刷データである場合もあれば、複数枚分の印刷データである場合もある。ジョブが複数枚分の印刷データである場合、プリンタは、複数の紙に対して連続印刷を行うことになる。
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
コンピュータ110では、コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバやアプリケーションプログラムやプリンタドライバなどのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバは、アプリケーションプログラムやプリンタドライバからの表示命令に従って、例えばユーザインターフェース等を表示装置120に表示する機能を有する。アプリケーションプログラムは、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザは、アプリケーションプログラムのユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラムにより編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラムは、印刷の指示を受けると、プリンタドライバに画像データを出力する。
プリンタドライバは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタに出力する。ここで、印刷データとは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。ここで、コマンドデータとは、プリンタに特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する紙上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
<プリンタドライバの設定について>
図2は、プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。このプリンタドライバのユーザインターフェースは、ビデオドライバを介して、表示装置に表示される。ユーザーは、入力装置130を用いて、プリンタドライバの各種の設定を行うことができる。
ユーザーは、この画面上から、印刷モードを選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷モードとして、高速印刷モード(はやい)又はファイン印刷モード(きれい)を選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された印刷モードに応じた形式になるように、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷に用いられる印刷用紙を選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷用紙として、普通紙や光沢紙を選択することができる。紙の種類(紙種)が異なれば、インクの滲み方や乾き方も異なるため、印刷に適したインク量も異なる。そのため、プリンタドライバは、選択された紙種に応じて、画像データを印刷データに変換する。
ユーザーが選択した印刷モードや印刷用紙の種類に応じて、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔)が決定される。また、ユーザーが選択した印刷モードや印刷用紙の種類に応じて、後述するキャリッジの移動速度や、吐出用駆動信号COMの種類が決定される。この決定内容は、印刷データのコマンドデータとしてプリンタに送信される。
このように、プリンタドライバは、ユーザインターフェースを介して設定された条件に従って、画像データを印刷データに変換する。
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成について>
図3は、本実施形態のプリンタの全体構成のブロック図である。また、図4は、本実施形態のプリンタの全体構成の概略図である。また、図5は、本実施形態のプリンタの全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
本実施形態のプリンタは、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、およびコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を形成する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。検出器群50から検出結果を受けたコントローラ60は、その検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(以下、搬送方向という)に所定の搬送量で紙を搬送させるためのものである。すなわち、搬送ユニット20は、紙を搬送する搬送機構(搬送手段)として機能する。搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。ただし、搬送ユニット20が搬送機構として機能するためには、必ずしもこれらの構成要素を全て必要とするわけではない。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に自動的に給紙するためのローラである。給紙ローラ21は、D形の断面形状をしており、円周部分の長さは搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて紙を搬送ローラ23まで搬送できる。搬送モータ22は、紙を搬送方向に搬送するためのモータであり、DCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、印刷が終了した紙Sをプリンタの外部に排出するローラである。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。なお、プリンタには、A4用紙やB5用紙などのカット紙を搬送する経路Aと、ロール紙などの連続紙を搬送する経路Bの2つの経路がある(図5参照)。
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能である。(これにより、ヘッドが移動方向に沿って移動する。)また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動方向に移動させるためのモータであり、DCモータにより構成される。
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。ヘッドユニット40は、プリンタ本体側の制御ユニットから、ケーブル45を介して、ヘッドを駆動するためのデータを取得する。このケーブル45は、柔軟な帯状のケーブルであり、プリンタ本体とキャリッジ31とを柔軟に連結し、プリンタ本体とヘッドユニット41とを電気的に連結する。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が搬送ローラ23に向かって紙を給紙する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ41によって移動しながら紙の端部の位置を検出する。光学センサ54は、光学的に紙の端部を検出するため、機械的な紙検出センサ53よりも、検出精度が高い。
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御手段)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64と、クロック65とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。クロック65は、一定周期のクロック信号CKをCPU62やユニット制御回路64へ出力する。
===キャップユニット===
本実施形態のプリンタは、更にキャップユニット70を備えている。図6は、キャップユニットを上から見た図である。図7は、キャップユニットを横から見た図である。これらの図と図4を用いて、キャップユニット70について説明する。
このキャップユニット70は、キャップ71と、スライダ72と、ガイド機構73と、回転機構74と、復元機構75とを有する。キャップ1は、スライダ72、ガイド機構73、回転機構74及び復元機構75によって、移動可能に設けられている。スライダ72は、キャップ71と一体的に設けられている。スライダ72は、接触部721を有する。ガイド機構73は、ガイド軸731と、ガイド732とを有する。ガイド軸731は、スライダ72と一体的に設けられている。ガイド732は、ガイド穴732Aを有し、そのガイド穴732Aによって、ガイド軸731の移動可能な方向が規制されている。回転機構74は、スライダ側部材741と、本体側部材742と、回転軸743とを有する。スライダ側部材741は、スライダ72と一体的に設けられており、回転可能に回転軸743とリンクしている。本体側部材742は、本体側に固定されており、回転可能に回転軸743とリンクしている。復元機構75は、スライダ側バネ掛け部材751と、本体側バネ掛け部材752と、バネ753とを有する。スライダ側バネ掛け部材751は、バネを引っかけるための溝が設けられており、ガイド軸731と一体的に設けられている。本体側バネ掛け部752は、バネを引っかけるためのかぎ形状の部材であり、本体側に固定されている。バネ753は、一端がスライダ側バネ掛け部材751に掛けられ、他端が本体側バネ掛け部材752に掛けられ、両者が近づく方向に力を付与している。
キャリッジ31が図中の右方向に移動すると、キャリッジ31と一体的に設けられた部材311が接触部721と接触する。さらにキャリッジ31が移動すると、スライダ72が、接触部721を介して力を受けて、バネ753の力に対向しながら移動する。スライダ72が移動するとき、ガイド軸731がガイド穴732Aによって規制されている。また、スライダ72は、回転機構74によっても移動方向が規制されている。そのため、ガイド機構73及び回転機構74によって許容される方向にスライダ72が移動する。このスライダ72の移動により、キャップ71が右方向に移動しつつ上昇し、キャップ71がヘッド41を覆う。このときのキャリッジ31の位置をホームポジションという。
キャリッジ31がホームポジションから図中の左側に移動すると、スライダ72がバネ753の復元力を受けて移動する。この移動の際にも、ガイド機構73及び回転機構74によって許容される方向にスライダ72が移動する。このスライダ72の移動により、キャップ71が左方向に移動しつつ下降し、キャップ71がヘッド41から外れる。
キャリッジ41がホームポジションに位置するとき、キャップ71はヘッド41を覆い、ヘッド41を外気から遮断する。つまり、キャップ71は、ノズルの乾燥を防止するための蓋としての機能を果たす。キャップ71がヘッド41を覆うことによって、ノズルからのインクの蒸発を防ぎ、インクの増粘によるノズルの目詰まりを防ぐことができる。
また、キャリッジ41がホームポジションに位置するとき、ヘッド41とキャップ71との間の空間は、密閉されている。キャップ71には吸引口71Aが設けられており、吸引口71Aが負圧になると、ノズル内のインクが吸引される。つまり、キャップ71は、インク吸引のための筐体としての機能を備える。インク吸引によって、ノズル内の気泡を除去し、インクの吐出不良を防ぐことができる。
また、キャリッジ31の部材311と接触部721とが接触する前後において、既にキャップ71はヘッド41と対向している。そして、プリンタは、キャリッジ31をこのような位置に移動したとき、フラッシング処理を行う(このときのキャリッジ31の位置をフラッシング位置という)。フラッシング処理とは、ヘッド41がヘッド41からインクを空吐出(紙と対向しない状況でインクを吐出すること)させ、ノズルの目詰まりを防ぐ処理である。つまり、キャップ71は、フラッシング処理時のインク受けとしての機能を果たす。なお、キャップ71には、インクを吸収するための吸収体71B(例えばスポンジ等)が設けられている。
プリンタの電源がOFFのとき、ノズルからのインクの蒸発を防ぐため、コントローラ60は、キャリッジ31をホームポジションに移動する。また、本実施形態では、待機処理(後述)の際にキャップ71でヘッド41を覆うため、コントローラ60は、キャリッジ31をホームポジションに移動する。
===ヘッドの駆動===
図8は、ヘッドの駆動を行う構成要素の説明図である。図9は、駆動信号発生器の電気回路の概略説明図である。図10は、駆動信号発生器が発生する複数の駆動信号の説明図である。図11は、画素データと、レベルシフタの出力信号及び圧電素子への入力信号との関係の説明図である。既に説明した構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
ヘッドユニット41は、ヘッド41と、ヘッド41を駆動するためのヘッド駆動回路42とを有する。ヘッド41は、複数のノズルを備えるとともに、各ノズルに対応して設けられた圧電素子411と、チャンバ412とを有する。ヘッド駆動回路42は、複数のノズルにそれぞれ対応して設けられている。各ヘッド駆動回路42は、シフトレジスタ421と、ラッチ回路422と、デコーダ423と、レベルシフタ424と、スイッチ425と、をそれぞれ有する。
ユニット制御回路64は、駆動信号発生器641を有する。駆動信号発生器は、2つのトランジスタQ1及びQ2と、ICとを有する。ICは、2つのトランジスタのエミッタ側の電圧に応じて、各トランジスタへフィードバックする。各トランジスタのエミッタ側の電圧信号は、吐出用駆動信号COMとして、ケーブル45を介して、ヘッド駆動回路へ出力される。
駆動信号発生器641は、複数の種類の吐出用駆動信号COM1〜COM3を発生することができる。吐出用駆動信号COM1は、360dpiの解像度でプリンタが印刷を行うときの駆動信号である。吐出用駆動信号COM2は、720dpiの解像度でプリンタが印刷を行うときの駆動信号である。吐出用駆動信号COM2は、吐出用駆動信号COM1と比較して、基本周期が短く、電圧が低い。吐出用駆動信号COM3は、1440dpiの解像度でプリンタが印刷を行うときの駆動信号である。吐出用駆動信号COM3は、吐出用駆動信号COM2と比較して、波形の山が一つ少なく、基本周期が短い。駆動信号発生器641は、吐出用駆動信号COM1を7kHzで発生させ、COM2を8kHzで発生させる。
また、駆動信号発生器641は、非吐出用駆動信号を発生することができる。この非吐出用駆動信号は、インクを吐出しないように圧電素子411を駆動するための駆動信号である。非吐出用駆動信号は、吐出用駆動信号COMと比較して、電圧が低い。そのため、駆動信号発生器641が非吐出用駆動信号を発生するときの消費電力は、駆動信号発生器641が吐出用駆動信号COMを発生するときの消費電力と比較して、少ない。
次に、ヘッド駆動回路42の動作について説明する。以下の説明では、駆動信号発生器641が吐出用駆動信号COM1を発生する場合について説明する。
シフトレジスタ421は、クロック65からクロック信号CKを受信するとともに、ユニット制御回路64から信号SIを受信する。ユニット制御回路から送信される印刷信号SIは、ノズル♯1〜ノズル♯180に対応する180個の画素データを示す信号である。本実施形態では、1画素について2ビット分の画素データが割り当てられ、1度に180個のノズルがインクを吐出するので、印刷信号SIには、360ビット分の信号が含まれている。各シフトレジスタは、印刷信号SI中の画素データのうち、担当するノズルに対応する画素データを受信する。
所定のタイミングでユニット制御回路64からラッチ回路422にラッチ信号LATが出力される。ラッチ回路422は、ラッチ信号LATが入力されると、画素データをラッチする。
ラッチ回路422にラッチされた画素データは、デコーダ423に入力される。デコーダ423は、2ビット分の画素データをパルス選択データ(パルス選択信号)に変換する。駆動信号発生器の発生する吐出用駆動信号がCOM1である場合、デコーダ423は、画素データ「00」をパルス選択データ「1000000」に変換する。同様に、デコーダ424は、画素データ「01」をパルス選択データ「0000100」に、画素データ「10」をパルス選択データ「0001100」に、画素データ「11」をパルス選択データ「0111111」に、変換する。なお、デコーダ423が2ビットの画素データを7ビットのパルス選択データに変換するのは、吐出用駆動信号COM1が7つの波形から構成されているからである。吐出用駆動信号COMを構成する波形の数が変われば、パルス選択データのビット数も変わることになる。
レベルシフタ424は、電圧増幅器として機能する。そして、レベルシフタ424は、パルス選択データが「0」の場合、Lレベル(スイッチ425を駆動できない電圧、例えば0ボルト)を出力する。また、レベルシフタ424は、パルス選択データが「1」の場合、Hレベル(スイッチ回路425を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧)を出力する。
図11の点線のタイミングで、チェンジ信号CHがユニット制御回路からヘッド駆動回路に入力されている(不図示)。レベルシフタ424は、点線のタイミングで送られてくるチェンジ信号CHに応じて、LレベルとHレベルの出力を切り換える。
スイッチ425は、レベルシフタの出力がLレベルの場合にはOFF状態になり、レベルシフタの出力がHレベルの場合にはON状態になる。この結果、スイッチ425に吐出用駆動信号COM1の波形が入力されたとき、レベルシフタの出力がHレベルならば、そのときの波形が圧電素子411へ入力され、その波形に応じて圧電素子411が駆動される。スイッチ425に吐出用駆動信号COM1の波形が入力されたとき、レベルシフタの出力がLレベルならば、そのときの波形は圧電素子411へ入力されず、圧電素子411は駆動されない。
例えば、画素データが「00」の場合、7つの波形から構成される吐出用駆動信号COM1の最初の波形のみが圧電素子へ入力される。COM1の最初の波形は、ノズルからインクを吐出できない程度に圧電素子を微振動させる波形である。つまり、ノズルからインクを吐出しない場合であっても、圧電素子411は駆動されており、チャンバを伸縮させてインクを流動させ、ノズルの目詰まりを防止している。
また、画素データが「01」〜「11」の場合、吐出用駆動信号COM1の中央部の波形が圧電素子へ入力される。画素データが大きいほど、圧電素子へ入力される波形の数が多くなり、吐出される液滴の量が多くなり、紙に形成されるドットが大きくなる。
プリンタは、以上の動作により、画素データが「00」の場合はドットを形成せず、画素データが「01」の場合は小ドットを形成し、画素データが「10」の場合は中ドットを形成し、画素データが「11」の場合は大ドットを形成する。
上記の説明では、1つの画素へ1つのドットを形成するための動作しか説明していないが、実際には、キャリッジ31の移動中にヘッド41はインク滴を断続的に吐出するので、上記の動作が連続的に繰り返される。
なお、非吐出用駆動信号は画素データに基づき圧電素子を駆動するための信号ではないので、駆動信号発生器641が非吐出用駆動信号を発生するときは、その非吐出用駆動信号によってそのまま圧電素子が駆動される。
===駆動信号発生器の発熱===
既に説明した通り、駆動信号発生器は、2つのトランジスタQ1及びQ2を有する。この2つのトランジスタは、吐出用駆動信号COMを発生するときに、発熱する。この発熱によって、トランジスタ自身の温度が高温になると、トランジスタが破壊されるおそれがある。そこで、高温によるトランジスタの破壊を回避すべく、温度センサを設け、コントローラ60がトランジスタの温度を管理している。
図12A及び図12Bは、温度センサの取付位置の説明図である。駆動信号発生器641の基板には、トランジスタQ1のケース及びトランジスタQ2のケースが設けられている。図12Aは基板を横から見た図であり、図12Bはヒートシンクを外したときの基板を上から見た図である。
2つのトランジスタQ1及びQ2は、基板とヒートシンクに挟まれるように設けられている。ヒートシンクはトランジスタと接触しており、トランジスタが発熱すると、その熱がヒートシンクに伝熱されて、外部へ放熱される。
ヒートシンクを小型化すれば、トランジスタから発生する熱の放出量が小さくなり、トランジスタの温度が高温になりやすくなる。しかし、トランジスタの温度を適正に制御できれば、トランジスタが破壊される温度を見極めることができるので、ヒートシンクの小型化を図ることができる。そして、ヒートシンクを小型化できれば、プリンタ全体の小型化を図ることもできる。そこで、本実施形態では、トランジスタの温度を制御するため、温度センサ55が基板上に設けられている。
2つのトランジスタのケースの間に温度センサ55が設けられている。温度センサ55は、直接的には基板及び周囲温度を検出することにより、トランジスタの温度を間接的に検出することになる。
一方、トランジスタを構成する半導体には接合部というポイントがあり、この部分で熱が発生する。発生した熱は、トランジスタ本体を熱伝導して外に逃げていく。そして、トランジスタ毎に接合部に許容される最高温度が決められており、この温度をジャンクション温度(あるいは接合部温度)という。このジャンクション温度が125℃以上になると、熱によりトランジスタが破壊される。
そこで、ジャンクション温度とケースの温度(温度センサ55の検出温度)との関係が問題となる。
ジャンクション温度をTjとし、ケース温度をTpとすると、TjとTpとの関係は、次式のようになる。(なお、Rθjcは接合部(ジャンクション)からケースまでの熱損失である。また、Pは消費電力である。)
Tj = Rθjc×P + Tp
この式から理解される通り、ケース温度Tpが同じであっても、消費電力Pが大きい場合は、消費電力Pが小さい場合と比較して、ジャンクション温度Tjが高くなる。言い換えれば、温度センサ55の検出結果が同じであっても、トランジスタの消費電力が大きいのであれば、トランジスタが破壊されやすい状態になる。
消費電力は、トランジスタが発生する吐出用駆動信号COMの種類によって異なっている。例えば、駆動信号発生器641が吐出用駆動信号COM1を発生する場合、吐出用駆動信号COM2や吐出用駆動信号COM3を発生する場合と比較して、トランジスタの消費電力が大きくなる。そこで、温度センサの検出結果及び吐出用駆動信号COMの種類に基づいて、吐出用駆動信号COMの発生を待機(一時停止)させ、トランジスタ自身の温度の上昇を抑えている。
ところで、駆動信号発生器641が吐出用駆動信号COMや非吐出用駆動信号の発生を待機すると、ノズル内のインクが流動しない状態になるので、以下のような問題が発生する。第1に、ノズルからインクが蒸発し、インクの粘度が上昇し、インクが固化するおそれがある。第2に、ノズルに塵埃が付着するおそれがある。第3に、ノズル内に気泡が混入するおそれもある。そして、駆動信号発生器641が吐出用駆動信号COMの発生を再開したとき、これらの問題によるインクの吐出不良によって、インク不吐出によるドット未形成や、飛行曲がりによるドットの位置ズレが発生する。この結果、プリンタによる印刷画像の画質に筋が入り、画質が劣悪なものとなる。
そこで、以下に説明する本実施形態では、駆動信号発生器641が吐出用駆動信号COMや非吐出用駆動信号の発生を待機する際には、キャップがヘッド41(ノズル)を覆い、インクの蒸発や塵埃の付着を防いでいる。また、駆動信号発生器641の待機処理の後、プリンタはフラッシング処理を行い、ノズル内の気泡の混入を回復させている。
===本実施形態の制御方法===
<印刷処理について>
図13は、印刷処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
また、図14A〜図14Cは、待機条件を示す表である。図14Aの表はCOM1の待機条件を示し、図14Bの表はCOM2の待機条件を示し、図14Cの表はCOM3の待機条件を示す。各待機条件は、温度センサ55の検出温度と、吐出用駆動信号の発生を待機する待機時間との関係を示している。これらの3つの待機条件は、メモリ63内に格納されている。
コントローラ60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する(S101)。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙処理・搬送処理・インク吐出処理等を行う。
本実施形態では、印刷データ中のコマンドデータとして、駆動信号指定データがある。駆動信号指定データは、3種類の吐出用駆動信号COM1〜COM3のいずれの吐出用駆動信号を印刷時に用いるかを指定するための情報である。ここでは、駆動信号指定データが、吐出用駆動信号COM1を指定しているものとして、説明を進める。
次に、コントローラ60は、印刷データ中の駆動信号指定データに応じて、待機条件を設定する(S102)。ここでは、駆動信号指定データが吐出用駆動信号COM1を指定しているので、コントローラ60は、3つの待機条件の中から図14Aの待機条件(閾値と待機時間)を設定する。ここで設定される閾値は、60℃、65℃及び70℃である。また、設定される待機時間は、60℃以上65℃未満において30秒、65℃以上70℃未満において60秒である。
次に、コントローラ60は、給紙処理を行う(S103)。給紙処理とは、印刷すべき紙をプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき紙を搬送ローラ23まで送る。コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。紙が印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、紙と対向している。なお、給紙処理の間、コントローラ60は、駆動信号発生器641を利用して、非吐出用駆動信号を発生させる。圧電素子が非吐出用駆動信号によってチャンバ412を振動させることにより、チャンバ内のインクが撹拌されるので、ノズル内のインクの固化を抑制することができる。
次に、コントローラ60は、ドット形成処理を行う(S104)。ドット形成処理とは、移動方向に沿って移動するヘッドからインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成する処理である。コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動方向に移動させる。そして、コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッドからインクを吐出させる。ヘッドから吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成される。
ドット形成処理の間、コントローラ60は、駆動信号発生器641を利用して、駆動信号指定データにより指定された吐出用駆動信号COM1を連続して発生させる。このとき、2つのトランジスタQ1及びQ2が発熱する。
次に、コントローラ60は、搬送処理を行う(S105)。搬送処理とは、紙をヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラ60は、搬送モータを駆動し、搬送ローラを回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
搬送処理の間、コントローラ60は、駆動信号発生器641を利用して、非吐出用駆動信号を発生させる。圧電素子が非吐出用駆動信号によってチャンバ412を振動させることにより、チャンバ内のインクが撹拌されるので、ノズル内のインクの固化を抑制することができる。なお、コントローラ60は、次のドット形成処理が開始されるまでの間、駆動信号発生器641から非吐出用駆動信号を発生させ続けている。
次に、コントローラ60は、印刷中の紙の排紙の判断を行う(S106)。印刷中の紙に印刷するためのデータが残っていれば、排紙は行われない(S106でNO)。そして、コントローラ60は、印刷するためのデータがなくなるまでドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に紙に印刷する。
印刷中の紙に印刷するためのデータがなくなれば(S106でYES)、コントローラ60は、その紙を排紙する(S107)。コントローラ60は、排紙ローラを回転させることにより、印刷した紙を外部に排出する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
排紙処理後、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う(S108)。次の紙に印刷を行わないのであれば(S108でYES)、印刷動作を終了する。
ジョブが複数の紙を連続印刷する内容である場合、1枚目を印刷した後、2枚目の印刷を行うため、印刷を続行することになる(S108でNO)。但し、1枚目を印刷するときに、ドット形成処理が繰り返し行われているので、トランジスタから発生する熱が蓄積され、トランジスタの周囲の温度が上昇している。トランジスタのジャンクション温度が高温になると、トランジスタが破壊され、プリンタが故障してしまう。
そこで、1枚目の紙を印刷し終えた後、コントローラ60は、温度センサ55の出力に基づいて、温度を検出する(S109)。ここでは、1枚目の印刷を終えたときの温度センサ55の検出温度が、室温よりも少し高い50℃であるものとして、説明する。
コントローラ60は、温度センサ55の検出温度と設定された閾値(図14A参照)とを比較する(S110)。ここでは温度センサ55の検出温度が50℃なので、この検出温度は、最初の閾値60℃よりも低い(S110でYES)。そのため、コントローラ60は、待機処理を行わずに、次の紙の印刷を開始する(S103)。そして、コントローラ60は、この後、連続印刷を行うため、上記のS104〜S110の動作を繰り返す(コントローラ60は、ジョブの示す印刷内容を終えるまで(S108でYES)、上記のS104〜S110の動作を繰り返す)。
連続印刷により、トランジスタの温度は更に上昇し、トランジスタのケース温度も更に上昇する。次に、S109において温度センサ55の検出温度が61℃に達したものとして、説明する。
コントローラ60は、温度センサ55の検出温度と設定された閾値(図14A参照)とを比較する(S110)。ここでは温度センサ55の検出温度が61℃なので、この検出温度は、最初の閾値60℃よりも高い(S110でNO)。この検出温度は60℃以上65℃未満であるので、コントローラ60は、待機時間を30秒と決定する(S111)。
次に、コントローラ60は、決定された待機時間に応じて、待機処理を行う(S112)。待機処理の間、コントローラ60は、駆動信号発生器641から吐出用駆動信号COM1及び非吐出用駆動信号を発生させないようにする。これにより、待機処理の間、駆動信号発生器641はトランジスタを利用しないので、トランジスタから熱が放出されて、トランジスタの温度上昇が抑えられる。また、コントローラ60は、待機処理を行う際にキャリッジ31をホームポジションまで移動させ、待機処理の間、ヘッド41(ノズル)をキャップで覆う(キャッピング処理)。そして、コントローラ60は、この状態を30秒間維持させる。キャリッジ31がホームポジションにいる間、駆動信号発生器641は非吐出用駆動信号を発生しないが、キャップによりヘッド41が覆われているので、ノズル内のインクの固化を防ぐことができる。
待機処理後、コントローラ60は、フラッシング処理を行う(S113)。待機処理の間、ノズル内のインクが流動していないので、ノズルが目詰まりしているおそれがあるからである。但し、待機処理の間、ヘッド41がキャップに覆われているため、ノズルからのインクの蒸発が抑制されるので、大量のインクを空吐出させなくても良い。
そして、フラッシング処理後、コントローラ60は、更に次の紙の印刷を行うため、印刷を続行する。ジョブの示す枚数をプリンタが印刷し終えるまで、コントローラ60は、上記のS103〜S113の動作を繰り返す。
温度センサ55の検出温度が60℃以上65℃未満の場合、プリンタは、1枚印刷する毎に、30秒間の待機処理を行うことになる。このため、プリンタが待機処理を行うようになった後、連続印刷の速度が遅くなる。
コントローラ60は、温度センサ55の検出温度が65℃を越えると、待機時間を30秒から60秒に延ばし、待機時間中にトランジスタのケースの放熱量を多くさせる。ユーザーが正常にプリンタを使用しているのであれば、吐出用駆動信号COM1による印刷時に温度センサ55の検出温度が70℃を越えることがないように、待機時間が設定されている。
コントローラ60は、温度センサ55の検出温度が70℃を越えたとき、トランジスタのジャンクション温度が125℃(トランジスタ回路が破壊される温度)に近づいているので、プリンタ全体の印刷処理を停止させる。このとき、コントローラ60は、コンピュータ側のプリンタドライバにエラー情報を送信する。エラー情報を受けたプリンタドライバは、ディスプレイにエラーを表示する。
なお、温度センサ55の検出温度が−20℃よりも低い場合も、想定されている使用環境ではないので、コントローラ60は、印刷処理を停止させ、エラー処理を行う。
コントローラ60は、ジョブの示す印刷内容を終えるまで(S108でYES)、上記のS104〜S113の動作を繰り返し、連続印刷を行う。
<温度変化について>
図15は、印刷処理を続けたときのジャンクション温度Tjの時間変化のグラフである。グラフの縦軸は温度(℃)を示し、横軸は時間を示す。なお、横軸の時間軸は、数十枚〜数百枚を印刷する程度の時間軸である。
待機処理を行わない場合、印刷処理を続けると、ジャンクション温度Tjが上昇し続ける。そして、印刷処理をしばらく続けると、ジャンクション温度が125℃に達し、トランジスタが破壊され、プリンタが故障する。
一方、本実施形態のように待機処理を行えば、ジャンクション温度Tjが高くなると(ケース温度が約60℃になると)、プリンタは、待機処理を行うようになる。この結果、連続印刷の速度が遅くなるが、ジャンクション温度の上昇が抑えられる。
<最初から待機時間を60秒とした場合>
図16は、最初から待機時間を60秒としたときのジャンクション温度Tjの温度変化のグラフである。最初から待機時間を60秒とした場合、本実施形態と比較して、ジャンクション温度Tjの上昇が最初から抑えられることになる。
しかし、この場合、ジャンクション温度Tjが低いときにも、待機時間を60秒とする待機処理が行われるので、1枚当たりの印刷速度が遅くなる。
一方、本実施形態では、温度検出センサ55の検出温度が60℃に達するまでの間、待機処理が行われないので、最初から待機時間を60秒とした場合と比較して、プリンタの印刷速度が速い。また、本実施形態では、温度検出センサ55の検出温度が65℃に達するまでの間、待機処理が30秒なので、最初から待機時間を60秒とした場合と比較して、プリンタの印刷速度が速い。
本実施形態では、最初から待機時間を60秒とした場合と比較して、ジャンクション温度Tjが高くなる。しかし、本実施形態でも、ジャンクション温度Tjは125℃を越えないので、トランジスタの破壊を回避することができる。
<吐出用駆動信号の種類と待機条件との関係>
図17は、吐出用駆動信号の種類によらず同じ待機条件としたとき(比較例)のジャンクション温度Tjの温度変化のグラフである。ここでは比較のため、COM2の吐出用駆動信号でプリンタが印刷を行うときも、COM1の待機条件(図14A)で待機処理が行われる(本来ならば、COM2の吐出用駆動信号でプリンタが印刷を行うとき、COM2の待機条件で待機処理が行われる。)。
既に説明した通り、吐出用駆動信号COM2で印刷を行う場合、吐出用駆動信号COM1と比較して、トランジスタの消費電力が少ない。そのため、吐出用駆動信号COM2でプリンタが印刷するときに、消費電力が多い吐出用駆動信号COM1の待機条件を基準に待機処理を行うと、ジャンクション温度Tjが低いときにも待機処理が行われることになり、連続印刷の速度が遅くなる。
そこで、本実施形態では、吐出用駆動信号COMの種類に応じて、待機条件を変えている。例えば、COM2の吐出用駆動信号でプリンタが印刷するとき、COM1の待機条件とは異なる待機条件(図14B参照)で待機処理が行われる。
これにより、COM2の吐出用駆動信号でプリンタが印刷するとき、温度検出センサ55の検出温度が70℃に達するまでの間、待機処理が行われない。この結果、温度検出センサ55の検出温度が60℃から70℃までの間、本実施形態のプリンタは、上記の比較例よりも、印刷速度が速い。
また、本実施形態では、温度検出センサ55の検出温度が70℃から75℃までの間、待機時間は20秒に設定される。このため、本実施形態は、待機時間が30秒の場合と比較して、連続印刷の速度が速い。
また、本実施形態では、温度検出センサ55の検出温度が80℃になるまで、印刷処理が続行される。このため、本実施形態は、70℃で印刷処理が停止される場合と比較して、連続印刷できる枚数が多い。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<待機処理について>
プリンタが1枚印刷する毎に待機処理を行う場合、吐出用駆動信号COMの種類が同じであっても、紙の大きさに応じて待機時間を変更しても良い。例えば、A4サイズの紙を複数印刷する場合の待機時間は、A5サイズの紙を複数印刷する場合の待機時間よりも、長くなる。紙が大きければ、1枚印刷する間に蓄積される熱量が多くなるからである。したがって、この場合、プリンタのメモリ63は、図14A〜図14Cのような表を、紙の種類に応じて格納する。
この実施形態は、1枚印刷する毎に待機処理を行うので、A4紙やB5紙などのカット紙の印刷処理に用いることが望ましい。そして、紙が大きくなるほど、待機時間が長くなるように設定されることが望ましい。例えば、プリンタがA4紙を印刷する場合、A5紙の場合よりも、待機時間が長くなるように設定される。
<待機条件について>
前述の実施形態では、プリンタは、待機時間を段階的に変えていた(例えば、30秒から60秒)が、これに限られるものではない。また、前述の実施形態では、プリンタは、吐出用駆動信号の種類に応じて待機時間を変えていたが、これに限られるものではない。
図18は、別の実施形態のフロー図である。また、図19は、吐出用駆動信号の種類と閾値との関係を示す表である。
コントローラ60は、印刷命令を受信した後、印刷データ中の駆動信号指定データに応じて、閾値を設定する(S202)。例えば、駆動信号指定データが吐出用駆動信号COM1を指定している場合、コントローラは、閾値を65℃に設定する。
その後、コントローラ60は、1枚印刷する毎に温度を検出する(S109)。そして、設定された閾値を検出温度が越えていなければ(S110でYES)、待機処理を行わない。一方、設定された閾値を検出温度が越えていれば(S110でNO)、予め設定された待機時間(例えば60秒)で待機処理を行う(S112)。そして、待機処理後、フラッシング処理(S113)を行う。
このようにしても、待機処理時にヘッド41をキャップで覆うので、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、このようにしても、待機処理後にフラッシング動作を行うので、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<フラッシング処理について>
前述の実施形態では、プリンタは、待機処理後、次の紙の印刷前に、フラッシング処理を行っていた。しかし、待機処理後に行われるクリーニング処理(ノズルの目詰まりを予防・回復する処理)は、これに限られるものではない。例えば、インク吸引処理であっても良い。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
===まとめ===
(1)前述のプリンタ(印刷装置)は、ジョブを受信し、ジョブに従って圧電素子を駆動してインクをノズル(吐出口)から紙(媒体)に吐出し、紙に印刷を行うものである。そして、このプリンタは、圧電素子を駆動するための吐出用駆動信号を発生する駆動信号発生器641を備えている。
連続印刷するジョブをプリンタが実行すると、駆動信号発生器(詳しくはトランジスタの接合部)が発熱する。この発熱が蓄積されると、駆動信号発生器が高温になり、プリンタが故障するおそれがある。そこで、プリンタが1枚印刷する毎に(各媒体へインクの吐出を終える毎に)、駆動信号発生器は、吐出用駆動信号の発生を待機している。
1枚印刷する毎に待機処理を行う場合、ドット形成処理毎に待機処理を行う場合と比較して、駆動信号発生器に蓄積される熱が多いため、待機処理の待機時間が長くなる。しかし、待機処理が長時間になると、ノズルからのインクの蒸発により、インクの粘度が増し、印刷時に吐出不良となるおそれがある。
そこで、前述のプリンタ(印刷装置)は、ノズル(吐出口)を覆うためのキャップ71を備えている。そして、待機処理のときに、キャップ71がノズルを覆うことにしている。これにより、インクの蒸発を防ぐことができるので、インクの目詰まりを回避して、吐出不良による画質の劣化を防ぐことができる。
(2)前述のプリンタは、待機処理後、次の紙(媒体)の印刷前に、フラッシング処理(ノズルからインクを空吐出させること)を行っている。
待機処理の間、駆動信号が発生しないので、圧電素子を微振動させること(ノズルからインクを吐出できない程度に圧電素子を駆動すること)もできない。そのため、キャップ71がノズルを覆っても、ノズルにインクが目詰まりするおそれがある。前述のプリンタは、フラッシング処理を行うことにより、たとえ待機処理の間にインクの目詰まりが生じても、次の紙の印刷前に目詰まりを回復することができる。
(3)前述のプリンタでは、キャップ71が、フラッシング処理の際に吐出されるインクを受けている。これにより、キャップ71が複数の機能を果たすので、プリンタの部品点数が少なくなり、プリンタの小型化を図ることができる。
(4)前述のプリンタは、待機処理後、次の紙(媒体)の印刷前に、インク吸引処理を行っている。
待機処理の間、吐出用駆動信号が発生しないので、圧電素子を微振動させること(ノズルからインクを吐出できない程度に圧電素子を駆動すること)もできない。そのため、キャップ71がノズルを覆っても、ノズルにインクが目詰まりするおそれがある。前述のプリンタは、インク吸引処理を行うことにより、たとえ待機処理の間にインクの目詰まりが生じても、次の紙の印刷前に目詰まりを回復することができる。
(5)前述のプリンタでは、インク吸引処理のとき、キャップ71とノズルとの間の空間を負圧にしている。すなわち、キャップ71が、インク吸引処理のための筐体としても機能している。これにより、キャップ71が複数の機能を果たすので、プリンタの部品点数が少なくなり、プリンタの小型化を図ることができる。
(6)前述のプリンタでは、電源をOFFにしたとき、キャップ71がノズル(吐出口)を覆う。すなわち、待機処理の時にノズルを覆うキャップと、電源をOFFに時にノズルを覆うキャップが、同じである。これにより、キャップが複数の機能を果たすので、プリンタの部品点数が少なくなり、プリンタの小型化を図ることができる。
(7)前述のプリンタでは、1枚印刷する毎に、待機処理を行っている。一方、前述のプリンタは、A4紙やB5紙等の大きさの異なる紙(媒体)を印刷可能である。1枚印刷する間に駆動信号発生器に蓄積される熱は、紙の大きさによって異なっている。そのため、前述のプリンタでは、紙の大きさに応じて、待機処理の待機時間を変えている。これにより、駆動信号発生器に蓄積される熱に応じて待機時間を変えることができる。
(8)前述のプリンタは、駆動信号発生器の温度を検出するための温度センサ55を備えている。そして、前述のプリンタは、温度センサ55の検出結果に基づいて、待機処理を行っている。これにより、プリンタが、駆動信号発生器の温度に応じて、待機処理の要否や待機時間を決定することができる。
(9)前述のプリンタには、閾値が設定されている。例えば、図19に示されるように、駆動波形がCOM1の場合、閾値が65℃に設定されている。そして、前述のプリンタでは、温度センサ55の検出温度が65℃を越えたとき、待機処理を行う。これにより、閾値を越える前には待機処理を行わないので、プリンタは連続印刷を速く行うことができる。
(10)前述のプリンタは、温度センサ55の検出温度に基づいて、待機処理の待機時間を決定している。例えば、図14Aに示されるように、吐出用駆動信号がCOM1の場合、検出温度が60℃以上65℃未満では待機時間が30秒であり、検出温度が65℃以上70℃未満では待機時間が60秒である。仮に、温度によらず待機時間が60秒であったとすると、温度センサ55の検出温度が低い時まで待機時間が長いので、連続印刷の速度が遅くなる。したがって、温度に応じて待機時間を決定するようにすれば、プリンタは、連続印刷を速く行うことができる。
(11)前述のプリンタでは、温度センサ55の検出温度が高い温度になるほど、待機時間が長くなる。例えば、図14Aに示されるように、吐出用駆動信号がCOM1の場合、検出温度が60℃以上65℃未満では待機時間が30秒であり、検出温度が65℃以上70℃未満では待機時間が60秒である。仮に、検出温度が60℃以上65℃未満のときに待機時間を60秒にすると、駆動信号発生器の温度上昇を抑えることはできるが、連続印刷の速度が遅くなる。しかも、検出温度が60℃〜65℃の範囲はトランジスタが破壊される温度ではない。そのため、この範囲では、温度が上昇しても印刷速度を速めることが望ましい。
したがって、前述のプリンタでは、駆動信号発生器の温度が上昇しても良い範囲で、印刷速度を速くすることができる。
(12)前述の駆動信号発生器は、3種類の吐出用駆動信号COM1〜COM3を発生可能である。駆動信号発生器が発生する吐出用駆動信号が複数種類ある場合、吐出用駆動信号の種類に応じて消費電力が異なる。このため、吐出用駆動信号の種類にかかわらず同じようにプリンタが待機処理を行うと、印刷速度が低下する。例えば、吐出用駆動信号COM2でプリンタが印刷するとき、消費電力が多いCOM1の待機条件を基準に待機処理を行うと、トランジスタのジャンクション温度Tjが低いときにも待機処理が行われることになり、連続印刷の速度が遅くなる。一方、印刷速度が低下しないような部品を採用すれば、コストアップを招く。例えば、前述の実施形態では125℃で破壊されてしまうトランジスタを採用していたが、200℃まで耐久性のあるトランジスタを採用すると、コストアップを招く。
そこで、前述のプリンタは、吐出用駆動信号の種類に基づいて、待機処理を行う。これにより、印刷速度の速い安価なプリンタを提供することができる。
(13)前述の3種類の吐出用駆動信号COM1〜COM3は、駆動信号発生器641の消費電力がそれぞれ異なる。例えば、吐出用駆動信号COM1は消費電力が10Wであり、吐出用駆動信号COM2は消費電力が7Wであり、吐出用駆動信号COM3は消費電力が4Wである。
消費電力が大きい吐出用駆動信号COM1は、大きいドットを形成するのに向いている。本実施形態では、吐出用駆動信号COM1は、360dpiの解像度の印刷時に用いられる。印刷媒体が普通紙の場合、吐出用駆動信号COM1が採用される。一方、消費電力が小さい吐出用駆動信号COM3は、小さいドットを形成するのに向いている。本実施形態では、吐出用駆動信号COM3は、1440dpiの解像度の印刷時に用いられる。印刷媒体が専用紙の場合、吐出用駆動信号COM3が採用される。
普通紙に印刷する場合、大ドット(画素データが「11」)により画素を塗りつぶすことが多い。このため、吐出用駆動信号COM1を用いた普通紙印刷では、消費電力がより多くなる。一方、専用紙に印刷する場合、大ドットよりも小ドット(画素データが「01」)を吐出する方が多い。このため、吐出用駆動信号COM3を用いた専用紙印刷では、消費電力がより少なくなる。
このように、消費電力の異なる複数の吐出用駆動信号COM1〜COM3を発生可能なプリンタに、上記の実施形態を実現させれば、印刷速度の速い安価なプリンタを提供することができる。
(14)前述のプリンタは、駆動信号発生器の消費電力の大きい吐出用駆動信号の種類ほど、待機時間が長くなる。例えば、吐出用駆動信号COM1は、吐出用駆動信号COM2や吐出用駆動信号COM3よりも、駆動信号発生器の消費電力が多くなる。そのため、吐出用駆動信号COM1は、吐出用駆動信号COM2や吐出用駆動信号COM3よりも、待機時間が長く設定される。
印刷システムの全体構成の説明図である。 プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。 プリンタの全体構成のブロック図である。 プリンタの全体構成の概略図である。 プリンタの全体構成の横断面図である。 キャップユニットを上から見た図である。 キャップユニットを横から見た図である。 ヘッドの駆動を行う構成要素の説明図である。 駆動信号発生器の電気回路の概略説明図である。 駆動信号発生器が発生する複数の吐出用駆動信号の説明図である。 画素データと、レベルシフタの出力信号及び圧電素子への入力信号との関係の説明図である。 図10Aは基板を横から見た図であり、図10Bはヒートシンクを外したときの基板を上から見た図である。 印刷処理のフロー図である。 図14A〜図14Cは、待機条件を示す表である。 印刷処理を続けたときのジャンクション温度Tjの時間変化のグラフである。 待機時間を常に30秒としたときのジャンクション温度Tjの温度変化のグラフである。 比較例の場合のジャンクション温度Tjの温度変化のグラフである。 別の実施形態のフロー図である。 吐出用駆動信号の種類と閾値・待機時間との関係を示す表である。
符号の説明
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ(PFモータ)、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ(CRモータ)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、411 圧電素子、412 チャンバ、
42 ヘッド駆動回路、421 シフトレジスタ、422 ラッチ回路、
423 デコーダ、424 レベルシフタ、425 スイッチ、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、55 温度センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、641 駆動信号発生器、
70 キャップユニット、71 キャップ、72 スライダ、73 ガイド機構、
74 回転機構、75 復元機構、
Q1・Q2 トランジスタ、
100 印刷システム、110 コンピュータ、
120 表示装置、
130 入力装置、130A キーボード、130B マウス、
140 記録再生装置、
140A フレキシブルディスクドライブ装置、
140B CD−ROMドライブ装置

Claims (9)

  1. ジョブを受信し、前記ジョブに従って素子を駆動してインクを吐出口から媒体に吐出し、前記媒体に印刷を行う印刷装置であって、
    前記素子を駆動するための駆動信号を発生する駆動信号発生器と、
    前記吐出口を覆うためのキャップと、
    前記駆動信号発生器の温度を検出するためのセンサと、
    を備え、
    前記駆動信号発生器は、消費電力がそれぞれ異なる複数の種類の前記駆動信号を発生可能であり、
    消費電力の大きい前記駆動信号ほど、閾値が低い温度に決定され、
    複数の媒体を連続印刷する前記ジョブに従って前記印刷装置が前記複数の媒体を印刷する際に、前記印刷装置が各媒体への前記インクの吐出を終える毎に、前記センサの検出結果が前記閾値を超えていれば、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生を待機するとともに、前記キャップが前記吐出口を覆う
    ことを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記駆動信号発生器が前記駆動信号の発生を待機した後、前記印刷装置が次の前記媒体に印刷を行う前に、前記吐出口からインクを空吐出させることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2に記載の印刷装置であって、
    前記キャップは、前記吐出口から空吐出されたインクを受けることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記駆動信号発生器が前記駆動信号の発生を待機した後、前記印刷装置が次の前記媒体に印刷を行う前に、前記吐出口からインクを吸引することを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項4に記載の印刷装置であって、
    前記インクを吸引するとき、前記キャップと前記吐出口との間を負圧にすることを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記印刷装置の電源をOFFにしたとき、前記キャップが前記吐出口を覆うことを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記センサの検出結果に基づいて、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生を待機させる待機時間を決定することを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項7に記載の印刷装置であって、
    前記センサが高い温度を検出するほど、前記待機時間が長くなることを特徴とする印刷装置。
  9. ジョブを受信し、前記ジョブに従って素子を駆動してインクを吐出口から媒体に吐出し、前記媒体に印刷を行う印刷方法であって、
    駆動信号発生器が、消費電力がそれぞれ異なる複数の種類の駆動信号からいずれかの駆動信号を発生し、
    消費電力の大きい前記駆動信号ほど閾値が低い温度に決定されるように、前記駆動信号発生器が発生する前記駆動信号に基づいて閾値を決定し、
    前記駆動信号発生器の温度を検出し、
    複数の媒体を連続印刷する前記ジョブに従って前記印刷装置が前記複数の媒体を印刷する際に、前記印刷装置が各媒体への前記インクの吐出を終える毎に、前記駆動信号発生器の温度が前記閾値を超えていれば、前記駆動信号発生器からの前記駆動信号の発生を待機するとともに、前記吐出口をキャップで覆う
    ことを特徴とする印刷方法。
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