以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、本発明に係る一実施例を示すインクジェット記録装置の構成説明図である。ここで1はインクジェット記録ヘッドを有したヘッドカートリッジで、モノクロ記録時はモノクロ記録ヘッド、カラー記録時はカラー記録ヘッドが搭載されるように記録装置に対して交換可能に備えられており、使用していない側の記録ヘッドは図示していない保管箱に保管されているものとする。2はこれを搭載してS方向に操作するためのキャリアである。3はヘッドカートリッジ1をキャリア2に取りつけるためのフック、4はフック3を操作するためのレバーである。5はヘッドカートリッジ1に対する電気接続部を支持するための支持板である。6はその電気接続部と本体制御部とを接続するためのFPC(フレキシブル印刷回路)である。7はキャリア2を案内するためのガイド軸であり、キャリアの軸受け8に挿通されている。9はキャリアが装着され、これをS方向に移動させるための動力を伝達するためのタイミングベルトであり、装置両側部に配置されたプーリ10A、10Bに張架されている。一方のプーリ10Bには、ギア等の伝達機構を介してキャリアモータ11より駆動力が伝達される。12は紙等の記録媒体の被記録面を規制するとともに、記録等に際してこれを搬送するための搬送ローラであり、搬送モータ13によって駆動される。14は記録媒体を記録位置に導くためのペーパーパン、15は記録媒体の送給経路途中に配設されて記録媒体を搬送ローラ12に向けて押圧し、これを搬送するためのピンチローラである。16はヘッドカートリッジ1の吐出口に対向し、記録媒体の記録面を規制するためのプラテンである。17は記録媒体搬送方向上、記録位置より下流側に配置され、記録媒体を図示しない排紙口に向けて排紙するための排紙ローラである。18は排紙ローラ17に対応して設けられる拍車であり、記録媒体を介して排紙ローラ17を押圧し、排紙ローラ17による記録媒体の搬送力を生じさせる。19は記録媒体のセット等に際してピンチローラ15、拍車18それぞれの付勢を解除するための解除レバーである。プラテン16は両側を排紙ローラ17の軸で回転可能に支持され、左右プレート20の停止位置からペーパーパン14の前面部21方向に付勢され、搬送ローラ12を最外周より小さくしている部分12Aに複数箇所設けている12Aが、ペーパーパン前面部21の内側に接している。22はホームポジションにおいて記録ヘッドのインク吐出口形成面と対向するゴム等の弾性材料で形成したキャップであり、記録ヘッドに対し当接/離脱が可能に支持されている。このキャップ22は、非記録時等の記録ヘッドの保護や、記録ヘッドの吐出回復処理に際して用いられる。吐出回復処理とはキャップ22を吐出口形成面に対向させ、インク吐出口内に設けられてインク吐出のために利用されるエネルギ発生素子を駆動することにより全吐出口からインクを吐出させ、これにより気泡や塵埃、あるいは、増粘して記録に適さなくなったインクといった吐出不良要因を除去する処理(予備吐出)や、これとは別に吐出口形成面をキャップ22で覆った状態で吐出口よりインクを強制的に排出させることにより吐出不良要因を除去する処理である。23は、インクの強制排出のために吸引力を作用すると共に、かかる強制排出による吐出回復処理や予備吐出による吐出回復処理に際してキャップ22に受容されたインクを吸引するために用いられるポンプである。24は該ポンプ23によって吸引された廃インクを貯留するための廃インクタンクである。廃インクタンク24は、28のチューブによりポンプ23と接続されている。25はヘッドの吐出口形成面のワイピングを行うためのブレードであり、ヘッド側に突出してキャリア移動の過程でワイピングを行う位置と吐出口形成面に係合しない後退位置とに移動可能に支持されている。26は回復系モータ、27は回復系モータ26から動力の伝達を受けて、ポンプ23の駆動およびキャップ22やブレード25の移動をそれぞれ行わすためのカム装置である。次に上述したヘッドカートリッジ1の詳細を示す。
図2はインクジェット記録ヘッド本体をなす吐出ユニット1Jと記録材であるインクを保持すると同時にインクを前記記録ヘッドに供給する記録供給手段であるインクタンク1Kとを一体としたヘッドカートリッジ1の外観斜視図である。図2のヘッドカートリッジにおいてインクタンク1Kは不図示の機構によってヘッドカートリッジに交換可能に構成されている。ここでカラー記録用ヘッドカートリッジには黒インクを供給するための黒インクタンクとカラーインクを供給するためのカラーインクタンクとを各々交換可能に備え該カラーインクタンクにはイエロー、マゼンタ、シアンの各インクが供給可能に保持されている。図2においてつめ1Lはヘッドカートリッジ1を装着する際にキャリア2に設けられたフック3によって掛止される。図2から明らかなようにつめ1Lはヘッド全延長の内側に配設される。またヘッドカートリッジ1の前方で吐出ユニット1Jの近傍には、この図には示されないが位置決め用突き当て部が設けられている。ヘッド開口部1Mはキャリア2に立設されフレキシブル基板(電気接続部)およびゴムパッドを支持するための支持板5が挿入されるものである。図3は本発明に係る一実施例を示す記録装置の制御構成を示すブロック図であり、なお図における矢印は信号の伝達方向を示している。ここで300はコンピュータあるいはワープロ等のホスト機を示している。3001はホスト機300全体の制御をつかさどるMPUで制御実行上の時間を管理しているタイマ部3002を保有している。このホスト機300はROM3003あるいはフロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ディスク等外部記憶装置3006等に格納されている制御プログラムや各種データにより制御される。3004は制御実行時にワーク・エリア、あるいはキーボード等入力装置3005からの入力データを格納するバッファ・エリア等として用いられるRAMである。3007はCRT、LCD等の表示装置であって記録装置により記録する記録情報など記録に関する情報を表示する。3008、3009、3010はそれぞれ入力装置3005、外部記憶装置3006、表示装置3007の制御あるいは駆動を行う各ドライブである。また記録装置310にもホスト機300と同様に記録装置の制御を行うMPU3101、タイマ部3102、ROM3103、RAM3104を保有している。またEEPROM3105は電気的に消去可能なROMで、記録されたデータは装置の電源を切られても保持されるようになっており、本実施例ではある記録部材の使用量あるいは残量を格納している。記録時においては、ホスト機300のMPU3001から送信された記録情報320は記録装置310のRAM3104に格納される。その後、MPU3101、タイマ部3102によって記録装置の310の各部を制御し記録を行っている。記録装置310において記録時にMPU3101で制御されるのはヘッドカートリッジ1、キャリアモータ11、搬送モータ13、及び回復系モータ26であり、ヘッドカートリッジ1は吐出ヒータドライバ3106によって駆動され、キャリアモータ11、搬送モータ13、及び回復系モータ26はそれぞれのモータドライバ3107、3108、3109で駆動される。またキャリアホームセンサ3110や紙センサ3111、および回復系ホームセンサ3112の検出に基づいて、MPU3101はキャリジ11の位置や紙の有無、キャップ位置を認識している。なおRAM3104には現モノクロ記録ヘッド累積記録ドット数MD11、現カラー記録ヘッド累積記録ドット数CD11、現装着記録ヘッド認識データHD、RAM3004には現モノクロ記録ヘッド残量表示機能対応値MDD、現カラー記録ヘッド残量表示機能対応値CDD、EEPROM3105にはMD11、CD11を格納する領域が用意されている(以後その領域を順にRMD11、RCD11、RHD、RMDD、RCDD、EMD11、ECD11と記すものとする)。また表示装置3007には現記録ヘッドの残量がそれぞれモノクロ/カラー独立して表示されているものとする(330、331)。この表示はあらかじめ新記録ヘッドにおける記録可能ドット数HMAXをROM3103にデータとして格納しておき、現在使用されているモノクロ記録ヘッド、カラー記録ヘッド各一個の累積記録ドット数MD11、CD11を逐次カウントしていき、その差(HMAX−MD11)、(HMAX−CD11)を記録装置の状態情報321としてホスト機300に送信し、その値に対応するMDD、CDDをRAM3004のRMDD、RCDDに格納し、表示装置3007に表示を行うものである。また記録動作以外に残量を可変させる動作、例えば前記した吐出回復処理等の動作がある場合は、該動作により変動される量も累積記録ドット数に換算していく。MD11、CD11の値は装置の電源OFF時にはEEPROM3105のEMD11、ECD11に格納され、電源ON後RMD11、RCD11に再び格納されるため常に保持されている。
図4は記録ヘッド(ヘッドカートリッジ1)の装着の有無を検出する回路構成の一例を示す回路図である。図の記録ヘッド装着有無検出信号IDの一端はFPC6を介してヘッドカートリッジ1が装着される部分HS1と接続されており、ヘッドカートリッジ1が装着されるとHS1はFPC6を介して本体制御部のグランド(GND)に接続されている部分HS2と導通する。IDのもう一端はMPU3101がH、Lレベルを検出することが可能な入力端子IPと抵抗Rの一端と接続されている。抵抗のもう一端は本体制御部の電源(VCC)と接続されている。上記のような構成のためヘッドカートリッジ1がキャリア2に装着していなければIPはHを、装着していればLを検出する。この回路構成をモノクロ記録ヘッド、カラー記録ヘッドそれぞれ独立して所有しているので、モノクロ記録ヘッドおよびカラー記録ヘッドの検出もあわせて行うことが可能である(モノクロ記録ヘッド装着有無検出信号3113、カラー記録ヘッド装着有無検出信号3114)。
図5は図1に説明したインクジェット記録装置を備える電子機器の一例を示した図であって3005は記録装置による記録する情報を入力する入力装置であるキーボード、3007はLCDにより構成され入力した情報や記録にかかわる情報を表示するための表示装置である。キーボード3005は、本実施例の場合後述する記録ヘッドや記録材供給手段の交換を指示する指示手段を兼ねている。表示装置手段3007は、記録情報を表示するほか記録条件や後述する本例にかかる記録ヘッドや記録材供給手段の交換モードを表示する表示手段でもある。
(第1実施例)
以下、図面を参照して本発明の第1実施例を説明する。
図6に表示手段3007に記録条件に関する情報を表示した場合を示した。
図6の中央部の表示用ウインドウ4001内に各種設定が行えるよう構成されている。表示ウインドウ4001内の項目4002は、印刷部数を設定するものであって、一連の記録情報の記録部数を示している。印刷部数の設定は、デフォルトで「1部」が設定されている。また、項目4003では複数ページの記録情報のうち記録するページの指定を行う「部分印刷」の設定を行う。また、項目4004では、記録に用いる記録媒体の種類の指定を行う「用紙種別」の設定が行えるよう表示されている。ここで、設定された用紙種別が反転表示されている。項目4005は、「印字品位」の設定を行うもので、この設定により記録情報を記録媒体上に形成する際の方法について指定が行われる。例えば本例の場合、標準は所定の記録領域を一度記録ヘッドにより走査し記録情報を形成するモードであり、高品位は所定の記録領域を複数回記録ヘッドにより走査し記録情報を形成するモードであり、エコノミーモードは所定の記録情報を間引いて形成するモードである。また項目4006では、編集作成した記録情報をモノクロで印刷するかカラーで印刷するかの指定を行う「カラー印刷」の設定を行い、項目4007では記録情報の形成にあたり記録ヘッドの往方向(図1の右から左へ走査する方向)かまたは復方向(図1の左から右へ走査する方向)の一方向の走査で形成するか、往方向と復方向との交互の方向で形成するかの指定を行う「往復印刷」の設定を行う。
図6の左下部に表示される項目4008(「現在の装着カートリッジ」)は記録装置に現在装着されているヘッドカートリッジの種類を、図4に示したヘッドカートリッジの検出回路によって検出された結果を示している。また、4009および4010に示す絵柄はインク瓶を示すもので、それぞれ図3に示したモノクロインクの残量表示部300とカラーインクの残量表示部310に対応しており、記録材であるインクの保持量(残量)が残量表示データMDD及びCDDに基づいて表示されている。
図6に示される表示では、現在カラー記録用ヘッドカートリッジが装着され該装着されているヘッドカートリッジには新品の場合に比較して75%以上100%未満の黒インクと0%以上25%未満のカラーインクが保持されている事を示している。
図6上部に示したメニューF1、F2、F3、F4はキーボード3005のうち不図示の機能キーF1、F2、F3、F4、に割り当てられた機能のメニューを表示している。ここでメニューF1は詳細設定の項目であり、図6に示した記録条件に関し更に詳細な条件を設定を指示するための指示手段である。また、メニューF2は「クリーニング」の項目であって、前述した吐出回復処理を実行を指示するための指示手段である。メニューF3及びF4は「ヘッド交換」および「インク交換」の項目であって、本例に係る記録ヘッド及び記録材供給手段であるインクタンクの交換を指示する指示手段である。
表示メニューF3の「ヘッド交換」は、キーボード3005に設けられた機能キーF3によって指示選択すると図7に示すように更に詳しい交換内容を表示手段3007に表示する。図7中では、メニューF3が選択され、メニューF3の「ヘッド交換」が反転表示されるとともに、更に詳しいメニューがプルダウンメニュー4011として表示されている。このプルダウンメニュー方式のメニューを採用することにより、必要なメニューが必要なときにだけ表示でき、メニューを簡単に選択できる。新たに表示されたメニューは、「1.モノクロヘッド交換」、「2.カラーヘッド交換」、「3新品ヘッド交換」、の3つの選択項目である。ここで「モノクロヘッド交換」は現在装着されているカラーヘッドからモノクロヘッドに交換する事を示し、新品ヘッド交換は現在装着されているカラーヘッドから新品のモノクロヘッド又は新品のカラーヘッドに交換する事を示している。ここで、現在記録装置に装着されているヘッドはカラーヘッドであるため、装着されているカラーヘッドから新品でないカラーヘッドに交換する事はないため「2.カラーヘッド交換」の項目は選択・指示はできないよう表示を隠している。図7では、「2.カラーヘッド交換」のメニューが選択・指示が行えないことを表すため、その項目を薄い色の表示としている。選択できない項目の表示は本例に限らず、例えば選択した時点で選択・指示が行えないことを警告表示する方式であってもよい。ここで、装着されているヘッドがモノクロヘッドの場合にはモノクロヘッドから新品でないモノクロヘッドへの交換はないためモノクロヘッド交換は指示できないよう同様に表示を隠す構成となっている。メニューF4の項目「インク交換」も同様にキーボード3005に設けられた機能キーF4によって指示選択される、図8に示す詳細な交換内容をプルダウンメニュー4012内に表示する。ここで表示される交換内容は現在装着されているヘッドに関する交換内容であって、「黒インク交換(カラー)」(カラーヘッドの黒インクタンク交換)、「カラーインク交換」、カラーヘッドのカラーインクタンク交換、又は黒及びカラーの両方のインクタンク交換の3種類が表示されており、ここでモノクロヘッドの黒インクタンク交換の表示は隠されている。モノクロヘッドが装着されている場合にはメニューF4の表示はモノクロヘッドの黒インク交換だけを表示し他の内容の表示は隠される。
次に図9を参照して本実施例におけるヘッドカートリッジの交換についてその方法とインク残量表示の制御シーケンスを説明する。
図9中に示す「R」は動作の正常終了、「W」は動作の以上終了もしくは終了していない事を示す。尚、以下の説明は、記録装置にモノクロヘッドカートリッジが装着されている状態で、新モノクロヘッドカートリッジに交換するつもりで誤って新カラー記録ヘッドに交換したとして説明を行うが、逆の場合も同様に制御することが可能である。
使用者はヘッドカートリッジ1の記録状態が劣化したとき、つまりは記録に適さない状態(例えば吐出されたインク滴が所望される記録媒体上の位置に着弾しない状態)が生じると、表示手段3007の上部に表示される「クリーニング」を選択することにより、吐出回復処理であるクリーニング動作が実行される。このメニューF3の選択は、キーボード3005中の不図示の機能キーF3によって選択・指示を行うことができる。この動作の実施によってもヘッドカートリッジが記録に適さない状態の場合に、使用者がヘッドカートリッジが使用寿命に達したと判断した場合に、新品のヘッドカートリッジに交換することができる。
新ヘッド交換の作は、本説明の場合キーF3によりヘッド交換を指示し、更に図7に示すプルダウンメニュー4011中の「新品ヘッド交換」の項目を指示すことによって行うことができる。図7のプルダウンメニュー4011の「新品ヘッド交換」を選択すると、ステップS102にて新ヘッド交換の指示があったとして次のステップS103へ移行する。これに応じヘッドカートリッジ交換シーケンスが開始され(1)、図4に示す回路により現在装着しているヘッドカートリッジの有無及び種類を示す情報HDを検出し(この場合はモノクロヘッドカートリッジ有りと検出される)、RHDに格納する。次にステップS103でカートリッジを取り外す旨のメッセージを表示し、ヘッドカートリッジが取り外された事を上記回路で検出するとRMDDもしくはRCDDの該当する一方を初期化し、残量表示すなわち報知内容を0クリアする(この場合はRMDDクリア)。続いて、ステップS104でカートリッジを取り替えるべき旨のメッセージを表示する。なおヘッドカートリッジ交換シーケンス開始時(1)において、すでにヘッドカートリッジが装着されていないと検出された場合はS103は省略されるが、その情報は記録ヘッドを取りはずされた時点でRHDに格納されている。
次に装着されたヘッドカートリッジの種類を図4で示した回路で検出すると、(例えば、誤ってカラーヘッドが装着されこれが検出されると)、カラーヘッドカートリッジの装着に応じてRCDDに、残量表示すなわち報知内容をHMAXに対応する値のCDDを格納する(この場合は図9中の(6)に示すように、RCDDにMAX値が格納される。)。しかしながらRMD11、RCD11に格納されている値すなわち累積ドット数(計数値)は初期化せずにそのままの状態にしておく。残量表示すなわち報知内容をMAXに変更した後、ステップS106でカートリッジ交換を終了した旨のメッセージを表示し使用者に確認を求める。
ここでステップS106で装着されたヘッドカートリッジの種類を表示する事、またカラーヘッドカートリッジの残量表示がMAX値を示す事から使用者が誤ってカラーカートリッジを装着した事に気づき、修正を行うべく所定の入力を行うと、再びステップS104の手順に戻る。
以上の手順によって最終的に正しいヘッドカートリッジが装着されステップS105またはS106においてYESの選択入力がなされると、この時点で始めてRMD11の値またはRCD11の値が初期化される。(この場合は図9の(7)に示すように、RMD11の値が初期化される。)。
また中止する場合は、「中止」を選択することにより、ヘッドカートリッジ交換シーケンス開始時の情報HDに応じてRMDD、RCDDにそれぞれRMD11、RCD11の値を再び格納する。この手順により残量表示すなわち報知内容はヘッドカートリッジ交換以前の残量表示(報知内容)に復元することが可能になる。
以上の説明では、記録装置に装着されているヘッドカートリッジと同じ種類の新品のヘッドカートリッジへ交換する場合について説明したが、記録装置に装着されているヘッドカートリッジから種類の異なるヘッドカートリッジ(例えばモノクロヘッドカートリッジからカラーヘッドカートリッジ)への交換の場合も同様に行える。種類の異なるヘッドカートリッジへの交換の場合には、キーF3により図7に示したモノクロヘッド交換またはカラーヘッド交換を指示選択することにより行う。ここでカラーヘッドカートリッジに交換された場合のインク残表示は、以前に該カラーヘッドカートリッジが装着され使用された際にRAM3104またはEEPROM3105に格納された累積記録ドット数CD11とROM3103に格納されているヘッドカートリッジの記録可能ドット数HMAXとからその差(HMAX−CD11)を記録装置の状態情報321としてホスト機に送信しその値CDDはRAM304のRCDDに格納されこれに基づいて表示装置3007に残量の表示が行われる。
ヘッドカートリッジに交換可能に装着されたインクタンクの交換に際してもキーF4のメニューから「インク交換」の項目を選択することにより同様に指示することで交換が行える。
また、インク交換により新しいインクタンクに交換する際と、ヘッド交換により新しいヘッドカートリッジに交換する際では、初期のインク量が異なる場合がある。それは、インクタンクのみの交換であれば、タンク内にインクを十分収容した状態で交換できるが、新しいヘッドの場合、例えば工場製造時にヘッドの吐出状態をテストした上で出荷されることがある。そのため、新しいヘッド装着時のインク残量は、新しいインクタンクに交換した際のインク残量よりも少ないため、交換が行われた後のインク残量の初期値をそれぞれ異ならせることが好ましい。
上記説明のとおり、交換を行う場合に、表示装置3007に交換モードを表示し、表示される交換モードに応じた指示手段をキーボード3005のキーに設け、該指示手段により交換を指示するため交換操作を誤ることがなく、さらに交換後のインク残量表示に関する制御も正確に行うことができる。
(第2実施例)
前述の第1実施例では、指示手段による交換指示に応じて、インクの残量表示、すなわち報知内容を変更(前述の実施例においては新品ヘッド交換に対応して残量表示をMAX値に変更した。)したが、次に指示手段の交換指示に応じてヘッドカートリッジの吐出回復処理を行う場合について説明する。
図10は、ヘッドカートリッジ、またはインクタンクの交換モードに応じて吐出回復動作が行われる処理を示すフローチャートである。ここで、吐出回復処理である回復動作1から5それぞれについては後述するものとし、該回復動作に至るまでの流れを説明する。
まず行われた交換モードについてステップS201でヘッド交換かインクタンク交換かを判断し、ステップS201にてヘッド交換であると判断された場合、更にステップS202で新品のヘッドカートリッジへの交換動作であるかどうかを判断する。ステップS20にて新品ヘッドへの交換であると判断された場合には、次のステップS203においてヘッドカートリッジの種類の判断を行う。ステップS203にて、交換後装着されたヘッドがカラーヘッドカートリッジの場合にはステップS204へ移行して回復動作1が実施され、ステップS203にてモノクロヘッドへ交換されたと判断された場合にはステップS205へ移行して回復動作2が実施される。
ここで、前述の表示手段3007で示される各指示手段と対応させると、ステップS201、S202における判断は機能キーF3に対応するメニューの指示結果により判断され、また、ステップS203におけるヘッドの種類の判断は図4に示した検出回路により検出される情報HDに基づいて行われる。
ステップS202において新ヘッド交換以外のヘッド交換の場合(異種のヘッドへの交換の場合)には、ステップS206で回復動作を実行するかどうかの判断を行い実行する場合にはステップS207へ移行して回復動作3を実施する。
ここで、ステップS206における判断は、交換後装着されたヘッドについて前回吐出回復処理を実行した時刻からの経過時間に応じて判断され、本実施例の場合では前回吐出回復処理の実行から72時間以上経過した場合に回復動作が行われる構成となっている。ここで吐出回復処理を実行した時刻は該処理の実行のたびにRAM3104及びEEPROM3105に格納されており、該格納されている時刻と交換作業が完了した時刻とから経過時間を算出している。なお本例の場合時刻の検出はタイマー3002において行われる。本実施例では、記録装置から外された時間を72時間を基準として行ったが、これは短時間の内にヘッドの種類を交換した場合、ヘッドカートリッジの吐出口面のインクの増粘や塵等の付着が少なく、回復処理を必要としないためである。また、常にヘッド交換時に回復処理を行っては、インクの消費量が多くなり、ランニングコストを下げるためにも不要な回復処理を行わせないようにするためである。また、本実施例では72時間を基準として回復動作の有無を決定したが、経過時間に応じて回復動作の内容を細分化して行ってもよい。
次に、ステップS201でヘッド交換以外の交換(ここではインクタンクの交換)の場合、ステップS208へ移行し、黒のインクタンクの交換かどうかを判断し、黒インクタンクの交換である場合には該インクタンクがモノクロヘッドカートリッジのタンクかどうかをステップS209にて判断し、モノクロヘッドカートリッジの場合にはステップS205の回復動作2を実行する。ステップS209でモノクロヘッドではないと判断された場合にはステップS204へ移行して回復動作1が実行される。また、ステップS208において黒インクタンクの交換でないと判断された場合、続くステップS210にてカラータンクの交換かどうかを判断する。ここでカラーインクタンクの交換の場合はステップS204平行して回復動作1を行う。ステップS210にてカラーインクタンクの交換でないと判断された場合、本例ではカラーインクタンクとモノクロインクタンクとの両方を交換する場合であると判断し、ステップS211へ移行して回復動作4を実行する。
このように、交換する対象がヘッドの場合、もしくはインクタンクの場合、また、それぞれモノクロかカラーか、さらには新しいヘッドへ交換する場合、それぞれに応じて適切な回復処理を実行するよう構成されている。
次に、図11及び図12を参照して各吐出回復処理について説明する。図11は各吐出回復処理動作の流れを示す図であり、図12は該吐出回復処理動作に対応する回復系ユニットのポンプギヤの回転の様子を示す図である。回復系ユニットは、図1に示すように、ヘッドカートリッジ1に設けられたインクの吐出口形成面と対向して設けられたキャップ22、吸引力を作用しキャップに受容されたインクを吸引するためのポンプ23、ポンプ23によって吸引された記録に不適なインクを貯留するための廃インクタンク24、吐出口面の払拭を行うワイパー25、及び伝達された駆動力を受けて、ポンプ23、キャップ22およびワイパーの移動を行わすためのカム装置27等で構成され、その動作はキャッピング動作とワイピング動作およびポンピング動作の3つの動作に大別できる。
キャッピング動作とは、基準位置(図12のキャッピングセンサOFF位置、以下ホームポジションと呼ぶ)においてキャップ22でヘッドカートリッジ1を自動的にキャッピングする動作で、ノズル内のインクの乾燥および、ゴミ、紙粉などの付着を防止するために行われる。この動作はワードプロセッサの電源OFF時並びキャップオープン状態(キャピングしていない状態)で所定時間が経過したに自動的に行われる。
また、ワイピング動作とは、ヘッドカートリッジ1側に突出してキャリア3の移動の過程でワイピングを行う位置と吐出口形成面に係合しない後退位置とに移動可能支持されているワイパー25でヘッドカートリッジ1の吐出口についたゴミ、紙粉などを拭き取る動作である。このワイピング動作は、記録装置の電源OFF時、キャップオープン状態、キャップクローズ状態(キャピングしている状態)前、毎ページ印字前、キャッピング動作直後、記録中に所定の記録ドット数あるいは記録時間を越えた時に実行される。特に、インクの排出を伴う回復動作の後は、吐出口面に微小なインク滴が付着しており、これに起因して吐出状態が劣化する場合を考慮して、インクの排出を伴う回復動作に続いて行われることで、確実な回復動作を完了することができる。
また、ポンピング動作とは、キャップを吐出口形成面に対向させ、吐出口に設けられたインク吐出のために利用されるエネルギー発生素子を駆動することにより、ノズルからインクを吐出させ、これにより気泡や塵埃あるいは増粘して記録に適さなくなったインクといった吐出不良要因を除去する処理(予備吐出)や、これとは別に吐出口形成面をキャップで覆った状態で、ポンプ23等の吸引手段を用いて吐出口よりインクを強制的に排出させることにより吐出不良要因を除去する回復動作である。
図11に示すように通常ホームポジションでキャッピング状態にある回復系はピストンが動作してポンピング動作が実行され(動作1)、その状態でインク吸引が十分行われるように3秒間停止状態が保たれる(動作2)。そしてキャップを開放した状態で全ノズルについて所定発数の予備吐出を行う(動作3)。次にポンプ内に充満したインクの排出のための空吸引が4回行われる(動作4)。引き続きヘッドカートリッジ1をワイパーON位置に移動させワイピングを実行する(動作5)。最後にワイパークリーニングを行い(動作6)、ヘッドカートリッジ1をキャッピング位置に戻し、キャッピングをする(ステップ7)。ここでワイパークリーニングとはワイパー25に対向した位置で当接可能にキャリッジ3に設けられた不図示のクリーナー部材に前記ワイパーを当接させた状態でキャリヤを移動させることでワイパー25を清浄に保つ動作である。
次に、図10に示した回復動作1、2、3、4について図13を参照して説明する。
図13に示した各回復動作に対応させたインク吸引回数は、図11に示した一連の吐出回復処理を所定回数繰り返し行うことで達成し、予備吐出ついては図11の動作3で実施される予備吐出の発数を図13に示した発数実施することで達成される。回復動作1及び回復動作4においてインク吸引回数と予備吐出数が他の回復動作に比較して多いのは対象となるヘッドカートリッジがカラーヘッドカートリッジ及びカラーインクタンクであるためであり、本実施例場合カラーヘッドカートリッジ内のインク流路がモノクロヘッドカートリッジに比べて長いためで多くのインク吸引を必要とするからである。また、予備吐出数が多いのは、カラーインクを吐出するノズルに他の色のインクが混入するのを防止するために行っている。回復動作2におけるインクの吸引回数が最も少ないのは時間経過による回復処理に際しては少量のインク吸引量で済むため1回に設定している。
これら各回復動作の内容については本実施例の記載に限定されるものではなくヘッドカートリッジの構成などに応じて最適に設定すればよいのは言うまでもない。特に、図10中のステップS207にて行われる回復動作3については、異種のヘッドへの交換がモノクロヘッドカートリッジに交換する場合と、カラーヘッドカートリッジに交換する場合とで回復動作を異ならせることが、インクの消耗を少なくする上で好ましい。
(その他の実施例)
図10に示したフローチャートの他の例について説明する。
図14は図10で示したフローチャートの他の例である。図10に示したフローチャートと同様の処理については、同じステップ番号を付している。
図14に示したフローチャートでは、ステップS201にてインクタンクの交換であると判断された場合、続くステップS213では、交換するタンクの種類を判別するのではなく、装着されているヘッドの種類の判別を行う。ここで、先に説明した図10のフローチャートでは、インクタンクの交換であると判断された場合、交換するインクタンクの種類を判別するよう構成されており、この点で図14に示すフローチャートと異なる。
ステップS213におけるヘッドの種類の判別は、図4にて説明した検出回路により検出される情報HDに基づいて行われる。従って、装着されるヘッドは使用者の指示なく判別できるため、装着されるヘッドがモノクロの場合、使用者の指示を簡単にして回復動作の設定を行うことができる。その結果、インクタンクが交換される場合の回復動作を決定するまでの処理が、図10に示したフローチャートよりも少ないステップが達成でき、使用者の指示を少なくすることができる。
また、これまでの実施例において説明した電子機器は記録装置を内蔵する電子機器について説明したが、表示装置や記録情報を編集作成する情報処理装置と記録装置とが別体に構成され前記表示装置や情報処理装置とインターフェースケーブルなどによって記録装置と接続される形態の電子機器であっても本発明を好適に適用できる。
更にこれまでインクジェット記録装置について説明したが記録材としてトナーなどを用い、該記録材を供給するカートリッジを交換可能に有する電子写真方式の複写機やレーザープリンタなどにおいても適用できる。
以上説明した様に記録装置の記録ヘッドやインクタンクなどの記録材供給手段を交換して使用する場合に、正確に交換を指示でき、交換後の記録装置の制御が正確に行える。また交換後の記録装置の制御が正確に行われるため、交換後の処理において記録材供給手段から記録以外の動作による消費が存在する場合に該記録材の無駄が防ぐという効果がある。
本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液的を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドを用いた記録装置において優れた効果をもたらすものである。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一体一で対応した液体(インク)内の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことが出来る。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができるようになるからである。
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数についても、記録色や濃度を異にする複数のインクに対応して2個以上の個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
さらに加えて、以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付加時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。