JP2005218915A - コンクリート打放し面の塗装工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリート打放し面、特に経年劣化した打放し面に好適な塗装工法を提供する。
【解決手段】コンクリート打放し面に対し、合成樹脂エマルション、及び白色度95以上、平均粒子径0.1〜1μmの白色顔料を含み、形成塗膜の隠ぺい率が10〜50%である下塗材を塗装し、次いで、合成樹脂エマルション、及び白色度50以上95未満、平均粒子径0.1μm〜50μmの体質顔料を含み、形成塗膜の隠ぺい率が10〜50%である中塗材を塗装した後、合成樹脂エマルションを含み、形成塗膜の隠ぺい率が10%以下である上塗材を塗装する。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート打放し面の塗装工法に関するものである。本発明の塗装工法は、特に、経年劣化したコンクリート打放し面の改修に適している。
コンクリート打放し面(以下単に「打放し面」ともいう)は、自然で素朴な印象を与えることができる特有の質感を有していることから、建築物、土木構造物等において広く用いられている。
一般的にこのような打放し面は、型枠内にコンクリートを打設し、固化後脱型することによって得られる。しかし、脱型後の打放し面表面には、巣穴、目違い、不陸、ひび割れ等が発生しやすく、このような不具合が発生した場合には補修が必要となる。
特開平1−244058号公報(特許文献1)には、打放し面に対し、コンクリート色に調色した透明弾性ポリマーフィラーを塗付した後、トップコートを積層する工法が記載されている。
また、特開2001−187869号公報(特許文献2)には、打放し面の補修部分を目立たなくすることが可能な水性塗料組成物が記載されている。
特開平1−244058号公報 特開2001−187869号公報
しかしながら、経年劣化した打放し面においては、雨筋汚染による著しい黒ずみ等が発生している場合がある。このような汚染が生じた打放し面に対して、上記特許文献の如き方法で塗装を行っても、汚染部分を十分に覆い隠すことはできず、美観性に優れた仕上りを得ることは困難である。
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、コンクリート打放し面、特に経年劣化した打放し面に好適な塗装工法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明者は鋭意検討の結果、顔料構成が異なる2種の半透明塗料を積層した後に透明塗料で仕上げる方法に想到し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有する塗装工法に係るものである。
1.コンクリート打放し面に対し、
合成樹脂エマルション、及び白色度95以上、平均粒子径0.1〜1μmの白色顔料を含み、形成塗膜の隠ぺい率が10〜50%である下塗材を塗装し、次いで、
合成樹脂エマルション、及び白色度50以上95未満、平均粒子径0.1μm〜50μmの体質顔料を含み、形成塗膜の隠ぺい率が10〜50%である中塗材を塗装した後、
合成樹脂エマルションを含み、形成塗膜の隠ぺい率が10%以下である上塗材を塗装することを特徴とするコンクリート打放し面の塗装工法。
2.前記上塗材として、合成樹脂エマルション、比重1.0以上1.5以下の樹脂ビーズ、及び比重0.7以上1.0未満のワックスを含むものを使用することを特徴とする1.に記載のコンクリート打放し面の塗装工法。
3.前記下塗材として、合成樹脂エマルション、白色度95以上、平均粒子径0.1〜1μmの白色顔料、及びアルコキシシラン化合物の水分散体を含むものを使用することを特徴とする1.または2.に記載のコンクリート打放し面の塗装工法。
本発明の塗装工法によれば、コンクリート打放し面の質感を生かしつつ、経年劣化による汚染を緩和し、美観性に優れた仕上りを得ることができる。
本発明は、コンクリート打放し面に適用できるものである。本発明は、特に経年劣化した打放し面に対して好適な塗装工法であるが、新設面に対して適用することも可能である。
本発明においては、塗装対象となるコンクリート打ち放し面に対して、必要に応じて表面処理を施した後、下塗材及び上塗材を塗装する。
表面処理としては、例えば、基材の不陸、目違い、巣穴等に対するポリマーセメントモルタルでの補修、ひび割れ部に対するエポキシ樹脂の注入あるいはポリマーセメントモルタルやコーキング材の充填、浮き部の補修・補強、珪酸アルカリ等のアルカリ付与剤による表面処理等があげられる。このような表面処理は、下地基材の状況等に応じて適宜施される。
本発明では、必要に応じ上述の表面処理を行った後、下塗材を塗付する。
本発明における下塗材は、(A)合成樹脂エマルション(以下「(A)成分」という)、及び(B)白色度95以上、平均粒子径0.1〜1μmの白色顔料(以下「(B)成分」という)を含むものである。
(A)成分としては、透明塗膜が形成可能なものを使用することができる。具体的には、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、これらは架橋反応性を有するものであってもよい。
(B)成分の白色顔料は、打放し面の汚染を緩和するために不可欠の成分である。
(B)成分としては、白色度95以上のものを用いる。(B)成分の白色度が95より小さい場合は、打放し面の汚染を緩和する効果が十分に発揮されない。なお、本発明における白色度は、酸化マグネシウムの白色度を100、暗闇の状態を0とした場合の白色計(ケット式光電管白色度計)による比較値である。
(B)成分の平均粒子径は0.1〜1μmとする。平均粒子径がこの範囲から外れる場合は、十分な汚染緩和効果を得ることが困難となる。
(B)成分としては、上述の条件を満たす限り各種の白色顔料を使用することができる。(B)成分の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空樹脂粒子等が挙げられる。このうち、本発明では酸化チタンが好適である。
本発明における下塗材では、その形成塗膜の隠ぺい率を10〜50%、好ましくは10〜30%に設定する。隠ぺい率がこのような範囲内であれば、打放し面の汚染を効果的に緩和することが可能となる。隠ぺい率が50%より大きい場合は、打放し面の質感を生かすことが困難となる。隠ぺい率が10%より小さい場合は、十分な汚染緩和効果を得ることができない。
なお、本発明における隠ぺい率は、塗料を乾燥厚みが40μmとなるようにフィルムアプリケータで隠ぺい率試験紙に塗り付けた試験片について、JIS K5400−1990 7.2「隠ぺい率」に準じて測定される値である。
本発明における下塗材では、隠ぺい率が上述の範囲内となるように、(A)成分と(B)成分とを混合する。(B)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、通常1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。下塗材においては、このように(B)成分の混合量が少量であるため、経時劣化した打放し面への浸透性、密着性を十分に発揮することができる。
本発明における下塗材がさらに(C)アルコキシシラン化合物の水分散体(以下「(C)成分」という)を含有するものであれば、この(C)成分が基材の中に深く浸透して撥水層を形成し、外部からの水や炭酸ガス等の浸入を遮断するため、基材の中性化による強度低下を防止することができる。さらに、躯体内部に存在する鉄骨あるいは鉄筋の腐食を抑制する効果や、基材内部のカルシウム成分の移行による基材表層でのエフロレッセンス発生を防止する効果を得ることもできる。
(C)成分としては、アルコキシシラン化合物を界面活性剤で水性エマルション化したものが好適である。
アルコキシシシラン化合物としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独もしくは複数の種類を混合して使用することができる。
アルコキシシラン化合物を水性エマルション化するための界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる1種、または2種以上を適宜使用することが可能である。
(C)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、固形分換算で通常5〜400重量部、好ましくは10〜200重量部である。
下塗材においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて通常塗料に用いられる顔料、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を単独あるいは併用して混合することもできる。
下塗材の塗装における塗付量は通常0.1〜0.3kg/m程度である。塗装器具としては、スプレーガン、ローラー、刷毛等公知の器具を適宜選択して使用することができる。乾燥時間は、通常常温で2〜4時間程度である。
本発明では、上述の下塗材による塗膜を形成させた後、中塗材を塗装する。
本発明における中塗材は、(A)合成樹脂エマルション、及び(D)白色度50以上95未満、平均粒子径0.1μm以上50μm以下の体質顔料(以下「(D)成分」という)を含むものである。このうち、(A)合成樹脂エマルションとしては、上述の下塗材と同様のものを使用することができる。
中塗材における(D)成分の体質顔料は、打放し面の質感を生かしつつ、美観性を高める役割を担う成分である。
(D)成分としては、白色度が50以上95未満のものを用いる。特に、本発明では白色度が異なる2種以上(好適には3種以上)の(D)成分を併用することが望ましい。(D)成分の白色度がこの範囲外である場合は、コンクリート打放し調の意匠性を表出することが困難となる。
(D)成分の平均粒子径は0.1〜50μm、好ましくは1〜20μmとする。平均粒子径が50μmより大きい場合は、形成塗膜表面の平滑性が損われる。平均粒子径が0.1μmより小さい場合は、打放し調の意匠性を表出することが困難となり、また塗装ムラが生じやすくなる。
(D)成分としては、上述の条件を満たす限り各種の体質顔料を使用することができる。(D)成分の具体例としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、クレー、カオリン、陶土、チャイナクレー、珪藻土、シリカ、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム等が挙げられる。このうち、本発明では、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウムから選ばれる2種以上(好適には3種以上)を組合わせて使用することが望ましい。
本発明における中塗材では、その形成塗膜の隠ぺい率を10〜50%、好ましくは10〜30%に設定する。隠ぺい率がこのような範囲内であれば、打放し面の質感を生かしつつ、美観性を高めることが可能となる。隠ぺい率が50%より大きい場合は、打放し面の質感を生かすことが困難となる。隠ぺい率が10%より小さい場合は、十分な汚染緩和効果を得ることができない。
本発明における中塗材では、隠ぺい率が上述の範囲内となるように、(A)成分と(D)成分とを混合する。(D)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、通常20〜200重量部、好ましくは30〜150重量部である。
中塗材においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて通常塗料に用いられる顔料、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を単独あるいは併用して混合することもできる。
中塗材の塗装においては、通常1回塗装を行うことにより目的の塗膜が形成できるが、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば同一塗料を複数回塗装することも可能である。中塗材の塗付量は通常0.1〜0.3kg/m程度である。塗装器具としては、スプレーガン、ローラー、刷毛等公知の器具を適宜選択して使用することができる。
本発明では、中塗材を塗装した後、さらに上塗材を塗付する。上塗材としては、(A)合成樹脂エマルションを含み、形成塗膜の隠ぺい率が10%以下であるものであれば、特に限定されず使用することができる。
本発明における上塗材は、艶消しタイプ、艶有りタイプのいずれであってもよいが、仕上面の質感向上の点においては艶消しタイプが好適である。特に本発明では、(A)合成樹脂エマルション、(E)比重1.0以上1.5以下の樹脂ビーズ、及び(F)比重0.7以上1.0未満のワックスを必須成分とする上塗材を使用することが望ましい。かかる上塗材の使用により、十分な艶消し効果と艶ムラ防止効果が発揮され、質感に優れた仕上面を得ることができる。
上塗材における(A)合成樹脂エマルションとしては、前述の下塗材や中塗材と同様のものも使用できるが、その中でも、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルションから選ばれる1種以上が望ましく、特にアクリルシリコン樹脂エマルション及び/またはフッ素樹脂エマルションが望ましい。上塗材の(A)成分がこのような樹脂で構成される場合は、塗膜の耐水性、耐候性等において優れた性能を得ることができる。
上塗材における(A)成分の形成塗膜の屈折率は、通常1.35以上1.75以下、好ましくは1.40以上1.65以下、さらに好ましくは1.45以上1.55以下である。なお、屈折率は、JIS K 7105−1981 5.1「屈折率」に順じ、温度23℃、湿度50%RHで、アッベ屈折率計(例えば、株式会社アタゴ社製等)にて測定することができる。
また、(A)成分のガラス転移温度(以下「Tg」という)は、通常−40℃〜80℃程度、好ましくは−20℃〜60℃程度である。平均粒子径は、通常30nm〜250nm程度、好ましくは50nm〜200nm程度である。
本発明における上塗材では、艶消剤として(E)比重1.0以上1.5以下の樹脂ビーズ(以下「(E)成分」という)と、(F)比重0.7以上1.0未満のワックス(以下「(F)成分」という)とを併用する。本発明では、上塗材としてこのような成分を併用したものを採用することによって、十分な艶消し効果と艶ムラ防止効果が発揮され、質感に優れた仕上面を得ることができる。その作用機構は明らかではないが、(E)成分や(F)成分がシリカや炭酸カルシウム等の一般的な無機系艶消剤粒子に比べて比重が軽く、(A)成分に対する分散性が良好であること、及び、(E)成分と(F)成分の比重差によって、両成分の塗膜内での配向性のバランスが適度な状態となっていること等が起因しているものと推測される。
(E)成分の比重は1.0以上1.5以下であるが、好ましくは1.05以上1.40以下、さらに好ましくは1.10以上1.30以下である。
(E)成分としては、比重が上述の範囲内である限り、公知または市販の樹脂ビーズを使用することができる。具体的には、例えば、ウレタンビーズ、アクリルビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズ、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリスチレンビーズ、ナイロンビーズ、スチレンアクリルビーズ、シリコンビーズ、フッ素ビーズ、セルロースビーズ、塩化ビニルビーズ、EVAビーズ等の1種または2種以上を使用することができる。この中でも、ウレタンビーズ、アクリルビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズ、ポリメタクリル酸メチルビーズ等が好ましい。
(E)成分の平均粒子径は、1μm〜20μm(さらには、5μm〜10μm)であることが好ましい。(E)成分の平均粒子径がこのような範囲であることにより、優れた艶消し効果を得ることができる。(E)成分の平均粒子径が1μmより小さいと、艶消し効果が低下するおそれがあり、20μmより大きいと仕上り性に悪影響を与える場合がある。
(E)成分の屈折率は、1.35以上1.75以下(より好ましくは1.40以上1.65以下、さらに好ましくは1.45以上1.55以下)であることが好ましい。特に本発明では、(E)成分の屈折率と(A)成分の屈折率が近似していることが好ましい。具体的には、(E)成分の屈折率と(A)成分の屈折率との差が、0.10以下であることが好ましい。(E)成分の屈折率と(A)成分の屈折率が近似していることにより、塗膜の透明性が高まり、打放し面の質感を十分に生かすことができる。
(F)成分としては、比重が0.7以上1.0未満(好ましくは0.75以上0.98以下、さらに好ましくは0.80以上0.95以下)のワックスを使用する。
(F)成分の具体例としては、例えば、ポリエチレンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、ペトロラタム、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ラノリン、みつろう、フィッシャー・トロプシュワックス等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。このうち本発明では、ポリエチレンワックス、パラフィンワックスが好ましい。
(F)成分の形態は、固体、液体等特に限定されないが、本発明では、液体であることが好ましく、特にワックスエマルションであることが好ましい。ワックスエマルションである場合、分散性、耐汚染性等の点において有利な物性を得ることができる。
(F)成分がワックスエマルションである場合、そのエマルション粒子の平均粒子径は0.5μm〜20μm(さらには、1μm〜10μm)であることが好ましい。
(F)成分の屈折率は、1.35以上1.75以下(より好ましくは1.40以上1.65以下、さらに好ましくは1.45以上1.55以下)であることが好ましい。なお、(F)成分がワックスエマルションである場合は、エマルション粒子の屈折率のことをいう。
本発明では、(F)成分の屈折率と(A)成分の屈折率が近似していることが好ましい。具体的には、(F)成分の屈折率と(A)成分の屈折率との差が、0.10以下であることが好ましい。(F)成分の屈折率と(A)成分の屈折率が近似していることにより、塗膜の透明性が高まり、打放し面の質感を十分に生かすことができる。(E)成分の屈折率と(F)成分の屈折率との差も0.10以下であることが好ましい。
(A)成分、(E)成分、(F)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、(E)成分が1〜100重量部(より好ましくは5〜60重量部、さらに好ましくは10〜40重量部)、(F)成分が1〜100重量部(より好ましくは5〜60重量部、さらに好ましくは10〜40重量部)であることが好ましい。
また、(E)成分と(F)成分との重量比は、100:10〜100:1000(より好ましくは100:15〜100:800、さらに好ましくは100:30〜100:500)であることが好ましい。なお、(F)成分がワックスエマルションである場合、混合比率は固形分重量によるものである。
各成分の混合比率をこのような範囲内に調製することによって、十分な艶消し効果、艶ムラ防止効果を得ることができる。さらには、形成塗膜の透明性、耐水性等を高めることもできる。
上塗材には、アルコキシシランの変性縮合物を混合することもできる。かかる成分の混合により、形成塗膜の耐汚染性を高めることができる。
アルコキシシランの変性縮合物としては、アルコキシシラン化合物のアルコキシル基が、ポリオキシアルキレン基含有化合物、アミノ基含有化合物、フッ素含有化合物等によって変性されたものが使用できる。この中でも、合成樹脂エマルションとの相溶性の面から、ポリオキシアルキレン基含有化合物によって変性されたアルコキシシラン縮合物が好適である。
アルコキシシラン変性縮合物の混合量は、(A)成分の固形分100重量部に対して、SiO換算で通常1.0〜40.0重量部である。
本発明における上塗材には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない程度に、公知の添加剤を混合することもできる。このような添加剤としては、例えば防腐剤、防黴剤、レベリング剤、分散剤、顔料、造膜助剤、沈降防止剤、たれ防止剤、凍結防止剤、乾燥調整剤、pH調整剤、架橋剤、希釈剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。
上塗材の塗装は、公知の塗装によればよく、例えば吹き付け塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等の各種の塗装方法により実施することができる。上塗材の塗付量は、通常0.1〜0.3kg/m程度である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(塗料の製造)
合成樹脂エマルションA200重量部に対し、白色顔料A7重量部、分散剤0.5重量部、造膜助剤15重量部、増粘剤2.5重量部、アルコキシシラン化合物120重量部、消泡剤1.5重量部を常法により混合・攪拌することによって塗料1を製造した。
同様に、塗料2〜塗料6を表1の配合に従って製造した。
なお、原料としては下記のものを使用した。
・合成樹脂エマルションA:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度30℃、被膜屈折率1.47)
・合成樹脂エマルションB:アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度35℃、被膜屈折率1.47)
・白色顔料A:酸化チタン(白色度97、平均粒子径0.3μm)
・体質顔料A:タルク(白色度60、平均粒子径4μm)
・体質顔料B:カオリン(白色度80、平均粒子径6μm)
・体質顔料C:沈降性硫酸バリウム(白色度90、平均粒子径6μm)
・艶消剤A:樹脂ビーズ(ポリメタクリル酸メチルビーズ、平均粒子径8μm、屈折率1.49、比重1.19)
・艶消剤B:ワックス(ポリエチレンワックスエマルション、平均粒子径5μm、固形分40重量%、屈折率1.52、比重0.93)
・分散剤:スチレン−マレイン酸共重合物(固形分30重量%)
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・増粘剤:ヒドロキシエチルセルロース3重量%水溶液
・アルコキシシラン化合物:ヘキシルトリエトキシシランの乳化分散体(固形分50重量%)
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
(隠ぺい率測定)
各塗料を乾燥厚みが40μmとなるようにフィルムアプリケータで隠ぺい率試験紙に塗り付け、温度23℃、相対湿度50%下にて48時間乾燥させることによって作製した試験片について、色彩色差計「CR−300」(ミノルタ株式会社製)を用いて黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を測定し、これらより隠ぺい率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2005218915
(実施例1)
部分的に黒色の雨筋汚染が生じたコンクリート面に対し、下塗材として塗料1を塗付量0.12kg/mでスプレー塗装し、温度23℃・相対湿度50%RH雰囲気下(以下「標準状態」という)で3時間乾燥させた。次いで、中塗材として塗料4を塗付量0.15kg/mでスプレー塗装し、標準状態16時間乾燥後、上塗材として塗料5を塗付量0.12kg/mでスプレー塗装し、標準状態16時間乾燥させた。
塗装後の外観は、汚染が十分に緩和されるとともに、塗装前のコンクリート面の質感に近似した仕上りとなった。
(実施例2)
上塗材として塗料5に代えて塗料6を使用した以外は、実施例1と同様にして塗装を行った。塗装後の外観は、汚染が十分に緩和されるとともに、塗装前のコンクリート面の質感に近似した仕上りとなった。
(比較例1)
下塗材として塗料1に代えて塗料2を使用した以外は、実施例1と同様にして塗装を行った。比較例1では、汚染は十分に緩和されたが、塗装前のコンクリート面の質感とは異なる人工的な外観となってしまった。
(比較例2)
下塗材として塗料1に代えて塗料3を使用した以外は、実施例1と同様にして塗装を行った。比較例2では、汚染部分を十分に覆い隠すことができなかった。
(比較例3)
下塗材を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして塗装を行った。比較例3では、汚染部分を十分に覆い隠すことができなかった。

Claims (3)

  1. コンクリート打放し面に対し、
    合成樹脂エマルション、及び白色度95以上、平均粒子径0.1〜1μmの白色顔料を含み、形成塗膜の隠ぺい率が10〜50%である下塗材を塗装し、次いで、
    合成樹脂エマルション、及び白色度50以上95未満、平均粒子径0.1μm〜50μmの体質顔料を含み、形成塗膜の隠ぺい率が10〜50%である中塗材を塗装した後、
    合成樹脂エマルションを含み、形成塗膜の隠ぺい率が10%以下である上塗材を塗装することを特徴とするコンクリート打放し面の塗装工法。
  2. 前記上塗材として、合成樹脂エマルション、比重1.0以上1.5以下の樹脂ビーズ、及び比重0.7以上1.0未満のワックスを含むものを使用することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート打放し面の塗装工法。
  3. 前記下塗材として、合成樹脂エマルション、白色度95以上、平均粒子径0.1〜1μmの白色顔料、及びアルコキシシラン化合物の水分散体を含むものを使用することを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート打放し面の塗装工法。
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