JP2005218756A - 易破壊性カプセル及びその製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 軟質フィルムによって略半球又は半楕円球状の収納部に微粉末、液状の局所用組成物が封入されている易破壊性カプセルにおいて、軟質フィルムは2層以上の積層構造を有しており、軟質フィルムの収納部の内側層には、薄肉部や、ハーフカット部、エンボス部、化学変性部よりなる脆弱部あるいは突起部が設けられている易破壊性カプセル。
【選択図面】 図1
Description
また、本発明は、処置面素材と天面素材を積層して周縁を接合されてなる美容製品の内部空所に局所用組成物を封入した易破壊性カプセルを内蔵させておき、使用時に該カプセルを指圧で破壊してカプセルに封入された微粉末又は液体を外部に滲出させてなる化粧料又は薬剤塗布用の美容製品に関する。
本発明における美容製品とは、化粧料塗布具、顔、首、胸、頭部、頭髪、手、足等の身体各所のパック用の美容パック材を意味する。
さらに、本発明における美容製品の処置面とは、化粧料成分や薬液成分を塗布する側の面、あるいは皮膚に接触する面を意味する。
これら従来の公知技術では、軟質フィルム側を押圧することによって、軟質フィルムと硬質フィルムの界面からカプセルを破壊させて局所用組成物を滲出せしめることができる利便性があるが、軟質フィルムが単層であるため、加工工程や輸送時に傷を受けたり、衝撃が加わったときにカプセルが破壊し易く、また、化粧品封入の加熱滅菌工程で圧力変動に伴う歪み等でカプセルが破壊する問題があった。これを防ぐために、フィルムの厚みを大きくすると、使用時においてカプセルが壊れず、使用性が悪くなるという問題点があった。
上述のような問題点に鑑み、鋭意検討を行った結果、本発明では輸送や保管時には破壊されることなく、内容物の局所用組成物の品質を長期に亘って維持することができ、使用時には容易に破壊が可能で、内容物の取り出しが確実に行え、しかも製造工程での歩留まりが高い、易破壊性のカプセル及び該カプセルを内蔵した美容製品を提供しようとするものである。
また、本発明では、上記カプセル内部に化粧料、薬液又は薬剤の液体又は粉末からなる局所用組成物を封入したカプセルを内蔵させた美容製品を提供することができる。
(1)軟質フィルムによって局所用組成物封入用の収納部が形成され、該収納部の開口部が硬質又は半硬質フィルムの上蓋で覆われ、両フィルムの周縁鍔部がヒートシールされてなるカプセルにおいて、該軟質フィルムが、2層以上の積層体からなり、収納部に接する側の少なくとも1つの層が易破壊部を有し、且つJIS Z0238(1998)に定められる加圧法で、20N以下の圧縮荷重に耐えることを特徴とする易破壊性カプセル。
(2)上記収納部が、略半球状又は半楕円球状であって、その空間の70体積%以上に局所用組成物が封入されてなることを特徴とする上記(1)に記載の易破壊性カプセル。
(3)上記カプセルには、(A)機械的手段による薄肉部の形成、(B)化学変性による脆弱部の形成又は(C)収納部の外側に突出する複数の突起部の形成、のいずれかによって、JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で、20Nを超える圧縮荷重で破壊可能な易破壊部が設けられてなることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の易破壊性カプセル。
(4)少なくとも2層の積層体からなる軟質フィルムのうち、局所用組成物の収納部内側の樹脂フィルムに易破壊部が設けられ、該フィルムの補強層として含フッ素系樹脂フィルムを用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の易破壊性カプセル。
(5)上記軟質フィルムの少なくとも一層として酸素バリア樹脂フィルムを使用することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の易破壊性カプセル。
(6)上記ヒートシール部が、アイオノマーを含有する(1)〜(5)のいずれかに記載の易破壊性カプセル。
(7)上記収納部に封入の局所用組成物が、粉末状、液状、ゲル状又はクリーム状の化粧料又は薬剤から選ばれたものであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の易破壊性カプセル。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の易破壊性カプセルが処置面素材及び天面素材で形成された空所に内蔵されてなることを特徴とする美容製品。
(9)上記処置面素材が、微粉末又は液体通過性素材であることを特徴とする上記(8)に記載の美容製品。
(10)上記天面素材が、微粉末又は液体非通過性素材であることを特徴とする上記(8)又は(9)に記載の美容製品。
(11)上記天面素材裏面の中央部にカプセルの上蓋面が固着され、カプセルが移動することがないことを特徴とする(8)〜(10)のいずれかに記載の美容製品。
(12)上記処置面素材とカプセルとの間に拡散シートを設けてカプセル内封入の液体成分をカプセル破壊時に処置面素材から均一に滲出せしめるようにしてなることを特徴とする(8)〜(11)のいずれかに記載の美容製品。
(13)化粧料塗布具又は美容パック材から選ばれる(8)〜(12)のいずれかに記載の美容製品。
図1は、本発明の易破壊性カプセルの一例の外観図、図2は、本発明の易破壊性カプセル形成の一工程である加熱段階、図3は、本発明のカプセル形成の真空成形段階、図4は、それに続くカプセル上蓋のヒートシール準備段階、図5は、上記上蓋のヒートシール段階を示す。また、図6は、真空成形段階の別例、図7〜図10は、本発明の易破壊性カプセルを構成する軟質フィルムに易破壊のための薄肉部又は脆弱部を設けた各例の拡大断面図を示す。また、本発明の易破壊性カプセルを内蔵した美容製品は、図11及び図12に示すもので、図11は、微粉末状の薬剤又は化粧料を封入した本発明の易破壊性カプセルを内蔵した美容製品、図12は本発明の液状の薬剤又は化粧料を封入した本発明の易破壊性カプセルを内蔵した美容製品を示す。
このようにカプセル外側に複数の突起を形成しておくと、応力分散により、突起が1つのみの場合に比べ、不意の損傷を防止することができる。突起の先端は尖っていても、丸みを帯びていてもよい。
上記カプセル2を内部空所に内蔵する本発明の美容製品1は、液又は微粉末通過性の素材5と液又は微粉末非通過性の天面素材6から構成されている。
本発明の易破壊性カプセル2を内蔵した製品1を美容用具として使用するときには、液通過性素材5側を指で押すと、カプセル2の局所組成物の収納部19に形成されている軟質フィルム8の易破壊部が破壊されて、カプセル内に封入されていた局所用組成物の微粉末3又は液体4が美容製品1内に漏れ出し、液又は微粉末通過性の素材5を通過して外部に滲出し、肌に接触する。
拡散シートをカプセルと液通過性素材5との中間に配置するのは、カプセル内に液体が封入されている場合、破壊と同時にカプセル内の化粧液や薬液4が液通過性素材5を通して一気に噴出し、必要以上の液体4がカプセル外側に流れ出て、結果的に周囲を汚すことにもなるので、これを避けるためである。拡散シートとして、繊維シート、発泡体シート又は多孔樹脂シート等を使用することができる。これに対して封入する局所用組成物が、微粉末3の場合は一気に噴出することがないので、このような拡散シート7を使用する必要はない。
さらに、カプセルを形成の軟質フィルムに酸素バリア性の樹脂フィルム層を積層することによって、アスコルビン酸又はその誘導体のような易酸化性の成分を局所用組成物としてカプセル内に封入したときでも、使用時までの時間が長くても十分に当初の成分品質を保持させることができる。
本発明の局所用組成物を封入するためのカプセルの収納部を構成する軟質フィルム8は、2層以上の積層構造を有する積層体であり、積層数は2層でも、3層以上であっても多層構造のものであればよい。
軟質フィルムの積層体の積層手段は、特に限定されるものではなく、共押出し、ドライラミネート、ウエットラミネート、ホットメルトラミネート、接着、蒸着、スパッタリング、メッキ、塗工又は溶射等の公知の手段が適用できる。
また、収納部内側のフィルムに設ける上記易破壊部は、後述するような、(A)、(B)又は(C)の手段によって設けておくことが重要である。
カプセルが破壊するときには、該収納部内側の層を破壊起点として、破壊は積層体の各層を貫いて連続的に伝播するが、時間的には瞬間的に進行するとみるのが正確である。収納部外側、すなわち、カプセル外側の層は、外部環境の変動から内容物を物理的・機械的又は化学的に保護する機能、傷・衝撃からカプセルの破壊を保護する機能を有すればよく、比較的強度の高い樹脂フィルムを使用するのが適当である。
酸素バリア層22を形成する樹脂として、ポリアミド類、各種金属類、含弗素重合体類を好ましく使用できる。また、各種の酸素吸収剤を合成樹脂に混練した組成物を使用してもよい。この酸素バリア層22は、局所用組成物として易酸化性成分を封入したときに、破壊性部を設けた樹脂フィルム層20による外部からの空気や水蒸気透過をバリアする機能や局所用組成物の気化による外部逸失を防止する機能を併せ持つことが好ましい。
積層体厚が20μm未満では、カプセルの耐圧縮強度が小さくなり、輸送時の衝撃等で壊れ易くなる。逆に200μmを越えると、耐圧縮強度が高くなりすぎ、易破壊性でなくなる。
なお、軟質フィルムの積層体を構成する積層数Nは、特に限定されないが、製造性、実用性を考慮すると、好ましい上限値は7層程度である。
上記局所用組成物の注入充填量は、70体積%以上であればよい。収納部に満杯になるように充填すると、局所用組成物が外部にはみ出やすく、ヒートシール部が接着不良となりやすい。大気圧以上の状態での充填が好ましいが、成形後に軟質フィルムが収縮して収納部が実質的に加圧状態となってもよい。
トムソン型やダイセット金型等を用いた打抜きあるいはプレス、彫刻、刻設等も適当である。
(C)突起部の形成としては、加熱状態下に真空成形するときに金型に複数の吸引孔を設けておいて、少なくとも1個の吸引孔を図6に示すように若干の円錐台形状14‘・・・としておき、軟質フィルムを軟化状態でドラフトを与えながら成形することで、薄肉状の突起を複数個形成せしめる方法が好ましく使用できる。この場合、図10に示すように収納部19側の樹脂フィルム20,比較的強度の高い樹脂フィルム21が吸引孔に引っ張られて局所用組成物の収納物の外側に突起24となる。上記突起の個数として、2個〜5個程度が好ましい。突起を形成する部位は、特に限定されないが、図1に示すようにカプセル収納部外側の半球状の頂面付近に形成しておくと、カプセルが破壊し易い。
また、カプセルの破壊時に、JIS Z0238(1998)の耐圧縮強さ試験法に定められる加圧方法で、20Nを超える圧縮応力によって破壊できるように設定した理由は、主として化粧品分野での使用を前提とすると、手指の力だけで破壊できる押力に対応するからである。カプセルの易破壊部の上記耐圧縮荷重が、JIS Z0238(1998)の耐圧縮強さ試験法に定められる加圧方法で、20Nより小さい場合には、輸送あるいは保管時の衝撃、歪みで破壊され、液又は粉末が漏れ出て美容製品の品質を低下させることとなる。
したがって、本発明の易破壊性カプセルは、好ましくは、JIS Z0238(1998)の耐圧縮強さ試験法に定められる加圧方法で、20Nを超える圧縮荷重で破壊するように設計するとよい。さらに好ましくは、25N以上70N以下の範囲の圧縮荷重で破壊するのが最も効率的である。
カプセル蓋部を構成する硬質又は半硬質の熱可塑性樹脂フィルム9は、基本的な材料としては、上記軟質フィルムと同様の素材群から選択できるが、単層であってもよいし、酸素、水蒸気等のバリア性を有する層を含む積層体であることが好ましい。保形性を持たせるために、局所用組成物の収納部を形成する軟質フィルム8よりもガラス転移温度の高い素材を選定するか、結晶性の高い素材を選定するか、あるいは材料厚みを厚くすること等が好ましい。
美容製品を構成する処置面素材は、液体又は微粉末通過性であれば、特に限定されず、塗布、パック等の処置を行うのに適した素材であり、好ましくは繊維シート、発泡体、紙又は樹脂シート等を使用することができる。
一方、天面素材も特に限定されず、上記の各シート類を使用できるが、好ましくは、液体又は微粉末非通過性である方が内容物が外部に漏れ出さない。
該化粧用塗布具やパック材の内部にカプセルを配置する形態は、特に限定されるものではないが、カプセルの破壊部が塗布具やパック材の液体又は微粉体の透過性基材と直接的に接するよう配置する。また、粉体や液体の局所用組成物を均一に分散できるように、該局所用組成物の流れ方向を制御するための多孔性フィルム等を配置するのが良いが、局所用組成物が特に液体の場合には、図12に示すように液体が一気に外部に侵出しないように拡散シートを設けることが好ましい。
以下、実施例によって更に詳しく本発明を説明する。
軟質フィルムとしてポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)フィルム(15μm厚)と低密度ポリエチレンフィルム(50μm厚)とをそれぞれ予備加熱しながら、加熱された半球状の真空成形金型(直径32mm、深さ16mm)上に導き、PCTFEフィルムが半球の外面を形成するように配置して、減圧吸引を行い、金型曲面に吸着させた。PCTFEフィルムと低密度ポリエチレンフィルムとは、ヒートラミネートされて積層一体化する。
次いで、刻設用の上金型を使用して、平面視でT字型のハーフカット部をポリエチレンフィルム側に形成し、金型曲面に沿った凹部収納部を形成した。
続いて、該半球形状の収納部に下記「表1」の配合の美容液を8ml注入し(充
填率93体積%)、半硬質フィルムとして、PET(15μm厚)/アルミニウム(10μm厚)/ポリエチレン(50μm厚)のラミネートフィルム(75μm)を上蓋素材として用い、上記収納部の開口を覆う。周縁鍔部でポリエチレン層同士が接合するようにし、接合面にアイオノマーとして“サーリン”(デュポン社製)をコーテイングし、該周縁部をヒートシールして易破壊性カプセルを製造した。
このカプセルは、JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で加圧したところ、20Nの圧縮荷重で破壊することはなかった。
このカプセルは、成形工程や加熱滅菌工程においてPCTFE層の保護作用で、製造時のカプセル損傷による歩留まり低下もなく、輸送時や保管時において衝撃や歪みが加わってもカプセルが潰れることはなかった。また、PCTFE層による酸素や水分に対するバリア機能のため、内容物の長期保存安定性に優れていた。
また、このカプセルを局所的に押圧(JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で32Nの圧縮荷重)したところ、T字型ハーフカット部が破壊起点となって、カプセルを容易に破壊することができた。
同じ操作を10個の試験体で実施しても再現性は良好であった。
ナイロン6の外層(厚み20μm)、酸素吸収剤の鉄粉を練りこんだポリプロピレン酸素バリア中間層(厚み25μm)、低密度ポリエチレン内層(厚み20μm)の3層積層体を共押出法によって製造した。次いで、低密度ポリエチレン層にプラズマエッチング処理を施して一部分を化学変性で劣化せしめ、易破壊層とした。
該積層体を予備加熱しながら、加熱金型曲面(直径32mm、深さ16mm)に減圧吸引を行いながら吸着させ、収納部を形成した。
次いで、収納部に下記「表2」の配合の美容液7ml(充填率82体積%)を注
入した。続いて、該開口部を100μm厚の半硬質ポリプロピレンフィルムをかぶせ、周縁鍔部をヒートシールし、易破壊性カプセルを製造した。
このカプセルを、JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で加圧したところ、20Nの圧縮荷重で破壊することはなかった。
このカプセルは、成形工程及び後の加熱滅菌工程においてもナイロン6層による保護作用で、製造時の損傷による歩留まり低下もなく、輸送時や保管時において衝撃や歪みが加わってもカプセルが破壊されることはなかった。また、酸素吸収剤含有層による酸素バリア機能のため、アスコルビン酸グルコシドを含む内容物の長期保存安定性に優れていた。
該カプセルを、液透過性のフォーム体と樹脂フィルムとから形成された塗布具の内部にフォーム体側に拡散シートを介在させて内蔵させ、押圧(JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で41Nの圧縮荷重)ところ、カプセルのプラズマエッチング処理した化学変性部が破壊起点となって、カプセルを容易に破壊し、内容液がフォーム体の塗布面を通して容易に滲出させることができた。
同じ操作を10個の試験体で実施しても再現性は良好であった。
軟質フィルムとして、ナイロン6保護層(厚み30μm)、アルミニウム酸素バリア層(厚み15μm)と低密度ポリエチレン内層(厚み15μm)からなり、アルミニウム層が中間となるように配置した3層積層体をメルトラミネート法によって製造した。
次いで、易破壊部としてサンドブラスト装置を用いて低密度ポリエチレン層に円形状(直径5mm)の薄肉部を形成した。
この積層体を予備加熱しながら、ナイロン6の層が金型に接するように、加熱金型曲面(直径32mm、深さ16mm)に減圧吸引を行いながら吸着させ収納部を形成した。
次いで、先の「表2」の処方の美容液を6.5ml注入し(充填率76体積%)
、半硬質ポリプロピレンフィルム(100μm厚)で収納部の開口を覆い、周縁鍔部をヒートシールし、易破壊性カプセルを製造した。
このカプセルは、JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で20Nの圧縮荷重に耐えた。
また、このカプセルは、成形工程、加熱滅菌工程において、ナイロン6外層による保護作用で、製造時の損傷による歩留まり低下もなく、輸送時や保管時において衝撃、歪みが加わってもカプセルが破壊されることはなかった。また、アルミニウム層による酸素バリア機能のため、アスコルビン酸グルコシドを含む内容物の長期保存安定性に優れていた。
さらに、このカプセルを局所的に押圧(JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で23Nの圧縮荷重)したところ、低密度ポリエチレン内層に設けた薄肉部が破壊起点となって、カプセルを容易に破壊することができた。
同じ操作を10個の試験体で実施しても再現性は良好であった。
ナイロン6の外層(厚み15μm)、酸素吸収剤として鉄粉を配合の高密度ポリエチレン酸素バリア層(厚み20μm)と低密度ポリエチレン中間層(厚み10μm)から3層積層体を共押出法によって製造した。
この積層体を予備加熱しながら、ナイロン6の層が金型に接するように、突起形成用の3つの孔を備えた加熱金型曲面(直径32mm、深さ16mm)に減圧吸引を行いながら吸着させ、収納部を形成した。
次いで、収納部に下記「表3」の処方の美容液を8ml注入し(充填率87体積
%)、収納部の開口を100μm厚みの半硬質ポリプロピレンフィルムで覆い、上蓋とし、周縁鍔部をヒートシールし、図10に示す断面形状の易破壊性カプセルを製造した。
このカプセルを、JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で加圧したところ、20Nの圧縮荷重で破壊されることはなかった。
このカプセルは、成形工程、加熱滅菌工程において、ナイロン6外層による保護作用で、製造時の損傷による歩留まり低下もなく、輸送時や保管時において衝撃、歪みが加わってもカプセルが潰れることはなかった。また、酸素吸収剤練込み高密度ポリエチレン層による酸素バリア機能のため、内部の組成物の長期保存安定性に優れていた。
さらに、このカプセルを局所的に押圧する(JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で、81Nの圧縮荷重)と、突起部に応力が集中して、該カプセルを容易に破壊することができた。
同じ操作を10個の試験体で実施しても再現性は良好であった。
軟質フィルムとしてポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)フィルム(15μm厚)と、片側エンボス装置を使用してドット状のエンボス部を形成した低密度ポリエチレンフィルム(50μm厚)をそれぞれ予備加熱しながら、加熱された半球状金型(直径32mm、深さ16mm)上に導き、PCTFEフィルムが半球の外面を形成するよう配置して、減圧吸引を行いながら下金型の曲面に収納部を形成するように吸着させた。この工程で、PCTFEフィルムと低密度ポリエチレンフィルムとはヒートラミネートされて積層一体化される。次に、上金型を使用して点状にエンボスし、収納部内側に易破壊部を形成した。
上記収納部に下記「表4」の処方の粉末組成物を8ml注入し(充填率83体積
%)、上蓋用の半硬質フィルムとして、PET(15μm厚)/アルミニウム(10μm厚)/ポリエチレン(50μm厚)のラミネートフィルムで覆い、ポリエチレン層同士が接合するよう配置する。ポリエチレン層には、アイオノマーとして“サーリン”(デュポン社製)がブレンドされている。周縁鍔部をヒートシールし、易破壊性カプセルを製造した。
このカプセルを、JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で加圧したところ、20Nの圧縮荷重で破壊されることはなかった。
このカプセルは、成形工程においてもPCTFE層による保護作用で、製造時の損傷による歩留まり低下もなく、輸送時や保管時において衝撃、歪みが加わってもカプセルが潰れることはなかった。また、PCTFE層による酸素や水分に対するバリア機能のため、内容物の長期保存安定性に優れていた。
また、このカプセルを局所的に押圧する(JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で、54Nの圧縮荷重)と、エンボス部が破壊起点となって、カプセルを容易に破壊することができた。
同じ操作を10個の試験体で実施しても再現性は良好であった。
塗布具の天面素材に合成皮革を、処置面(塗布面)素材に起毛編み地を用いて、両者を積層して直径7cmの円形にカットした。
天面素材の裏面内側の中央部に実施例1で得られたカプセルの上蓋(半硬質フィルム側)を固着し、編み地側に不織布の拡散シートを介在させて、合成皮革と起毛編み地の周縁を接合して塗布具を得た。
得られた塗布具を起毛編み地の外側から指で押圧する(JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で41Nの圧縮荷重)と、塗布具に内蔵されたカプセルが容易に破壊し、カプセルに封入された美容液が編み地塗布面を通して容易に滲出させることができた。
コットン100%の目付50g/m2のスパンレース不織布を処置面(パック面)素材とし、厚み50μmのポリエチレンフィルムを天面素材として、これらを重ね合わせ、空所中央部に実施例2で得られた易破壊性カプセルを固着した。
次いで、該カプセルとスパンレース不織布の間に、拡散シートとしてポリエチレン製多孔フィルムを挿入し、顔面形状に打抜き、該吸液性フィルムとPEフィルムの周縁鍔部をヒートシールしてパック材を製造した。
このパック材を顔面に当て、カプセルを押圧する(JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で、39Nの圧縮荷重)と、容易にカプセルが破壊して、吸液性素材に美容液が滲出して、パック材全体に万遍無くいきわたらせることができた。このように本カプセルは、パック材用途へ使用するのに適していた。
パッティング材の処置面(パッティング面)素材としてコットン100%のスパンレース不織布を、天面素材としてPEフィルムを用いて、両者を積層して直径10cmの円形にカットした。
PEフィルムの裏面内側の中央部に実施例4で得られた易破壊カプセルの上蓋(半硬質ポリプロピレンフィルム)を固着して、周縁鍔部を接合してパッティング材を得た。
得られたパッティング材の外側から指で押圧する(JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で、36Nの圧縮荷重)と、内蔵されたカプセルは容易に破壊して内部の美容液が塗布面側を通して滲出させることができ、パッティング材に使用するのに最適であった。
2 本発明の易破壊性カプセル
3 易破壊性カプセル封入用の微粉末成分(化粧料又は薬剤)
4 易破壊性カプセル封入用の液体成分(化粧液又は薬液)
5 液又は微粉末通過性の素材
6 液又は微粉末非通過性の天面素材
7 拡散シート
8 軟質フィルム
9 非破壊性の硬質又は半硬質の合成樹脂フイルム
10 加熱装置
11 加熱装置
12 真空成形の上金型
13 真空成形の下金型
14 真空成形用減圧吸引孔
14‘ 真空成形用減圧吸引孔の一例
15 軟質フィルム(2層構造)凹型薄肉部
16 軟質フィルム(3層構造)V字型薄肉部
17 軟質フィルム(3層構造)U字型薄肉部
18 酸素バリア性層
19 局所用組成物収納部
20 樹脂フィルム
21 強度の比較的高い樹脂フィルム
22 酸素バリアフィルム
24 突起
Claims (13)
- 軟質フィルムによって局所用組成物封入用の収納部が形成され、該収納部の開口部が硬質又は半硬質フィルムの上蓋で覆われ、両フィルムの周縁鍔部がヒートシールされてなるカプセルにおいて、該軟質フィルムが、2層以上の積層体からなり、収納部に接する側の少なくとも1つの層が易破壊部を有し、且つJIS Z0238(1998)に定められる加圧法で、20N以下の圧縮荷重に耐えることを特徴とする易破壊性カプセル。
- 上記収納部が、略半球状又は半楕円球状であって、その空間の70体積%以上に局所用組成物が封入されてなることを特徴とする請求項1に記載の易破壊性カプセル。
- 上記カプセルには、(A)機械的手段による薄肉部の形成、(B)化学的変性による脆弱部の形成又は(C)収納部の外側に突出する複数の突起部の形成、のいずれかによって、JIS Z0238(1998)に定められる加圧方法で、20Nを超える圧縮荷重で破壊可能な易破壊部が設けられてなることを特徴とする上記請求項1又は2に記載の易破壊性カプセル。
- 少なくとも2層の積層体からなる軟質フィルムのうち、局所用組成物の収納部内側の樹脂フィルムに易破壊部が設けられ、該フィルムの補強層として含フッ素系樹脂フィルムを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の易破壊性カプセル。
- 上記軟質フィルムの少なくとも一層として酸素バリア樹脂フィルムを使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の易破壊性カプセル。
- 上記ヒートシール部が、アイオノマーを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の易破壊性カプセル。
- 上記収納部に封入の局所用組成物が、粉末状、液状、ゲル状又はクリーム状の化粧料又は薬剤から選ばれたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の易破壊性カプセル。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の易破壊性カプセルが、処置面素材及び天面素材で形成された内部空所に内蔵されてなることを特徴とする美容製品。
- 上記処置面素材が、微粉末又は液体通過性素材であることを特徴とする請求項8に記載の美容製品。
- 上記天面素材が、微粉末又は液体非通過性素材であることを特徴とする請求項8又は9に記載の美容製品。
- 上記天面素材裏面の中央部にカプセルの上蓋面が固着され、カプセルが移動することがないことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の美容製品。
- 上記処置面素材とカプセルとの間に拡散シートを設けてカプセル内封入の液体成分をカプセル破壊時に処置面素材から均一に滲出せしめるようにしてなることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の美容製品。
- 化粧料塗布具又は美容パック材から選ばれることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の美容製品。
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