JPH09286462A - 合成樹脂製容器 - Google Patents

合成樹脂製容器

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JPH09286462A
JPH09286462A JP8094983A JP9498396A JPH09286462A JP H09286462 A JPH09286462 A JP H09286462A JP 8094983 A JP8094983 A JP 8094983A JP 9498396 A JP9498396 A JP 9498396A JP H09286462 A JPH09286462 A JP H09286462A
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synthetic resin
layer
inert material
material layer
container according
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JP8094983A
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Inventor
Hiroshi Suzuki
宏 鈴木
Masashi Arimoto
正志 有本
Yuichiro Inoue
雄一郎 井上
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面活性の高い粉末や親油性の薬剤等を収容
しても、不溶性異物を生成したり主薬成分の含量低下を
来したりしない合成樹脂製容器を提供する。 【構成】 容器本体(3)の少なくとも収容部(7)内面に
不活性材料層(10)を形成する。ここで不活性材料層と
は、表面活性の高い粉末等と接触しても組成物を離脱さ
せたり溶出させたりすることがない材料からなる層をい
い、具体的には、フッ素系樹脂や、アルミニウム箔など
からなる層をいう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品を収容した
輸液用バッグなどの合成樹脂製容器に関し、さらに詳し
くは、表面活性の高い粉末や親油性の薬剤等を収容して
も、不溶性異物を生成したり主薬成分の含量低下を来し
たりしない合成樹脂製容器に関する。
【0002】
【発明の背景】一般に、輸液用バッグは各種の医薬品や
栄養剤等を収容して保管し、必要な時期にこれらの薬剤
を患者に投与できるように構成してある。この輸液用バ
ッグに収容する薬剤には予め溶解や混合して保存してお
くと変質したり変色したりするものがあるため、これら
の薬剤を収容する輸液用バッグとしては、容器本体内に
複数の収容室を形成して各薬剤や溶解液を互いに分離し
た状態で収容し、患者に投与する直前に各収容室を互い
に連通させてそれらの薬剤を溶解・混合できるように構
成したものがある。
【0003】
【従来の技術】従来、上記輸液用バッグは、特に、外方
から力を加えて各収容室を互いに連通できるようにした
複数の収容室を有する輸液用バッグにあっては、容器本
体を柔軟な合成樹脂製材料で形成してあり、具体的には
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は軟質のポ
リ塩化ビニル樹脂が用いられている。
【0004】これらのポリエチレン、ポリプロピレン、
あるいは軟質ポリ塩化ビニル等の従来使用されている合
成樹脂材料は、成形・加工性や成形した容器の柔軟性な
どを良くするため、例えばフタル酸エステルなどを可塑
剤としてポリマーにブレンドし、ペレット化(粒状)した
ものが使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の合成樹脂材料に含まれる低分子量ポリマーや可塑剤
は、表面活性に優れた粉末薬剤や親油性の薬剤と接触す
るとこれらの薬剤に吸着される虞れがある。そして、こ
れらの低分子量ポリマー等が薬剤に吸着されると、薬剤
の主薬成分の含量が低下するばかりか、粉末薬剤を溶解
した場合には不溶性異物となって薬液中に浮遊したり沈
殿したりする問題がある。
【0006】このため、粉末等の表面活性の高い薬剤を
収容する場合や、脂肪乳剤や造影剤など親油性の薬剤を
収容する場合には、容器を成形する前に合成樹脂材料か
ら上記吸着されやすい成分を洗浄等によりあらかじめ除
去しておく必要があり、容器を安価に製造できない問題
があった。しかも、合成樹脂材料から上記低分子量ポリ
マーや可塑剤等を除去し過ぎてしまうと、合成樹脂材料
の成形・加工性や容器の柔軟性が損なわれるので、合成
樹脂材料のグレードや組成を高精度に管理しなければな
らない問題があった。
【0007】本発明は、上記従来の問題点を解消し、表
面活性の高い粉末や親油性の薬剤等を収容しても、不溶
性異物等を生成したり主薬成分の含量低下を来したりし
ない合成樹脂製容器を提供することを技術的課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、例えば、本発明の実施の形態を示す図1か
ら図7に基づいて説明すると、合成樹脂製容器を次のよ
うに構成したものである。即ち、容器本体(3)の少なく
とも収容部(7)内面に不活性材料層(10)を形成したこと
を特徴とするものである。
【0009】ここで、不活性材料層とは、表面活性の高
い粉末等と接触しても組成物を離脱させたり溶出させた
りすることがない材料からなる層をいい、具体的には、
四フッ化エチレン樹脂、三フッ化エチレン樹脂、四フッ
化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニ
リデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、4フッ化エチレン−エ
チレン共重合体、三フッ化塩化エチレン−エチレン共重
合体、三フッ化エチレン−過フッ化アルキルビニルエー
テル共重合体などのいわゆるフッ素系樹脂や、アルミニ
ウム箔などからなる層をいう。
【0010】
【作用】収容部の内面に不活性材料層が形成されている
ので、この収容部に表面活性の高い粉末薬剤や親油性の
薬剤等を収容しても、これらの収容物との接触で合成樹
脂製容器から組成物が離脱したり溶出したりする虞れが
ない。
【0011】上記合成樹脂材料は、必ずしも柔軟な材料
で構成する必要はなく、例えば容器本体をボトルタイプ
に形成してもよい。しかしながら、容器本体を柔軟な合
成樹脂材料で形成した場合には、輸液用バッグに適用す
ることができる。
【0012】この容器本体内に複数の収容部を形成した
場合には、全ての収容部の内面に不活性材料層を形成し
てもよいことはいうまでもないが、表面活性の高い粉末
薬剤等を収容するための収容部のみの内面に不活性材料
層を形成すればよく、必ずしも全ての収容部の内面に不
活性材料層を形成する必要はない。
【0013】上記収容部は、収容部全体を例えばフッ素
系樹脂などの合成樹脂材料からなる不活性材料で形成し
てもよい。この場合は、この不活性合成樹脂材料で容器
の強度を維持する必要から、厚さを100μm以上に形
成するのが好ましく、例えば輸液用バッグでは100〜
200μm、好ましくは170〜200μmの厚さに形
成される。
【0014】不活性材料層をフッ素系樹脂材料で構成す
る場合、加工性を良好にしたり容器を柔軟にしたりする
等の理由から、ポリエチレン樹脂など他の合成樹脂材料
を含有させることも可能であり、例えば、収容物の物性
等を勘案してフッ素系樹脂材料と他の合成樹脂材料との
混合比率を適宜設定し、両合成樹脂材料を溶融点以上に
加熱して溶融混合し、フィルム状に成型した後このフィ
ルムを用いて袋状などの合成樹脂製容器に形成すること
ができる。
【0015】また、上記収容部は、例えば一般に合成樹
脂製容器の形成に用いられるポリエチレン樹脂やポリプ
ロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹
脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの合成樹脂材料
を用いて収容部の外層を形成し、この外層の内面に不活
性材料層を、ラミネーションやコーティングなどの技術
を用いて形成してもよい。この場合、外層の合成樹脂材
料で容器本体の強度が確保されるので、不活性材料層は
薄く形成してもよく、特に輸液用バッグの場合には柔軟
性を損なわないように10〜200μm、好ましくは1
0〜50μmの薄い層に形成するのが適当である。
【0016】上記ラミネーションやコーティングなどの
技術とは、例えば次に示す方法をとることが可能であ
る。ただし、本発明の合成樹脂製容器は上記構成を有す
るものであれば他の方法で成型したものであってもよ
い。 (1) フッ素系樹脂材料等からなる不活性材料シートと合
成樹脂製シートとを抱き合わせ、熱溶着またはプレス加
工、あるいは加熱しながらのプレス加工により両シート
の積層体にする方法。この場合、プレス加工時の発熱を
用いることにより加熱しながらのプレス加工と同様の積
層を行うことも可能である。 (2) 不活性材料シートの片面に、溶融または軟化させて
流動化した合成樹脂材料を流し込み、プレス加工により
成形後、場合によっては冷却しながら、硬化させて積層
体にする方法。 (3) 合成樹脂材料からなるシートの表面にフッ素系樹脂
などの不活性合成樹脂材料をスプレー等の方法を用いて
コーティングし積層体にする方法。この場合、合成樹脂
製シートの全面に不活性合成樹脂材料をコーティングし
てもよいが、少なくとも容器に形成した状態で収容物と
接触する部分にコーティングしておけばよい。 (4) 不活性材料からなるシートの表面にポリエチレン樹
脂などの合成樹脂材料をスプレー等の方法を用いてコー
ティングし積層体にする方法。この場合、スプレーを用
いる方法では、合成樹脂を一流体、二流体、あるいは三
流体ノズル等を通して噴霧してもよい。
【0017】上記のラミネーションやコーティング等の
加工は、加熱による合成樹脂材料等の酸化を防止するた
め窒素ガスや他の不活性ガス雰囲気下で処理することが
好ましい。また、不活性材料をフッ素系樹脂材料で構成
した場合、前述のようにこのフッ素系樹脂材料に他の合
成樹脂材料を含有させておくと、このフッ素系樹脂材料
層と他の合成樹脂材料層との接合強度を高めることがで
き、より好ましい。なお、本発明にいうフッ素系樹脂材
料や他の合成樹脂材料は、本発明の効果が得られる範囲
において樹脂以外の添加物を含んでいてもよいことはい
うまでもない。
【0018】収容部の外層を合成樹脂材料で形成し、こ
の外層と不活性材料層のうち、少なくともいずれか一方
の層の1部を他方の層で包囲した場合には、不活性材料
層が外層に確りと保持される。なお、この一方の層の1
部を他方の層で包囲する形態とは、具体的には、不活性
材料層の周縁を包み込む状態に外層の周縁を折り返して
挟み込むもの、不活性材料層の周縁に透孔を形成してこ
の透孔に外層の合成樹脂材料を入り込ませ係止するも
の、外層と不活性材料層との接合面のうち少なくともい
ずれか一方の層に凸部を形成してこの凸部を他方の層の
材料で包囲したもの、等をいう。
【0019】特に外層と不活性材料層との接合面のうち
少なくともいずれか一方の層の接合面に凸部を形成し
て、この凸部を他方の層の材料で包囲した場合には、両
層の接触面積が大きく互いに密着して形成されるので、
外層と不活性材料層との接合強度が高くなり、不活性材
料層が外層から容易に剥離する虞れがない。
【0020】ここで、両層の接合面に設ける凸部とは、
接合面を粗くして形成した微細な凹凸や、より明瞭な線
状、波状、井桁状、点状などの凹凸模様の凸部をいう。
これらの凹凸は型による成型やスパッタリング処理によ
り形成してもよいが、針先等により接合面を傷つけて形
成してもよい。なお、上記凸部は先拡がりに形成するこ
とにより両層の接合強度を一層高めることができる。
【0021】これらの接合面に凸部を形成する方法とし
ては、例えば、シート状に形成した一方の層の接合面に
所定の凹凸模様を形成し、他方の層の材料を溶融軟化さ
せたり溶液にしたりして流動状にし、これを流し込んだ
りスプレーしたりして被覆する上記の方法を採ることに
より容易に形成することができる。
【0022】容器本体内に複数の収容部を形成し、この
複数の収容部のうち少なくとも1以上の収容部の外層を
柔軟な熱可塑性合成樹脂材料で形成し、この外層の内面
に不活性材料層を形成し、不活性材料層の周縁のうち、
他の収容部に隣設する周縁に沿って剥離力の弱いシール
部を形成した場合には、一方の収容部に外圧を加えるだ
けでこの弱シール部が剥離し、両収容部が互いに連通す
る。
【0023】この場合、不活性材料層の周縁のうち、他
の収容部に隣設する周縁を波形状に形成したり網目状に
形成したりすれば、この波形の谷間部分や網目部分の少
ない面積でのみ外層の熱可塑性樹脂材料同士が熱溶着す
るため、剥離力の弱いシール部が簡単に形成される。
【0024】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づ
き説明する。図1及び図2は本発明の実施の形態1を示
し、図1は輸液用バッグの一部を破断した正面図、図2
は中央の弱シール部周辺の縦断側面図である。
【0025】図1に示すように、この輸液用バッグ(1)
は2枚のポリエチレン樹脂フィルム(2・2)を貼り合わ
せて袋状の容器本体(3)に形成してあり、上部に吊下孔
(4)を透設し、下部にゴム栓で封止した輸液排出口(5)
を溶着してある。
【0026】上記2枚のポリエチレン樹脂フィルム(2
・2)は、周縁部同士を互いに熱溶着で確りと貼り合わ
せてあり、さらに上下方向の中間部に剥離力の弱い弱シ
ール部(6)を設けて、容器本体(3)内に上下2つの収容
部(7)を形成してある。なお、上記弱シール部(6)は、
ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂の混合樹脂から
なる熱接着力の弱いシート(8)を熱溶着して形成してあ
る。
【0027】図1及び図2に示すように、上記上側収容
部(7a)は2枚のポリエチレン樹脂フィルム(2・2)の両
内面にそれぞれフッ素系樹脂フィルムからなる不活性材
料層(10)を積層してある。この不活性材料層(10)は外面
に凸条(11)を形成して、この凸条(11)の周囲に外側のポ
リエチレン樹脂材料を入り込ませてある。このため、不
活性材料層(10)と外層のポリエチレン樹脂フィルム(2)
との接触面積が広くなるうえ凹凸による係止効果により
接合強度が高くなり、不活性材料層(10)とポリエチレン
樹脂フィルム(2)との接着力が弱い場合であってもこの
不活性材料層(10)をポリエチレン樹脂フィルム(2)に確
りと保持することができる。
【0028】上記上側収容部(7a)には粉末薬剤(12)を収
容し、下側収容部(7b)には溶解液(13)を収容してある。
従って、上記粉末薬剤(12)は不活性材料層(10)で包み込
まれており、外層のポリエチレン樹脂フィルム(2)には
直接接触しない。
【0029】
【実験例】上記不活性材料層(10)を内面に形成した合成
樹脂製容器に粉末薬剤を収容し、40℃で保管し、所定
時間経過後に純水で溶解させて濁度メータで不溶性異物
の生成を測定し、これをポリエチレン樹脂製容器及びポ
リプロピレン樹脂製容器で同様に操作した場合と比較し
た。ただし、ポリエチレン樹脂製容器及びポリプロピレ
ン樹脂製容器は、いずれも低分子量ポリマー等の除去処
理を施していない樹脂を用いて形成したものである。測
定結果は、表1の通りである。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、ポリエチレン樹
脂製容器やポリプロピレン樹脂製容器の場合には、粉末
薬剤により不溶性異物が生成していたが、フッ素系樹脂
層を内面に形成した本発明の合成樹脂製容器の場合に
は、不溶性異物が全く生成していなかった。
【0032】なお、上記実施形態1では上側収容部(7a)
の内面にのみ不活性材料層(10)を形成したが、不活性材
料層を下側収容部(7b)の内面にも形成できることはいう
までもない。
【0033】上記実施形態1では、不活性材料層(10)の
外面に凸条(11)を形成したが、不活性材料層(10)を外層
(2)に確りと保持させるためには、不活性材料層(10)の
一部を外層(2)で包囲すればよく、必ずしも不活性材料
層(10)の外面に凹凸模様を形成する構成に限らない。
【0034】即ち、図3は本発明の実施の形態2を示
す、輸液用バッグの端部の拡大断面図であり、この実施
形態2では、不活性材料層(10)の周縁(14)に沿って外層
の合成樹脂フィルム(2)の端縁(2a)を内側へ折り返して
ある。このため、不活性材料層(10)の周縁(14)がこの合
成樹脂フィルム(2)で挟み込まれ、これにより不活性材
料層(10)が合成樹脂フィルム(2)から剥離することなく
確りと保持される。
【0035】また、図4は本発明の実施の形態3を示
す、輸液用バッグの端部を破断した斜視図である。この
実施形態3では、不活性材料層(10)の周縁(14)に多数の
透孔(15)を形成してあり、この透孔(15)に入り込ませた
外層(2)の合成樹脂材料を互いに熱溶着させて、これに
より不活性材料層(10)の周縁(14)を外層(2)に確りと保
持させたものである。
【0036】上記実施の形態1では、熱接着力の弱いシ
ート(8)を用いて弱シール部(6)を形成したが、これに
代えて、例えば弱い圧力や低い温度、あるいは狭い幅で
熱溶着することにより剥離力の弱いシール部を形成して
もよい。
【0037】また、上記弱シール部は、溶着面積を少な
くして形成してもよい。即ち、図5は本発明の実施の形
態4を示す、輸液用バッグの弱シール部を拡大した断面
図であり、この実施形態4では、不活性材料層(10)の周
縁(14)のうち、他の収容部(7)に隣設する周縁(14)を波
形状に形成し、この波形状周縁(14)の各谷間(16)を介し
て外層(2)の熱可塑性樹脂材料同士を熱溶着したもので
ある。この場合、不活性材料層(10)の波形状周縁(14)同
士は互いに熱溶着せず、この結果溶着面積が少なくなっ
て弱シール部(6)が形成される。
【0038】図6は本発明の実施の形態5を示す、輸液
用バッグの弱シール部を拡大した断面図である。この実
施形態5では、不活性材料層(10)の周縁(14)のうち、他
の収容部(7)に隣設する周縁(14)を多数の紐(17)に形成
し、2枚の不活性材料層(10)の上記紐(17)を互いに交差
する状態に重ね合わせて網目構造を形成してある。そし
てこの網目状周縁(14)の網目(18)を介して外層の熱可塑
性樹脂材料同士を熱溶着し、これにより溶着面積を少な
くして弱シール部(6)を形成してある。
【0039】なお、上記弱シール部は、保管中は両収容
室を互いに分離しておき、必要時に両収容部を互いに連
通させるための構成であり、これに代えて、従来使用さ
れている遮断・連通機構を用いてもよい。これらの機構
には、例えば折取りにより連通する破封構造や、開閉弁
構造によるもの、柔軟な容器の外側からクランプ部材で
挟持する構造のもの、遮断部に連通用の両頭針を配置す
る構造のもの、あるいは凸部と凹部とをそれぞれ対向す
る合成樹脂フィルムの内面に設けてこの凸部と凹部とを
互いに係合させ封止する構造のもの等があげられる。
【0040】上記実施の形態では、いずれも輸液用バッ
グに適用した場合について説明したが、本発明はより堅
い合成樹脂材料を用いて形成するボトル状容器に適用し
てもよい。
【0041】即ち、図7は輸液用ボトルに適用した本発
明の実施の形態6を示す、一部破断斜視図である。この
実施形態6では、ポリエステル樹脂を用いて形成した容
器本体(3)内に1つの収容部(7)が形成してあり、この
収容部(7)の内面にフッ素系樹脂材料からなる不活性材
料層(10)をコーティングにより形成してある。従って、
収容部(7)に収容した造影剤(19)などの薬剤は、不活性
材料層(10)に包まれて保管され、ポリエステル樹脂から
なる外層(2)に直接接触することはない。
【0042】なお、この輸液用ボトルの場合も、収容部
(7)内に収容する薬剤は液状のものに限定されることは
なく、例えば粉末薬剤を収容して保管しておき、輸液時
に排出口(5)のゴム栓(20)等を通して溶解液を注入し、
粉末薬剤を溶解させたのち患者に輸液するように用いて
もよい。
【0043】上記実施の形態1〜6ではいずれも医薬品
を収容する輸液用の容器について説明したが、本発明は
食品や他の化学薬品等を収容する合成樹脂製容器に適用
できることはいうまでもない。また、不活性材料層とし
ては、フッ素系樹脂材料に限定されず、例えばアルミニ
ウム箔などを用いてもよい。
【0044】さらに、上記実施の形態1〜6ではいずれ
も外層の内面に不活性材料層を形成する場合について説
明したが、本発明では収容部全体を不活性材料で形成し
てもよい。この場合、収容部を複数設けた場合に、一部
の収容部のみ全体を不活性材料で形成してもよく、容器
全体を不活性材料で形成してもよい。
【0045】
【発明の効果】本発明は上記のように構成され作用する
ことから、次の効果を奏する。
【0046】(1) 収容部の内面に不活性材料層を形成し
てあるので、表面活性の高い粉末薬剤や親油性の薬剤等
を収容しても、これらの収容物との接触で合成樹脂製容
器から組成物が離脱したり溶出したりする虞れがないこ
とから、不溶性異物等を生成したり主薬成分の含量低下
を来したりすることがない。
【0047】(2) 容器本体を柔軟な合成樹脂材料で形成
した場合には、輸液用バッグに適用することができ、特
に容器本体内に複数の収容部を形成した場合には、粉末
薬剤と溶解液とを別にして保管することができ、必要時
に両収容部を連通させて不溶性異物等を生成することな
く粉末薬剤を溶解し、薬剤が変質や変色する前に患者へ
投与することができる。
【0048】(3) このとき、複数の収容部のうち、表面
活性の高い粉末薬剤等を収容するための収容部のみの内
面に不活性材料層を形成した場合には、不活性材料層を
形成する部分が少なく済み、安価に実施することができ
る。
【0049】(4) 収容部全体を合成樹脂材料からなる不
活性材料で形成した場合には、容器を成型するだけで収
容部の内面に不活性材料層を形成することができる。
【0050】(5) 収容部の外層を合成樹脂材料で形成
し、この外層の内面に不活性材料層を形成した場合に
は、外層の合成樹脂材料で容器本体の強度が確保される
ので、不活性材料層を薄く形成することができ、不活性
材料の使用量を少なくして安価に実施できるうえ、例え
ば外層を柔軟な合成樹脂材料で形成した場合に不活性材
料層が薄いため外層の柔軟性を損なうことがなく、輸液
用バッグ等に適用することができる。
【0051】(6) 外層と不活性材料層とのうち、流動状
の合成樹脂材料からなる一方の層の材料で他方の層の表
面を被覆して両層を一体に形成した場合には、両層が互
いに密着して形成されるので不活性材料層と外層との接
合強度を高くでき、不活性材料層が外層から容易に剥離
する虞れがない。
【0052】(7) 外層と不活性材料層とのうち、少なく
ともいずれか一方の層の1部を他方の層で包囲した場合
には、不活性材料層を外層に確りと保持することがで
き、不活性材料層が剥離したり破断やピンホール等を生
じたりする虞れがない。
【0053】(8) 外層と不活性材料層との接合面のうち
少なくともいずれか一方の層の接合面に凸部を形成し
て、この凸部を他方の層の材料で包囲した場合には、両
層の接触面積が大きくなって接合強度が高まるので、不
活性材料層が外層から容易に剥離する虞れがない。
【0054】(9) 容器本体内に複数の収容部を形成し、
この複数の収容部のうち少なくとも1以上の収容部の外
層を柔軟な熱可塑性合成樹脂材料で形成し、この外層の
内面に不活性材料層を形成し、不活性材料層の周縁のう
ち、他の収容部に隣設する周縁に沿って剥離力の弱いシ
ール部を形成した場合には、一方の収容部に外圧を加え
るだけでこの弱シール部を剥離でき、両収容部を簡単に
互いに連通させることができる。
【0055】(10) この場合、不活性材料層の周縁のう
ち、他の収容部に隣設する周縁を波形状に形成したり網
目状に形成したりすることにより、この波形の谷間部分
や網目部分でのみ外層の熱可塑性樹脂材料同士が熱溶着
するので、熱溶着する面積を少なくでき、剥離力の弱い
シール部を簡単に形成することができる。
【0056】(11) 不活性材料をフッ素系樹脂材料で構
成した場合には、容器全体を合成樹脂材料で形成できる
ので、透明に形成して収容部の内部を透視可能にした
り、成形加工や廃棄処理等を簡単にしたりすることがで
きる。
【0057】(12) 不活性材料を構成するフッ素系樹脂
材料に他の合成樹脂材料を含有させた場合には、加工性
が良好になるので容器の成形が容易となり、また材料を
比較的柔軟にできるので輸液バッグ等に容易に成形する
ことができる。さらにこの場合は、含有させた合成樹脂
材料の作用によりフッ素系樹脂材料が他の合成樹脂材料
と接着や溶着し易くなるので、外層の内面に不活性材料
層を形成する場合に両層の接合強度を高めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す、輸液用バッグの
一部破断正面図である。
【図2】輸液用バッグの中間部の弱シール部周辺の縦断
側面図である。
【図3】実施の形態2を示す、輸液用バッグの端部の拡
大断面図である。
【図4】実施の形態3を示す、輸液用バッグの端部を破
断した斜視図である。
【図5】実施の形態4を示す、輸液用バッグの弱シール
部を拡大した断面図である。
【図6】実施の形態5を示す、図5相当図である。
【図7】実施の形態6を示す、輸液用ボトルの一部破断
斜視図である。
【符号の説明】
2…外層(ポリエチレン樹脂フィルム)、 3…容器本体、 6…剥離力の弱い弱シール部、 7…収容部、 10…不活性材料層、 11…凸部(凸条) 14…不活性材料層の周縁、 16…波形状周縁の各谷間、 18…網目状周縁の網目。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器本体(3)の少なくとも収容部(7)内
    面に不活性材料層(10)を形成した、合成樹脂製容器。
  2. 【請求項2】 容器本体(3)を柔軟な合成樹脂材料で形
    成した、請求項1に記載の合成樹脂製容器。
  3. 【請求項3】 容器本体(3)内に複数の収容部(7…)を
    形成し、この複数の収容部(7…)のうち少なくとも1以
    上の収容部(7)の内面に不活性材料層(10)を形成した、
    請求項1または請求項2に記載の合成樹脂製容器。
  4. 【請求項4】 収容部(7)全体を合成樹脂材料からなる
    不活性材料で形成した、請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の合成樹脂製容器。
  5. 【請求項5】 収容部(7)の外層(2)を合成樹脂材料で
    形成し、この外層(2)の内面に不活性材料層(10)を形成
    した、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成樹脂製
    容器。
  6. 【請求項6】 外層(2)と不活性材料層(10)とのうち、
    シート状に形成した一方の層の表面を流動状にした他方
    の層の合成樹脂材料で被覆して両層(2・10)を一体に形
    成した、請求項5に記載の合成樹脂製容器。
  7. 【請求項7】 外層(2)と不活性材料層(10)とのうち、
    少なくともいずれか一方の層の1部を他方の層で包囲し
    た、請求項5または請求項6に記載の合成樹脂製容器。
  8. 【請求項8】 外層(2)と不活性材料層(10)との接合面
    のうち、少なくともいずれか一方の層の接合面に凸部(1
    1)を形成して、この凸部(11)を他方の層の材料で包囲し
    た、請求項7に記載の合成樹脂製容器。
  9. 【請求項9】 容器本体(3)内に複数の収容部(7…)を
    形成し、この複数の収容部(7…)のうち少なくとも1以
    上の収容部(7)の内面に不活性材料層(10)を形成すると
    ともに外層(2)を柔軟な熱可塑性合成樹脂材料で形成
    し、不活性材料層(10)の周縁(14)のうち、他の収容部
    (7)に隣設する周縁(14)に沿って剥離力の弱いシール部
    (6)を形成した、請求項5から請求項8のいずれか1項
    に記載の合成樹脂製容器。
  10. 【請求項10】 不活性材料層(10)の周縁(14)のうち他
    の収容部(7)に隣設する周縁(14)を波形状に形成し、こ
    の波形状周縁(14)の谷間(16)を介して外層(2)の熱可塑
    性樹脂材料同士を熱溶着することにより剥離力の弱いシ
    ール部(6)を形成した、請求項9に記載の合成樹脂製容
    器。
  11. 【請求項11】 不活性材料層(10)の周縁(14)のうち他
    の収容部(7)に隣設する周縁(14)を網目状に形成し、こ
    の網目状周縁(14)の網目(18)を介して外層(2)の熱可塑
    性樹脂材料同士を熱溶着することにより剥離力の弱いシ
    ール部を形成した、請求項9に記載の合成樹脂製容器。
  12. 【請求項12】 不活性材料がフッ素系樹脂材料であ
    る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の合成樹脂製
    容器。
  13. 【請求項13】 フッ素系樹脂材料に他の合成樹脂材料
    を含有させた、請求項12に記載の合成樹脂製容器。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001522708A (ja) * 1997-11-14 2001-11-20 シエーリング アクチエンゲゼルシヤフト 流動性物質を投与するためのリザーバ
JP2006502790A (ja) * 2002-10-17 2006-01-26 バクスター インターナショナル インコーポレイテッド 多チャンバーコンテナのための剥離可能なシール
JP2009119024A (ja) * 2007-11-15 2009-06-04 Hitachi Zosen Corp 複室容器の製造方法および製造装置
JP2015128880A (ja) * 2014-01-08 2015-07-16 東洋製罐株式会社 樹脂フィルムの切断加工方法

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