JP2005215225A - 光学フィルタ、光学フィルタの製造方法および蒸着マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法安定性や光学特性にすぐれた安価なアポダイゼイションフィルタを提供する。
【解決手段】円錐を倒立させた単位マスク131aを多数並べて帯状あるいは針金状の支持手段131bで結合し、フィルタ基材101に対して微小寸法だけ離間して対向配置し、マスク131を介して蒸着物質を堆積させることで、径方向に所望の膜厚パターンを有する光吸収膜をフィルタ基材101上に形成する。マスク131の支持手段131bは格子状あるいは網目状をなしているために剛性が高く、光学フィルタの製造誤差を低減できる。また、支持手段131bは単位マスク131aの中心から放射状に等間隔で延伸するため、光吸収膜に与える影響を最小限に抑えることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば写真撮影の際の背景に良好なボケ像を得るために、スチルカメラやビデオカメラ等の撮影機器に搭載される光学濃度調整用の光学フィルタ、光学フィルタの製造方法および蒸着マスクに関するものである。
従来より、ピントの合っていない背景画像等、いわゆるボケ像を良好にするための光学フィルタと、これを組み込んだカメラに関する技術が開発されており、このようなフィルタの一例として、アポダイゼイションフィルタが挙げられる。アポダイゼイションフィルタは、結像光学系の瞳近傍に配置され、該光学系の光軸から光軸と垂直な方向に離れるに従って光学濃度が増加(透過率は低下)するように構成されたフィルタで、このフィルタを用いると、ボケ像の輪郭がなだらかになり、2線ボケやリングボケが緩和される。そこで、ポートレイト撮影やマクロ撮影等、焦点深度の浅いシーンでは背景像は輪郭の柔らかな自然なボケ像となり、焦点の合った主被写体が引き立った品位の高い画像が得られる。
このような効果を得るための光学フィルタに求められる光学特性(アポダイゼイション特性)として、以下の特性が要求される。
(1)中心から周辺に向かって光学濃度が所定の割合で漸増する。
(2)円周方向の光学濃度は一定、すなわち同心円状の光学濃度パターンを有し、放射状の濃度ムラを生じない。
(3)放射方向、円周方向ともに光学濃度の不連続性がない。
(4)分光透過率が可視光帯域で均一である。
(5)表面反射率が少ない。
そしてこのような光学フィルタを製造する方法として、例えば特許文献1には、吸光性ガラスを用いた平凹レンズと透明ガラスを用いた凸平レンズを貼りあわせ、光学パワーをほぼゼロにしたアポダイゼイションフィルタの構造と、これを光学系に組み込んだ際の光学特性が開示されている。また、該特許文献1には、アポダイゼイションフィルタのその他の製法として、透明基材上に感光性樹脂を塗布し、光学マスクを介して上記感光性樹脂を着色反応させる方法、あるいは透明基材上に真空蒸着法にて製作する旨の示唆がある。
他方、真空蒸着法等によって成膜された薄膜を用いた光学フィルタとしては、特許文献2に、撮影光学系の周辺光量低下を補うために、透過光量が中心よりも周辺部分で増加するグラデーションNDフィルタ(Gradation Neutral Density Filter)を、多層構造の薄膜にて実現する構成が開示されており、また、特許文献3には、フィルタ基材に対してマスク板を回転させながら真空蒸着を行なうことで、楕円形のグラデーション濃度パターンを有したグラデーションNDフィルタを製造する方法が開示されている。
米国特許第3,843,235号公報 特公平2−47722号公報(特開昭59−38701号公報) 特開平11−38206号公報 特開平7−63915号公報 特開平6−273601号公報
しかしながら、特許文献1に開示された、吸光性ガラスを用いた平凹レンズと透明ガラスを用いた凸平レンズを貼りあわせることによるアポダイゼイションフィルタでは、透過率分布の設計自由度が低く、加えて、フィルタが厚いために結像光学系の小型軽量化が困難である。また、透明基材上に感光性樹脂や蒸着膜を形成してアポダイゼイションフィルタが製作可能との示唆はあるものの、具体的な構成や成膜方法については何ら記載はない。
特許文献2や特許文献3に開示されたNDフィルタは、レンズを透過した光が光軸の中心から離れるにつれて暗くなるのを補償するために、中心部から周辺部に向かって光学濃度が漸減する濃度分布を設けて明るさの均一化を図るものであり、良好なボケ像を得るためのアポダイゼイションフィルタとは反対の濃度分布であり、このようなグラデーションパターンを得るための蒸着方法を用いてアポダイゼイションフィルタを製造することは不可能である。
本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、略円錐形状のマスクを介した蒸着による光吸収膜を用いることで、低コスト化とアポダイゼイション特性の信頼性の向上に貢献できる光学フィルタ、光学フィルタの製造方法および蒸着マスクを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の光学フィルタは、光学中心から周辺に向かって光学濃度が増加する光学フィルタであって、透明基材と、前記透明基材の表面に堆積された光吸収膜とを有し、前記光吸収膜が、前記透明基材の中心部を露出させる開口を備えており、前記開口から周辺に向かって等方的かつ連続的に前記光吸収膜の膜厚が増加していることを特徴とする。
光学フィルタの有効最外径をd2、有効最外径部の光学濃度をOD2、光吸収膜の開口の直径をd1とするとき、0.05*d2≦d1≦0.5*d2、かつ、1.5≧OD2≧0.8の関係が成立するとよい。
本発明の光学フィルタの製造方法は、光学中心から周辺に向かって光学濃度が増加する光学フィルタの製造方法であって、透明基材に対向して略円錐形状のマスク部材を配設する工程と、略円錐形状のマスク部材を介して、蒸着物質発生手段から発生する蒸着物質を透明基材に蒸着させることで、中心部から周辺に向かって膜厚が等方的かつ連続的に増加する光吸収膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の蒸着マスクは、光学中心から周辺に向かって光学濃度が増加する光吸収膜を透明基材に成膜するための蒸着マスクであって、前記透明基材の所定の中心部に近接する小径の円形頂部を頂点とし、大径の底部まで連続的または段階的に径が拡大する略円錐形状のマスク部材と、前記マスク部材を支持するマスク支持部材とを備えたことを特徴とする。
マスク部材の円形頂部が、所定の曲率半径の球面状であるとよい。
マスク支持部材が、マスク部材の中心から径方向外方に等角度で延在する帯状部材または針金状部材を有するとよい。
上記の光学フィルタを撮影機器に用いることで、透過光量の減少を最小限に抑えながら明確で安定したボケ像改善効果を得ることができる。
略円錐形状のマスク部材を用いた蒸着によって等方的かつ連続的な膜厚が変化する光吸収膜を形成するものであるため、アポダイゼイションフィルタの寸法や光学濃度のパターンを安定化し、製造誤差を低減することが可能である。
アポダイゼイションフィルタの光学濃度や寸法を略円錐形状のマスク部材によって正確に制御できるとともに、剛性の高い針金状または帯状のマスク支持部材を用いることで、透明基材への接触による傷つきを防ぎ、かつ、マスクの低コスト化が可能であり、加えて、蒸着物質がマスク支持部材に遮られることによるアポダイゼイション特性への影響等も最小限に抑えることができる。
図1に示すように、真空チャンバ110内の回転架台111に透明基材であるフィルタ基材101を保持させ、蒸着物質発生手段である蒸発源121から発生する蒸着物質を、蒸着マスクであるマスク131を介してフィルタ基材101に被着させる。マスク131は、略円錐形状の単位マスク131aを多数並べて、帯状あるいは針金状部材を格子状あるいは網目状に構成した支持手段131bで結合し、フィルタ基材101に対して微小寸法だけ隔てて対向配置する。
マスク131を介して蒸着物質を堆積させることで、中心部の膜厚がゼロであり、中心部から外縁に向かって膜厚が連続的かつ等方的に増加する光吸収膜を各単位マスク131aの下流側に形成する。このように、中心部にはフィルタ基材101を露出させる開口を有し、外縁方向に膜厚を増加させることで図6に示すような光学濃度パターンを実現するアポダイゼイションフィルタを、単一のフィルタ基材101上に多数形成するに当り、マスク131の支持手段131bは格子状あるいは網目状をなしているために剛性が高く、高品位なフィルタパターンを安定製造できる。また、支持手段131bは単位マスク131aの中心から放射状に等間隔で延伸するため、支持手段131bの陰による欠陥等が生じても、ボケ像の違和感を抑えることができる。
図1に示す装置によって光学フィルタを製造する。真空チャンバ110は、上部観察窓110a、下部観察窓110bを有し、排気装置110cは真空チャンバ110内の空気を排出する。回転架台111は、真空チャンバ110の内壁に固設された架台保持手段112の上に回転可能に保持され、回転架台111の上面外周部には全周にわたってギヤ111aが設けられるとともに、中央には膜厚観察用の穴111bが設けられる。回転架台111を回転駆動するモータ113は、その駆動軸に装着されたギヤ113aと回転架台111に設けられたギヤ111aがかみ合い、回転架台111を真空チャンバ110内で回動(自転)させる。
複数の蒸発源121の蒸着物質として、酸化チタン、酸化アルミニウム等を用いて、所定のサイクルで加熱することで、それぞれの蒸着物質を蒸発させ、後述するようにフィルタ基材101上に所望の多層膜からなる光吸収膜や反射防止膜を形成する。回転架台111の穴111bに装着された成膜モニタ用基板122は、成膜状況をモニタするための観察用基板である。光源123は成膜中の蒸着膜の透過率を測定するための透過観察用光源であり、光源123から投光された光束は上部観察窓110a、成膜モニタ用基板122、下部観察窓110bを透過し、ミラー124で反射したのち膜厚モニタ用の受光手段125に入射する。光源126は成膜中の蒸着膜の表面反射率を測定するための反射観察用光源であり、光源126から投光された光束はミラー127で反射し、下部観察窓110bを通過して成膜モニタ用基板122の表面で反射したのち、下部観察窓110b、ミラー124を経由して、膜厚モニタ用の受光手段125に入射する。
フィルタ基材101を保持するホルダユニット130は、回転架台111の下面に装着され、蒸発源121によって矢印方向に発生した蒸着物質がホルダユニット130の下方から、ホルダユニット130に保持されたマスク131を介してフィルタ基材101の下面に堆積する。
成膜工程は、モータ113を駆動して回転架台111を回動させながら、前述のように、蒸発源121から発生した蒸着物質を各ホルダユニット130に保持されたフィルタ基材101に堆積させる。その際に、透過用の光源123と反射用の光源126を所定時間間隔で交互に点灯させ、成膜モニタ用基板122で透過ないし反射した光束を受光手段125でモニタしながら、所定の蒸発源121の蒸着物質を選択的に蒸発させることで、所望の透過率および反射率を有した光吸収膜を形成させる。本装置で製作する光吸収膜は、例えば本出願人による特許文献4に開示された技術を利用すればよい。該技術を利用することで、可視光帯域における分光透過率が均一で、所定の光学濃度を有し、かつ表面反射率の低い光吸収膜を得ることができる。
図2は図1のホルダユニット130の詳細を示すもので、図2の(a)は、図1のマスク131を下面側から見た場合の平面図、(b)はその断面図、(c)はマスク131の単位マスクであるマスク部材131aとその支持手段131bを示す分解斜視図である。
図5に示す光学フィルタのベースフィルムとなるフィルタ基材101は、厚さ75〜100μm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)等が好適である。フィルタ基材101はフィルタ保持台132に保持され、抑え部材133によって固定される。マスク131は、フィルタ基材101に前述の光学濃度分布を有するアポダイゼイションパターンとなる光吸収膜を個別に形成するための略円錐形状のマスク部材134からなる複数の単位マスク131aと、各マスク部材134を支持するスパイダー(マスク支持部材)135からなる支持手段131bを有する。蓋136は、各マスク部材134とスパイダー135の固定をより確実にする部材であり、抑え部材137はスパイダー135をフィルタ保持台132に固定する。
各マスク部材134は、図2の(c)に示すように、ステンレスや真鍮等の金属棒を旋削加工して、小径のエッジ部134aを有する円形頂部と、大径のエッジ部134bを有する底部と、円柱部134cと、前記2つのエッジ部134aと134bの間の円錐形状部134dとを有する略円錐形状の単位マスクを製作し、円柱部134cの底面(図2においては紙面上方向の面)に十字溝134eを掘る。一方スパイダー135は、ステンレスや真鍮等の平板をプレス、エッチング、放電加工等により不要部分を除去して製作したもので、図示のごとく格子状の帯状部材で構成される。そしてマスク部材134の十字溝134eにスパイダー135の各交点を位置あわせし、接着あるいは溶接にて両者を固定する。さらにその上から蓋136をかぶせ、蓋136とマスク部材134を接着、溶接、あるいはネジにて固定することで、蒸着中にマスク部材134がスパイダー135から脱落するのを防止する。
以上の構成において、フィルタ保持台132の上にフィルタ基材101を載置して抑え部材133で固定し、次いで、マスク部材134が固着されたスパイダー135をフィルタ保持台132の外周壁に載せて抑え部材137で固定することにより、ホルダユニット130が完成する。そしてホルダユニット130を図1の回転架台111の下面に装着し、回転架台111を回転させながら蒸着を行なう。その際、モータ113の振動やギヤ111aのかみ合いによって回転架台111にも微小な振動が生ずるため、スパイダー135を構成する帯状部材は強固であることが望まれる。
ただし、図2の(c)に示すスパイダー135の幅wが過大であったり、フィルタ基材101との距離が過少であると、蒸着膜にスパイダー135の陰が生じ、アポダイゼイションフィルタ上に光学濃度の低い放射状パターンが生じてしまう。また、一度に多数の光学フィルタを製作する目的で、マスク部材134の配列ピッチを過小にすると、隣接するマスクの影響を受けて、蒸着パターンに異方性を生ずる。したがって、マスク部材134とスパイダー135の寸法や相対位置は、フィルタパターンにおける欠陥許容値と目標製造コストを勘案して、適切な値を選択すればよい。
なお、スパイダーの陰がフィルタパターン上に現れてしまった場合、撮影画像におけるボケ像の輪郭部にも放射状のパターンが現れるが、該パターンの相対角度が等間隔でないと、非常に見苦しいボケ像となる。しかしながら本実施例においては、個々のマスク部材から放射状に伸びるスパイダーの本数は4本で等間隔、すなわち相対角度が90度で等角度に並んでいるため、万が一スパイダーによる放射状パターンが発生しても、ボケ画像に生ずる放射状パターンは等間隔となり、違和感を軽微に抑えることができる。
図3は各マスク部材134の形状を示すもので、スパイダー135に懸架されたマスク部材134は、フィルタ基材101に対して垂直な中心軸Oのまわりに軸対称で倒立した円錐形状をなしている。より厳密には、頂点が平滑化された円錐台と、その底面(図では上面)に続く円柱が一体となった形状をなしている。
すなわち、フィルタ基材101に対向した小径の第1のエッジ部134aと、それより大きな直径の第2のエッジ部134bと、円柱部134cと、円錐形状部134dとを有する。そして第1のエッジ部134aの直径はD1でフィルタ基材101からの距離はH1、第2のエッジ部134bの直径はD2でフィルタ基材101からの距離はH2となっている。図3においては、蒸着物質は図の上方から飛散してくるため、スパイダー135の空隙を通過した蒸着物質はマスク部材134にさえぎられ、マスク部材134に対向する中心部には堆積せず、円形の素通し開口を有する光吸収膜が得られる。しかしながら、矢印で示すように蒸着物質のフィルタ基材101に対する入射角度は垂直からある程度の広がりを有しているため、マスク部材134の第2のエッジ部の直径D2より内側の領域にも蒸着物質が回りこむ。
第1のエッジ部134aはフィルタ基材101に非常に接近しているため、第1のエッジ部134aの直径D1より内側には蒸着物質は殆ど到達しない。したがって、マスク部材134の中心軸Oを中心とした所定領域は実質上透明なフィルタ基材101が露出しており、その外側の周辺部においては、外径方向すなわち中心から外縁に向かって光学濃度が連続的に増加するいわゆるアポダイゼイション特性を有する光吸収膜を作成することができる。また、スパイダー135はフィルタ基材101から充分に遠いため、スパイダー135による放射状パターンの発生も抑えることができる。
なお、本実施例によるアポダイゼイションフィルタは民生用のデジタルスチルカメラに好適だが、例えば2/3インチサイズの撮像素子に用いられる結像光学系では、アポダイゼイションフィルタを配置する箇所の光束径(瞳径)は、3〜10mm程度となる。そこで、例えば撮影光学系の瞳径が直径5mmの場合、該瞳位置に配置するアポダイゼイションフィルタの有効径も5mmとなるので、マスク部材134の直径D1もおよそ5mm程度となる。また、マスク部材134の配列ピッチPは大きいほど隣接するマスク部材134の影響を少なくできるが、配列ピッチPを大きくすると1枚のフィルタ基材101に形成可能なパターン数が減少するので、配列ピッチPはマスク部材134の直径D2の2倍ないし4倍程度にするのが好ましい。
例えば、ホルダユニットの各マスク部材の直径を5mm、配列ピッチを15mm、フィルタ基材の寸法を80mm×80mmの正方形とした場合、基材外周の保持用余白を除外してもおよそ5×5=25個のフィルタパターンを形成することができる。そしてこのようなホルダユニットを真空チャンバ内に10セット装着すれば、1回の蒸着工程で250個のアポダイゼイションフィルタを製作できる。
図4は本実施例によって光吸収物質を成膜された光吸収膜101aおよびフィルタ基材101の一部を示すもので、PET製のフィルタ基材101の上面には、多層膜構造の光吸収膜101aが成膜される。そしてマスク部材134の第1のエッジ部134aに対向した直径d1の開口領域には、実質上蒸着物質が堆積せず、透明を保つ。また、第2のエッジ部134bに対向した直径d2よりも外側の領域は、実質上蒸着物質が均一に堆積し、均一な光学濃度分布を有する。そして、直径d1と直径d2に挟まれた領域は、膜厚が中心から周辺に向かって漸増し、従って、光学濃度は周辺に向かって漸増、すなわち透過率は周辺に向かって漸減するアポダイゼイションパターンが形成される。
なお、ここまでの工程でアポダイゼイションパターンを製作できるが、フィルタ基材表面側における中央の透明部、およびフィルタ基材裏面には蒸着物質が堆積していない。よってその部分の表面反射率は相対的に高く、撮影装置に組み込んで使用する場合にゴースト、フレアが発生して画質が低下する恐れがある。そこで、図4に示すアポダイゼイションパターンが製作されたのち、図1の真空チャンバ110からホルダユニット130を取り出してマスク131をはずし、再度真空チャンバ110に装着してフィルタ基材101の両面に反射防止膜を成膜する。その際、例えば本出願人による特許文献5に記載された反射防止膜を用いることで、フィルタの表面反射率を低下させ、撮影時のゴーストやフレアを回避することができる。
以上の工程にて反射防止膜を形成したのち、フィルタ基材101に形成された複数のアポダイゼイションパターンをプレス工程により個々の光学フィルタに切断分離し、図5に示すように、単品としてのアポダイゼイションフィルタ100が完成する。そしてこれをデジタルカメラ等の撮影光学系内に配置するための保持レバー102に固定する。
単品に分離されたアポダイゼイションフィルタ100は、前述のように、フィルタ基材101の上面には光吸収のための蒸着多層膜である光吸収膜101aが形成され、その上面には反射防止膜101bが、またフィルタ基材101の裏面にも同じく反射防止膜101bが形成されている。
保持レバー102は、光束通過開口部102aを有し、その上面にアポダイゼイションフィルタ100が接着固定される。保持レバー102の左端には回動支持穴102b、被駆動用穴102cが設けられ、不図示のフィルタ地板に植設された軸に対して回動支持穴102bが回動可能に軸支される。そして、不図示のアクチュエータの駆動ピンが被駆動穴102cに係合し、保持レバー102を回動支持穴102bを中心に回動させることで、撮影光学系の光路に対してアポダイゼイションフィルタ100を進退駆動する。
次に、本実施例のアポダイゼイションフィルタ100の光学特性について説明する。アポダイゼイションフィルタは、その有効領域上の位置によって光吸収率が異なるが、前記有効領域内の任意の位置における分光透過率は可視光帯域において略均一である。このようなフィルタの光学特性を表わす指標として、一般的に光学濃度あるいは透過率が用いられる。ここで、フィルタの光学濃度OD値と透過率(Transmission Rate)Tr(%)は以下の式で関係付けられる。
透過率Tr=100*10(-OD値) ・・・・・(1)
OD値=−Log10( Tr/100) ・・・(2)
図6は図5に示したアポダイゼイションフィルタ100の透過率分布および光学濃度分布を示すもので、同図の(a)は透過率分布を示し、横軸はフィルタにおける光線の入射高、すなわちフィルタの中心からの距離であり、縦軸は透過率Tr(%)である。ここでr0 はフィルタの有効半径、その2倍の直径d2は図4および図5に示したフィルタの有効外径d2に相当する。図6の(b)は光学濃度分布を示し、横軸は同図の(a)と同様にフィルタ中心からの距離、縦軸は光学濃度(OD値)である。
図4あるいは図5に示したように、フィルタの中心近傍である直径d1の範囲には光吸収物質は堆積せず、反射防止膜のみが形成されているために実質上透明である。そこで該領域の透過率をTr1、光学濃度をOD1とする。一方フィルタの周辺領域、すなわち直径d2より外側の領域には、光吸収物質は所定の厚さで均一に堆積している。そこで該領域の透過率をTr2、光学濃度をOD2とする。そして直径d1と直径d2の間の領域は、中心から周辺に向かって透過率がTr1からTr2に漸減、光学濃度換算ではOD値がOD1からOD2に漸増している。
次に、該アポダイゼイションフィルタをデジタルカメラ等に適用する場合の光学濃度分布の好適な値について説明する。まず、撮影画像中のボケ像における輪郭緩和効果の観点からは、フィルタの全領域に占める透過率変化領域がなるべく大きいほうが望ましい。すなわち中心部の透明領域の直径d1は小さいほうがよい。また、透過率変化は大きいほうが望ましい。すなわち中心部の透過率Tr1に対し周辺部の透過率Tr2は低いほどよい。ただし、周辺部の透過率が低いとフィルタ全体の透過率も低くなり、撮像素子への到達光量が低下するため、シャッタ秒時が長くなって手ぶれしやすくなる。
一方、該フィルタの製造容易性の観点からは、中心部の透明領域の直径d1が小さいほど、マスク部材の寸法誤差や、マスク部材とフィルタ基材の間隔誤差に敏感となり、透明領域が消失する可能性が高くなる。また、周辺部の光学濃度を高くするためには、蒸着工程に要する時間が長くなり、製造コストの増加を招く。
以上の観点から、アポダイゼイションフィルタの各特性値は以下の範囲内であるのが望ましい。
0.05*d2≦d1≦0.5*d2 ・・・(3)
1.5≧OD2≧0.8 ・・・・・・・・・(4)
ここで、式(4)を透過率Tr2で表現すれば、
3%≦Tr2≦16% ・・・・・・・・・・(5)
となる。
上記特性値となるようにマスク部材の寸法と蒸着条件を選択すれば、所望のボケ像改善効果をなすとともに、低コストかつ光学特性のバラツキの少ないアポダイゼイションフィルタを得ることができる。
さらに、表面反射率を低くして撮影光学系としてのゴースト・フレアを防止するために光学濃度OD1を
OD1≦0.02 ・・・・・・・・・・・・(6)
とするとさらによい。
ここで、式(6)を透過率Tr1で表現すれば、
Tr1≧95% ・・・・・・・・・・・・・(7)
となる。
図7は、マスク部材134の種々の変形例を示すもので、同図の(a)は、直径D1、高さH1を有する小径の第1のエッジ部134aと、直径D2、高さH2を有する大径の第2のエッジ部134b、円柱部134c、倒立した円錐形状部134dを有するマスク部材134の円形頂部に、小突起134eが設けられ、その先端がフィルタ基材101と当接するように構成したものである。この小突起134eは、蒸着工程中にフィルタ基材101が浮き上がるのを防止し、透過率分布の製造誤差を低減する効果がある。また小突起134eの先端は滑らかな球状をなしているので、蒸着工程中の装置の微振動でマスク部材134とフィルタ基材101が相対移動しても、フィルタ基材101に擦過痕が発生するのを防止できる。
図7の(b)に示すものは、小径の第1のエッジ部134aと、大径の第2のエッジ部134bをつなぐ面が外側に膨らんだ凸形状の円錐形状部134fをなしており、また同図の(c)は、小径の第1のエッジ部134aと、大径の第2のエッジ部134bをつなぐ面が内側にへこんだ凹形状の円錐形状部134gをなしている。
このように2つのエッジ部をつなぐ面の断面図上での曲率を変えることで、アポダイゼイションフィルタの透過率分布を所望の形状に調節できる。
また、図7の(d)に示すものは、明瞭な第1のエッジ部を有さず、先端部が曲率半径Rの球面状である球体状部134hとなっているが、このようなマスク部材でも同様のアポダイゼイションフィルタが製作可能である。さらには、フィルタ基材とマスク部材の先端部が突発的に接触しても、フィルタ基材に傷がつくのを防止できる。
図7の(e)に示すものは、小径の第1のエッジ部134aと、大径の第2のエッジ部134bを有するが、円錐形状部の代わりに直径の異なる複数の円柱からなる多段構造134iを設けたものである。マスク部材の外形を円柱の組み合わせとすることで、マスク製作時の寸法管理を容易にする効果がある。
これらの形状のマスク部材を適宜用いることで、図6に示したフィルタパターンの透過率分布を所望の値に調整することができる。
なお、図7の(b)ないし(e)の形状に同図の(a)の小突起134eを組み合わせてもよい。
本実施例は以下に記載する効果を奏する。
(1)軸対称形状のマスク部材の直径、高さ、側面形状を所定の値に設定することで、所望の透過率分布を有するアポダイゼイションフィルタが製作できる。
(2)フィルタ基材とマスク部材の位置決め精度がよいため、透過率分布の製造誤差を低減できる。
(3)マスク部材を支持するスパイダーの幅を狭く、かつフィルタ基材から遠ざけることで、スパイダーによる放射状パターンの発生を防止できる。
(4)個々のマスク部材から放射状に伸びるスパイダーの本数は4本で等間隔、すなわち相対角度が90度で並んでいるため、万が一スパイダーによる放射状パターンが発生しても、ボケ画像に生ずる違和感を軽減できる。
(5)安価な装置で一度に多数のフィルタが製作でき、フィルタのコストを低減できる。
図8は実施例2に用いる真空蒸着装置全体を示す模式断面図であり、図9はホルダユニット230の構造を示すものである。
図1ないし図7に示した実施例1は、帯状のスパイダーと略円錐形状のマスク部材で構成されたマスクを有するホルダユニットが、真空チャンバ内で自転する回転架台と一体的に回動しながら蒸着するものであったが、本実施例のマスク231は、単位マスク231aを支持するスパイダー231bをより細い針金状部材とし、かつ両者をより簡便な方法で結合する。また、フィルタ基材101を保持するホルダユニット230を自転および公転運動させることで、より精密なアポダイゼイションフィルタを得ることを可能にする。
図8において、真空チャンバ110、排気装置110c、回転架台111、架台保持手段112、回転架台111を回転駆動するためのモータ113、蒸発源121、成膜モニタ用基板122、透過観察用の光源123、ミラー124、127、膜厚モニタ用の受光手段125、反射観察用の光源126等は実施例1と同様であるから同一符号で表わし説明は省略する。
遊星駆動用の太陽ギヤ214は、真空チャンバ110の内壁の架台保持手段112の下に固着される。ホルダユニット230は、回転架台111の下面に装着され、蒸発源121によって蒸発した蒸着物質がホルダユニット230の下面からフィルタ基材201に堆積する。ホルダユニット230は固定台座230aと回転台座232からなり、固定台座230aは回転架台111に固着され、回転台座232は固定台座230aに対して回転可能に保持される。そして回転台座232の外周には全周に渡って遊星ギヤ232aが設けられ、遊星ギヤ232aと前記太陽ギヤ214がかみ合っている。
上記構成において、モータ113を駆動して回転架台111を駆動させると、回転台座232は回転架台111と共に真空チャンバ110内を自転するとともに、太陽ギヤ214とかみ合っているために公転運動する。すなわちフィルタ基材201を保持した回転台座232は、真空チャンバ110内を自転しながら公転するため、蒸発源121より飛来した蒸着物質が、ホルダユニット230により一層均一に堆積される。
図9はホルダユニット230の構造を示すもので、同図の(a)は、ホルダユニット230を下面側から見た場合の平面図、(b)はその断面図、(c)はマスク231の単位マスク231aとその支持手段231bを示す分解斜視図である。
フィルタ基材201は、実施例1と同様のPETが好適であり、予め円形に加工されている。フィルタ基材201を保持する回転台座232は、抑え部材233によって固定台座230a上に回転可能に保持される。フィルタ基材201に所定の光学濃度分布を有するアポダイゼイションパターンを形成するためのマスク部材234は、支持手段231bを構成するスパイダー235によって支持され、スパイダー235は、抑え部材237によって回転台座232に固定される。固定台座230aは、マスク231およびフィルタ基材201が一体となったものを回転可能に保持する。
マスク231の単位マスク231aを構成するマスク部材234は、ステンレスや真鍮等の金属棒を旋削加工したもので、フィルタ基材201に対向した小径の第1のエッジ部234aと、大径の第2のエッジ部234bと、上部の円柱部234cと、底部の円錐形状部234dとを有する。そして、円柱部234cの底面(図9においては紙面上方向の面)にはザグリを入れて、側面側から複数の穴234eを穿孔する。一方スパイダー235は、ステンレスや真鍮等の針金(棒)が好適で、通常の冷間引き抜き加工で製作された棒状部材が用いられる。そして、複数のマスク部材234を格子状にならべて穴234eにスパイダー235となる棒状部材を順に通すことで、マスク部材234とスパイダー235が結合される。
以上の構成において、回転台座232の上にフィルタ基材201を載せて抑え部材233で固定し、次いで、マスク部材234が結合されたスパイダー235を回転台座232の外周壁に載せて抑え部材237で固定することにより、ホルダユニット230の公転部分が完成する。最後に該公転部分を固定台座230aに対して回転可能に結合し、ホルダユニット230が完成する。そしてホルダユニット230を図8の回転架台111の下面に装着し、回転架台111を回転させる。すると、フィルタ基材201を保持した回転台座232が真空チャンバ110内で自転および公転しながら蒸着が行なわれる。
本実施例によれば、実施例1の効果(1)ないし(5)に加えて以下の効果が得られる。
(6)マスク部材とスパイダーがより安価に製造できる。
(7)マスク部材とスパイダーの結合および分解が容易となり、マスク部材の洗浄や補修作業が迅速かつ確実に行なえる。
(8)蒸着の際にフィルタ基材が自転および公転運動するため、より均一なフィルタパターンが形成できる。
実施例1および実施例2では、格子状のスパイダーの格子点にマスク部材が配置されたため、各マスク部材から延伸するスパイダーの本数は4本、各スパイダー間の相対角度は90度であったが、本実施例では、図10に示すように、単位マスクであるマスク部材334を支持する支持手段として相対角度60度で交差するスパイダー335を用いる。
図10の(a)は、ホルダユニット330を示す平面図、(b)はその断面図、(c)はマスク部材334とスパイダー335の分解斜視図である。
本実施例において、光学フィルタのベースフィルムとなるフィルタ基材301には、実施例1と同様のPET基材が用いられる。フィルタ基材301はフィルタ保持台332に保持され、抑え部材333によって固定される。フィルタ基材301に所定の光学濃度分布を形成するためのマスク部材334は、スパイダー335によって支持され、マスク部材334とスパイダー335の固定をより確実にする蓋336が取り付けられる。スパイダー335は抑え部材337によってフィルタ保持台332に固定される。
マスク部材334は、図10の(c)に示すように、ステンレスや真鍮等の金属棒を旋削加工したもので、フィルタ基材301に対向した小径の第1のエッジ部334aと、大径の第2のエッジ部334bと、上部の円柱部334cと、底部の円錐形状部334dとを有する。そして、マスク部材334の底面部(上面)に互いに60度の角度をなす6本の放射溝334eを掘る。一方スパイダー335は、ステンレスや真鍮等の平板をプレス、エッチング、放電加工等により不要部分を除去して製作したもので、図示のごとく細い帯が60度の角度で交差する網目状部材で構成される。そしてマスク部材334の放射溝334eにスパイダー335の各交点を位置あわせし、接着あるいは溶接にて両者を固定する。さらにその上から蓋336をかぶせ、蓋336とマスク部材334を接着、溶接、あるいはネジにて固定することで、蒸着中にマスク部材334がスパイダー335から脱落するのを防止する。そして上記各部材は実施例1と同様の方法で組み立てられ、完成したホルダユニット330は真空チャンバ内の回転架台に装着される。
以上の構成において、個々のマスク部材から放射状に伸びるスパイダーの本数は6本となるため、実施例1のスパイダーよりも剛性が高くなる。その結果スパイダーの幅をより細くできるので、スパイダーによる放射状のパターンを更に軽減できる。
本実施例によれば、実施例1の効果(1)、(2)、(3)、(5)に加えて、以下の効果を得ることができる。
(9)スパイダーを更に細くできるため、より均一なアポダイゼイションパターンが形成できる。
(10)個々のマスク部材から放射状に伸びるスパイダーは等間隔、すなわち相対角度が60度となっているため、万が一スパイダーによる放射状パターンが発生しても、ボケ画像に生ずる違和感を軽減できる。
(11)マスク部材をより稠密に配列でき、一度に製作できるフィルタの個数が増してフィルタの単価をより一層低減できる。
実施例3では、個々のマスク部材から延伸するスパイダーの本数は6本、各スパイダー間の相対角度は60度であったが、本実施例では、図11に示すように、マスク部材434を支持するスパイダー435が相対角度120度で交差する。
図11の(a)は、ホルダユニット430を示す平面図、(b)はその断面図、(c)はマスク部材434とスパイダー435の分解斜視図である。
本実施例において、光学フィルタのベースフィルムとなるフィルタ基材401には、実施例1と同様のPET基材が用いられる。フィルタ基材401はフィルタ保持台432に保持され、抑え部材433によって固定される。フィルタ基材401に所定の光学濃度分布を形成するためのマスク部材434は、スパイダー435によって支持され、マスク部材434とスパイダー435の固定をより確実にする蓋436が取り付けられる。スパイダー435は抑え部材437によってフィルタ保持台432に固定される。
マスク部材434は、図11の(c)に示すように、ステンレスや真鍮等の金属棒を旋削加工したもので、フィルタ基材401に対向した小径の第1のエッジ部434aと、大径の第2のエッジ部434bと、上部の円柱部434cと、底部の円錐形状部434dとを有する。そして、マスク部材434の図示上面に互いに120度の角度をなす3本の放射溝434eを掘る。一方スパイダー435は、ステンレスや真鍮等の平板をプレス、エッチング、放電加工等により不要部分を除去して製作したもので、図示のごとく細い帯が120度の角度で交差するハニカム状部材で構成される。そしてマスク部材434の放射溝434eにスパイダー435の各交点を位置あわせし、接着あるいは溶接にて両者を固定する。さらにその上から蓋436をかぶせ、蓋436とマスク部材434を接着、溶接、あるいはネジにて固定することで、蒸着中にマスク部材434がスパイダー435から脱落するのを防止する。そして上記各部材は実施例1と同様の方法で組み立てられ、完成したホルダユニット430は真空チャンバ内の回転架台に装着される。
以上の構成において、個々のマスク部材から放射状に伸びるスパイダーの本数は3本となるため、実施例1のスパイダーと等価な剛性を得るためにはスパイダーの幅を若干大きくする必要があるが、スパイダーの本数が減少すること、およびマスク部材の配列密度が疎となるため、隣接するマスク部材の干渉が減り、より均一なフィルタパターンが形成できる。
本実施例4によれば、実施例1の効果(1)、(2)、(3)、(5)に加えて以下の効果を得ることができる。
(12)個々のマスク部材から放射状に伸びるスパイダーの本数を減らすことができ、より均一なアポダイゼイションパターンが形成できる。
(13)個々のマスク部材から放射状に伸びるスパイダーは等間隔、すなわち相対角度が120度で並んでいるため、万が一スパイダーによる放射状パターンが発生しても、ボケ画像に生ずる違和感を軽減できる。
(14)マスク部材の配列密度を下げることで、隣接マスクの干渉を避け、より均一なアポダイゼイションパターンが形成できる。
なお、実施例3または実施例4の単位マスクを支持する支持手段であるスパイダーを実施例2に応用しても同様の効果を得ることができる。また、スパイダーの格子形状は実施例1ないし4の形状に限定されるものではない。
また、各実施例のマスクとその周辺部材は、真空蒸着装置の他に、スパッタ装置等にも適用できるのはもちろんである。
実施例1による光学フィルタの製造装置を示す模式図である。 図1のマスク構成を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図、(c)は単位マスクを分解して示す分解斜視図である。 図1の単位マスクの詳細を説明する図である。 光学フィルタの膜構成を説明する図である。 光学フィルタのカメラ組み込み状態を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。 光学フィルタの光学特性を説明するグラフである。 実施例1のマスク部材の変形例を示す図である。 実施例2による光学フィルタの製造装置を示す模式図である。 図8のマスク構成を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図、(c)は単位マスクを分解して示す分解斜視図である。 実施例3によるマスク構成を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図、(c)は単位マスクを分解して示す分解斜視図である。 実施例4によるマスク構成を示すもので、(a)はその平面図、(b)は断面図、(c)は単位マスクを分解して示す分解斜視図である。
符号の説明
101、201 フィルタ基材
101a 光吸収膜
101b 反射防止膜
110 真空チャンバ
111 回転架台
112 架台保持手段
113 モータ
121 蒸発源
130、230 ホルダユニット
131、231 マスク
131a、231a 単位マスク
131b、231b 支持手段
132、332、432 フィルタ保持台
134、234、334、434 マスク部材
135、235、335、435 スパイダー
230a 固定台座
214 太陽ギヤ
232 回転台座
232a 遊星ギヤ

Claims (6)

  1. 光学中心から周辺に向かって光学濃度が増加する光学フィルタであって、透明基材と、前記透明基材の表面に堆積された光吸収膜とを有し、前記光吸収膜が、前記透明基材の中心部を露出させる開口を備えており、前記開口から周辺に向かって等方的かつ連続的に前記光吸収膜の膜厚が増加していることを特徴とする光学フィルタ。
  2. 光学フィルタの有効最外径をd2、有効最外径部の光学濃度をOD2、光吸収膜の開口の直径をd1とするとき、0.05*d2≦d1≦0.5*d2、かつ、1.5≧OD2≧0.8の関係が成立することを特徴とする請求項1記載の光学フィルタ。
  3. 光学中心から周辺に向かって光学濃度が増加する光学フィルタの製造方法であって、
    透明基材に対向して略円錐形状のマスク部材を配設する工程と、
    略円錐形状のマスク部材を介して、蒸着物質発生手段から発生する蒸着物質を透明基材に蒸着させることで、中心部から周辺に向かって膜厚が等方的かつ連続的に増加する光吸収膜を形成する工程と、を有することを特徴とする光学フィルタの製造方法。
  4. 光学中心から周辺に向かって光学濃度が増加する光吸収膜を透明基材に成膜するための蒸着マスクであって、前記透明基材の所定の中心部に近接する小径の円形頂部を頂点とし、大径の底部まで連続的または段階的に径が拡大する略円錐形状のマスク部材と、前記マスク部材を支持するマスク支持部材とを備えたことを特徴とする蒸着マスク。
  5. マスク部材の円形頂部が、所定の曲率半径の球面状であることを特徴とする請求項4記載の蒸着マスク。
  6. マスク支持部材が、マスク部材の中心から径方向外方に等角度で延在する帯状部材または針金状部材を有することを特徴とする請求項4または5記載の蒸着マスク。
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