JP2005214956A - 高感度な試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬。 - Google Patents

高感度な試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬。 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度な試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬を提供する。
【解決手段】下記の各工程よりなる、高感度な試料中のシュクロースの定量方法である。(a)α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程、(b)α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程、(c)6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、並びに(d)生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程。また、高感度な試料中のシュクロースの定量試薬である。
【選択図】図1

Description

本発明は、高感度な試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬に関するものである。
更に詳しくは、本発明は、チオ−NAD又はチオ−NADPを補酵素として用いグルコース−6−リン酸脱水素酵素の反応を利用して高感度に試料中のシュクロースを定量する方法及び試薬である。
本発明は、臨床診断分野などの医療分野や各種食品中の成分分析などの分析分野等において有用なものである。
試料中のシュクロースの定量方法には、HPLC法や酵素的測定法が知られている。
金電極と電気化学検出器を用いたHPLC法は、シュクロースを高感度に測定できると言われているが、非常に複雑で特殊な装置を必要とし、測定に長時間を要することが難点である。
また、酵素的測定法及び酵素的測定試薬として、インベルターゼを初発酵素に用いた定量方法及び定量試薬が報告されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照。)。
しかしながら、この定量方法及び定量試薬は、往々にして試料中にもともと高濃度含有しているグルコース又はフルクトースの影響を受けやすく、試料中にこれらの物質が含まれていた場合には正誤差の原因になる。そこで、グルコース又はフルクトースを予め分解除去する必要がある。
また、シュクロースホスホリラーゼを初発酵素に用いた定量方法及び定量試薬は、シュクロースホスホリラーゼによる反応の次段階としてグルコース−6−リン酸を測定する定量方法及び定量試薬であり、その内、エンドポイント法は、測定に30分間を要し、実質的に汎用の自動分析装置には適用できない方法及び試薬であった(例えば、非特許文献3参照。)。
更に、レートアッセイ法は、試料中のシュクロース濃度700μmol/Lにおける吸光度変化量が0.04程度のものであり、測定の感度が低いものであった(例えば、非特許文献4参照。)。
Bergmeyer HU,Bernt E,Methods of Enzymatic Analysis 2nd Ed.,1177−1179,1974
Holms EW,Analytical Biochemistry,103−109,1997
Birnberg PR,Brenner ML,Analytical Biochemistry,556−561,1984
Vinet B,Panzini B,Boucher M,Massicotte J,Clinical Chemistry,2369−2371,1998
前述のように、従来の試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬は、特殊な装置を必要としたり、誤差が生じやすいものであったり、測定に長時間を要したり、又は測定の感度が低い等の欠点を有するものであった。
これに対して、本発明は、特殊な装置を必要とせず、短時間のうちに測定を完了させることが出来、そして汎用の自動分析装置にて測定を行うことが出来て、正確にかつ感度高く測定を達成することができる、高感度な試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、更に6−ホスホグルコン酸脱水素酵素が、NAD(酸化型)及びNADP(酸化型)よりも分子吸光係数の大きいチオ−NAD(酸化型)及びチオ−NADP(酸化型)とそれぞれ反応するということを新たに見出して、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)に記載の各発明を包含するものである。
(1) 本発明は、下記の各工程よりなる、高感度な試料中のシュクロースの定量方法である。
(a) 試料中に含まれるシュクロースに、シュクロースホスホリラーゼ及び、無機リン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程
(b) α−D−グルコース−1−リン酸に、ホスホグルコムターゼ、マグネシウムイオン及び、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程、
(c) α−D−グルコース−6−リン酸に、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及び水とともに、チオNAD(酸化型)又はチオNADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、並びに
(d) 生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程
(2) 前記(1)記載の高感度な試料中のシュクロースの定量方法の発明においては、反応工程(c)の後に、更に下記の反応工程(e)を行わせることが好ましい。
(e) 6−ホスホグルコノラクトンに、6−ホスホグルコノラクトナーゼ及び水を接触させ、6−ホスホグルコン酸を生成させる反応工程
(3) また、本発明は、下記の各工程よりなる、高感度な試料中のシュクロースの定量方法である。
(A) 試料中に含まれるシュクロースに、シュクロースホスホリラーゼ及び、無機リン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程
(B) α−D−グルコース−1−リン酸に、ホスホグルコムターゼ、マグネシウムイオン及び、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程、
(C) α−D−グルコース−6−リン酸に、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及び水とともに、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、
(D) 6−ホスホグルコノラクトンに、6−ホスホグルコノラクトナーゼ及び水を接触させ、6−ホスホグルコン酸を生成させる反応工程、
(E) 6−ホスホグルコン酸に、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、水及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、リブロース−5−リン酸、二酸化炭素、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、並びに
(F) 生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程
(4) そして、本発明は、シュクロースホスホリラーゼ、無機リン酸又はこの塩、ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩、水及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を含む、高感度な試料中のシュクロースの定量試薬である。
(5) 前記(4)記載の高感度な試料中のシュクロースの定量試薬の発明においては、更に6−ホスホグルコノラクトナーゼを含ませることが好ましい。
(6) 更に、本発明は、シュクロースホスホリラーゼ、無機リン酸又はこの塩、ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩、水、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方、6−ホスホグルコノラクトナーゼ、及び6−ホスホグルコン酸脱水素酵素を含む、高感度な試料中のシュクロースの定量試薬である。
本発明の高感度な試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬は、特殊な装置を必要とせず、短時間のうちに測定を完了させることが出来、そして汎用の自動分析装置にて測定を行うことが出来て、正確にかつ感度高く測定を達成することができる、高感度な定量方法及び定量試薬である。
〔I〕.高感度な試料中のシュクロース定量方法
〔1〕.本発明の第1の定量方法
1.本発明の第1の定量方法
本発明の高感度な試料中のシュクロース定量方法において、第1の定量方法を下に示す。
(1) 本発明は、下記の(a)、(b)、(c)及び(d)の各工程よりなる、高感度な試料中のシュクロースの定量方法である。
(a) 試料中に含まれるシュクロースに、シュクロースホスホリラーゼ及び、無機リン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程
(b) α−D−グルコース−1−リン酸に、ホスホグルコムターゼ、マグネシウムイオン及び、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程、
(c) α−D−グルコース−6−リン酸に、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及び水とともに、チオNAD(酸化型)又はチオNADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、並びに
(d) 生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程
本発明の第1の定量方法における測定反応を下に示した。
Figure 2005214956
2.シュクロース
本発明におけるシュクロースは、シュクロース又はその誘導体を意味する。
3.試料
本発明における試料は、シュクロースを含む可能性があるものであって、試料中のシュクロース濃度の測定(定量)を行おうとするものであり、このようなものであれば特に限定されない。
このような試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液、汗等の体液、ヒト若しくは動物の腎臓、心臓、肺、脳等の臓器等の抽出液;骨格筋、骨髄、皮膚、又は神経組織等の抽出液;毛髪等の抽出液、ヒト又は動物の糞便の抽出液又は懸濁液;細胞の抽出液;植物の抽出液;食品又はこれの抽出液;農林水産物又はこれの抽出物;飲料水;飲料;環境試料(土壌、海水、河川水、湖沼水、地下水など);あるいは薬剤等が挙げられる。
なお、本発明におけるシュクロースを含む可能性がある試料としては、シュクロースをヒト又は動物に経口等で投与した後のそのヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液又は汗等の体液であってよい。
4.シュクロースホスホリラーゼによる反応工程
本発明の第1の定量方法におけるシュクロースホスホリラーゼによる反応工程(a)、すなわち、試料中に含まれるシュクロースに、シュクロースホスホリラーゼ及び、無機リン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程(a)について、以下詳述する。
この反応工程に用いるシュクロースホスホリラーゼは、シュクロース、及び無機リン酸又はこの塩を基質とし、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成する反応を触媒する酵素であれば、どのようなものでもよい。
このシュクロースホスホリラーゼの由来としては、例えば、Leuconostoc mesenteroides、又はPseudomonas saccharophila等を挙げることができる。
この反応工程(a)におけるシュクロースホスホリラーゼの濃度は、通常2,500〜150,000単位/Lであることが好ましく、特に好ましくは7,500〜50,000単位/Lである。
なお、この反応工程(a)におけるpHは、pH6.0〜pH9.0の範囲にあることが好ましく、特に好ましくはpH6.5〜pH7.5の範囲である。
また、この反応工程(a)における温度は、20℃〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは25℃〜37℃の範囲である。
この反応工程に用いる無機リン酸又はこの塩は、無機リン酸、又は無機リン酸の塩であれば特に制限なく用いることができる。
この無機リン酸の塩としては、例えば、リン酸水素一カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素一ナトリウム、又はリン酸水素二ナトリウム等を挙げることができる。
この反応工程(a)における無機リン酸又はこの塩の濃度は、通常5〜50mMであることが好ましく、特に好ましくは10〜40mMである。
上述した反応工程(a)により、試料中に含まれるシュクロースの1分子に対して、1分子のα−D−グルコース−1−リン酸を生成させる。
5.ホスホグルコムターゼによる反応工程
本発明の第1の定量方法におけるホスホグルコムターゼによる反応工程(b)、すなわち、前記の反応工程(a)において生成したα−D−グルコース−1−リン酸に、ホスホグルコムターゼ、マグネシウムイオン及び、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程(b)について、以下詳述する。
この反応工程に用いるホスホグルコムターゼは、マグネシウムイオン及びグルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩の存在下に、α−D−グルコース−1−リン酸を基質とし、α−D−グルコース−6−リン酸を生成する反応を触媒する酵素であれば、どのようなものでもよい。
このホスホグルコムターゼの由来としては、例えば、ウサギ筋肉等を挙げることができる。
この反応工程(b)におけるホスホグルコムターゼの濃度は、通常225〜3,750単位/Lであることが好ましく、特に好ましくは375〜1,500単位/Lである。
なお、この反応工程(b)におけるpHは、pH6.0〜pH9.0の範囲にあることが好ましく、特に好ましくはpH6.5〜pH7.5の範囲である。
また、この反応工程(b)における温度は、20℃〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは25℃〜37℃の範囲である。
この反応工程に用いるマグネシウムイオンとしては、このマグネシウムイオン自体又はマグネシウムイオンを含む化合物等を使用すればよい。
このマグネシウムイオンを含む化合物としては、例えば、マグネシウムイオンの塩等を挙げることができる。
このマグネシウムイオンの塩としては、例えば、塩化マグネシウムなどのハロゲンイオンとの塩、又は酢酸マグネシウムなどの酸基との塩等を挙げることができる。
この反応工程(b)におけるマグネシウムイオンの濃度は、通常0.375〜7.5mMであることが好ましく、特に好ましくは0.75〜3.75mMである。
この反応工程に用いるグルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩は、グルコース−1,6−ジリン酸、又はグルコース−1,6−ジリン酸の塩であれば特に制限なく用いることができる。
このグルコース−1,6−ジリン酸の塩としては、例えば、カリウムなどのアルカリ金属との塩、又はテトラシクロヘキシルアンモニウム塩等を挙げることができる。
この反応工程(b)におけるグルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩の濃度は、通常0.003〜0.03mMであることが好ましく、特に好ましくは0.0075〜0.02mMである。
上述した反応工程(b)により、反応工程(a)において生成させたα−D−グルコース−1−リン酸の1分子に対して、1分子のα−D−グルコース−6−リン酸を生成させる。すなわち、試料中に含まれるシュクロースの1分子に対して、1分子のα−D−グルコース−6−リン酸を生成させる。
6.グルコース−6−リン酸脱水素酵素による反応工程
本発明の第1の定量方法におけるグルコース−6−リン酸脱水素酵素による反応工程(c)、すなわち、前記の反応工程(b)において生成したα−D−グルコース−6−リン酸に、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及び水とともに、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程(c)について、以下詳述する。
この反応工程に用いるグルコース−6−リン酸脱水素酵素は、α−D−グルコース−6−リン酸及び水を基質とし、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)を補酵素として、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成する反応を触媒する酵素であれば、どのようなものでもよい。
このグルコース−6−リン酸脱水素酵素の由来としては、例えば、Leuconostoc mesenteroides、Pseudomonas fluorescens、又は酵母等を挙げることができる。
この反応工程(c)におけるグルコース−6−リン酸脱水素酵素の濃度は、通常225〜15,000単位/Lであることが好ましく、特に好ましくは750〜3,750単位/Lである。
なお、この反応工程(c)におけるpHは、pH6.0〜pH9.0の範囲にあることが好ましく、特に好ましくはpH6.5〜pH7.5の範囲である。
また、この反応工程(c)における温度は、20℃〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは25℃〜37℃の範囲である。
なお、この反応工程に用いるチオ−NAD(酸化型)は、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型)である。
また、この反応工程に用いるチオ−NADP(酸化型)は、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)又はチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)の塩である。
このチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)の塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムなどのアルカリ金属との塩等を挙げることができる。
この反応工程(c)におけるチオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)の濃度は、通常0.1〜5.0mMであることが好ましく、特に好ましくは0.3〜2.0mMである。
上述した反応工程(c)により、反応工程(b)において生成させたα−D−グルコース−6−リン酸の1分子に対して、1分子のチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)、及び1分子の6−ホスホグルコノラクトンを生成させる。すなわち、試料中に含まれるシュクロースの1分子に対して、1分子のチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)、及び1分子の6−ホスホグルコノラクトンを生成させる。
7.チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の測定工程
本発明の第1の定量方法におけるチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の測定工程(d)、すなわち、前記の反応工程(c)において生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程(d)について、以下詳述する。
この工程におけるチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の測定であるが、前記の反応工程(c)において生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の量(濃度)が測定できる方法であれば、どのような方法でもよい。
この方法としては、例えば、このチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)が吸収を有する波長における吸光度又は透過率を測定したり、又は電気化学的にチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する方法等を挙げることができる。
吸光度を測定する場合には、例えば、チオ−NADH(還元型)及びチオ−NADPH(還元型)の各々が吸収極大を有する400nm近辺の波長(例えば400nm又は405nm等)において吸光度の測定を行う。
そして、この試料を測定したときの吸光度(測定値)を、シュクロース濃度が既知の試料(標準液、標準物質)を測定したときの吸光度(測定値)で除して、この標準液のシュクロース濃度値を乗じることにより、試料中に含まれていたシュクロースの濃度を算出することができる。
また、400nm近辺の波長において測定した吸光度を、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)のモル吸光係数で除することにより、前記の反応工程(c)において生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の量(濃度)を求めることができる。そして、次に、ここで求めたチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の量(濃度)と、この定量反応の反応工程(a)〜(c)において用いた定量試薬と試料の容量の比より、試料中に含まれていたシュクロースの濃度を算出することができる。
なお、チオ−NADH(還元型)の398nmにおける分子吸光係数は11,900であり、チオ−NADPH(還元型)の398nmにおける分子吸光係数は11,700である。
なお、この工程(d)におけるチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の測定は、エンドポイント法により行ってもよく、又はレート法により行ってもよい。
また、この工程(d)におけるチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の吸光度若しくは透過率の測定は、一つの波長における吸光度又は透過率を測定するものであってもよく、又は二つ以上の波長における吸光度又は透過率を測定するものであってもよい。
8.6−ホスホグルコノラクトナーゼによる反応工程
本発明の第1の定量方法においては、グルコース−6−リン酸脱水素酵素による反応工程(c)の後に、更に6−ホスホグルコノラクトナーゼによる反応工程(e)を行わせることが好ましい。
この反応工程(e)を下に示した。
Figure 2005214956
この6−ホスホグルコノラクトナーゼによる反応工程(e)、すなわち、前記の反応工程(c)において生成した6−ホスホグルコノラクトンに、6−ホスホグルコノラクトナーゼ及び水を接触させ、6−ホスホグルコン酸を生成させる反応工程(e)について、以下詳述する。
この反応工程に用いる6−ホスホグルコノラクトナーゼは、6−ホスホグルコノラクトン及び水を基質とし、6−ホスホグルコン酸を生成する反応を触媒する酵素であれば、どのようなものでもよい。
この6−ホスホグルコノラクトナーゼの由来としては、例えば、Leuconostoc mesenteroides、Pseudomonas fluorescens、又はラットの肝臓等を挙げることができる。
この反応工程(e)における6−ホスホグルコノラクトナーゼの濃度は、通常150〜4,500単位/Lであることが好ましく、特に好ましくは300〜2,300単位/Lである。
なお、この反応工程(e)におけるpHは、pH6.0〜pH9.0の範囲にあることが好ましく、特に好ましくはpH6.5〜pH7.5の範囲である。
また、この反応工程(e)における温度は、20℃〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは25℃〜37℃の範囲である。
上述した反応工程(e)により、反応工程(c)において生成させた6−ホスホグルコノラクトンの1分子に対して、1分子の6−ホスホグルコン酸を生成させる。
これにより反応工程(c)で生成した6−ホスホグルコノラクトンが反応系(反応溶液中)に蓄積することに起因する、反応工程(c)における反応生成物(6−ホスホグルコノラクトン)による反応阻害が起こるのを防ぐことができ、反応工程(c)における反応速度を落とすことなく反応を進めることができるので好ましい。
9.各工程の実施
なお、本発明の第1の定量方法における反応工程(a)〜(c)及び工程(d)並びに反応工程(e)は、各々個別に実施してもよく、又は二つ以上の工程を同時に実施してもよく、あるいは(a)〜(d)の工程、又は(a)〜(e)の工程を同時に実施してもよい。
〔2〕.本発明の第2の定量方法
1.本発明の第2の定量方法
本発明の高感度な試料中のシュクロース定量方法において、第2の定量方法を下に示す。
(1) 本発明は、下記の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の各工程よりなる、高感度な試料中のシュクロースの定量方法である。
(A) 試料中に含まれるシュクロースに、シュクロースホスホリラーゼ及び、無機リン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程
(B) α−D−グルコース−1−リン酸に、ホスホグルコムターゼ、マグネシウムイオン及び、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程、
(C) α−D−グルコース−6−リン酸に、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及び水とともに、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、
(D) 6−ホスホグルコノラクトンに、6−ホスホグルコノラクトナーゼ及び水を接触させ、6−ホスホグルコン酸を生成させる反応工程、
(E) 6−ホスホグルコン酸に、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、水及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、リブロース−5−リン酸、二酸化炭素、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、並びに
(F) 生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程
本発明の第2の定量方法における測定反応を下に示した。
Figure 2005214956
2.シュクロース
本発明におけるシュクロースは、前記の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
3.試料
本発明における試料は、前記の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
4.シュクロースホスホリラーゼによる反応工程
本発明の第2の定量方法におけるシュクロースホスホリラーゼによる反応工程(A)、すなわち、試料中に含まれるシュクロースに、シュクロースホスホリラーゼ及び、無機リン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程(A)は、前記の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」の「4.シュクロースホスホリラーゼによる反応工程」の項において記載した通りである。
5.ホスホグルコムターゼによる反応工程
本発明の第2の定量方法におけるホスホグルコムターゼによる反応工程(B)、すなわち、前記の反応工程(A)において生成したα−D−グルコース−1−リン酸に、ホスホグルコムターゼ、マグネシウムイオン及び、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程(B)は、前記の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」の「5.ホスホグルコムターゼによる反応工程」の項において記載した通りである。
6.グルコース−6−リン酸脱水素酵素による反応工程
本発明の第2の定量方法におけるグルコース−6−リン酸脱水素酵素による反応工程(C)、すなわち、前記の反応工程(B)において生成したα−D−グルコース−6−リン酸に、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及び水とともに、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程(C)は、前記の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」の「6.グルコース−6−リン酸脱水素酵素による反応工程」の項において記載した通りである。
7.6−ホスホグルコノラクトナーゼによる反応工程
本発明の第2の定量方法における6−ホスホグルコノラクトナーゼによる反応工程(D)、すなわち、前記の反応工程(C)において生成した6−ホスホグルコノラクトンに、6−ホスホグルコノラクトナーゼ及び水を接触させ、6−ホスホグルコン酸を生成させる反応工程(D)について、以下詳述する。
この反応工程に用いる6−ホスホグルコノラクトナーゼは、6−ホスホグルコノラクトン及び水を基質とし、6−ホスホグルコン酸を生成する反応を触媒する酵素であれば、どのようなものでもよい。
この6−ホスホグルコノラクトナーゼの由来としては、例えば、Leuconostoc mesenteroides、Pseudomonas fluorescens、又はラットの肝臓等を挙げることができる。
この反応工程(D)における6−ホスホグルコノラクトナーゼの濃度は、通常150〜4,500単位/Lであることが好ましく、特に好ましくは300〜2,300単位/Lである。
なお、この反応工程(D)におけるpHは、pH6.0〜pH9.0の範囲にあることが好ましく、特に好ましくはpH6.5〜pH7.5の範囲である。
また、この反応工程(D)における温度は、20℃〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは25℃〜37℃の範囲である。
上述した反応工程(D)により、反応工程(C)において生成させた6−ホスホグルコノラクトンの1分子に対して、1分子の6−ホスホグルコン酸を生成させる。すなわち、試料中に含まれるシュクロースの1分子に対して、1分子の6−ホスホグルコン酸を生成させる。
8.6−ホスホグルコン酸脱水素酵素による反応工程
本発明の第2の定量方法における6−ホスホグルコン酸脱水素酵素による反応工程(E)、すなわち、前記の反応工程(D)において生成した6−ホスホグルコン酸に、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、水及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、リブロース−5−リン酸、二酸化炭素、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程(E)について、以下詳述する。
この反応工程に用いる6−ホスホグルコン酸脱水素酵素は、マグネシウムイオンの存在下に、6−ホスホグルコン酸及び水を基質とし、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)を補酵素として、リブロース−5−リン酸、二酸化炭素、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成する反応を触媒する酵素であれば、どのようなものでもよい。
この6−ホスホグルコン酸脱水素酵素の由来としては、例えば、Leuconostoc mesenteroides、E.coli、Pseudomonas fluorescens、又はラットの肝臓等を挙げることができる。
この反応工程(E)における6−ホスホグルコン酸脱水素酵素の濃度は、通常370〜19,000単位/Lであることが好ましく、特に好ましくは750〜3,750単位/Lである。
なお、この反応工程(E)におけるpHは、pH6.0〜pH9.0の範囲にあることが好ましく、特に好ましくはpH6.5〜pH7.5の範囲である。
また、この反応工程(E)における温度は、20℃〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは25℃〜37℃の範囲である。
この反応工程に用いるマグネシウムイオンとしては、このマグネシウムイオン自体又はマグネシウムイオンを含む化合物等を使用すればよい。
このマグネシウムイオンを含む化合物としては、例えばマグネシウムイオンの水酸化物、又はマグネシウムイオンの塩等を挙げることができる。
このマグネシウムイオンの塩としては、例えば、塩化マグネシウムなどのハロゲンイオンとの塩等を挙げることができる。
この反応工程(e)におけるマグネシウムイオンの濃度は、通常0.1〜10mMであることが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mMである。
なお、この反応工程(E)に用いるチオ−NAD(酸化型)は、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型)である。
また、この反応工程(E)に用いるチオ−NADP(酸化型)は、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)又はチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)の塩である。
このチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(酸化型)の塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムなどのアルカリ金属との塩、マグネシウム若しくはカルシウムなどのアルカリ土類金属との塩、又は他の金属などとの塩等を挙げることができる。
この反応工程(E)におけるチオ−NAD(酸化型)はチオ−NADP(酸化型)の濃度は、通常0.1〜5.0mMであることが好ましく、特に好ましくは0.3〜2.0mMである。
なお、反応工程(C)においてチオ−NAD(酸化型)を用いる場合には、この反応工程(E)においてもチオ−NAD(酸化型)を用いる必要があり、反応工程(C)においてチオ−NADP(酸化型)を用いる場合には、この反応工程(E)においてもチオ−NADP(酸化型)を用いる必要がある。それは、チオ−NADH(還元型)とチオ−NADPH(還元型)とではモル吸光係数が異なるので、混在させて使用した場合は、正確なシュクロース濃度を求めることができなくなるからである。
上述した反応工程(E)により、反応工程(D)において生成させた6−ホスホグルコン酸の1分子に対して、1分子のチオ−NADH(還元型)はチオ−NADPH(還元型)を生成させる。すなわち、試料中に含まれるシュクロースの1分子に対して、1分子のチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる。
9.チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の測定工程
本発明の第2の定量方法におけるチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の測定工程(F)、すなわち、前記の反応工程(C)において生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)、及び前記の反応工程(E)において生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程(F)について、以下詳述する。
この工程(F)におけるチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の測定であるが、前記の反応工程(C)及び(E)において生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の量(濃度)が測定できる方法であれば、どのような方法でもよい。
この方法としては、例えば、このチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)が吸収を有する波長における吸光度又は透過率を測定したり、又は電気化学的にチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する方法等を挙げることができる。
吸光度を測定する場合には、例えば、チオ−NADH(還元型)及びチオ−NADPH(還元型)の各々が吸収極大を有する400nm近辺の波長(例えば400nm又は405nm等)において吸光度の測定を行う。
そして、この試料を測定したときの吸光度(測定値)を、シュクロース濃度が既知の試料(標準液、標準物質)を測定したときの吸光度(測定値)で除して、この標準液のシュクロース濃度値を乗じることにより、試料中に含まれていたシュクロースの濃度を算出することができる。
また、400nm近辺の波長において測定した吸光度を、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)のモル吸光係数で除することにより、前記の反応工程(C)及び反応工程(E)において生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の量(濃度)を求めることができる。そして、次に、ここで求めたチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の量(濃度)と、この定量反応の反応工程(A)〜(E)において用いた定量試薬と試料の容量の比より、試料中に含まれていたシュクロースの濃度を算出することができる。
なお、チオ−NADH(還元型)の398nmにおける分子吸光係数は11,900であり、チオ−NADPH(還元型)の398nmにおける分子吸光係数は11,700である。
なお、この工程(F)におけるチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の測定は、エンドポイント法により行ってもよく、又はレート法により行ってもよい。
また、この工程(F)におけるチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)の吸光度若しくは透過率の測定は、一つの波長における吸光度又は透過率を測定するものであってもよく、又は二つ以上の波長における吸光度又は透過率を測定するものであってもよい。
10.各工程の実施
本発明の第2の定量方法における反応工程(A)〜(E)及び工程(F)は、各々個別に実施してもよく、又は二つ以上の工程を同時に実施してもよく、あるいは(A)〜(F)の工程を同時に実施してもよい。
11.本発明の第2の定量方法の特徴
ところで、本発明の第1の定量方法では、試料中に含まれるシュクロースの1分子に対して、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)が反応工程(C)において1分子生成する。
これに対して、本発明の第2の定量方法では、試料中に含まれるシュクロースの1分子に対して、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)が反応工程(C)において1分子生成し、更に反応工程(E)において1分子生成する。つまり、試料中に含まれるシュクロースの1分子に対して、2分子のチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)が生成する。
このため、本発明の第2の定量方法は、本発明の第1の定量方法の2倍の測定感度を得ることができる。
〔3〕.本発明の第1の定量方法及び第2の定量方法に共通する事項
1.他の反応成分
本発明の第1の定量方法及び第2の定量方法においては、各反応工程において、必要に応じて、更に、緩衝剤;アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などのイオン又はこれを含む塩;キレート剤;アルブミンなどのタンパク質;アジ化ナトリウム、抗生物質若しくは合成抗菌剤などの防腐剤;糖類若しくは高分子化合物などの安定化剤;活性化剤;試料中に含まれる測定妨害物質の消去若しくは影響抑制に関わる物質;賦形剤;界面活性剤;又は他の試薬成分等を適宜必要に応じて存在させることができる。
各反応工程においては、その反応工程に適したpH範囲となるような緩衝剤を存在させることが好ましい。
このような緩衝剤としては、例えば、MES、Bis−Tris、Bis−Trisプロパン、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、無機リン酸、無機リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、グリシン、グリシルグリシン、イミダゾール、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕等を挙げることができる。
2.操作
本発明の第1の定量方法及び第2の定量方法において、実際に定量測定を行う際の操作は、一段階で実施(1ステップ法、1試薬系)してもよく、又は二段階で実施(2ステップ法、2試薬系)してもよく、あるいは三段階以上で実施(多ステップ法、多試薬系)してもよい。
定量測定の開始方法は、基質若しくは酵素等の測定反応に必須な物質を加えることにより行う方法、又は試料を加えることにより行う方法等のいずれの方法でもよい。
定量測定時の温度は、30℃又は37℃等の反応が進行し、かつ反応にかかわる酵素等の反応成分が熱により失活又は変質しない範囲内の温度を設定すればよい。
定量測定の手法は、用手法、又は自動分析装置などの装置による方法のいずれをも用いることができる。
この装置としては、例えば、臨床検査用の自動分析装置等を挙げることができる。
この臨床検査用の自動分析装置の例として、コンティニュアスフロー式若しくはフローインジェクション式などのフロー方式の自動分析装置、クローズドタイプ・バッチ式、オープンタイプ・バッチ式、パック式若しくは遠心式などのディスクリート方式の自動分析装置、又はフィルム式、若しくは試験片式などのドライケミストリー方式の自動分析装置等を挙げることができる。
装置により本発明の第2の定量方法を実施する際の操作の一例を以下に示す。
(1) まず、ホスホグルコムターゼ、塩化マグネシウム、グルコース−1,6−ジリン酸、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、チオ−NADPカリウム(酸化型)、6−ホスホグルコノラクトナーゼ、及び6−ホスホグルコン酸脱水素酵素を含むリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)からなる定量試薬の第1試薬と、シュクロースホスホリラーゼ、及び塩化マグネシウムを含むリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)からなる定量試薬の第2試薬とを各々、使用する装置に適合した容器に入れる。
(2) これらの試薬が入った容器の各々を、装置の所定の位置に置く。
(3) また、シュクロースの定量測定を行う試料も装置に適合した容器に入れ、所定の位置に置く。
(4) 装置が臨床検査用の自動分析装置の場合は、使用する定量試薬、及び定量測定を行おうとする試料等についての測定条件(測定パラメータ)等を装置に入力し、設定する。
(5) そして、定量測定を開始する。
通常は、試料と前記の定量試薬の第1試薬のそれぞれをピペット(プローブ)又はチューブ等で反応セル(反応キュベット)に分注し、混合、接触させ、第1段階の反応系を形成させて、温度一定の条件下に保ち、第1段階の反応を行わせる。
(6) 一定時間後(第1段階の反応の終了後)、この反応セル(反応キュベット)内の試料と定量試薬の第1試薬との反応液(第1段階の反応系)について、400nm近辺の波長の吸光度値を測定する。
(7) 次に、この反応セル(反応キュベット)内の反応液に、前記の定量試薬の第2試薬をピペット(プローブ)又はチューブ等で分注し、混合、接触させ、第2段階の反応系を形成させて、温度一定の条件下に保ち、第2段階の反応を行わせる。
(8) 一定時間後(第2段階の反応の終了後)、この反応セル(反応キュベット)内の試料と定量試薬の第1試薬及び第2試薬との反応液(第2段階の反応系)について、400nm近辺の波長の吸光度値を測定する。
(9) 試料に替えて精製水について、前記(5)〜(8)の操作を行い、試薬盲検の吸光度値を測定する。
(10) 前記(8)で得た吸光度値より試薬盲検の吸光度値を差し引いたものから、前記(6)で得た吸光度値より試薬盲検の吸光度値を差し引いたものを減じて、吸光度差の値を算出する。
(11) 前記(10)で算出した吸光度差の値と、シュクロース濃度が既知の試料(標準液)における吸光度差の値〔検量線〕とを比較することにより、試料中含まれていたシュクロースの濃度を算出して得る。
〔II〕.高感度な試料中のシュクロース定量試薬
〔1〕.本発明の第1の定量試薬
1.本発明の第1の定量試薬
本発明の高感度な試料中のシュクロース定量試薬において、第1の定量試薬は、シュクロースホスホリラーゼ、無機リン酸又はこの塩、ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩、水及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を含むものである。
2.シュクロース
本発明におけるシュクロースは、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1].本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
3.試料
本発明における試料は、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
4.本発明の第1の定量試薬の成分
本発明の第1の定量試薬の成分である、シュクロースホスホリラーゼ、無機リン酸又はこの塩、ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)の詳細については、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
5.6−ホスホグルコノラクトナーゼ
本発明の第1の定量試薬においては、前記の成分に加えて、更に6−ホスホグルコノラクトナーゼを含ませることが好ましい。
この6−ホスホグルコノラクトナーゼを含ませることにより、グルコース−6−リン酸脱水素酵素による反応工程で生成した6−ホスホグルコノラクトンが反応系(反応溶液中)に蓄積することによって、反応阻害が起きるのを防ぐことができるので好ましい。
なお、6−ホスホグルコノラクトナーゼの詳細については、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
6.本発明の第1の定量試薬の成分の濃度
前記の本発明の第1の定量試薬の各成分の試料中のシュクロース定量測定時の濃度については、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りであるが、本発明の第1の定量試薬においては、定量測定時にこのような濃度になるように各成分を定量試薬に含有させればよい。
7.pH
本発明の第1の定量試薬におけるpHは、pH6.0〜pH9.0の範囲にあることが好ましく、特に好ましくはpH6.5〜pH7.5の範囲である。
なお、本発明の第1の定量試薬は、その成分を分けて、二つ以上の複数の試薬から構成されるものであってもよいが、その場合、各試薬の成分の安定性及び定量測定反応への影響等を勘案してそれぞれpHを決定すればよい。
そして、本発明の第1の定量試薬においては、前記のpH範囲となるような緩衝剤を存在させることが好ましい。
このような緩衝剤としては、例えば、MES、Bis−Tris、Bis−Trisプロパン、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、無機リン酸、無機リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、グリシン、グリシルグリシン、イミダゾール、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕等を挙げることができる。
8.他の反応成分
本発明の第1の定量試薬においては、必要に応じて、更に、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などのイオン又はこれを含む塩;キレート剤;アルブミンなどのタンパク質;アジ化ナトリウム、抗生物質若しくは合成抗菌剤などの防腐剤;糖類若しくは高分子化合物などの安定化剤;活性化剤;試料中に含まれる測定妨害物質の消去若しくは影響抑制に関わる物質;賦形剤;界面活性剤;又は他の試薬成分等を適宜必要に応じて存在させることができる。
9.定量試薬の構成
本発明の第1の定量試薬は、1試薬系により構成させることもできるが、定量試薬を長期間保存して用いる場合には2試薬系等の多試薬系にて構成させることが定量試薬の安定性の面からより好ましい。また、多試薬系にて構成させた場合は、試料盲検(サンプルブランク)を差し引くことも可能となるので、この面からも好ましい。
〔2〕.本発明の第2の定量試薬
1.本発明の第2の定量試薬
本発明の高感度な試料中のシュクロース定量試薬において、第2の定量試薬は、シュクロースホスホリラーゼ、無機リン酸又はこの塩、ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩、水、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方、6−ホスホグルコノラクトナーゼ、及び6−ホスホグルコン酸脱水素酵素を含むものである。
2.シュクロース
本発明におけるシュクロースは、前記の[〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
3.試料
本発明における試料は、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
4.本発明の第2の定量試薬の成分
本発明の第2の定量試薬の成分である、シュクロースホスホリラーゼ、無機リン酸又はこの塩、ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)の詳細については、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」において記載した通りである。
また、6−ホスホグルコノラクトナーゼ、及び6−ホスホグルコン酸脱水素酵素の詳細については、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔2〕.本発明の第2の定量方法」において記載した通りである。
なお、試料中のシュクロース定量測定時のこれらの各成分の濃度については、前記の「〔I〕.試料中のシュクロース定量方法」の「〔1〕.本発明の第1の定量方法」及び「〔2〕.本発明の第2の定量方法」において記載した通りであるが、定量測定時にこのような濃度になるように各成分を定量試薬に含有させればよい。
5.pH
本発明の第2の定量試薬におけるpHは、pH6.0〜pH9.0の範囲にあることが好ましく、特に好ましくはpH6.5〜pH7.5の範囲である。
なお、本発明の第2の定量試薬は、その成分を分けて、二つ以上の複数の試薬から構成されるものであってもよいが、その場合、各試薬の成分の安定性及び定量測定反応への影響等を勘案してそれぞれpHを決定すればよい。
そして、本発明の第2の定量試薬においては、前記のpH範囲となるような緩衝剤を存在させることが好ましい。
このような緩衝剤としては、例えば、MES、Bis−Tris、Bis−Trisプロパン、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、無機リン酸、無機リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、グリシン、グリシルグリシン、イミダゾール、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕等を挙げることができる。
6.他の反応成分
本発明の第2の定量試薬においては、必要に応じて、更に、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属などのイオン又はこれを含む塩;キレート剤;アルブミンなどのタンパク質;アジ化ナトリウム、抗生物質若しくは合成抗菌剤などの防腐剤;糖類若しくは高分子化合物などの安定化剤;活性化剤;試料中に含まれる測定妨害物質の消去若しくは影響抑制に関わる物質;賦形剤;界面活性剤;又は他の試薬成分等を適宜必要に応じて存在させることができる。
7.定量試薬の構成
本発明の第2の定量試薬は、1試薬系により構成させることもできるが、定量試薬を長期間保存して用いる場合には2試薬系等の多試薬系にて構成させることが定量試薬の安定性の面からより好ましい。また、多試薬系にて構成させた場合は、試料盲検(サンプルブランク)を差し引くことも可能となるので、この面からも好ましい。
以下に、実施例をあげて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(本発明の試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬の測定の感度)
本発明の試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬の測定の感度を確かめた。
(1)試薬の調製
(イ)本発明第1試薬(A)の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.0(20℃)に調整し、本発明の試料中のシュクロースの定量試薬の第1試薬〔本発明第1試薬(A)〕を調製した。
ホスホグルコムターゼ〔ウサギ筋肉由来〕(オリエンタル酵母社) 2,000単位/L
グルコース−6−リン酸脱水素酵素〔Leuconostoc mesenteroides由来〕(キッコーマン社) 2,000単位/L
6−ホスホグルコノラクトナーゼ〔微生物由来〕(ロシュ・ダイアグノスティックス社) 600単位/L
グルコース−1,6−二リン酸 20μM
塩化マグネシウム 1.5mM
リン酸水素一カリウム 20mM
チオ−NADP(酸化型)〔チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸カリウム(酸化型)〕(オリエンタル酵母社) 0.5mM
(ロ)本発明第1試薬(B)の調製
チオ−NADP(酸化型)0.5mMをチオ−NAD(酸化型)(オリエンタル酵母社)0.5mMに変えること以外は(イ)の記載の通りに調製を行い、本発明第1試薬(B)を調製した。
(ハ)本発明第1試薬(C)の調製
6−ホスホグルコン酸脱水素酵素〔酵母由来〕(ロシュ・ダイアグノスティックス社)2,000単位/Lを更に添加すること以外は前記(イ)の記載の通りに調製を行い、本発明第1試薬(C)を調製した。
(ニ)対照第1試薬の調製
チオ−NADP(酸化型)0.5mMをNADP(酸化型)〔ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸カリウム(酸化型)〕(オリエンタル酵母社)0.5mMに変えること以外は前記(イ)の記載の通りに調製を行い、対照(コントロール)となる試料中のシュクロースの定量試薬の第1試薬〔対照第1試薬〕を調製した。
(ホ)第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.0(20℃)に調整し、試料中のシュクロースの定量試薬の第2試薬〔第2試薬〕を調製した。
シュクロースホスホリラーゼ〔大腸菌遺伝子組み換え体由来〕(キッコーマン社) 60,000単位/L
塩化マグネシウム 1.5mM
リン酸水素一カリウム 40mM
(2) 試料の調製
シュクロース(シグマ・アルドリッチ社)を各々下記の濃度となるように生理食塩水に溶解して、シュクロースを含む試料4種類をそれぞれ調製した。
(一)0.250mM
(二)0.500mM
(三)1.000mM
(四)2.000mM
また、生理食塩水を、シュクロースを含まない試料すなわち「(五)シュクロース濃度0mMの試料」とした。
以上5種類の試料を調製した。
(3) 測定操作
日立製作所社製7150形自動分析装置を用いて測定を行った。
(a) 前記(2)で調製した5種類の試料をそれぞれ試料とし、この12μLに前記(1)の(イ)で調製した本発明第1試薬(A)を270μL添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、405nmにおける吸光度(Abs−1)を測定した。
(b) その後、これに前記(1)の(ホ)で調製した第2試薬の90μLを添加し、37℃で反応させた後、405nmにおける吸光度(Abs−2)を測定した。
(c) 前記の測定により得られた吸光度(Abs−1)及び吸光度(Abs−2)を次式により計算して、測定反応により生じた吸光度の増加量を算出した。
吸光度増加量=吸光度(Abs−2)−〔吸光度(Abs−1)×(282÷372)〕
(d) なお、本発明第1試薬(A)に代えて前記(1)の(ロ)で調製した本発明第1試薬(B)を用いること以外は、前記(a)〜(c)の通りに操作を行い、吸光度増加量を求めた。
(e) また、本発明第1試薬(A)に代えて前記(1)の(ハ)で調製した本発明第1試薬(C)を用いること以外は、前記(a)〜(c)の通りに操作を行い、吸光度増加量を求めた。
(d) 更に、本発明第1試薬(A)に代えて前記(1)の(ニ)で調製した対照第1試薬を用いること、並びに前記(a)及び(b)における吸光度の測定を340nmで行うこと以外は、前記(a)〜(c)の通りに操作を行い、吸光度増加量を求めた。
(4) 測定結果
以上の測定結果を表1に示した。
なお、この表には、各々二重測定を行って得られた測定値(吸光度増加量)の平均値を示した。
Figure 2005214956
この表から、試料中のシュクロース定量試薬の第1試薬として対照第1試薬を用いた場合の吸光度増加量に比べて、本発明第1試薬(A)又は本発明第1試薬(B)を用いた場合の吸光度増加量は約1.8〜1.9倍高くなっており、本発明第1試薬(C)を用いた場合の吸光度増加量は約3.5〜3.7倍高くなっていることが分かる。
すなわち、試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬において、NADP(酸化型)に代えて、チオ−NADP(酸化型)又はチオ−NAD(酸化型)を用いることにより、測定反応において生じるシグナルを大幅に高めることができ、測定の感度を大きく高めることができることが確かめられた。
特に、6−ホスホグルコノラクトナーゼによる反応工程及び6−ホスホグルコン酸脱水素酵素による反応工程を存在させることにより、測定を非常に高感度化することができることが確かめられた。
〔実施例2〕
(本発明の試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬の再現性及び直線性)
本発明の試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬の再現性及び直線性を確かめた。
(1)試薬の調製
(イ)本発明第1試薬(A)の調製
前記実施例1の(1)の(イ)の記載の通りに調製を行い、本発明の試料中のシュクロースの定量試薬の第1試薬〔本発明第1試薬(A)〕を調製した。
(ロ)本発明第1試薬(C)の調製
前記実施例1の(1)の(ハ)の記載の通りに調製を行い、本発明の試料中のシュクロースの定量試薬の第1試薬〔本発明第1試薬(C)〕を調製した。
(ハ)対照第1試薬の調製
前記実施例1の(1)の(ニ)の記載の通りに調製を行い、対照(コントロール)となる試料中のシュクロースの定量試薬の第1試薬〔対照第1試薬〕を調製した。
(ニ)第2試薬の調製
前記実施例1の(1)の(ホ)の記載の通りに調製を行い、試料中のシュクロースの定量試薬の第2試薬〔第2試薬〕を調製した。
(2)試料の調製
シュクロース(シグマ・アルドリッチ社)を各々下記の濃度となるように生理食塩水に溶解して、シュクロースを含む試料8種類をそれぞれ調製した。
(一)0.0156mM
(二)0.0313mM
(三)0.0625mM
(四)0.125mM
(五)0.250mM
(六)0.500mM
(七)1.000mM
(八)2.000mM
また、生理食塩水を、シュクロースを含まない試料すなわち「(九)シュクロース濃度0mMの試料」とした。
以上9種類の試料を調製した。
(3)測定操作
日立製作所社製7150形自動分析装置を用いて測定を行った。
(a) 前記(2)で調製した9種類の試料をそれぞれ試料とし、この12μLに前記(1)の(イ)で調製した本発明第1試薬(A)を270μL添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、405nmにおける吸光度(Abs−1)を測定した。
(b) その後、これに前記(1)の(ニ)で調製した第2試薬の90μLを添加し、37℃で反応させた後、405nmにおける吸光度(Abs−2)を測定した。
(c) 前記の測定により得られた吸光度(Abs−1)及び吸光度(Abs−2)を次式により計算して、測定反応により生じた吸光度の増加量を算出した。
吸光度増加量=吸光度(Abs−2)−〔吸光度(Abs−1)×(282÷372)〕
(d) 同一の試料について、前記(a)〜(c)の通りに操作を行って吸光度増加量を求めることを10回繰り返して行い、各々の試料について10重測定を行った。
(e) なお、本発明第1試薬(A)に代えて前記(1)の(ロ)で調製した本発明第1試薬(C)を用いること以外は、前記(a)〜(d)の通りに操作を行い、同一の試料について、吸光度増加量を求めることを10回繰り返して行い、各々の試料について10重測定を行った。
(f) また、本発明第1試薬(A)に代えて前記(1)の(ハ)で調製した対照第1試薬(D)を用いること並びに前記(a)及び(b)における吸光度の測定を340nmで行うこと以外は、前記(a)〜(d)の通りに操作を行い、同一の試料について、吸光度増加量を求めることを10回繰り返して行い、各々の試料について10重測定を行った。
(4)測定結果〔直線性〕
測定値の直線性についての測定結果を図1に示した。
なお、この図において、横軸は試料中のシュクロース濃度(mM)を示し、縦軸は測定値(吸光度増加量)の平均値を示す。
この図から、試料中のシュクロース定量試薬の第1試薬として、本発明第1試薬(A)又は本発明第1試薬(C)を用いた場合は、測定値(吸光度増加量)の直線性が非常に良好であることが分かる。また第1試薬として対照第1試薬を用いた場合に比べて、測定の感度が大変高感度化していることが分かる。
これらのことより、本発明の試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬は、正確かつ精密に試料中のシュクロースを定量することができることが確かめられた。
(5)測定結果〔同時再現性〕
同時再現性についての測定結果を表2に示した。 (シュクロース濃度が、0.0156mM、0.0313mM、0.0625mM、0.250mM、0.500mM、及び2.000mMである試料の測定結果を示した。)
なお、この表には、各々10重測定を行って得られた測定値(吸光度増加量)の平均値及び変動係数(CV;標準偏差÷平均値×100〔%〕)を示した。
また、シュクロース濃度0.500mMの試料を標準物質として、他の試料の測定値(吸光度増加量)の平均値より求めたその試料のシュクロース濃度をもこの表に示した。
Figure 2005214956
この表から、試料中のシュクロース定量試薬の第1試薬として、本発明第1試薬(A)又は本発明第1試薬(C)を用いた場合においても、測定の再現性は非常に良好であることが分かり、本発明の試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬は測定の精密性が高いことが確かめられた。
本発明の試料中のシュクロースの定量方法及び定量試薬における測定値の直線性を示したグラフである。

Claims (6)

  1. 下記の各工程よりなる、高感度な試料中のシュクロースの定量方法。
    (a) 試料中に含まれるシュクロースに、シュクロースホスホリラーゼ及び、無機リン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程
    (b) α−D−グルコース−1−リン酸に、ホスホグルコムターゼ、マグネシウムイオン及び、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程、
    (c) α−D−グルコース−6−リン酸に、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及び水とともに、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、並びに
    (d) 生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程
  2. 反応工程(c)の後に、更に下記の反応工程(e)を行わせる、請求項1記載の高感度な試料中のシュクロースの定量方法。
    (e) 6−ホスホグルコノラクトンに、6−ホスホグルコノラクトナーゼ及び水を接触させ、6−ホスホグルコン酸を生成させる反応工程
  3. 下記の各工程よりなる、高感度な試料中のシュクロースの定量方法。
    (A) 試料中に含まれるシュクロースに、シュクロースホスホリラーゼ及び、無機リン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−1−リン酸及びフルクトースを生成させる反応工程
    (B) α−D−グルコース−1−リン酸に、ホスホグルコムターゼ、マグネシウムイオン及び、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩を接触させ、α−D−グルコース−6−リン酸を生成させる反応工程、
    (C) α−D−グルコース−6−リン酸に、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及び水とともに、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、6−ホスホグルコノラクトン、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、
    (D) 6−ホスホグルコノラクトンに、6−ホスホグルコノラクトナーゼ及び水を接触させ、6−ホスホグルコン酸を生成させる反応工程、
    (E) 6−ホスホグルコン酸に、6−ホスホグルコン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、水及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を接触させ、リブロース−5−リン酸、二酸化炭素、水素イオン及び、チオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を生成させる反応工程、並びに
    (F) 生成したチオ−NADH(還元型)又はチオ−NADPH(還元型)を測定する工程
  4. シュクロースホスホリラーゼ、無機リン酸又はこの塩、ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩、水及び、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方を含む、高感度な試料中のシュクロースの定量試薬。
  5. 更に6−ホスホグルコノラクトナーゼを含む、請求項4記載の高感度な試料中のシュクロースの定量試薬。
  6. シュクロースホスホリラーゼ、無機リン酸又はこの塩、ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、マグネシウムイオン、グルコース−1,6−ジリン酸又はこの塩、水、チオ−NAD(酸化型)又はチオ−NADP(酸化型)のいずれか一方、6−ホスホグルコノラクトナーゼ、及び6−ホスホグルコン酸脱水素酵素を含む、高感度な試料中のシュクロースの定量試薬。
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JP2913556B2 (ja) * 1990-02-20 1999-06-28 国際試薬株式会社 試料中の物質の測定法

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