JP2005213679A - 無機繊維用集束剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な耐擦過性、開繊性、および繊維強化複合材料において十分な強度を発現できる無機繊維用集束剤を提供することにある。
【解決手段】 カルボキシル基、アミノ基、酸無水物基およびメルカプト基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を分子末端に有する変性ポリエーテル(A)からなる無機繊維用集束剤である。
【選択図】なし
【解決手段】 カルボキシル基、アミノ基、酸無水物基およびメルカプト基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を分子末端に有する変性ポリエーテル(A)からなる無機繊維用集束剤である。
【選択図】なし
Description
本発明は無機繊維用の集束剤に関する。さらに詳しくは、繊維強化複合材料に使用される無機繊維用の集束剤、特に炭素繊維用集束剤に関するものである。
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などのマトリックス樹脂に繊維を複合した繊維強化複合材料がスポーツ、レジャー、航空宇宙分野等に広く利用されている。これらの複合材料に使用される繊維としては、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維およびポリエステル繊維などの有機繊維、ならびにガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維およびスラッグ繊維などの無機繊維が用いられている。これらのうち、特に炭素繊維は、引っ張り強度が秀でているため高性能繊維強化複合材料用に用いられる。炭素繊維は通常、フィラメントまたはトウの形で製造され、さらに一方向に引き揃えたシート、フィラメントワインディング、織物またはチョップドファイバー等に加工されて使用されている。炭素繊維の加工において、繊維はその加工工程中で各種のガイド類と繰り返し接触するため、摩擦を受けても毛羽や糸切れを発生しない耐擦過性が要求される。このため通常、毛羽や糸切れを防止するために、フィラメントまたはトウに繊維用集束剤が付与される。また高品位の加工品を得るため、弱い接圧で、容易に薄くかつ隙間無く繊維が拡がる性質(開繊性)が要求される。さらに、これらのフィラメントやトウは最終的にマトリックス樹脂と組み合わされた繊維強化複合材料となるため、十分な強度を発現させるために繊維用集束剤はマトリックス樹脂と接着性の良好なものが要求されている。
これらの要求に対して、特許文献−1および特許文献−2には特定のエステル化合物とポリエポキシ化合物もしくは非イオン性界面活性剤の組み合わせからなる集束剤が提案されている。
しかしながら、これらの集束剤は耐擦過性および開繊性に優れるものの、エステル化合物や非イオン性活性剤にマトリックス樹脂と反応する官能基がないため接着性が悪く、最終的に繊維強化複合材料成形物とした際、十分な強度を発現することができなかった。
また、特許文献−3には水溶性ポリアミド/ポリエチレンオキサイド共重合体からなる集束剤が提案されている。この集束剤は最終的な成形物とした際、十分な強度を発現するが、集束剤の粘度が高いため、十分な開繊性を発現することができなかった。
特開平9−31851号公報
特開平6−10264号公報
特開平9−3777号公報
これらの要求に対して、特許文献−1および特許文献−2には特定のエステル化合物とポリエポキシ化合物もしくは非イオン性界面活性剤の組み合わせからなる集束剤が提案されている。
しかしながら、これらの集束剤は耐擦過性および開繊性に優れるものの、エステル化合物や非イオン性活性剤にマトリックス樹脂と反応する官能基がないため接着性が悪く、最終的に繊維強化複合材料成形物とした際、十分な強度を発現することができなかった。
また、特許文献−3には水溶性ポリアミド/ポリエチレンオキサイド共重合体からなる集束剤が提案されている。この集束剤は最終的な成形物とした際、十分な強度を発現するが、集束剤の粘度が高いため、十分な開繊性を発現することができなかった。
本発明の課題は、良好な耐擦過性、開繊性、および最終成形物において十分な強度を発現できる無機繊維用集束剤を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物基およびメルカプト基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を分子末端に有する変性ポリエーテル(A)からなる無機繊維用集束剤;該集束剤を水性媒体に分散または溶解させた水性分散体または水性溶液からなる無機繊維用表面処理剤;ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維およびスラッグ繊維からなる群より選ばれる1種以上の無機繊維を、該集束剤または該処理剤で処理して得られる無機繊維束;該無機繊維束からなる繊維製品;該繊維製品を強化繊維とし、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂をマトリックスとしてなるプリプレグ;並びに該プリプレグを成形してなる繊維強化複合材料成形物;である。
即ち本発明は、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物基およびメルカプト基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を分子末端に有する変性ポリエーテル(A)からなる無機繊維用集束剤;該集束剤を水性媒体に分散または溶解させた水性分散体または水性溶液からなる無機繊維用表面処理剤;ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維およびスラッグ繊維からなる群より選ばれる1種以上の無機繊維を、該集束剤または該処理剤で処理して得られる無機繊維束;該無機繊維束からなる繊維製品;該繊維製品を強化繊維とし、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂をマトリックスとしてなるプリプレグ;並びに該プリプレグを成形してなる繊維強化複合材料成形物;である。
本発明の無機繊維用集束剤は、複合材料に使用される各種の無機繊維に付着処理することにより、繊維の加工工程において耐擦過性・開繊性が良好で、かつマトリックス樹脂との接着性が良好であることから、繊維束または繊維束からなる繊維製品とマトリックス樹脂からなる複合材料は高強度を有する。
本発明における変性ポリエーテル(A)は、複数のオキシエーテル結合および/またはチオエーテル結合を分子中に有する直鎖もしくは分岐の未変性ポリエーテル(A0)の少なくとも1つの分子末端を、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基およびメルカプト基から選ばれる官能基に変性したものである。
未変性ポリエーテル(A0)のうち好ましいのは水酸基を1〜12個、さらに1〜6個、特に1〜3個、とりわけ2個有するポリエーテル(直鎖ポリエーテル)、とりわけ直鎖ポリオキシエーテルである。
未変性ポリエーテル(A0)のうち好ましいのは水酸基を1〜12個、さらに1〜6個、特に1〜3個、とりわけ2個有するポリエーテル(直鎖ポリエーテル)、とりわけ直鎖ポリオキシエーテルである。
また、変性ポリエーテル(A)のうち好ましいのは、直鎖ポリエーテルの少なくとも片末端、好ましくは耐擦過性およびマトリックス樹脂との接着性の観点から両末端に上記官能基を有するものである。
両末端に上記官能基を有するもののうちで、片末端がアミノ基である場合は、ポットライフが比較的長いという観点から他の末端もアミノ基であることが好ましい。(A)の数平均分子量(以下、Mnと略記)は、通常200〜20,000、好ましくは300〜10,000であり、Mnはゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されたものである。
両末端に上記官能基を有するもののうちで、片末端がアミノ基である場合は、ポットライフが比較的長いという観点から他の末端もアミノ基であることが好ましい。(A)の数平均分子量(以下、Mnと略記)は、通常200〜20,000、好ましくは300〜10,000であり、Mnはゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されたものである。
(A)の少なくとも1つの分子末端に存在する上記の官能基のうち、アミノ基は、1〜3級アミノ基のいずれでもよく、好ましいのは1級および2級アミノ基である。1級または2級アミノ基であれば、変性ポリエーテルからなる集束剤とマトリックス樹脂との接着性が良好であり、特に高強度の繊維強化複合材料成形物が得られる。
本発明における未変性ポリエーテル(A0)は、例えば、一般式(1)で表されるものが挙げられる。
R[−(XA)m−XH]n (1)
式中、Rは炭素数1〜24の1〜n個の水酸基もしくはメルカプト基を有する化合物から少なくとも1つの水酸基もしくはメルカプト基を除いた残基;Xは酸素原子または硫黄原子(好ましくは酸素原子);Aは炭素数が2〜4の1種以上のアルキレン基;mは1以上の整数;nは1〜12の整数を示し、(m×n+n)個のXおよび(m×n)個のAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
R[−(XA)m−XH]n (1)
式中、Rは炭素数1〜24の1〜n個の水酸基もしくはメルカプト基を有する化合物から少なくとも1つの水酸基もしくはメルカプト基を除いた残基;Xは酸素原子または硫黄原子(好ましくは酸素原子);Aは炭素数が2〜4の1種以上のアルキレン基;mは1以上の整数;nは1〜12の整数を示し、(m×n+n)個のXおよび(m×n)個のAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(1)におけるRとしては直鎖、分岐もしくは脂環式の1〜6価のアルコールの残基、1〜6価のフェノール類の残基および1〜6価の芳香脂肪族アルコールの残基、並びに1〜6価の脂肪族、芳香族もしくは芳香脂肪族メルカプタンの残基が挙げられる。
1価のアルコールから水酸基を除いた残基を形成する1価アルコールとしては、直鎖もしくは分岐の炭素数1〜24の飽和脂肪族モノオール(メタノール、エタノール、n−及びiso−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、ヘンエイコシルアルコール、ドコシルアルコール、トリコシルアルコールおよびテトラコシルアルコール等);cis−もしくはtrans−の炭素数2〜24の不飽和脂肪族モノオール(アルケニル基もしくはアルキニル基を有するアルコール、例えばエテニルアルコール、1−,2−及びiso−プロペニルアルコール、ブテニルアルコール、ペンチニルアルコール、ヘキセニルアルコール、ペプテニルアルコール、ノネニルアルコール、デセニルアルコール、ウンデセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、テトラデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、ヘプタデセニルアルコール、オクタデセニルアルコール、ノナデセニルアルコール、エイコセニルアルコール、ヘンエイコセニルアルコール、ドコセニルアルコール、トリコセニルアルコールおよびテトラコセニルアルコール等);及び炭素数4〜24の脂環式モノオール(シクロペンタノール、シクロヘキサノール等)などが挙げられる。
2価のアルコールの残基を形成する2価アルコールとしては、炭素数2〜24の脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−、1,4−及び1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−及び1,8−オクタンジオール、イソブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジオール等のアルキレングリコール);炭素数4〜18の脂環式ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコール);水添ビスフェノール類(例えば、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF);及び複素環ジオール(例えば、1,4,3,6−ソルビド)等が挙げられる。
3〜6価のアルコールの残基を形成する3〜6価のアルコールとしては、炭素数3〜24の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等のアルカントリオール)、炭素数5〜24の4〜6価の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、1,5−、3,6−及び1,4−ソルビタン、ジグリセリンなどのアルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物;ならびにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド等の糖類及びその誘導体)が挙げられる。
1価のフェノール類から水酸基を除いた残基を形成するフェノール類としては、炭素数6〜24の1価フェノール類、例えば、フェノール、アルキルフェノール(o、m又はp−メチルフェノール、m、p−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、o、m又はp−エチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール及びp−ノニルフェノール等)、モノスチリルフェノール及びモノベンジルフェノール等が挙げられる。
2〜6価のフェノール類の残基を形成するフェノール類としては、炭素数6〜24の2〜6価のフェノール類が挙げられる。上記フェノール類としては、単環多価フェノール[例えば、2価フェノール(カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等)、トリオキシベンゼン、テトラオキシベンゼン、ヘキサオキシベンゼン等)、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等)等が挙げられる。
2〜6価のフェノール類の残基を形成するフェノール類としては、炭素数6〜24の2〜6価のフェノール類が挙げられる。上記フェノール類としては、単環多価フェノール[例えば、2価フェノール(カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等)、トリオキシベンゼン、テトラオキシベンゼン、ヘキサオキシベンゼン等)、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等)等が挙げられる。
1〜6価の芳香脂肪族アルコールの残基を形成する芳香脂肪族アルコールとしては、炭素数7〜24のアラルキルアルコール(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、炭素数8〜24の置換アラルキルアルコール(o、m又はp−メチルベンジルアルコール、p−n−ブチルフェネチルアルコール等)等が挙げられる。
1〜6価の脂肪族、芳香族もしくは芳香脂肪族メルカプタンの残基としては、上記のアルコールまたはフェノール類の酸素原子を硫黄原子に置き換えた構造のメルカプタン類の残基が挙げられる。
Rのうち好ましいのは炭素数1〜20の直鎖、分岐もしくは脂環式の1〜3価のアルコールの残基、さらに炭素数2〜18の直鎖又は分岐の2もしくは3価の脂肪族もしくは脂環式アルコールの残基、特に炭素数2〜4の直鎖又は分岐の2価の飽和脂肪族アルコールの残基が好ましい。
炭素数が1〜20であればマトリックス樹脂に対する接着性がさらに良好であり、1〜3価のアルコールの残基であれば、耐擦過性がさらに良好である。
炭素数が1〜20であればマトリックス樹脂に対する接着性がさらに良好であり、1〜3価のアルコールの残基であれば、耐擦過性がさらに良好である。
一般式(1)におけるAは炭素数2〜4の一種または複数のアルキレン基である。炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、1,2−及び1,3−プロピレン基、1,2−および2,3−ブチレン基及びイソブチレン基が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いてもよく、分子構造としてはブロック型でもランダム型でも構わない。これらのうち好ましいのは耐擦過性、マトリックス樹脂との接着性の観点からエチレン基、1,2−プロピレン基および1,2−ブチレン基である。
一般式(1)におけるmは、1以上、好ましく3〜300、さらに好ましくは5〜150の整数である。mが3以上であれば無機繊維への処理工程中での揮発が抑制されやすく、300以下であれば開繊性がさらに良好になりやすい。
一般式(1)におけるnは1〜12、好ましくは1〜6の整数であり、さらに好ましくは1〜3、とりわけ2である。nが1〜3であれば耐擦過性がさらに良好になりやすい。
一般式(1)で示される未変性ポリエーテル(A0)の製造法としては、例えば、R(XH)nで表される炭素数1〜24の1〜12個の水酸基もしくはメルカプト基を有する化合物に、触媒の存在下、好ましくは温度30〜120℃、好ましくは圧力0〜0.6MPaで炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)および/またはアルキレンスルフィド(以下、ASと略記)をランダムもしくはブロック付加させる方法が挙げられる。
AOとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド(以下、1,2−BOと略記)および1,4−ブチレンオキサイド(以下、1,4−BOと略記)など、並びにASとしてはエチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、1,2−ブチレンスルフィドおよび1,4−ブチレンスルフィドなどが挙げられる。AOのうち好ましいのはEO、PO、1,2−BOおよび1,4−BOであり、特にEOをAOのうちの少なくとも50モル%以上使用するのが好ましい。
AOとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド(以下、1,2−BOと略記)および1,4−ブチレンオキサイド(以下、1,4−BOと略記)など、並びにASとしてはエチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、1,2−ブチレンスルフィドおよび1,4−ブチレンスルフィドなどが挙げられる。AOのうち好ましいのはEO、PO、1,2−BOおよび1,4−BOであり、特にEOをAOのうちの少なくとも50モル%以上使用するのが好ましい。
上記の触媒としては従来公知の触媒が使用できる。例えばBF3、BCl3、AlCl3、FeCl3およびSnCl3等のルイス酸、並びにそれらの錯体[例えばBF3エーテル錯体、BF3テトラヒドロフラン錯体(BF3・THF)];H2SO4、HClO4等のプロトン酸;KClO4、NaClO4等のアルカリ金属の過塩素酸塩;Ca(ClO4)2、Mg(ClO4)2等のアルカリ土類金属の過塩素酸塩;Al(ClO4)3等の前記以外の金属の過塩素酸塩等、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物[KOH、NaOH、CsOH、Ca(OH)2等];アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物(K2O 、CaO、BaO等);アルカリ金属(Na、K等)、及びその水素化物(NaH、KH等);トリエチルアミン、トリメチルアミン等のアミン類等が挙げられる。これらのうち好ましいのはBF3エーテル錯体及びBF3テトラヒドロフラン錯体(BF3・THF)、KOH、NaOHまたはCsOHである。
上記のようにして得られる未変性ポリエーテル(A0)を変性して、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基および/またはメルカプト基を導入する方法としては以下のような方法を用いることができる。
(1)アミノ基の導入方法;
(1-1)アクリロニトリルへのマイケル付加と還元;
(A0)の末端の水酸基もしくはメルカプト基を、触媒の存在下にアクリロニトリルにマイケル付加反応させた後、シアノ基を還元して1級アミノ基を導入することができる。さらにハロゲン化アルキル(炭素数1〜18)でアミノ基をアルキル化することにより2級アミノ基もしくは3級アミノ基を導入することができる。
マイケル付加反応における触媒としては、(A0)の重量に基づいて0.01〜1%(以下において、特に限定しない限り、%は重量%を表す)のアルカリ金属水酸化物[KOH、NaOHまたはCsOH等]を使用し、0.1〜5%の水および必要に応じて溶剤(炭化水素系溶剤;例えばトルエン、キシレンなど)を加え、導入したいアミノ基の1〜1.5倍当量のアクリロニトリルを加えて、10〜50℃で1〜4時間反応させる。生成物を中和後、さらにラネー触媒(ラネーニッケル、ラネーコバルト等)を生成物の重量に基づいて1〜20%加えて、水素圧30〜100kg/cm2、温度80〜150℃で1〜4時間反応させることによりシアノ基を還元することができる。2級もしくは3級アミノ基を導入する場合のハロゲン化アルキルとしては塩化メチルまたは塩化エチルなどが使用でき、その使用量(1級アミノ基に対するモル比)によって2級もしくは3級アミノ基を得ることができ、反応はオートクレーブ中で脱ハロゲン化水素化剤としてのアルカリ(アルカリ金属水酸化物など)の存在下に40〜150℃で反応させ、副生する塩を除去して精製することにより行うことができる。
(1-1)アクリロニトリルへのマイケル付加と還元;
(A0)の末端の水酸基もしくはメルカプト基を、触媒の存在下にアクリロニトリルにマイケル付加反応させた後、シアノ基を還元して1級アミノ基を導入することができる。さらにハロゲン化アルキル(炭素数1〜18)でアミノ基をアルキル化することにより2級アミノ基もしくは3級アミノ基を導入することができる。
マイケル付加反応における触媒としては、(A0)の重量に基づいて0.01〜1%(以下において、特に限定しない限り、%は重量%を表す)のアルカリ金属水酸化物[KOH、NaOHまたはCsOH等]を使用し、0.1〜5%の水および必要に応じて溶剤(炭化水素系溶剤;例えばトルエン、キシレンなど)を加え、導入したいアミノ基の1〜1.5倍当量のアクリロニトリルを加えて、10〜50℃で1〜4時間反応させる。生成物を中和後、さらにラネー触媒(ラネーニッケル、ラネーコバルト等)を生成物の重量に基づいて1〜20%加えて、水素圧30〜100kg/cm2、温度80〜150℃で1〜4時間反応させることによりシアノ基を還元することができる。2級もしくは3級アミノ基を導入する場合のハロゲン化アルキルとしては塩化メチルまたは塩化エチルなどが使用でき、その使用量(1級アミノ基に対するモル比)によって2級もしくは3級アミノ基を得ることができ、反応はオートクレーブ中で脱ハロゲン化水素化剤としてのアルカリ(アルカリ金属水酸化物など)の存在下に40〜150℃で反応させ、副生する塩を除去して精製することにより行うことができる。
(1-2)ヒドロキシル基含有ケチミン化合物のAOおよび/またはAS付加物の加水分解;
ケチミン化合物としては、炭素数2〜18のモノアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノプロパノールアミンなど)と炭素数3〜12のケトン(エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)の反応物が挙げられる。AOまたはAS付加物の加水分解は、過剰の水の存在下、加熱処理(温度:90〜130℃)することで行われる。
ケチミン化合物としては、炭素数2〜18のモノアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノプロパノールアミンなど)と炭素数3〜12のケトン(エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)の反応物が挙げられる。AOまたはAS付加物の加水分解は、過剰の水の存在下、加熱処理(温度:90〜130℃)することで行われる。
(2)カルボキシル基の導入方法;
(2-1)カルボキシメチル基の導入;
導入したいカルボキシル基の当量に基づいて1〜1.5倍当量のモノクロル酢酸を仕込み、さらにアルカリ金属水酸化物[KOH、NaOHまたはCsOH等]を仕込む。30〜70℃で3〜30時間反応させて脱塩化水素によるエーテル化し、さらに濾過処理を行うことにより末端にカルボキシル基(この場合はカルボキシメチル基)を導入することができる。アルカリ金属水酸化物の仕込量は、通常モノクロル酢酸の1〜2倍当量、好ましくは1〜1.5倍当量である。
(2-1)カルボキシメチル基の導入;
導入したいカルボキシル基の当量に基づいて1〜1.5倍当量のモノクロル酢酸を仕込み、さらにアルカリ金属水酸化物[KOH、NaOHまたはCsOH等]を仕込む。30〜70℃で3〜30時間反応させて脱塩化水素によるエーテル化し、さらに濾過処理を行うことにより末端にカルボキシル基(この場合はカルボキシメチル基)を導入することができる。アルカリ金属水酸化物の仕込量は、通常モノクロル酢酸の1〜2倍当量、好ましくは1〜1.5倍当量である。
(2-2)末端の酸化;
末端水酸基の(A0)を酸化触媒(金属錯体、例えばコバルトなど)の存在下に、酸化剤(例えば過マンガン酸カリウム、酸化銀、酸化クロムなど)で酸化反応をすることによってカルボキシル基をもつ変性ポリエーテルを得ることができる。酸化触媒は、(A0)に対して通常0.01〜1%であり、酸化剤は、(A0)に対して通常0.5〜5%である。酸化反応温度は50〜150℃であり、反応時間は1〜10時間である。
末端水酸基の(A0)を酸化触媒(金属錯体、例えばコバルトなど)の存在下に、酸化剤(例えば過マンガン酸カリウム、酸化銀、酸化クロムなど)で酸化反応をすることによってカルボキシル基をもつ変性ポリエーテルを得ることができる。酸化触媒は、(A0)に対して通常0.01〜1%であり、酸化剤は、(A0)に対して通常0.5〜5%である。酸化反応温度は50〜150℃であり、反応時間は1〜10時間である。
(2-3)アクリロニトリルへのマイケル付加反応と加水分解;
上記(1-1)と同様にしてアクリロニトリルにマイケル付加反応させた後、加水分解してカルボキシル基に変換することができる。
(2-4)ヒドロキシカルボン酸アルキル(炭素数1〜4)エステルのジョイントと加水分解;
ヒドロキシプロピオン酸メチルエステルまたはグリコール酸エチルエステルなどのヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの水酸基と(A0)の末端とをトリレンジイソシアネートなどのジイソシアネートでジョイントした後、エステル基を加水分解してカルボキシル基に変換することができる。
(2-5)カルボン酸無水物によるハーフエステル化;
脂肪族もしくは芳香族(2〜4価)カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸などを(A0)のメルカプト基または水酸基でハーフエステル化して、カルボキシル基を導入することができる。
上記(1-1)と同様にしてアクリロニトリルにマイケル付加反応させた後、加水分解してカルボキシル基に変換することができる。
(2-4)ヒドロキシカルボン酸アルキル(炭素数1〜4)エステルのジョイントと加水分解;
ヒドロキシプロピオン酸メチルエステルまたはグリコール酸エチルエステルなどのヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの水酸基と(A0)の末端とをトリレンジイソシアネートなどのジイソシアネートでジョイントした後、エステル基を加水分解してカルボキシル基に変換することができる。
(2-5)カルボン酸無水物によるハーフエステル化;
脂肪族もしくは芳香族(2〜4価)カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸などを(A0)のメルカプト基または水酸基でハーフエステル化して、カルボキシル基を導入することができる。
(3)酸無水物基の導入方法;
(3-1)末端のオレフィン化後に不飽和カルボン酸無水物の付加;
(A0)に、(A0)の重量に基づいて0.1〜5%の硫酸を加え、窒素気流下100〜160℃で1〜5時間反応させ末端基の脱水を行い末端をオレフィン化する。アルカリで中和後、導入したい酸無水物基の1〜1.5倍モル量の不飽和カルボン酸無水物[無水マレイン酸、無水イタコン酸など]を100〜200℃で1〜10時間反応させ、酸無水物基を導入することができる。
(3-1)末端のオレフィン化後に不飽和カルボン酸無水物の付加;
(A0)に、(A0)の重量に基づいて0.1〜5%の硫酸を加え、窒素気流下100〜160℃で1〜5時間反応させ末端基の脱水を行い末端をオレフィン化する。アルカリで中和後、導入したい酸無水物基の1〜1.5倍モル量の不飽和カルボン酸無水物[無水マレイン酸、無水イタコン酸など]を100〜200℃で1〜10時間反応させ、酸無水物基を導入することができる。
(4)メルカプト基の導入方法;
(4-1)(A0)の製造において、AOを使用せずにASのみを使用して製造、または少なくとも付加反応の最後にASを付加反応させることにより、メルカプト基を導入。
(4-2)末端のオレフィン化後に硫化水素の付加;
上記(3-1)と同様にして(A0)の末端をオレフィン化し、中和後、触媒としての0.001〜0.01モル%の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの存在下に、導入したいメルカプト基の7〜20倍当量の硫化水素を10〜150kg/cm2の圧力で0〜25℃で反応させて、2重結合に硫化水素を付加させ、その後、過剰の硫化水素を減圧除去してメルカプト基を導入することができる。
(4-1)(A0)の製造において、AOを使用せずにASのみを使用して製造、または少なくとも付加反応の最後にASを付加反応させることにより、メルカプト基を導入。
(4-2)末端のオレフィン化後に硫化水素の付加;
上記(3-1)と同様にして(A0)の末端をオレフィン化し、中和後、触媒としての0.001〜0.01モル%の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの存在下に、導入したいメルカプト基の7〜20倍当量の硫化水素を10〜150kg/cm2の圧力で0〜25℃で反応させて、2重結合に硫化水素を付加させ、その後、過剰の硫化水素を減圧除去してメルカプト基を導入することができる。
(A0)が2個以上の水酸基を有する場合であって、1分子中に異なる官能基を導入する場合の導入方法は、上述の導入方法を組み合わせて用いればよい。以下に例を示す。
(5)カルボキシル基および酸無水物基の導入方法;
上記(3-1)の方法により一部の末端をオレフィン化し、次いで上記(2)に示したいずれかの方法により(A0)の残る水酸基末端にカルボキシル基を導入する。さらに上記(3)の方法により、オレフィン末端に酸無水物基を導入する。
(5)カルボキシル基および酸無水物基の導入方法;
上記(3-1)の方法により一部の末端をオレフィン化し、次いで上記(2)に示したいずれかの方法により(A0)の残る水酸基末端にカルボキシル基を導入する。さらに上記(3)の方法により、オレフィン末端に酸無水物基を導入する。
(6)カルボキシル基およびメルカプト基の導入方法;
上記(4)に示したいずれかの方法で(A0)の全ての末端にメルカプト基を導入する。次いで、上記(2-1)に示した方法で導入したいカルボキシル基の1〜1.2倍当量のモノクロル酢酸を用いてカルボキシル基を導入する。
上記(4)に示したいずれかの方法で(A0)の全ての末端にメルカプト基を導入する。次いで、上記(2-1)に示した方法で導入したいカルボキシル基の1〜1.2倍当量のモノクロル酢酸を用いてカルボキシル基を導入する。
(7)酸無水物基およびメルカプト基の導入方法;
上記(3-1)の方法により、(A0)の全ての末端の脱水反応を行いオレフィン化する。次いで、(4-2)に示した方法により、(A0)の3.5〜10倍当量の硫化水素を反応させ、(A0)の一部の末端にメルカプト基を導入する。次いで、上記(3-1)の方法により、(A0)の残る末端に酸無水物基を導入する。
上記(3-1)の方法により、(A0)の全ての末端の脱水反応を行いオレフィン化する。次いで、(4-2)に示した方法により、(A0)の3.5〜10倍当量の硫化水素を反応させ、(A0)の一部の末端にメルカプト基を導入する。次いで、上記(3-1)の方法により、(A0)の残る末端に酸無水物基を導入する。
本発明における無機繊維用集束剤は変性ポリエーテル(A)の1種以上のみからなるものであってもよいが、後述の無機繊維用表面処理剤(以下、表面処理剤と略記する)が水性分散体の形態である場合は乳化剤を集束剤中に含有させることが好ましい。後述の表面処理剤が水性溶液の形態の場合は乳化剤は含有しない方が好ましい。
乳化剤としては、下記に示す公知の界面活性剤が用いられ、例えば非イオン界面活性剤およびアニオン界面活性剤が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、たとえばAO(炭素数2〜4;EO、PO、1,2−BO、1,4−BOおよびこれらの2種以上の併用、以下同じ)付加型非イオン界面活性剤[高級アルコール(炭素数8〜18)または高級脂肪酸(炭素数12〜24)に直接AOを付加させたもの(重量平均分子量、以下Mwと略記=158〜200,000);ポリアルキレングリコール(Mw150〜6,000)に高級脂肪酸を反応させたもの;多価(2価〜8価またはそれ以上)アルコール(炭素数2〜32、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタンなど)に高級脂肪酸(炭素数12〜24、たとえばラウリン酸、ステアリン酸)を反応させて得られたエステル化物にAOを付加させたもの(Mw350〜10,000);高級脂肪酸アミドにAOを付加させたもの(Mw200〜30,000);多価(2価〜8価またはそれ以上)アルコールアルキル(炭素数8〜60)エーテルにAOを付加させたもの(Mw220〜30,000)など]、および多価(2価〜8価またはそれ以上)アルコール(炭素数2〜32)型非イオン界面活性剤[多価アルコール脂肪酸(炭素数8〜36)エステル、多価アルコールアルキル(炭素数7〜32)エーテル、脂肪酸(炭素数8〜32)アルカノールアミドなど)]などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、たとえば、カルボン酸(炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸)またはその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルカノールアミンなどの塩)、カルボキシメチル化物の塩(炭素数8〜16の脂肪族アルコールおよび/またはそのEO(1〜10モル)付加物などのカルボキシメチル化物の塩など)、硫酸エステル塩[高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪酸アルコールの硫酸エステル塩など)]、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩[炭素数8〜18の脂肪酸アルコールのEO(1〜10モル)付加物の硫酸エステル塩]、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)、硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)、スルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジエステル、α−オレフィン(炭素数12〜18)スルホン酸塩、イゲポンT型など]およびリン酸エステル塩[高級アルコール(炭素数8〜60)リン酸エステル塩、高級アルコール(炭素数8〜60)エチレンオキシド付加物リン酸エステル塩、アルキル(炭素数8〜60)フェノールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩など]が挙げられる。
これら界面活性剤の配合量は、変性ポリエーテル(A)100部(以下において、部は重量部を表す)に対して、通常30部以下、好ましくは1〜25部であり、さらに好ましくは5〜20部である。1部以上配合すれば、(A)の水中での分散安定性が良好であり、30部以下であればマトリックス樹脂との接着性が低下することはなく良好である。
本発明の集束剤は、後述の表面処理剤が水性溶液であっても水性分散体であっても、必要により、さらに平滑剤、防腐剤および酸化防止剤から選ばれる1種以上の添加剤を含んでいてもよい。
平滑剤、防腐剤および酸化防止剤としては以下のものが挙げられる。
平滑剤;ワックス類(ポリアルキレン、酸化ポリアルキレン、変性ポリアルキレンなど)、高級脂肪酸エステル類(メチルステアレート、エチルステアレート、プロプルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート、ステアリルステアレートなど)、高級脂肪酸、金属石けんなど。
防腐剤;安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類、第4級アンモニウム塩類イミダゾール類など。
酸化防止剤;フェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなど)、チオジプロピオネート類(ジラウリル 3,3’−チオジプロピオネートなど)、ホスファイト類(トリフェニルホスファイトなど)など。
平滑剤、防腐剤および酸化防止剤の含有量は、通常、(A)の重量に基づいてそれぞれ10%以下、好ましくは5%以下である。
本発明の集束剤中の各成分の重量割合は、後述の表面処理剤が水性溶液の場合は(A)/乳化剤/平滑剤+防腐剤+酸化防止剤が、通常90〜100/0/0〜10、好ましくは95〜100/0/0〜5であり、表面処理剤が水性分散体の場合は通常60〜99/1〜30/0〜10、好ましくは70〜99/1〜25/0〜5である。
平滑剤、防腐剤および酸化防止剤としては以下のものが挙げられる。
平滑剤;ワックス類(ポリアルキレン、酸化ポリアルキレン、変性ポリアルキレンなど)、高級脂肪酸エステル類(メチルステアレート、エチルステアレート、プロプルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート、ステアリルステアレートなど)、高級脂肪酸、金属石けんなど。
防腐剤;安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類、第4級アンモニウム塩類イミダゾール類など。
酸化防止剤;フェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなど)、チオジプロピオネート類(ジラウリル 3,3’−チオジプロピオネートなど)、ホスファイト類(トリフェニルホスファイトなど)など。
平滑剤、防腐剤および酸化防止剤の含有量は、通常、(A)の重量に基づいてそれぞれ10%以下、好ましくは5%以下である。
本発明の集束剤中の各成分の重量割合は、後述の表面処理剤が水性溶液の場合は(A)/乳化剤/平滑剤+防腐剤+酸化防止剤が、通常90〜100/0/0〜10、好ましくは95〜100/0/0〜5であり、表面処理剤が水性分散体の場合は通常60〜99/1〜30/0〜10、好ましくは70〜99/1〜25/0〜5である。
集束剤の80℃における粘度は2,000mPa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは10〜1,000mPa・sである。80℃における粘度が2000mPa・s以下であれば開繊性がさらに良好になる傾向がある。本発明における粘度はBL型粘度計で、ローターNo.1で、回転数30rpmで測定されるものである。
本発明の表面処理剤は、上記の集束剤を水性媒体に溶解または分散させた水性溶液または水性分散体からなり、無機繊維を集束処理する場合は、前述の集束剤をそのまま使用してもよいが、好ましくは該表面処理剤を使用して集束処理する。
表面処理剤の形態を、水性溶液とするか水性分散体とするかの選択は、(A)が、目的とする表面処理剤の濃度で水性媒体に溶解する場合は水性溶液とし、溶解しない場合は水性分散体とすることで決めることができる。
表面処理剤の形態を、水性溶液とするか水性分散体とするかの選択は、(A)が、目的とする表面処理剤の濃度で水性媒体に溶解する場合は水性溶液とし、溶解しない場合は水性分散体とすることで決めることができる。
水性媒体としては、水、親水性有機溶媒およびこれらの混合物が挙げられ、好ましいのは水である。
親水性有機溶媒としては、炭素数1〜4の低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、炭素数3〜6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、炭素数2〜6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど)およびそのモノアルキル(炭素数1〜2)エーテル、
並びに炭素数3〜5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル、酢酸エチルなど)
が挙げられる。親水性有機溶媒と水との混合物を使用する場合の水性媒体中の
親水性有機溶媒は20%以下が好ましい。
親水性有機溶媒としては、炭素数1〜4の低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、炭素数3〜6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、炭素数2〜6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど)およびそのモノアルキル(炭素数1〜2)エーテル、
並びに炭素数3〜5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル、酢酸エチルなど)
が挙げられる。親水性有機溶媒と水との混合物を使用する場合の水性媒体中の
親水性有機溶媒は20%以下が好ましい。
表面処理剤中の集束剤/水性媒体の割合は通常、0.1/99.9〜70/30である。表面処理剤運搬時には、運搬効率の観点から、10/90〜70/30とすることが好ましく、表面処理剤使用直前に水で希釈して0.1/99.9〜5/95とすることが好ましい。
表面処理剤の製造は、(1)水性溶液の場合は、集束剤を水性媒体に室温〜60℃(好ましくは室温)で混合・溶解することによって行うことができ、
(2)水性分散体の場合は、集束剤を水性媒体に室温〜60℃(好ましくは室温)で投入しながら撹拌・乳化分散、または集束剤中に水性媒体を投入しながら撹拌・乳化分散することで行うことができる。
なお、集束剤中に乳化剤を含まない、もしくは乳化分散するに十分な量の乳化剤を含まない場合は、水性分散体の製造工程の直前または製造工程中に乳化剤を加えてもよい。
(2)水性分散体の場合は、集束剤を水性媒体に室温〜60℃(好ましくは室温)で投入しながら撹拌・乳化分散、または集束剤中に水性媒体を投入しながら撹拌・乳化分散することで行うことができる。
なお、集束剤中に乳化剤を含まない、もしくは乳化分散するに十分な量の乳化剤を含まない場合は、水性分散体の製造工程の直前または製造工程中に乳化剤を加えてもよい。
本発明の対象となる無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維およびスラッグ繊維が挙げられる。これらの繊維は単独でも2種以上を組み合わせても構わない。ガラス繊維としては、アルカリ含有率1%以下のボロシリケートガラス繊維、ソーダライム系ガラス繊維などが挙げられる。炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル、レーヨンまたは石油ピッチを炭化して製造されるものなどが挙げられる。セラミック繊維としては、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、窒化珪素繊維などが挙げられる。金属繊維としては、鋼、合金鋼、ステンレス鋼、タングステン、ベリリウム、銅などの金属を繊維化したものなどが挙げられる。鉱物繊維としては、アスベストなどが挙げられる。岩石繊維としては、安山岩、玄武岩、蛇文岩などを溶融し、高圧空気で吹き付けて急冷し繊維状にしたものなどが挙げられる。スラッグ繊維としては、溶鉱炉のスラッグ(鉱滓)に水蒸気または圧縮空気を吹き付けて繊維状にしたものが挙げられる。これらの無機繊維のうち複合材料に高強度を与えるという観点から好ましいものは炭素繊維である。
これらの無機繊維を集束剤または表面処理剤(好ましくは表面処理剤)で処理して、無機繊維束を作製する際は、使用直前に集束剤または表面処理剤を水で希釈して、(A)の濃度が0.1〜5%の範囲で用いることが好ましい。処理方法としては、スプレー法または浸漬法などにより無機繊維上に集束剤または表面処理剤を付着させ、50〜250℃の熱風乾燥により、水を蒸発させて集束剤成分[(A)と、必要により添加された乳化剤、平滑剤、防腐剤、酸化防止剤]を無機繊維上に付着させる方法が挙げられる。無機繊維上への集束剤成分の付着量は、無機繊維の重量に基づいて、通常0.05〜5%、好ましくは0.2〜2.5%である。無機繊維束のうち好ましいのは炭素繊維からなる無機繊維束である。
本発明の繊維製品は、上記のようにして得られた無機繊維束を加工して繊維製品としたものであって、例えば織物、編み物、組み物、フェルト、マット、ペーパー、チョップドファイバーまたはミルドファイバーなどである。
本発明のプレプリグは、上記の無機繊維束または繊維製品を強化繊維とし、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂をマトリックスとするものである。
熱硬化性樹脂としては具体的には例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ビニル重合系樹脂{ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン/α−オレフィン共重合体など)、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル樹脂〔(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜18)エステルなどの(共)重合物〕、およびスチレン樹脂〔ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル酸エステル樹脂、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)など〕など};縮合系樹脂{ポリアミド樹脂〔6ナイロン、66ナイロンなど〕、ポリエステル樹脂〔ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど〕、芳香族ポリエーテル樹脂〔ポリエーテルエーテルケトンなど〕};重付加系樹脂〔ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂など〕}などが挙げられる。
これらのうち、好ましいものは熱硬化性樹脂であり、より好ましくはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂である。
熱硬化性樹脂としては具体的には例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ビニル重合系樹脂{ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン/α−オレフィン共重合体など)、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル樹脂〔(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜18)エステルなどの(共)重合物〕、およびスチレン樹脂〔ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル酸エステル樹脂、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)など〕など};縮合系樹脂{ポリアミド樹脂〔6ナイロン、66ナイロンなど〕、ポリエステル樹脂〔ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど〕、芳香族ポリエーテル樹脂〔ポリエーテルエーテルケトンなど〕};重付加系樹脂〔ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂など〕}などが挙げられる。
これらのうち、好ましいものは熱硬化性樹脂であり、より好ましくはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂である。
本発明におけるプリプレグを作製する方法には、通常、熱溶融または溶剤希釈したマトリックス樹脂を、上記の無機繊維束または繊維製品に含浸させた後、溶剤を乾燥させる方法などが挙げられる。
マトリックス樹脂/無機繊維束または繊維製品の重量比は、通常10〜90/90〜10、好ましくは20〜70/80〜30である。
マトリックス樹脂/無機繊維束または繊維製品の重量比は、通常10〜90/90〜10、好ましくは20〜70/80〜30である。
本発明の繊維強化複合材料成形物は、上記のプレプリグをさらに加熱・成形して得られるものである。
加熱・成形の方法は公知の方法を用いればよく、例えばフィラメントワイディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱・成形する方法)、プレス成型法(プリプレグシートを積層して加熱・成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱・整形する方法)、およびチョップドファイバーもしくはミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法などが挙げられる。
加熱・成形の方法は公知の方法を用いればよく、例えばフィラメントワイディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱・成形する方法)、プレス成型法(プリプレグシートを積層して加熱・成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱・整形する方法)、およびチョップドファイバーもしくはミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法などが挙げられる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜16
(1)未変性ポリエーテルの合成
ガラス製オートクレーブにエチレングリコール(以下、EGと略記)またはプロピレングリコール(以下、PGと略記)を表1にそれぞれ示した部数仕込み、さらに水酸化カリウム0.6部を仕込んだ。耐圧滴下ロートから表1に示した部数のEOまたはPOを110℃で10時間かけて滴下した。その後、130℃で圧力が平衡になるまで反応させた。冷却後、吸着処理剤〔協和化学工業(株)製キョーワード600およびキョーワード1000。〕で処理し、濾過し、減圧下に脱水して、未変性ポリエーテルをそれぞれ1,000部得た。
(1)未変性ポリエーテルの合成
ガラス製オートクレーブにエチレングリコール(以下、EGと略記)またはプロピレングリコール(以下、PGと略記)を表1にそれぞれ示した部数仕込み、さらに水酸化カリウム0.6部を仕込んだ。耐圧滴下ロートから表1に示した部数のEOまたはPOを110℃で10時間かけて滴下した。その後、130℃で圧力が平衡になるまで反応させた。冷却後、吸着処理剤〔協和化学工業(株)製キョーワード600およびキョーワード1000。〕で処理し、濾過し、減圧下に脱水して、未変性ポリエーテルをそれぞれ1,000部得た。
(2)1級アミノ基含有ポリエーテルからなる集束剤
実施例1、5、9および13
上述の未変性ポリエーテル500部に、5部の水酸化カリウムおよび5部の水、500部のトルエンを加え、アクリロニトリルを、実施例1および5の場合80部、実施例9および13の場合31.6部を加えて、25℃で3時間反応させた。希硫酸を用いて中和した後、さらにラネーニッケルを10%加えて水素圧60kg/cm2、温度100℃で3時間反応させた。冷却後、濾過し、1級アミノ基含有ポリエーテルを得て本発明の集束剤(X1、X5、X9およびX13)とした。
実施例1、5、9および13
上述の未変性ポリエーテル500部に、5部の水酸化カリウムおよび5部の水、500部のトルエンを加え、アクリロニトリルを、実施例1および5の場合80部、実施例9および13の場合31.6部を加えて、25℃で3時間反応させた。希硫酸を用いて中和した後、さらにラネーニッケルを10%加えて水素圧60kg/cm2、温度100℃で3時間反応させた。冷却後、濾過し、1級アミノ基含有ポリエーテルを得て本発明の集束剤(X1、X5、X9およびX13)とした。
(3)カルボキシル基含有ポリエーテルからなる集束剤
実施例2、6、10および14
上述の未変性ポリエーテル500部に、モノクロル酢酸と水酸化ナトリウムを、実施例2および6の場合はモノクロル酢酸142部と水酸化ナトリウム42.2部、並びに実施例10および14の場合はモノクロル酢酸56.4部と水酸化ナトリウム17部を仕込み、50℃で15時間反応させた。冷却後、濾過し、カルボキシル基含有ポリエーテルを得て本発明の集束剤(X2、X6、X10およびX14)とした。
実施例2、6、10および14
上述の未変性ポリエーテル500部に、モノクロル酢酸と水酸化ナトリウムを、実施例2および6の場合はモノクロル酢酸142部と水酸化ナトリウム42.2部、並びに実施例10および14の場合はモノクロル酢酸56.4部と水酸化ナトリウム17部を仕込み、50℃で15時間反応させた。冷却後、濾過し、カルボキシル基含有ポリエーテルを得て本発明の集束剤(X2、X6、X10およびX14)とした。
(4)酸無水物基含有ポリエーテルからなる集束剤
実施例3、7、11および15
上述の未変性ポリエーテル500部に、2.5部の濃硫酸を加え、窒素気流下、120で2時間反応させた。水酸化ナトリウムにより中和した後、実施例3および7の場合は無水マレイン酸154部、実施例11および15の場合は無水マレイン酸60部を仕込んだ後、150℃で6時間反応させて酸無水物基含有ポリエーテルを得て本発明の集束剤(X3、X7、X11およびX15)とした。
実施例3、7、11および15
上述の未変性ポリエーテル500部に、2.5部の濃硫酸を加え、窒素気流下、120で2時間反応させた。水酸化ナトリウムにより中和した後、実施例3および7の場合は無水マレイン酸154部、実施例11および15の場合は無水マレイン酸60部を仕込んだ後、150℃で6時間反応させて酸無水物基含有ポリエーテルを得て本発明の集束剤(X3、X7、X11およびX15)とした。
(5)メルカプト基含有ポリエーテルからなる集束剤
実施例4、8、12および16
ステンレス製オートクレーブに、上述の未変性ポリエーテル500部および2.5部の濃硫酸を加え、窒素気流下、120で2時間反応させた。水酸化ナトリウムにより中和した後、0.025部の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンと、実施例4および8の場合は硫化水素435部、実施例12および16の場合は硫化水素171部を仕込んだ後、100kg/cm2の圧力で0〜25℃で4時間反応させ、冷却、減圧下に脱気した後、メルカプト基含有ポリエーテルを得て本発明の集束剤(X4、X8、X12およびX16)とした。
実施例4、8、12および16
ステンレス製オートクレーブに、上述の未変性ポリエーテル500部および2.5部の濃硫酸を加え、窒素気流下、120で2時間反応させた。水酸化ナトリウムにより中和した後、0.025部の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンと、実施例4および8の場合は硫化水素435部、実施例12および16の場合は硫化水素171部を仕込んだ後、100kg/cm2の圧力で0〜25℃で4時間反応させ、冷却、減圧下に脱気した後、メルカプト基含有ポリエーテルを得て本発明の集束剤(X4、X8、X12およびX16)とした。
官能基数の測定法;
上記の変性ポリエーテルの1分子当たりの官能基数を以下の方法で測定した。なお、MnはGPCで、ポリエチレングリコールを標準として測定した。
上記の変性ポリエーテルの1分子当たりの官能基数を以下の方法で測定した。なお、MnはGPCで、ポリエチレングリコールを標準として測定した。
1級アミノ基;1/10規定塩酸水溶液を用い、ブロムクレゾールグリーン溶液を指示薬とし、液が青色から黄色に変わった点を終点とする滴定を行いアミン価を測定した。アミン価から、サンプル1g中のアミンのモル数を計算し、Mnを乗ずることにより、(A0)1分子に導入されたアミンの個数を算出した。
カルボキシル基;1/10規定水酸化カリウムメタノール溶液を用い、電位差滴定装置を用いることにより酸価の測定を行った。酸価から、サンプル1g中のカルボキシル基のモル数を計算し、Mnを乗ずることにより、(A0)1分子に導入されたカルボキシル基の個数を算出した。
酸無水物基;1/10規定水酸化カリウムメタノール溶液を用い、フェノールフタレインを指示薬とし、液が無色から薄い赤色に変わった点を終点とする滴定を行い酸価を測定した。酸価から、サンプル1g中の酸無水物基のモル数を計算し、Mnを乗ずることにより、(A0)1分子に導入された酸無水物基の個数を算出した。
メルカプト基;ICP(発光分光分析装置)を用い、硫黄原子の濃度を測定した。該濃度からサンプル1g中のメルカプト基のモル数を計算し、Mnを乗ずることにより、(A0)1分子に導入されたメルカプト基の個数を算出した。
粘度測定法;
変性ポリエーテルの粘度は、200mLの硝子瓶中に変性ポリエーテルを入れて液温が80℃になるようにオイルバスにて加温し、株式会社東京計器社製BL型粘度計(ローターNo.1、30rpm)を用いて測定した。
変性ポリエーテルの粘度は、200mLの硝子瓶中に変性ポリエーテルを入れて液温が80℃になるようにオイルバスにて加温し、株式会社東京計器社製BL型粘度計(ローターNo.1、30rpm)を用いて測定した。
比較例1
特許文献−1(特開平9−31851号公報)記載の実施例「試験区分1」に記載の集束剤稀釈液を作製した。すなわち、エチレングリコール/パルミトレイン酸/ステアリン酸=1/1.8/0.2(モル比)を仕込み、窒素ガス下に100℃で溶融した後、パラトルエンスルホン酸を0.4%仕込み、120℃で2mmHgの減圧下に4時間反応させた。次いで窒素ガス下に105℃で常圧に戻し、吸着剤を添加して触媒を処理した。その後濾過することにより、エステル化合物を得た。該エステル化合物を6g、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量190)を6g、エポキシ化1,2−ポリブタジエン(エポキシ当量500)を69g、およびポリオキシエチレン(25モル)トリベンジルフェニルエーテル15gを、90℃で溶融混合した後、40℃まで冷却し、40℃の水460gをこの混合物に添加して比較例1の集束剤(Y1)の稀釈液を得た。
特許文献−1(特開平9−31851号公報)記載の実施例「試験区分1」に記載の集束剤稀釈液を作製した。すなわち、エチレングリコール/パルミトレイン酸/ステアリン酸=1/1.8/0.2(モル比)を仕込み、窒素ガス下に100℃で溶融した後、パラトルエンスルホン酸を0.4%仕込み、120℃で2mmHgの減圧下に4時間反応させた。次いで窒素ガス下に105℃で常圧に戻し、吸着剤を添加して触媒を処理した。その後濾過することにより、エステル化合物を得た。該エステル化合物を6g、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量190)を6g、エポキシ化1,2−ポリブタジエン(エポキシ当量500)を69g、およびポリオキシエチレン(25モル)トリベンジルフェニルエーテル15gを、90℃で溶融混合した後、40℃まで冷却し、40℃の水460gをこの混合物に添加して比較例1の集束剤(Y1)の稀釈液を得た。
比較例2
特許文献−3(特開平9−3777号公報)記載の実施例1に記載の集束剤稀釈液を作製した。
すなわち、水溶性ポリアミド(松本油脂社製「KP2021A」)2.5%、ノニオン系活性剤(第一工業社製「エパン450」)0.1%、蒸留水97.4%を混合し、比較例2の集束剤(Y2)の稀釈液を得た。
特許文献−3(特開平9−3777号公報)記載の実施例1に記載の集束剤稀釈液を作製した。
すなわち、水溶性ポリアミド(松本油脂社製「KP2021A」)2.5%、ノニオン系活性剤(第一工業社製「エパン450」)0.1%、蒸留水97.4%を混合し、比較例2の集束剤(Y2)の稀釈液を得た。
実施例17〜32、比較例3および4
実施例1〜16で得た各集束剤を、変性ポリエーテルの濃度が1.5%となるように水で希釈して実施例17〜32の表面処理剤を得た。また比較例1および2で得た集束剤稀釈液も濃度が1.5%となるように水で希釈した。
これらの表面処理剤中に未処理炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を浸漬して含浸させた後、150℃で3分間熱風乾燥させて得られた炭素繊維束について、下記方法により開繊性、耐擦過性およびマトリックス樹脂との接着性について評価し、その結果を表3に示した。
実施例1〜16で得た各集束剤を、変性ポリエーテルの濃度が1.5%となるように水で希釈して実施例17〜32の表面処理剤を得た。また比較例1および2で得た集束剤稀釈液も濃度が1.5%となるように水で希釈した。
これらの表面処理剤中に未処理炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を浸漬して含浸させた後、150℃で3分間熱風乾燥させて得られた炭素繊維束について、下記方法により開繊性、耐擦過性およびマトリックス樹脂との接着性について評価し、その結果を表3に示した。
性能評価(1):開繊性
表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を50mm間隔でそれぞれ平行にかつ炭素繊維束糸条が120度の角度で接触しながら通過するようにジグザグに配置した。このステンレス棒間に上述の処理された炭素繊維束をジグザグにかけ、初期張力1,000gを付加しながら3m/分の速度で通過させた時の、ステンレス棒上の炭素繊維束の拡がり幅(mm)を測定した。
表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を50mm間隔でそれぞれ平行にかつ炭素繊維束糸条が120度の角度で接触しながら通過するようにジグザグに配置した。このステンレス棒間に上述の処理された炭素繊維束をジグザグにかけ、初期張力1,000gを付加しながら3m/分の速度で通過させた時の、ステンレス棒上の炭素繊維束の拡がり幅(mm)を測定した。
性能評価(2):耐擦過性
表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を50mm間隔でそれぞれ平行にかつ炭素繊維束糸条が120度の角度で接触しながら通過するようにジグザグに配置した。このステンレス棒間に上述の処理された炭素繊維束をジグザグにかけ、初期張力300gを付加しながら3m/分の速度で通過させ、繊維束糸条に対して直角方向からレーザー光線を照射する。レーザー光線を遮蔽する回数から発生した毛羽個数をカウントし、個/mで表示する。
表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を50mm間隔でそれぞれ平行にかつ炭素繊維束糸条が120度の角度で接触しながら通過するようにジグザグに配置した。このステンレス棒間に上述の処理された炭素繊維束をジグザグにかけ、初期張力300gを付加しながら3m/分の速度で通過させ、繊維束糸条に対して直角方向からレーザー光線を照射する。レーザー光線を遮蔽する回数から発生した毛羽個数をカウントし、個/mで表示する。
性能評価(3):マトリックス樹脂との接着性
上述の処理された炭素繊維束を一方向に引き揃えて金型に入れ、これにビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(エポキシ当量190)/BF3モノエチルアミン塩=100/3部に調合した樹脂を加えて真空で含浸する。このとき繊維の体積含有率が60%となるように炭素繊維束の量を調節する。含浸後、150℃、1時間加圧下で硬化させ、さらに140℃、4時間硬化させる。こうして得た厚さ2.5mm、幅6.0mmのテストピースについてASTMD−2344に従って層間剪断強度(ILSS)を測定した。
上述の処理された炭素繊維束を一方向に引き揃えて金型に入れ、これにビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(エポキシ当量190)/BF3モノエチルアミン塩=100/3部に調合した樹脂を加えて真空で含浸する。このとき繊維の体積含有率が60%となるように炭素繊維束の量を調節する。含浸後、150℃、1時間加圧下で硬化させ、さらに140℃、4時間硬化させる。こうして得た厚さ2.5mm、幅6.0mmのテストピースについてASTMD−2344に従って層間剪断強度(ILSS)を測定した。
本発明の無機繊維用集束剤は、複合材料に使用される各種の無機繊維の加工工程において耐擦過性・開繊性が良好な集束剤として有用であり、かつマトリックス樹脂との接着性が良好であることから、繊維束または繊維束からなる繊維製品とマトリックス樹脂からなる高強度の複合材料に利用できる。
Claims (10)
- カルボキシル基、アミノ基、酸無水物基およびメルカプト基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を分子末端に有する変性ポリエーテル(A)からなる無機繊維用集束剤。
- 該変性ポリエーテル(A)が直鎖状変性ポリエーテル(A1)である請求項1記載の無機繊維用集束剤。
- 該直鎖状変性ポリエーテル(A1)が官能基を両末端に有する直鎖状変性ポリエーテルである請求項2記載の無機繊維用集束剤。
- 80℃における粘度が2,000mPa・s以下である請求項1〜3いずれか記載の無機繊維用集束剤。
- 請求項1〜4いずれか記載の集束剤を水性媒体に分散または溶解させた水性分散体または水性溶液からなる無機繊維用表面処理剤。
- ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維およびスラッグ繊維からなる群より選ばれる1種以上の無機繊維を、請求項1〜5いずれか記載の集束剤または処理剤で処理して得られる無機繊維束。
- 無機繊維が炭素繊維である請求項6記載の無機繊維束。
- 請求項6または7記載の無機繊維束からなる繊維製品。
- 請求項8記載の繊維製品を強化繊維とし、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂をマトリックスとしてなるプリプレグ。
- 請求項9記載のプリプレグを成形してなる繊維強化複合材料成形物。
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JP2010512440A (ja) * | 2006-12-11 | 2010-04-22 | アストリウム エスアーエス | 有機基質に対する炭素繊維の接着を改良するためのプロセス |
WO2011064994A1 (ja) | 2009-11-30 | 2011-06-03 | 株式会社カネカ | 炭素繊維強化複合材料 |
US9617659B2 (en) | 2012-08-15 | 2017-04-11 | 3M Innovative Properties | Sized short alumina-based inorganic oxide fiber, method of making, and composition including the same |
WO2018168554A1 (ja) | 2017-03-16 | 2018-09-20 | 株式会社カネカ | 熱可塑性樹脂系繊維強化複合材料と金属部材との接着複合体及びその製造方法 |
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-
2004
- 2004-01-29 JP JP2004021803A patent/JP2005213679A/ja active Pending
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