JP2005211631A - 眼科装置における計測開始タイミング - Google Patents
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Abstract
【課題】 角膜形状解析装置において、虹彩領域とまぶた領域からの反射光量の違いを、明確に判定できない場合において、虹彩パターンの反射像を用いて被検者の開瞼状態の検知を行うことを可能にし、計測に十分な角膜上の領域を確保していると判断した場合に、計測開始を行うことができる角膜形状解析装置を提供する。
【解決手段】 あらかじめ、登録された個々の被検者の十分に開瞼された状態での虹彩パターンを参照画像とし、計測でのアライメント時に、画像中の虹彩パターンを随時視認し、参照画像中の虹彩パターンとの合致度合いから、開瞼状態を判断する。
【選択図】 図1
【解決手段】 あらかじめ、登録された個々の被検者の十分に開瞼された状態での虹彩パターンを参照画像とし、計測でのアライメント時に、画像中の虹彩パターンを随時視認し、参照画像中の虹彩パターンとの合致度合いから、開瞼状態を判断する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、眼科分野で用いられる、ケラトメータや角膜形状解析装置のような、角膜に対してリングパターンを投影し、その角膜からの反射リングパターンを解析することで、角膜曲率半径を計測し、計測結果を画面上に表示する機能を有する機器にかかわるものである。
ケラトメータや角膜形状解析装置はリングパターンを角膜に投影し、その角膜からの反射リングパターンを計測して解析を行うものである。従って受光画像中のリングパターンがすべて正しく認識されることが望ましい。そのためには大きく開瞼し、角膜全面がほぼ観察できる状態で計測する必要がある。この計測視野内において、投光光学系からリングパターンを遮って観察画像に障害陰影となるものは、まぶた・まつげ、およびそれらの影である。これらの影響を受けるということは、それを認知できれば計測開始または中止・中断の判断材料にできるということである。
一般に、加齢とともに被検者のまぶたは垂れ下がる傾向にあり、被検者が自発的に大きくまぶたを開けることが困難な場合がある。その場合は、検査者が被験者のまぶたに指を添えて、開瞼させることになる。また、比較的大きく開瞼した場合においても、まつげが観察視野内に入ることによって、投光光学系によるまつげの影が映りこみ、正確な検査を妨げる場合がある。
リングパターンの投影においては、ケラトメータでは1リングの投影であるが、角膜形状解析装置では同心円状の30本前後のリングを用いる。上記の理由によって、ケラトメータにおいて投影されたリングが完全に認識されるような検査や、角膜形状解析装置において、すべてのリングパターンが認識されるような検査が常時行われるということは難しい。
しかし、ケラトメータとして角膜曲率半径を正しく測定するためには、投影リングパターンのある程度のリング形状が角膜に投影されることが必要である。また角膜形状解析装置においても、複数あるリングパターンの中から、角膜中心から外側に向かって、少なくともケラトメータとして投影されるリングパターンの大きさまでの領域において、十分なリングパターンが角膜上に正しく投影されることが必要である。
また一般に、これらの機器には、角膜中心位置を認識および焦点位置を認識して、アライメント動作を行うために計測システムを動かす機構が備わっている。さらに、それらのアライメントでのずれ量を計算機処理することによって、角膜中心からの上下・左右および前後の位置が所定の有効領域に入ったと検知した場合に、自動的に画像をデジタルメモリに保存して解析処理を開始する機能が盛り込まれている。
この検知動作の一つとして、従来技術では、角膜にかかるまぶたの有無を検知することで、アライメントとして計測システムを動かすことを停止させ、画像をデジタルメモリに保存する動作を停止させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。また、観察画像中で、まぶたと瞳孔中心を通る縦方向に伸びる線分を決め、その線分上の濃度値に対してある閾値を設定することで、まぶたの上下位置の辺縁を認識させ、まぶたの開角度を知る方法がある(例えば、特許文献2および3参照)。また、アライメントを簡便に行うために、虹彩外径を位置合わせに用いる方法がある(例えば、特許文献4参照。)。また虹彩の輝度・パターンを用いて、顔の中から眼球部分を特定する方法がある(例えば、特許文献5および6参照)。
特開平08−229006(要約および図1) 特開2000−102510(要約および図1) 特開平07−313459(要約および図1) 特開2003−325457(要約および図1) 特開2003−150942(要約および図1) 特開2003−108981(要約および図1)
特許文献1では、まぶたからの散乱光の受光量でまぶたの有無を検知するものであって、角膜にかかるまぶた位置を正確に認識するものではない。
特許文献2および3では、角膜中心付近を通る上下方向の計測領域を設け、虹彩とまぶたの反射光量の違いを識別して、上下のまぶた位置を知るもので、まぶたに覆われていない角膜の露出領域は、角膜中心を通る縦線分上においてのみ知ることができるものである。
特許文献4では、画像中の比較的個人差の少ない虹彩外形を位置合わせに用いて、光学系の光軸合わせを行うもので、開瞼度合いを知るものではない。
特許文献5および6は、顔と虹彩輝度の差異から目位置の検出を行うものであって、開瞼度合いを知るものではない。
従来の機能は、主に瞳孔と虹彩からなる角膜表面とまぶたからの反射光量に着目して、まぶた領域のその辺縁部位を特定するものである。これによって開瞼領域を知ることができる。
しかし、撮像画面に対して比較的大きな画像が得られている場合には、焦点が合致した状態で観察領域外にまぶたがある場合がある。この場合、初めから計測可能状態にあるために初期状態を見誤る可能性がある。その場合、処理方法によっては、一度瞬目して、まぶた領域を計測視野内に入れる必要がある。これは、閾値を明確に設定するための処理である。
また、角膜形状解析装置では、リングパターンの投影方式としてプラチド方式とリング方式を採用している。プラチド方式では、同心円状の30本前後のリングパターンを、ほぼ平面に近い板状に配置しているため、角膜およびまぶたとプラチド板との間に比較的広い空間が取れるために、十分な照明光量をもってリングパターンを投影できるので、角膜の虹彩領域からと、まぶた領域からとの反射光量の差異を特徴付けて計測できる。コーン方式を採用している場合には、同心円状の30本前後のリングパターンがコーン内部に配置されているので、角膜およびまぶたとコーンの先端との間は狭く、十分な光量をもってリングパターンを投影することはできない。その場合、まぶた領域の辺縁部の反射光量が少なく、虹彩領域からの反射光量との差異がほとんどない場合があり、まぶた領域を認識することはできない。
本発明では、上記のように、虹彩領域とまぶた領域からの反射光量の違いを、明確に判定できない場合において、虹彩パターンの反射像を用いて被検者の開瞼状態の検知を行うことを可能にし、計測に十分な角膜上の領域を確保していると判断した場合に、計測開始を行うことができる角膜形状解析装置を提供する。
本発明は、被検者に対して固視を促し、角膜中心を特定するための点状光投影光学系と、角膜に同心円状の複数のリングパターンを投影する光学系と、その角膜からの点状光とリングパターンの反射を受光する光学系を備え、その反射を撮影してデジタルメモリに記憶する手段と、そのデータをデジタルメモリから任意にデータを取り出して演算する手段を備えた機器において機能する。
角膜形状解析装置においては、投影リングパターンは、角膜全面に均一に、そして偏在することなく投影できるものであれば、リング本数や、個々のリング幅や間隔は本発明の特徴を制限するものではない。
被検者に対して、初回検査時にはデータベースへの登録を行う。カルテ番号・住所・氏名・電話番号などの個人を特定できる文字列・数字の任意の複数の組合せによる、唯一無二の識別子を内部的に設定できる情報を入力する。
検査に際しては、被検者に対して1度瞬目をさせ、均質な涙液層を角膜表面に形成させた後、速やかに画像を撮影する。このとき、できるだけ大きく開瞼させ、投影される同心円状リングパターンの最大径のものが十分に観察画面で視認できることが望ましい。しかしここでは画像の入力に際してリングパターンを実際に投影することなく、照明のみを行って角膜画像を撮影し、その画像を参照画像として、上記の唯一無二の内部コードと共にデータベースに記録する。
上記のデータベースへの登録後、同一被検者に対して検査する場合には、はじめに上記唯一無二のコードを用いて、この被検者に該当する参照画像を呼び出し、虹彩パターンの中から識別に用いるために広く特徴点を抽出する。このとき瞳孔領域の上下部に広がる虹彩パターン分布に特に着目する。
アライメントは、角膜中央に投影される輝点の位置から上下・左右のずれを判断する。また別に焦点位置を知るために検出器を用いる。被検者に対して、アライメントを行いながら観察および画像のデジタルメモリへの保存を行う。随時、画像をデジタルメモリから取り出して、虹彩パターンの中から識別に用いるために広く特徴点を抽出する。このとき、参照画像に対する処理と同一のアルゴリズムを用いるために、同条件で特徴点が抽出される。
このように、アライメント中の画像に対して特徴点を随時判断しながら、瞳孔領域の上下方向に位置する虹彩パターンに着目し、計測領域が十分に広く撮影された上記の参照画像における、虹彩パターンの特徴的な部位を比較し、その合致度合いを判定することで、まぶたが計測視野外に広がったと判断し、自動的に解析のための画像をデジタルメモリに保存する。その後は、所定の処理によって角膜曲率半径の演算処理を行って、結果をモニタ上に表示する。
なお、虹彩パターンは、人眼においては個体ごとに特徴的なパターンを示すもので、経年的に大きく変化していくものではないという事実を前提にしていることは言うまでもない。
上記のように、コーン方式を用いた角膜形状解析装置において、照明のための十分な空間が、角膜およびまぶたとコーン先端との間に取れない場合において、プラチド方式を用いた角膜形状解析装置のように、照明のために十分な空間が、角膜およびまぶたとプラチド板との間に取れ、虹彩とまぶたとからの反射光量の差異を利用してまぶたを認識する機能と同じように、虹彩パターンを用いて、まぶたがかかっていない領域を認識することができる。
同心円状リングパターンを投影する光学系と観察する光学系は図1に示すように配置されている。角膜(C)の前に位置づけられたコーン(01)はその背面に置かれた蛍光管(02)によって内側から照明され、内含されたフィルムを通して角膜にそのフィルム上のリングパターンを投影する。固視灯点光源(06)の光は、レンズ(05)によってハーフミラー(04)に反射され、さらにレンズ(03)によってコーン(01)の中心に開けられた穴を通じて角膜(C)に投影され、観察時の固視灯となる。角膜(C)に投影されたリングパターンはレンズ(03)、ハーフミラー(04)を経てレンズ(07)で焦点調整された上で、CCD(08)によって画像と認識される。
リングパターンを投影するには、図2の写真に示すような円錐状のコーンを用いる。コーンの内側は中空で、透明樹脂による円錐状の筒になっている。内側の壁面にパターンを印刷した透明フィルムが貼り付けられている。または内側の壁面にリングパターンを直接切削し、塗装を施すことによってパターンを配置する。角膜上への投影には、コーンの先端部分を角膜表面に近接させ、リング壁面は厚みのある透明樹脂で成型されているため、コーンの外壁に光を反射する塗装を施すことによって、コーン背面からの蛍光管(02)による照明光は、その樹脂内で散乱し、内側に貼り付けられた、または切削されたパターンによって光が一部遮られる。
角膜形状解析装置において正しく計測するためには、角膜頂点を中心とする同心円状にリングパターンを投影させる必要があるため、固視灯点光源(06)をレンズ(05)、ハーフミラー(04)、レンズ(03)によって固視灯として照射させ、その輝点を固視させる。固視灯点光源からの反射は、図3の写真のように、観察される画像上では同心円状のリングパターンの中心に輝点として観察される。
角膜に投影された同心円状のリングパターンは、レンズ(03)、ハーフミラー(04)を経て、レンズ(07)によって焦点調節されてCCDカメラ(08)に集光され、図3に示すような写真として観察される。
この光学系を用いて、人眼を観察したものを図4の写真に示す。この状態はアライメント中のもので、上記のリングパターン投射するための準備段階に相当する。この例ではまぶたがかかった状態であるため、上記のように、角膜表面と虹彩パターンの識別をするほどの照明光量を得ることはできない。なお写真中の大きな丸は、ほぼ直径3mmの円を示し、ケラトメータで観察に必要な計測用リングを示している。
図5の写真に大きく開瞼した場合の人眼角膜を示す。この例では虹彩パターンを判別できるだけのコントラストのある画像が得られている。
図5に対して、虹彩の特徴的なパターンに対して認識処理を行った場合を図6の写真に示す。このパターンを用いて同一被検者の計測に際しては計測領域での開瞼度合いを判定する。
C ...角膜
01...コーン
02...蛍光管
03...レンズ
04...ハーフミラー
05...レンズ
06...固視灯点光源
07...レンズ
08...CCDカメラ
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Claims (5)
- 被検者に対して固視を促す固視光学系と、角膜中心を特定するための点状光投影光学系と、角膜に1本のリングパターンまたは同心円状の複数のリングパターンを投影する光学系と、その角膜からの中心を示す点状光と角膜からのリングパターンの反射を受光する光学系を備え、その反射画像を撮影してデジタルメモリに記憶する手段と、そのデータをデジタルメモリから任意にデータを取り出して演算する手段を備えた、角膜形状解析装置。
- 請求項1において、角膜表面からの反射画像における虹彩パターンを認識しデジタルメモリに記録する手段を備え、記録に際しては、その画像データに付随して被検者のカルテ番号・名前等の組合せによる唯一無二の識別番号を添付して保存するデータベースを持つことを特徴とする、角膜形状解析装置。
- 請求項2において、記録した虹彩パターンの中から、識別番号を頼りに同一被検者のデータを読み出し、その虹彩パターンを用いて、新たな計測時の虹彩パターンとの特徴点の合致度合いから、開瞼状態を判断できる機能を備えた、請求項1の角膜形状解析装置。
- 請求項3において、角膜表面上において、特に計測時に観察する必要のある領域を特定することが可能となることを特徴とする、請求項1の角膜形状解析装置。
- 請求項3,4において、虹彩パターンの認知度合いに応じて、計測開始または中止を判断し、実行できる機構を備えたことを特徴とする、請求項1の角膜形状解析装置。
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