以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
<実施形態1−1>
図2は本発明の実施形態1−1のブロック図を示す。これは、定着器の熱源としてのセラミック面発ヒータの温度を制御する温度制御回路の例である。この温度制御回路を含むレーザビームプリンタの構造を図3に示す。
図3を説明する。レーザビームプリンタ本体101は、記録紙Sを収納するカセット102を有し、カセット102の記録紙Sの有無を検出するカセット有無センサ103、カセット102の記録紙Sのサイズを検出するカセットサイズセンサ104(復数個のマイクロスイッチで構成される)、カセット102から記録紙Sを繰り出す給紙ローラ105等が設けられている。
給紙ローラ105の下流には、記録紙Sを同期搬送するレジストローラ対106が設けられている。レジストローラ対106の下流には、レーザスキャナ部107からのレーザ光に基づいて記録紙S上にトナー像を形成する画像形成部108が設けられている。画像形成部108の下流には、記録紙S上に形成されたトナー像を熱定着する定着器109が設けられている。
定着器109の下流には、排紙部の搬送状態を検出する排紙センサ110、記録紙Sを排紙する排紙ローラ111、記録の完了した記録紙Sを積載する積載トレイ112が設けられている。この記録紙Sの搬送基準は、記録紙Sの画像形成装置の搬送方向に直交する方向の長さ、つまり記録紙Sの幅に対して中央になるように設定されている。
レーザスキャナ107は、後述する外部装置131から送出される画像信号(画像信号VDO)に基づいて変調されたレーザ光を出射するレーザユニット113、このレーザユニット113からのレーザ光を後述する感光ドラム117上に走査するためのポリゴンモータ114、結像レンズ115、折り返しミラー116等により構成されている。
画像形成部108は、公知の電子写真プロセスに必要な、感光ドラム117、1次帯電ローラ119、現像器120、転写帯電ローラ121、クリーナ122等から構成されている。定着器109は定着フィルム109a、弾性加圧ローラ109b、定着フィルム内部に設けたセラミック面発ヒータ109c、セラミック面発ヒータ109cの表面温度を検出するサーミスタ109dから構成されている。
メインモータ123は、給紙ローラ105に対しては給紙ローラクラッチ124を介して、レジストローラ対106に対してはレジストローラ125を介して駆動力を与えている。メインモータ123は、さらに感光ドラム117を含む画像形成部108の各ユニット、定着器109、排紙ローラ111にも駆動力を与えている。
エンジンコントローラ126は、レーザスキャナ部107、画像形成部108、定着器109による電子写真プロセスの制御、レーザビームプリンタ本体101内の記録紙の搬送制御を行なっている。
ビデオコントローラ127は、パーソナルコンピュータ等の外部装置131と汎用のインタフェース(セントロニクス、RS232C等)130で接続されている。ビデオコントローラ127は、この汎用インタフェースから送られてくる画像情報をビットデータに展開し、そのビットデータをVDO信号として、エンジンコントローラ126へ送出している。
次に、図2の温度制御回路を説明する。図2において、109c、109d、126は図3と同一部分を示す。図中符号1は本レーザビームプリンタの交流電源である。交流電源1は、ACフィルタ2を介して、セラミック面発ヒータ109cを構成する発熱体3及び発熱体20に接続してある。発熱体3への電力供給は、トライアック4の通電、遮断により行われる。発熱体20への電力の供給は、トライアック13の通電、遮断により行われる。
5、6はトライアック4のためのバイアス抵抗であり、7は一次、二次間の沿面距離を確保するためのフォトトライアックカプラである。フォトトライアックカプラ7の発光ダイオードに通電することによりトライアック4がオンされる。8はフォトトライアックカプラ7の電流を制限するための抵抗である。9はトランジスタで、フォトトライアックカプラ7をオン/オフ制御する。トランジスタ9は抵抗10を介してエンジンコントローラ126からのON1信号に従って動作する。
14、15はトライアック13のためのバイアス抵抗である。16は一次、二次間の沿面距離を確保するためのフォトトライアックカプラである。フォトトライアックカプラ16の発光ダイオードに通電することにより、トライアック13をオンする。17はフォトトライアックカプラ16の電流を制限するための抵抗である。18はトランジスタで、フォトトライアックカプラ16をオン/オフ制御する。トランジスタ18は抵抗19を介してエンジンコントローラ126からのON2信号に従って動作する。
12はACフィルタ2を介して交流電源1に接続したゼロクロス検出回路である。ゼロクロス検出回路12は、商用電源電圧がある閾値以下の電圧になっていることを、エンジンコントローラ126に対してパルス信号(以下「ZEROX信号」という。)として報知する。エンジンコントローラ126はZEROX信号のパルスのエッジを検出し、位相制御または波数制御によりトライアック4または13をオン/オフ制御する。
トライアック4及び13により制御されて発熱体3及び20に通電されるヒータ電流は、カレントトランス25によって電圧に変換され、抵抗26を介して電流検出回路27に入力される。電流検出回路27では、電圧変換されたヒータ電流波形を平均値または実効値に変換し、HCRRT信号としてエンジンコントローラ126にA/D入力される。
109dは発熱体3、20で形成されているセラミック面発ヒータ109cの温度を検出するためのサーミスタである。サーミスタ109dは、セラミック面発ヒータ109c上に発熱体3、20に対して絶縁距離を確保できるように絶縁耐圧を有する絶縁物を介して配置されている。サーミスタ109dによって検出される温度は、抵抗22とサーミスタ109dとの分圧として検出され、エンジンコントローラ126にTH信号としてA/D入力される。セラミック面発ヒータ109cの温度は、TH信号としてエンジンコントローラ126において監視される。セラミック面発ヒータ109cの温度は、エンジンコントローラ126の内部で設定されているセラミック面発ヒータ109cの設定温度と比較される。このことによって、エンジンコントローラ126は、セラミック面発ヒータ109cを構成する発熱体3、20に供給するべき電力比を算出し、その供給する電力比を、位相角(位相制御)または波数(波数制御)に換算する。その制御条件によりエンジンコントローラ126は、トランジスタ9にON1信号、あるいはトランジスタ18にON2信号を送出する。エンジンコントローラ126は、発熱体3、20に供給する電力比を算出する際に、電流検出回路から報知されるHCRRT信号を基に上限の電力比を算出して、その上限の電力比以下の電力が通電されるように制御する。例えば、位相制御の場合、下記の表1のような制御表をエンジンコントローラ126内に有しており、エンジンコントローラ126は、この制御表に基づき制御を行う。
さらに、発熱体3、20に電力を供給しており、制御する手段が故障し、発熱体3、20が熱暴走に至った場合に過昇温を防止するためのサーモスタット23がセラミック面発ヒータ109c上に配されている。電力供給制御手段の故障により、発熱体3、20が熱暴走に至りサーモスタット23が所定の温度以上になると、サーモスタット23がオープンになり、発熱体3および20への通電が遮断される。
図4(a)と4(b)は図1のセラミック面発ヒータ109cの構造を示す。図4(a)はセラミック面発ヒータ109cの横断面を示し、図4(b)は発熱体パターンとニップ側面を示す。図4(a)と4(b)において、3、20、23は図2と同一部分を示す。
セラミック面発ヒータ109cは、SiC、AlN、Al2O3等のセラミックス系の絶縁基板31と、絶縁基板31面上にペースト印刷等で形成されている発熱体3、20と、2本の発熱体を保護しているガラス等の保護層34とから構成されている。保護層34上に、セラミック面発ヒータ109cの温度を検出するサーミスタ109dとサーモスタット23が、記録紙の搬送基準a1(発熱部32a、33aの長さ方向の中心線)に対して略左右対称な位置であり、かつ通紙可能な最小の記録紙幅よりも内側の位置に配設されている。
発熱体3は、電力が供給されると発熱する部分32aと、電極部32c、32dと発熱体とを接続する導電部32bと、コネクタを介して電力が供給される電極部32c、32dとから構成されている。発熱体20は、電力が供給されると発熱する部分33aと、電極部32c、33dと接続される導電部33bと、コネクタを介して電力が供給される電極部32c、33dから構成されている。電極部32cは、発熱体3と20の2本の発熱体に接続されており、発熱体3、20の共通の電極となっている。なお、発熱体3、20が印刷されている絶縁基板31との対向面側に摺動性を向上させるためにガラス層が形成される場合もある。
共通電極32cには、交流電源1のHOT側端子がサーモスタット23を介して接続されている。電極部32dは発熱体3を制御するトライアック4に接続され、交流電源1のNeutral端子に接続される。電極部33dは発熱体20を制御するトライアック13に電気的に接続され、交流電源1のNeutral端子に接続される。
セラミック面発ヒータ109cは、図5(a)と5(b)に示すように、フィルムガイド62によって支持されている。109aは円筒状の耐熱材製の定着フィルムであり、セラミック面発ヒータ109cを下面側に支持させたフィルムガイド62に外嵌させてある。フィルムガイド62の下面のセラミック面発ヒータ109cと、加圧部材としての弾性加圧ローラ109bとを、定着フィルム109aを挟ませて、弾性加圧ローラ109bの弾性に抗して所定の加圧力をもって圧接させて、加熱部としての所定幅の定着ニップ部を形成させてある。サーモスタット23がセラミック面発ヒータ109cの絶縁基板31面上または保護層34面上に当接させてある。サーモスタット23はフィルムガイド62に位置を矯正され、サーモスタット23の感熱面がセラミック面発ヒータ109cの面上に当接されている。図示はしていないが、サーミスタ109dも同様にセラミック面発ヒータ109cの面上に当接させてある。セラミック面発ヒータ109cは、図5(a)と5(b)に示すように、発熱体3、20がニップ部と反対側にあっても、発熱体がニップ部側にあってもかまわない。定着フィルム109aの摺動性を上げるために、定着フィルム109aとセラミック面発ヒータ109cとの界面に摺動性のグリースを塗布してもかまわない。
図6は定着器109の制御シーケンスの一例を示すフローチャートである。図7(a)から7(e)及び図8(a)から8(e)はヒータ電流とON1、ON2信号の概略動作波形を示す波形図である。図7(a)から7(e)は電圧範囲内において、入力電圧が小さい場合の動作波形を示す。図8(a)から8(e)は大きい場合の動作波形を示す。しかし、以下、動作波形については、図7(a)から7(e)の動作波形のみを参照することにする。
エンジンコントローラ126にて、セラミック面発ヒータ109cへの電力供給開始の要求が発生すると(ステップS501)、発熱体3及び20の両方に同一の所定の固定デューティD1で通電する(S502)。固定デューティD1に相当する位相角α1で、ON1信号、ON2信号のオンパルスが、ZEROX信号をトリガにして、エンジンコントローラ126から送出される(図7(b)と7(c)参照)。セラミック面発ヒータ109cには、位相角α1で電流が供給される(図7(a)参照)。
固定デューティD1で通電している時に電流検出回路27から報知されるHCRRT信号により電流値I1を検出する(S503)。固定デューティD1は、予め想定されている入力電圧範囲や発熱体抵抗値を考慮して、許容電流を超えない設定とする。つまり、入力電圧が最大値、抵抗値が最小値の場合を想定して固定デューティD1を設定する。
エンジンコントローラ126において、検出された電流値I1と固定デューティD1と予め設定されている通電可能な電流値Ilimitから、通電可能な上限の電力デューティDlimitを算出する(S504)。電流検出回路27がエンジンコントローラ126に報知する電流値が実効値の場合、Dlimitは以下の式によって算出される。
Dlimit=(Ilimit/I1)2×D1
電流値Ilimitとしては、接続される商用電源の定格電流に対して、セラミック面発ヒータ109c以外の部分に供給される電流を差し引いたセラミック面発ヒータ109cに供給可能な許容電流値を設定している。
エンジンコントローラ126に設定されている所定の温度になるように、TH信号からの情報を基にPI制御により、発熱体3、20に供給する電力が制御される。目標の所定温度とTH信号からの温度との差分から、供給するデューティが決定されている。ただし、算出されたデューティが上限デューティDlimitを超える場合は、上限値としてDlimitの比率の電力を供給する。つまり、上限デューティDlimit以下でのデューティでPI温調制御を行う(S505)。このときのON1、ON2信号波形を図7(d)に、ヒータ電流波形を図7(e)に示す。Dlimitに相当する位相角αlimit以上の位相角で位相制御を行うことになる。また、入力電圧の大きさによってDlimit(αlimit)が可変となり、入力電圧によらず常にIlimit以下の電流で制御が可能となる。
そして、ヒータ温調制御終了の要求がくるまで、算出された上限デューティDlimit以下で制御を行う(S506)。
上述したように、本実施の形態において、定着器109の立上げ時に所定の電力比の電力を供給して、供給電力比の上限値を算出し、それ以下の比率で電力制御する。このことにより、通紙時の温度制御中に予想以上の厚紙や重送紙が通紙され、セラミック面発ヒータ109cの温度が急減した場合でも、許容電流以上の電流を供給することを防ぐことができる。
また、入力電源電圧やヒータ抵抗値のバラつきに対して、供給可能な最大限の上限値を設定できる。このため、各条件において最大限に電力性能をだせることが可能となる。
なお、発熱体が1本の場合であっても、同様の制御が可能である。
<実施形態1−2>
図9は本実施の形態における定着器の制御シーケンスの概略を示すフローチャートである。ただし、図9において、ステップS501ないしS504は図6と同一ステップを示す。図10(a)から10(e)及び図11(a)から11(e)はヒータ電流とON1、ON2信号の概略動作波形を示す。図10(a)から10(e)電圧範囲内において、入力電圧が小さい場合の動作波形を示す。図11(a)から11(e)大きい場合の動作波形を示す。しかし、以下、動作波形については、図10(a)から10(e)の動作波形のみを参照することにする。
エンジンコントローラ126にて、セラミック面発ヒータ109cへの電力供給開始の要求が発生すれば(S501)、発熱体3及び20の両方に同一の所定の固定デューティD1で通電する(S502)。固定デューティD1に相当する位相角α1で、ON1、ON2信号のオンパルスがZEROX信号をトリガにして、エンジンコントローラ126よリ送出される(図10(b)から10(c)参照)。ヒータには、位相角α1で電流が供給される(図9(a)参照)。固定デューティD1で通電している時に電流検出回路27から報知されるHCRRT信号により電流値I1を検出する(S503)。固定デューティD1は予め想定されている入力電圧範囲や発熱体抵抗値を考慮して、許容電流を超えない設定とする。つまり、入力電圧が最大値、抵抗値が最小値の場合を想定して固定デューティD1を設定する。エンジンコントローラ126において、検出された電流値I1と固定デューティD1と予め設定されている通電可能な電流値Ilimitから、通電可能な上限の電力デューティDlimitを算出する(S504)。電流検出回路27がエンジンコントローラ126に報知する電流値が実効値の場合、Dlimitは次の式によって算出される。
Dlimit=(Ilimit/I1)2×D1
電流値Ilimitとして、接続される商用電源の定格電流に対して、ヒータ以外の部分に供給される電流を差し引いたヒータに供給可能な許容電流値を設定している。
Dlimitが算出されると、定常の定着器温調制御を開始する(S810)。例えば発熱体に通電する電力を位相制御する場合、電力デューティD(%)と位相角α(°)の次の関係式に従って制御する。
エンジンコントローラ126は、予め設定されている所定の温度になるように、TH信号からの情報を基にPI制御により、発熱体3、20に供給する電力を制御する(S811)。電力供給するデューティD′は、目標の所定温度とTH信号からの温度の差分から決定される。例えば、次式によって決定される。
式(2)によって、決定されるデューティD′は、温度差の条件により、0〜100%の範囲を40分割(2.5%刻み)して得られる値のいずれかの値となる。算出されたデューティD′と前記算出されたDlimitとから、式(3)により、供給する投入デューティDが算出される(S812)。
D=D′×Dlimit/100 …(3)
算出されたデューティDから、式(1)より、トライアック4または13をオンする位相角αを算出し、位相制御を行う(S813)。つまり、上限デューティDlimit以下でのデューティでPI温調制御を行い、常に40分割の制御が可能となる。このときのON1、ON2信号波形を図10(d)に示し、ヒータ電流波形を図10(e)に示す。Dlimitに相当する位相角αlimit以上の位相角で位相制御を行うことになる。
また、入力電圧の大きさによってDlimit(αlimit)が可変となり、入力電圧によらず常にIlimit以下の電流で制御が可能となる。位相制御をする際の電力デューティの分割数は、常に所定の40分割となる。このため、入力電圧が小さいときは1分割の位相角が相対的に大きくなる。また、入力電圧が大きいときは1分割の位相角が相対的に小さくなる。
Ilimitに対してあるデューティで制限をかける場合は、
(発熱体の抵抗値)×Ilimit2
の電力を所定の分割数で分割した電力デューティで制御を行うことになる。したがって、電源電圧によらず、1分割に相当する電力がほぼ同等となる制御が可能となる。
そして、ヒータ温調制御終了の要求がくるまで、上述の導出に基づき上限デューティDlimit以下で制御を行う(S814)。
上記のように、本実施の形態において、定着器の立上げ時に所定の電力比の電力を供給して、供給電力比の上限値を算出し、それ以下の比率で、かつ、上限値によらず同じ分割数で電力制御する。このことにより、通紙時の温度制御中に予想以上の厚紙や重送紙が通紙され、ヒータ温度が急減した場合でも、許容電流以上の電流を供給することを防ぐことができる。
また、入力電源電圧やヒータ抵抗値のバラつきに対して、供給可能な最大限の上限値を設定できるとともに、電源電圧が大きい場合でも電力比率の電力単位が(許容電力/分割数)以下に制限できる。このため、各条件において温度リプルが最適化され、最大限に電力性能をだせることが可能となる。
なお、発熱体が1つの場合であっても同様の制御が可能である。
<実施形態1−1、1−2の概略説明>
本発明の実施形態1−1、1−2の概略説明を以下に列挙する。
〔説明1−1〕
加熱手段と、該加熱手段に電力を供給する電力供給手段とを有する電子写真方式の画像形成装置において、前記電力供給手段を、交流電源電圧の半波または全波を全点灯した場合の電力に対する割合である電力比で制御し、所定期間の間、予め定めた第1の電力比で前記加熱手段に電力を供給する第1電力制御手段と、該第1電力制御手段により前記加熱手段に供給されている電流を検出する電流検出手段と、該電流検出手段により検出された電流値と、前記電力制御手段により前記加熱手段に供給可能な最大供給可能電流値との差に基づき、前記加熱手段に供給する最大供給可能電力比を算出する算出手段と、前記電力供給手段により前記加熱手段に供給される電力を、前記算出手段により算出された最大供給可能電力比以下で制御する第2電力制御手段と備えたことを特徴とする。
〔説明1−2〕
説明1−1において、前記第2電力制御手段により電力制御されている前記加熱手段の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段により検出された温度と、予め定めた目標温度とを比較し、前記加熱手段に供給する第2の電力比を算出し、得られた第2の電力比に相当する位相角を決定する決定手段と、該決定手段により決定された位相角に基づき、前記加熱手段に供給される電力を位相制御する位相制御手段と備えたことを特徴とする。
〔説明1−3〕
説明1−1又は1−2において、前記第2電力制御手段は、前記算出手段により算出された前記最大供給可能電力比を100%の電力比とし、前記最大供給可能電力比以下を所定の分割数の電力比で、前記加熱手段へ供給する電力を制御することを特徴とする。
〔説明1−4〕
説明1−1ないし1−3のいずれかにおいて、前記加熱手段は、絶縁基板と、該絶縁基板の片面もしくは両面上に形成した1つ以上の発熱体とを有することを特徴とする。
〔説明1−5〕
説明1−1ないし1−3のいずれかにおいて、実施態様1−4に記載の加熱手段と摺動するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱手段とニップ部を形成するように圧接された回転自在な加圧体とを有し、未定着画像を担持した記録媒体を前記ニップ部を通過せしめながら、前記発熱体の加熱により、前記記録媒体に定着処理を施す定着装置を備えたことを特徴とする。
<実施形態2−1>
(1)画像形成装置例
図12は本実施形態における画像形成装置の概略図である。この画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザビームプリンタである。
2101は静電担持体である感光体ドラム、2105は画像露光装置としてのレーザスキャナである。このレーザスキャナにおいて、2102は光源としての半導体レーザ、2103はスキャナモータ2104にて回転する回転多面鏡、Lは半導体レーザ2102から発射され、感光体ドラム2101上を走査するレーザビームである。
2106は感光体ドラム2101上を一様に帯電するための帯電ローラである。この帯電ローラ2106により一様に帯電された感光体ドラム2101の面がレーザスキャナ2102の出力レーザビームLで走査露光されて、感光体ドラム101上に目的の画像情報の静電潜像が形成される。
2107は感光体ドラム2101上に形成された静電潜像をトナーにて現像するための現像器である。2108は現像器2107にて現像されたトナー像を感光体ドラム2101上から所定の被記録材(以下、転写材と記す)Pに転写するための転写ローラである。2109は転写材Pに転写されたトナーを熱にて融着するための加熱定着装置(以下、定着器と記す)である。
2110は転写材Pのサイズを識別する機能を有し、転写材Pを格納する給紙カセットである。2111は1回転することにより前記給紙カセット2110から転写材Pを給紙し、搬送路に送り出すカセット給紙ローラである。2112はカセット2110から給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラである。
2113は給紙された転写材Pの先端と後端を検出するためのプレフィードセンサである。2114は搬送された転写材Pを感光体ドラム2101へ送り込む転写前ローラである。2115は給紙された転写材Pに対し、感光体ドラム2101への画像書き込み(記録/印字)と転写材搬送の同期を取るとともに、給紙された転写材Pの搬送方向の長さを測定するためのトップセンサである。2116は定着後の転写材Pの有無を検出するための排紙センサである。2117は定着後の転写材Pを排紙トレイ2118へ搬送するための排出ローラである。2119は排出ローラ2117から搬送された転写材Pを排紙トレイ2118へ排出するための排紙ローラである。
(2)制御系の回路構成
このような機構部を制御する制御系の回路構成のブロック図を図13に示す。図13において、2200はプリンタ本体である。2201は不図示のホストコンピュータ等の外部機器から送られる画像コードデータをプリンタの印字に必要なビットデータに展開するとともに、プリンタ内部情報を読み取りそれを表示するためのプリンタコントローラである。
2202はプリンタエンジンの各部をプリンタコントローラ2201の指示にしたがってプリント動作制御するとともに、プリンタコントローラ2201へプリンタ内部情報を報知するためのプリンタエンジン制御部である。
2203は帯電、現像、転写等各工程における各高圧出力制御をプリンタエンジン制御部2202の指示にしたがっておこなう高圧制御部である。
2204はスキャナモータ2104の駆動/停止、レーザビームの点灯をエンジン制御部2202の指示にしたがって制御する光学系制御部である。
2205は定着器2109の加熱用ヒータ(定着ヒータ)への通電の駆動/停止をプリンタエンジン制御部2202の指示にしたがって行う定着器制御部である。
2206はプレフィードセンサ2113、トップセンサ2115排紙センサ2116の紙有無状態とをエンジン制御部2202へ報知するセンサ入力部である。2207はプリンタエンジン制御部2202の指示にしたがい、転写材搬送のためにモータ/ローラ等の駆動/停止を行う用紙搬送制御部である。これは、図12の給紙ローラ2111、搬送ローラ2112、転写前ローラ2114、定着器2109のローラ、排紙ローラ2119の駆動/停止の制御をつかさどる。
(3)定着器109
図14に本実施形態における定着器2109の概略断面模型図を示す。本実施形態の定着装置は加熱用回転体としてエンドレスベルト状(円筒状)の耐熱性フィルムを用いた、加圧用回転体駆動方式のフィルム加熱方式の像加熱装置である。
2301は加熱用回転体としての、厚みが20〜150μmの薄肉の可撓性のエンドレスベルト状(円筒状)の定着フィルムであり、表層には離型層を形成してある。このエンドレスベルト状の定着フィルム2301は横断面半円弧状樋型のフィルムガイド部材(スティ)2302に対して周長に余裕を持たせた形でルーズに外嵌している。フィルム2301は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させている。
2303は加圧用回転体としての加圧ローラであり、鉄、アルミ等の芯金の上にシリコーンゴム層(弾性層)の上に離型層としてPFAチューブ層を有する。
2304は加熱用ヒータ(以下、ヒータと記す)であり、フィルムガイド部材2302の下面側中央部に長手に沿って配設して固定支持させてある。加圧ローラ2303はフィルム2301を介してヒータ2304と加圧ローラ2303の弾性に抗して圧接して所定幅の定着ニップ部Nを形成している。
フィルム2301は加圧ローラ2303の回転駆動により定着ニップ部Nにおいて摩擦力で回転トルクを受け、少なくとも画像定着実行時は矢示の時計方向に定着ニップ部Nにおいてヒータ2304面に密着して該ヒータ面を摺動する。そしてフィルム2301は、所定の周速度(前記の画像形成部(転写部)側から搬送されてくる未定着トナー画像を担持した転写材Pの搬送速度)と略同一周速度でシワなく回転駆動される。
加熱用ヒータ2304は例えばセラミックヒータであり、電力供給により発熱する発熱源としての通電発熱体(抵抗発熱体)を含み、該通電発熱体の発熱により昇温する。
通電発熱体に対する電力供給により加熱用ヒータ2304が加熱され、また加圧ローラ2303の回転によってフィルム2301が回転駆動されている。この状態において、定着ニップ部Nのフィルム2301と加圧ローラ2303との間に未定着トナー画像tを担持している転写材Pが導入されて挟持搬送される。これにより、該転写材Pがフィルム2301に密着してフィルムと一緒の重なり状態で定着ニップ部Nを通過していく。
この転写材Pの定着ニップ部通過過程でヒータ2304からフィルム2301を介して転写材Pに熱エネルギーが付与される。そして転写材P上の未定着トナー画像tが加熱溶融定着される。転写材Pは定着ニップ部通過後フィルム2301から分離して排出される。
図15(a)から15(c)において図15(a)はヒータ2304としてとしてのセラミックヒータの一例の表面側(フィルム摺動面側)の一部切り欠き平面模型図と給電系のブロッック回路図である。図15(b)は裏面側(フィルム摺動面側とは反対面側)の一部切り欠き平面模型、図15(c)は拡大横断面模型図である。
このヒータ2304は
(1).用紙搬送方向と直交する方向を長手とする横長の、アルミナまたは窒化アルミニウム、炭化ケイ素等の高絶縁性のセラミックス基板2304a(例えば、厚み0.64mm程度)、
(2).上記基板2304aの表面側に長手に沿って厚膜印刷等により、例えば、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成した、所望の抵抗値を有する、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱体(発熱体パターン)2306、
(3).上記通電発熱体2306の長手方向両端部に電気的に導通させて設けた、Ag/Pt(銀・白金)で形成された電極部2306a・2306a、
(4).通電発熱体2306の表面に設けた、電気的に絶縁し、フィルム2301との摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコート等の絶縁保護摺動層2307、
(5).基板2304aの裏面側に接着固定して設けたヒータ温度をモニタするサーミスタ等の温度検知素子2308、
等からなる。
そして、このヒータ2304を、フィルムガイド部材2302の外面の所定の位置に長手方向に予め設けた嵌合溝内にヒータ表面側を外側にして嵌め入れて固定支持させている。
上記ヒータ2304の電極部2306a・2306aは給電コネクタ(不図示)を介して給電部と接続されており、給電部から通電発熱体2306に電力供給がなされてヒータ2304が迅速に昇温する。温度検知素子2308はヒータ2304の温度を検知してその温度情報を給電部にフィードバックする。
すなわち、温度検知素子であるサーミスタ2308がモニタした結果は定着器制御回路部2205へ入力される。定着器制御回路部2205はヒータ温度(定着ニップ部温度)を所定温度に維持するためにドライバ2401を制御してAC電源2402からヒータ2304の通電発熱体2306への通電量を制御する。
ヒータ2304の通電発熱体2306への通電量(供給電力)はPI(比例・積分)制御に基づき、位相制御・波数制御等の周知の手段によりきめ細かく電力供給が行われる。PI制御は下記のような式に応じて供給電力量Wを決定する。
W=A*(I0−I)+X
(単位は%でフル通電の時の電力量を100%とする)
ここで、Aは常数(例えば5)、I0は目標電流、Iは電流検知回路2403が検出する検知電流で、この部分がP制御に相当する。Xは一定時間(例えば500msec)ごとに電流をモニタした結果が目標電流に対し低ければ5%供給電力を増加、逆に高ければ5%供給電力を減少させる。これがI制御に相当する。
この結果得られたWはPI制御によって得られた通電発熱体2306への供給電力となる。
図16は本実施形態の通電発熱体2306に供給する印字枚数毎の電力テーブルである。縦軸の目標供給電力はヒータ2304の通電発熱体2306に流れる電流値から換算した電力である。
本実施形態では連続プリント枚数に応じて通電発熱体2306への供給電力を低下させていくアルゴリズムを採用している。これは加圧ローラ温度が連続プリント時に上昇することにより十分な定着性を得るために必要な供給電力が低くて済むためである。
また間欠プリント時には間欠プリントの2枚目は連続プリント時の11枚目に相当するというような間欠時にカウントする枚数を連続時に対して一定量増加させるという制御方法を採用する。また間欠プリント・連続プリントの判断はプリント間隔を測定することにより行われる。本実施形態では間欠プリント時の増加枚数は10枚としている。
さらに最初のプリント時にはプリント開始時にヒータ温度をモニタしその温度に応じてスタート時の枚数を決定する。
例えば、1枚目のプリント時のヒータ温度が85℃以下の時は1枚目の設定温度からスタートし、1枚目のプリント時のヒータ温度が85℃よりも高い時には21枚目の設定温度からスタートする。その後は連続プリント時には22枚、23枚といように枚数カウントを増加させていく。
図16中、2501、2502、2503の3本のラインは、2501が厚紙用、2502が普通紙用、2503が薄紙用と設定される。そして、図示しないコントロールパネルからユーザが選択することによって温調モードに電力をコントロールするかが選択される。これによって転写材Pの厚さの違いによって発生するヒータ2304への供給電力の最適化が図れる。
一方、転写材Pの表面性毎の違いによって発生するヒータ2304への供給電力は表面性の粗さによって最適化する必要がある。これは転写材Pの表面粗さが大きいと定着フィルム2301と転写材Pの接触面積が小さくなり転写材Pへ熱が伝わりにくいためである。
したがって、表面性が粗い転写材Pほどヒータ2304への供給電力を増やす必要がある。
また、表面性が粗い転写材Pの場合、定着フィルム2301と転写材Pの接触面積が小さくなり転写材Pへ熱が伝わりにくくなる。このため、ヒータ裏面に設置しているサーミスタ2308の検出温度が高くなる傾向があり、図17のような傾向を示すことがわかっている。
図17は普通紙の場合の傾向を示した温度と電力(ヒータ2304の通電発熱体2306に流れる電流値から換算した電力)とのテーブルである。2601は例えば平滑性のよいPPC用紙(表面粗さRa:3.1μm、坪量75g/m2)の場合の温度範囲である。2602はボンド紙と呼ばれる表面粗さの粗い用紙(表面粗さRa:4.0μm、坪量75g/m2)の場合の温度範囲である。2603はレイド紙と呼ばれる表面粗さのさらに粗い用紙(表面粗さRa:4.5μm、坪量75g/m2)の場合の温度範囲である。
したがって、本実施形態ではサーミスタ2308が検出する温度を図17に示す紙(転写材)の表面粗さのテーブルに当てはめて、紙の表面性に応じて図16から求められるヒータ2304への目標供給電力に補正を行う。
即ち、加熱用ヒータ2304に流れる電流をモニタする電流検出手段2403を具備させ、該電流検出手段2403でモニタされる電流値を制御手段である定着器制御部2205にフィードバックさせる。定着器制御部2205は、加熱用ヒータ2304に流れる電流を予め設定された目標電流値(=目標供給電力値)になるように加熱ヒータ2304への通電をコントロールする。この際、定着器制御部2205は、用紙Pが定着ニップ部Nを通過する際に温度検出手段2308が検出した検出温度が予め設定された温度範囲を逸脱した場合に、予め設定されている目標電流値を補正する。
補正方法を図18のフローチャートをもとに説明する。図18において、ステップS2701にてプリント命令を受信する。その後、S2702にてサーミスタ2308の検出する初期温度と図示しないコントロールパネルで設定された定着モードから起動完了と判断するためのサーミスタ温度の設定と、プリント開始1枚目がニップ通紙時の目標電力の設定を行う。S2703にて定着器2109の起動を開始する。このときのヒータ2304への目標供給電力は一定値で行う。
その後サーミスタ2308の検出温度がS2702にて設定した温度を検出するかどうかをS2704にて確認し、設定温度以上になる時に転写材Pが定着器109に突入するよう転写材Pの搬送を行う。
転写材Pが定着ニップ部Nに突入する前にS2702にて設定した1枚目のヒータ2304への目標供給電力になるようにPI制御を行う。
S2706にて転写材Pが定着ニップ部突入を開始した後、所定時間後にサーミスタ2308の温度を検出する。S2708では後続紙があるかどうかを確認し、後続紙がある場合はS2709で目標電力の補正が必要かどうか確認する。目標電力の補正はS2707にて検出したサーミスタ温度と現在の目標供給電力とから図17のテーブルに応じて決める。
転写材Pの表面粗さをボンド紙程度としているので、例えば、目標電力を700wとしている場合にサーミスタ検出温度が190℃以下の場合は、投入電力が多いと判断し目標電力を下げる。また、サーミスタ検出温度が215℃以上の時は投入電力が足りないと判断し逆に目標電力を上げる。この目標電力の補正はS2705にて行い後続紙に対しての電力を補正する。
また、S2708で後続紙がない場合はS2710にて定着器制御を終了してS2701の処理から再度行う。
また図17の温度テーブルは普通紙用、厚紙用、薄紙用とそれぞれ用意していると共に、電力補正によっても可変とすることは言うまでもない。
このように、本実施形態ではヒータ2304に与える供給電力を一定にする。その上で転写材Pが定着ニップ部Nを通過している時のサーミスタ2308が検出する温度から転写材Pの表面性を自動検出する。これにより、供給電力を補正することで紙種毎に最適な定着性含めた印字品質を提供することができる。
すなわち、ヒータ2304に電力を供給する電力供給手段2205・2402・2401と、ヒータ表面の温度を検出する温度検出手段2308と、ヒータに流れる電流を検出するヒータ電流検出手段2403とを有し、通紙中にヒータに流れる電流が一定となるようにヒータに供給する電力をコントロールする像加熱装置において、通紙中のヒータ表面温度が予め決められた所定範囲内になるようにヒータに流れる電流の設定値を可変にする構成により、被記録材の紙種(紙厚や表面性)、特に被記録材の表面性によらず最適な像加熱条件(定着条件)を自動的に設定可能と共に不要な電力カットで省エネを実現する。
<実施形態2−2>
実施形態2−1では、ヒータ2304へ供給する電力を一定にして転写材Pを定着させた時のサーミスタ温度から転写材Pの表面性を検出した。そして、転写材Pの表面性によらず転写材Pに与える熱量が一定になるようにヒータ2304への供給電力をコントロールした。
本実施形態では、ヒータ2304の表面温度が一定になるように温度をコントロールし、その時ヒータ2304に流れる電流値から転写材Pの表面性を検出する。そして、転写材Pの表面性によらず転写材Pに与える熱量が一定になるようにヒータ2304の温度をコントロールする。
本実施形態では実施形態2−1にて適用したプリンタと同様の構成であり、プリンタの機構は図12、プリンタの制御ブロック図を図13、定着器概略断面模型図を図14に記載する。また、定着器制御ブロック図を図15(a)から15(c)、ヒータ2304の通電発熱体2306に供給する印字枚数毎の電力テーブルを図16、普通紙の場合の温度と電力とのテーブルを図17に記載する。詳細な説明は実施形態2−1と同様なのでここでの説明は省略する。
本実施形態でのPI制御は下記のような式に応じて供給電力量Wを決定する。
W=A*(T0−T)+X
(単位は%でフル通電の時の電力量を100%とする)
ここで、Aは常数(例えば5)、T0は目標温度、Tはサーミスタが検出する検知温度で、この部分がP制御に相当する。Xは一定時間(例えば500msec)ごとに温度をモニタした結果が目標温度に対し低ければ5%供給電力を増加し、逆に高ければ5%供給電力を減少させる。これがI制御に相当する。
図19において、ステップS2801にてプリント命令を受信する。その後、S2802にてサーミスタ2308の検出する初期温度と図示しないコントロールパネルで設定された定着モードから起動完了と判断するためのサーミスタ温度の設定とプリント開始1枚目がニップ通紙時の目標温度の設定を行う。S2803にて定着器の起動を開始する。このときのヒータ2304は一定の傾きでヒータ温度を立ち上げる。このときの供給電力はPI制御によって決定する。その後サーミスタ2308の検出温度がS2802にて設定した温度を検出するかどうかをS2804にて確認する。そして、設定温度以上になる時に転写材Pが定着器2109に突入するよう転写材Pの搬送を行う。転写材Pが定着ニップ部Nに突入する前にS2802にて設定した1枚目のヒータ2304の温度が目標温度になるようにPI制御を行う。
S2806にて転写材Pが定着ニップ部Nに突入を開始した後、所定時間後にヒータ2304に流れる電流値を検出する。S2808では後続紙があるかどうかを確認し、後続紙がある場合はS2809で目標温度の補正が必要かどうか確認する。目標温度の補正はS2807にて検出した電流値と現在の目標温度とから図17のテーブルに応じて決める。転写材Pの表面粗さをボンド紙程度としているので、例えば、目標温度を210℃としている場合に電流値から換算した供給電力が800w以上の場合は、投入電力が多いと判断し目標温度を下げる。また、電流値から換算した供給電力が650w以下の場合は投入電力が足りないと判断し逆に目標温度を上げる。この目標温度の補正はS2805にて行い後続紙に対しての電力を補正する。
また、S2808で後続紙がない場合はS2810にて定着器制御を終了してS2801の処理から再度行う。
また図17の温度テーブルは普通紙用、厚紙用、薄紙用とそれぞれ用意していると共に、電力補正によっても可変とすることは言うまでもない。
このように、本実施形態ではヒータ表面温度を一定にして転写材Pが通過している時のヒータ2304に流れる電流値から転写材Pの表面性を自動検出して目標温度を補正する。これにより、紙種毎に最適な定着性含めた印字品質を提供することができる。
<実施形態2−1、2−2の他の実施形態>
本発明の実施形態2−1、2−2の他の実施形態を以下に列挙する。
(その他)
1)本発明に係る像加熱装置は、被記録材上の未定着トナー画像を加熱して仮定着する装置、画像を担持した被記録材を加熱してつや等の画像表面性を改質する装等としても使用できる。
2)実施形態では加熱用ヒータ2304として図15(a)から15(c)に示したような構造のセラミックヒータを用いている。しかし、これとは異なる構造のセラミックヒータであっても勿論よい。また、ニクロム線等を用いた接触加熱体等や、鉄板片等の電磁誘導発熱性部材等でも何ら問題はない。電磁誘導発熱性部材を加熱用ヒータとした場合は加熱用ヒータに流れる電流は該ヒータの励磁コイルに流れる電流となる。
3)実施形態では加熱用ヒータの温度検出手段として接触型のサーミスタを用いている。しかし、ふく射等で感知する非接触型の温度検出手段等でも何ら問題は無く、配設位置に関しても実施形態とは異なる他の場所に付けても温度制御は可能である。
4)エンドレスフィルムからなる加熱用回転体は実施形態では加圧ローラ駆動による従動回転としている。しかし、フィルムの内部に駆動ローラを設け、駆動ローラを回転駆動することによりフィルムを回転させるなど、任意の回転手段にすることが出来る。
フィルムはロール巻きにした長尺の有端フィルムにしてこれを加熱用ヒータを経由させて繰り出し走行移動させる装置構成にすることもできる。
またフィルムは耐熱性樹脂フィルムに限られず、金属製フィルムや、複合フィルムにすることもできる。
5)加圧部材はローラ体に限られず、回動するエンドレスベルト体にすることもできる。
<実施形態3−1>
次に、本発明の実施形態1−1、1−2、2−1、2−2で使用可能な電流検出回路を説明する。
図20は本発明の実施形態3−1を示す。これは、加熱定着装置(以下「定着器」という。)を有するレーザビームプリンタの例であり、この構造を図21に示す。
図21を説明する。図21において、3101は静電担持体である感光体ドラム、3102は光源としての半導体レーザ、3103はスキャナモータ3104にて回転する回転多面鏡、3105は半導体レーザ3102から出射され、感光体ドラム3101上を走査するレーザビームである。3106は感光体ドラム3101上を一様に帯電するための帯電ローラ、3107は感光体ドラム3101上に形成された静電潜像をトナーにて現像するための現像器である。3108は現像器3107にて現像されたトナー像を所定の記録用紙に転写するための転写ローラ、3109は記録用紙に転写されたトナーを熱にて融着するための定着器である。
3110は記録用紙のサイズを識別する機能を有し、用紙を格納する給紙カセット、3111は1回転することにより、前記給紙カセット3110から用紙を給紙し、搬送路に送り出すカセット給紙ローラ、3112はカセットから給紙された記録用紙を搬送する搬送ローラである。3113は給紙された用紙の先端と後端を検出するためのプレフィードセンサ、3114は搬送された用紙を感光体ドラム3101へ送り込む転写前ローラである。3115は給紙された用紙に対し、感光体ドラム3101への画像書き込み(記録/印字)と用紙搬送の同期をとるとともに、給紙された用紙の搬送方向の長さを測定するためのトップセンサである。3116は定着後の用紙の有無を検出するための排紙センサ、3117は定着後の用紙を排紙トレイ3118へ搬送するための排出ローラ、3119は排出ローラから搬送された用紙を排紙トレイ3118へ排出するための排紙ローラである。
図22は図21の定着器3109の構造を示す。図22において、3301は加熱用回転体としての、厚みが20〜150μmの薄肉の可撓性のエンドレスベルト状の定着フィルムであり、表層には離型層を形成してある。このエンドレスベルト状の定着フィルム3301は半円弧状のフィルムガイド部材(ステイ)3302に対して周長に余裕を持たせた形で外嵌してある。フィルム3301を採用したことにより、熱容量が小さくなりクイックスタート性が向上する。
3303は加圧用回転体としての加圧ローラであり、鉄、アルミ等の芯金の上にシリコーンゴム層の上に離型層としてPFAチューブ層を有する。フィルム3301は加圧ローラ3303の回転駆動により、少なくとも画像定着実行時は矢示の時計方向に加熱体(加熱用ヒータ)3304面に密着して該加熱体面を摺動する。そして、フィルム3301は所定の周速度(不図示の画像形成部側から搬送されてくる未定着トナー画像を担持した転写材3305の搬送速度)と略同一周速度でシワなく回転駆動される。加熱体3304は例えばセラミックヒータであり、電力供給により発熱する発熱源としての通電発熱体(抵抗発熱体)3306を含み、通電発熱体3306の発熱により昇温する。通電発熱体3306に対する電力供給により加熱体3304が加熱され、またフィルム3301が回転駆動されている。この状態において、加圧ローラ3303の弾性層の変形によって生じる弾性力により加熱体3304との間に形成された圧接ニップ部N(定着ニップ部)に転写材3305が導入される。これにより、転写材3305がフィルム3301に密着してフィルムと一緒の重なり状態で定着ニップ部Nを通過していく。
転写材3305の定着ニップ部通過過程で加熱体3304からフィルム3301を介して転写材3305に熱エネルギーが付与される。そして転写材3305上の未定着トナー画像が加熱溶融定着され、転写材3305は定着ニップ部通過後、フィルム3301から分離して排出される。加熱用ヒータである加熱体3304は基板にアルミナ(Al2O3)または窒化アルミニウム(AlN)を用いる。そして、その基板上に銀・パラジウムからなる抵抗体を厚膜印刷し所望の抵抗値を有する発熱体パターン3306を形成する。さらに発熱体上に保護層・定着フィルムとの摺動層としてのガラス層3307を形成する。発熱体形成面の裏側に接着固定した温度検出素子であるサーミスタ3308は、ヒータ温度をモニタする。
図20を説明する。図20において、3304,3306,3308は図22と同一部分を示す。3201は不図示のホストコンピュータ等の外部機器から送られる画像コードデータをプリンタの印字に必要なビットデータに展開するとともに、プリンタ内部情報を読み取りそれを表示するためのプリンタコントローラである。3202はプリンタエンジンの各部をプリンタコントローラ3201の指示に従ってプリント動作制御するとともに、プリンタコントローラ3201へプリンタ内部情報を報知するためのプリンタエンジン制御部である。3203は帯電、現像、転写等各工程における各高圧出力制御をプリンタエンジン制御部3202の指示に従っておこなう高圧制御部である。3204はスキャナモータ3104の駆動/停止、レーザビームの点灯をエンジン制御部3202の指示に従って制御する光学系制御部である。3205は定着ヒータへの通電の駆動/停止をプリンタエンジン制御部3202の指示に従って行う定着器制御部である。3206はプレフィードセンサ3113、トップセンサ3115、排紙センサ3116の紙有無状態とをエンジン制御部3202へ報知するセンサ入力部である。3207はプリンタエンジン制御部3202の指示に従い、記録用紙搬送のためにモータ/ローラ等の駆動/停止を行う用紙搬送制御部である。これは、図21の給紙ローラ3111、搬送ローラ3112、転写前ローラ3114、定着器3109のローラ、排紙ローラ3119の駆動/停止の制御をつかさどる。
温度検出素子であるサーミスタ3308がモニタした結果は定着器温調制御部3205へ入力される。そして定着器温調制御部3205はヒータ温度(定着ニップ部温度)を所定温度に維持するためにドライバ3401を制御してAC電源3402から加熱体3304の発熱体3306への通電量を制御する。311は電流検出回路であり、発熱体3306への通電量を検出する。
上記通電量を制御する方法としては、幾つかあるが、ここでは位相制御方式を使用したときの電流検出方式、特に全波で入力されたときについて説明する。
図23は電流検出回路311の構成を示す。図23において、3505はカレントトランスであり、P側に入力電流が流れた時、S側に、巻線の巻数に比例した電圧を発生させる。3501は半波整流回路部であって、ダイオードD1、D2、抵抗R1、R2を有し、カレントトランス3505に発生した電圧を半波整流する。3502は積分回路部であって、オペアンプOP1、コンデンサC、抵抗R3、R4、R5、FET3506を有し、半波整流回路部3501の出力を積分する。3503は差動増幅回路部であって、オペアンプOP2、抵抗R6、R7、R8、R9、ダイオードD3を有し、積分回路部3502の出力と、半波整流回路部3501の出力との差電圧を出力する。3504はピークホールド回路部であって、コンデンサ3507、FET3508を有し、差動増幅回路部3503の最大値をホールドする。
3509はゼロクロス検出回路であり、入力電源電圧が所定の閾値以下になったことを検出してパルス信号(以下「ゼロクロス信号」という。)として検出する。3510はリセット信号出力回路であり、ゼロクロス検出回路3509からゼロクロス信号が出力されてから所定時間経過後にパルス信号(以下「リセット信号」という。)をFET3506、3508に出力する。
図23の電流検出回路311の動作波形の一例を図24(a)から24(g)に示す。入力電流(図24(a)参照)が半波整流回路部3501内のカレントトランス3505のP側に流れると、S側に、巻線の巻数に比例した電圧が発生する。この電圧を半波整流回路部3501で整流した出力値は、図24(d)に示すような波形となる。この波形が積分回路部3502に入力されると、出力値は図24(e)に示すような波形となる。ここで積分回路部3502のコンデンサCの放電を積極的に行う必要があり、FET3506を接続してある。
そして、FET3506をONする信号が、リセット信号出力回路3510よりゼロクロス信号(図24(b)参照)から所定時間後に出力される。この遅延時間については、ピークホールド回路部3504からの出力値をゼロクロス信号の立ち上がりエッジαでエンジン制御部3202内のCPUが検出を行う。このため、ゼロクロス信号の立ち上がりエッジから数ms(例えば2ms)後に、一定時間、論理ハイレベル(以下「H」という。)となるようになっている。そして、リセット信号(図24(c)参照)がH期間の間に、コンデンサCの放電が行われ、積分回路部3502の出力値は図24(f)に示すような波形となる。積分回路部3502は非反転器で構成しているため、図24(f)に示す波形の出力値は入力電圧Vin+積分値となる。このため、差動増幅回路部3503にて図24(f)の波形から入力電圧Vin(図24(d)参照)を減算している。
差動増幅回路部3503の出力値を正確に検出するために、ピークホールド回路部3504のコンデンサ3507で最大値のホールドを行う。ここで、検出の応答速度を速くするため、コンデンサ3507の放電を積極的に行う必要があり、FET3508を接続してある。FET3508も、FET3506と同様にリセット信号がH期間の間に、コンデンサCの放電が行われ、ピークホールド回路部3504の出力値は図24(g)に示すような波形となる。そして、ピークホールド回路部3504の出力値(図24(g)参照)の最大値が入力電流の出力として検出される。
本実施の形態では、ピークホールド回路部3504の出力値を、ゼロクロス信号の立ち上がりエッジαで、エンジン制御部3202内のCPUが検出を行う例を説明した。しかし、ゼロクロス信号の立ち上がりエッジαで、この出力値を、直接、OPアンプなどの制御素子で検出を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では、リセット信号3603は出力回路により出力するようにしたが、この出力回路に代えて、エンジン制御部3202内のCPUにより、リセット信号を出力するようにしてもよい。
<実施形態3−2>
次に、本発明の実施形態1−1、1−2、2−1、2−2で使用可能な電流検出回路の他の実施形態を説明する。
本実施の形態は実施形態3−1との比較でいえば、電流検出回路の構成が異なる。すなわち、実施形態3−1では、電流検出回路311を図23に示すように構成したが、本実施の形態では、電流検出回路361を図25に示すように構成した。
図25の電流検出回路361は、図23のゼロクロス検出回路3509及びリセット信号出力回路に代えて、ゼロクロス検出回路3709、時定数回路部3701、時定数回路部3702を採用した。ゼロクロス検出回路3709は、入力電源電圧が所定の閾値以下になった時これに応答してゼロクロス信号を、抵抗とコンデンサで構成した時定数回路部3701を介して、FET3506に供給する。また、抵抗とコンデンサで構成した時定数回路部3702を介して、FET3508に供給する。
図26(a)から26(f)は図25の電流検出回路361の動作波形の一例を示す。入力電流(図26(a)参照)が半波整流回路部3501内のカレントトランス3505のP側に流れると、S側に、巻線の巻数に比例した電圧が発生する。この電圧を半波整流回路部3501で整流した出力値は、図26(c)に示すような波形となる。この波形が積分回路部3502に入力されると、出力値は図26(d)に示すような波形となる。ここで積分回路部3502のコンデンサCの放電を積極的に行う必要があり、FET3506を接続してある。そして、FET3506をON/OFFする信号として、ゼロクロス回路部3709からのゼロクロス信号をFET3506のゲート部に接続する。ゼロクロス信号がHでFET3506がONし、コンデンサCを放電する。ここで、エンジン制御部3202内のCPUが電流検出するタイミングをゼロクロス信号の立ち上がりエッジαで行う。このため、ゼロクロス信号がHとなる時にFET3506がONになるまで所定時間遅延させる必要がある。そこで、Hのゼロクロス信号を、抵抗とコンデンサで構成する時定数回路部3701を介して、FET3506のゲートに供給している。上記のように、コンデンサCの放電を行った時の積分回路部3502の出力波形は、図26(e)に示すようになる。
積分回路3502は非反転器で構成しているため、出力値(図26(e)参照)は入力電圧Vin+積分値となる。このため、差動増幅回路部3503にて、図26(e)の波形から入力電圧Vin(図26(c)参照)を減算している。
差動増幅回路部3503の出力値を正確に検出するために、ピークホールド回路部3504のコンデンサ3507で最大値のホールドを行う。ここで、検出の応答速度を速くするため、コンデンサ3507の放電を積極的に行う必要があり、FET3508を接続している。FET3508が、FET3506と同様に、ゼロクロス信号のH期間の間に、コンデンサCの放電が行われ、ピークホールド回路部3504の出力値は、図26(f)に示すような波形となる。そして、ピークホールド回路部3504の出力値(図26(f)参照)の最大値が入力電流の出力となる。
本実施の形態では、ピークホールド回路部3504の出力値を、ゼロクロス信号の立ち上がりエッジαで、エンジン制御部3202内のCPUが検出を行うようにした。しかし、この出力値を直接OPアンプなどの制御素子を用いて行うことも可能である。
<実施形態3−1、3−2の概略説明>
本発明の実施形態3−1、3−2の概略説明を以下に列挙する。
〔説明3−1〕 加熱定着装置を有する画像形成装置において、前記加熱定着装置への入力電流を電圧に変換する電流電圧変換手段と、該電流電圧変換手段により得られた電圧を半波整流する半波整流手段と、該半波整流手段による半波整流により得られた半波整流出力を積分する積分手段と、該積分手段による積分結果と前記半波整流出力との差を増幅する差動増幅手段と、前記差動増幅手段からの最大出力を前記入力電流の最大値として保持する最大値保持手段と、前記加熱定着装置への入力電源電圧が所定の閾値以下になった時これに応答してパルス信号を出力する第1パルス信号出力手段と、該第1パルス信号出力手段からのパルス信号に応答して、前記積分手段を構成するコンデンサと前記最大値保持手段を構成するコンデンサをそれぞれ放電させる放電手段とを備えたことを特徴とする。
〔説明3−2〕 説明3−1において、前記最大値保持手段は、前記第1パルス信号出力手段からのパルス信号の立ち上がりに応答して、保持している最大値を出力することを特徴とする。
〔説明3−3〕 説明3−1において、前記第1パルス信号出力手段を、前記加熱定着装置への入力電源電圧が所定の閾値以下になってから所定時間経過した時これに応答してパルス信号を出力する第2パルス信号出力手段と置換することを特徴とする。
〔説明3−4〕 説明3−3において、前記最大値保持手段は、前記第2パルス信号出力手段からのパルス信号の立ち上がりに応答して、保持されている最大値を出力することを特徴とする。
〔説明3−5〕 説明3−3において、前記放電手段は、前記第2パルス信号出力手段からのパルス信号に応答して、前記積分手段を構成するコンデンサと前記最大値保持手段を構成するコンデンサをそれぞれ放電させることを特徴とする。