JP2005200617A - 防曇性物品の製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材上に界面活性剤含有のウレタン樹脂の防曇性被膜が硬化してなる防曇性物品の硬化不良を少なくし、且つ、被膜を形成するための塗布液の管理を行いすくする方法を提供する。
【解決手段】硬化した被膜が形成された防曇性物品を得る方法において、NCO基を有する化学種と活性水素基を有する界面活性剤及びポリオールとを混合して得られる塗布液を、基材に塗布することで、被膜が吸水性を呈し、且つ被膜が吸水していない状態で水滴の接触角が40°以下の防曇性物品を得る方法であり、NCO基数/活性水素基数を0.8以上1.2以下とし、硬化した被膜に水を接触させることで、被膜から未反応の活性水素基を有する界面活性剤を被膜から除去すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材にウレタン樹脂による防曇性被膜が形成された防曇性物品の製法に関する。
防曇性と耐磨耗性の両立のため、界面活性剤の親水性とウレタン樹脂の弾性による耐磨耗性を利用した防曇性被膜が検討されている。例えば、特許文献1では、NCO基を有する化学種と、親水性ポリオール及びNCO基と反応する官能基を有する界面活性剤とを反応させて得られるウレタン樹脂による防曇性被膜が開示されている。
防曇性物品は、塗布液を基材に塗布し、その後加熱によって、基材上に硬化した被膜を形成することにより得られる。該防曇性物品を工業生産にするにあたり、硬化が不十分な被膜をできる限り少なくしなければならない。硬化が不十分な被膜は、硬度、耐磨耗性、防曇特性等が不十分となりやすく品質の劣化を導きやすくなる。又、硬化した被膜から界面活性剤の流出が発生することも予想される。
従って、被膜の硬化を制御するためには、塗布液を調製する際に、NCO基数と水酸基等の活性水素基の数を調整することが、防曇性物品の生産性向上のために重要である。特許文献2では、ポリウレタンコーティング組成物において、NCO基/水酸基の当量比を、0.2〜5.0とすることが開示されている。又、特許文献3では、特に好ましいに範囲として、0.9〜1.3を開示している。
しかしながら、これらは、防曇性物品の生産性向上のために適切な比を検討したものでなく、基材に塗布後の適切な加熱温度、加熱時間等についての示唆もなされていない。基材によっては、加熱できる温度に限界があり、生産性向上のためには、適切な比を設定する必要がある。又、被膜からの界面活性剤の流出を防ぐためには、塗布液を均質なものとすることや、十分な硬化時間を確保する等の対策が挙げられるが、これらの対策は、コスト高の原因となる。
特表2000−515572号公報 特開平10−306256号公報 特開平11−279484号公報
基材上に界面活性剤含有のウレタン樹脂の防曇性被膜が硬化してなる防曇性物品の硬化不良を少なくし、且つ、被膜を形成するための塗布液の管理を行い易くする方法を提供し、又、低温、短時間の硬化処理であっても、保護フィルムを粘着、剥離後も防曇性能を低下させない防曇性物品を得ることを課題とする。
本発明の防曇性物品の製法は、NCO基を有する化学種、活性水素基を有する界面活性剤及びポリオール(これら3種の化学種を合せて以後「防曇性ウレタン成分」とする)とを混合して得られる塗布液を、基材に塗布して防曇性物品を得る方法であって、NCO基数/活性水素基数を0.8以上1.2以下、好ましくは、0.9以上1.15以下とし、塗布液を基材に塗布後に、硬化した被膜を形成し、硬化した被膜に水を接触させることで未反応の活性水素基を有する界面活性剤を被膜から除去することを特徴とすることを特徴とする。ここで活性水素基とは、水酸基、アミノ基、メルカプト基等のNCO基と反応し、該基で結合を生じせしめる基のことである。そして、塗布液を基材に塗布後には、80℃〜140℃で加熱することが好ましい。
NCO基数/活性水素基数を0.8以上1.2未満とすることで、ウレタン固有の弾性が生じやすくなり、被膜の耐磨耗性が向上し、防曇性物品の長期使用に奏する。しかしながら、防曇性物品を得るために塗布液には、活性水素基を有する界面活性剤を導入している。該界面活性剤は、ウレタン樹脂が形成された際には、側鎖又は末端となるので、樹脂架橋を形成しないので、過剰量の含有では、被膜の強度は低くなり、少量の含有では、十分な防曇性が発現しない。従って、防曇性物品を製造するにあたっては、適切な界面活性剤量を設定する必要があるが、防曇性物品の量産時には、適正量よりも過剰量で加えられる等の原因により、未反応の活性水素基を有する界面活性剤が残存した不良がしばしば発生する。この不良は、被膜からの界面活性剤の経時的な流出を生じさせ、被膜が白濁する等の外観不良の発生や防曇性が徐々に低下する等の原因となる。
上記問題を解消するために、本発明では、塗布液を基材に塗布後に、硬化して形成された被膜に水を接触させることが有効であることを見出した。硬化後、被膜に水を接触させることにより、未反応の活性水素基を有する界面活性剤は被膜から除去される。かくして、均質な被膜を、短い生産時間で得られるようになり、防曇性物品が生産性の向上に奏功する。
そして、上記温度で加熱する際の保持時間を20分〜60分とすることが好ましい。20分未満では、被膜の硬化が不十分となる傾向があり、60分超では生産時間が長くなりすぎるからである。
又、被膜の硬化が短時間でなされ、且つ防曇性物品を低い温度で製造することができるので、被膜側に保護フィルムを、製造された防曇性物品にすぐに貼付することが可能となり、生産性が向上するので好ましい。該保護フィルムは、静電貼付品、又は、粘着剤を有するフィルムを使用でき、粘着剤を有するフィルムが好ましく、特に粘着剤を有するフィルムで、その粘着剤の粘着力が1N/20mm以下のものが好ましい。
本発明の防曇性物品の製法によると、未反応の界面活性剤が被膜から除去されるので、塗布液中の界面活性剤量に関し、厳密な管理を必要としないので、塗布液の管理を行い易くなる。又、NCO基数と活性水素基数との比を化学量論組成近くで設定しても、被膜の硬化不良が生じにくいので、被膜はウレタン固有の弾性が生じやすくなり、耐磨耗性に優れる防曇性物品の生産性の向上に奏功する。さらには、硬化のための加熱温度を比較的低く設定できるので、物品を生産後に速やかに保護フィルムを貼付できる。そして、基材が、銀引き法で製造された鏡、及びポリビニルブチラール、又はエチレン酢酸ビニルを主成分とする中間膜を有する合わせガラスのいずれかであっても、効率良く防曇性物品を生産することに奏功する。
本発明の防曇性物品の製法は、塗布液を調製する工程、塗布液を基材に塗布する工程、及び塗布された基材を加熱し、被膜を硬化する工程を有する。そして、被膜が硬化後に被膜上に流水をかける工程を有し、より好ましくは、防曇性物品に保護フィルムを貼付する工程を有する。
塗布液は、NCO基を有する化学種、活性水素基を有する界面活性剤、及びポリオールの防曇性ウレタン成分に加え、必要に応じ、フィラー成分、希釈溶媒を加えることができる。そして、好ましくは、NCO基を有する化学種と、活性水素基を有する界面活性剤及びポリオールの混合物とを混合することで塗布液を調製する。
NCO基を有する化学種には、ジイソシアネート、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたビウレット及び/又はイソシアヌレート構造を有する3官能のポリイソシアネートを使用できる。当該物質は、耐候性、耐薬品性、耐熱性があり、特に耐候性に対して有効である。又、当該物質以外にも、ジイソフォロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(メチルシクロヘキシル)ジイソシアネート及びトルエンジイソシアネート等も使用することができる。
活性水素基を有する界面活性剤には、陰イオン系、陽イオン系、両性イオン系、及び非イオン系のものを使用できる。陰イオン系のものとしては、ひまし油モノサルフェート、ひまし油モノホスフェート、ソルビタン脂肪酸エステルサルフェート、ソルビタン脂肪酸エステルホスフェート、ソルビトール脂肪酸エステルサルフェート、ソルビトール脂肪酸エステルホスフェート、ショ糖脂肪酸エステルサルフェート、ショ糖脂肪酸エステルホスフェート、ポリオキシアルキレンひまし油エーテルモノサルフェート、ポリオキシアルキレンひまし油エーテルモノホスフェート、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルサルフェート、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルホスフェート、ポリオキシアルキレングリセリンエーテルモノサルフェート、ポリオキシアルキレングリセリンエーテルモノホスフェート等が挙げられる。
陽イオン系のものとしては、ジアルカノールアミン塩、トリアルカノールアミン塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミンエーテル塩、脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩、ポリオキシアルキレンジアルカノールアミンエーテル塩、ポリオキシアルキレントリアルカノールアミンエーテル塩、ジ(ポリオキシアルキレン)アルキルベンジルアルキルアンモニウム塩、アルキルカルバモイルメチルジ(ポリオキシアルキレン)アンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルアンモニウム塩、ポリオキシアルキレンジアルキルアンモニウム塩、リシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファート等が挙げられる。
両性イオン系のものとしては、N,N−ジ(β−ヒドロキシアルキル)N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシアルキルアンモニウムベタイン、N−β−ヒドロキシアルキル−N,N−ジポリオキシアルキレン−N−カルボキシアルキルアンモニウムベタイン、N−アルキル−N,N−ジ(ポリオキシアルキレン)アミンとジカルボン酸のモノエステル、N−(ポリオキシエチレン)−N′,N′−ジ(ポリオキシエチレン)アミノアルキル−N−アルキル−N−スルホアルキルアンモニウムベタイン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−アルキル−N−スルホアルキルアンモニウムベタイン、N−(β−ヒドロキシアルキルアミノエチル)−N−(β−ヒドロキシアルキル)アミノエチルカルボン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシアルキル)−N,N′−ビス(カルボキシエチル)エチレンジアミン塩、N−(β−ヒドロキシアルキル)−N′,N′−ジ(ポリオキシエチレン)−N−カルボキシエチルエチレンジアミン塩等が挙げられる。
非イオン系のものとしては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ塘脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミンポリオキシアルキレンアルキルアミド等があげられる。
上記界面活性剤量は、被膜への水滴の接触角が40°以下となるように調整することが好ましい。接触角を40°以下とすることで、親水性による防曇性を発現させやすくなる。又、被膜が吸水性を有している場合には、水滴の被膜への接触面が多くなるので、被膜に接触した水滴の被膜内への吸水が促進され、防曇性が高くなる効果を奏する。該接触角は、小さい程防曇性には好適であるが、小さい接触角に設定しようとすると、被膜の耐久性を悪くせざるを得ない場合がある。実用的な観点からは、該接触角は、10°以上とすることが好ましい。より好ましくは、25°以上35°以下とすることが好ましい。尚、ここでの被膜への水滴の接触角とは、吸水していない状態の被膜の表面に2μlの水を滴下したときの接触角である。
ポリオールには、被膜に吸水性による防曇性を発現させるために、オリゴマーの吸水性ポリオールを使用することができる。吸水性ポリオールとは、水を吸水して膨潤する性状を有するものであり、分子内の水酸基がイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と反応してウレタン結合を生じ、ウレタン樹脂に吸水性の性状を導入することができる。該吸水性ポリオールは水溶性の性状を有してもよい。
被膜に吸水性による防曇性の効果を発揮させるためには、被膜の吸水飽和時の吸水率が15重量%以上となるように、吸水性ポリオールの使用量を調整し、被膜中の吸水性ポリオール由来の吸水成分を適当量とすることが好ましい。該吸水性成分は、オキシアルキレン系のポリオール由来のものを使用でき、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖等を有することが好ましく、吸水性に優れるオキシエチレン鎖を有することが特に好ましい。
又、前記吸水率は、高すぎると被膜の耐水性、硬度、耐磨耗性等が低くなる傾向になるので、被膜の吸水率が30重量%以下となるように調整することが好ましい。
前記オキシアルキレン系のポリオールは、数平均分子量が400〜5000のものを使用することが好ましい。数平均分子量が400未満の場合は、水を結合水として吸収する能力が低くなり、平均分子量が5000を超える場合は、被膜の強度が低下しやすくなる。吸水性や膜強度等を鑑み、該平均分子量は、400〜4500がより好ましい。該ポリオールには、オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合体ポリオール、ポリエチレングリコール等を使用でき、ポリエチレングリコールを使用する場合は、吸水性と得られる被膜の強度を鑑み、数平均分子量を400〜2000とすることが好ましい。
ポリオールには上記吸水性ポリオールに加え、疎水性ポリオール、数平均分子量が60〜200の短鎖ポリオール等を使用することができる。前記疎水性ポリオールは、可撓性と耐擦傷性の両方を併せ持ち、被膜の吸水性の機能、及び親水性の機能を低下させにくく、結果、被膜の耐水性及び耐摩耗性を向上させることができる数平均分子量500〜2000のポリエステルポリオールであることが好ましい。
数平均分子量が500未満の場合は、被膜が緻密になりすぎ耐摩耗性が低下する。一方、2000超では、塗布液の成膜性が悪化し、被膜を形成することが難しくなる。又、得られる膜の緻密性を考慮すると、該ポリオールの水酸基数は2又は3とすることが好ましい。該ポリエステルポリオールには、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びそれらの混合物のいずれかを使用することができる。これら疎水性ポリオール由来の疎水成分は、被膜の吸水率、及び水滴接触角が上記した範囲となるように導入し、好ましくは、「JIS K 5400」に準拠して得られる被膜の鉛筆硬度が被膜の吸水飽和時において、HB乃至Fとなるように導入する。
又、短鎖ポリオール由来の成分は、塗布液の硬化性を高め、被膜膜の強度を高める役割、被膜表面の静的摩擦係数を小さくする効果を有する。該短鎖ポリオールの水酸基数は、2又は3であることが好ましい。水酸基が1の場合は、該短鎖ポリオールが膜の骨格成分とならないため膜がもろくなり、3超では、反応性が活性過ぎて、塗布剤が不安定となりやすい。
短鎖ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2,2’−チオジエタノール等のアルキルポリオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンがあげられ、それらを単独、又は混合物、若しくはそれらの平均分子量200超とならない共重合体等を使用することができ、短鎖ポリオール由来の成分は、被膜の吸水率、及び水滴接触角が上記した範囲となるように導入することができる。
上記防曇性ウレタン成分を混合して得られる塗布液は、防曇性ウレタン成分の他に、フィラー成分、希釈溶媒等を含んでもよい。フィラー成分は、被膜の耐磨耗性、耐擦過性等を向上させる効果がある。このようなフィラー成分としては、金属酸化物の前駆体、シランカップリング剤、金属酸化物微粒子があげられる。
金属酸化物の前駆体に関しては、エトキシド化合物、メトキシド化合物等のアルコキシド化合物、オキシハロゲン化合物、アセチル化合物等があげられる。又、金属酸化物としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化ニオブ、酸化タンタルの中から1種類以上選択したものを使用でき、経済的な観点からシリカが特に好ましい。該金属酸化物の前駆体は、防曇性ウレタン成分の総量に対して、重量比で1.25倍量迄加えることができる。1.25倍量超では、得られる膜の防曇性が低下する。被膜の耐磨耗性を向上させるためには、金属酸化物の前駆体は、防曇性ウレタン成分の総量に対し、重量比で0.1倍量迄加えることが好ましい。
シランカップリング剤は防曇性ウレタン成分の総量に対して、重量比で0.25倍量迄加えることができる。0.25倍量超では、シランカップリング剤の未反応の官能基に起因して得られる膜の強度が低下するとともに膜表面にべたつき感が生じる等の不具合が起こりやすくなる。又、金属酸化物の前駆体由来の金属酸化物とウレタン樹脂とを架橋させるためには、シランカップリング剤は、防曇性ウレタン成分総量に対して、重量比で0.01倍量迄加えることが好ましい。該シランカップリング剤は3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであると均質な膜が得やすく特に好ましい。
金属酸化物微粒子としては、平均粒径が5nm〜50nmのシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化ニオブ、酸化タンタル等の金属酸化物の微粒子があげられ、特にはコロイド状のシリカが好ましい。該金属酸化物の微粒子を含有させる場合、防曇性膜の防曇性を低下させないことが重要なので、その含有量は、防曇性ウレタン成分の総量に対して、40重量%以下、好ましくは、20重量%以下、より好ましくは10重量%以下とすることが好ましい。尚、ここでいう平均粒径は、走査型電子顕微鏡観察によって倍率10万倍で膜の断面の観察を行った時に、1μm平方の範囲内に存在する全ての該粒子の粒径を目視で読みとり、その平均値を算出する。この算出を20回繰り返して得られた各値の平均値で定義されたものである。
希釈溶媒は、活性水素基を有しないものが好ましく、アセトン類、エーテル類を使用でき、特にメチルプロピレングリコール、ジアセトンアルコール、酢酸イソブチルが好ましい。
得られた塗布液を基材に塗布する手段は、塗布手段としてはディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の公知手段を採用できる。塗布後、室温で放置、又は好ましくは80℃以上で加熱を行うことで、被膜を硬化させることで防曇性物品が得られる。基材が銀引き法で製造された鏡、及びポリビニルブチラール、又はエチレン酢酸ビニルを主成分とする中間膜を有する合わせガラス等の場合、加熱温度を140℃以下、より好ましくは130℃以下とすることが好ましい。
硬化した被膜上に水を接触させ、硬化した被膜から未反応の活性水素基を有する界面活性剤を除去させる方法として、物品を水の中に浸漬させる方法、被膜上に流量が0.01m/分〜0.1m/分の流水を接触させる方法等が採用できる。ここで水は、工業用水、水道水、純水等を適宜使用できる。被膜への水の接触は、防曇性物品の温度が60℃以下、好ましくは50℃以下となったときに行うことが好ましい。
そして、防曇性物品に保護フィルムを貼付することにより、防曇性物品の積載、梱包等が容易となるので、生産性が向上するので好ましい。該保護フィルムは、静電貼付品、又は、粘着剤を有するフィルムを使用でき、粘着剤を有するフィルムが好ましく、特に粘着剤を有するフィルムで、その粘着剤の粘着力が1N/20mm以下のものが好ましい。又、その粘着剤は、アクリル系のものが好ましい。
実施例1
活性水素基を有する界面活性剤として、リシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファート(商品名「LipoquatR」Lipo chemicals Inc製)、ポリオールとして吸水性ポリオールの平均分子量1000のポリエチレングリコール、疎水性ポリオールの平均分子量1250のポリカプロラクトンジオール(商品名「プラクセルL212AL」ダイセル化学工業製)、短鎖ポリオールとして1,4ブタンジオールとを準備し、これらを混合し、活性水素基を有する混合物を得た。混合比は、重量比で、界面活性剤1に対し、吸水性ポリオールを1.1、疎水性ポリオールを1、短鎖ポリオールを0.3である。
そして、重量比で、上記活性水素基を有する混合物1に対して、上記イソシアネート基を有する化学種を0.74混合した。このときのNCO基数/活性水素基数は、1.1である。該混合物に防曇性ウレタン成分の総量の濃度が35重量%となるように希釈溶媒としてジアセトンアルコールを添加し、さらに、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレートを防曇性ウレタン成分総量に対して、0.005重量%添加することにより塗布液を調製した。
該塗布液を、フロート法によるソーダ石灰ケイ酸塩ガラスに銀引き法にて反射層が形成された300mm×800mm×5mm(厚さ)サイズの鏡からなる基材のガラス表面側に、フローコート法により塗布し、120℃、30分間加熱後、物品の温度が、50℃以下となったときに物品を20℃の純水に20分間浸漬させることにより、膜厚が28μm、被膜が吸水性を呈し、且つ被膜が吸水していない状態で水滴の接触角が40°以下の防曇性物品を100個製造した。
物品を半年間放置後の外観異常(未反応の活性水素基を有する界面活性剤の被膜からの流出による物品の白濁)の発生はゼロであり、又、物品の防曇性を確認するために、室温より厳しい条件の0℃まで冷却させた後、被膜面に呼気をかけたところ、曇った物品数はゼロであった。
実施例2
NCO基数/活性水素基数は、0.9となるように、重量比で、活性水素基を有する混合物1に対して、上記イソシアネート基を有する化学種を0.6混合し、塗布液を基材に塗布後の加熱を125℃とした以外は、実施例1と同様の操作にて、防曇性物品を100個製造した。物品を半年間放置後の外観異常(未反応の活性水素基を有する界面活性剤の被膜からの流出による物品の白濁)の発生はゼロであり、又、物品の防曇性を確認するために、室温より厳しい条件の0℃まで冷却させた後、被膜面に呼気をかけたところ、曇った物品数はゼロであった。
実施例3
NCO基数/活性水素基数は、1.0となるように、重量比で、活性水素基を有する混合物1に対して、上記イソシアネート基を有する化学種を0.67混合し、塗布液を基材に塗布後の加熱を90℃とした以外は、実施例1と同様の操作にて、防曇性物品を100個製造した。物品を半年間放置後の外観異常(未反応の活性水素基を有する界面活性剤の被膜からの流出による物品の白濁)の発生はゼロであり、又、物品の防曇性を確認するために、室温より厳しい条件の0℃まで冷却させた後、被膜面に呼気をかけたところ、曇った物品数はゼロであった。
実施例4
被膜に水を接触させた後に、物品を風乾し、保護フィルムとして、粘着力が0.95N/20mmのアクリル系の粘着剤を有するフィルム(商品名「エレップマスキングテープN100」日東電工製)を被膜上に貼付した以外は、実施例1と同様の手順で防曇性物品を100個製造した。物品を半年間放置後、保護フィルムを剥がしたところ外観異常の発生数はゼロであり、又、物品の防曇性を確認するために、室温より厳しい条件の0℃まで冷却させた後、被膜面に呼気をかけたところ、曇った物品数はゼロであった。
実施例5
塗布液を実施例2のものとした以外は、実施例4と同様の手順で防曇性物品を100個製造した。物品を半年間放置後、保護フィルムを剥がしたところ外観異常の発生数はゼロであり、又、物品の防曇性を確認するために、室温より厳しい条件の0℃まで冷却させた後、被膜面に呼気をかけたところ、曇った物品数はゼロであった。
実施例6
塗布液を実施例3のものとした以外は、実施例4と同様の手順で防曇性物品を100個製造した。物品を半年間放置後、保護フィルムを剥がしたところ外観異常の発生数はゼロであり、又、物品の防曇性を確認するために、室温より厳しい条件の0℃まで冷却させた後、被膜面に呼気をかけたところ、曇った物品数はゼロであった。
比較例1
被膜の硬化後に水を接触させない以外は、実施例1と同様の操作にて、防曇性物品を100個製造したところ、半年保持後に被膜からの界面活性剤の流出によって、100個中8個が白濁した。
比較例2
被膜の硬化後に水を接触させない以外は、実施例2と同様の操作にて、防曇性物品を100個製造したところ、半年保持後に被膜からの界面活性剤の流出によって、100個中9個が白濁した。
比較例3
被膜の硬化後に水を接触させない以外は、実施例3と同様の操作にて、防曇性物品を100個製造したところ、半年保持後に被膜からの界面活性剤の流出によって、100個中8個が白濁した。

Claims (5)

  1. 硬化した被膜が形成された防曇性物品を得る方法において、NCO基を有する化学種と活性水素基を有する界面活性剤及びポリオールとを混合して得られる塗布液を、基材に塗布することで、被膜が吸水性を呈し、且つ被膜が吸水していない状態で水滴の接触角が40°以下の防曇性物品を得る方法であり、NCO基数/活性水素基数を0.8以上1.2以下とし、硬化した被膜に水を接触させることで未反応の活性水素基を有する界面活性剤を被膜から除去することを特徴とする防曇性物品の製法。
  2. 塗布液を塗布後、80℃〜140℃で加熱し、その際の保持時間を20分〜60分とすることを特徴とする請求項1に記載の防曇性物品の製法。
  3. 基材が、銀引き法で製造された鏡、及びポリビニルブチラール、又はエチレン酢酸ビニルを主成分とする中間膜を有する合わせガラスのいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防曇性物品の製法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかの製法で得られた防曇性物品の被膜側に保護フィルムを貼付することを特徴とする防曇性物品の製法。
  5. 保護フィルムが、粘着剤を有するフィルムであることを特徴とする請求項4に記載の防曇性物品の製法。
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