JP2021004350A - 防曇性物品、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリウレタン被膜の吸水性に基づく防曇性物品において、ポリウレタン被膜の吸水性と、被膜の硬度とが共に改善された、防曇性物品を提供すること。【解決手段】イソシアネート化合物と、オキシエチレンユニットを繰返し単位として備える、吸水性ポリオールと、アクリルポリオールとを含むポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン被膜と、該被膜を主面上に備える基材と、を備える、前記ポリウレタン被膜の吸水性に基づく防曇性物品であって、前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の官能基数が1.0〜3.0の第一イソシアネート化合物と、イソシアネート基の官能基数が4.2〜8.0の第二イソシアネート化合物とを含み、イソシアネート基の平均官能基数が、2.4〜5.0であること。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン被膜の吸水性に基づいて防曇性を発現する、防曇性物品に関する。
浴室用・洗面化粧台用の鏡、自動車の窓ガラスやカメラのレンズ等の透明基材の視認性を確保するために、これらの基材の表面に曇り防止機能を付与することが強く求められている。
鏡やガラスなどのガラス基材の主面に生じる曇りは、無数の微小な水滴が基材表面上に生じる結露現象によって生じる。この曇りを防ぐために、ポリウレタン被膜の吸水性に基づいて防曇性を発現する、防曇性物品が検討されてきた(例えば、特許文献1〜3)。このタイプの防曇性物品は、被膜表面の親水性に基づく被膜表面上での水膜形成によらず、被膜の吸水性だけで、防曇性を発現させるので、防曇性発現時の被膜を通しての視認性が良好という特徴がある。
特開2007−76999号公報 特開2014−1106号公報 特許第6340539号明細書
防曇性物品において、被膜表面の親水性に基づく被膜表面上での水膜形成によらず、被膜の吸水性だけで、防曇性を発現させようとすると、被膜の吸水性を向上させる必要がある。被膜の吸水性を向上させるためには、被膜中に水が入り込むことができるように、被膜は適切な隙間を有する必要がある。ポリウレタン被膜の場合、架橋構造中に隙間を有するのでポリウレタンの架橋密度を高くしすぎないことが被膜の吸水性向上に重要である。しかしながら、一方で、ポリウレタン被膜の耐久性に影響する硬度などは、ポリウレタンの架橋密度が影響する。つまり、ポリウレタン被膜の吸水性の向上と、被膜の硬度の向上とはトレードオフの関係が成り立つと言える。
また、ポリウレタン被膜の吸水性に基づく防曇性の発現のためには、被膜にも相当程度厚い膜厚が必要となる。しかし、厚い膜厚の被膜の形成は、被膜の硬度低下につながりやすい。そのため、本発明は、ポリウレタン被膜の吸水性に基づく防曇性物品において、ポリウレタン被膜の吸水性と、被膜の硬度とが共に改善された、防曇性物品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、ポリウレタンの構造を検討した結果、いくつかのイソシアネート化合物にて、被膜の硬度低下を引き起こさないで、被膜の吸水率の向上を図れることを見出し、本発明をなすに至った。
また、ポリウレタン被膜に対し、防汚性被膜形成用液状組成物(以下、本明細書で「防汚液」と言うときがある。)を塗布し、硬化させることにより、本発明の防曇性物品に防汚性被膜が形成され、防曇性と防汚性を兼ね備えた防曇性物品を得ることも見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の防曇性物品は、イソシアネート化合物と、オキシエチレンユニットを繰返し単位として備える、吸水性ポリオールと、アクリルポリオールとを含むポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン被膜と、
該被膜を主面上に備える基材と、を備える、前記ポリウレタン被膜の吸水性に基づくものであって、
前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の官能基数が1.0〜3.0の第一イソシアネート化合物と、イソシアネート基の官能基数が4.2〜8.0の第二イソシアネート化合物とを含み、イソシアネート基の平均官能基数が、2.4〜5.0であり、
前記ポリウレタン被膜において、
膜厚は20μm〜50μmで、
鉛筆硬度は2H以上で、
厚さ1μm・1cmあたりの飽和吸水量が、20μg以上である、というものである。
また、本発明の防曇性物品の製法は、イソシアネート化合物と、オキシエチレンユニットを繰返し単位として備える、吸水性ポリオールと、アクリルポリオールとを含むポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン被膜と、
該被膜を主面上に備える基材と、を備える、前記ポリウレタン被膜の吸水性に基づく防曇性物品の製造方法であって、
基材を準備する工程と、
前記ポリウレタン組成物と、溶媒とからなる塗布液と、を準備する工程と、
前記基材の主面に、前記塗布液を塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜から溶媒を蒸散させ、前記ポリウレタン組成物を硬化する工程と、を備え、
前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の官能基数が1.0〜3.0の第一イソシアネート化合物と、イソシアネート基の官能基数が4.2〜8.0の第二イソシアネート化合物とを含み、イソシアネート基の平均官能基数が、2.4〜5.0であるというものである。
尚、前記でいう、イソシアネート化合物での、イソシアネート基の官能基数は、イソシアネート化合物一分子あたりに含まれるイソシアネート基の総数と定義され、以下の式から算出されるものである。ここで、イソシアネート化合物の数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーによって求められたものとする。尚、以下式中の42は、イソシアネートの分子量に相当するものである。
官能基数=(イソシアネート含有量×数平均分子量)/(100×42)
そして、前記平均官能基数は、第一イソシアネート化合物と第二イソシアネート化合物の官能基数に各質量比を掛けた値の和で示されるものである。
また、基材の主面とは、該基材の使用時において、該基材を基材として機能せしめるための、該基材の外部と対面する面のことを言う。例えば、該基材が、板状の場合は、端面以外の面となる。
イソシアネート化合物のイソシアネート基数は、ポリウレタンの架橋密度に影響するので、ポリウレタンの硬度を高めようとすると、通常は、前記イソシアネート基数の高いイソシアネート化合物が選択される。ポリウレタンの硬度を高めるためであるかは不明ではあるが、特許文献1、2では、イソシアネート化合物の実施例ベースの使用例として、住化コベストロウレタン社製の商品名「デスモジュールN3200」が使用されている。これのイソシアネートの官能基数は3.3である。特許文献3では、イソシアネート基が1分子あたり2〜6個(好ましくは2〜4個)のイソシアネート化合物が挙げられ、さらに具体的に3個以上のものが例示されている。
すなわち、本発明と、これまでの防曇性物品とを比べれば、本発明は、イソシアネート基の官能基数が比較的少ないイソシアネート化合物が使用されていることになる。該イソシアネート化合物を含むポリウレタン化合物は、比較的架橋密度が低いものとなる。しかしながら、前記ポリウレタン化合物の硬化物からなる、膜厚20μm〜50μm被膜では、ポリウレタンの架橋構造を疎にしやすい第一イソシアネート化合物と、ポリウレタンの架橋構造を密にしやすい第二イソシアネート化合物とを併存させ、前記イソシアネート化合物のイソシアネート基の平均官能基数を2.4〜5.0、好ましくは2.5〜2.8とすることによって、硬度の低下が見られず、鉛筆硬度において、2H以上のものが得られる。そして、意外なことに、前記被膜の吸水性と、硬度の双方を改善せしめる。前記被膜の鉛筆硬度は、高いほど好ましく、特に上限を設けるものではないが、前記物品の生産の観点から、上限は6Hとしてもよい。
また、前記したイソシアネート化合物の選択によって、被膜の吸水性能の改善が見られ、被膜の一定単位、すなわち、厚さ1μm・1cmあたりの飽和吸水量(本発明では、これを「吸水率」として扱う)を、20μg以上のものとすることができる。本発明では、被膜の吸水率の改善により、膜厚が、20μm〜50μmのときに、後述の実施例で紹介するような実用的な防曇性を示す防曇性物品とすることができる。前記吸水率は、高いほど好ましく、特に上限を設けるものではないが、上限は40μgとしてもよい。
本発明で規定している、膜厚20μm〜50μmというのは、ポリウレタン組成物の硬化物からなる被膜の硬度と、吸水率とのバランスを保ちつつ、さらには、工業的な生産を実現するための現実的な膜厚領域である。本発明では、この観点から、被膜の膜厚を、20μm〜50μmと規定している。
本発明によれば、被膜の吸水性だけによって防曇性を発現させる防曇性物品において、被膜の硬度を低下させずに、防曇性の改善がなされる。
本発明の防曇性物品は、イソシアネート化合物と、オキシエチレンユニットを繰返し単位として備える、吸水性ポリオールと、アクリルポリオールとを含むポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン被膜と、
該被膜を主面上に備える基材と、を備える、前記ポリウレタン被膜の吸水性に基づくものであって、
前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の官能基数が1.0〜3.0の第一イソシアネート化合物と、イソシアネート基の官能基数が4.2〜8.0の第二イソシアネート化合物とを含み、イソシアネート基の平均官能基数が、2.4〜5.0であり、
前記ポリウレタン被膜において、
膜厚は20μm〜50μmで、
鉛筆硬度は2H以上で、
厚さ1μm・1cmあたりの飽和吸水量が、20μg以上である、というものである。
前記防曇性物品は、好適には、前記基材上に、前記ポリウレタン組成物からなる塗膜を形成し、前記基材上に前記ポリウレタン組成物を硬化せしめて、ポリウレタン被膜を前記基材上に形成することで得られる。
より具体的に例示するならば、前記防曇性物品は、
基材を準備する工程と、
前記ポリウレタン組成物と、溶媒とからなる塗布液と、を準備する工程と、
前記基材の主面に、前記塗布液を塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜から溶媒を蒸散させ、前記ポリウレタン組成物を硬化する工程と、を経ることで得られる。
以下、各構成を詳細に述べる。
<ポリウレタン組成物>
前記防曇性物品の主要構成である前記ポリウレタン被膜は、ポリウレタン組成物からなる。そのため、前記ポリウレタン組成物の構成は、前記防曇性物品に特性に影響する。本発明では、前記ポリウレタン組成物は、イソシアネート化合物と、オキシエチレンユニットを繰返し単位として備える、吸水性ポリオールと、アクリルポリオールとを含む。
前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の官能基数が1.0〜3.0、好ましくは1.8〜2.5の第一イソシアネート化合物を含むものである。前記第一イソシアネート化合物によって、被膜の吸水性能の改善が見られ、被膜の吸水率を、20μg以上とすることができる。前記第一イソシアネート化合物の例として、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたダイマー及び/又はイソシアネート構造を有する2.4官能のポリイソシアネート等が挙げられる。
また、前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の官能基数が4.2〜8.0の第二イソシアネート化合物を含み、イソシアネート基の平均官能基数が、4.4〜7.0であることが好ましい。ポリウレタンの架橋構造を疎にしやすい第一イソシアネート化合物と、ポリウレタンの架橋構造を密にしやすい第二イソシアネート化合物とを併存させ、前記イソシアネート化合物のイソシアネート基の平均官能基数を2.4〜5.0、好ましくは2.5〜4.0とすることによって、前記被膜の吸水性と、硬度の双方を改善しやすくなる。
前記第二イソシアネート化合物の例として、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたアロファネート及び/又はイソシアネート構造を有する4.5官能のポリイソシアネート等が挙げられる。
前記吸水性ポリオールは、オキシエチレンユニットを繰返し単位として備えるポリオール化合物で、前記オキシエチレンユニットによって、前記被膜が吸水性を有するものとなる。前記オキシエチレンユニットは、前記ポリウレタン組成物中で、15質量%〜25質量%含むものであることが好ましい。15質量%未満では、前記被膜の吸水性が不十分となりやすく、他方では、硬度が不十分となりやすい。これらを考慮すると、前記オキシエチレンユニットは、前記ポリウレタン組成物中で、さらには、18質量%〜22質量%含むものとしてもよい。尚、オキシエチレンユニットの含有量は、オキシエチレンとオキシプロピレンとの共重合ポリオールのモル比をそれぞれの物質量から質量%比に換算し、前記ポリウレタン組成物中に含まれる前記共重合ポリオール由来のオキシエチレンの質量%を算出し、ポリエチレングリコールの質量%との和を算出することによって示される。
前記ポリオールとしては、例えば、オキシエチレンとオキシプロピレンとの共重合ポリオール、ポリエチレングリコールが挙げられる。前記ポリウレタン組成物は、前記被膜の吸水性と、硬度の双方を両立するために、前記共重合ポリオールと、ポリエチレングリコールとを含むことが好ましい。前記吸水性ポリオールは、オキシエチレンユニットは、前記ポリウレタン組成物中で、15質量%〜25質量%含むものとなるように配合される。前記ポリウレタン組成物が、前記共重合ポリオールと、前記ポリエチレングリコールとを含む場合、質量ベースで、前者後者の1.1倍量〜1.5倍量としてもよい。この範囲だと、前記被膜の吸水性と、硬度とのバランスを図りやすくなる。
前記ポリエチレングリコールの数平均分子量は、500〜1500、好ましくは800〜1200としてもよい。この範囲だと、溶媒に溶け易く、調合時に時間を要さないため、好ましい。
前記オキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオールは、開始剤にフォスファゼン化合物、ルイス酸化合物またはアルカリ金属化合物触媒を用い、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを開環重合させて、ブロック付加またはランダム付加して得られる、ポリエーテルポリオールを使用することができる。このようなポリオールは市中より入手可能で、例えば、「トーホーポリオールPB−4000(東邦化学工業製)」などが挙げられる。
前記共重合ポリオールのオキシエチレン/オキシプロピレンのモル比は、45:55〜90:10、好ましくは70:30〜80:20としてもよい。この範囲内だと、前記被膜の吸水性と、硬度とのバランスを図りやすくなる。
前記共重合ポリオールの数平均分子量は、500〜20000、好ましくは2000〜6000としてよい。この範囲だと、前記被膜の吸水性と、硬度とのバランスを図りやすくなる。
前記吸水性ポリオールは、前記ポリウレタン組成物中に、15質量%〜25質量%、好ましくは、18質量%〜22質量%含まれるものとしてもよい。この範囲だと、前記被膜の吸水性と、硬度とのバランスを図りやすくなる。
前記アクリルポリオールは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートなどの共重合性モノマーとの共重合体であり、被膜の骨格成分を担い、膜硬度の向上に寄与する成分である。前記アクリルポリオールは市中より入手可能で、例えば、「アクリディック 47−538−BA(DIC株式会社製)」などが挙げられる。
前記アクリルポリオールの具体例として、例えば、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド等の水酸基含有モノマーを、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸第3ブチル、アクリロにトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸第3ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等と共重合することにより得られたものを挙げることができる。
また、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリル酸第3ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミノ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸等の酸基含有モノマー、又は、フマル酸エステル、イタコン酸エステル等を上記水酸基含有モノマーと共重合させて得られるものも挙げることができる。
前記アクリルポリオールの数平均分子量は5000〜25000であり、より好ましくは8000〜25000、さらに好ましくは12000〜20000である。アクリルポリオールの数平均分子量が5000よりも小さい場合、膜の緻密性が高くなり過ぎて、脆くなることがある。また25000よりも大きくなると、膜中に占めるアクリルポリオールの体積が大きくなり、前記被膜の吸水性が低下する傾向がある。前記アクリルポリオールは、前記ポリウレタン組成物中に、10質量%〜15質量%、好ましくは、11質量%〜14質量%含まれるものとしてもよい。この範囲だと、前記被膜の吸水性と、硬度とのバランスを図りやすくなる。
前記ポリウレタン組成物は、短鎖ポリオールを含んでもよい。前記短鎖ポリオールは、数平均分子量が60〜200の範囲にある、鎖長の短いポリオールのことで、該ポリオールによって、前記被膜の硬度が改善されやすくなる。該短鎖ポリオールの1分子あたりの水酸基数は、2又は3としてもよい。
前記短鎖ポリオールの例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2,2'−チオジエタノール等のアルキルポリオール
、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンがあげられ、それらを単独、又は混合物、若しくはそれらの数平均分子量が60〜200の範囲の共重合体等を使用することができる。
これらの中では、エチレングリコール、トリエチレングリコールが、前記被膜の硬度改善の観点から好ましく、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3−ブタンジオールのような1級水酸基よりも活性の低い2級や3級水酸基を有する短鎖ポリオールは、塗布液の安定性(ポットライフの長期化)の点から好ましい。前記短鎖ポリオールは、前記ポリウレタン組成物中に、2質量%〜8質量%、好ましくは、4質量%〜6質量%含まれるものとしてもよい。この範囲だと、前記被膜の吸水性と、硬度とのバランスを図りやすくなる。
また、前記ウレタン組成物において、イソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基数(NCO)と、ポリオールの水酸基数(OH)とが、NCO/OHにおいて、1.5〜3、好ましくは、2.0〜2.5としてもよい。この範囲だと、前記被膜の吸水性と、硬度とのバランスを図りやすくなる。尚、NCO/OHの比は、前記組成物中に存在する、NCO数と、OH数と、反応によって変性したNCO数と、OH数とが合算されて計算されたものである。
<塗布液>
前記ウレタン組成物は、好ましくは、前記ウレタン組成物と溶媒との混合物である塗布液の形態で、前記基材に塗布される。前記溶媒は、イソシアネート基に対して活性が無く、前記ウレタン組成物と相溶性の良いものが好ましい。
前記溶媒に例として、酢酸エステル系溶媒、ケトン類を使用することが好ましい。具体的には、酢酸エステル系溶媒としては、酢酸アミル、酢酸アリル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸2−エチルへキシル、酢酸シクロへキシル、酢酸n−ブチル、酢酸s−ブチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸メチルシクロへキシル等が挙げられ、ケトン類としては、アセチルアセトン、アセトン、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、メチルオキシド、メチル−n−アミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−ヘプチルケトン、ジアセトンアルコール、これらの混合物等が挙げられる。特に、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸s−ブチル、メチルエチルケトン等が好ましい。
前記塗布液中の、前記ウレタン組成物の濃度は、10質量%〜50質量%程度としてもよい。また、前記塗布液は、塗膜中でのウレタン組成物の硬化速度を速くするために、硬化触媒を含んでもよく、好ましくは、前記ウレタン組成物100質量%に対して、0.001〜0.5質量%含んでもよい。前記硬化触媒の例として、有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機ビスマス化合物等の有機金属化合物や、アミン化合物等が挙げられる。
前記有機錫化合物の例として、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫マーカブチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカブチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート等、有機チタン化合物には、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテートなど、有機ジルコニウム化合物には、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等、有機ビスマス化合物には、カルボキシレートを持つ化合物(例えば、King industry社製の商品名:K KAT 348)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アミン化合物の例としては、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5などやそれらアミン化合物の塩を挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいものの例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトナート、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7のオクチル酸塩などが挙げられる。
前記塗布液は、本発明の目的を損なうことのない範囲で、前記塗膜の基材上での平滑性を促進させるレベリング剤を含んでもよい。前記レベリング剤は、前記ポリウレタン組成物中に、0.01質量%〜0.50質量%、好ましくは、0.05質量%〜0.25質量%含まれるものとしてもよい。
前記塗布液は、本発明の目的を損なうことのない範囲で、前記塗膜の耐熱性、耐候性、耐水性を改善させる添加剤を含んでもよい。添加剤は、前記ポリウレタン組成物中に、0.2質量%〜10.0質量%、好ましくは、0.5質量%〜2.0質量%含まれるものとしてもよい。前記添加剤の例として、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、カルボジイミド系加水分解防止剤等が挙げられる。なお、添加剤は単独でも、複数のものを混合して用いても良い。
前記ヒンダードアミン系光安定剤の例として、Bis(1,2,2,6,6−pentamethyl−4−piperidyl)sebacate(例えば、ADEKA社製の商品名:アデカスタブ LA−72)、Methyl(1,2,2,6,6−pentamethyl−4−piperidinyl)sebacate(例えば、BASFジャパン社製の商品名:Tinuvin 292)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例として、Phenol,2−(2H−benzotriazol−2−yl−4,6−bis(1−methyl−1−phenylethyl)(例えば、BASFジャパン社製の商品名:Tinuvin 234)、Phenol,2−(5−chloro−2H−benzotriazol−2−yl)−6−(1,1−dimethylethyl)−4−methyl(例えば、BASFジャパン社製の商品名:Tinuvin 326)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例として、Pentaerythritoltetrakis(3−(3,5−di−tert−butyl−4−hydroxyphenyl)propionate)(例えば、BASFジャパン社製の商品名:Irganox 1010)、2,6−Di−tert−butyl−4−(4,6−bis(octylthio)−1,3,5−triazin−2−ylamino)phenol(例えば、BASFジャパン社製の商品名:Irganox 565)、Octadecyl3−(3,5−di−tert−butyl−4−hydroxyphenyl)propionate(例えば、ADEKA社製の商品名:アデカスタブ AO−50)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記カルボジイミド系加水分解防止剤の例として、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<基材>
前記基材としては、板状のものが好ましく使用され、代表的なものとしてはガラスが用いられる。そのガラスは自動車用ならびに建築用、産業用ガラス等に通常用いられている板ガラスであり、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等による板ガラスであって、製法は特に問わない。
ガラス種としては、クリアをはじめグリーン、ブロンズ等の各種着色ガラスやUV、IRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合わせガラスのほか複層ガラス等、銀引き法あるいは真空成膜法により作製された鏡、さらには平板、曲げ板等各種ガラス製品を使用できる。
板厚は特に制限されないが、1mm以上10mm以下が好ましく、特に1mm以上5mm以下が好ましい。基材表面への防曇性被膜の形成は、基材の片面だけ、或いは用途によっては両面に行ってもよい。また、前記被膜の形成は、基材表面の全面でも一部分であってもよい。
前記ガラス基材の主面は、前記基材と前記被膜との密着性を向上させるために、シランカップリング剤等のプライマー成分が塗布されたものであることが好ましい。前記基材への前記シランカップリング剤の塗布にあたって、前記シランカップリング剤は、アルコール及び水等で、0.05〜2.0質量%程度に希釈されていてもよい。前記シランカップリング剤の例として、アミノシラン、メルカプトシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。特には、アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましく、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシ、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン等が特に好ましい。このように、基材上に上記カップリング剤を含む溶液を基材に塗布する工程は、前記基材と前記被膜との接着性が向上する、特に好ましい態様である。
前記基材は、前記ガラス基材以外に、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、ポリカーボネート等の樹脂等であってもよい。これら樹脂透明基材表面に前記防曇性被膜を形成して防曇性物品とし、該物品をガラス基材に貼付してもよい。
<防曇性物品の製造例>
これまでに例示された基材と、塗布液を準備し、前記塗布液を前記基材に塗布し、基材上に塗膜を形成する。前記塗布液の前記基材への塗布を行う、塗布工程では、ディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の公知手段によって、前記塗布液が塗布されて、前記基材に塗膜が形成される。
次いで、前記塗膜から溶媒を蒸散させ、前記ポリウレタン組成物を硬化する工程を行い、防曇性物品が得られる。この工程では、室温で放置又は170℃以下の熱処理で、前記ポリウレタン組成物の硬化と共に溶媒の蒸散がなされ、塗膜が固化されて防曇性被膜となる。ウレタン組成物の硬化を促進させるためには、80℃〜170℃で熱処理を行うことが好ましい。
次に、本発明の防曇性物品に対し防汚液を塗布し、硬化させることにより、防曇性物品のポリウレタン被膜上に防汚性被膜が形成される。その結果、防曇性被膜層と、防汚性被膜層の二層が形成されることで、本発明の防曇性物品に防汚性が発現し、防曇性と防汚性を兼ね備えた防曇性物品が得られる。なお、防汚性とは、皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する耐汚染性および汚れ成分に対する除去性をいう。
ここで、防汚液のコーティングについて、以下、詳細に説明する。
本発明では、防曇性物品に防汚性の機能を付与する方法として、ポリウレタン組成物の硬化後に得られる防曇性被膜に対し、防汚液をコーティングすることにより行う。防汚液の調製については、防汚剤と、硬化触媒、イソシアネート化合物、短鎖ポリオール、及び溶媒を含む溶液を、各成分の成分量を調整することにより行う。これにより、防汚液中にポリウレタン組成物が形成されることになる。
ここで用いるイソシアネート化合物については、
分子内に複数のイソシアネート基を持つ単体の二量体もしくは重合体、すなわち、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料とした二量体、及び/又はイソシアネート基を持つポリイソシアネート、
または、
ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたアロファネート(ヘキサメチレンジイソシアネートとアルコールとの反応により形成されたウレタン基とヘキサメチレンジイソシアネートとの付加体)もしくはそれのポリイソシアネート、
等を用いることができる。
また、硬化触媒については、前述した硬化触媒の説明で記載したものと同様のものを用いることができる為、ここでの繰り返しの記載を省略する。
防汚剤の種類としては、ジメチルシロキサン部位(Si(CHO)の数が5〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロカーボン部位(CF又はCF)を有するフルオロアルキルシランもしくはパーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、置換基の種類により、加水分解を生じる官能基を有する。そのような官能基は、水分によって加水分解し、反応性の高いシラノール基(−Si−OH、「−」は結合手を表す。)を形成する。これにより防汚液を防曇性被膜に塗布することにより、得られる防汚性の効果が発現する。
なお、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、滑り性に優れたジメチルシロキサン鎖を有するので、得られる被膜の汚れ除去性に効果を奏する。前記フルオロアルキルシランは、皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性に優れ、さらに耐久性に優れたフルオロアルキル鎖を有するので、得られる被膜の耐久性を向上させる。
防汚性と耐久性とがさらに良好な被膜とするためには、ジメチルシロキサン部位(Si(CHO)の数を20〜50とすることが好ましい。また、フルオロアルキルシランにおいて、フルオロカーボン部位数を2〜6、好適には6とすることが好ましい。
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、下記一般式[1]で表されるポリジメチルシロキサンが好適に用いられる。
Figure 2021004350
一般式[1]中、X及びXは、それぞれ独立に、一価もしくは二価の官能基を表す。a及びbは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、nは10〜400の整数である。また、X及びXのうち、一価もしくは二価の官能基の具体例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシ基、アクリロイル基、アリル基、メルカプト基、−C(=O)−OR基(Rは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖の飽和のアルキル基を表す)、−O−C(=O)R基(Rは−C(=O)−OR基のRと同じ)、−A−B基(Aは二価の有機基を表し、Bはヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、−C(=O)−OR基(Rは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖の飽和のアルキル基を表す)または−O−C(=O)R基(Rは−C(=O)−OR基のRと同じ)を表す)、−A−C(A)(A)(A)基(Aは二価の有機基を表し、Aは水素原子または1価の有機基を表し、A及びAは、それぞれ独立に、二価の有機基を表す。BまたはBは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシ基、アクリロイル基、アリル基、メルカプト基、−C(=O)−OR基(Rは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖の飽和のアルキル基を表す)または−O−C(=O)R基(Rは−C(=O)−OR基のRと同じ)である。
さらに、一般式[1]で表されるポリジメチルシロキサンは、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシ基等の官能基を有するが、該官能基が、前記ポリジメチルシロキサンの少なくとも1つの末端に有するもの、すなわち、該官能基を片側末端のみ、もしくは両側末端に有しているものであっても本発明で好適に利用できる。また、これらと併せ、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシ基等の官能基が側鎖に有しているものであっても本発明で好適に利用できる。例えば、片側末端もしくは両側末端に存在する場合、ウレタン樹脂との反応点が少ない分、撥水部位が防汚性被膜の表面に、より配向されやすくなる。その結果、防汚膜の膜厚が薄い場合であっても防汚性能(例えば水垢除去性)が向上するため、特に好ましい。
次に、防汚剤の種類として、フルオロカーボン部位(CF又はCF)を有するフルオロアルキルシランについて説明する。
フルオロアルキルシランとしては、下記一般式[2]で表される、片側末端に官能基を有するフルオロアルキルシランや、下記一般式[3]で表される、両側末端に官能基を有するフルオロアルキルシランが好適に用いられる。
Figure 2021004350
一般式[2]中、Yは、それぞれ独立に、一価の官能基を表す。pは1〜3の整数であり、官能基の数を表す。mは2〜6の整数である。
Figure 2021004350
一般式[3]中、Y及びYは、それぞれ独立に、一価の官能基を表す。さらに、mは2〜6の整数であり、フルオロカーボン部位の数を表す。さらに、q及びrは、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、一価の官能基の数を表す。
フルオロアルキルシランは、皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性、さらに耐久性に優れたフルオロアルキル鎖を有する為、得られる被膜の耐久性の向上に効果を奏する。また、前記フルオロアルキルシランの分子中にフルオロカーボン部位(CF又はCF)の数が2〜6であるパーフルオロアルキル基(CF(CFt−1−)またはパーフルオロアルキレン基(−(CF−)を有するものが用いられる。フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が増加すると、得られる防汚性被膜の耐久性が増加する。ここで、前記t 、及びu は整数を表し、前記「−」は結合手を示している。
一般式[2]及び一般式[3]のフルオロアルキルシランにおける一価の官能基の種類としては、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基、塩素原子又はイソシアネート基(−NCO、「−」は結合手を表す。)等である。当該アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等である。
前記フルオロアルキルシランの具体的な化合物としては、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF24CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF24CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF24CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF23CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF23CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF22CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF22CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF22CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3CF2CH2CH2Si(OCH33、CF3CF2CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3CF2CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF25CH2CH2SiCl3、CF3(CF25CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF24CH2CH2SiCl3、CF3(CF24CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF24CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF23CH2CH2SiCl3、CF3(CF23CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF23CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF22CH2CH2SiCl3、CF3(CF22CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF22CH2CH2Si(CH32Cl、CF3CF2CH2CH2SiCl3、CF3CF2CH2CH2SiCH3Cl2、CF3CF2CH2CH2Si(CH32Cl等のものが使用でき、さらに、両側末端に加水分解可能な官能基を有するフルオロアルキルシランとしては、(CH3O)3SiCH2CH2(CF26CH2CH2Si(OCH33、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF26CH2CH2SiCH3(OCH32、CH3O(CH32SiCH2CH2(CF26CH2CH2Si(CH32OCH3、(CH3O)3SiCH2CH2(CF24CH2CH2Si(OCH33、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF24CH2CH2SiCH3(OCH32、CH3O(CH32SiCH2CH2(CF24CH2CH2Si(CH32OCH3、(CH3O)3SiCH2CH2(CF22CH2CH2Si(OCH33、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF22CH2CH2SiCH3(OCH32、CH3O(CH32SiCH2CH2(CF22CH2CH2Si(CH32OCH3、Cl3SiCH2CH2(CF2)6CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF26CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH32SiCH2CH2(CF26CH2CH2Si(CH3)Cl2、Cl3SiCH2CH2(CF24CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF24CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH32SiCH2CH2(CF24CH2CH2Si(CH3)Cl2、Cl3SiCH2CH2(CF22CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF22CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH32SiCH2CH2(CF22CH2CH2Si(CH3)Cl2等のものが使用できる。
次に、防汚剤の種類として、フルオロカーボン部位(CF又はCF)を有するパーフルオロポリエーテルについて説明する。パーフルオロポリエーテルとしては、下記一般式[4]〜一般式[6]で表されるものが用いられる。
Figure 2021004350
一般式[4]中、Rfは、式:−CpFpO−(pは1〜6の整数である。)で表される構造、または、−CqFq−(qは1〜8の整数である。)で表される構造である。Zは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基を表し、具体的な基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等である。Rは炭素数が1〜10のアルキル基であり、aは1〜3の整数である。n及びn′はそれぞれ1〜5の整数、m及びm′はそれぞれ0〜2の整数である。
Figure 2021004350
一般式[5]中、rは1〜200の整数、Zは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基を表し、具体的な基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等である。
Figure 2021004350
一般式[6]中、sは1〜100の整数、tは1〜10の整数を表す。Zは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基を表し、具体的な基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等である。
これらのパーフルオロポリエーテルについても、前記フルオロアルキルシランと同様、皮脂成分、指紋、水垢等の汚れ成分に対する防汚性および除去性、さらに耐久性に優れたフルオロアルキル鎖を有するので、得られる被膜の耐久性の向上に効果を奏する。
前記防汚剤のうち、フルオロアルキルシランにおける一価の官能基、及び、パーフルオロポリエーテル中のアルコキシ基は、加水分解が可能な官能基として作用し得る。ただし、これらの基の加水分解の反応性が高すぎると、防汚液を調製する際、取扱いが難しくなるだけでなく、防汚液が有利な効果を奏する時間(可使時間;ポットライフ)が短くなる場合がある。一方、反応性が低すぎると、加水分解反応が十分進行しなくなり、生成するシラノール基の量が十分な量ではなくなるため、防汚性被膜の結合が不十分となり、被膜の耐久性が低くなることがある。
これらのうち、取扱いの容易さ、処理剤のポットライフ、得られる防汚性被膜の耐久性を考慮すると、官能基としては炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、中でもメトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
また、防汚剤の総量は、防汚液中のポリウレタン組成分に対し、質量濃度で0.5〜10質量%含有することが重要である。0.5質量%未満では、得られる被膜の耐久性が低下する場合がある。一方、10質量%を超える場合では、余剰分の除去性が低下し、防汚剤の塗布・乾燥後の余剰分の除去工程において、紙タオル、布等を用いる手作業による払拭時間に影響を与える場合があるため、被膜の耐久性をより高いものとし、防汚剤の塗布・乾燥後の余剰分の除去を容易なものとするためには、2.0〜5.0質量%とすることが好ましい。
防汚液の調製に用いる溶媒や、短鎖ポリオールの種類についても、前述したものと同様の種類を用いることができる為、ここでは詳細な繰り返しの記載を省略する。
なお、防汚液の調製に用いられる短鎖ポリオールは、ポリウレタン組成物中に、5〜20質量%、好ましくは、4質量%〜6質量%8〜12質量%含まれるものとしてもよい。この範囲だと、前記被膜の吸水性と、硬度とのバランスを図りやすくなる。また、前記イソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基数(NCO)と、短鎖ポリオールの水酸基数(OH)との比については、前記の防曇性物品に係るポリウレタン組成物のそれの比と同様、NCO/OHにおいて、1.5〜3、好ましくは、2.0〜2.5としてよい。なお、NCO/OHの比は、ポリウレタン組成物中に存在する、NCO数と、OH数と、反応によって変性したNCO数と、OH数とが合算されて計算されたものである。
次に、得られた防汚液を使用して、防曇性被膜に防汚液をコーティングして防汚性被膜を形成する方法について説明する。本発明においては、防曇性物品のポリウレタン被膜の主面に、後述する塗布方法で防汚液をコーティングした後、塗布後の塗膜(防汚液)を硬化(熱処理)させる工程を、後述する工程(プラズマ照射、プライマー処理)を適宜組み合わせることにより行う。
防汚液を防曇性被膜に塗布する塗布方法としては、前述した防曇性物品の製造例で述べた塗布液の基材への塗布方法と同様、ディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等を適宜採用し得る。
なお、本発明の塗布方法の一つであるスプレーによる塗布方法では、ロボットや人間の手等で基材に防汚液を噴霧し、防曇性被膜上に防汚液を塗着させる。防汚性被膜の膜厚は、防曇性被膜の防曇機能を良好に保つように形成すれば良く、通常、50〜1,000nmを目安に塗布するのが良い。塗布する工程の作業効率性、並びに防曇性機能と防汚性機能の両立との観点から、好ましくは70〜500nm、より好ましくは80〜300nmである。
本発明において、防曇性被膜への防汚液のコーティングの前に、防曇性被膜の表面に活性基を発生させる処理を行う、すなわち、各種研磨液による研磨・洗浄・乾燥、酸性溶液または塩基性溶液による表面改質処理、プラズマ照射、コロナ放電、高圧水銀灯照射等の処理を組み合わせることが好ましい。
中でも、後述の実施例で示すように、プラズマ照射は、表面にヒドロキシ基(OH基)を導入することで、プライマーを介して防汚性被膜との結合をさらに強くすることができる為、特に好ましい方法である。
なお、防曇性被膜と防汚性被膜との密着性を更に向上させるため、防曇性被膜にプライマー処理を行う、すなわち、シランカップリング剤を塗布する工程(プライマー層を形成する工程)を組み合わせることが極めて好ましい。プライマーについては前記で述べたシランカップリング剤を用いることができる(シランカップリング剤の種類や調製については前記に記載の内容を適用することができる)。なお、プライマー処理は、前記表面改質処理、プラズマ照射、コロナ放電、高圧水銀灯照射等の処理の前でも、後でも良く、当業者が適宜調整できる。プライマー処理を行った後は、適宜水洗、乾燥工程を組み合わせても良い。
次に、防汚液を塗布した後、塗布後の基材から溶媒を蒸散させ、前記ポリウレタン組成物を硬化する工程を行うことで、防汚性被膜が形成された防曇性物品が得られる。硬化する工程は、170℃以下の熱処理で、前記ポリウレタン組成物の硬化と共に溶媒の蒸散がなされ、塗膜が固化されて防汚性被膜となる。ウレタン組成物の硬化を促進させるためには、80℃〜170℃で熱処理を行うことが好ましい。なお、熱処理の時間は特に制限はなく、当業者が適宜調整できる。
また、熱処理後、防汚性被膜の表面を均一にする為(防汚液塗布後の余剰分を取り除く為)、紙タオルや布を、必要に応じて有機溶媒で湿らせた後、表面を払拭する作業を組み合わせることができる。これらの方法により、防曇性被膜上に防汚性被膜が形成され、防曇性と防汚性を兼ね備えた防曇性物品が得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はかかる実施例に限定されるものでない。
本実施例及び比較例では、防曇性物品を形成するための塗布液を調製し、基材上に塗布された塗布液からなる塗膜を熱処理し、ポリウレタン組成物を硬化して防曇性被膜とすることで、防曇性物品を作製した。該塗布液の調製方法及び防曇性物品の製造方法は後述の通りである。また、防汚液の調製方法及び防汚性被膜の形成方法については、後述の実施例に示す方法で行った(詳細は後述する)。次に、得られた防曇性物品及び防汚防曇性物品について、以下に示す方法により品質評価を行った。
〔外観評価〕:防曇性被膜の外観、透過性、クラックの有無を目視で評価し、問題ないものを合格(○)、問題のあったものを不合格(×)とした。
〔被膜の膜厚〕:防曇性被膜の膜厚は、被膜表面にカッターで切り込みを入れ、被膜表面と基材表面の段差を表面粗さ計(小坂研究所社製 Surfcorder ET−4000A)で測定し、5点の平均値を被膜の膜厚とした。
〔防曇性評価〕:温度10℃、湿度30%の室内において、防曇性物品の該被膜面に対し、15℃の飽和水蒸気を暴露させる。被膜面が曇り始めた時間を被膜の防曇時間とし、防曇時間が7分30秒を超えたものを合格(○)、超えなかったものを不合格(×)とした。
〔単位膜厚当たりの飽和吸水量〕:温度10℃、湿度30%の室内において、防曇性物品の該被膜面に対し、25℃の飽和水蒸気を被膜面が全て曇るまで暴露させる。その後、紙タオル(商品名「キムタオル」、380mm×380mm、日本製紙クレシア製)で被膜面の曇りを軽く払拭し、暴露前後の重量変化を測定する。このときの重量変化を被膜面積及び膜厚で割った値を単位膜厚当たりの飽和吸水量とし、飽和吸水量が20μg/μm・cmを超えたものを合格(○)、超えなかったものを不合格(×)とした。
〔鉛筆硬度〕:”JIS K 5600 塗料一般試験方法(1999)”に準拠して、荷重750gが負荷された鉛筆で膜表面を2回引っ掻き、2回とも膜の破れが無かった鉛筆の硬度を膜の鉛筆硬度とした。
次に、水接触角の測定及び水垢除去性能の各指標を用いて、防汚性被膜に対する防汚性の評価を行った。
〔水接触角の測定〕:防曇性物品の該被膜面に、純水約2μlを置いたときの水滴とサンプル表面とのなす角を接触角計で測定した。尚、接触角計には協和界面科学製DM−501型を用い、大気中(約25℃)で測定した。初期接触角において、接触角が90°以上を合格(表中で○と表記)、90°未満を防汚性能不足とし、不合格(表中で×と表記)とした。
〔水垢除去性能〕:水平に置いた防曇性物品の該被膜面に対し、水道水をスプレー噴霧し、60℃で1時間乾燥させた後に、タオルで乾拭きし、水垢の除去を試みた。乾拭き後の基材を目視観察し、水垢を除去できたものを合格(○)とし、水垢を除去出来なかったものは不合格(×)とした。
〔耐熱性能〕:温度80℃の室内において、240時間保管した後の外観を目視で評価し、問題ないものを合格(○)、問題のあったものを不合格(×)とした。
[実施例1]
(1)防曇塗布液の調製
第一イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートのダイマータイプのポリイソシアネート(商品名「デスモジュールN3400」住化コベストロウレタン製)21.60gを準備した。これを薬剤A(第一イソシアネート)とする。同様にして、第二イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートタイプのポリイソシアネート(商品名「デスモジュールN3580BA」住化コベストロウレタン製)2.40gを準備した。これを薬剤B(第二イソシアネート)とする。
なお、上記薬剤Aと薬剤Bとの総量において、両イソシアネート化合物は、質量比(以降、「N3400:N3580BA比」と記載する場合がある)で、「N3400:N3580BA=9:1」であった。尚、前記第一、第二イソシアネートのイソシアネート(NCOと表記される場合有)基の官能基数(NCO官能基数と表記される場合有)、平均官能基数は、表1に示されたとおりである。
Figure 2021004350
また、以下にあげる各成分が、以下の指定量で混合され、総量76.08gの薬剤Cが得られた。
<溶媒>
酢酸イソブチルとジアセトンアルコールと酢酸イソプロピルとの混合液;54.13g、アセチルアセトン;1.8g、
<吸水性ポリオール>
数平均分子量4000のオキシエチレン/オキシプロピレン共重合ポリオール(商品名「トーホーポリオールPB−4000」;東邦化学工業製);8g、
数平均分子量1000のポリエチレングリコール;1.28g、
<アクリルポリオール>
数平均分子量18000のアクリルポリオールを45.0質量%有する混合溶液(商品名「アクリディック 47−538−BA」;DIC株式会社製);10.67g、
<短鎖ポリオール>
2,3−ブタンジオール(東京化成製);1.92g、
<レベリング剤>
ポリジメチルシロキサン系レベリング剤のBYK−301(BYK−Chemie製);0.08g
前記溶剤Cにおいて、オキシエチレン/オキシプロピレン共重合体と、アクリルポリオールと、2,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコールとは、固形分比(以降、「EOPO:AP:2,3−BD:PEG1000比」と記載する場合がある)で、「EOPO:AP:2,3−BD:PEG1000=50:30:12:8」であった。
上記の薬剤Aと薬剤Bと薬剤Cとを混合し、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート(以下、DBTDL)0.04gを添加することで、100.12gの塗布液が調製された。
(1)防曇塗布液の調製
前記塗布液の総量を100質量%としたとき、前記塗布液中のポリウレタン組成物は、40質量%であった。また、前記レベリング剤は、前記ポリウレタン組成物に対し、質量比で0.0008倍量であった。また、前記塗布液の原料ベースで、イソシアネート基の数は、ポリオール中の水酸基の数に対して2.2倍量であった(表1では「NCO/OH比」として記載されている)。本塗布液において、イソシアネート化合物は、ポリウレタン組成物の総量100質量%に対して60質量%含まれている。
(2)基材の準備
矩形状で、サイズが200mm×300mm×5mm(厚さ)のソーダライムガラス板の裏面に通常の方法で銀膜を形成して、鏡を準備した。89gのイオン交換水と、10gのプロパノールとの混合溶液と、シランカップリング剤の、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(東京化成製)1gとの混合溶液を準備した。該混合溶液を染み込ませたセルロース繊維からなるワイパー(商品名「ベンコット」、型式M−1、50mm×50mm、小津産業製)で、前記鏡のガラス表面を払拭し、その後、水洗して、プライマー層が形成された鏡を基材として準備した。
(3)防曇性物品の形成
該基材のプライマー層が形成された主面に、前記塗布液をスピンコートにより塗布して塗膜を形成し、その後、約150℃で約10分間熱処理することにより、膜厚30μmの防曇性被膜が形成された防曇性物品を得た。本実施例の防曇性物品の評価結果は、表1に示すとおり良好なものであった。
[実施例2]
膜厚を50μmとした以外は、実施例1と同様の操作をし、防曇性物品を得た。本実施例の防曇性物品の評価結果は、表1に示すとおり良好なものであった。
[実施例3〜4]
表1に示すとおり、実施例1の第一イソシアネートと第二イソシアネートの質量%比を変えることで、イソシアネート基の平均官能基数を変えた以外は実施例1と同様の操作をし、防曇性物品を得た。本実施例の防曇性物品の評価結果は、表1に示すとおり良好なものであった。
[比較例1〜4]
第二イソシアネート化合物を用いず、さらには、第一イソシアネート化合物の種類を変えた以外は実施例1と同様の操作をし、防曇性物品を得た。本比較例では、イソシアネート基の平均官能基数は、第一イソシアネート基の官能基数と同じとなる。本比較例の防曇性物品の評価結果は、表1に示すとおり、いずれかの評価にて実施例よりも劣るものであった。本比較例で使用されたイソシアネート化合物は表2に示すとおりである。
Figure 2021004350
[比較例5]
第一イソシアネートのイソシアネート基の官能基数が3.3のものとし、イソシアネート基の平均官能基数を3.4とした以外は、実施例1と同様の操作をし、防曇性物品を得た。本比較例の防曇性物品の評価結果は、表1に示すとおり、防曇性が劣るものであった。
[比較例6]
第二イソシアネートのイソシアネート基の官能基数が3.3のものとし、イソシアネート基の平均官能基数を2.5とした以外は、実施例1と同様の操作をし、防曇性物品を得た。本比較例の防曇性物品の評価結果は、表1に示すとおり、防曇性が劣るものであった。
[比較例7〜8]
表1に示すとおりに防曇性被膜の膜厚を変えた以外は、実施例1と同様の操作をし、防曇性物品を得た。比較例9の防曇性物品は、防曇性が劣り、比較例10の防曇性物品は鉛筆硬度が低いものであった。
[実施例5]
(1)防汚液の調製
イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネートタイプのポリイソシアネート(商品名「デスモジュールN3580BA」住化コベストロウレタン製)4.60gを準備した。これを薬剤D(イソシアネート)とする。
また、以下にあげる各成分が、以下の指定量で混合され、総量95.40gの薬剤Eが得られた。
<溶媒>
酢酸イソブチル;94.98g、
<短鎖ポリオール>
2,3−ブタンジオール(東京化成製);0.32g、
<防汚剤>
末端ジオール変性のポリジメチルシロキサン(商品名「X−22−176F」信越化学工業製);0.10g
上記の薬剤Dと薬剤Eを混合し、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート(以下、DBTDL)0.04gを添加することで、100.04gの防汚液が調製された。
前記防汚液の総量を100質量%としたとき、前記防汚液中のポリウレタン組成物は、4質量%であった。また、前記防汚剤は、前記ポリウレタン組成物に対し、質量比で0.025倍量であった。また、前記塗布液の原料ベースで、イソシアネート基の数は、ポリオール中の水酸基の数に対して2.4倍量であった(表1では「NCO/OH比」として記載されている)。本防汚液において、イソシアネート化合物は、ポリウレタン組成物の総量100質量%に対して92.1質量%含まれている。
(2)防汚防曇性物品の形成
実施例1で作製した防曇性物品の該被膜面に対して、エアープラズマ表面処理装置(春日電機製APW−1200f)を用いてプラズマ処理した。89gのイオン交換水と、10gのプロパノールとの混合溶液と、シランカップリング剤の、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(東京化成製)1gとの混合溶液を準備した。該混合溶液を染み込ませたセルロース繊維からなるワイパー(商品名「ベンコット」、型式M−1、50mm×50mm、小津産業製)で、前記防曇性物品のプラズマ処理をした該被膜面を払拭し、その後、水洗して、プライマー層が形成された防曇性物品を準備した。プライマー層が形成された主面に、前記防汚液をスピンコートにより塗布して塗膜を形成し、その後、約150℃で約10分間熱処理することにより、膜厚100nmの防汚性被膜が形成された防汚防曇性物品を得た。本実施例の防汚防曇性物品の評価結果は、表3に示すとおり良好なものであった。
[実施例6]
イソシアネートのイソシアネート基の官能基数が3.3のものとした以外は、実施例5と同様の操作をし、防汚防曇性物品を得た。本実施例の防曇性物品の評価結果は、表3に示すとおり良好なものであった。
[実施例7]
防汚剤を末端アルコキシ変性のパーフルオロポリエーテル(商品名「KY−108」信越化学工業製)のものとした以外は、実施例6と同様の操作をし、防汚防曇性物品を得た。本実施例の防曇性物品の評価結果は、表3に示すとおり良好なものであった。
[実施例8]
防汚塗布液の塗布物品に実施例2で作製した防曇性物品の該被膜面とした以外は、実施例6と同様の操作をし、防汚防曇性物品を得た。本実施例の防曇性物品の評価結果は、表3に示すとおり良好なものであった。
以上、実施例5〜8で示すように、防汚性被膜を形成したにも関わらず、防汚防曇性物品は良好な防曇性を有した。実施例1〜4と比べても単位膜厚当たりの飽和吸水量も概ね良好であった。この結果は、防汚性被膜としてポリウレタン組成物からなる被膜であり、防曇性被膜とほぼ同様の組成にすることで、水蒸気を透過し易く、防曇性被膜の吸水性能の低下が軽減されたものと推測される。
[比較例9]
防汚液に実施例1に記載のプライマー層が形成された鏡基材に塗布したした以外は実施例6と同様の操作をし、防汚性物品を得た。本比較例の防汚性物品の評価結果は、表3に示すとおり、防曇性と飽和吸水量において実施例よりも劣るものであった。
Figure 2021004350
[実施例9]
実施例1で調製した防曇塗布液に、添加剤として、ヒンダードアミン系光安定剤(商品名「アデカスタブ LA−72」;株式会社ADEKA)を0.4g添加した。前記光安定剤は、ポリウレタン組成物の総量100質量%に対し、1.0質量%であった。このように調整した塗布液を用いて、実施例1と同様の操作で、防曇性物品を得た。さらに、実施例5と同様の操作で、防汚防曇性物品を得た。本実施例の防汚防曇性物品の評価結果は、表4に示すとおり良好なものであった。
[実施例10〜11]
ヒンダードアミン系光安定剤(商品名「アデカスタブ LA−72」;株式会社ADEKA)の添加量をポリウレタン組成物の総量100質量%に対し、0.2または5.0質量%とした以外は、実施例9と同様の操作をし、防汚防曇性物品を得た。本実施例の防汚防曇性物品の評価結果は、表4に示すとおり良好なものであった。
Figure 2021004350
本発明の防曇性物品の使用例としては、建築用には、浴室用、洗面化粧台用等の鏡、窓ガラス等、車両、船舶、航空機等には、窓ガラスあるいは鏡、具体的にはルームミラー、ドアミラー等があげられ、その他に眼鏡やカメラ等のレンズ、ゴーグル、ヘルメットシールド、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、試験機、精密機器ケース等の開口部やのぞき窓、道路反射鏡、携帯電話等の移動通信体のディスプレー等があげられる。

Claims (15)

  1. イソシアネート化合物と、オキシエチレンユニットを繰返し単位として備える、吸水性ポリオールと、アクリルポリオールとを含むポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン被膜と、
    該被膜を主面上に備える基材と、を備える、前記ポリウレタン被膜の吸水性に基づく防曇性物品であって、
    前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の官能基数が1.0〜3.0の第一イソシアネート化合物と、イソシアネート基の官能基数が4.2〜8.0の第二イソシアネート化合物とを含み、イソシアネート基の平均官能基数が、2.4〜5.0であり、
    前記ポリウレタン被膜において、
    膜厚は20μm〜50μmで、
    鉛筆硬度は2H以上で、
    厚さ1μm・1cmあたりの飽和吸水量が、20μg以上である、
    前記防曇性物品。
  2. 前記ポリウレタン組成物は、オキシエチレンユニットを、15質量%〜25質量%含む、請求項1に記載の防曇性物品。
  3. 前記吸水性ポリオールが、ポリエチレングリコールと、オキシエチレンとオキシプロピレンの共重合ポリオールとを含む、請求項1又は2に記載の防曇性物品。
  4. 前記ポリウレタン組成物は、前記アクリルポリオールを、10質量%〜15質量%含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の防曇性物品。
  5. イソシアネート化合物のイソシアネート基の官能基数(NCO)と、ポリオールの水酸基数(OH)とが、NCO/OHにおいて、1.5〜3である、請求項1乃至4に記載の防曇性物品。
  6. 前記ポリウレタン組成物は、短鎖ポリオールを含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の防曇性物品。
  7. 前記基材はガラス基材であり、該基材の主面は、アミノ基を有するシランカップリング剤が塗布されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の防曇性物品。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の防曇性物品において、該防曇性物品のポリウレタン被膜上に、イソシアネート化合物と、短鎖ポリオールと、防汚剤とを含む組成物の硬化物からなるポリウレタン組成物の被膜が更に形成されている、請求項1乃至7の何れかに記載の防曇性物品。
  9. 防汚剤が、ジメチルシロキサン部位(Si(CHO)の数が5〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロカーボン部位(CF又はCF)を有するフルオロアルキルシラン、またはフルオロカーボン部位(CF又はCF)を有するパーフルオロポリエーテルである、請求項8に記載の防曇性物品。
  10. 防曇性物品のポリウレタン被膜上に、シランカップリング剤が塗布されている、請求項8または9に記載の防曇性物品。
  11. ポリウレタン組成物の被膜の形成が、防曇性物品に防汚性の機能を付与したものである、請求項8乃至10の何れかに記載の防曇性物品。
  12. イソシアネート化合物と、オキシエチレンユニットを繰返し単位として備える、吸水性ポリオールと、アクリルポリオールとを含むポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン被膜と、
    該被膜を主面上に備える基材と、を備える、前記ポリウレタン被膜の吸水性に基づく防曇性物品の製造方法であって、
    基材を準備する工程と、
    前記ポリウレタン組成物と、溶媒とからなる塗布液と、を準備する工程と、
    前記基材の主面に、前記塗布液を塗布し、塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜から溶媒を蒸散させ、前記ポリウレタン組成物を硬化する工程と、を備え、
    前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の官能基数が1.0〜3.0の第一イソシアネート化合物と、イソシアネート基の官能基数が4.2〜8.0の第二イソシアネート化合物とを含み、イソシアネート基の平均官能基数が、2.4〜5.0である、
    前記防曇性物品の製造方法。
  13. 請求項12に記載の方法で製造した防曇性物品の、該防曇性物品のポリウレタン被膜の主面に、
    イソシアネート化合物と、短鎖ポリオールと、防汚剤と、溶媒とを含む組成物の溶液(防汚液)を塗布し、塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜から溶媒を蒸散させ、前記組成物を硬化する工程と、
    を更に含む、請求項12に記載の防曇性物品の製造方法。
  14. 前記防曇性物品のポリウレタン被膜の主面に前記塗膜を形成する前に、予めプラズマ照射を行う、請求項13に記載の防曇性物品の製造方法。
  15. 前記防曇性物品のポリウレタン被膜の主面に前記塗膜を形成する前に、予めシランカップリング剤を塗布する工程を含む、請求項13または14に記載の防曇性物品の製造方法。
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