JP2005200413A - N−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶 - Google Patents
N−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 CuKα線による粉末X線回折において、20.0〜23.0°の回折角度(2θ±0.3°)に主ピークを有し、水分含量が0.01〜3.4重量%のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶。該結晶は、N−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の水溶液を造粒、乾燥して得た粉末に加湿処理を施してN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩を転移晶析させ、次いで、当該N−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶を結晶質から非晶質への相転移温度以下の温度で乾燥することによって製造され、水への溶解性、泡立ち性及び耐固結性に優れた性質を有する。
【選択図】 なし
Description
に調整した粉末が記載されている。しかし、該技術によって飛散性及び溶解性はある程度改善されたが、依然として長期保存時の固結性の課題は解決されず残されていた。
(1)CuKα線による粉末X線回折において、20.0〜23.0°の回折角度(2θ±0.3°)に主ピークを有し、水分含量が0.01〜3.4重量%であるN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶。
(2)N−長鎖アシルグルタミン酸のアシル基が、カプリル酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸及び硬化牛脂脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上を由来とするアシル基である、(1)に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶。
(3)塩がナトリウム塩、カリウム塩、アルギニン塩又はリジン塩である、(1)又は(2)に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶。
(4)水分含量が3.5〜20重量%のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩を、結晶質から非晶質への相転移温度以下の温度で乾燥することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶の製造方法。
(5)N−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩を含有する溶液を可及的に乾燥した後、該乾燥品を水分含量が3.5〜20重量%まで吸水させ、ついで、結晶質から非晶質への相転移温度以下の温度で乾燥することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶の製造方法。
(6)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶、又はその粉砕物を含有する洗浄料組成物。
(7)粉末状の洗浄料組成物である、(6)に記載の洗浄料組成物。
(8)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶、又はその粉砕物を含有する皮膚及び/又は毛髪用の化粧料組成物。
相転移温度以下の温度による乾燥に移行する目安としての水分含量は、3.5〜20重量%程度が通常選ばれ、乾燥効率の向上と発泡性を低減できる等の観点から3.5〜15重量%とするのが好ましく、3.5〜10重量%がより好ましい。該製法においては、造粒、乾燥も50〜100℃程度の温度下で行うのが好ましい。温度が100℃を超えると、非晶質への転移を生じやすくなり、温度が50℃未満では、乾燥効率が低く、付着等を生じるため好ましくない。
用途に応じた所望の粒径とするために、必要に応じて粉砕して用いることができる。
[CuKα線による粉末X線回折分析]
粉末X線回折装置(フィリップス社製、PW3050)により、対陰極CuKα(1.5405Å)、40KV、55mA(電圧、電流)、サンプリング幅0.020°、走査速度3.0°/min、測定回折
角範囲(2θ):5〜50°の条件で測定した。ピークサーチは、回折装置付属のソフトウエ
アのピークサーチ機能を利用し、「最小有意度=1.00、最小ピークチップ=0.01°、最大ピークチップ=1.00°、ピークベース幅=2.00°、方法=2次微分の最小値」の条件で行
った。
示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、DSC6200)により、25℃〜140℃まで2℃/分で昇温したときの吸熱ピーク温度(相転移温度)を測定した。セルは銀製の完全密閉セルを使用した。
N−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の粉末の水分含量を、カール・フィッシャー法(三菱化学(株)製、水分気化装置VA−06型)により測定して求めた。
水170gにL-グルタミン酸ナトリウム1水和物175g(0.94mol)を加え、27%NaOH水溶液
でpH11に調整し、そこにアセトン150gを加え、さらに、この溶液にカプロイルクロライ
ド171.0g(0.90mol)をゆっくり添加した。この時、反応液のpHは11を維持するように27%NaOH水溶液を同時に添加し、反応温度は10℃を保つようにした。酸クロライド添加後、
温度、pHを更に維持しながら30分攪拌した。その後、反応液に75%硫酸を加え、カプロイルグルタミン酸を析出させ、減圧濾過して取り上げた。得られた結晶は、595g(約55%含
水)であった。次に、この結晶をNaOH、水で溶解し(酸価120に調整)、濃度30%の水溶液とした。この液をスプレードライヤーで乾燥し(液入口温度:140℃、粉出口温度:90℃
)、次いで温度40℃、湿度60%下で粉末の水分含量が7%程度になるまで吸湿させた。そ
の後、吸湿粉体を50℃以下で真空乾燥し、水分含量1.1%の白色固体粉末約290gを得た。
実施例1と同様の操作でヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム(実施例2)、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム(実施例3)、ミリストイルグルタミン酸カリウム(実施例4)、パルミトイル/ステアロイル(3/7)グルタミン酸ナトリウム(実施例5)を得た。得られた白色固体粉末につき、水分含量の測定、CuKα線による粉末X線回折
分析、平均粒径の測定及び示差走査熱量計(DSC)による相転移温度(吸熱ピーク温度)の測定を行った。
実施例1と同様の操作でパーム脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム液を調製(但し、アシル化反応は15℃で行った)した後、流動造粒乾燥機で水分含量が7%程度となるまで乾燥した。その後、この粉末を50℃で真空乾燥して目的物を得た。この水分含量の測定とCuKα線による粉末X線回折分析を行った。また、示差走査熱量計(DSC)による相転移温度(吸熱ピーク温度)の測定を行った。
実施例1のスプレードライヤー乾燥品。
水分含量の測定とCuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、回折ピークは認められず、水分含量1.4%の非晶質粉末であった。
実施例2のスプレードライヤー乾燥品。
水分含量の測定とCuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、回折ピークは認められず、水分含量0.9%の非晶質粉末であった。
市販のN−ミリストイルグルタミン酸ナトリウム(味の素(株)製「アミソフト」MS-11 スプレードライ品)。
水分含量の測定とCuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、回折ピークは認められず、水分含量1.5%の非晶質粉末であった。
市販のN−ミリストイルグルタミン酸カリウム(味の素(株)製「アミソフト」MK-11
スプレードライ品)。
水分含量の測定とCuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、回折ピークは認められず、水分含量0.5%の非晶質粉末であった。
市販のN−パルミトイル/ステアロイル(3/7)グルタミン酸ナトリウム(味の素(株)製「アミソフト」HS-11P スプレードライ品)。
水分含量の測定とCuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、回折ピークは認められず、水分含量1.3%の非晶質粉末であった。
市販のパーム脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム(味の素(株)製「アミソフト」GS-11P スプレードライ品)。
水分含量の測定とCuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、回折ピークは認められず、水分含量2.0%の非晶質粉末であった。
比較例6の「アミソフト」GS-11Pを、シャーレに入れ、温度40℃、湿度60%RHの恒温恒
湿下で5時間保存した。
水分含量の測定とCuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、水分含量は6.9%で、回折角度21.6°において特徴的な回折ピークを示した。
市販のN―ラウロイルグルタミン酸ナトリウム(味の素(株)製「アミソフト」LS-11 スプレードライ品)をシャーレに入れ、温度40℃、湿度60%RHの恒温恒湿下で10分間保
存した。
水分含量の測定と、CuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、水分含量は3.6%で、回折角度21.8°において特徴的な回折ピークを示した。
市販のパルミトイル/ステアロイルグルタミン酸ナトリウム(味の素(株)製「アミソフト」HS-11P スプレードライ品)をシャーレに入れ、温度40℃、湿度60%RHの恒温恒湿
下で8分間保存した。
水分含量の測定と、CuKα線による粉末X線回折分析を行ったところ、回折ピークは認められず、水分含量は3.3%の非晶質粉末であった。
評価サンプル0.2gを手のひらにとり、水道水2.0gを加え、指で20回混合した後の状態を目視により評価した。専門パネル3名が下記の評価基準で評価し、3名の評価点の平均値を算出し、1点以上2点未満を×、2点以上3点未満を△、3点以上4点未満を○、4点を◎として表1に示した。
<評価基準>
1点:大きな凝集物が残る
2点:やや溶け残る
3点:均一に溶解する
4点:素早く溶解する
評価サンプル0.2gを手のひらにとり、水道水2.0gを加え、指で20回混合した後の状態を目視により評価した。専門パネル3名が下記の評価基準で評価し、3名の評価点の平均値を算出し、1点以上2点未満を×、2点以上3点未満を△、3点を○として表1に示した。
<評価基準>
1点:泡立たない
2点:泡立つが量・質ともに十分でない
3点:満足する泡立ちが得られる
目視による観察および崩壊圧の測定から行った。
内径40mmの円柱に試料粉末25gを入れ、770gの錘を乗せた後、装置一式をビニールに入れて恒温槽(50℃)で24時間保存した。24時間後の粉の状態を目視により観察し、固結が認められたものを×、固結が認められなかったものを○で評価した。
観察を行った粉体に硬度計((株)藤原製作所社製、FRUIT HARDNESS TESTER)を用い
て崩壊時の圧力を測定した(※崩壊圧力が大きいほど固結していることを意味する)。
水分量の測定は、カール・フィッシャー法により測定した。装置は、三菱化学(株)製、水分気化装置(VA−06型)を使用した。
N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 18.0
N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム 12.0
タルク 10.0
マンニトール 20.0
でんぷん 40.0
合計 100.0
N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 6.0
N−パーム脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム 4.0
ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム 20.0
タルク 10.0
マンニトール 20.0
でんぷん 40.0
合計 100.0
N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 12.0
N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム 8.0
ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム 10.0
タルク 10.0
マンニトール 20.0
でんぷん 39.8
メチルパラベン 0.2
合計 100.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム 23.0
N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム 4.0
塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.2
タルク 10.0
ソルビトール 20.0
でんぷん 39.5
アラントイン 0.1
メチルパラベン 0.2
合計 100.0
Claims (8)
- CuKα線による粉末X線回折において、20.0〜23.0°の回折角度(2θ±0.3°)に主ピークを有し、水分含量が0.01〜3.4重量%であるN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶。
- N−長鎖アシルグルタミン酸のアシル基が、カプリル酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸及び硬化牛脂脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上を由来とするアシル基である、請求項1に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶。
- 塩がナトリウム塩、カリウム塩、アルギニン塩又はリジン塩である、請求項1又は2に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶。
- 水分含量が3.5〜20重量%のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩を、結晶質から非晶質への相転移温度以下の温度で乾燥することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶の製造方法。
- N−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩を含有する溶液を可及的に脱水乾燥した後、該乾燥品を水分含量が3.5〜20重量%まで吸水させ、ついで、結晶質から非晶質への相転移温度以下の温度で乾燥することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶、又はその粉砕物を含有する洗浄料組成物。
- 粉末状の洗浄料組成物である、請求項6に記載の洗浄料組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のN−長鎖アシルグルタミン酸及び/又はその塩の結晶、又はその粉砕物を含有する皮膚及び/又は毛髪用の化粧料組成物。
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