以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る基板処理装置1を示す平面図である。図2は、塗布ユニット2と制御部5とを示す斜視図である。なお、図1および図2において、図示および説明の都合上、Z軸方向が鉛直方向を表し、XY平面が水平面を表すものとして定義するが、それらは位置関係を把握するために便宜上定義するものであって、以下に説明する各方向を限定するものではない。以下の図についても同様である。
<全体構成>
本実施の形態における基板処理装置1は、塗布ユニット2、制御部5、搬送ユニット6、および待機ユニット7を備える。基板処理装置1は、液晶表示装置の画面パネルを製造するための角形ガラス基板を被処理基板(以下、単に「基板」と称する)90としている。なお、基板処理装置1は、液晶表示装置用のガラス基板だけでなく、一般に、フラットパネルディスプレイ用の種々の基板に処理液(薬液)を塗布する装置として変形利用することもできる。また、基板90の形状は、対向しない辺の長さが互いに異なる矩形となっており、以下の説明において、基板90の4辺を構成する4つの端部のうち短い方の端部2つを「短手端部」と称し、長い方の端部2つを「長手端部」と称する。
詳細は後述するが、基板処理装置1において、基板90は、まず待機ユニット7に搬送され、姿勢の決定が行われる。さらに、姿勢が決定された基板90を搬送ユニット6によって塗布ユニット2に搬送し、塗布ユニット2においてレジスト液が塗布される。なお、待機ユニット7の配置位置は、塗布ユニット2に対して所定の向きおよび位置となるように調整されている。
塗布ユニット2は、基板90の表面に形成された電極層などを選択的にエッチングするプロセスにおいて、基板90の表面に処理液としてのレジスト液を塗布する塗布処理装置として構成されている。したがって、この実施の形態では、スリットノズル41はレジスト液を吐出するようになっている。
塗布ユニット2は、基板90を載置して保持するための保持台として機能するとともに、付属する各機構の基台としても機能するステージ3を備える。ステージ3は直方体形状を有する例えば一体の石製であり、その上面(保持面30)および側面は平坦面に加工されている。
ステージ3の上面は水平面とされており、基板90の保持面30となっている。保持面30のうち基板90の保持エリア(基板90が保持される領域)を挟んだ両端部には、略水平方向に平行に伸びる一対の走行レール31が固設される。走行レール31は、架橋構造4の両端部の最下方に固設される図示しない支持ブロックとともに、架橋構造4の移動を案内し(移動方向を所定の方向に規定する)、架橋構造4を保持面30の上方に支持するリニアガイドを構成する。
保持面30において、保持エリアの(−X)方向側には、開口32が設けられている。開口32はスリットノズル41と同じくY軸方向に長手方向を有し、かつ該長手方向長さはスリットノズル41の長手方向長さとほぼ同じである。また、図2において図示を省略するが、開口32の下方の内部には、待機ポットと、ノズル洗浄機構と、プリ塗布機構とが設けられている。
保持面30には多数の真空吸着口33が分布して形成されており、塗布ユニット2の内部に設けられた真空ポンプ34と配管などを介して連通している。真空ポンプ34は、塗布ユニット2において基板90を処理する間駆動され、真空吸着口33から雰囲気を吸引することによって基板90を吸着する。これにより、保持面30が基板90を所定の水平位置に保持する。すなわち、真空吸着口33および真空ポンプ34が主に本発明における排気手段に相当する。
また、保持面30には、昇降機構36によって上下に昇降自在な複数のリフトピン35が、適宜の間隔をおいて設けられている。リフトピン35は、その先端部が基板90の裏面に当接し、昇降機構36によって昇降することにより、基板90を昇降させる機能を有する。すなわち、リフトピン35および昇降機構36が主に本発明における昇降手段に相当する。
ステージ3の上方には、このステージ3の両側部分から略水平に掛け渡された架橋構造4が設けられている。架橋構造4は、例えばカーボンファイバ補強樹脂を骨材とするノズル支持部40と、その両端を支持する昇降機構43,44とから主に構成される。
ノズル支持部40には、スリットノズル41とギャップセンサ42とが取り付けられている。Y軸方向に長手方向を有するスリットノズル41には、スリットノズル41にレジスト液を供給するための図示しない供給機構が接続されている。
スリットノズル41は、供給されたレジスト液を、先端に設けられたスリット状の吐出口からステージ3に保持された基板90の表面の所定の領域(以下、「レジスト塗布領域」と称する。)に吐出する。これにより、基板処理装置1は基板90にレジスト液を塗布する。ここで、レジスト塗布領域とは、基板90の表面のうちでレジスト液を塗布しようとする領域であって、通常、基板90の全面積から、端縁に沿った所定幅の領域を除いた領域である。
ギャップセンサ42は、スリットノズル41の近傍となるよう、ノズル支持部40に取り付けられ、下方の存在物(例えば、基板90の表面や、レジスト膜の表面)との間の高低差(ギャップ)を測定して、測定結果を制御部5に伝達する。これにより、制御部5はギャップセンサ42の測定結果に基づいて、上記存在物とスリットノズル41との距離を制御できる。
昇降機構43,44は、スリットノズル41の両側に分かれて、ノズル支持部40によりスリットノズル41と連結されている。昇降機構43,44は主にACサーボモータ43a,44aおよび図示しないボールネジからなり、制御部5からの制御信号に基づいて、架橋構造4の昇降駆動力を生成する。これにより、昇降機構43,44は、スリットノズル41を並進的に昇降させる。また、昇降機構43,44は、スリットノズル41のYZ平面内での姿勢を調整するためにも用いられる。さらに、ACサーボモータ43a,44aは、その回転量を検出して制御部5に出力する機能を有している。
架橋構造4の両端部には、ステージ3の両側の縁側に沿って、それぞれ固定子(ステータ)45aと移動子45bおよび固定子46aと移動子46bを備える一対のACコアレスリニアモータ(以下、単に、「リニアモータ」と略する。)45,46が、それぞれ固設される。また、架橋構造4の両端部には、それぞれスケール部と検出子とを備えたリニアエンコーダ47,48が、それぞれ固設される。リニアエンコーダ47,48は、リニアモータ45,46の位置を検出する。これらリニアモータ45,46とリニアエンコーダ47,48とによって、架橋構造4が走行レール31に案内されつつステージ3上を移動する。リニアエンコーダ47,48からの検出結果に基づいて、制御部5がリニアモータ45,46の動作を制御することにより、ステージ3上における架橋構造4の移動、つまりはスリットノズル41による基板90の走査が制御される。
制御部5は、プログラムに従って各種データを処理する演算部50、プログラムや各種データを保存する記憶部51を内部に備える。また、前面には、オペレータが基板処理装置1に対して必要な指示を入力するための操作部52、および各種データを表示する表示部53を備える。
なお、具体的には、データを一時的に記憶するRAM、読み取り専用のROM、および磁気ディスク装置などが記憶部51に該当する。あるいは、可搬性の光磁気ディスクやメモリーカードなどの記憶媒体、およびそれらの読み取り装置などであってもよい。また、操作部52には、ボタンおよびスイッチ類(キーボードやマウスなどを含む。)などが該当する。もしくは、タッチパネルディスプレイのように表示部53の機能を兼ね備えたものであってもよい。表示部53には、液晶ディスプレイや各種ランプなどが該当する。
図3は、待機ユニット7を示す平面図である。待機ユニット7は、待機ユニット7の各構成が取り付けられる基台70、コロ搬送部71、保持機構72、姿勢決定部73(73a,73b)、および一対のフォトセンサ74を備える。
コロ搬送部71は、X軸方向に沿って互いに略平行に配置される複数の回転軸部710と、回転軸部710に取り付けられる複数の支持部材711とから構成される。回転軸部710は、図示しない駆動モータによりX軸に沿った方向を軸として回転する。また、回転軸部710に対して固定された支持部材711は、基板90の裏面に当接することによって基板90を所定の高さ位置に支持するとともに、回転軸部710の回転に伴って、基板90をY軸方向に送り出す。このような構成により、コロ搬送部71は、基板90を所定の方向(Y軸方向)に移動させる。なお、制御部5は、所定のタイミングでコロ搬送部71を停止させることによって、基板90の停止位置(Y軸方向の位置)を決定する。
図4は、待機ユニット7の主に保持機構72に係る構成を示す側面図である。保持機構72は、テーブル720、支持ピン721、支柱部材722、昇降機構723、ベース724、回転軸725、回転モータ726、およびタイミングベルト727から構成される。
テーブル720は略矩形の板状の部材であって、待機ユニット7において略水平方向に配置されている。テーブル720の上面には4つの支持ピン721が設けられ、各支持ピン721の先端が基板90の裏面に当接することにより、保持機構72が基板90を所定の位置に保持することが可能とされている。なお、図3において、4つの支持ピン721のみ図示しているが、支持ピン721の数は4個に限られるものではない。
テーブル720の裏面中央部には支柱部材722がZ軸に沿う方向に取り付けられている。また、昇降機構723は、制御部5からの制御信号に応じて、支柱部材722をZ軸方向に昇降させる。この動作によって、支柱部材722に取り付けられているテーブル720は、下方位置と上方位置との間で昇降する。なお、本実施の形態において、下方位置とは、コロ搬送部71によって支持されている基板90に、支持ピン721が当接しないようにテーブル720が(−Z)方向に下降した位置である。すなわち、昇降機構723がテーブル720を下方位置に下降させることによって、基板90はコロ搬送部71による搬送が可能となる。また、上方位置とは、支持ピン721によって支持された基板90に搬送ユニット6がアクセス可能なようにテーブル720が(+Z)方向に上昇した位置である。すなわち、昇降機構723がテーブル720を上方位置に上昇させることにより、搬送ユニット6が基板90を受け取ることが可能となる。なお、テーブル720が基板90を保持した状態で上方位置に移動すると、コロ搬送部71の支持部材711は基板90の裏面から離間する。
ベース724は、支柱部材722や昇降機構723が取り付けられるとともに、ベース724の裏面中央には回転軸725が固設されている。
図4に示すように、回転軸725と回転モータ726との間にはタイミングベルト727が掛け渡されており、回転モータ726によって生成される回転駆動力が回転軸725に伝えられる。したがって、回転モータ726が回転駆動すると、回転軸725が軸Pを中心として回転し、これによりテーブル720が略水平面内で回転する。この回転モータ726の回転角度は、制御部5によってほぼ90°となるように制御される。本実施の形態における待機ユニット7において、支持ピン721によって基板90を保持した状態でテーブル720を回転させると、保持された基板90も略水平面内で回転し、基板90の向きが変更される。
図5は、姿勢決定部73aの正面図である。また、図6は、姿勢決定部73aの側面図である。基板処理装置1の待機ユニット7には、コロ搬送部71による基板90の搬送経路の両側に一対の姿勢決定部73(73a,73b)が設けられている。なお、姿勢決定部73aおよび姿勢決定部73bはほぼ同様の構成となっている。
姿勢決定部73a(73b)は、基台70に対して固定される取付部材730、基板90の端部に当接しつつ所定の方向に付勢する付勢部731、および付勢部731を所定の方向に移動させる駆動部732を備える。付勢部731および駆動部732は、取付部材730を介して基台70に取り付けられている。したがって、姿勢決定部73がZ軸方向に移動することはない。
付勢部731は、Y軸方向に沿って配置される支持部731aと、その両端部にZ軸方向に直立した状態で配置される一対の軸部731bと、各軸部731bの先端部に回転可能に取り付けられ、基板90の端部側面に当接するパッド731cとから構成される。
このように、パッド731cがZ軸方向を軸として回転可能に取り付けられていることにより、基板90はパッド731cに当接したままの状態で、Y軸方向への移動が可能とされている。また、パッド731cのZ軸方向の位置は、コロ搬送部71によって支持されている基板90の端部側面のZ軸方向の位置となっている。
支持部731aは駆動部732に取り付けられており、支持部731a、一対の軸部731bおよび一対のパッド731cは、駆動部732によって一体的にX軸方向に進退する。支持部731aは長手方向がY軸に沿った方向となるように配置され、これによって2つのパッド731cのX軸方向の位置はほぼ等しくなる。駆動部732は、制御部5からの制御信号に応じて、付勢部731をX軸方向に移動させることにより、付勢部731のX軸方向の位置を決定する。
前述のように、付勢部731が進退した場合であっても、2つのパッド731cのX軸方向の位置はほぼ等しくなるようにされている。したがって、付勢部731が基板90の端部を付勢すると、付勢された基板90の端部はX軸に対して略平行となり、基板90の端部の伸びる方向が決定される。すなわち、姿勢決定部73aの付勢部731が基板90の(+X)側の端部の伸びる方向を決定し、姿勢決定部73bの付勢部731が基板90の(−X)側の端部の伸びる方向を決定する。したがって、姿勢決定部73は、基板90をX軸方向の両側から挟み込むことによって、基板90の端部のうち対向する2辺の伸びる方向を決定する。
図3に戻って、フォトセンサ74は、(+Z)方向にレーザ光を出射することにより、当該方向に存在する対象物を検出するレーザセンサである。フォトセンサ74は、コロ搬送部71によって(+Y)方向に移動してきた基板90の端部を検出し、制御部5に検出結果を出力する。なお、この検出結果を受け取った制御部5は、検出された基板90の(+Y)側の端部位置に応じてコロ搬送部71を制御する。
以上が本実施の形態における基板処理装置1の構成および機能の説明である。
<動作説明>
次に、基板処理装置1の動作について説明する。図7および図8は、第1の実施の形態における基板処理装置1が基板90を処理する動作を示す流れ図である。
まず、基板処理装置1の動作は、基板90が待機ユニット7に搬入されることにより開始される(ステップS11)。このとき、基板90は、長手方向が待機ユニット7の搬送方向(Y軸方向)となる向きで基板処理装置1に搬入される。
本実施の形態に示すように、対向しない端部の長さが互いに異なる矩形の基板90を搬送する場合には、当該基板90を長手方向に搬送することが好ましい。これにより、コロ搬送部71のX軸方向の長さを比較的短くすることができ、基板処理装置1のフットプリントを減少させることができる。
待機ユニット7は、基板90が搬送されてくると、コロ搬送部71を駆動して搬送された基板90を(+Y)方向に搬送しつつ(ステップS12)、フォトセンサ74による検出結果を監視して、フォトセンサ74が基板90の(+Y)側の短手端部を検出するまでステップS12によるコロ搬送を継続する(ステップS13)。
さらに、基板処理装置1は、フォトセンサ74が基板90の端部を検出してから所定時間、コロ搬送を継続した後、コロ搬送部71を停止させる。これにより、基板90がほぼ所定の位置(基板90の中心とテーブル720の中心とがほぼ一致する位置)に停止する。なお、基板処理装置1に搬入された基板90はコロ搬送によって搬送されるため、コロ搬送部71が停止した時点における基板90の姿勢は、適切な姿勢からズレている場合がある。また、基板90を前述の所定の位置に停止させる手法は、これに限られるものではない。例えば、フォトセンサ74が基板90の(+Y)側の短手端部を検出した後、ただちにコロ搬送部71を停止させた場合に、基板90が所定の位置となるように、フォトセンサ74の取付位置を設定してもよい。あるいは、基板90が所定の位置に停止するような位置に、コロ搬送される基板90の(+Y)側の短手端部に当接する当たり部材を設けて、機械的に基板90を所定の位置に停止させるように構成してもよい。
次に、保持機構72の昇降機構723が駆動し、テーブル720を上方位置に移動させる(ステップS14)。これにより、基板90は支持ピン721に保持された状態で(+Z)方向に移動する。
テーブル720が上方位置に上昇し、支持部材711が基板90の裏面から十分に離間した状態となると、待機ユニット7は、基板90の向きを変更する(ステップS15)。このとき待機ユニット7は、制御部5からの制御信号に応じて、回転モータ726を駆動することにより回転軸725を軸Pを中心に約90°回転させる。これにより、テーブル720が水平面内で約90°回転し、支持ピン721に保持されている基板90の向きが変更される。すなわち、ステップS15が実行されることにより、基板90の長手方向がX軸方向となる。
このように、本実施の形態における基板処理装置1では、回転モータ726によって基板90の向きを変更することができる。これにより、基板処理装置1は、塗布ユニット2の配置方向にかかわらず、コロ搬送する場合に適した向き(フットプリントを減少させる向き)で基板90をコロ搬送することができる。すなわち、基板処理装置1は、他のユニットにおける基板90の向きに拘束されることなく、装置レイアウトを自由に行うことができる。なお、回転中(向きを変更中)の基板90は支持ピン721上に載置されているだけであり、なんら拘束されているものではない。したがって、テーブル720の回転によっても基板90の姿勢にズレが生じ、ステップS15の実行後において、基板90の長手方向は正確にX軸方向に沿う状態となるわけではない。すなわち、本実施の形態における保持機構72は、単に基板90のおおよその向きを変更するものであって、基板90の姿勢を決定するものではない。
回転モータ726によって基板90の向きが変更されると、昇降機構723がテーブル720を下方位置に移動させる(ステップS16)。これにより、基板90が再びコロ搬送部71上に載置される。
次に、コロ搬送部71が基板90を(−Y)方向にわずかに移動させて基板90の位置を調整する(ステップS17)。なお、ステップS21では、フォトセンサ74が基板90を検出しなくなる位置まで基板90を(−Y)方向に移動させるが、所定時間、基板90を移動させた後、停止させるという動作を行ってもよい。
基板90の位置調整が終了すると、待機ユニット7は姿勢決定工程(ステップS18)を実行する。姿勢決定工程では、待機ユニット7の各姿勢決定部73a,73bが、それぞれの駆動部732を駆動して、それぞれの付勢部731を基板90の端部が存在する方向に移動させる。これによって、基板90の短手端部がパッド731cによって付勢され、当該短手端部の伸びる方向がY軸方向に沿う方向に決定される。基板90の形状は矩形であるため、対向する2辺(短手端部によって形成される2辺)の方向が決定されると、残りの2辺(長手端部によって形成される2辺)の方向も決定される。したがって、これによって基板90の水平面内(主面を含む面内)での向き(姿勢)が正確に決定される。
基板90の姿勢が決定されると、待機ユニット7は、付勢部731による付勢を行ったまま、コロ搬送部71を駆動して基板90を(+Y)方向に移動させて、基板90の位置を調整する(ステップS19)。具体的には、基板90の(+Y)側の長手端部をフォトセンサ74が検出するまで、すなわち、当該長手端部がフォトセンサ74に沿う位置となるまで、コロ搬送部71を駆動する。一般に、コロ搬送による移動においては基板90の姿勢は保証されないが、第1の実施の形態における基板処理装置1では、付勢部731がガイドの機能を果たすことにより、ステップS19を実行することによって基板90の姿勢がズレることはないようにされている。待機ユニット7は、基板90をこの状態で所定の時間まで待機させる。
所定の時間が経過して、基板90を塗布ユニット2に向けて搬送するタイミングになると、待機ユニット7は、各駆動部732を駆動して付勢部731による付勢を解除するとともに、保持機構72の昇降機構723を駆動し、テーブル720を上方位置に移動させる(ステップS21)。これにより、基板90が搬送ユニット6の搬送経路上に配置される。
次に、搬送経路上に配置された基板90を、搬送ユニット6がシャトル60によって受け取り、塗布ユニット2に向けて搬送する(ステップS22)。このとき、基板処理装置1は、シャトル60の図示しないアームの支持ピンによって基板90を裏面から支持するとともに、その状態で、待機ユニット7のテーブル720を下方位置に下降させることにより、当該基板90を待機ユニット7から搬送ユニット6に受け渡す。また、基板処理装置1は、シャトル60と塗布ユニット2の架橋構造4とを互いに干渉させないために、図1に示すように塗布ユニット2の配置方向を決定している。なお、搬送ユニット6の搬送加速度(Y軸方向の移動加速度)は、シャトル60が保持している基板90の姿勢が変化しない程度の低加速度とすることが好ましい。
テーブル720が下方位置に移動すると、待機ユニット7は、さらに処理すべき基板90が存在するか否かを判定し、処理すべき基板90が存在する場合には、新たな基板90に対してステップS11からの処理を繰り返す。
搬送ユニット6によって基板90が塗布ユニット2の上方に搬送されると、塗布ユニット2の昇降機構36がリフトピン35を上昇させて搬送ユニット6から基板90を受け取る(ステップS23)。このときリフトピン35は、基板90を裏面から持ち上げるようにしてシャトル60から基板90を受け取る。また、基板90をリフトピン35に渡した搬送ユニット6のシャトル60はアームを退避させる。
さらに、塗布ユニット2の真空ポンプ34を駆動して真空吸着口33から雰囲気の吸引を開始し(ステップS24)、リフトピン35を下降させて基板90をステージ3の保持面30上に載置する(ステップS25)。載置された基板90は、真空吸着口33により吸着され、保持面30により保持される。
基板90をステージ3に向けて下降させると、基板90とステージ3との間の雰囲気が加圧されることによって、基板90に(+Z)方向の力が加わる。この(+Z)方向の力が加わることにより、リフトピン35は基板90を十分に支持できない状態となり、極端な場合には基板90がリフトピン35から浮いた状態となって、基板90の姿勢が狂う原因となる。
本実施の形態における基板処理装置1では、リフトピン35を下降せさている間、真空ポンプ34を駆動して、基板90とステージ3との間の雰囲気を排気することにより、当該雰囲気が加圧されることを防止する。また、この吸引動作によって、下降中の基板90に(−Z)方向の吸引力を働かせる。したがって、リフトピン35が十分に基板90を支持することができるため、基板90を適切な姿勢で保持面30上に載置することができる。
リフトピン35がステージ3の内部に退避(下降)し、基板90が真空吸着口33に吸着されることにより、基板90がステージ3の保持面30に保持されると、塗布ユニット2が塗布処理工程を開始する(ステップS26)。
本実施の形態における基板処理装置1では、塗布ユニット2に基板90が載置された時点で、基板90の姿勢は適切な状態(長手端部の伸びる方向がX軸方向に一致する姿勢)に決定されている。すなわち、従来の装置のように、塗布ユニット2において基板90の姿勢を調整する必要はない。
基板90の姿勢を決定する構成を塗布ユニット2に設けることは一般的に困難である。しかし、本実施の形態における基板処理装置1は、これらの構成を待機ユニット7に搭載することにより、構造を全体として簡素化することができる。
また、本実施の形態における基板処理装置1では、塗布ユニット2において塗布処理工程が行われている間に、待機ユニット7において次の基板90の姿勢が決定される。したがって、比較的処理時間の長い塗布ユニット2において、さらに基板90の姿勢を決定する場合に比べて、タクトタイムを短くすることができる。
塗布処理工程では、まず、ギャップセンサ42が(+X)方向に基板90の表面を走査することによって、基板90とスリットノズル41とのギャップが測定される。その測定結果に応じて制御部5がスリットノズル41のXZ平面内の姿勢(以下、「適正姿勢」と称する)を決定する。
次に、昇降機構43,44のACサーボモータ43a,44aがノズル支持部40の両端部をそれぞれ昇降させることによって、スリットノズル41を適正姿勢に調整する。この動作と並行して、リニアモータ45,46が架橋構造4をX軸方向に移動させることにより、スリットノズル41を吐出開始位置に移動させる。なお、吐出開始位置とは、スリットノズル41が基板90のレジスト液を塗布しようとする領域の(+X)側の端部にほぼ沿う位置である。
スリットノズル41が吐出開始位置に移動すると、塗布ユニット2は、スリットノズル41にレジスト液を供給することにより基板90に対してレジスト液を吐出させつつ、リニアモータ45,46によって架橋構造4を(−X)方向に移動させることにより、スリットノズル41による走査が行われる。すなわち、本実施の形態における基板処理装置1では、X軸方向がスリットノズル41の走査方向となる。
本実施の形態における基板処理装置1は、スリットノズル41の走査方向が基板90の長手端部の伸びる方向となるように基板90の姿勢が決定されている。これにより、塗布ユニット2において、長手方向のサイズの短いスリットノズル41を使用することができる。したがって、スリットノズル41の加工精度が向上するため、高精度の塗布処理を行うことができる。
スリットノズル41が所定の位置まで移動して、スリットノズル41による走査が終了すると、スリットノズル41に対するレジスト液の供給を停止するとともに、スリットノズル41を待機位置に移動させる。このようにして、基板90の表面の所定の位置にレジスト液が塗布され、基板処理装置1における塗布処理工程が終了する。なお、待機位置とは、例えば図2に示すように、スリットノズル41が開口32の上方に配置される位置であって、スリットノズル41が保持面30に保持された基板90の上方から退避した位置である。
塗布処理工程が終了すると、基板処理装置1は基板90を搬出し、待機ユニット7において待機している他の基板90が存在するか否かを判定する。待機している基板90がある場合には、ステップS21からの処理を繰り返す。このとき、待機している基板90は、待機ユニット7によって塗布ユニット2における処理に適した姿勢に調整されているため、塗布ユニット2は、当該基板90が保持面30に載置されると直ちに塗布処理を開始することができる。一方、待機ユニット7に待機している基板90が存在しない場合には基板処理装置1は処理を終了する。
以上のように、第1の実施の形態における基板処理装置1は、待機ユニット7において、姿勢決定部73が基板90の姿勢を決定することにより、基板90を待機させている間に基板90の姿勢を調整しておくことができるため、タクトタイムを短縮することができる。したがって、基板90の姿勢を効率よく、かつ適切に決定することができる。
また、リフトピン35が搬送ユニット6によって塗布ユニット2に向けて搬送する基板90を上昇位置で支持するとともに、ステージ3に対して下降することによって基板90をステージに載置することにより、基板90の姿勢を維持したまま、塗布ユニット2に容易に基板90を受け渡すことができる。
また、昇降機構36およびリフトピン35によって基板90がステージ3に対して下降している間に真空ポンプ34が排気を行うことにより、基板90を下降させている間に基板90の姿勢が変化してしまうことを防止することができる。
また、姿勢決定部73は、スリットノズル41の走査方向に対して基板90の姿勢を決定することにより、塗布ユニット2において、基板90の姿勢調整を行う必要がない。したがって、塗布ユニット2に基板90の姿勢を決定する機能構成を設ける必要がない。
また、姿勢決定部73は、基板90の端部が伸びる方向を決定することによって基板90の姿勢を決定することにより、基板90の姿勢を容易に決定することができる。特に、基板90の形状が矩形である場合に、基板90の端部のうち対向する2辺の端部の伸びる方向を決定することにより、さらに容易に基板90の姿勢を決定することができる。
また、コロ搬送部71が、フォトセンサ74によって検出される基板90の端部位置に応じて、基板90をY軸方向に移動させることにより、基板90の位置を容易に決定することができる。
また、基板90の形状が、対向しない辺の長さが互いに異なる矩形である場合に、待機ユニット7の保持機構72が、基板90をほぼ90°回転させて、基板90の向きを変更することにより、下流側において所望される基板90の向きに関わらず、基板処理装置の設計を自由に行うことができる。
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、基板90の向きを変更してから基板90の姿勢を決定するように構成していたが、これらの動作の順序はこれに限られるものではない。
図9は、このような原理に基づいて構成した第2の実施の形態における待機ユニット8を示す平面図である。また、図10は、待機ユニット8の保持機構82を示す側面図である。なお、第2の実施の形態における基板処理装置1の構成は、待機ユニット7の代わりに待機ユニット8を備えることを除いて、第1の実施の形態における基板処理装置1とほぼ同様である。
待機ユニット8は、待機ユニット8の各構成が取り付けられる基台80、基板90をY軸方向にコロ搬送するコロ搬送部81、保持機構82、および姿勢決定部83a,83b,84a,84bを備える。なお、図9において図示を省略しているが、待機ユニット8は、待機ユニット7のフォトセンサ74と同様の構成を有しており、基板90の(+Y)側の端部位置を検出することができる。
コロ搬送部81は、第1の実施の形態におけるコロ搬送部71とほぼ同様の機能および構成を有しており、複数の回転軸部810と複数の支持部材811とを備えている。このコロ搬送部81により、第2の実施の形態における基板処理装置1に搬入された基板90は、まず(+Y)方向に搬送される。
保持機構82は、テーブル820、複数の支持パッド821、支持部材821aないし821e、支柱部材822、昇降機構823、ベース824、回転軸825、回転モータ826、およびタイミングベルト827を備える。なお、支柱部材822、昇降機構823、ベース824、回転軸825、回転モータ826、およびタイミングベルト827は、第1の実施の形態における支柱部材722、昇降機構723、ベース724、回転軸725、回転モータ726、およびタイミングベルト727とに相当する構成であり、ほぼ同様の機能を有しているため説明を省略する。
長手方向がY軸に沿うように配置されるテーブル820は、裏面中央に支柱部材822のが固設されることにより支持される。また、テーブル820には、上面に支持パッド821が取り付けられた支持部材821aないし821eがX軸に沿う方向に、コロ搬送部81と干渉しないように固設される。保持機構82は、この支持パッド821が基板90の裏面に当接することにより基板90を略水平方向に保持する。
支持部材821a,821bは支持部材821cないし821eよりもY軸方向の幅が広い柱状の部材であって、それらのX軸方向の両端部にはそれぞれ姿勢決定部83a,83bが対向する向きに設けられている。
姿勢決定部83a(83b)は、制御部5からの制御信号に応じて、X軸方向に進退する付勢ピンを備えており、この付勢ピンによって基板90の端部をテーブル820側に付勢する。また、2つの姿勢決定部83aは、制御部5によって互いのX軸方向の位置が等しくなるように、すなわち、各姿勢決定部83aの付勢ピンがY軸方向に配列するように制御される。
これにより、各姿勢決定部83aの付勢ピンが同期して基板90の端部を付勢し、基板90の(+X)側端部の伸びる方向が決定される。なお、姿勢決定部83bについても同様の制御が行われることにより、基板90の(−X)側端部の伸びる方向が決定される。すなわち、待機ユニット8は、姿勢決定部83a,83bによって基板90をX軸方向に挟み込むことにより、基板90の端部のうちX軸方向に対向する2辺の端部の伸びる方向を決定する。
さらに、テーブル820のY軸方向の両端部には、姿勢決定部84a,84bがそれぞれ対向するように設けられている。
姿勢決定部84a,84bはそれぞれ、移動部材840、付勢ピン841、および駆動機構842を備えている。移動部材840のX軸方向の両端部には一対の付勢ピン841が立設されている。この一対の付勢ピン841のY軸方向の位置は互いに等しく、X軸に沿う方向に配列している。また、付勢ピン841のZ軸方向の位置は支持パッド821によって支持された基板90の端部に当接することができる位置となっている。
駆動機構842は、移動部材840を付勢ピン841と一体的に進退駆動させる機能を有する。駆動機構842が移動部材840を進退させる方向は、例えば図示しないガイド部材によってY軸方向となるように規定される。
このような構成により、姿勢決定部84aの駆動機構842が移動部材840を(−Y)方向に移動させることにより、一対の付勢ピン841が基板90の(+Y)側端部に当接し、基板90の(+Y)側端部の伸びる方向が決定される。一方、姿勢決定部84bの駆動機構842が移動部材840を(+Y)方向に移動させることにより、一対の付勢ピン841が基板90の(−Y)側端部に当接し、基板90の(+Y)側端部の伸びる方向が決定される。すなわち、待機ユニット8は、姿勢決定部84a,84bによって基板90をY軸方向に挟み込むことにより、基板90の端部のうちY軸方向に対向する2辺の端部の伸びる方向を決定する。
このように、第2の実施の形態における基板処理装置1の待機ユニット8は、姿勢決定部83a,83b,84a,84bによって、基板90の端部のうち4辺の伸びる方向を決定する。
以上が、第2の実施の形態における基板処理装置1の構成の説明である。
次に、第2の実施の形態における基板処理装置1の動作について説明する。図11は、第2の実施の形態における基板処理装置1の動作を示す流れ図である。
本実施の形態における基板処理装置1においても、基板90が搬入されることにより処理が開始され(ステップS31)、コロ搬送部81が、図示しないフォトセンサによって基板90の端部が検出されるまで、当該基板90を(+Y)方向にコロ搬送する(ステップS32,S33)。
基板90が所定の位置まで搬送されると、待機ユニット8は、昇降機構823を駆動してテーブル820を姿勢調整位置まで上昇させる(ステップS34)。なお、姿勢調整位置とは、支持パッド821によって支持された基板90がコロ搬送部81から離間する位置であって、搬送ユニット6の搬送経路の高さ位置(上方位置)より下方の位置である。
テーブル820が姿勢調整位置まで上昇すると、姿勢決定工程が実行される(ステップS35)。姿勢決定工程では、姿勢決定部83a,83bが付勢ピンをX軸方向に移動させて基板90の長手端部の伸びる方向を決定する。この動作と並行して、姿勢決定部84a,84bが付勢ピン841をY軸方向に移動させて基板90の短手端部の伸びる方向を決定する。
このように、基板90の4つの端部がすべて付勢されることにより、基板90の姿勢および位置が決定される。したがって、基板90の端部のうち4辺の伸びる方向を決定することにより、第1の実施の形態における待機ユニット7のように、2辺の伸びる方向を決定する場合に比べて高精度に基板90の姿勢を決定することができる。また、基板90の位置についても姿勢を決定する動作と同時に決定することができ、第1の実施の形態におけるステップS17およびS19のように、別途基板90の位置調整(搬送ユニット6に対する位置調整)を行う必要がない。
待機ユニット8は、基板90の姿勢を決定した後、回転モータ826を駆動して回転軸825を90°回転させ、基板90の向きを変更する(ステップS36)。なお、待機ユニット8の姿勢決定部83a,83b,84a,84bは、前述のように保持機構82に取り付けられている。したがって、ステップS36において、姿勢決定部83a,83b,84a,84bによる付勢を継続したまま基板90の向きを変更することができる。これにより、向きを変更するための回転によって基板90の姿勢がズレることはない。
基板90の向きが、当該基板90の長手方向がX軸に沿う向きに変更されると、待機ユニット8は、テーブル820を上方位置まで上昇させ、姿勢決定部83a,83b,84a,84bによる付勢を解除して、以後、待機ユニット7におけるステップS22ないしS27と同様の処理を行う。
以上のように、第2の実施の形態における基板処理装置1においても、第1の実施の形態における基板処理装置1と同様の効果を得ることができる。
また、姿勢決定部83a,83b,84a,84bは、基板90の端部のうち4辺の端部の伸びる方向を決定することより、当該方向を高精度に決定することができる。
また、保持機構82は、基板90を付勢することにより基板90の位置を固定しつつ、基板90を回転させることにより、回転による姿勢のズレを防止することができる。
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
例えば、第1の実施の形態における基板処理装置1では、基板90の向きを変更する処理(ステップS15)および基板90の受け渡しを行う処理(ステップS25)は、いずれも待機ユニット7のテーブル720が上方位置にあるときに行っているが、これらの処理はそれぞれ異なる高さ位置で行われてもよい。
また、第2の実施の形態における待機ユニット8では、姿勢調整位置と上方位置とが異なる高さ位置として設定されていたが、これらは同じ高さ位置とされていてもよい。
また、フォトセンサ74の代わりに、ストッパ部材を設けることにより、コロ搬送部71によって(+Y)方向に搬送される基板90が所定の位置に停止するように構成してもよい。