JP2005198768A - 往復式電気かみそりの内刃製造方法 - Google Patents

往復式電気かみそりの内刃製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 一体形内刃の小刃に鋭角のすくい角を形成する場合に、内刃の製造時の作業能率を向上させることにより生産能率を向上させ、歩留まり向上と製造コスト低下とを可能にする。
【解決手段】 a)金属薄板から内刃の展開形状の外形を持つ金属板(62)をプレス打抜きし、b)このプレス打抜きした金属板(62)を内刃(52)の往復動方向から見て中央部がほぼ平坦な略台形に折曲し、c)この折曲した金属板(62)の外側から中央部を内刃の往復動方向に略直交する方向に溝切して溝(70)の底側で溝幅が次第に狭くなるように多数の溝(70)を形成し、d)この溝切した金属板(62)を表裏を逆に折返して略アーチ状に形成し、e)外周面を仕上げ加工する。
【選択図】 図6

Description

この発明は、アーチ状の外刃の内面に内刃が摺接して往復動する往復式電気かみそりの内刃製造方法に関するものである。
内刃を、アーチ状の外刃の内面に摺接させつつ往復動させ、これら外刃と内刃に設けた開口に進入した髭を切断する往復式電気かみそりが公知である。この種のものにおいて、組立型の内刃と一体形の内刃がある(特許文献1参照)。
組立形の内刃は、薄板をアーチ状に打抜いた多数の小刃を一定間隔に並べて小刃取付部材に保持したものである。この内刃は、多数の小刃を加工すると共に、これらを保持台に組付けなければならず、製作工程が増え生産性が悪いという問題がある。
一体形の内刃は、全ての小刃を一体化したものである。図7および8はこの一体形内刃の従来例を示す斜視図である。図7に示す内刃10は、金属あるいはセラミック等(以下本願においては単に金属という)の円筒にこれにほぼ直交するスリット12を設けることにより、多数のアーチ状の小刃14を平行かつ一定間隔に形成したものである。図8の内刃16は、平板を略アーチ状に折曲し、その稜線を横断するようにスリット18を設けることによって、多数のアーチ状の小刃20を平行かつ一定間隔に形成するものである。
これらの図7,8に示すものは、例えば図7の内刃10の場合には、図9に示すように、素材となる円筒10Aに対して直交する方向に円板状の砥石20を回転させながら移動させることにより、溝切りを行い、スリット12を加工することができる。図8のアーチ状の内刃16の場合は、円筒10Aに代えてアーチ状に折曲した金属板を用いればよい。
しかしこの図9のように回転する砥石20を用いる方法では、小刃14,20の断面形状が図10のようになる。図10は内刃10,16をその稜線を含む(内刃の往復方向の中心線を含む)垂直面で断面した断面図である。この図10の場合には、小刃14,20の頂面(刃面)22とこの頂面22直下の端面24との間にできる角度であるすくい角θは90°になる。
この小刃14,20の頂面22は、アーチ状の外刃26の内面に摺接しつつ往復動し、外刃26および内刃10,16の開口に入った髭を切断するから、このすくい角θはできるだけ鋭く、すなわち90°未満である鋭角にすることが望ましい。
このようにすくい角θを鋭角にするために、図11に示すように砥石28,30を用いて小刃14(20)の端面24を研削あるいは研磨(以下単に研削ともいう。)することが行われている。すなわち砥石28は円盤状あるいは棒状であって、アーチ状の小刃14(20)の間隙(スリット12,18)に差込んで回転させたり移動させる。砥石30は軸の先端に玉状に形成され、これを端面24に押し付けて回転させたり移動させて研削する。
また、図12に示すように、アーチ状の内刃16に対して、スリット18の中に内刃16の内側から、スリット18の幅よりも厚くかつ周縁が鋭角状に突出した円板状の砥石32を回転させつつ進入させて研削する方法が提案された(特許文献2)。図12で34はこの砥石32の回転中心線である。
特開昭62−148684 特開昭53−116961
前記の図11で示した砥石28,30を外側からスリット12,18に進入させてアーチ状小刃14,20の端面を研削することによりすくい角θを鋭角に加工する方法は、非常に細かい作業が必要になり、作業時間が長くなる。このため作業能率が悪く、生産性と製造歩留まりが低下するという問題があった。また図12に示すように回転する砥石32を用いる方法は、この砥石32をアーチ状内刃16の内側からスリット18に進入させる必要があるため、砥石32を極めて小径にする必要が生じる。このため砥石32の摩滅が早く、頻繁な交換が必要になる。この結果加工能率が悪く製造コストが高くなるという問題があった。
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、一体形内刃の小刃に鋭角のすくい角を形成する場合に、内刃の製造時の作業能率を向上させることにより生産能率を向上させ、歩留まり向上と製造コスト低下とを可能にする往復式電気かみそりの内刃製造方法を提案することを目的とする。
本発明によればこの目的は、アーチ状の外刃の内面に内刃が摺接して往復動する往復式電気かみそりの内刃製造方法において、a)金属薄板から内刃の展開形状の外形を持つ金属板をプレス打抜きし、b)このプレス打抜きした金属板を内刃の往復動方向から見て中央部がほぼ平坦な略台形に折曲し、c)この折曲した金属板の外側から中央部を内刃の往復動方向に略直交する方向に溝切して溝の底側で溝幅が次第に狭くなるように多数の溝を形成し、d)この溝切した金属板を表裏を逆に折返して略アーチ状に形成し、e)外周面を仕上げ加工する、以上の工程a)〜e)により、アーチ状小刃の外周側の縁にすくい角が鋭角となる刃を形成することを特徴とする往復式電気かみそりの内刃製造方法、により達成される。
プレス打抜きした金属板を略台形に折曲し、この台形の平坦な中央部に溝を切る溝切り作業は略台形の外側から行うから、溝切りの作業性が良い。またこの時溝の底側で溝幅が次第に狭くなるように溝切りすることは容易である。このように溝切りした金属板は表裏を逆に折返してからその外周面を仕上げ加工するので、この仕上げ加工の作業性も良い。
溝切り加工や仕上げ加工はいずれも折曲した材料の外側から行うので製造時の作業能率が良く、生産能率が向上する。このため製造の歩留まりが向上し製造コストの低減が可能である。
工程c)で行う溝切り作業では、砥石が金属板の平坦な中央部を厚さ方向に突き抜けるようにして、溝が金属板を厚さ方向に貫通するように加工することができる。
しかしこの溝切り時に溝底に薄く未研削部を残しておいてもよい。この場合は次の工程d)で表裏逆に折返す際に、アーチ状の小刃が倒れたり小刃同志の間隔(スリット幅)が変化して不揃いになるのを防ぐことができる。なおこのように未研削部を残した時には、工程e)の仕上げ加工時にこの未研削部を削り取ることが必要である。
なお工程d)の表裏折返す際には、金属板の内側に断面略円形または半円形の治具を当てるのが望ましいが、この治具の円弧面に各小刃の保持用の溝を設け、各小刃の倒れや間隔変化を防ぐのがよい。
金属板の溝切り加工や仕上げ加工の際には金属板を焼入れしておけば加工し易くなり、砥石の目詰まりを防止し研削性を良くする。なお折曲加工などの塑性加工の前には焼きなましして加工し易くするのが望ましい。
図1は本発明の一実施例である往復式電気かみそりの刃の分解斜視図、図2〜5は内刃の製造工程を順番に示す図、図6は製造工程を示す図である。
図1において符号50は外刃、52は内刃、54は内刃保持台である。外刃50は金属薄板からなる外刃体50aをアーチ状に湾曲させ、長さ方向の両端を蓋板50b、50bで塞ぐと共に、両端を蓋板50b,50bに掛け渡した側板50c(一方のみ図示)で外刃体50aの長手方向に平行な両縁を保持したものである。なお、外刃体50aには髭を導入するための多数の開口が形成されている。
内刃52は後記するように、多数のアーチ状の小刃56を一体に形成したものであり、各小刃56のアーチ状の外周面は前記外刃50の外刃体50aの内面に摺接する曲面となっている。内刃52の長手方向(往復動方向)に平行な側縁部58の中央には、二股状の爪60,60が突設されている。これらの爪60,60は保持台54の側面に設けた凸部54a,54aに係合する。
保持台54はモータにより往復駆動される振動体(図示せず)に係合し、内刃52と一体に往復動する。なおこの保持台54はばね(図示せず)により外刃50側へ押圧され、内刃52が外刃体50aの内面に弾性を持って押圧される。このため内刃52は外刃体50aの内面に摺接しつつ往復動する。
次に内刃52の製造方法を図2〜6に基づいて説明する。まず適切な薄板材料、例えば焼入れ可能なステンレス薄板などを用意し、この薄板から内刃52の展開形状の外形を有する金属板62をプレス打抜きする(図2,図6のステップS100)。なお図2の(A)は金属板62の平面図、(B)はその縦中心線64で断面した断面図である。この金属板62には前記した爪60,60が形成されている。
次にこの金属板62は図3に示すように側面視で略台形となるように折曲される(ステップS102)。図3で(A)は金属板62の平面図、(B)はその縦中心線64で断面した断面図、(C)は同じく横中心線66で切断した断面図である。この状態では金属板62は、平坦な中央部62aと、この中央部62aを挟む一対の側縁部58,58とを有する。
次にこの金属板62には溝切り加工を行うが、この溝切り加工には砥石を使うため予め焼入れしておく(ステップS104)。この焼入れした金属板62は、図4に示すように、平坦な中央部62aを内刃52の長手方向(往復動方向)に略直交する方向に溝切りする(ステップS106)。図4の(A),(B)はその加工状況を示す断面図であって、(A)は図3の水平中心線66により断面したもの、(B)は同じく(A)における垂直中心線64により断面したものである。
側縁部58,58は、図4(B)に示す状態では中央部62aに対して傾斜しているので、中央部62aに対して溝切り(ステップS106)を行う際にこれら側縁部58,58を治具で把持(クランプ)でき、溝切り加工時の作業性が向上する。
図4において68は円板状の砥石である。この砥石68は円形であり、内刃52の小刃56の間に作るスリット70(図5参照)の間隔で回転軸72に固定されている。各砥石68の周縁は、外周に向って次第に薄くなるように断面略山形に作られてる。この砥石68は回転軸72を金属板62の長手方向(往復動方向)に保ちつつ金属板62の中央部62aに接近させたり(図4の矢印a方向)、中央部62aと平行(図4の矢印b方向)に移動させることにより、溝(スリット)70を加工する。
砥石68は周縁が断面略山形に作られてるから、砥石68の周縁が中間部62aを横断して内側へ僅かに突出する深さまで溝切りを行えば、中央部62aに残るリブ62bは図4(A)に示すように内側の縁62cが砥石68の周縁形状にならって断面略三角形に突出した形状になる。図4(B)で74は、この時に砥石68の周縁が到達する研削終了位置を示す。
このように溝切りした金属板62は焼きなましをした後(ステップS108)、その表裏を反転する。すなわちプレスによりアーチ型に絞り加工する(ステップS110)。図5はこの状態を示す断面図であり、(A)は図3の水平中心線66により断面したもの、(B)は同じく垂直中心線64により断面したもの、(C)は小刃56の断面図である。この絞り加工は、例えば平坦な中央部62aの外周円に所定半径の円筒を当てつつ、側縁部58,58を図5(B)に仮想線で示すように外側に押し広げて反転させればよい。
この結果、多数のリブ62bは表裏反転されてアーチ状の小刃56になる。表裏反転前のリブ62bの内側がアーチ状小刃56の外側になり、断面三角形の縁62cが小刃56の外周縁に来る。このリブ62bの外周面すなわち小刃56の外周面は頂面(刃面)62dとなる(図5(C)参照)。
このように加工された金属板62は再び焼入れされた後(ステップS112)、外周面(刃面62d)が仕上げ加工される。すなわちアーチ状の小刃56の外周面(刃面62d)が研磨される(ステップS114)。この研磨によって各小刃56の外周面62dはスリット70側にひさし状にのびる刃62eとなり、この刃62eのすくい角θ(図12参照)は鋭角となる。
前記実施例1では、図4に示した溝切り加工時に、砥石68の周縁が金属板62の平坦な中央部62aを突き抜けるように溝(スリット)を加工したものである。しかしこの時に、砥石68の周縁は平坦部62aを突き抜けない位置まで研削して溝の底に薄い未研削部を残しておいてもよい。図4(B)で76はこの時に砥石68の周縁が到達する位置(研削終了位置)を示す。
この場合は溝切りによりリブ62bは互いに分離せず、薄い未研削部でつながっていることになる。このため、この後で金属板62を表裏反転させるアーチ型絞り加工時に(図6のステップS110)、リブ62bの位置が安定し、リブ62bが倒れたり、傾いたりするのを防ぐことができ、小刃56の精度を向上させることができる。なおこの場合には、金属板62を表裏反転して刃面仕上げ加工する時に(ステップS114)、薄い未研削部を研削または研磨して除去する。
本発明の一実施例である往復刃の分解斜視図 プレス外形打抜き工程を示す図 プレス折曲工程を示す図 溝切り研削工程を示す図 アーチ形絞りおよび刃面仕上げ加工工程を示す図 内刃の製造工程図 内刃の従来例を示す斜視図 内刃の従来例を示す斜視図 従来の加工方法を示す図 従来方法により製作した内刃の断面図 すくい角の従来の加工方法を示す図 すくい角の従来の加工方法を示す図
符号の説明
50 外刃
52 内刃
54 保持台
56 小刃
58 側縁部
62 金属板
62a 平坦な中央部
62b リブ
62c 小刃の周縁
62d 小刃の刃面
62e 刀
68 砥石
70 スリット(溝)
θ すくい角

Claims (4)

  1. アーチ状の外刃の内面に内刃が摺接して往復動する往復式電気かみそりの内刃製造方法において、
    a)金属薄板から内刃の展開形状の外形を持つ金属板をプレス打抜きし、
    b)このプレス打抜きした金属板を内刃の往復動方向から見て中央部がほぼ平坦な略台形に折曲し、
    c)この折曲した金属板の外側から中央部を内刃の往復動方向に略直交する方向に溝切して溝の底側で溝幅が次第に狭くなるように多数の溝を形成し、
    d)この溝切した金属板を表裏を逆に折返して略アーチ状に形成し、
    e)外周面を仕上げ加工する、
    以上の工程a)〜e)により、アーチ状小刃の外周側の縁にすくい角が鋭角となる刃を形成することを特徴とする往復式電気かみそりの内刃製造方法。
  2. 工程c)では、先端が次第に薄くなった砥石を用いて溝切りし、溝は金属板を厚さ方向に突き抜けている、
    請求項1に記載の往復式電気かみそりの内刃製造方法。
  3. 工程c)では、溝底に薄い未研削部を残して溝切りを行い、
    工程e)では、外周面を研削して前記未研削部を除去した後仕上げを行う、
    請求項1に記載の往復式電気かみそりの内刃製造方法。
  4. 請求項1または2または3において、工程c)の溝切りの前に金属板を焼入れし、工程d)の折返しの前に焼きなましを行い、工程e)の前に焼入れを行う往復式電気かみそりの内刃製造方法。
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