JP2005197223A - 固体高分子型燃料電池および燃料電池システム - Google Patents

固体高分子型燃料電池および燃料電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】効果的に起動時の酸化剤極の劣化を抑制できる燃料電池システムを提供する。また、効果的に発電時の高分子電解質膜の劣化を抑制できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】水素透過性を有する固体高分子電解質膜10と、固体高分子電解質膜10の一方の面を被覆する酸化剤極11と、酸化剤極11との間に酸化剤ガス流路13を有する酸化剤ガスセパレータ15を備える。また、固体高分子電解質膜10のもう一方の面を、一部を除いて被覆する燃料極12と、燃料極12との間に燃料ガス流路14を有する燃料ガスセパレータ16を備える。さらに、固体高分子電解質膜10の燃料極12に被覆されない部分に沿って、燃料極12および燃料ガス流路14と隔離して形成された燃料極無触媒流路17を備える。
【選択図】 図4

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池およびそれを用いた燃料電池システムに関する。特に、燃料電池システム起電時の触媒劣化を抑制するための構成に関する。
燃料電池システムにおいて、燃料極、酸化剤極共に空気が混入している状態からシステムを起動させる場合、燃料極側のガス流路に水素を供給し始めた初期には、燃料ガス流路内に水素が存在する領域と存在しない領域が形成される。燃料極に水素が供給されている領域においては、通常の動作状態と同様の反応が起こり、酸化剤極側には0.8V以上の電位が立つ。一方、燃料極の水素が存在しない領域では、これに対峙する酸化剤極で、
C+2H2O→CO2+4H++4e- ・・・(1)
という反応が生じる。その結果、Pt等の触媒を担持しているカーボン担体の腐食が起こり、酸化剤極の電極触媒が大きく劣化し、その後の燃料電池の性能を低下させる要因となる。このとき燃料極側の空気が存在する領域においては、
2+4H++4e-→2H2O ・・・(2)
という反応が起こり、水が生成される。
従来の燃料電池システムにおいては、この現象による酸化剤極の劣化を防止するために、短時間(1秒以下)で、燃料極内の水素が存在する領域と存在しない領域の境界(以後、水素/空気フロントと呼称)が、燃料ガス流路中を通過するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1、参照。)。
また、固体高分子型燃料電池に用いられる高分子電解質膜は、乾燥すると急激にプロトン伝導性が低下する。そのため、供給する燃料ガス、酸化剤ガスのいずれか一方又は双方を加湿することによって、高分子電解質膜の乾燥を防止する必要がある。
しかし、酸化剤極側では反応によって水が生成されるため、酸化剤ガス流路の下流に向かって湿度が上昇する。そして、出口付近では高加湿状態になり、電極水没現象や、結露によるガス流路の閉塞(いわゆるフラッディング)が起こり易くなる。
従来の燃料電池システムにおいては、この現象を防止するために、セパレータに形成された反応ガスの流れる流路を、一部を延長形成し、その延長部を温度調節手段に導入し、この温度調節手段を経由した後に再び流路に戻る構成にするものが提案されている。そして、温度調節手段は、延長部に近接して設けられた冷却水流路と、ドレン部を備える。これにより、流路を流れる反応ガスは、温度調節手段を経由する際に冷却水流路を流れる冷却水により冷却される。冷却の際に生じた凝縮水は、水抜き通路を経てドレン部に収容される(例えば、特許文献2、参照。)。
米国特許出願公開第2002/0076582号明細書 特開2003−151584号公報
しかしながら、短時間で水素/空気フロントを通過させるためには、燃料電池の流路の設計にもよるが、水素を含有する燃料ガスを燃料ガス流路に供給する配管流路の途中にコンプレッサ等の追加装置を配置したり、燃料ガス流路の断面積を小さくして燃料ガス流路内の流速を速める方策等が必要となる。前者においては、追加の装置が必要となり、コストが高くなるとともに、燃料電池システムが大型化するという問題や、燃料極と酸化剤極との圧力調整がうまくいかないと差圧によって高分子電解質膜が破れるなどの不具合が発生する可能性がある。また、後者においては、通常運転時の圧損が増加するという問題があった。
また、水素/空気フロントを形成させないように、窒素等の不活性ガスを用いてパージを行う技術が知られているが、この場合もシステム中に窒素ボンベ等の不活性ガス貯蔵装置が必要となる、または、燃料器等の酸素消費装置をシステム中に持たせる必要があり、システムを複雑化および大型化してしまうという問題があった。
そこで本発明は、効果的に起動時の酸化剤極の劣化を抑制できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
また、酸化剤極側が高加湿状態となる原因は、反応によって水が生成されるだけではない。燃料極側における反応で生じたプロトンは、高分子電解質膜中を移動する際、水分子を伴って移動するため、燃料極側から酸化剤極側へ水分が移動する。つまり、発電時の高分子電解質膜は、燃料極側から酸化剤極側へ常に水分子を移動させているため、酸化剤極側は常に高加湿状態となる。
高加湿状態になると、高分子電解質膜の強度は低下する。低加湿状態では高分子電解質膜の強度は再び上昇するが、例えば、数時間から数百時間のような長い時間、高分子電解質膜が高加湿状態に晒されると、その後、低加湿状態に戻しても強度は低下したままで復元されず、高分子電解質膜を劣化させるという問題があった。
また、本発明は、効果的に発電時の高分子電解質膜の劣化を抑制できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の燃料電池は、水素透過性を有する固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方の面を被覆する酸化剤極と、前記酸化剤極との間に第一酸化剤ガス流路を有する酸化剤ガスセパレータを備え、さらに、前記固体高分子電解質膜のもう一方の面を、一部を除いて被覆する燃料極と、前記燃料極との間に第一燃料ガス流路を有する燃料ガスセパレータと、前記固体高分子電解質膜の前記燃料極に被覆されない部分に沿って、前記燃料極および前記第一燃料ガス流路と隔離して形成された第二燃料ガス流路と、を備える。
本発明の燃料電池システムは、前記燃料電池を備え、前記第一酸化剤ガス流路、前記第一燃料ガス流路又は前記第二燃料ガス流路の少なくともいずれか一つに湿度計測手段を備え、発電時において、前記湿度計測手段によって計測された湿度が所定の値以上の場合は、前記第二燃料ガス流路に燃料ガスを供給し、前記湿度計測手段によって計測された湿度が所定の値より小さい場合は、前記第二燃料ガス流路に燃料ガスを供給しない。
本発明の燃料電池によれば、固体高分子電解質膜の前記燃料極に被覆されない部分に沿って、燃料極および第一燃料ガス流路と隔離して形成された第二燃料ガス流路に燃料ガスが供給されると、燃料極で反応を生じずに、固体高分子電解質膜を透過して酸化剤極側に水素を移動させることができる。酸化剤極側に水素が存在する状態で、燃料極側に燃料ガス、酸化剤極側に酸化剤ガスを供給すると、カーボンの腐食反応に先立って酸化剤極側に存在する水素が反応するので、酸化剤極の劣化を抑制しつつ、起動することができる。
また、本発明の燃料電池システムによれば、発電時において計測された湿度が所定の湿度以上の場合、第二燃料ガス流路に燃料ガスを供給することによって、酸化剤極側から燃料極側へ移動した余分な水分がパージされ、酸化剤極側の湿度上昇を抑制できる。その結果、高分子電解質膜を高加湿状態下に晒すことを防止して、高分子電解質膜の劣化を抑制しつつ、運転することができる。
第1の実施形態について説明する。図1に、燃料電池100を構成する単位セルである燃料電池セル100aの一般的な構成例を示す。ここでは、燃料電池100を複数の燃料電池セル100aを積層することにより形成したスタックから構成する。なお、燃料電池100は、一つの燃料電池セル100aから構成してもよい。
プロトン伝導性を有する高分子電解質膜110を、一対の電極である酸化剤電極層111と燃料電極層112により狭持する。ここでは、電極層111、112を、カーボン繊維等の多孔質体から構成したガス拡散層111a、112aと、Pt等の触媒を担持したカーボン担体から構成した触媒層111b、112bとから構成する。さらにその外側には、酸化剤ガスセパレータ115、燃料ガスセパレータ116を配置する。電極層111、112とセパレータ115、116との間には、それぞれ酸化剤ガス流路113、燃料ガス流路114を設ける。ここでは、酸化剤ガス流路113を流通する酸化剤ガスと、燃料ガス流路114を流通する燃料ガスが、略同一方向に流通するように構成する。
なお、ここでは、酸素を含む酸化剤ガスとして空気を、水素を含む燃料ガスとして水素ガスを用いる。通常運転時には、酸化剤ガス流路113に酸化剤ガスを、燃料ガス流路114に燃料ガスを供給し、触媒層111b、112bの触媒と接触させることにより以下のような反応を生じさせる。
燃料極側 :H2 → 2H+ + 2e- ・・・(3)
酸化剤極側:2H+ + 1/2O2 + 2e- → H2O ・・・(4)
(3)式に示すように、燃料電極層112では、燃料ガス中の水素がプロトンと電子に分離される。プロトンは高分子電解質膜110内部を拡散して酸化剤電極層111側に到達し、電子は図示しない外部回路を流れ、出力として取り出される。一方、酸化剤電極層111では、高分子電解質膜110内を拡散してきたプロトン、図示しない外部回路を介して移動してきた電子、および空気中の酸素により形成される三相界面上で(4)式に示すような反応が生じる。
このような燃料電池100を移動体、例えば自動車用の動力源として活用した場合には、起動/停止が頻繁に繰り返されることになる。燃料電池100停止中には、燃料電池100への水素および空気の供給が停止された状態で放置される、または、不活性ガス等により充満された状態で放置される。放置が長時間継続された場合には、外部より大気が浸入して燃料ガス流路114内に空気が存在する可能性がある。
燃料ガス流路114内に空気が混入した状態からシステムを起動すると、起動初期に燃料電池100内は、図2に示すような状態となる。
酸化剤ガス流路113内には空気が充満する。燃料ガス流路114には水素が存在する領域Aと空気が存在する領域Cが形成され、水素と空気の界面である水素/空気フロントBが形成される。燃料ガス流路114に水素が存在する領域Aにおいては、通常の動作と同様の反応が起こり、酸化剤極側には0.8V以上の電位が立つ。一方、水素/空気フロントBを境にして、燃料ガス流路114に空気が存在する領域Cにおいては、酸化剤電極層111側で、前述した(1)式のような反応が、燃料電極層112側で、(2)式のような反応が生じる。つまり、酸化剤電極層111側で、Pt等の触媒を担持しているカーボン担体の腐食が起こる。これにより、酸化剤電極層111が大きく劣化し、燃料電池セル100aの性能を劣化させる原因となる。
そこで本実施形態は、燃料電池セル1aを以下のように構成する。
図4(b)に示すように、燃料電池セル1aを、電解質膜10を、酸化剤電極層11と、燃料電極層12で狭持し、さらに、酸化剤ガスセパレータ15と燃料ガスセパレータ16で狭持することにより構成する。
まず、酸化剤ガスセパレータ15、燃料ガスセパレータ16の構成を説明する。図3の(a)に酸化剤ガスセパレータ15を、図3(b)に燃料ガスセパレータ16を、それぞれ高分子電解質膜10側から見た平面図を示す。
図3(a)に示すように、酸化剤ガスセパレータ15には、酸化剤ガス流路13を構成する。ここでは、酸化剤ガス流路13を蛇行形状に構成するが、この限りではない。酸化剤ガス流路13の一端を、酸化剤供給マニホールド21に、もう一端を酸化剤排出マニホールド22に連通させる。酸化剤供給マニホールド21、酸化剤排出マニホールド22は、各燃料電池セル1aに酸化剤ガスを供給または排出するように、燃料電池1を構成する燃料電池セル1aの積層方向に連続した流路とする。
一方、燃料ガスセパレータ16には、図3(b)に示すように、二段の流路14a、14bよりなる燃料ガス流路14を構成する。ここでは燃料ガス流路14a、14bを同形状とし、それぞれを蛇行形状に構成するが、この限りではない。燃料ガス流路14a、14bの一端を燃料供給マニホールド23a、23bに、もう一端を燃料排出マニホールド24a、24bに連通させる。
燃料ガス流路14a、14bの間には、燃料極無触媒流路17を構成する。燃料ガス流路14と燃料極無触媒流路17とは、互いに連通しないように構成する。燃料極無触媒流路17を、燃料ガスセパレータ16の表面に、中央近傍を貫通するように形成した溝により構成する。燃料極無触媒流路17の一端を燃料無触媒供給マニホールド25に、もう一端を燃料無触媒排出マニホールド26に連通させる。燃料無触媒供給マニホールド25、燃料無触媒排出マニホールド26は、各燃料電池セル1aの燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給または排出するように、燃料電池1を構成する燃料電池セル1aの積層方向に連続した流路とする。
このようなセパレータ15、16を用いて燃料電池セル1aを構成する。燃料電池セル1aの概略構成を図4に示す。なお、図4(a)は、図3におけるA−A方向の断面図、図4(b)は、図3におけるB−B方向の断面図である。
図4(b)に示すように、高分子電解質膜10を、Pt等の触媒を担持した一対の電極である酸化剤電極層11と燃料電極層12で狭持する。高分子電解質膜10としては、プロトン伝導性、かつ水素透過性を有するものを用い、例えばパーフルオロスルホン酸の膜を用いる。また、酸化剤電極層11、燃料電極層12は、それぞれガス拡散層11a、12aと触媒層11b、12bとから構成する。ガス拡散層11a、12aは、多孔質性の部材、例えばカーボン繊維から構成し、また触媒層11b、12bは、白金担持カーボンから構成する。
燃料電極層12は、高分子電解質膜10全体を被覆するわけではなく、少なくとも燃料ガスセパレータ16に形成した燃料極無触媒流路17に重なる領域には配置しない。つまり、高分子電解質膜10が、燃料極無触媒流路17に供給された燃料ガスに直接晒されるように構成する。このとき、燃料極無触媒流路17は、燃料電極層12に直接連通しないように構成する。ここでは、燃料極無触媒流路17と燃料電極層12との間には、隔壁として燃料ガスセパレータ16の一部16aが存在するように構成する。または、別の部材を配置することにより、燃料極無触媒流路17と燃料電極層12とを隔離してもよい。これにより、起動時に、燃料極無触媒流路17を流れる燃料ガスが、燃料電極層12に漏洩するのを抑制する。
また、図4(a)に示すように、燃料電池セル1aの組み立て時には、燃料極無触媒流路17と、同セル内に形成された酸化剤ガス流路13とが略直交するように構成する。これにより、酸化剤ガス流路13の一部が、燃料極無触媒流路17と重なるように構成される。ここで、水素透過性を有する高分子電解質膜10を用いているため、後述するように、燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給することで、高分子電解質膜10を介して、酸化剤電極層11および酸化剤ガス流路13側に水素を供給することができる。
このように構成した酸化剤電極層11、燃料電極層12のさらに外側に、酸化剤ガスセパレータ15と燃料ガスセパレータ16を配置する。セパレータ15、16としては、電気抵抗が小さいものが適しており、ここでは、電気抵抗が小さく、比較的加工が簡単な炭素部材を用いる。
次に、このような燃料電池1の酸化剤電極層11における、カーボン腐食の抑制プロセスについて説明する。
燃料電池1が長時間放置されると、燃料ガス流路14に空気が混入する可能性がある。このような状態から燃料電池1を起動すると、前述したようにカーボンの腐食反応が生じて、酸化剤電極層11が劣化する可能性がある。
そこで、起動初期に、この燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給する。燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給した場合、供給された水素は触媒に接触しないためプロトンにはならず、燃料電極層12で、(2)式に示すような反応が生じるのを抑えることができる。燃料ガス中の水素は、燃料極無触媒流路17から高分子電解質膜10を透過して、酸化剤電極層11側に移動する。
このように、酸化剤電極層11に水素が存在する状態としてから、燃料ガス流路14に燃料ガスを、酸化剤ガス流路13に酸化剤ガスを供給する。このとき、酸化剤電極層11では(1)式のカーボン腐食反応は生じず、水素を用いた(4)式の反応が生じる。これは、(1)式に示すカーボン腐食反応より(4)式に示す反応が生じ易いためであり、カーボン腐食反応が生じるのを防止するのに十分な量の水素を酸化剤電極層11側に透過させておくことで、酸化剤電極層11のカーボン腐食を抑制することができる。つまり、燃料極無触媒流路17に供給する燃料ガス量は、燃料ガス流路14に燃料ガスを、酸化剤ガス流路13に酸化剤ガスを充満させるまでにかかる時間に応じて設定することができる。
次に、このような燃料電池1を用いる際の燃料電池システムの構成を、図5を用いて説明する。ここでは酸化剤ガスとして空気を、燃料ガスとして燃料ガスボンベ211に貯蔵された水素を用いているが、この限りではない。
燃料電池システムに、酸化剤ガスとしての空気を導入するコンプレッサ221を備える。また、コンプレッサ221により導入した空気を燃料電池1の酸化剤ガス流路13に供給するか否かを選択する酸化剤入口シャット弁222を備える。通常運転時には、酸化剤入口シャット弁222を開に設定し、酸化剤供給マニホールド21を介して酸化剤ガス流路13に酸化剤ガスを供給する。酸化剤ガスは酸化剤ガス流路13から酸化剤電極層11内に拡散し、発電反応に用いられる。また、燃料電池1の下流側には、酸化剤出口シャット弁223を備え、これにより酸化剤ガス流路13内の圧力を調整可能とする。
酸化剤ガス流路13を流通した空気は、酸化剤排出マニホールド22を通って燃料電池1から排出される。その後、酸化剤出口シャット弁223を介して、後述する排気触媒231に供給されてから、システム外部に排出される。
また、燃料ガスとしての水素を貯蔵する燃料ガスボンベ211と、燃料ガスボンベ211から、燃料ガス流路14に水素を導入するか否かを選択する燃料入口シャット弁212を備える。通常運転時には、燃料入口シャット弁212を開として、燃料ガスボンベ211から水素を取り出す。燃料入口シャット弁212を介して燃料電池1の燃料供給マニホールド23に供給され、さらに、各燃料電池セル1aに分配されて、水素が燃料ガス流路14に供給される。燃料ガス流路14から燃料電極層12に水素が拡散して、発電反応に用いられる。反応後、燃料排出マニホールド24を通って各燃料電池セル1aから回収され、燃料電池1から排出される。
燃料電池1の下流側には、燃料電池1から排出された排燃料ガスを再循環させるか、排気するかを選択する燃料出口三方弁215を備える。また、排燃料ガスを燃焼処理する排気触媒231を備える。さらに、排燃料ガスを燃料電池1の上流側に再循環させる循環路216と、循環路216中の燃料ガスを循環させるリサイクルブロア217を備える。循環路216の下流端は、燃料入口シャット弁212の上流側に接続する。ここでは、燃料ガスボンベ211から燃料ガス流路14側と、後述するように無触媒流路17側に分岐する分岐部218に接続するように構成する。
例えば、燃料ガス流路14中の燃料ガスの窒素濃度が十分に低い場合には、燃料出口三方弁215を循環路216側に設定し、燃料ガスを再度燃料電池1に供給する。燃料ガス中の窒素濃度が所定より高くなった場合には、発電効率が低下するのを避けるために、燃料出口三方弁215を排気触媒231側に設定し、燃料ガス流路14内をパージする。パージされた排燃料ガスは、排気触媒231において、酸化剤ガス流路13から排出された排空気を用いて燃焼処理されてから、燃料電池システム外部に排出される。
また、燃料ガスボンベ211から、分岐部218を介して燃料極無触媒流路17側に水素を導入するか否かを選択する無触媒入口シャット弁213を備える。燃料電池1の燃料極無触媒流路17の下流側には、無触媒出口シャット弁214を備える。無触媒出口シャット弁214の下流側を排気触媒231に接続し、燃料極無触媒流路17を通って排出された燃料ガスを、排気触媒231で燃焼処理してから燃料電池システム外部に排出する。
後述するように、無触媒入口シャット弁213、無触媒出口シャット弁214は、通常運転時には閉に設定される。起動初期に、無触媒入口シャット弁213、無触媒出口シャット弁214を開とすることにより、燃料極無触媒流路17内を水素ガスで満たしてから、無触媒入口シャット弁213と燃料出口シャット弁214を閉とする。このような状態とすることで、燃料極無触媒流路17から高分子電解質膜10を介して酸化剤電極層11側へ水素を透過させる。
さらに、このような燃料電池システムを制御するコントローラ241を備える。コントローラ241では各シャット弁212、213、214、222、223の開閉を制御する。
次に、燃料電池システム開始時の制御方法について図6のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、起動時の酸化剤電極層11の触媒劣化を抑制するための制御方法についてのみ説明する。燃料電池1停止時には、シャット弁222、223、212、213、214を閉とする。また、燃料出口三方弁215は、排気触媒231側に開とする。
ステップS1において、無触媒入口シャット弁213、無触媒出口シャット弁214を開とする。これにより、放置されている間に空気が混入されている可能性のある燃料極無触媒流路17内のガスを排気して、燃料ガスを充満させる。次に、ステップS2において、予め設定しておいた所定時間T1が経過したか否かを判断する。この所定時間T1は、例えば、燃料極無触媒流路17内が燃料ガスで充満するまでに必要な時間とする。所定の時間T1が経過するまでこの状態を維持し、経過したらステップS3に進む。
ステップS3において、無触媒出口シャット弁214を閉じる。次に、ステップS4において、無触媒入口シャット弁213を閉じる。これにより、燃料極無触媒流路17内に燃料ガスが滞留している状態となる。このとき、無触媒入口シャット弁213を無触媒出口シャット弁214の後で閉じているため、燃料ガスの圧力が比較的高い状態で、燃料極無触媒流路17が閉塞される。また、酸化剤ガス流路13および酸化剤電極層11内は、ほぼ大気圧程度となっている。そのため、水素は高分子電解質膜10を透過して、酸化剤電極層11側に移動する。
次に、ステップS5において、燃料入口シャット弁212を開とすることにより燃料ガス流路14への燃料ガスの供給を開始する。このときには、酸化剤電極層11内にも高分子電解質膜10を透過して移動した水素が存在するので、(1)式のカーボン腐食反応は生じず、水素を用いた(4)式に示す反応が生じる。
次に、ステップS6において、酸化剤入口シャット弁222、酸化剤出口シャット弁223を開とすることにより、酸化剤ガス流路13への空気の導入を開始する。このとき酸化剤ガス流路13および酸化剤電極層11内の圧力が上昇するため、燃料極無触媒流路17から高分子電解質膜10を介した水素の透過が停止し、酸化剤ガスに燃料ガスが混入するのを防止することができる。
このように、燃料極無触媒流路17に燃料ガスを充満させて酸化剤ガス流路13側に透過させることで、(1)式に示すカーボン腐食反応を抑制して、酸化剤電極層11の劣化を抑えることができる。ステップS5、S6において、燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給を開始したら通常運転に移行する。
なお、ステップS3において、無触媒出口シャット弁214を閉じてから、ステップS4において無触媒入口シャット弁213を閉じるまでは、所定時間の間隔をあけることが望ましい。ここでは、例えば所定時間を、燃料極無触媒流路17内の圧力が、高分子電解質膜10を介して酸化剤電極層11側に十分な水素が透過するのに必要な圧力となるまでに必要な時間とする。
また、ステップS4において、無触媒入口シャット弁213を閉じてから、ステップS5において、燃料入口シャット弁212を開くまでは、所定時間の間隔をあけることが望ましい。ここでは所定時間を、例えば、実験等により予め求めておいた、燃料極無触媒流路17から酸化剤電極層11および酸化剤ガス流路13に十分な水素が透過するのに必要な時間とする。
次に、本実施形態の効果について説明する。
水素透過性を有する固体高分子電解質膜10と、固体高分子電解質膜10の一方の面を被覆する酸化剤極11と、酸化剤極11との間に酸化剤ガス流路13を有する酸化剤ガスセパレータ15を備える。また、固体高分子電解質膜10のもう一方の面を、一部を除いて被覆する燃料極12と、燃料極12との間に燃料ガス流路14を有する燃料ガスセパレータ16を備える。さらに、固体高分子電解質膜10の燃料極12に被覆されない部分に沿って、燃料極12および燃料ガス流路14と隔離して形成された燃料極無触媒流路17を備える。これにより、燃料極無触媒流路17に燃料ガスが供給されることで、酸化剤電極層11側のカーボンの腐食反応を生じずに、燃料極無触媒流路17から高分子電解質膜10を介して酸化剤電極層11側に水素を供給することができる。その後、燃料電極層12に燃料ガス、酸化剤電極層11側に酸化剤ガスを供給した場合にも、カーボンの腐食反応に先立って、酸化剤電極層11側に存在する水素が反応するので、酸化剤電極層11の劣化を抑制しつつ、燃料電池1を起動することができる。
燃料極無触媒流路17を、高分子電解質膜10に沿って、反応面の中央付近を貫通するように構成する。これにより、水素が酸化剤電極層11全体に行き渡るまでの時間を短縮することができるので、燃料電池1の起動時間を短縮することができる。
また、燃料極無触媒流路17の一部が、高分子電解質膜10を介して酸化剤ガス流路13の一部に重なるように構成する。これにより、燃料極無触媒流路17と酸化剤ガス流路13の重なる部分において、水素を効率良く透過させることができるので、十分な水素が酸化剤電極層11側に移動するまでの時間を短縮することができる。
また、起動時に、燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給し、その後、燃料ガス流路14に燃料ガスを、酸化剤ガス流路13に酸化剤ガスを供給する。燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給することにより、酸化剤電極層11へ水素を透過させることができる。その後、燃料ガス流路14へ燃料ガスを、酸化剤ガス流路13へ酸化剤ガスを供給するので、カーボン腐食反応の替わりに水素を用いた反応を生じることができる。その結果、酸化剤電極層11の劣化を抑制することができる。
次に、第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
燃料電池セル1aの構成を図7に示す。酸化剤ガスセパレータ15の平面図を図7(a)に、燃料ガスセパレータ16の平面図を図7(b)に、燃料電池セル1aのC−C断面の構成を図7(c)に示す。
図7(b)に示すように、燃料極無触媒流路17を、燃料電極層12に重なる反応領域の外側に構成する。ここでは、燃料極無触媒流路17を、反応領域の外周に沿って構成する。燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給する燃料無触媒供給マニホールド25を、燃料極無触媒流路17の一部に接続させ、それと反対側に位置する部分に燃料無触媒排出マニホールド26を接続する。
また、燃料極無触媒流路17に囲まれた反応領域には、燃料ガス流路14を構成する。ここでは燃料ガス流路14を一段の蛇行形状により構成する。燃料ガス流路14の一端を、燃料電池1を積層方向に貫通する燃料供給マニホールド23に連通させ、もう一端を、同じく燃料電池1を積層方向に貫通する燃料排出マニホールド24に連通させる。
一方、酸化剤ガスセパレータ15には、酸化剤極無触媒流路18を構成する。酸化剤極無触媒流路18は、組み立て時に燃料極無触媒流路17に重なる位置に構成する。つまり、酸化剤極無触媒流路18は、反応領域の外に、外周に沿って構成される。
また、酸化剤極無触媒流路18内の反応領域に、酸化剤ガス流路13を構成する。酸化剤流路13を蛇行形状に構成する。ここでは、組み立て時に、酸化剤ガス流路13と燃料ガス流路14とが重なるように構成する。酸化剤ガス流路13の一端を、燃料電池1を積層方向に貫通する酸化剤供給マニホールド21に連通する。図7(a)に示すように、酸化剤供給マニホールド21は、酸化剤極無触媒流路18に重なる位置に構成する。つまり、後述するように、燃料極無触媒流路17から高分子電解質膜10を透過して燃料極無触媒流路18に移動した水素が、反応領域に構成した酸化剤ガス流路13に移動可能な構成とする。酸化剤ガス流路13の反対側の端部を、燃料電池1を積層方向に貫通する酸化剤排出マニホールド22に連通する。酸化剤排出マニホールド22は、反応領域内部に構成する。なお、酸化剤供給マニホールド21を反応領域内部に構成し、酸化剤排出マニホールド22を酸化剤極無触媒流路18に重なる位置に構成してもよい。
このように構成した酸化剤ガスセパレータ15、燃料ガスセパレータ16と、高分子電解質膜10、酸化剤電極層11、燃料電極層12を積層することにより、図7(c)に示すような燃料電池セル1aを構成する。
このとき、燃料極無触媒流路17と燃料電極層12との間には、燃料ガスセパレータ16の一部16aが配置され、これが隔壁の役割を果たすように構成する。一方、酸化剤極無触媒流路18と酸化剤電極層11とは一部が連通するように構成する。これにより、酸化剤極無触媒流路18内に透過した水素が酸化剤電極層11内を通って反応領域に拡散可能な構成とする。
次に、起動開始初期の燃料電池1内のガスの状態について説明する。なお、燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給する際の制御は、第1の実施形態と同様、図6のフローチャートに従う。
まず、燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給する。燃料極無触媒流路17内部を、酸化剤電極層11、酸化剤ガス流路13および酸化剤極無触媒流路18内の圧力より大きくなるように、燃料極無触媒流路17を閉塞する。これにより、水素が高分子電解質膜10を透過して、燃料極無触媒流路17から酸化剤極無触媒流路18に移動する。酸化剤極無触媒流路18に移動した水素は、抵抗の少ない酸化剤ガス流路13を通って反応領域全体に行き渡り、酸化剤電極層11全体に拡散される。また、透過した水素の一部は、酸化剤極無触媒流路18と酸化剤電極層11との接触部分から、直接、酸化剤電極層11内に拡散される。
次に、燃料ガスを燃料ガス流路14に供給する。このとき、酸化剤電極層11には水素が存在するので、(1)式に示したようなカーボン腐食反応は生じず、(4)式に示すような反応が生じる。その後、酸化剤ガス流路13に酸化剤ガスの供給を開始する。これにより、酸化剤極無触媒流路18内の圧力が燃料極無触媒流路17側より大きくなるので、水素の高分子電解質膜10の透過が停止する。
なお、燃料電池システムの構成、およびその制御方法は、第1の実施形態と同様とすることができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
燃料極無触媒流路17を、反応領域の外側に設ける。これにより、反応面積を低減することなく、燃料極無触媒流路17を構成することができるので、発電効率を低減することなく、酸化剤電極層11の劣化を抑制することができる。
ここでは、燃料極無触媒流路17を、反応領域の外周に沿って設ける。これにより、反応面積の低減を避けつつ、反応領域への水素の拡散を促進することができる。その結果、反応領域全体に水素が行き渡るまでの時間を短縮することができる。
また、高分子電解質膜10の酸化剤電極層11が接触している側の面の、燃料極無触媒流路17に重なる領域の少なくとも一部に、酸化剤電極層11および酸化剤ガス流路13の少なくとも一方に連通する酸化剤極無触媒流路18を備える。このように、酸化剤極側の、通常運転時に発電反応に関与しない燃料極無触媒流路17に重なる領域に、酸化剤極無触媒流路18を構成することで、使用するPt等の触媒を低減することができる。ここでは、燃料極無触媒流路17と酸化剤極未触媒流路18とを重なるように構成したので、反応領域となる部分以外に触媒が担持されるのを避けることができ、コストを低減することができる。
なお、燃料ガスや酸化剤ガスの流通方向、流路形状等は、上述したものに限らない。また、水素濃度検出手段等を用いて、各流路の水素濃度をモニタすることにより、シャット弁212、213、214、222、223の開閉のタイミングを計っても良い。
次に、第3の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
前述の(4)式で示すように、酸化剤電極層111では、酸化剤ガス中の酸素がプロトンと反応して水が生成される。さらに、燃料電極層112で反応により生じたプロトンが、高分子電解質膜110内部を拡散して酸化剤電極層111側へ移動する際に、水分子を伴って移動する。したがって、酸化剤極側では、酸化剤ガス供給口から酸化剤ガス排出口へ向かって湿度が徐々に上昇して、酸化剤ガス排出口では高加湿状態となる。
高分子電解質膜110は、高加湿状態では強度が低下し、低加湿状態では強度が上昇するという特性を有する。この高加湿状態と低加湿状態とにおける強度の変化は可逆的である。しかし、高分子電解質膜110が長時間高加湿状態に晒されると、その後低加湿状態に戻しても強度は低下したままの状態で維持され、復元しない。これにより、高分子電解質膜110が大きく劣化し、燃料電池セル1aの性能を劣化させる原因となる。
そこで本実施形態は、燃料電池セル1aを以下のように構成する。
燃料電池セル1aの構成を図8に示す。酸化剤ガスセパレータ15の平面図を図8(a)に、燃料ガスセパレータ16の平面図を図8(b)に示す。
図8(a)、(b)に示すように、酸化剤ガスセパレータ15及び燃料ガスセパレータ16を、二つの長辺と二つの短辺がそれぞれ対峙することにより構成される四辺形とする。ただし、セパレータの形状はこのような四辺形に限られない。
酸化剤ガスセパレータ15には、長辺と平行に直線形状の流路を複数設けてなる酸化剤ガス流路13を構成する。また、酸化剤ガスセパレータ15には、一方の短辺に酸化剤供給マニホールド21を、もう一方の短辺に酸化剤排出マニホールド22を構成する。そして、酸化剤ガス流路13を構成する各流路の一端を、酸化剤供給マニホールド21に、もう一端を酸化剤排出マニホールド22に各々連通させる。
酸化剤ガス流路13を構成する流路のうち最も外側に形成された一の流路に、湿度計測手段として湿度センサ27を備える。湿度センサ27を、酸化剤供給マニホールド21と酸化剤排出マニホールド22との略中央に、燃料電池1の外部から酸化剤ガス流路13内部に嵌挿する。湿度センサ27と酸化剤ガスセパレータ15との間は、絶縁性部材、例えば、ゴムや樹脂などによりシールする。湿度センサ27は、例えば、高分子電解質膜10が水分を含むことによる膨張率を測定して、酸化剤ガス流路13内の湿度を計測する。
一方、図8(b)に示すように、燃料ガスセパレータ16には、二段の流路14a、14bよりなる燃料ガス流路14を構成する。そして、燃料ガス流路14a、14bの一端を燃料供給マニホールド23a、23bに、もう一端を燃料排出マニホールド24a、24bにそれぞれ連通する。なお、ここでは燃料ガス流路14を蛇行形状に構成するが、この限りではない。また、ここでは燃料ガス流路14を酸化剤ガス流路13と略直交するように構成するが、組み立て時に酸化剤ガス流路13と重なる位置に構成してもよい。
また、燃料ガス流路14a、14bの間に、燃料極無触媒流路17を構成する。燃料ガス流路14と燃料極無触媒流路17とは、互いに連通しないように構成する。燃料極無触媒流路17を、燃料ガスセパレータ16の表面に、中央近傍を貫通するように形成した溝により構成する。燃料極無触媒流路17の一端を燃料無触媒供給マニホールド25に、もう一端を燃料無触媒排出マニホールド26に連通する。燃料無触媒供給マニホールド25、燃料無触媒排出マニホールド26は、各燃料電池セル1aの燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給または排出するように、燃料電池1を構成する燃料電池セル1aの積層方向に連続した流路とする。
燃料電池1の組み立て時には、燃料極無触媒流路17と酸化剤ガス流路13とが略直交するように構成する。これにより、酸化剤ガス流路13の一部が、燃料極無触媒流路17と重なるように構成される。
また、燃料電池1の組み立て時には、酸化剤ガス流路13に備えた湿度センサ27が、燃料極無触媒流路17と重なるように構成する。このように構成することで、湿度センサ27が酸化剤ガス流路13内の高加湿状態を検出した場合に、当該検出した箇所と対応する位置に燃料極無触媒流路17が設けられているため、酸化剤ガス流路13内部の湿度の上昇を的確に抑制することができる。
ただし、湿度センサ27は、燃料極無触媒流路17と重ならない位置に設置してもよい。また、湿度センサ27は、酸化剤ガス流路13の湿度を計測できれば、燃料ガス流路14又は燃料極無触媒流路17に設置してもよい。
このように構成した酸化剤ガスセパレータ15、燃料ガスセパレータ16と、高分子電解質膜10、酸化剤電極層11、燃料電極層12を積層することにより、図9(a)、(b)に示すような燃料電池セル1aを構成する。なお、図9(a)は、図8におけるD−D方向の断面図、図9(b)は、図8におけるE−E方向の断面図である。
図9(a)に示すように、酸化剤ガス流路13は、燃料電池セル1aの外部から嵌挿した湿度センサ27を備える。
次に、このような燃料電池1の酸化剤極側から燃料極側への水分の移動プロセスについて説明する。
燃料電池1を起動して長時間が経過すると、酸化剤電極層11では(4)式に示す反応が生じて、水が生成される。また、燃料電極層12では(3)式に示す反応が生じて、燃料ガス中の水素がプロトンと電子に分離する。そして、燃料電極層12で生じたプロトンは、高分子電解質膜10内部を拡散して酸化剤電極層11側に到達する。このとき、プロトンは水分子を伴って酸化剤電極層11側へ移動するため、酸化剤ガス流路13は酸化剤ガス排出口へ向かうほど高加湿状態となる。
一方、燃料電池セル1aでは、酸化剤極側と燃料極側の湿度に大きな差がある場合、両極の湿度差を小さくしようとする作用が働く。この作用によって、酸化剤電極層11で生じた水分子は、高分子電解質膜110内部を拡散して燃料極側、具体的には、燃料電極層12を介して燃料ガス流路14a又は14bへ移動する。しかし、この作用による燃料極側への水分子の移動は僅かな量であるため、酸化剤ガス流路13の高加湿状態は十分には解消されない。このような状態で燃料電池1の運転を継続すると、前述したように高分子電解質膜10の強度が低下して、劣化する可能性がある。
そこで、通常運転時に湿度センサ27が酸化剤ガス流路13内の高加湿状態を検出した場合、酸化剤ガス流路13に供給する酸化剤ガスの圧力を上昇させる。そして、燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給する。酸化剤ガス流路13への酸化剤ガスの供給圧力を上昇させると、酸化剤極側から燃料極側へ移動する水分子の量を増加させることができる。また、燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給することによって、酸化剤極側から燃料極無触媒流路17へ移動した水分子が流路内に滞留することなく、燃料極無触媒流路17のガス排出口へパージされる。
なお、酸化剤極側から燃料極側へ移動した水分子は、燃料ガス流路14bへも移動する。このとき、燃料ガス流路14bにおいても、酸化剤極側から移動した水分子を燃料ガスによってパージすることができる。しかし、燃料ガス流路14bは酸化剤電極層11との間に触媒層12bを備えるため、(3)式に示すように燃料ガス中の水素が触媒に接触することによりプロトンと電子とに分離する反応が生じる。前述のようにプロトンは、燃料極側の水分子を伴って酸化剤極側へ移動する。つまり、燃料ガス流路14bでは、酸化剤ガスの供給圧力を上げることによって酸化剤極から水分子が移動するとともに、反応によって生じたプロトンによって燃料極側の水分子が酸化剤極側へ移動する作用が同時に生じる。よって、燃料ガス流路13では、酸化剤ガス流路13の湿度を十分に抑制できない。
これに対し、燃料極無触媒流路17は触媒層12bを備えない。よって、燃料極無触媒流路17に供給された水素は触媒に接触しないためプロトンにはならず、燃料極無触媒流路17が設けられた領域において酸化剤極側への水分子の移動がない。これにより、燃料極無触媒流路17では、酸化剤ガス流路13の湿度上昇を抑制できる。
次に、このような燃料電池1を用いる際の燃料電池システムの構成を、図10を用いて説明する。なお、図5と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の燃料電池システムには、燃料電池1の酸化剤ガス流路13の上流側に、コンプレッサ221及び酸化剤入口シャット弁222を備える。通常運転時には、酸化剤入口シャット弁222を開に設定する。そして、コンプレッサ221により導入した酸化剤ガスを、酸化剤供給マニホールド21を介して酸化剤ガス流路13に供給する。酸化剤ガスは酸化剤ガス流路13から酸化剤電極層11内に拡散し、発電反応に用いられる。また、燃料電池1の下流側には、酸化剤出口シャット弁223を備え、通常運転時には、酸化剤出口シャット弁223を開に設定する。酸化剤出口シャット弁223は、酸化剤ガス流路13内の圧力を調整可能とする。
酸化剤ガス流路13を流通した空気は、酸化剤排出マニホールド22を通って燃料電池1から排出される。その後、酸化剤出口シャット弁223を介して、排気触媒231に供給されてから、システム外部に排出される。
また、燃料電池1を構成する各単位セル1aは、酸化剤ガス流路13に湿度センサ27を備える。湿度センサ27は、運転中の燃料電池1の酸化剤ガス流路13内の湿度を計測する。そして、湿度センサ27は、計測した湿度をデジタル信号に変換して、燃料電池システムに備えられたコントローラ241へ出力する。コントローラ241は、湿度センサ27から出力された信号に基づいて、各シャット弁212、213、214、222、223の開閉を制御する。
一方、燃料電池システムは、燃料ガス流路14又は燃料極無触媒流路17の上流に、燃料ガスボンベ211と、燃料入口シャット弁212及び無触媒入口シャット弁213を備える。通常運転時には、燃料入口シャット弁212を開に、無触媒入口シャット弁213を閉に設定する。したがって、燃料ガスボンベ211から導入された水素は、分岐部218及び燃料入口シャット弁212を介して、燃料電池1の燃料供給マニホールド23に供給され、さらに、各燃料電池セル1aに分配されて、燃料ガス流路14に供給される。そして、燃料ガス流路14から燃料電極層12に水素が拡散して、発電反応に用いられる。反応後、燃料ガス排出マニホールド27を通って各燃料電池セル1aから回収され、燃料電池1から排出される。
燃料電池1の燃料ガス流路14の下流側には、燃料出口三方弁215及び排気触媒231を備える。さらに、循環路216とリサイクルブロア217を備える。循環路216の下流端は、燃料入口シャット弁212の上流側に接続する。ここでは、燃料電池1から排出された燃料ガスが燃料ガス流路14側にだけ流れるように、接続部220に接続するように構成する。ただし、燃料ガスボンベ211から燃料ガス流路14側と燃料極無触媒流路17側に分岐する分岐部218に接続してもよい。
酸化剤ガス流路13の湿度を調整する運転(以後、制御運転と呼称)を開始すると、燃料入口シャット弁212及び無触媒入口シャット弁213のいずれも開に設定する。したがって、燃料ガスボンベ211から導入された水素は、分岐部218から燃料入口シャット弁212と無触媒入口シャット弁213へ分岐して、燃料供給マニホールド23又は燃料無触媒供給マニホールド25に供給される。さらに、各燃料電池セル1aに分配されて、燃料ガス流路14又は燃料極無触媒流路17に供給される。そして、燃料極無触媒流路17に導入された燃料ガスは、酸化剤極側から燃料極無触媒流路17へ移動した水分子を伴って、燃料無触媒排出マニホールド26から排出される。
燃料電池1の燃料極無触媒流路17の下流側には、無触媒出口シャット弁214及び無触媒出口三方弁219を備える。通常運転時には、無触媒出口シャット弁214を開に設定する。無触媒出口シャット弁214は、燃料極無触媒流路17内の圧力を調整可能とする。
無触媒出口三方弁219は、排出された燃料ガスの状態に応じて開放する方向を切り替える。例えば、燃料極無触媒流路17中の燃料ガスの窒素濃度が十分に低い場合には、無触媒出口三方弁219を循環路216側に設定し、燃料ガスを再度燃料電池1に供給する。燃料ガス中の窒素濃度が所定より高くなった場合には、発電効率が低下するのを避けるために、無触媒出口三方弁219を排気触媒231側に設定し、燃料極無触媒流路17内をパージする。パージされた排燃料ガスは、排気触媒231において、酸化剤ガス流路13から排出された排空気を用いて燃焼処理されてから、燃料電池システム外部に排出される。
次に、燃料電池システム運転時の制御方法について図11のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、運転時の高分子電解質膜10の劣化を抑制するための制御方法についてのみ説明する。
通常運転時には、シャット弁222、223、212を開とし、シャット弁213、214を閉とする。また、燃料出口三方弁215は、燃料電池1から排出される燃料ガスの状態に応じて、循環路216側又は排気触媒231側に開とする。これによって、燃料極側では、前述の(3)式に示す反応が生じる。
一方、コンプレッサ221により導入した空気は、開に設定した酸化剤入口シャット弁222を介して酸化剤ガス流路13に供給される。これによって、酸化剤極側では、(4)式に示す反応が生じる。
このように、酸化剤極側で(4)式に示す反応が生じている間、酸化剤ガス流路13に備えた湿度センサ27において、反応によって生成された水分の量を計測する。
そして、ステップS11において、湿度センサ27によって計測された酸化剤ガス流路13内の相対湿度が80%以上であるか否かを判断する。このとき、相対湿度が80%より小さい場合は、ステップS11の処理を繰り返し実行する。
一方、相対湿度が80%以上の場合は、ステップS12において、無触媒入口シャット弁213、無触媒出口シャット弁214及び無触媒出口三方弁219を開とする。これにより、燃料ガスボンベ211から供給される燃料ガスが、燃料極無触媒流路17へ導入され、さらに、無触媒出口シャット弁214を介して燃料電池1の外へ排出される。このとき、無触媒出口三方弁219は、燃料電池1から排出される燃料ガスの状態に応じて、循環路216側又は排気触媒231側に開とする。
このように、燃料極無触媒流路17へ燃料ガスを導入することによって、酸化剤電極層11から移動してきた水分子を、ガス排出口へパージすることができる。そして、酸化剤ガス流路13内の湿度を低下させることができる。ただし、燃料極無触媒流路17へ燃料ガスを導入するのみで、酸化剤ガス流路13内の湿度を十分に低下させることができるのは、燃料極無触媒流路17の面積を広くとった場合や、酸化剤ガス流路13の湿度が低い場合(80%を僅かに上回る程度の湿度の場合)である。
次に、ステップS13において、予め設定しておいた所定時間T2が経過したか否かを判断する。この所定時間T2は、例えば、燃料極無触媒流路17へ燃料ガスを導入することによって、酸化剤ガス流路13内の湿度が十分に低下するのに必要な時間とする。そして、時間T2が経過するまでこの状態を維持し、経過したらステップS14に進む。
次に、ステップS14において、湿度センサ27によって計測された酸化剤ガス流路13内の相対湿度が80%以上であるか否かを判断する。このとき、相対湿度が80%より小さい場合は、ステップS11へ戻る。
一方、相対湿度が80%以上の場合は、ステップS15において、酸化剤出口シャット弁223を閉じる。そして、コンプレッサ221から酸化剤ガス流路13へ酸化剤ガスを継続して供給する。これにより、閉塞された酸化剤ガス流路13内に酸化剤ガスが滞留している状態となる。さらに、酸化剤ガス流路13内部の圧力を、燃料電極層12及び燃料ガス流路14内の圧力より大きくする。これにより、水分子が高分子電解質膜10を透過して、酸化剤ガス流路13から燃料ガス流路14及び燃料極無触媒流路17に移動する。
次に、ステップS16において、予め設定しておいた所定時間T3が経過したか否かを判断する。この所定時間T3は、例えば、酸化剤出口シャット弁を閉じることによって、酸化剤ガス流路13内の湿度が十分に低下するのに必要な時間とする。そして、時間T3が経過するまでこの状態を維持し、経過したらステップS17に進む。
次に、ステップS17において、酸化剤出口シャット弁223を開く。これにより、酸化剤ガス流路13から燃料電池1の外への酸化剤ガスの排出が再開され、酸化剤ガス流路13内は、ほぼ大気圧程度となる。
そして、ステップS18において、無触媒入口シャット弁213、無触媒出口シャット弁214及び無触媒出口三方弁219を閉じる。これにより、燃料ガスタンク211から燃料極無触媒流路17への燃料ガスの供給を停止される。
なお、高分子電解質膜10に劣化が生じる湿度は、高分子電解質膜10の性質や性能によって異なり、また、湿度センサ27を設置する位置によっても異なる。したがって、高分子電解質膜の劣化を抑制するための閾値となる相対湿度は、80%以上に限られない。
次に、運転時の燃料電池1の酸化剤ガス流路13内の湿度変化について図12を用いて説明する。
図12において、縦軸は酸化剤ガス流路13内の相対湿度を示す。横軸は、酸化剤供給マニホールド21(入口)から酸化剤排出マニホールド22(出口)の位置的変化を示す。横軸の略中央には、燃料電池100a内に設けた湿度センサ27が配置される位置を示す。
線Aは、相対湿度が100%の状態を示す。線Aより上に示す領域では、反応により生じた水分が凝縮水として発生する。
線Bは、通常運転状態における酸化剤ガス流路13内の、酸化剤供給マニホールド21から酸化剤排出マニホールド22までの湿度変化を示す。酸化剤ガス流路13では、入口側では湿度は低く、出口側に進むにつれて、反応により生じた水分によって湿度が高くなる。よって、線Bが線Aを越えた位置から下流の領域は、高加湿状態と判断することができる。
点aは、線Bで示す相対湿度が80%を越えた時点を示す。また、線Cは、点aの時点で、図11に示す制御運転を実行した場合の湿度変化を示す。このように、点aの時点で制御運転を行うことにより、酸化剤ガス流路13内の湿度上昇が抑制され、高分子電解質膜10が長時間高加湿状態に晒されるのを防止することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
酸化剤ガス流路13、燃料ガス流路14又は燃料極無触媒流路17の少なくともいずれか一つに湿度センサ27(湿度計測手段)を設け、発電時において、湿度センサ27によって計測された湿度が所定の値以上の場合は、燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給し、湿度センサ27によって計測された湿度が所定の値より小さい場合は、燃料極無触媒流路17に燃料ガスを供給しない。
これにより、高分子電解質膜10を透過して酸化剤極側から燃料極無触媒流路17へ移動した余分な水分がパージされ、酸化剤極側の湿度上昇を抑制できる。その結果、高分子電解質膜10を高加湿状態下に晒すことを防止して、高分子電解質膜10の劣化を抑制しつつ、運転することができる。
また、燃料極無触媒流路17への燃料ガスの供給時に、酸化剤ガス流路13への酸化剤ガスの供給圧力を上げる。
これにより、酸化剤ガス流路13内部の圧力が燃料極無触媒流路17内部の圧力よりも大きくなるため、酸化剤側の余分な水分が高分子電解質膜10を透過して酸化剤極側から燃料極側へ効率よく移動する。
次に、第4の実施形態について説明する。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第3の実施の形態では、酸化剤ガス流路13の出口弁としてシャット弁を用いたが、第4の実施の形態では、調圧弁を用いる。以後、酸化剤ガス流路13の出口弁を、酸化剤出口調圧弁223とする。
本実施形態では、図13に示すように、酸化剤出口調圧弁223の上流側に圧力測定手段240を備える。圧力測定手段240は、酸化剤出口調圧弁223の上流位置の酸化剤ガス圧力を計測する。そして、圧力測定手段240は、計測した圧力をデジタル信号に変換して、燃料電池システムに備えられたコントローラ241へ出力する。コントローラ241は、圧力測定手段240から出力された信号に基づいて、酸化剤出口調圧弁223の開度を制御する。
なお、図13に示す燃料電池システムの構成において、図10に示す燃料電池システムの構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の燃料電池システム運転時の制御方法について図14のフローチャートを用いて説明する。
通常運時には、シャット弁222、212及び調圧弁223を開とし、シャット弁213、214を閉とする。また、燃料出口三方弁215は、燃料電池1から排出される燃料ガスの状態に応じて、循環路216側又は排気触媒231側に開とする。一方、コンプレッサ221により導入した空気は、開に設定した酸化剤入口シャット弁222を介して酸化剤ガス流路13に供給される。
図14のステップS21〜S24は、図11のステップS11〜S14とそれぞれ同一の内容の処理であるため、その説明を省略する。
ステップS24において、相対湿度が80%以上の場合、ステップS25において、酸化剤出口調圧弁223の開度を絞って圧力を調整する。このとき、コントローラ241は、圧力測定手段240によって計測された圧力に基づいて酸化剤出口調圧弁223の開度を制御し、酸化剤出口調圧弁223から排出される酸化剤ガスを所定の圧力(例えば、150kPa)に維持する。なお、酸化剤出口調圧弁223の圧力は、高分子電解質膜の水透過性や発電条件等によって適正値が異なるため、150kPaに限られない。
そして、コンプレッサ221から酸化剤ガス流路13へ酸化剤ガスを継続して供給する。このように、酸化剤出口調圧弁223の開度を絞ることによって、水分子が高分子電解質膜10を透過して、酸化剤ガス流路13から燃料ガス流路14及び燃料極無触媒流路17に移動する。また、酸化剤出口調圧弁223の開度を制御することによって、酸化剤ガス流路13から燃料ガス流路14及び燃料極無触媒流路17に移動する水分子の量を制御することができる。
次に、ステップS26において、予め設定しておいた所定時間T4が経過したか否かを判断する。この所定時間T4は、例えば、酸化剤ガス流路13へ酸化剤ガスを導入することによって、酸化剤ガス流路13内の湿度が十分に低下するのに必要な時間とする。そして、時間T4が経過するまでこの状態を維持し、経過したらステップS27に進む。
次に、ステップS27において、湿度センサ27によって計測された酸化剤ガス流路13内の相対湿度が80%以上であるか否かを判断する。
一方、相対湿度が80%以上の場合は、ステップS25に戻って、酸化剤出口調圧弁223の開度を制御して、酸化剤ガス流路13内の酸化剤ガスの圧力を制御する。このように、酸化剤出口調圧弁223の開度を徐々に絞ることによって、酸化剤ガス流路13内の圧力を制御して、相対湿度が80%以下になるまでステップS25〜S27の処理を繰り返し継続する。
そして、ステップS27において相対湿度が80%より小さくなった場合は、ステップS28へ進み、酸化剤出口調圧弁223を開く。これによって、酸化剤ガス流路13から燃料電池1の外への酸化剤ガスの排出が再開され、酸化剤ガス流路13内は、ほぼ大気圧程度となる。
そして、ステップS29において、無触媒入口シャット弁213、無触媒出口シャット弁214及び無触媒出口三方弁219を閉じる。これにより、燃料ガスタンク211から燃料極無触媒流路17への燃料ガスの供給が停止される。
なお、高分子電解質膜10に劣化が生じる湿度は、高分子電解質膜10の性質や性能によって異なり、また、湿度センサ27を設置する位置によっても異なる。したがって、高分子電解質膜の劣化を抑制するための閾値となる相対湿度は、80%以上に限られない。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第3の実施形態と異なる効果のみを説明する。
酸化剤ガス流路13の出口弁として、調圧弁を用いる。これにより、酸化剤ガス流路13を所望の湿度に調整することができ、高分子電解質膜10の性能の劣化を抑制することができる。
次に、第5の実施形態について説明する。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
前述の図8(a)では、酸化剤ガス流路13の略中央部に一つの湿度センサ27を設けた。この場合、図12に示すように、湿度センサ27によって所定の値(相対湿度80%)が計測された時点(点a)で制御運転を実行する。しかし、所定時間が経過して制御運転を停止すると、酸化剤ガス流路13内部の点aより下流側では再び高加湿状態となる。つまり、酸化剤ガス流路13の出口付近の高分子電解質膜10の劣化を的確に防止することができず、燃料電池セル1aの性能を劣化させる原因となる。
そこで本実施形態は、燃料電池セル1aを以下のように構成する。
燃料電池セル1aの構成を図15に示す。酸化剤ガスセパレータ15の平面図を図15(a)に、燃料ガスセパレータ16の平面図を図15(b)に、F−F方向の断面図を図15(c)に示す。なお、図15(a)及び(b)に示すD−D方向の断面図は図9(a)に示す断面図と同一であるため、省略する。
酸化剤ガス流路13を構成する流路のうち最も外側に形成された一の流路に、湿度計測手段として湿度センサ27aを備え、湿度センサ27aの下流に湿度センサ27bを備える。湿度センサ27a、27bは、酸化剤供給マニホールド21と酸化剤排出マニホールド22との間を略三等分する位置にそれぞれ設ける。なお、ここでは二つの湿度センサ27a及び27bを設けるが、三つ以上の湿度センサを設けてもよい。
一方、図15(b)に示すように、燃料ガスセパレータ16には、三段の流路14a、14b、14cよりなる燃料ガス流路14を構成する。燃料ガス流路14a、14b、14cを、対峙する酸化剤ガス流路13の上流側からそれぞれ流路14a、14b、14cの順に構成する。そして、燃料ガス流路14a、14b、14cの一端を、燃料供給マニホールド23a、23b、23cに、もう一端を燃料排出マニホールド24a、24b、24cにそれぞれ連通する。なお、ここでは燃料ガス流路14を蛇行形状に構成するが、この限りではない。また、ここでは燃料ガス流路14を酸化剤ガス流路13と略直交するように構成するが、組み立て時に酸化剤ガス流路13と重なる位置に構成してもよい。
燃料ガス流路14a、14bの間に、燃料極無触媒流路17aを構成する。また、燃料極無触媒流路17aの下流であって、燃料ガス流路14b、14cの間に、燃料極無触媒流路17bを構成する。燃料ガス流路14a、14b、14cと燃料極無触媒流路17a、17bとは、互いに連通しないように構成する。燃料極無触媒流路17a、17bを、燃料ガスセパレータ16の表面に貫通するように形成した溝により構成する。燃料極無触媒流路17a、17bの一端を燃料無触媒供給マニホールド25a、25bに、もう一端を燃料無触媒排出マニホールド26a、26bにそれぞれ連通する。燃料無触媒供給マニホールド25a、25b、燃料無触媒排出マニホールド26a、25bは、各燃料電池セル1aの燃料極無触媒流路17a、17bに燃料ガスを供給または排出するように、燃料電池1を構成する燃料電池セル1aの積層方向に連続した流路とする。なお、ここでは二つの燃料極無触媒流路17a及び17bを設けるが、三つ以上の燃料極無触媒流路を設けてもよい。
燃料電池1の組み立て時には、燃料極無触媒流路17a、17bと酸化剤ガス流路13とが略直交するように構成する。これにより、酸化剤ガス流路13の一部が、燃料極無触媒流路17a、17bと重なるように構成される。
また、燃料電池1の組み立て時には、酸化剤ガス流路13に備えた湿度センサ27a、27bが、燃料極無触媒流路17a、17bと重なるように構成する。このように構成することで、湿度センサ27a、27bが酸化剤ガス流路13の高加湿状態を検出した場合に、当該検出した箇所と対応する位置に燃料極無触媒流路17a、17bが設けられているため、酸化剤ガス流路13内部の湿度を的確に抑制することができる。
ただし、湿度センサ27a、27bは、燃料極無触媒流路17a、17bと重ならない位置に設置してもよい。また、湿度センサ27a、27bは、酸化剤ガス流路13の湿度を計測できれば、燃料ガス流路14a、14b、14c又は燃料極無触媒流路17a、17bに設置してもよい。
なお、燃料極無触媒流路17a、17bへは、それぞれ別の供給口を設けて燃料ガスタンク211から燃料ガスを導入してもよく、また、燃料ガスタンク211から燃料極無触媒流路17aへ導入した燃料ガスを燃料極無触媒流路17bへ供給するように構成してもよい。
このように構成した酸化剤ガスセパレータ15、燃料ガスセパレータ16と、高分子電解質膜10、酸化剤電極層11、燃料電極層12を積層することにより、図15(c)に示すような燃料電池セル1aを構成する。
次に、本実施形態の運転時の燃料電池1の酸化剤ガス流路13内の湿度変化について図16を用いて説明する。
図16において、点b1は、相対湿度が80%を越えた時点を示す。また、線Cは、点b1の時点で、図11に示す制御運転を実行した場合の湿度変化を示す。このように、点b1の時点で制御運転を行うことにより、酸化剤ガス流路13内の湿度上昇が抑制され、高分子電解質膜10が長時間高加湿状態に晒されるのを防止することができる。
点b1の時点において制御運転が実行され、いったん湿度の上昇が抑制された酸化剤ガス流路13内部は、点b1よりさらに下流に進むにつれて、酸化剤電極層11における(4)式に示す反応により水が生じる。また、燃料極側からの水分子の移動によって、線Cで示すように出口側では再び湿度が上昇し、相対湿度が100%を越えて高加湿状態となる。
点b2は、湿度センサ27bによって相対湿度が80%を越えたことが検出された時点である。また、線Dは、点b2の時点で、図11に示す制御運転を実行した場合の湿度変化を示す。このように、点b2の時点で制御運転を行うことにより、酸化剤ガス流路13の出口側においても湿度の上昇が抑制することができる。つまり、燃料電池セル1aに複数の燃料極無触媒流路17を設けることによって、酸化剤ガス流路13の出口に至るまで、酸化剤ガス流路13全体の湿度上昇を抑制することができる。
なお、本実施形態においても、酸化剤ガス流路13の出口弁として、シャット弁に代えて調圧弁を用いてもよい。その場合、燃料電池システム運転時には、図14に示す制御方法を行う。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
燃料電池セル1aに、燃料ガス流路14と燃料極無触媒流路17とをそれぞれ複数備える。これにより、酸化剤ガス流路13の全面にわたって湿度の上昇を抑制することができ、高分子電解質膜10の性能の劣化を抑制することができる。
なお、燃料ガスや酸化剤ガスの流通方向、流路形状等は、上述したものに限らない。
このように、本発明は、上記発明を実施するための最良の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更を為し得ることは言うまでもない。
本発明は、燃料電池および燃料電池システムに適用することができる。
固体高分子型燃料電池セルの構成の例を示す図である。 酸化剤電極層の劣化が生じる際の状態を示す図である。 第1の実施形態に用いるセパレータの構成図である。 第1の実施形態に用いる燃料電池セルの断面図である。 第1の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。 第1の実施形態における酸化剤電極層の劣化抑制の制御を示すフローチャートである。 第2の実施形態に用いる燃料電池セルの構成図である。 第3の実施形態に用いる燃料電位セルの構成図である。 第3の実施形態に用いる燃料電位セルの断面図である。 第3の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。 第3の実施形態に用いる酸化剤電極層の湿度調整の制御を示すフローチャートである。 第3の実施形態に用いる酸化剤極側の湿度変化を示す説明図である。 第4の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。 第4の実施形態に用いる酸化剤電極層の湿度調整の制御を示すフローチャートである。 第5の実施形態に用いる燃料電池セルの構成図である。 第5の実施形態に用いる酸化剤極側の湿度変化を示す説明図である。
符号の説明
1 燃料電池
1a 燃料電池セル
10 高分子電解質膜(固体高分子電解質膜)
11 酸化剤電極層(酸化剤極)
12 燃料電極層(燃料極)
13 酸化剤ガス流路(第一酸化剤ガス流路)
14 燃料ガス流路(第一燃料ガス流路)
15 酸化剤ガスセパレータ
16 燃料ガスセパレータ
17 燃料極無触媒流路(第二燃料ガス流路)
18 酸化剤極無触媒流路(第二酸化剤ガス流路)
27 湿度センサ

Claims (10)

  1. 水素透過性を有する固体高分子電解質膜と、
    前記固体高分子電解質膜の一方の面を被覆する酸化剤極と、
    前記酸化剤極との間に第一酸化剤ガス流路を有する酸化剤ガスセパレータと、
    前記固体高分子電解質膜のもう一方の面を、一部を除いて被覆する燃料極と、
    前記燃料極との間に第一燃料ガス流路を有する燃料ガスセパレータと、
    前記固体高分子電解質膜の前記燃料極に被覆されない部分に沿って、前記燃料極および前記第一燃料ガス流路と隔離して形成された第二燃料ガス流路と、を備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  2. 前記第二燃料ガス流路を、前記固体高分子電解質膜に沿って、反応面の中央付近を貫通するように構成する請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 前記第二燃料ガス流路を、反応領域の外側に設ける請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 前記第二燃料ガス流路を、反応領域の外周に沿って設ける請求項3に記載の固体高分子型燃料電池。
  5. 前記第二燃料ガス流路の一部が、前記固体高分子電解質膜を介して前記第一酸化剤ガス流路の一部に重なるように構成する請求項1から4のいずれか一つに記載の固体高分子型燃料電池。
  6. 前記固体高分子電解質膜の前記酸化剤極が接触している側の面の、前記第二燃料ガス流路に重なる領域の少なくとも一部に、前記酸化剤極および前記第一酸化剤ガス流路の少なくとも一方に連通する第二酸化剤ガス流路を備える請求項1から4のいずれか一つに記載の固体高分子型燃料電池。
  7. 前記第一燃料ガス流路と前記第二燃料ガス流路とをそれぞれ複数備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の固体高分子型燃料電池。
  8. 請求項1から7のいずれか一つの固体高分子型燃料電池を備え、
    起動時に、前記第二燃料ガス流路に燃料ガスを供給し、その後、前記第一燃料ガス流路に燃料ガスを、前記第一酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給することを特徴とする燃料電池システム。
  9. 請求項1から7のいずれか一つの固体高分子型燃料電池を備え、
    前記第一酸化剤ガス流路、前記第一燃料ガス流路又は前記第二燃料ガス流路の少なくともいずれか一つに湿度計測手段を備え、
    発電時において、前記湿度計測手段によって計測された湿度が所定の値以上の場合は、前記第二燃料ガス流路に燃料ガスを供給し、
    前記湿度計測手段によって計測された湿度が所定の値より小さい場合は、前記第二燃料ガス流路に燃料ガスを供給しないことを特徴とする燃料電池システム。
  10. 前記第二燃料ガス流路への燃料ガスの供給時に、前記第一酸化剤ガス流路への酸化剤ガスの供給圧力を上げることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
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