JP2006092981A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 サーペンタイン流路内の水分を除去し、燃料電池の性能低下を抑制する燃料電池システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 反応ガスが流入する反応ガス入口部と、該反応ガスが流出する反応ガス出口部とを有する単セルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池に反応ガスを供給する供給部とを有する燃料電池システムであって、前記単セルの前記反応ガス入口部から前記反応ガス出口部へ流れる反応ガスの流路を、蛇行した流路であるサーペンタイン流路で形成し、前記サーペンタイン流路の該流路が折れ曲がるターン部の近傍に、該サーペンタイン流路上の水分を除去する掃気ガスが流入する掃気ガス入口部を設け、所定の運転条件に応じて、前記掃気ガス入口部に前記掃気ガスを供給する供給手段を備えた燃料電池システムとする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、サーペンタイン流路を備えた燃料電池において、流路内の水分を除去する燃料電池システムに関する。
酸化ガス(例えば、空気)と燃料ガス(例えば、水素)とを反応ガスとして供給し、電気化学反応を利用して発電する燃料電池システムでは、電気化学反応により酸素極側で水が生成される。この生成水などの水分が燃料電池内の流路上に滞留すると、電解質膜成分や触媒層などの劣化により耐久性が低下し、燃料電池の性能が低下する恐れがある。また、水分の滞留により、セル間の圧力損失にバラツキが生じ、流路上に水分が滞留したセルでの発電性能が低下するため、セルを積層した燃料電池全体の性能が低下する。こうした燃料電池システムの性能の低下を防ぐため、従来から、流路内の水分を除去する種々の技術が提案されている(下記特許文献参照)。
例えば、下記特許文献2によれば、燃料電池の運転停止時等に流路上に乾燥したガスを供給し、水分をガスと共に排出することで、水分を除去することができるとされている。
特開平7−235324号公報 特開2002−208421号公報 特開2003−272694号公報 特開2002−324563号公報 特開平6−68886号公報 特開2003−290649号公報
こうした水分の除去技術を、直線的な流路ではなく、サーペンタイン流路を備えた燃料電池システムに適用する技術は開示されていない。燃料電池内の生成水は、流路の下流側に溜まりやすい。加えて、サーペンタイン流路は、蛇行した流路で形成されており、流路の折り返し部分に該当するターン部分にも水分が溜まりやすい。そのため、単に乾燥したガスを供給しても、流路内の水分を十分に除去できないことが考えられる。さらには、もともと流路の圧力損失が大きいサーペンタイン流路では、滞留した水分の影響を受け、さらに圧力損失が大きくなり、反応ガスがサーペンタイン流路に沿って流れず一部の流路を飛び越える現象(いわゆるパスカット)が生じ、燃料電池の性能が低下する可能性がある。
本発明は、こうした問題を踏まえて、サーペンタイン流路内の水分を除去し、燃料電池の性能低下を抑制する燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の第1の燃料電池システムは、上記課題を鑑み、以下の手法を採った。すなわち、反応ガスが流入する反応ガス入口部と、該反応ガスが流出する反応ガス出口部とを有する単セルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池に反応ガスを供給する供給部とを有する燃料電池システムであって、前記単セルの前記反応ガス入口部から前記反応ガス出口部へ流れる反応ガスの流路を、蛇行した流路であるサーペンタイン流路で形成し、前記サーペンタイン流路の該流路が折れ曲がるターン部の近傍に、該サーペンタイン流路上の水分を除去する掃気ガスが流入する掃気ガス入口部を設け、所定の運転条件に応じて、前記掃気ガス入口部に前記掃気ガスを供給する供給手段を備えたことを要旨としている。
本発明の第1の燃料電池システムによれば、サーペンタイン流路の折れ曲がり部分であるターン部近傍に、新たにガスの入口である掃気ガス入口部を設け、運転条件に応じて、入口部から掃気ガスを供給する。燃料電池の電気化学反応により生成された水分は、サーペンタイン流路のターン部付近に滞留しやすい。水分の滞留しやすい部位であるターン部に、掃気ガスを供給することで、掃気ガスと共に水分を除去することができる。その結果、例えば、フラッディング等の発生、水分による電解質膜の劣化などを抑え、燃料電池の性能(特に耐久性)低下を抑制するシステムを構築することができる。
上記の構成を有する燃料電池システムは、更に、前記サーペンタイン流路上であって、前記反応ガス出口部よりも上流側のターン部の近傍に、該サーペンタイン流路を流れるガスが流出するガス流出部を設け、前記ガス流出部から流出するガスの量を調整する調整手段を備え、前記調整手段は、前記供給手段による前記掃気ガス入口部への前記ガスの供給と共に、前記ガス流出部から前記ガスを排出するものとすることができる。
かかる燃料電池システムによれば、反応ガス出口部とは別に、サーペンタイン流路のターン部近傍にガス流出部を設け、そのガス流出部から流出するガス量を調整する。つまり、サーペンタイン流路に掃気ガスを供給する時に、サーペンタイン流路からのガス排出の出口を増やす。したがって、出口が増えることで、サーペンタイン流路内の水分の排水性を向上し、サーペンタイン特有のターン部に滞留する水分を排出することができる。
上記の構成を有する燃料電池システムにおける所定の運転条件は、前記燃料電池の発電開始前のタイミングであるものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、燃料電池の発電開始前のタイミング、つまり、システムの起動時のタイミングで、サーペンタイン流路上の掃気ガス入口部に掃気ガスを供給する。サーペンタイン流路に供給された掃気ガスは、滞留した水分と共に流路上を流れ、出口から排出される。したがって、流路内の水分の除去処理を実行してから、燃料電池による発電を開始することができ、滞留した水分による性能低下を抑制することができる。発電開始前のタイミングで、処理を行なうことで、特に、システム停止時の間に重力の影響を受けて溜まった水分を除去するのに効果がある。
上記の構成を有する燃料電池システムにおける所定の運転条件は、前記燃料電池の発電停止後のタイミングであるものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、燃料電池の発電停止後のタイミングで、サーペンタイン流路上の掃気ガス入口部に掃気ガスを供給し、掃気ガスと共に流路内の水分を排出する。したがって、流路内の水分の除去処理を実行してから、システムを停止することができ、滞留した水分による燃料電池の劣化、例えば、電解質膜成分の劣化を抑制することができる。発電停止後のタイミングで、処理を行なうことで、特に、システム運転中に燃料電池内の流路の下流に滞留した水分を除去するのに効果がある。
上記の構成を有する燃料電池システムの供給手段は、前記燃料電池に反応ガスを供給する前記供給部であり、前記掃気ガスとして該反応ガスを供給するものとすることができる。
かかる燃料電池システムによれば、サーペンタイン流路内の水分を除去する掃気ガスとして、システムの運転中に使用する反応ガスを利用する。例えば、反応ガスとして酸化ガスと燃料ガスとを、それぞれ酸素極と水素極とに供給する燃料電池においては、酸素極側の掃気ガスとして酸化ガスを、水素極側の掃気ガスとして燃料ガスを供給する。こうした反応ガスを供給するシステムに既存の供給源(例えば、エアコンプレッサや水素タンクなど)を利用して、掃気ガスを供給する。したがって、既存のシステムを利用して、水分の除去を行なうことができる。
上記の構成を有する燃料電池システムにおける掃気ガスは、前記反応ガス中の水分を低減した乾燥ガスであるものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、掃気ガスとして供給する反応ガスのうち、特にガス中の水分を低減した乾燥ガスを供給する。乾燥したガスを供給することで、水分により濡れた状態のサーペンタイン流路を乾かし、流路内の水分除去に効果を奏する。
上記の構成を有する燃料電池システムは、燃料電池に供給する反応ガスとしての酸化ガスを加湿する加湿器を備え、前記供給手段は、前記加湿器に流入する前の酸化ガスを前記掃気ガスとして前記掃気ガス入口部に供給するものとしても良い。
かかる燃料電池システムによれば、燃料電池の運転時に供給する反応ガスには、加湿器を通過して水分を含んだ酸化ガスを用い、掃気ガスとして使用する反応ガスには、加湿器を通過する前の比較的水分量の低い酸化ガスを用いる。掃気ガス入口部に水分量の低い反応ガスを供給することができるため、流路内の水分除去に効果を奏する。
本発明の第2の燃料電池システムは、反応ガスが流入する反応ガス入口部と、該反応ガスが流出する反応ガス出口部とを有する単セルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池に反応ガスを供給する供給部とを有する燃料電池システムであって、前記単セルの前記反応ガス入口部から前記反応ガス出口部へ流れる反応ガスの流路を、蛇行した流路であるサーペンタイン流路で形成し、前記サーペンタイン流路における下流側の所定位置に、該サーペンタイン流路上の水分を除去する掃気ガスが流入する掃気ガス入口部を設け、所定の運転条件に応じて、前記掃気ガス入口部に前記掃気ガスを供給する供給手段を備えたことを要旨としている。
本発明の第2の燃料電池システムによれば、サーペンタイン流路における下流側に、新たにガスの入口である掃気ガス入口部を設け、運転条件に応じて、入口部から掃気ガスを供給する。燃料電池の電気化学反応により生成された水分は、流路の下流付近に滞留しやすい。水分の滞留しやすい部位である下流側の流路に、掃気ガスを供給することで、掃気ガスと共に水分を除去することができる。
本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.システム構成:
A−2.燃料電池スタックの構成:
A−3.掃気処理:
B.第2実施例:
B−1.システム構成:
B−2.掃気処理:
C.第3実施例:
C−1.システム構成:
C−2.掃気処理:
D.第4実施例:
E.変形例:
A.第1実施例:
A−1.システム構成:
図1は、本発明の第1実施例としての車載用燃料電池システムを示す概略構成図である。この燃料電池システム10は、自動車などの車両に搭載され、供給される反応ガス(燃料ガスと酸化ガスと)の電気化学反応により電力を発生する燃料電池スタック20を備えている。この燃料電池スタック20により発生する電力は、走行モータ61に供給され、図示しない車軸の駆動に用いられている。
図1に示すように、この燃料電池システム10は、主に、上記の燃料電池スタック20,燃料ガス供給系統30,酸化ガス供給系統40,酸化ガス排出系統50,出力系統60,制御ユニット100などから構成されている。
燃料電池スタック20は、水素極と酸素極と電解質膜とを備えた複数枚の単セル21を積層し、両端からエンドプレート27,28で挟み込んで形成されている。本実施例では、燃料ガスとして水素ガスを、酸化ガスとして空気を、それぞれ燃料電池スタック20のエンドプレート28を介して各単セル21に供給している。こうした反応ガスの供給を受けた各単セル21は、上記の電気化学反応により発電する。燃料電池スタック20は、こうした単セル21を複数直列に接続することで高い電圧を得ている。
燃料ガス供給系統30は、主に、高圧の水素ガスを貯留する水素タンク31,水素タンク31からの水素ガスを燃料電池スタック20に供給する水素供給配管32,燃料電池スタック20から排出された水素ガスを循環する循環配管35などから構成されている。水素タンク31からの高圧の水素ガスは、図示しないバルブにより、その圧力,流量が調整され、燃料電池スタック20に供給される。供給された水素ガスは、燃料電池スタック20内での電気化学反応に使用され、オフガスとして、エンドプレート28を介して燃料電池スタック20から排出される。
オフガスは、電気化学反応に使用されずに排出された水素ガスや、電気化学反応の影響による水分を含んでいる。このオフガスは、循環配管35上に設けられた気液分離器36により水分を除去され、循環配管35上の循環ポンプ37の駆動により、再度、水素供給配管32に供給される。こうしてオフガスから水分を除去して再循環させることで、オフガス中の水素ガスを有効に活用している。なお、本実施例では、水素ガスの供給源に水素タンク31を用いているが、例えば、メタン、メタノール等を改質して水素を生成し、これを燃料電池スタック20に供給するものとしても良い。
酸化ガス供給系統40は、主に、燃料電池システム10の外部から空気を吸入するエアコンプレッサ44,エアコンプレッサ44の駆動により燃料電池スタック20に空気を供給する空気供給配管48,空気を加湿する加湿器46などから構成されている。エアコンプレッサ44は、モータを駆動源としており、モータの回転数に応じた空気を吸入する。加湿器46は、燃料電池スタック20に供給する空気を加湿することで、燃料電池スタック20内の電解質膜を所定の湿潤状態に保持している。
空気供給配管48上には、空気の流れの上流から順に、エアクリーナ42,エアフロメータ43,上述のエアコンプレッサ44,三方弁45,上述の加湿器46が配置されている。外部からの空気は、エアクリーナ42で浄化され、エアフロメータ43による流量の検出を経て、エアコンプレッサ44で圧縮され、三方弁45(図1の流路A)へ到達する。三方弁45は、2つの流路を切り換える方向切換弁であり、図示する流路A内の空気を流路B,流路Cのどちらか一方の流路に流すことができる。通常の燃料電池システム10の運転時、つまり、発電時には、三方弁45の流路Aと流路Bとが接続され、三方弁45を通過した空気は、加湿器46で加湿され、エンドプレート28を介して燃料電池スタック20に供給される。なお、エアフロメータ43で検出された空気の流量は、燃料電池スタック20の運転を制御する制御ユニット100に出力され、エアコンプレッサ44のモータの制御に利用されている。
三方弁45の流路Cは、分岐配管41の一端と接続されている。分岐配管41は、後述する燃料電池スタック20内の掃気時に使用される配管である。この分岐配管41の他端は、燃料電池スタック20のエンドプレートと接続され、掃気時には、加湿器46を通過しない空気を分岐配管41を介して燃料電池スタック20に供給する。すなわち、分岐配管41を通過する空気は、発電のためではなく、掃気のために使用される。なお、ここでの「掃気」とは、燃料電池スタック20内部に残留する水分を除去するために、燃料電池スタック20内にガスを送り込み、送り込んだガスと共に水分を排出することで、燃料電池スタック20内部に不必要な水分が無い状態とすることを意味している。以下、掃気のために加湿器46を介さないで送り込まれる空気を、乾燥ガスと呼ぶ。
酸化ガス排出系統50は、主に、燃料電池スタック20内部の圧力を調整する調圧弁51,燃料電池スタック20からのオフガスとしての空気を外部へ排出する空気排出配管53,マフラ52などから構成されている。調圧弁51は、バルブの開度を調整する駆動用モータを備えており、駆動用モータの回転角を制御することで、燃料電池スタック20内部の空気の圧力を調整している。
空気排出配管53上には、空気の流れの上流から順に、露点計55,圧力センサ57,上述の調圧弁51,マフラ52が配置されている。露点計55は、空気排出配管53内の空気の湿度を検出し、圧力センサ56は空気排出配管53内の空気の圧力を検出する。こうした検出値は、制御ユニット100に出力され、燃料電池システム10の運転の制御に利用される。
出力系統60は、インバータ64、車両の走行モータ61、DC/DCコンバータ62、二次電池63等から構成されている。燃料電池スタック20に供給された水素ガスと空気との電気化学反応による電力は、インバータ64を介して車両の走行モータ61の駆動に使用され、例えば、定常走行時や減速時などに発生する余剰分はDC/DCコンバータ62を介して二次電池63に蓄電される。こうした出力系統60には、電圧計65が設けられ、燃料電池スタック20が発電する電圧を検出している。
なお、図示は省略したが、燃料電池システム10には、燃料電池スタック20を冷却する冷却水が供給されている。燃料電池スタック20内部での電気化学反応は、発熱反応であるため、内部の温度は上昇する。この温度上昇を抑えるために、ラジエータで冷却した冷却水が燃料電池スタック20に供給されている。
こうした機器からなる燃料電池システム10において、制御ユニット100は、各種センサからの信号を受け、車両の運転状態を判断し、各種バルブやモータ、ポンプなどのアクチュエータを制御している。
具体的には、露点計55,圧力センサ56,エアフロメータ43,電圧計65,図示しないアクセルポジションセンサ,温度センサ等の各種センサからの湿度Td、圧力P、空気流量q、電圧V、アクセル開度θ、温度T等を入力し、要求される出力(電力)を算出し、エアコンプレッサ44,三方弁45,調圧弁51,循環ポンプ37等を制御して燃料電池システム10を運転する。
A−2.燃料電池スタックの構成:
図2は、燃料電池スタック20の単セル21の概略構成を示した斜視図である。図示するように、単セル21は、セパレータ22、MEA25、セパレータ26を順に重ね合わせた構造である。MEA25は、固体高分子電解質膜の両側に水素極と酸素極とを形成し、一体化した膜・電極接合体である。本実施例では、固体高分子電解質膜にナフィオン(登録商標)を使用している。こうした固体高分子電解質膜は、湿潤状態で良好に作用する。
セパレータ22,26には、酸化ガスとしての空気が流入する空気入口部221,空気が流出する空気出口部222,燃料ガスとしての水素ガスが流入する水素ガス入口部227,水素ガスが流出する水素ガス出口部228に相当する4つの貫通孔が設けられている。空気入口部221と空気出口部222とは、セパレータ22の一方の面上で、蛇行した溝により、接続されている。この溝は、外部から単セル21に供給された空気の流路となる。以下、この蛇行した溝をサーペンタイン流路223と呼ぶ。同様に、水素ガス入口部227と水素ガス出口部228とは、セパレータ22の他方の面上で、図示しないサーペンタイン流路により接続されている。こうした構成の燃料電池スタック20の単セル21では、それぞれのサーペンタイン流路に、水素ガス、空気が供給される。水素極側に供給された水素ガスは、MEA25内の触媒と反応し、水素イオンを発生する。この水素イオンは、固体高分子電解質膜を透過し、酸素極側で空気中の酸素と反応する。この電気化学反応により、単セル21は発電する。
このセパレータ22,26には、さらに、乾燥ガスが流入する乾燥ガス入口部224に相当する貫通孔が設けられている。この乾燥ガス入口部224は、2段に折れ曲がるサーペンタイン流路223の2段目の折れ曲がり部分(以下、折れ曲がり部分を、ターン部と呼ぶ)に設けられ、空気側の流路であるサーペンタイン流路223と連通している。
図3は、このサーペンタイン流路を流れる空気の様子を模式的に示した構成図である。図示するように、サーペンタイン流路223は、1段目のターン部TA1と2段目のターン部TA2とを有し、2段目のターン部TA2の下方位置に乾燥ガス入口部224を備えている。外部からの空気は、三方弁45を介して加湿器46側へ流れる場合、酸化ガスとして、空気入口部221からサーペンタイン流路223に入り、ここを流れる過程で電気化学反応に使用される。使用されず残存する空気を含むオフガスは、空気出口部222から排出される。他方、外部からの空気は、三方弁45を介して分岐配管41側へ流れる場合、加湿器46を通過しない乾燥ガスとして、乾燥ガス入口部224からサーペンタイン流路223に入り、流路内の水分と共に、空気出口部222から排出される。
つまり、所定のタイミングで、三方弁45の流路を切り換え、乾燥ガスを燃料電池スタック20に供給することで、サーペンタイン流路223の下流には乾燥ガスが流れ、サーペンタイン流路223内の水分を除去することができる。以下、この水分除去の処理である掃気処理について説明する。
A−3.掃気処理:
図4は、第1実施例における空気側のサーペンタイン流路内の水分を除去する掃気処理のフローチャートである。この処理は、車両においてイグニッションキーがターンオンされた燃料電池システム10の起動時のタイミングで、制御ユニット100にて、実行される。
処理が開始されると、制御ユニット100は、三方弁45の流路を流路Bから流路Cに切り換える指令を出力する(ステップS400)。三方弁45は、通常状態(つまり、燃料電池システム10の停止状態)には、流路Aと流路Bとを接続しているが、この指令を受けて、流路Aと流路Cとを接続する。すなわち、このステップでは、加湿器46を通過する配管側から、加湿器46を通過しない分岐配管41側へ、流路を切り換えている。
続いて、エアコンプレッサ44を始動し、外部からの空気を分岐配管41側へ供給する(ステップS410)。エアコンプレッサ44の始動により、外部から取り込んだ乾燥ガスとしての空気は、三方弁45、分岐配管41、乾燥ガス入口部224を介して、サーペンタイン流路223の下流を流れ、空気出口部222から排出される。供給された乾燥ガスは、サーペンタイン流路223の下流に滞留した水分を排出する。なお、エアコンプレッサ44のモータの回転数は、予め設定されている。
制御ユニット100は、露点計55の検出値である空気出口部222から排出された空気の湿度Tdを入力し、この湿度Tdが設定値α以下であるか否かを判断する(ステップS420)。
ステップS420で、湿度Tdが設定値αより大きい、つまり、排出される空気中の水分が多いと判断した場合(No)には、所定のタイミングで排出された空気の湿度Tdを入力し、湿度Tdが設定値α以下であるか否かの判断を繰り返す。
他方、ステップS420で、湿度Tdが設定値α以下、つまり、排出される空気中の水分が少ないと判断した場合(Yes)には、エアコンプレッサ44を停止し、外部からの乾燥ガスの供給を停止する(ステップS430)。ここでは、排出空気中の水分量が所定値以下に減少することで、サーペンタイン流路223の下流部分の水分は除去されたと判断している。
その後、制御ユニット100は、三方弁45の流路を流路Cから流路Bに切り換える指令を出力して(ステップS440)、一連の掃気処理を終了する。三方弁45は、この指令を受けて、流路Aと流路Bとを接続する。こうして、燃料電池システム10は、燃料電池スタック20による発電前の準備を完了する。
以上、第1実施例の燃料電池システム10における掃気処理によれば、流路の下流、かつ、下方に、乾燥ガスを供給し、流路内の水分を除去する。したがって、水分が溜まりやすい場所に乾燥ガスを供給し、燃料電池スタック20の性能低下を抑制することができる。さらには、サーペンタイン流路224のターン部付近に乾燥ガスの入口を設けることで、サーペンタイン流路特有のターン部付近に滞留する水分の除去にも効果を奏する。その結果、フラッディングの発生や、電解質膜の劣化、あるいは、水分により流路断面が減少することで生じる単セル間の圧力損失のバラツキなどを抑制し、燃料電池スタックの性能低下を抑制することができる。
なお、この掃気処理を、燃料電池システム10の停止時のタイミングで実行するものとしても良い。この場合、図4に示した処理と同様に、システム停止時に、乾燥ガスをサーペンタイン流路223の下流のターン部に供給して水分を除去し、その後、完全にシステムを停止するものとすれば良い。こうすることで、システム停止中に、サーペンタイン流路223の下流(下方)に溜まった水分の放置による種々の劣化を抑制することができる。
また、完全なシステムの停止時に限らず、燃料電池スタック20からの発電停止(発電の間欠時)のタイミングで、掃気処理を実行するものとしても良い。例えば、フラッディングの兆候が検出され、発電を停止するタイミングで掃気処理を実行する。この場合、制御ユニット100は、電圧計65の電圧値Vを入力して、電圧値Vが安定せず、所定範囲以上のバラツキが現れた時をフラッディングの兆候と判断し、その後の発電停止のタイミングで、図4に示した処理を実行する。こうすることで、フラッディングによる燃料電池スタック20の性能低下を予め抑制することができる。
なお、ここでの掃気処理では、露点計55の検出値である空気中の湿度によって、掃気処理の終了を判断するものとしたが、予め設定した時間だけ乾燥ガスを供給するものとしても良い。さらには、こうした種々のタイミングを組み合わせて、掃気処理を実行するものとしても良い。
B.第2実施例:
B−1.システム構成:
図5は、第2実施例としての燃料電池システム11の概略構成図である。図5は、図3と同様、酸化ガス(空気)側のサーペンタイン流路223を中心として示した燃料電池システム11の一部分であり、図示しないその他のシステム部分は、図1に示した燃料電池システム10と同様である。したがって、同じ部分については、符号を同一とし、説明を省略する。
図示するように、この燃料電池システム11は、図3に示した燃料電池システム10に、第2分岐配管121,第2乾燥ガス入口部122,第2乾燥ガス出口部123,第2排出配管125等を新たに加えて構成されている。
第2分岐配管121は、分岐配管41と第2乾燥ガス入口部122とを接続する配管であり、三方弁45を介して分岐配管41に流れる乾燥ガスの一部は、この第2分岐配管121を流れ、第2乾燥ガス入口部122へ導かれる。
第2乾燥ガス入口部122は、サーペンタイン流路223を上流から、第1流路223a,第2流路223b,第3流路223cの3つの直線流路に分けた場合、第2流路223bに乾燥ガスを供給する入口である。すなわち、第1実施例では、サーペンタイン流路223の2段目のターン部TA2の下方位置に乾燥ガス入口部224を設け、第3流路223cに乾燥ガスを供給する構造としたが、第2実施例では、さらに、2段目のターン部TA2の上方位置に第2乾燥ガス入口部122を設け、第2流路223bにも乾燥ガスを供給する構造としている。
第2乾燥ガス出口部123は、第2流路223bを流れる乾燥ガスの出口である。第2実施例では、第2乾燥ガス出口部123を、サーペンタイン流路223の1段目のターン部TA1の下方位置に設け、外部に乾燥ガスを排出している。
第2排出配管125は、第2乾燥ガス出口部123と空気排出配管53とを接続する配管であり、その配管上には開閉バルブ124を備えている。この開閉バルブ124による開弁動作により、第2乾燥ガス出口部123からの乾燥ガスは、第2排出配管125を通過して、空気排出配管53へ流れる。
こうした構成の燃料電池システム11において、通常運転時には、外部からの空気は、三方弁45を通過して、加湿器46に流入し、加湿された空気が空気入口部221に到達する。加湿された空気は、空気入口部221からサーペンタイン流路223を流れ、空気出口部222に到達し、外部に排出される。この時、三方弁45および開閉バルブ124の作用により、第2乾燥ガス入口部122,乾燥ガス入口部224,第2乾燥ガス出口部123から常時空気が流れることは無く、燃料電池スタック20に供給した空気は、サーペンタイン流路223に沿って流れ、空気出口部222から排出される。
B−2.掃気処理:
図6は、第2実施例における空気側のサーペンタイン流路内の水分を除去する掃気処理のフローチャートである。この処理は、制御ユニット100にて、燃料電池システム10の起動時のタイミングおよび燃料電池スタック20の発電停止のタイミングで実行される。なお、図3の掃気処理とは、乾燥ガスの供給前後の処理(ステップS400,S440)が異なるのみである。したがって、同じ処理については符号を同一とする。
処理が開始されると、制御ユニット100は、三方弁45の流路を流路Bから流路Cに切り換える指令を出力すると共に、開閉バルブ124を開弁する指令を出力する(ステップS600)。この指令を受けて、三方弁45は流路Aと流路Cとを接続し、開閉バルブ124は第2乾燥ガス出口部123と空気排出配管53とを接続する。
続いて、エアコンプレッサ44を始動し、外部からの空気を分岐配管41側へ供給する(ステップS410)。エアコンプレッサ44の始動により、外部から取り込んだ乾燥ガスとしての空気は、三方弁45,分岐配管41,第2分岐配管121,乾燥ガス入口部224,第2乾燥ガス入口部122を介して、サーペンタイン流路223の第2流路223bおよび第3流路223cを流れ、空気出口部222,第2乾燥ガス出口部123から排出される。第2乾燥ガス出口部123から排出された空気は、開閉バルブ124を介して第2排出配管125を流れ、空気排出配管53に合流する。こうして供給された乾燥ガスは、サーペンタイン流路223の下流およびターン部TA1,TA2付近に滞留した水分を排出する。
制御ユニット100は、露点計55によって検出された合流後の空気の湿度Tdを入力し、この湿度Tdが設定値α以下であるか否かを判断する(ステップS420)。
ステップS420で、湿度Tdが設定値αより大きいと判断した場合(No)には、所定のタイミングで排出された空気の湿度Tdを入力し、湿度Tdが設定値α以下であるか否かの判断を繰り返す。他方、ステップS420で、湿度Tdが設定値α以下と判断した場合(Yes)には、エアコンプレッサ44を停止し、外部からの乾燥ガスの供給を停止する(ステップS430)。
その後、制御ユニット100は、三方弁45,開閉バルブ124に指令を出力して(ステップS640)、一連の掃気処理を終了する。この指令を受けて、三方弁45は流路Aと流路Bとを接続し、開閉バルブ124は閉弁する。こうして、燃料電池システム10は、燃料電池スタック20による発電前の準備を完了する。
以上、第2実施例の燃料電池システム11における掃気処理によれば、新たに乾燥ガスの入口、出口を設け、乾燥ガスを供給する。したがって、第1実施例にも増して、サーペンタイン流路内の水分の除去に効果を奏する。また、サーペンタイン流路のターン部に新たな出口を設けることで、供給した乾燥ガスの排水性が向上し、水分除去に効果を奏する。
なお、第2実施例では、第2乾燥ガス入口部122からも乾燥ガスを供給する構成を採ったが、第2乾燥ガス入口部122からの供給に代えて、空気入口部221から供給する構成であっても良い。この場合、空気入口部221から供給された乾燥ガスは、新たに設けた第2乾燥ガス出口部123から排出され、1段目のターン部付近に滞留する水分量を低減するのに効果を奏する。
C.第3実施例:
C−1.システム構成:
図7は、第3実施例としての燃料電池システム12の概略構成図である。図7は、図5と同様、酸化ガス(空気)側のサーペンタイン流路223を中心として示した燃料電池システム12の一部分であり、図示しないその他のシステム部分は、図1に示した燃料電池システム10と同様である。したがって、同じ部分については、符号を同一とし、説明を省略する。
図示するように、この燃料電池システム12は、図5に示した燃料電池システム11に、第3分岐配管131,第3乾燥ガス出口部133,第3排出配管135等を新たに加えて構成されている。
第3分岐配管131は、第2分岐配管121よりも上流側の分岐配管41と、空気入口部221とを接続する配管であり、その配管上には開閉バルブ132を備えている。この開閉バルブ132による開弁動作により、三方弁45を介して分岐配管41に流れる乾燥ガスの一部は、空気入口部221へ導かれる。つまり、第3実施例では、サーペンタイン流路223の第3流路223c,第2流路223bのみならず、第1流路223aにも乾燥ガスを供給する構造としている。
第3乾燥ガス出口部133は、第1流路223aを流れる乾燥ガスの出口である。第3実施例では、第3乾燥ガス出口部133を、サーペンタイン流路223の1段目のターン部TA1の上方位置に設け、外部に乾燥ガスを排出している。
第3排出配管135は、第3乾燥ガス出口部133と空気排出配管53とを接続する配管であり、その配管上には開閉バルブ134を備えている。この開閉バルブ134による開弁動作により、第3乾燥ガス出口部133からの乾燥ガスは、第3排出配管135を通過して、空気排出配管53へ流れる。
この燃料電池システム12での通常運転時には、各開閉バルブ124,132,134の閉弁動作により、第1実施例および第2実施例と同様、サーペンタイン流路223上を加湿された空気が流れる。
こうした燃料電池システム12において、掃気処理を行なう場合、制御ユニット100は、燃料電池システム10の起動時のタイミングおよび燃料電池スタック20の発電停止のタイミングで、三方弁45には流路の切り換えの指示を、一方、各開閉バルブ124,132,134には開弁動作の指示を、それぞれ出力する。各バルブの動作の後、乾燥ガスをサーペンタイン流路223に供給し、サーペンタイン流路223から排出された空気の湿度が所定値以下になるまで、乾燥ガスの供給を続ける。
排出された空気の湿度が所定値以下となり、サーペンタイン流路223内の水分を除去したと判断すると、乾燥ガスの供給を停止し、各バルブに指令を出して、流路を通常の状態に戻す。こうして掃気処理を終了する。
以上、第3実施例の燃料電池システム12によれば、サーペンタイン流路の各ターン部に乾燥ガスの入口、出口を設け、掃気を行なう。したがって、第2実施例よりもさらに、流路内の水分除去に効果を奏する。また、サーペンタイン流路特有の各ターン部付近に乾燥ガスを供給するため、燃料電池スタックの性能劣化を抑制することができる。
D.第4実施例:
第1実施例から第3実施例に示したように、サーペンタイン流路の下流部分やターン部分に、入口、出口を設けて、乾燥ガスを供給する掃気処理は、燃料電池スタック20の酸素極側のみならず、水素極側にも応用できる。
図8は、第4実施例としての燃料電池システム15の概略構成図である。この燃料電池システム15は、水素極側のサーペンタイン流路の掃気処理を実行するシステムであり、図示するように、燃料ガス供給系統39の構造が、図1に示した第1実施例の燃料電池システム10における燃料ガス供給系統30の構造と異なる。したがって、主に燃料ガス供給系統39について説明し、その他の部分は符号を同一として説明を省略する。
燃料ガス供給系統39は、第1実施例と同様、水素タンク31,水素ガスを燃料電池スタック20に供給する水素供給配管32,燃料電池スタック20からのオフガスの水分を除去する気液分離器36,水分を除去した後のガスを循環する循環ポンプ37,気液分離器36や循環ポンプ37を配置した循環配管35などから構成されている。
第4実施例では、水素供給配管32上に、三方弁140,水素側分岐配管141を新たに備えている。三方弁140は、通常運転時には、流路Dと流路Eとを接続し、水素ガスを、エンドプレート28aを介して図9に示す水素ガス入口部227に供給する。供給された水素ガスは、水素極側のサーペンタイン流路229に入り、ここを流れる過程で電気化学反応に使用される。使用されず残留する水素ガスを含むオフガスは、水素ガス出口部228から排出される。
水素側分岐配管141は、その一端を三方弁140の流路Fと、他端をサーペンタイン流路229の下流に相当するターン部TH2に設けた掃気ガス入口部145とを接続している。
こうした構成の燃料電池システム15において、掃気処理の実行時には、三方弁140の流路を流路Dから流路Fに切り換え、水素ガスを掃気ガス入口部145から供給する。供給された水素ガスは、流路内の水分と共に、水素ガス出口部228から排出される。
以上、第4実施例の燃料電池システム15では、水素極側のサーペンタイン流路229上に新たな入口として掃気ガス入口部145を設け、水素ガスを供給する。供給する水素ガスには、燃料電池スタック20から排出されたオフガスも含まれるが、このオフガスは気液分離器36により水分が除去されているため、ガス中の水分量は低い。つまり、掃気ガス入口部145には、乾燥ガスとしての水素ガスが供給される。供給された水素ガスにより、サーペンタイン流路229内、特に下流のターン部TH2の水分を除去することができる。一般に、電気化学反応による生成水は酸素極側で発生するが、水素極側にも浸透する。水素極側に存在する水分は局所的に水素の欠乏を生じさせ、その位置に対応する酸素極側の触媒等を劣化させる。水素極側のサーペンタイン流路の掃気処理を行なうことで、こうした劣化を抑制し、燃料電池スタックの性能低下を抑制することができる。
なお、第2、第3実施例と同様に、水素ガスを供給する入口や、供給した水素ガスを排出する出口を、サーペンタイン流路のターン部毎に設けるものとしても良い。入口、出口を複数設けることで、より完全に水分を除去することができる。
また、第4実施例では、酸素極側については、掃気処理を実行するための三方弁45、分岐配管41等の記載を省略したが、勿論、こうした機器を設け、水素極側と共に、酸素極側も掃気処理を実行するものとしても良い。
E.変形例:
本実施例では、サーペンタイン流路の上方位置に反応ガスの入口を、下方位置に反応ガスの出口を設け、サーペンタイン流路内を上方から下方へ反応ガスが流れる構成について説明したが、下方位置を反応ガスの入口、上方位置を反応ガスの出口とする構成であっても、上述の掃気処理を応用することができる。
図10は、第1変形例としての燃料電池システム17の概略構成図である。図10は、図3と同様、酸化ガス(空気)側のサーペンタイン流路を中心として示した燃料電池システム17の一部分である。システムの図示しない部分については、基本的に前述の各燃料電池システムと同様であるため、説明は省略する。
図示するように、この燃料電池システム17は、サーペンタイン流路233を有する燃料電池スタック29を備えている。サーペンタイン流路233は、燃料電池スタック29の下方位置に設けた酸化ガスとしての空気が流入する空気入口部231と、上方位置に設けた空気が流出する空気出口部232とを接続している。三方弁45,加湿器46を介した空気は、サーペンタイン流路233内を下方から上方へ流れる。つまり、このサーペンタイン流路233において、重力の影響を受けて水分が溜まりやすい流路は、下方に位置する第1流路233aであり、電気化学反応により生成された水分が溜まりやすいのは、流れの下流である第3流路233cである。
さらに、この燃料電池システム17では、サーペンタイン流路233の2段目のターン部TA2の上方位置に第4乾燥ガス入口部151を、1段目のターン部TA1の下方位置に第4乾燥ガス出口部152をそれぞれ設け、第4乾燥ガス入口部151は第4分岐配管153により三方弁45と接続され、第4乾燥ガス出口部152は第4排出配管154により空気排出配管53と接続されている。また、空気入口部231と三方弁45とを接続する第5分岐配管156も備えている。第4排出配管154および第5分岐配管156上には、開閉バルブ155,157を備え、通常運転時には、閉弁動作によって、第4排出配管154,第5分岐配管156の流路を遮断している。
こうした構成の燃料電池システム17において、掃気処理の際には、三方弁45を切り換え、開閉バルブ155,157を開弁し、乾燥ガスを空気入口部231,第4乾燥ガス入口部151から供給する。こうすることで、下方の第1流路233aおよび下流の第3流路233c内の水分を積極的に排出することができる。
なお、こうした構成のシステムでは、サーペンタイン流路の部分毎に掃気処理を行なうタイミングを異ならせるものとしても良い。例えば、図10の第4分岐配管153と第5分岐配管156との接合点αに、新たに三方弁を設ける。燃料電池システム17の始動直後(発電開始前)のタイミングで、第5分岐配管156に乾燥ガスを流し、下方の第1流路233aの水分を除去する。また、燃料電池システム17の停止直前のタイミングで、第4分岐配管153に乾燥ガスを流し、下流の第3流路233cの水分を除去する。システム停止の間に除序にサーペンタイン流路の下方に溜まった水分は、システムの始動と共に排出され、発電により下流に溜まった水分は、システムの停止前に排出される。こうした異なるタイミングで掃気処理を実行することで、サーペンタイン流路上で最も水分が溜まっている部分に選択的に乾燥ガスを供給し、水分除去を行なうことができる。
本実施例では、2段に折れ曲がるサーペンタイン流路を例に、掃気処理について説明したが、さらに複数段を有するサーペンタイン流路であっても、同様に掃気処理を実施することができる。また、乾燥ガスの入口および出口は、サーペンタイン流路のターン部に一箇所設けるものであっても、流路内の水分除去に効果を奏する。
第1実施例では、サーペンタイン流路のターン部の近傍に乾燥ガス入口部を設けたが、サーペンタイン流路の下流側に乾燥ガス入口部を設けるものとすれば、必ずしもターン部近傍に設けなくても良い。例えば、図5に示したサーペンタイン流路223の第3流路223cの途中に乾燥ガス入口部224を設け、図3に示した態様でシステムを構築する。こうしたシステムにおいて、乾燥ガス入口部224に乾燥ガスを供給すると、乾燥ガスは流路抵抗の少ない空気出口部222側へ流れ、サーペンタイン流路の下流に滞留する水分を排出することができる。つまり、サーペンタイン流路では、ストレートの流路とは異なり、多数段の折れ曲がりによる流路抵抗が大きく、第3流路に供給した乾燥ガスが上流側である空気入口部221側へ逆流することは、ほとんど無い。すなわち、サーペンタイン流路の下流であれば、所定位置に入口部を設けても、供給した乾燥ガスは出口側方向に流れ、流路の下流の水分を外部へ排出することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施し得ることは勿論である。本実施例では、掃気処理に用いる掃気用のガスには、加湿器を介さない乾燥ガスを用いるものとしたが、加湿器を通過した後の空気であっても、サーペンタイン流路のターン部に入口、出口を設けることで、ターン部に溜まる水分量を抑制することができる。
本発明の第1実施例としての車載用燃料電池システムを示す概略構成図である。 燃料電池スタックの単セルの概略構成を示した斜視図である。 サーペンタイン流路を流れる空気の様子を模式的に示した構成図である。 第1実施例における空気側のサーペンタイン流路内の水分を除去する掃気処理のフローチャートである。 第2実施例としての燃料電池システムの概略構成図である。 第2実施例における空気側のサーペンタイン流路内の水分を除去する掃気処理のフローチャートである。 第3実施例としての燃料電池システムの概略構成図である。 第4実施例としての燃料電池システムの概略構成図である。 第4実施例としての燃料電池システムのサーペンタイン流路を示した構成図である。 第1変形例としての燃料電池システムの概略構成図である。
符号の説明
10,11,12,15,17...燃料電池システム
20,29...燃料電池スタック
21...単セル
22,26...セパレータ
25...MEA
27,28,28a...エンドプレート
30,39...燃料ガス供給系統
31...水素タンク
32...水素供給配管
35...循環配管
36...気液分離器
37...循環ポンプ
40...酸化ガス供給系統
41...分岐配管
42...エアクリーナ
43...エアフロメータ
44...エアコンプレッサ
45...三方弁
46...加湿器
48...空気供給配管
50...酸化ガス排出系統
51...調圧弁
52...マフラ
53...空気排出配管
55...露点計
56...圧力センサ
60...出力系統
61...走行モータ
62...DC/DCコンバータ
63...二次電池
64...インバータ
65...電圧計
100...制御ユニット
121...第2分岐配管
122...第2乾燥ガス入口部
123...第2乾燥ガス出口部
124,132,134...開閉バルブ
125...第2排出配管
131...第3分岐配管
133...第3乾燥ガス出口部
135...第3排出配管
140...三方弁
141...水素側分岐配管
145...掃気ガス入口部
151...第4乾燥ガス入口部
152...第4乾燥ガス出口部
153...第4分岐配管
154...第4排出配管
155,157...開閉バルブ
156...第5分岐配管
221,231...空気入口部
222,232...空気出口部
223,229,233...サーペンタイン流路
223a,233a...第1流路
223b...第2流路
223c,233c...第3流路
224...乾燥ガス入口部
227...水素ガス入口部
228...水素ガス出口部

Claims (8)

  1. 反応ガスが流入する反応ガス入口部と、該反応ガスが流出する反応ガス出口部とを有する単セルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池に反応ガスを供給する供給部とを有する燃料電池システムであって、
    前記単セルの前記反応ガス入口部から前記反応ガス出口部へ流れる反応ガスの流路を、蛇行した流路であるサーペンタイン流路で形成し、
    前記サーペンタイン流路の該流路が折れ曲がるターン部の近傍に、該サーペンタイン流路上の水分を除去する掃気ガスが流入する掃気ガス入口部を設け、
    所定の運転条件に応じて、前記掃気ガス入口部に前記掃気ガスを供給する供給手段を備えた
    燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、更に、
    前記サーペンタイン流路上であって、前記反応ガス出口部よりも上流側のターン部の近傍に、該サーペンタイン流路を流れるガスが流出するガス流出部を設け、
    前記ガス流出部から流出するガスの量を調整する調整手段を備え、
    前記調整手段は、前記供給手段による前記掃気ガス入口部への前記ガスの供給と共に、前記ガス流出部から前記ガスを排出する燃料電池システム。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
    前記所定の運転条件は、前記燃料電池の発電開始前のタイミングである燃料電池システム。
  4. 請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
    前記所定の運転条件は、前記燃料電池の発電停止後のタイミングである燃料電池システム。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記供給手段は、前記燃料電池に反応ガスを供給する前記供給部であり、前記掃気ガスとして該反応ガスを供給する燃料電池システム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記掃気ガスは、前記反応ガス中の水分を低減した乾燥ガスである燃料電池システム。
  7. 請求項6に記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池に供給する反応ガスとしての酸化ガスを加湿する加湿器を備え、
    前記供給手段は、前記加湿器に流入する前の酸化ガスを前記掃気ガスとして前記掃気ガス入口部に供給する燃料電池システム。
  8. 反応ガスが流入する反応ガス入口部と、該反応ガスが流出する反応ガス出口部とを有する単セルを積層してなる燃料電池と、該燃料電池に反応ガスを供給する供給部とを有する燃料電池システムであって、
    前記単セルの前記反応ガス入口部から前記反応ガス出口部へ流れる反応ガスの流路を、蛇行した流路であるサーペンタイン流路で形成し、
    前記サーペンタイン流路における下流側の所定位置に、該サーペンタイン流路上の水分を除去する掃気ガスが流入する掃気ガス入口部を設け、
    所定の運転条件に応じて、前記掃気ガス入口部に前記掃気ガスを供給する供給手段を備えた
    燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008034344A (ja) * 2006-06-26 2008-02-14 Toyota Motor Corp 燃料電池システム
JP2009181841A (ja) * 2008-01-31 2009-08-13 Toyotomi Co Ltd 燃料電池システムの生成水滞留判定方法と生成水滞留対応方法
CN108493462A (zh) * 2018-03-19 2018-09-04 佛山科学技术学院 一种燃料电池长期使用后性能恢复装置和方法

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