以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<装置構成の概略>
図1は、本発明に係る画像読取装置の一実施形態の概略を示す側断面図である。この画像読取装置3は、たとえば複写機、スキャナ装置、ファクシミリ装置などに用いられるもので、読取対象となるシート状の原稿から、その原稿上に描かれた画像を光学的に読み取るものであり、大まかには、画像取得部10、画像処理部20、およびプラテンカバーの機能も備えたADF(Automatic Document Feeder ;自動原稿搬送)装置60を備える。
画像取得部10は、筐体111と、この筐体111上に設けられた透明ガラスからなる、読取対象となる原稿が載置されるA3サイズよりも少し大きいプラテンガラス(原稿載置台)112とを有している。画像処理部20は、筐体111内に設けられた基板102上に設けられている。
複写装置を構成する場合には、画像処理部20により処理された画像信号は、たとえば熱昇華方式、インクジェット方式、あるいは電子写真方式などの公知のプリント方式を用いて所定の記録媒体に可視画像を形成する画像出力部30に送られる。
画像読取装置3は、原稿載置台としての光透過性を有するプラテンガラス112の下面における数箇所に、原稿のサイズを検出する原稿センサ118を有している。原稿センサ118は、原稿のサイズに対応する位置において、原稿の先端をたとえば光学的に検出してサイズ検知信号を得、サイズ検知信号を画像処理部20に送る。本実施形態において、原稿センサ118は、副走査方向の原稿サイズを求めるために使用され、副走査方向の原稿サイズを自動的に特定する。
たとえば、図では4つの原稿センサ118が配されて原稿サイズ検知部が構成されているが、このうちのA3端側の2つは、図示しないサイドレジガイドSRGに沿って(すなわち副走査方向の異なる位置に)配されている。そして主に、このうちの一方(リードレジガイドLRG側)はB5横置きを、他方はA4横置きを検知するために機能する。
また、リードレジガイドLRG側の2つは、図面奥行き方向および副走査方向の両者がそれぞれ異なる位置に配されている。そして主に、このうちの一方(リードレジガイドLRG側)はB5縦置きを、他方はA4縦置きを検知するために機能する。また、原稿センサ118の検知結果を組み合わせて判断することで、B4横置きあるいはA3横置きが検知可能になっている。
一方、主走査方向の原稿サイズに関しては、後述するように、原稿を読み取る受光部140を構成するラインセンサを使用することで主走査方向の原稿サイズを自動的に特定する。そして、原稿センサ118を用いて検知される副走査方向の原稿サイズと受光部140を用いて検知される主走査方向の原稿サイズとに基づき、原稿サイズを最終的に特定させる。
また画像取得部10は、筐体111内のプラテンガラス112の下方に、プラテンガラス112の原稿載置面と反対側の面(裏面)に向かって読取光を照射する、つまりプラテンガラス112上の原稿に向けて読取光を照射する露光用光源120と、露光用光源120から発せられた読取光をプラテンガラス112側に反射させる略凹状の反射笠131および反射鏡132と、プラテンガラス112側からの反射光をプラテンガラス112に略平行の方向に偏向する反射ミラー134aとを有するフルレートキャリッジ(F/R−CRG)134を備える。
露光用光源120としては、主走査方向(図における紙面直交方向)を長手方向とするランプが使用されている。露光用光源120から発せられる照明光の色としては、受光部140を構成する各ラインセンサ(図示せず)の分光光学特性に合わせたものが使用され、たとえば白色光や緑色光が使用される。
また、露光用光源120としては、白黒専用機や汎用的なカラー用の画像読取装置3とする場合には、白色蛍光灯などの比較的低光量の光源を備えた構成にすればよい。一方、高画質で高解像度の白黒画像、あるいは高品質のカラー画像、あるいは高速読取可能な画像読取装置3とする場合には、キセノン蛍光灯などの、より高光量を発することが可能な光源を備えた構成にするのがよい。
この露光用光源120は、図示しない照明制御部230(後述する図4参照)によって、出力光量が制御可能になっている。この点については後で詳しく説明する。
また画像取得部10は、筐体111内に、略直角を形成するように配された2つの反射ミラー136a,136bを有し、フルレートキャリッジ134によって偏向された反射光を順次略90°ずつ偏向するハーフレートキャリッジ(H/R−CRG)138を備える。フルレートキャリッジ134およびハーフレートキャリッジ138は、図示しないステッピングモータにより、連動して、副走査方向(図1中矢印X方向)およびこれと反対方向に往復移動可能に構成されている。
また画像取得部10は、筐体111内に、反射ミラー136bにより偏向された反射光を所定の焦点位置に集光するレンズ139と、レンズ139で収束された反射光を受光して副走査方向と略直交する主走査方向(図1の紙面奥行き方向)に画像を読み取り、濃度に応じた画像信号(アナログの電気信号)を順次出力する受光部140とを備える。
露光用光源120やフルレートキャリッジ134あるいはレンズ139などで縮小光学系を採用した読取光学系(走査光学系)が構成される。なお縮小光学系による受光の仕組みに代えて、原稿の主走査方向幅とほぼ等しい幅のラインセンサを用いた密着型光学系による受光の仕組みを採用してもよい。
受光部140は、基板103上に配された、フォトダイオードなどの光電変換素子とCCD(Charge Coupled Device )やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor )などで構成された図示しないラインセンサ(詳しくは後述する)や、同じく基板103上に配された、ラインセンサを駆動するCCDドライバなどの駆動制御部150を含む読取信号処理部14などによる処理を受けた後に画像処理部20に送られる。
また図示していないが、画像取得部10は、筐体111内に、読取光学系や受光部140などをプラテンガラス112下で移動させるためのワイヤや駆動プーリなども具備する。駆動プーリは、駆動モータの駆動力によって往復回転させられ、該回転駆動によってワイヤを当該駆動プーリに巻き取ることで、プラテンガラス112の下方において、露光用光源120を含むフルレートキャリッジ134やハーフレートキャリッジ138あるいはレンズ139などからなる読取光学系を所定速度で移動させる。
ADF装置60は、原稿セット部62と、原稿排出部63と、原稿の搬送路を形成するためのレジストロール対64aやエグジットロール対64bなどの種々の搬送ロール対64とを備える。筐体111上部のプラテンガラス112の端部(図中左側)にはガイド113が設けられ、その直ぐ近傍には光透過性のコンタクトガラス(読取ガラス)114が配設されている。
画像読取装置3は、プラテンガラス112上に設けられたADF装置60を利用するのか否かに応じて、固定読取方式と搬送読取方式とを選択して使用可能に構成されている。
また、画像読取装置3は、プラテンカバーの機能を持つADF装置60の開閉状態を検知する機構として、プラテン開閉センサ117を、装置本体におけるADF装置60の開閉動作の支点(紙面の最奥部でかつ左端)となる部分の近傍に備えている。
プラテン開閉センサ117は、プラテンカバーの機能を持つADF装置60の原稿に対する押さえ状態を検出する押圧板状態検知部の一例である。このプラテン開閉センサ117にて検知されたプラテン開閉信号SP1は、画像処理部20の他、後述する駆動制御部150に送られる。
コンタクトガラス114上にはガイド115が設けられている。またガイド113内には白色基準板116が内包されている。また、ADF装置60における搬送経路上の複数の所定位置に、原稿を検知する用紙センサ65が設けられている。この用紙センサ65の検知出力を監視することにより、ADF装置60を用いた原稿搬送過程において、原稿の先端あるいは後端を検知することができる。
また、画像読取装置3は、ADF装置60をほぼ完全に閉じた状態(ADF装置60のプラテンカバー面がプラテンガラス112にほぼ接する状態)を検知する検知機構として、磁気センサ対119を備えている。磁気センサ対119は、プラテンカバーの機能を持つADF装置60の原稿に対する押さえ状態を検出する押圧板状態検知部の一例である。
この磁気センサ対119は、マグネット119aがADF装置60のプラテンガラス112と対向する面に設けられ、またセンサ119bが、装置本体の開閉動作の開き側(画像読取装置3の前方(紙面の最前方)でかつ左端と右端)となる部分に、プラテンカバーの機能を持つADF装置60が閉じられたときに両者が対向するように設けられて構成されている。
なお、このような磁気センサ対119の設置位置は、一例であって、たとえば、左端と右端の何れか一方にする、あるいは、画像読取装置3の再奥部と最前方の中間にするなど、適宜変更が可能である。何れにしても、マグネット119aがセンサ119bに近づくことにより、プラテンカバーが完全に閉じたことを検知できるようにしておけばよい。
磁気センサ対119のセンサ119bは、プラテン開閉信号SP2を後述する画像読取制御部200に送る。これにより、たとえば、ADF装置60の原稿セット部62に原稿がセットされたときには、ADF装置60を閉じた状態にしなければ読取りかなされないようにしている。
プラテンカバーの機能を持つADF装置60の開閉動作を検知する機構として、プラテン開閉センサ117が、開閉動作の支点(紙面の最奥部でかつ左端)となる部分の近傍に設けられている。このプラテン開閉センサ117にて検知されたプラテン開閉信号SP1は、画像処理部20の他、後述する駆動制御部150に送られる。
上記構成において、読取光学系をなす画像取得部10のフルレートキャリッジ134は、通常、プラテンガラス112下の図中△マークで示すホームポジションHにある。このホームポジションHは、固定読取画先位置Fよりプラテンガラス112下の読取領域側に設定される。たとえば固定読取画先位置Fに対して、2〜3cm程度副走査方向の内側である読取領域内に設定される。
これにより、固定読取方式時には、その読取りを開始する前に、受光部140を副走査方向に移動させなくても、受光部140が備えるラインセンサで、プラテンガラス112上に載置された、原稿の主走査方向のサイズを検知可能となる。
そして、搬送読取方式時には、フルレートキャリッジ134を、ADF装置60による原稿の搬送経路上である、コンタクトガラス114下の任意の位置に固定(停止ロック)させた状態で原稿をADF装置60により搬送させながら画像を読み取る。
たとえば、フルレートキャリッジ134は、プラテンガラス112下方をホームポジションHから矢印Xと反対方向に移動もしくは露光走査しながら移動し、図中△マークで示す搬送読取画先位置Cに停止ロックされ、読取信号処理部14や受光部140が撮像待機状態とされる。その後、本体側CPUより(図示せず)露光開始許可信号がADF装置60に送信されると、この許可信号を受けたADF装置60は原稿セット部62に載置された原稿の給送を開始する。
原稿が種々の搬送ロール対64からなる所定の搬送路を経てガイド113,115の方向に導かれ、レジストロール対64aを通過し搬送読取画先位置Cに原稿の先端が到達したとき、ADF装置60側から画像取得部10側に画先信号を送信することで、原稿画像の読取りが開始される。
そして、レジストロール対64aやエグジットロール対64bなどの搬送ロール対64は図示しない駆動モータによりその周速が等速に制御され、これにより、原稿は略等速でガイド113,115上を通過し、エグジットロール対64bを通過し原稿排出部63の方向へ排出される。
つまり、ADF装置60を備えてなる画像読取装置3は、読取対象となる原稿を一定速度で搬送させながら原稿画像を読み取る、いわゆるCVT(Constant Velocity Transfer)方式に対応した画像読取りを行なう。
一方、ADF装置60を備えてなる画像読取装置3であっても、一般的な読取装置と同様に、固定読取方式にて原稿を読み取ることもできる。この固定読取方式時には、人手により(あるいはADF装置60を利用してもよい)、原稿載置台としてのプラテンガラス112上に原稿を載置し、当該プラテンガラス112上の任意の位置に固定(停止ロック)させた状態で、図中△マークで示す固定読取画先位置Fを先端基準として、読取光学系を矢印Xの方向(副走査方向)へ等速移動走査して原稿を露光し画像を読み取る。
このとき、読取開始前には、固定読取画先位置Fよりプラテンガラス112下の読取領域側に設定されているホームポジションHに受光部140の読取位置を設定しておくことで、受光部140をそのホームポジションHに固定させた状態で、プラテンガラス112上に載置された原稿の主走査方向のサイズを検知する。
このようにして、搬送読取方式あるいは固定読取方式における各原稿画像は、フルレートキャリッジ134やハーフレートキャリッジ138により光路を変え、レンズ139により縮小され、受光部140に至る。受光部140は、ラインセンサで原稿画像を撮像して得た各分光成分の撮像画像信号を読取信号処理部14に送る。読取信号処理部14は、この読取りにより得た撮像画像信号に対して所望のアナログ信号処理を施した後に、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分のデジタル画像データに変換し、赤、緑、青のデジタル画像データを画像処理部20に送る。
なお、この図1に示した画像読取装置3では、循環機能のないADF装置60を使用していたが、循環機能を有する原稿自動給送装置(DADF;Duplex Automatic Document Feeder)を使用することもできる。
また、原稿自動給送機能を持つADF装置60をプラテンカバーとして利用する構成としていたが、図2に示すように、原稿自動給送機能を持たない通常のプラテンカバー61を持つ装置にすることもできる。図2に示す画像読取装置3は、ADF装置60をプラテンカバー61に代えただけの構成であるので、図2に示す画像読取装置3の構成については説明を割愛する。
<複写装置としての構成>
また、図1に示した画像読取装置3では、画像読取装置3単独のものとして示していたが、図3に示すように、画像読取装置3をスキャナユニットとして利用することで、複写装置4を構成することもできる。
画像取得部10の下部に設けられる画像出力部30は、画像処理部20からの赤、緑、青の画像データR,G,Bに基づいて、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の2値もしくは多値の出力画像信号を得る出力用画像処理部976と、出力用画像処理部976により得られた出力画像信号に基づいて印刷用紙などの記録媒体上に可視画像を形成する画像形成部31とを有する。
本例の画像出力部30は、一方向に順次一定間隔をおいて並置されたK,Y,M,Cの各色の画像形成部31K,31Y,31M,31Cを有するタンデム構成のものとされている。
先端検出器44が、原稿カセット41から各画像形成部に搬送される原稿の搬送経路上に近接して設けられている。この先端検出器44は、原稿カセット41からレジストローラ42を通じて搬送ベルト43上に送り出された原稿の先端をたとえば光学的に検出して先端検出信号を得、この先端検出信号を画像処理部20に送る。画像処理部20は、入力された先端検出信号に同期して読取りを開始し、読み取った画像データR,G,Bを出力用画像処理部976に渡し、出力用画像処理部976はK,Y,M,Cの各色の出力画像信号Y,M,C,Kを順次一定間隔をおいて得る。
画像形成部31においては先ず、半導体レーザ38Kは、画像処理部20からのブラックの出力画像信号によって駆動されることで、ブラックの出力画像信号を光信号に変換し、この変換されたレーザ光をポリゴンミラー39に向けて照射する。このレーザ光は、さらに反射ミラー47K,48K,49Kを介して一次帯電器33Kによって帯電された感光体ドラム32K上を走査することで、感光体ドラム32K上に静電潜像を形成する。
この静電潜像は、ブラックのトナーが供給される現像器34Kによってトナー像とされ、このトナー像は、搬送ベルト43上の原稿が感光体ドラム32Kを通過する間に転写帯電器35Kによって原稿上に転写される。そして転写後は、クリーナ36Kによって感光体ドラム32K上から余分なトナーが除去される。
同様に、半導体レーザ38Y,38M,38Cは、画像処理部20からブラックの出力画像信号に対して順次一定間隔をおいて得られる対応するY,M,Cの各色の出力画像信号によって駆動されることで、各色の出力画像信号を光信号に変換し、この変換されたレーザ光をポリゴンミラー39に向けて照射する。このレーザ光は、さらに反射ミラー47Y〜49Y,47M〜49M,47C〜49Cを介して一次帯電器33Y,33M,33Cによって帯電された対応する感光体ドラム32Y,32M,32C上を走査することで、感光体ドラム32Y,32M,32C上に静電潜像を順次形成する。
各静電潜像は、各色のトナーが供給される現像器34Y,34M,34Cによって順次トナー像とされ、各トナー像は、搬送ベルト43上の原稿が対応する感光体ドラム32Y,32M,32Cを通過する間に対応する転写帯電器35Y,35M,35Cによって原稿上に順次転写される。
このようにK,Y,M,Cの各色のトナー像が順次多重転写された原稿は、搬送ベルト43上から剥離され、定着ローラ45によってトナーが定着されて、複写機の外部に排出される。
なお、画像出力部30は、搬送ベルト43を中間転写ベルトに変更するなどして、潜像を一旦中間転写ベルトに転写させ、この後に中間転写ベルトに転写された画像を印刷用紙などの記録媒体に転写させることで画像を形成する方式のものとしてもよい。
あるいは、1個のレーザ光スキャナによって1個の感光体ドラム上にK,Y,M,Cの各色の静電潜像が順次形成され、静電潜像が感光体ドラムの周囲に設けられた、それぞれK,Y,M,Cの各色のトナーが供給される現像器によって順次トナー像とされ、トナー像が転写ドラム上に吸着された原稿上に順次、多重転写される構成でもよい。
<画像取得部の信号処理系統>
図4は、本発明に係る画像読取装置の信号処理に着目した機能構成を示すブロック図である。画像読取装置3は、画像取得部10の受光部140で検知された多値の色データ(R,G,B)に対して、その色空間を変換したり画像出力部30用の信号を生成する画像処理部20と、画像読取装置3の全体を制御する画像読取制御部200とを備える。
さらに画像読取装置3は、画像処理部20による色変換後の信号に基づいて、画像読取装置3のADF装置60が繰り出した原稿(以下セット原稿という)に描かれている画像がカラー画像と白黒画像とのどちらであるか、すなわち原稿がカラー原稿か白黒原稿かを識別し、その識別結果を画像読取制御部200へ送出する自動原稿色種識別部(ACS;Auto Color Selection)210とを備える。自動原稿色種識別を行なう際には、本スキャン(本読み)に先立って、本スキャン時の露光量よりも低照度で原稿を露光するプリスキャンを行ない、これによって得た画像データをデータ処理に用いる。
画像読取制御部200には、プラテン開閉センサ117、原稿センサ118、および磁気センサ対119などからの検知信号が入力されるようになっている。
画像処理部20は、色空間の変換処理として、たとえば、RGB色空間によって表される多値の色データDR,DG,DBを、Lab(正しくはL*a*b*)色空間やLuv(正しくはL*u*v*)色空間などによって表される多値情報に変換することで、明度を示す信号Lと彩度を示す信号a*,b*またはu*,v*を生成する。
また画像読取装置3は、画像読取制御部200からの指示に従いつつ、ADF装置60が有する各機能の動作を制御する用紙搬送制御部220を備えている。さらに画像読取装置3は、画像読取制御部200からの指示に従いつつ、露光用光源120のオン/オフ動作や露光量(照度)を制御する照明制御部230を備えている。
照明制御部230は、本実施形態特有の機能として、画像読取制御部200と協働して、プラテン開閉センサ117からのプラテン開閉信号SP1および磁気センサ対119からのプラテン開閉信号SP2を参照し、プラテンカバーが閉じられる過程、すなわちプラテンカバーが開かれている状態での原稿サイズ検知動作であるのか、それともプラテンカバーが完全に閉じられている状態での原稿サイズ検知動作であるのかに応じて、露光用光源120から発せられる光量(露光量;照度)を調整するようになっている。
この露光量の調整機能としては、プラテンカバーの開閉状態に応じて露光量を異なるものとする2値の露光量制御機能だけでなく、たとえばプラテンカバーの開閉動作に連動して動的(段階的に)に露光量を制御する機能を持つようにしてもよい。これらの点については、後で詳しく説明する。
また、画像読取装置3は、画像読取制御部200からの指示に従いつつ、図1に示したフルレートキャリッジ134、ハーフレートキャリッジ138、あるいはレンズ139の移動駆動源となるステッピングモータ242に駆動信号を送出し、そのステッピングモータ242を駆動してそれぞれを副走査方向(図1のX)へ移動させる走査制御部240とを備える。
画像読取制御部200は、用紙搬送制御部220や照明制御部230や走査制御部240と協働して、原稿をプラテンガラス11上に固定させた状態で読み取る固定読取モードと、原稿を搬送させながら読み取る搬送読取モードとを切替可能にする制御部としての機能を有する。
なお、用紙搬送制御部220や照明制御部230や走査制御部240なども、画像読取制御部200に組み込んで、一体的に構成してもかまわない。
<電子計算機での構成例>
画像読取装置3における読取制御機能や画像処理機能やその他の制御機能や演算機能などを実行する仕組みは、それぞれ専用のハードウェア回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づいて電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現することも可能である。
よって、本発明に係る読取方法や読取装置を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
図4は、このような観点から、CPUやメモリを利用してソフトウェア的に画像読取装置3を構成する、すなわちパーソナルコンピュータなどの電子計算機の機能を利用して画像読取装置3を構築する場合のハードウェア構成の一例を示している。
電子計算機に一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込マイコンなど)、あるいは、CPU(Central Processing Unit )、論理回路、記憶装置などの機能を1つのチップ上に搭載して所望のシステムを実現するSOC(System On a Chip:システムオンチップ)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
記録媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対し、プログラムの記述内容に応じ、磁気、光、電気などのエネルギの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
たとえば、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)により構成される。さらにはこれに限らず、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成されてもよい。または、ソフトウェアを構成するプログラムが、有線あるいは無線などの通信網9を介して提供されてもよい。
たとえば、画像読取装置3をコンピュータシステムを利用して構成する場合、コンピュータシステム部分全体を装置内に取り込んで構成することもできるし、画像読取装置3の基本動作部分(原稿読取や原稿サイズ検知など)を制御するソフトを装置内に組み込み、画像読取装置3の動作メニューを設定するドライバ部分は、パーソナルコンピュータ(パソコン)などの情報処理装置に組み込むようにするなど、種々の形態を採り得る。
図4に示す構成では、画像読取装置3内に、コンピュータシステムの基本要素を全て取り込んだ形態で示している。具体的には、画像読取制御部200を、コンピュータシステムとして構成するようにしており、この画像読取制御部200は、CPU(Central Processing Unit )902、ROM(Read Only Memory)904、RAM(Random Access Memory)906、インターネットなどの通信網9との間の通信データの受け渡しを仲介する通信I/F(インタフェース)908、さらには操作パネルやテンキーなどの入力装置912や画像表示装置913を有する。
表示制御部919が、CRTやLCD(液晶)などのディスプレイ926上に、種々の情報を表示させ、これにより表示に関わるユーザインタフェース機能をなすようにする。入力装置912は、ディスプレイ926を利用したタッチパネル構成とすることで、ディスプレイ926上にてユーザ操作を受け付ける構成とすることもできる。
また、たとえば、必要に応じて、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブなどの、記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取装置920を備えてもよい。
データは、データバス901を通じて各ハードウェア間をやり取りされる。CPU902は、システムバス901を介してシステム全体の制御を行なう。ROM904は、CPU902の制御プログラムなどを格納する。RAM906は、SRAM(Static Random Access Memory )などで構成され、プログラム制御変数や各種処理のためのデータなどを格納する。
読取制御処理を始めとする画像読取装置3における種々の処理の一部または全ての機能をコンピュータに実行させるプログラムは、予めROM904に格納しておくか、あるいはCD−ROMやフレキシブルディスクなどの可搬型の記録媒体を通じて、もしくは他のサーバなどからインターネットなどの通信網9を経由して前記プログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりして配布される。
なお、画像読取装置3の各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部をハードウェアにて行なう処理回路940を設けてもよい。特に、出力用の各色データ(たとえばR,G,BやY,M,C,Kなど)を生成する画像処理機能部分に関しては、処理の重たい部分であるので、半導体回路を用いた専用の機能部分として設けることで、スループットを高めるようにするのがよい。図4に示した画像処理部20もその一態様と考えればよい。
また、図4に示すように、画像処理部967およびラスタスキャンユニット(プリンタエンジン)968を有する画像出力部30との間のインタフェース機能をなすプリンタI/F部952を設けることで、画像読取装置3本来の読取機能の他に、画像読取装置3をスキャナユニットとして利用することで、複写装置を構成することもできる。また、通信I/F908を利用することで、ネットワークスキャナとしての利用も可能である。
なお、この図4に示した画像読取制御部200の構成は一例であって、たとえば、CPU902とROM904とによって画像読取制御部200を構成するようにしてもよい。この場合、CPU902は、ROM904に格納されている所定プログラムに従いつつ、図1に示した画像読取装置3の全体を制御する。
<原稿サイズ検知と露光量制御>
図5は、受光部140を用いた主走査方向の原稿サイズを検知する仕組みを説明する図である。ADF装置60などのプラテンカバーは、装置本体に対して片開き構造となっている。よって、プラテンカバーの原稿に対する押さえ状態は、プラテンカバーの開閉状態で判断できる。
図5(A),(B)に示すように、本実施形態においては、プラテン開閉センサ117と磁気センサ対119とを利用して、プラテンカバーの機能を持つADF装置60の開閉状態を検知するようにしている。プラテン開閉センサ117および磁気センサ対119にて検知されたプラテン開閉信号SP1,SP2は、図4に示した画像読取制御部200に通知される。
たとえば、プラテン開閉センサ117のノブ117aは、バネなどの付勢力によって通常の状態では、センサ筐体117bから突出するようになっていて、この状態ではプラテン開閉センサ117の検知スイッチがオフするようになっている。そして、ノブ117aが押されて、センサ筐体117b内に収容されるようになると、プラテン開閉センサ117の検知スイッチがオンするようになっている。
また、プラテンカバーをほぼ完全に閉じた状態では、磁気センサ対119のマグネット119aとセンサ119bとが近づくことで検知スイッチがオンし、プラテンカバーが開かれている状態(半開きを含む)では、検知スイッチがオフするようになっている。
したがって、図5(A)に示すように、プラテンカバーが開かれていて、このプラテンカバーがノブ117aに接触していないか、もしくは軽く接触していてノブ117aが押されている状態とは言えない場合、すなわちノブ117aが図中矢指Q1で示す方向に突出している状態のときには、画像読取制御部200には、プラテン開閉センサ117の検知スイッチがオフである旨を示すプラテン開閉信号SP1が通知されるとともに、磁気センサ対119の検知スイッチがオフである旨を示すプラテン開閉信号SP2が通知される。よって、画像読取制御部200は、プラテン開閉センサ117および磁気センサ対119の各検知スイッチの何れもがオフのときには、プラテンカバーが開いている状態であると判断できる。
なお、プラテンカバーが開いている状態は、プラテンカバーが閉じられる過程にある半開きの状態をも含む。つまり、実際には、プラテンカバーが完全に開かれていない状態であっても、ノブ117aがプラテンカバーにより押されないことで、プラテン開閉センサ117の検知スイッチがオフするので、図5(A)に示すように、矢指Q2の範囲が、画像読取制御部200がプラテンカバーがほぼ完全に開かれている状態と認識するオープン範囲になる。
また、図5(B)に示すように、プラテンカバーがノブ117aを図中矢指Q3で示す方向に押すようになると、画像読取制御部200には、プラテン開閉センサ117の検知スイッチがオンである旨を示すプラテン開閉信号SP1が通知される。このときには、磁気センサ対119によって検知されるプラテン開閉信号SP2はオンを示していない。よって、画像読取制御部200は、プラテン開閉センサ117の検知スイッチがオンで、かつ磁気センサ対119の検知スイッチがオフのときには、プラテンカバーが閉じられる過程にある状態と判断できる。
プラテンカバーが完全に閉じられていな状態であっても、ノブ117aがプラテンカバーにより押されることで、プラテン開閉センサ117の検知スイッチがオンするので、図5(B)に示すように、矢指Q4の範囲が、画像読取制御部200がプラテンカバーが閉じられる過程の状態と認識するクローズ範囲になる。
プラテンカバーのプラテンガラス112側は、色(黒を含む)付き原稿に対して原稿外縁を検知しやすいように、かつ背景が印刷出力結果に表れないように、白色板が設けられている。
本実施形態の画像読取装置3は、原稿読取用の受光部140を利用して原稿の主走査方向のサイズを検知するように構成されているが、その仕組みとしては、プラテンカバーが開かれているときと、閉じられているときの2段階で検知するようにしている。
たとえば、先ずプラテンカバーが開いている状態では、背景を概ね黒であるものとして主走査方向の原稿サイズ検知(以下黒背景でのサイズ検知ともいう)を行なうことで、概ね白色系統や色紙(黒色系統を除く)の原稿について主走査方向の原稿サイズ検知を行なう。こうすることで、通常使用される白色系統や色紙(黒色系統を除く)の原稿について、原稿エッジとプラテンカバーとを区別でき、主走査方向の原稿サイズ検知を正確に行なうことができる。
また、プラテンカバーが閉じている状態では、背景をプラテンカバーの色(本例では白色)であるものとして主走査方向の原稿サイズ検知(以下、白背景でのサイズ検知ともいう)を行なう。こうすることで、原稿辺縁部に黒色系統や有彩色の画像が形成されている場合であっても、原稿エッジとプラテンカバーとを区別でき、その原稿について主走査方向の原稿サイズ検知を正確に行なうことができる。
なお、画像読取制御部200は、黒背景でのサイズ検知と、白背景でのサイズ検知の両検知結果の差を判別して原稿サイズ検知の最終決定をすることで、サイズ検知の精度を上げる。
つまり、本実施形態の画像読取制御部200は、プラテンカバーがプラテンガラス112に対して開かれた状態にあるときに受光部140の検知結果に基づいて原稿のサイズを検出するとともに、プラテンカバーがプラテンガラス112に対して開かれた状態にあるときにも受光部140の検知結果に基づいて原稿のサイズを検出し、それぞれの検知結果に基づいて原稿のサイズを特定させる原稿サイズ特定部の機能を持つ。
画像読取制御部200は、プラテン開閉センサ117および磁気センサ対119からのプラテン開閉信号SP1,SP2を参照して、露光用光源120への電源供給と受光部140への電源供給とを制御する。なお、露光用光源120への電源供給に関しては、照明制御部230と協働して行なう。以下、この点について詳しく説明する。
図5(C)は、各受光部140への電源並びに駆動パルスの供給を制御する際の態様を纏めたものである。基本的には、スタンバイ時には、プラテンカバーが開いているか閉じられているかに拘らず、露光用光源120へは電源供給を行なわない。これにより、露光用光源120による露光量は、“ゼロ”になる。なお、このスタンバイ状態時には、主走査方向の原稿サイズ検知や原稿の読取動作を行なわないのは言うまでもない。
次に、読取指示が発せられたときには、本実施形態特有の機能として、プラテンカバーが開いているか閉じられているかに応じて、主走査方向の原稿サイズ検知時における露光用光源120の露光量を異なるものとする。
具体的には、プラテンカバーが閉じられている状態で読取指示を受けたときの原稿サイズ検知時には、原稿読取時と同一の光量となるように露光用光源120を制御する。
一方、少なくとも、プラテンカバーが開かれている状態での原稿サイズ検知時には、原稿読取時とは異なる光量、より具体的には、原稿読取時よりも低い露光量にする。こうすることで、通常の読取時よりも低光量でサイズ検知することになる。
<原稿サイズ検知と露光量制御の手順>
図6〜図8は、原稿サイズ検知に関わる動作手順の基本を説明する図である。ここで図6は、その手順を示したフローチャートである。図7は、図6に示したフローチャートの処理ステップと対応する、プラテンカバーの動作状態を示した図である。図8は、図6に示したフローチャートの処理ステップと対応する、露光用光源120から発せられる露光量の時間遷移を示したタイミングチャートである。ここでは、プラテンカバーが閉じられている状態で読取指示を受ける場合とプラテンカバーが開かれている状態で読取指示を受ける場合の双方に対処する場合を例示している。
プラテンカバーが閉じられた状態で、受光部140を利用して原稿検知を行なうためには、先ずプラテンカバーを開ける動作が入るので、プラテン開閉センサ117によりこのことを検知してから露光用光源120や受光部140を起動すれば原稿検知が十分間に合う。
一方、画像読取装置3としては、原稿読取指示は、従来機種と同様に、プラテンカバーが閉じられてからのスタートキーの押下を基本とする。ただし、従来技術の項でも述べたように、実際には、操作パネルのスタートキーを押下するなど、ユーザインタフェースを介して操作者が読取指示を与えるのは、プラテンカバーが閉じられている状態の場合もあれば、プラテンカバーが開かれている状態の場合もある。
このため、先ず、プラテンカバーが閉じられた状態での読取動作完了後に、プラテンカバーが閉じられた状態のままで何らの操作もされず非読取状態で所定時間経過すると、すなわち露光用光源120を消灯して一定時間経過しても、プラテン開閉センサ117によるプラテンカバーの開閉検知や用紙センサ65による原稿検知がなく読取り開始の指示がなければ、画像読取装置3は、プラテンカバーが閉じている状態でのスタンバイ状態に移行する。そしてこのスタンバイ時には、露光用光源120と受光部140の何れについても、非動作状態としておく。
一方、プラテンカバーが開いた状態で原稿検知を行なう際には、プラテンカバーを閉じる過程が入るので、閉じる途中での原稿検知(黒背景のサイズ検知)を行なうためには、露光用光源120や受光部140がそれ以前に動作していなければ間に合わない。このためには、先ず受光部140を動作状態にしておき、露光用光源120にて原稿を露光して原稿検知を行なうとよい。ここで、本実施形態の手順においては、この過程での露光量の制御に特徴を有している。以下、具体的に説明する。
画像読取制御部200は、スタートキーの押下など、読取指示を監視している(S100)。原稿を読み取ろうとする場合、操作者は先ずプラテンカバーを開き(S101;t10)、プラテンガラス112上の所定位置に読取対象の原稿を載置する(S102)。画像読取制御部200は、このプラテンカバーが開かれたことをプラテン開閉センサ117からのプラテン開閉信号SP1がオンからオフに遷移したことで知ることができる(t11)。
この後、操作者は、プラテンカバーを閉じる動作を開始する(S104;t12)。プラテンカバーが閉じられる過程で、プラテン開閉センサ117のノブ117aをプラテンカバーが押下すると、プラテン開閉センサ117の検知スイッチはオンする(S106;t14)。画像読取制御部200は、このことを、プラテン開閉センサ117からのプラテン開閉信号SP1がオフからオンに遷移したことで知ることができる。
これを受けて、画像読取制御部200は照明制御部230に対して、低光量での露光開始を指示するとともに、受光部140の電源もオンさせる(S110)。露光用光源120と受光部140の起動の開始は何れが先であってもよい。これを受けて、照明制御部230は、原稿読取時よりも低い露光量となるように設定して(照明光源照度ダウン)、露光用光源120を点灯させる(S112;t20)。
この後、少し経過して、露光用光源120の露光量や受光部140が安定になってから(t22)、画像読取制御部200は、受光部140を利用することで、プラテンカバーが完全には閉じられていないので(実質的に開いている状態なので)、背景を概ね黒であるものとして主走査方向の原稿サイズ検知を行なう(S114;t22〜t24)。同時に、原稿センサ118を用いて副走査方向の原稿サイズ検知も行なう。
露光用光源120から発せられる光量が原稿読取時よりも低い露光量となるように設定しているので、通常の読取時よりも低光量でサイズ検知することになる。プラテンカバーが開かれている状態での原稿サイズ検知時の光量は、通常の画像読取時に比べ少なくてもよいので、消費電力の低減(省エネ)に寄与できる。
加えて、プラテンガラス112に置いた原稿がきちんと置かれているかを確認するときなどに意図せずに露光用光源120を見ても、低光量にしてあるので、操作者に眩しさ感を与えることもない。
操作者は、プラテンカバーを閉じる動作を継続しており、やがてプラテンカバーがプラテンガラス112に接触して完全に閉じられた状態となる(S116;t30)。画像読取制御部200は、このことを、磁気センサ対119からのプラテン開閉信号SP2がオンであることをもって知ることができる。
これを受けて、画像読取制御部200は、受光部140を利用することで、プラテンカバーが完全に閉じられている状態で、背景をプラテンカバーの色(本例では白色)であるものとして主走査方向の原稿サイズ検知を行なう(S124;t30〜t32)。同時に、原稿センサ118を用いて副走査方向の原稿サイズ検知も行なう。
つまり、プラテンカバーが完全に閉じられて直ぐに主走査方向および副走査方向の各サイズ検知を行なう。露光用光源120が原稿読取時よりも低い露光量となるように設定しているので、通常の読取時よりも低光量でサイズ検知することになる。
画像読取制御部200は、背景黒と背景白の両検知結果に基づき原稿の主走査方向のサイズを特定させる。また、原稿センサ118により得られる副走査方向のサイズ検知結果も参照して、原稿サイズを最終的に特定する(S126)。こうすることで、原稿辺縁部に黒色系統の画像が形成されている場合であっても、その原稿について主走査方向の原稿サイズ検知を正確に行なうことができる。
原稿サイズを特定できた場合(S126−YES)、画像読取制御部200は、この白背景のサイズ検知よりも前に読取指示があったか否かを判断する(S130)。読取指示が既にあった場合には(S130−YES,S140−YES)、画像読取制御部200は、照明制御部230に対して、通常光量での露光を指示する(S142)。これを受けて、照明制御部230は、図8の態様1に示すように、原稿読取時に適した露光量となるように設定する(照明光源照度アップ)(S144;t32〜t34)。
この後、少し経過して、露光用光源120の露光量が安定になってから、露光用光源120や受光部140などの走査光学系を副走査方向に移動させながら原稿を読み取る動作を開始する(S146;t36)。読取完了後には露光用光源120を消灯しておく。
つまり、主走査方向の原稿サイズ検知を特定させる以前に操作者からの読取指示がある場合には、原稿サイズ検知を特定させると即時に露光量を読取用にアップさせて即時に原稿読取を開始する。
一方、ステップS130の判定において、読取指示がなかった場合(S130−NO)、画像読取制御部200は、照明制御部230に露光用光源120の消灯を指示する(S134)。これを受けて、照明制御部230は、図8の態様2に示すように、露光用光源120を消灯する(S136;t32)。
つまり、背景白でのサイズ検知は、黒背景での検知と白背景での検知のセンサ検知状態の差を判別して原稿サイズ検知の最終決定をすることで、サイズ検知の精度を上げることを目的とするものであり、露光用光源120が高光量である必要はないので、低光量のままでサイズ検知を行ない、黒背景での検知と白背景での検知に基づきサイズ検知を特定させる。背景黒と背景白での各サイズ検知結果に基づいて原稿サイズを特定している間に読取指示がなければ、一旦露光用光源120を消灯することで消費電力の低減を図る。
一旦消灯させた後、操作者の読取指示により、原稿の読取りの光源点灯に入る(S140−YES)。すなわち、画像読取制御部200は、露光用光源120が原稿読取用の通常の露光量となるように照明制御部230に指示を発する(S142)。これを受けて、照明制御部230は、原稿読取に適した露光量となるように設定する(照明光源照度アップ)(S144;t40〜t42)。
この後、少し経過して、露光用光源120の露光量が安定になってから(t36)、露光用光源120や受光部140などの走査光学系を副走査方向に移動させながら原稿を読み取る動作を開始する(S146;t44)。読取完了後には露光用光源120を消灯しておく。
次の原稿の読取時には、操作者は再度プラテンカバーを開けて、上記と同様にして読取りを指示する。なお、上述のように、プラテンカバーが閉じられた状態での読取動作完了後に、プラテンカバーが閉じられた状態のままで何らの操作もされず非読取状態で所定時間経過すると、画像読取装置3は、プラテンカバーが閉じている状態でのスタンバイ状態に移行する。
また、プラテンカバーが閉じられた状態での読取動作完了後に、プラテンカバーが開かれた状態で何らの操作もされず非読取状態で所定時間経過すると、すなわち読取完了後に露光用光源120を消灯して一定時間経過後、プラテン開閉センサ117によるプラテンカバーの開閉検知や用紙センサ65による原稿検知がなく読取り開始の指示がなければ、画像読取装置3は、プラテンカバーが開かれている状態でのスタンバイ状態に移行する。
この後に、次の原稿の読取りがなされる場合には、操作者はプラテンカバーが開かれた状態から、原稿の載置と読取指示を発する。この場合の画像読取装置3における処理手順としては、上記説明のステップS102から開始することとなる。
スタンバイ状態からの起動は、プラテン開閉センサ117のプラテン開閉信号SP1がオンとなること、もしくはスタートキーなどの読取指示の検知をもって判断すればよい。よって、スタンバイ時に、プラテンカバーが開いた状態であるときには、消費電力を低減できるし、プラテンカバーが開いている状態のスタンバイ状態から起動するときでも、原稿サイズ検知に支障を与えない。
なお、上述の説明で分かるように、本実施形態の処理手順に依れば、プラテンカバーの開閉ごとに、露光とサイズ検知を行なう。ここで、実際には原稿がセットされずに読取指示がされることもあるが、この場合には、画像読取制御部200は原稿サイズを特定することができない。換言すれば、原稿がプラテンガラス112上に載置されていないことを検知できる。この場合(S126−NO)、画像読取制御部200は、表示パネルやスピーカなどの通知手段を利用して、原稿載置を促すメッセージを操作者に発する(S128)。
<処理手順の変形例>
上記手順では、黒背景のサイズ検知と白背景のサイズ検知の何れにおいても原稿読取時よりも低い露光量でサイズ検知を行なっていたが、少なくとも、プラテンカバーが開かれている(半開きも含む)状態のときには、通常の読取動作時の露光量よりも低くするように制御するものであればよく、露光量制御の手順は上述したものに限らず、種々の態様を採ることができる。
たとえば、図9(A)は、その一例(以下第1の変形例という)を説明する図である。この第1の変形例は、黒背景のサイズ検知後に、一旦消灯するようにした態様である。この第1の変形例の場合、図6〜図8に示した基本手順よりも、さらに消費電力の低減(省エネ)に寄与できる。サイズ検知時や読取時など露光が必要な場合以外はできるだけ消灯するようにしているので、無駄にエネルギを消費することをほぼ極限まで防止することができる。
また、図9(B)は、他の一例(以下第2の変形例という)を説明する図である。この第2の変形例は、黒背景のサイズ検知後には、漸次通常の露光量となるように、ほぼ連続的に光量をアップさせるようにした態様である。
この第2の変形例の場合、白背景のサイズ検知は、プラテンカバーが完全に閉じられる以前でも、通常光量に達し概ね光量が安定した段階で行なう(t26〜t28)。サイズ特定の前に読取指示が既にあった場合には(S130−YES,S140−YES)、プラテンカバーが完全に閉じられると即時に原稿読取を開始すればよい(t30)。
したがって、黒背景のサイズ検知時と白背景のサイズ検知時の双方について、画像読取時の露光量よりも低い照度にしていた図6〜図8に示した基本手順よりも消費電力は増えるが、より早くに原稿読取を開始できる利点がある。
原稿読取時、操作者は、通常、プラテンカバーを閉じる動作を開始すると、そのまま完全に閉じるまで、その動作を継続すると考えられる。したがって、一旦、プラテン開閉センサ117がオンとなり、その動作を検知した後には、プラテンカバーは概ね閉じられている状態にあるので、露光量をアップさせても操作者に眩しさ感を与えることはない。
なお、特殊なケースとして、プラテン開閉センサ117がオンとなり、プラテンカバーを閉じる動作を検知した後に、磁気センサ対119の検知結果がオンとなることなく、プラテン開閉センサ117がオフとなるケース、つまり閉じかけたけれども再度開くという動作をすることもあり得る。このような場合、第2の変形例では、操作者に眩しさ感を与えることになり得る。
これを避けるには、プラテン開閉センサ117を、プラテンカバーの開閉度合いを3段階以上(好ましくさらに多段階もしくは連続的に)で検知する仕組みにすればよい。このような仕組みのプラテン開閉センサ117を用いることで、開閉度合いに応じて露光用光源120の露光量を多段階もしくは連続的に制御することができる。
プラテンカバーの開き方が大きいほど露光量を低くし、完全に閉じられている状態では、露光量を通常光量にし、サイズ特定後には、読取を即時に開始する(S130−YES,S140−YES)か、もしくは消灯するようにすればよい(S130−NO)。これによって、プラテンカバーが開かれている状態で高光量の露光を防止できるとともに、原稿読取の開始を早くできる。
また、読取動作を開始した後に読取完了前にプラテンカバーが開かれるようなこともある。この場合、画像読取中に磁気センサ117が“開”となった場合には、原稿露光量を低く、もしくは光源を消灯するよう制御することで、操作者に眩しさ感を与えることがないようにするとよい。
プラテンカバーが完全に閉じたことは、カバー前方に設けた磁気センサ117で検知できるので、当然その磁気センサ117でプラテンカバーが開かれたことも検知できるから、画像読取中にプラテンカバーが“閉”から“開”になったことを検知し、照明を低光量にするか消灯することで、前述の対処が可能である。なお、磁気センサ117が“開”で画像読取開始した場合には、磁気センサ117の状態の変化によって消灯しないように制御する。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明の効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では、プラテンカバーの開閉状態を参照した、原稿サイズ検知と露光量制御の連係動作について説明したが、プラテンカバーの開閉状態を参照した露光量制御の処理としては、必ずしもサイズ検知とのリンクを要件とはしない。
原稿読取用の受光部を用いて原稿サイズ検知を行なう仕組みが存在するか否かに拘らず、原稿押圧板が開いた状態では画像読取時の露光量よりも低くなるように制御することで、光源からの光が操作者に対して眩しさ感を与える事象を軽減することができるからである。
プラテンカバー(原稿押圧板)の開閉度合いなど、プラテンカバーの原稿に対する押さえ状態に応じて露光量を通常の読取時の露光量とは異なる光量に制御するものである限り、その制御手法や光量制御の方向は、何れの態様のものであってもよい。
たとえば、特開平10−308853号公報に記載のように、光学系やプラテンガラスの結露防止手段として一定時間経過後にランプを点灯(結露防止用に補助点灯)させる場合でも、従来機では操作者に眩しさ感を与えないために、プラテンカバーが“開”の状態では、そのランプ発光をさせないという手段を採っている。
しかしながら、この方法ではずっとプラテンカバーが開いた状態(たとえば厚手の本などがプラテンに載った状態のままであったり、プラテンカバーを意図して開きっぱなしにしたりした状態)では結露防止対策になり得ない。
これに対して、上記実施形態で説明したような露光量制御の仕組みを利用して、プラテンカバーが“開”の状態もしくは“半開き”の状態での結露防止用の光源点灯を低い光量で行なうことにより、操作者の眩しさ感をより少なくして、かつ、結露防止点灯を行なうことが可能になる。
つまり、特開平10−308853号公報に記載の結露防止機構に対して上記実施形態で説明した露光量制御を適用した以下の構成を発明として提案することができる。
<付記1>
前記読取光を発して熱を発生させることにより結露を防止するとともに、
この結露を防止するための読取光の露光量を、前記原稿押圧板が前記原稿載置台に対して開かれた状態にあるときには、前記読取光の露光量を通常の原稿読取時の露光量よりも低くなるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の露光量制御方法。
<付記2>
前記制御部は、
前記読取光を発して熱を発生させることにより結露を防止するように制御するとともに、
この結露を防止するための読取光の露光量を、前記原稿押圧板が前記原稿載置台に対して開かれた状態にあるときには、前記読取光の露光量を通常の原稿読取時の露光量よりも低くなるように制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
また、ランプ点灯はランプの暗黒始動特性を補助する役目として行なわれることがある。ここで、ランプの暗黒始動特性というのは、ある一定時間以上、周辺光量が極度に低い場所でランプを始動させるときのランプ特性であり、周辺光量が低く、その光量が低い空間での放置時間が長いほどランプの点灯始動時間が長くなるという特性である。
画像読取装置においては、ランプオン信号をハイ(High;オン)にしてから一定時間経過後に光量モニタや画像読取りを行なうため、暗黒始動時間が画像読取ごとにばらつくと画像不良となる。
そのため、従来機では、上述した光学系やプラテンガラスの結露防止機構と同様に、一定時間経過後にランプを発光させ、暗黒始動時間がばらつくのを防いでいる。
しかしながら、この点に関しても、プラテンカバーが開いた状態では、ランプ点灯による操作者への影響(眩しさ感を与える)を考慮し、点灯させない制御手法としており、暗黒始動特性の補助がなくなってしまう。
これに対して、上記実施形態で説明したような露光量制御の仕組みを利用して、プラテンカバーが“開”の状態もしくは“半開き”の状態での暗黒始動特性の補助点灯を低い光量で行なうことにより、操作者の眩しさ感をより少なくして、かつ、暗黒始動の補助点灯を行なうことが可能になる。
つまり、暗黒始動の補助点灯機構に対して上記実施形態で説明した露光量制御を適用した以下の構成を発明として提案することができる。
<付記3>
前記読取光を発することにより暗黒始動の補助点灯を行なうとともに、
この補助点灯のための読取光の露光量を、前記原稿押圧板が前記原稿載置台に対して開かれた状態にあるときには、前記読取光の露光量を通常の原稿読取時の露光量よりも低くなるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の露光量制御方法。
<付記4>
前記制御部は、
前記読取光を発することにより暗黒始動の補助点灯を行なうように制御するとともに、
この補助点灯のための読取光の露光量を、前記原稿押圧板が前記原稿載置台に対して開かれた状態にあるときには、前記読取光の露光量を通常の原稿読取時の露光量よりも低くなるように制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
また、ここで説明したことから分かるように、上記実施形態で説明した露光量制御の適用範囲は、通常の読取動作以外で、読取光を発することで所定の機能を果たす仕組みのもの全てに適用可能である。上記実施形態で説明した原稿サイズ検知、さらにはここで変形例として説明した結露防止の補助点灯や暗黒始動の補助点灯に対して上記実施形態で説明した露光量制御を適用することに限られない。
また、上記実施形態では、原稿読取用の受光部を用いて原稿サイズ検知を行なう仕組みを主走査方向についてのみ適用していたが、上記実施形態で説明した原稿センサ118を取り除くとともに、副走査方向についても原稿読取用の受光部を用いて原稿サイズ検知を行なうようにしてもよい。この場合、たとえばプレスキャンを行なうことで、副走査方向のサイズ検知をすればよい。
また、原稿押圧板は、装置本体に固定して取付けられているものに限らず、たとえば取外し可能な構成でもよい。読取時に、原稿載置台に置いた原稿の上から原稿押圧板で原稿を押さえつつ原稿載置台の下面から読取光を露光して原稿の画像を読み取ることができればよいからである。
4…複写装置、3…画像読取装置、10…画像取得部、14…読取信号処理部、20…画像処理部、111…筐体、112…プラテンガラス、117…プラテン開閉センサ、118…原稿センサ、119…磁気センサ対、120…露光用光源、30…画像形成部、31…画像形成部、60…ADF装置、61…プラテンカバー、140…受光部、150…駆動制御部、200…画像読取制御部、220…用紙搬送制御部、230…照明制御部、240…走査制御部