JP2005194570A - 継目無鋼管を素材とする高強度ベアリングレース用リング - Google Patents
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Abstract
【課題】 ベアリングのボール溝の軌道面の形成におけるメタルフローの切断を無くすために据込み加工を無くし、単に冷間転造することによりベアリングのボール溝の軌道面に沿ってメタルフローを形成する製造方法を提供する。
【解決手段】 高炭素軸受鋼素材を継目無鋼管1に加工し、この継目無鋼管1を大気中で球状化焼なましして表面層に厚さ0.7mmから好ましくは0.2mmの脱炭層5を形成し、これを切断してリング素材7とし、このリング素材7をマンドレルおよび成形ロール間で冷間転造することによりベアリングボールの軌道面9に沿ってメタルフロー10を湾曲させて有するベアリングレース素材8に製造する。
【選択図】 図2
【解決手段】 高炭素軸受鋼素材を継目無鋼管1に加工し、この継目無鋼管1を大気中で球状化焼なましして表面層に厚さ0.7mmから好ましくは0.2mmの脱炭層5を形成し、これを切断してリング素材7とし、このリング素材7をマンドレルおよび成形ロール間で冷間転造することによりベアリングボールの軌道面9に沿ってメタルフロー10を湾曲させて有するベアリングレース素材8に製造する。
【選択図】 図2
Description
ベアリングレースの製造方法に関し、特に旋削加工後の軌道溝に沿ったメタルファイバーフロー(以下、省略して「メタルフロー」という。)を有する高強度ベアリングレース用のリングに関する。
ベアリングレースを製造する場合、図3に示すように棒鋼を円柱体12に切断後、この円柱体12を上下の金型間で据込み加工をして据込み加工品13とした後、a)その平面中央部を上方から加圧する中押し加工により平面中央部の肉厚を減少させながらカップ状成形体14に成形し、さらに、ポンチ加工により中抜きのポンチカス16を抜きリング体15に成形して単体のリング体15を得るか、あるいは、b)タワー状成形体17に成形し、これを外輪素形および内輪素形に分離後、さらに内輪素形からパンチング加工により中抜きのポンチカス20を抜きリング体に成形し、外輪用リング体18および内輪用リング体19を一度に得ている。これらのリング体を例えば成形ロールとマンドレルロール間で冷間ローリング加工により転造してベアリンク用のレース素形としている。
ところで、上記の中押し加工あるいはタワー状成形では、図4に示すように、据込み加工されたブランク中央部が中押し加工あるいはタワー状成形により塑性流動し、リング断面のメタルフロー21が上下方向で均一にならずに非対称となる。このような据込み後の加工材を冷間転造によりベアリングレース素形とすると、製品のメタルフロー21がベアリングレース素形の軌道面と平行にならない。このようなベアリングレース素形をさらに機械加工すると、このメタルフロー21が切断されることとなり、得られたベアリングレースの軌道面にメタルフロー切断面22が露出してベアリングの寿命が短命となる問題があった。
そこで、円盤からなるワークに据込み加工により上方から1度目の中押しを行ない、これを上下反転してさらにワークの中央部を上方から据込み加工により2度目の中押しを行ない、上下から均等に加圧することでワークの上下の中央に中押し部を形成し、この中押し部をポン抜き加工することでリング状のベアリングレース素材とする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ところで、この方法によるときは据込み加工を2度行うものであり、しかも最初の据込み加工の途中でワークを一旦金型から取り出して反転し、再び金型に装着して再度据込み加工をする必要があり、煩瑣で手数をとる問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、ベアリングのボール溝の軌道面の形成におけるメタルフローの切断を無くすために、上記のような繰り返し反転して中押しの据込み加工をするなどの煩瑣な工程を解消する方法を提供することであり、根本的に据込み加工を無くして単に冷間転造することでベアリングのボール溝の軌道面に沿ってメタルフローが形成されているベアリングレースを製造する方法を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、高炭素軸受鋼素材を継目無鋼管に加工し、この継目無鋼管を切断してリング素材とし、このリング素材をマンドレルおよび成形ロール間で冷間転造することによりベアリングボールの軌道面に沿ってメタルフローを湾曲させることを特徴とするボールの軌道溝を有するベアリングレース素材の製造方法である。
請求項2の発明では、請求項1の手段の方法において、リング素材に切断する前に継目無鋼管は大気中すなわち酸化性雰囲気中で球状化焼なましにより継目無鋼管の外面および内面にその後の切削加工を容易にするためそれぞれ厚さ0.7mmから好ましくは0.2mmの脱炭層を形成することを特徴とするボールの軌道溝を有するベアリングレース素材の製造方法である。
本発明は、ボールの軌道溝を有するベアリングレース素材を、従来の棒鋼材から据込み加工により形成する方法に代えて、継目無鋼管の切断リングから冷間転造により製造することで、ベアリングレース素材のボールの軌道面に沿って湾曲させたメタルフローとすることができ、このボールの軌道面を有するベアリングレース素材を旋削によりベアリングレースに仕上げた場合に、メタルフローが切断されてその切断箇所が表面に露出されることがないのでベアリングレースを長寿命とすることができ、さらに脱炭層をリング素材の表面に形成して冷間転造することにより、表面の柔らかいフェライト層が塑性加工開始直後にリング表面を覆い表面欠陥による切欠き効果を低減することによりマンドレルおよび成形ロールによる成形途中のリング素材の表面における微細割れの発生を防止できるなど、本発明は優れた効果を奏するものである。
本発明の実施の形態を説明する。JISで規定するSUJ2などの高炭素軸受鋼を製管工程により継目無鋼管1に加工する。この継目無鋼管1には、図1に模式的に示すように、継目無鋼管1の製管工程に起因する継目無鋼管1の外表面2および内表面3に平行な周方向のメタルフロー4および管軸方向のメタルフロー6が形成されている。この継目無鋼管1を大気中で例えば760〜800℃で球状化焼なましする。この大気中での球状化焼なましにより継目無鋼管1の外表面2側および内表面3側の各表面層には0.7mm以下のそれぞれ脱炭層5が形成される。次いで、球状化焼なましをした継目無鋼管1を所定のリング素材7に切断する。
さらに、得られたリング素材7をマンドレルおよび成形ロール間で冷間転造してベアリングボールの軌道輪を形成したベアリングレース素材8に形成する。図2の(a)に示すように、冷間転造する前の切断したリング素材7では、メタルフロー6は鋼管の外表面2および内表面3に平行であったが、冷間転造したベアリングレース素材8では、ベアリングレース素材8の軌道面9に沿って湾曲し軌道面に沿うメタルフロー10となって軌道面9に平行な方向に形成されている。この軌道面に沿うメタルフロー10を有するベアリングレース素材8の表面には脱炭層11が形成されている。さらに、このベアリングレース素材8の表面を旋削加工してベアリングレースに仕上げられる。
得られたベアリングレースには表面に露出するメタルフローの切断面は見られず、また微小割れも見られず、ベアリングレースは長寿命の使用に堪えうるものであった。
1 継目無鋼管
2 外表面
3 内表面
4 周方向のメタルフロー
5 脱炭層
6 管材方向のメタルフロー
7 リング素材
8 ベアリングレース素材
9 軌道面
10 軌道面に沿うメタルフロー
11 脱炭層
12 円柱体
13 据込み加工品
14 カップ状成形体
15 リング体
16 ポンチカス
17 タワー状成形体
18 外輪用リング体
19 内輪用リング体
20 ポンチカス
21 メタルフロー
2 外表面
3 内表面
4 周方向のメタルフロー
5 脱炭層
6 管材方向のメタルフロー
7 リング素材
8 ベアリングレース素材
9 軌道面
10 軌道面に沿うメタルフロー
11 脱炭層
12 円柱体
13 据込み加工品
14 カップ状成形体
15 リング体
16 ポンチカス
17 タワー状成形体
18 外輪用リング体
19 内輪用リング体
20 ポンチカス
21 メタルフロー
Claims (2)
- 高炭素軸受鋼素材を継目無鋼管に加工し、この継目無鋼管を切断してリング素材とし、このリング素材をマンドレルおよび成形ロール間で冷間転造することによりベアリングボールの軌道面に沿ってメタルフローを湾曲させることを特徴とするボールの軌道溝を有するベアリングレース素材の製造方法。
- 請求項1に記載の方法において、リング素材に切断する前に継目無鋼管は酸化性雰囲気中で球状化焼なましにより継目無鋼管の外面および内面にそれぞれ厚さ0.7mmから好ましくは0.2mmの脱炭層を形成することを特徴とするボールの軌道溝を有するベアリングレース素材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004001507A JP2005194570A (ja) | 2004-01-06 | 2004-01-06 | 継目無鋼管を素材とする高強度ベアリングレース用リング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004001507A JP2005194570A (ja) | 2004-01-06 | 2004-01-06 | 継目無鋼管を素材とする高強度ベアリングレース用リング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005194570A true JP2005194570A (ja) | 2005-07-21 |
Family
ID=34817002
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004001507A Pending JP2005194570A (ja) | 2004-01-06 | 2004-01-06 | 継目無鋼管を素材とする高強度ベアリングレース用リング |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005194570A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009297731A (ja) * | 2008-06-11 | 2009-12-24 | Sanyo Special Steel Co Ltd | ベアリング外輪素形材の製造方法 |
JP2009297768A (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-24 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 転造におけるファイバーフローを制御して内径面に環状凹溝を有するリング製品の製造方法 |
CN102191359A (zh) * | 2010-05-21 | 2011-09-21 | 江苏力星通用钢球股份有限公司 | 风电钢球球坯热镦工艺 |
-
2004
- 2004-01-06 JP JP2004001507A patent/JP2005194570A/ja active Pending
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