JP2005194272A - 生体材料を低侵襲移植するための装置及び方法 - Google Patents

生体材料を低侵襲移植するための装置及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005194272A
JP2005194272A JP2004361673A JP2004361673A JP2005194272A JP 2005194272 A JP2005194272 A JP 2005194272A JP 2004361673 A JP2004361673 A JP 2004361673A JP 2004361673 A JP2004361673 A JP 2004361673A JP 2005194272 A JP2005194272 A JP 2005194272A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
delivery system
cells
tether
delivery
active substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004361673A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4959130B2 (ja
Inventor
Lynetta J Freeman
リネッタ・ジーン・フリーマン
Mark W Difrancesco
マーク・ダブリュ・ディフランセスコ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ethicon Endo Surgery Inc
Original Assignee
Ethicon Endo Surgery Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ethicon Endo Surgery Inc filed Critical Ethicon Endo Surgery Inc
Publication of JP2005194272A publication Critical patent/JP2005194272A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4959130B2 publication Critical patent/JP4959130B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L31/00Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
    • A61L31/14Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • A61L31/148Materials at least partially resorbable by the body
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L31/00Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
    • A61L31/14Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • A61L31/16Biologically active materials, e.g. therapeutic substances
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L31/00Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
    • A61L31/14Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • A61L31/18Materials at least partially X-ray or laser opaque
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2300/00Biologically active materials used in bandages, wound dressings, absorbent pads or medical devices

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Infusion, Injection, And Reservoir Apparatuses (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Surgical Instruments (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

【課題】 血管組織に実質的に近接して送達システムを配置する低侵襲性の方法及びこのような方法に用いる送達システムを提供すること。
【解決手段】 送達システムは、柔軟なテザー手段を備えた可撓性の生物学的構造とすることができる。送達システムは、例えば腹膜組織などの血管組織の近傍に経皮的に挿入することができる。送達システムを挿入したら、送達システムをテザーで血管組織に向かって引張って送達システムを血管組織に固定することができる。テザーを実質的に張った状態にして、送達システムの前面と血管組織の接触を維持することができる。送達システムは、活性物質の持続的な送達を達成することができる。
【選択図】 図10

Description

本発明は、生体材料の移植に関し、詳細には、生体材料を低侵襲的に移植するための装置及び方法に関する。具体的には、本発明は、活性物質を送達するための生体材料、並びにこのような活性物質送達用生体材料を移植して予防薬または治療薬を長期に亘って送達する方法に関する。
既知の多くの移植方法では、カニューレまたは類似の管状器具を介してインプラントを患者の体内に挿入するタンピング手段が使用される。このようなタンピングには、管状器具内のインプラントを後側から押してタンピングするロッドまたはワイヤなどのプッシュ器具が用いられる。他の可能な挿入方法では、体内の第1の管状器具の孔からキャプ付きの第2の管状器具が下方に延出される。第2の管状器具は、インプラントを含み、そのインプラントを落下させることができる第2の管状器具の横の開口に達するとそのインプラントを解放する。
腹膜壁の血管の性質は当分野でよく知られている。当分野では、腹膜組織またはその近傍への材料の移植が教授されているが、このような教授は、ヘルニア破裂の構造的な修復や予防に集中している。従って、当分野では、ヘルニア以外の目的で材料を持続的に送達するための腹膜組織またはその近傍への移植の教授は十分でない。当分野では、中枢神経系への神経活性物質の持続的な送達のための細胞カプセルの移植は教授されているが、このような移植手段は、あまり柔軟ではなく、用途が実質的に中枢神経系に限定されている。あまり柔軟でないインプラントは、腹膜組織などの組織またはその近傍に移植される場合、このような組織の血管の性質の利点を十分に生かすことができない。なぜなら、あまり柔軟でないインプラントは、インプラントと血管との表面接触を最大化できないためである。表面間の接触を最大化すれば、インプラントと血管組織との間の生体材料の直接的な交換がより効率的にできる。
薬物治療の有利な治療特性を維持したまま長期に亘る薬物治療に関連した不所望の生理学的問題や経済的な問題を解消することが強く要望されている。ある種の薬物によるリスクから、研究者が、病気や疾患の治療を支援するべくこのような薬物を投与するためのシステムを開発した。このようなシステムは、主に内部の薬物の放出速度を遅くする或いは制御するようにデザインされている。しかしながら、このようなシステムは、本発明による驚くべき予想外の成果には及ばない。
従って、比較的柔軟なインプラントを実質的に血管組織に近接して体内に配置し維持する非侵襲的な方法、並びに治療物質、予防物質、または他の活性物質を持続的に送達できる送達システムが要望されている。
本発明は、患者に活性物質を送達するための装置及び方法に関する。活性物質製剤を活性物質送達システム内に保存することができる(例えば、活性物質送達システムの送達層内や、制御された活性物質送達システムのレザバー内に含める)。活性物質製剤は、治療に十分な量の活性物質を含むことができ、所定の全治療期間に亘って体温で安定である(例えば、許容範囲外の分解が起こらない)。活性物質送達システムは、活性物質製剤を安全に保存し(例えば、過量放出しない)、製剤の許容範囲外の分解が起こらないように体内のプロセスから十分に保護し、患者に対して治療効果のある割合で管理された方法で活性物質製剤を放出することができる。使用する場合は、活性物質送達システムを患者の体内の移植部位に移植して、活性物質製剤を活性物質送達システムから、例えば筋膜や腹壁内などの送達部位に放出させることができる。送達部位で放出されると、活性物質製剤が血管組織を介して進入することができる。
本発明により、患者のライフスタイル及び行動の自由が広がり、患者がより自然で快適な方法で生活することができる。本発明により、頻繁な注入が必要なく、日に数回の注射による苦痛や皮膚への刺激がなくなり、症状に関連した生理的パラメータの維持管理の困難さによる精神的不安が取り除かれる。
一実施形態では、本発明は、テザーが付いた送達システムを含む活性物質送達システムと、このような活性物質送達システムを血管組織に実質的に近接して低侵襲的に配置する方法を提供する。このような送達システムの移植により、治療物質、予防物質、及び/または多くの他の種類の物質を持続的に送達することができる。一般に、活性物質送達システムは、例えば、腹部の空間内、網内、腹腔内、腹膜の壁側層と臓側層の間に形成された空間、または壁側腹膜と腹壁の間に形成された空間に配置することができる。他の好適な位置にも配置することができる。
考えられる移植方法には、刺創を介して腹膜の空間内に活性物質送達システムを配置する方法が含まれる。小さな刺創によって露出される腹腔にアクセスできる外科方法が望ましい。腹膜を切開したら、上記した活性物質送達システムをその空間内に挿入することができる。必要に応じて、ある程度の位置合わせをしてから切開部を閉止することができる。
活性物質送達システムは、生物学的構造及びテザー手段を含むことができる。この送達システムは、実質的に可撓性とすることができ、かつ/または接着面を有することができる。テザー手段は、送達システムを血管組織に対して実質的に平面接触させて固定できる実質的に可撓性の材料から形成することができる。送達システムは、例えば腹膜組織などの血管組織の近傍に経皮的に挿入することができる。送達システムを挿入したら、テザー手段を引張って送達システムを血管組織に向かって移動させ、送達システムの活性物質送達上面が血管組織に接触するようにする。送達システムの活性物質送達面と血管組織との接触は、テザー手段を実質的に張った状態にして維持することができる。代替の実施形態では、送達システムの活性物質送達面に設けられた、血管組織に実質的に接着できる接着剤を用いて、送達システムを血管組織に実質的に接触した状態に維持することができる。
あらゆる概ねチューブ状の器具または類似の器具を用いて送達システムを挿入及び/または配置することができる。挿入器具は、内側チューブと外側チューブから構成し、内側チューブ内に送達システムを配置することができる。内側チューブの側面に、内側チューブを外側チューブから延出させた時に送達システムを配置できる開口を設けることができる。送達システムのテザー手段の一端を送達システムに取り付け、テザー手段の他端を内側チューブの閉じた先端部の内側に取り付けることができる。移植する前に、内側チューブを外側チューブ内に収納することができる。トロカールのカニューレ内に挿入器具を配置した状態でトロカールを患者の体内に挿入してから、内側チューブを患者の体内で延出させることができる。内側チューブの延出により、内側チューブの側面の開口が体腔内にきたら、送達システムを患者の体内に配置することができる。送達システムを配置したら、テザー手段を切断しないで内側チューブを再び外側チューブ内に実質的に収納することができる。次いで、トロカールを挿入器具と共に体内から引き抜くことができる。挿入器具の先端部を引き抜くと、テザーが現れ処置することができる。送達システムを所定の位置に保持するようにテザー手段を挿入器具から切り離して処置することができる。
本発明の発明者達は、局所的または全身の所望の生理効果または薬学的効果を得るのに有効な物質の管理された持続的な放出に適した装置を見出した。この装置は、少なくとも1種類の有効量の活性物質を含む移殖用活性物質送達システムを含む。この送達システムは、一旦移植されると、体内部位に活性物質を持続的に供給することができ、体内部位に侵襲的な刺入を行わなくてもよい。その代わりに、この送達システムを体内に留置して、活性物質の持続的な供給源とすることができる。本発明に従った送達システムは、活性物質が実質的に使い果たされるまで数ヶ月(例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)または数年(例えば、1年、5年、10年、20年)の所定期間に亘って活性物質を長期的に一定に放出することができる。
送達システムを介して送達できる物質の種類として、薬物(血栓溶解薬、血小板抑制剤、再狭窄防止薬、β‐遮断薬、イオンチャネル拮抗薬、正または負のイオンチャネル薬(positive or negative ionotropic agents)、抗不整脈薬、抗生物質、鎮痛薬、化学療法薬、他の抗腫瘍薬など)、天然または組換えタンパク質(例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来内皮細胞成長因子(PDGF)、神経細胞成長因子(NGF)、または肝細胞成長因子(HGF)などの血管タンパク質(angiogenic protein))、細胞または細胞調製物(例えば、幹細胞、他の前駆細胞、筋細胞、筋原細胞、膵島細胞、ドーパミン分泌細胞など)、遺伝子または遺伝子治療用調製物(例えば、遺伝子治療用の遺伝子を含むウイルスベクターや、細胞、プラスミド、ウイルスベクター、遺伝子組換え細胞、裸のDNAなどの中に電気泳動移入させる遺伝子物質)、撮像用の造影剤や染料、放射標識した診断物質または薬物または透写できる物質、これらのあらゆる混合物、及び/または治療目的、撮像目的、診断目的、または他の目的のために送達システムで導入することができる他の種類の物質またはそれらの組合せを挙げることができる。これらの物質は、単独で用いる、溶液に入れる、或いは任意の送達物質すなわち基質(例えば、元の注入部位から離れた物質の分散または播種を阻害或いは遅延させるために用いるポリマー基質など)、透析液、または微小透析液と組み合わせて用いることができる。
様々な態様では、活性物質は、例えば、最大約0.01μg/時間、0.10μg/時間、0.25μg/時間、1μg/時間、5μg/時間、10μg/時間、25μg/時間、50μg/時間、75μg/時間、100μg/時間、150μg/時間、または約200μg/時間の遅い投与速度で送達することができる。送達する活性物質の特定の用量範囲は、例えば効力などによって異なる。例示的な一実施形態では、薬剤は、例えば約0.01μl/日〜約2ml/日の用量範囲で送達される。製剤の送達は、実質的に一定或いは拍動とすることができ、数時間から数年の期間に亘る所定の投与とすることができる。
別の実施形態では、製剤は、約1ml/日〜約150ml/日の用量範囲で送達される。別の実施形態では、製剤の送達は実質的に連続的である。
上記した本発明の要約は、本発明の各々の実施形態または各々の実施態様を説明するものではない。本発明の利点、達成、より完全な理解は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本願において、特段の記載がない限り、全ての温度は摂氏であり、全ての%は重量%である。以下に、本明細書に用いる用語の定義を記載する。本明細書の語群または用語に対する最初の定義は、特段の記載がない限り、個々に或いは他の語群の一部として、本明細書中の全てのその語群または用語に適用される。
特段の記載がない限り、ここで用いる全ての技術及び科学用語は、本発明が属する分野の一般の技術者が通常に理解する意味と同じである。ここに記載したものと同様或いは同等のあらゆる方法、装置、及び物質を本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法、装置、及び物質は以下に記載する。
ここに記載する全ての刊行物は、ここに記載する本発明に関連して用いることができるそのような刊行物に記載されている構成及び方法の説明及び開示のために、言及することを以って本明細書の一部とする。ここで議論する刊行物は、本願の出願日前のそれらの開示のためだけに記載する。いかなる場合であっても、そのような開示が先の発明という理由で、本発明がそのような開示よりも先行できないと解釈すべきではない。
比較的柔軟なインプラントを実質的に血管組織に近接して体内に配置し維持する非侵襲的な方法、並びに治療薬、予防物質、または他の活性物質を持続的に送達できる送達システムが提供される。
本明細書の一部をなす添付の図面は、本発明の幾つかの態様を例示するものであり、これらの図面を参照しながら以下の記載を読めば本発明の原理を理解できるであろう。添付の図面に例が示されている本発明の現在の好適な実施形態を以下に詳細に説明する。また、代替の実施形態についても説明する。
経皮送達システム、経粘膜送達システム、及び/または他の送達システムを作製する本発明の方法を開示及び説明する前に、ここに開示する特定の工程段階及び材料が多様であるため本発明がそのような工程段階や材料に限定されるものではないことを理解されたい。また、ここに用いる用語は特定の実施形態を説明するためのものであって限定目的ではなく、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ規定されることを理解されたい。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「ある」、「その」、「この」は、特段の記載がない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。従って、例えば、「ある薬物」を含む積層構造と言えば2種類以上の薬物も含み、「ある接着剤」と言えば2種類以上のそのような接着剤も含み、「あるエンハンサー」と言えば2種類以上のエンハンサーの混合物も含む。
本発明の説明及び請求の範囲において、以下に示す用語は、以下の定義に従って用いられる。
ここで用いる用語「活性物質」は、限定するものではないが、持続的または制御された送達及び/または放出のために本発明の送達システムに含めるのに好適な任意の物質を含む。活性物質は、液体、溶液、ペースト、及び固体などを含む任意の状態をとることができる。活性物質は、ヒトまたは家畜用の活性物質及び/または診断物質などの薬学的に活性な物質とすることができる。一般に、「活性物質」は、限定するものではないが、哺乳動物種の利益のために用いることができるあらゆる組成物を指す。このような物質は、例えば、イオン、高分子、有機低分子、ペプチド、タンパク質或いはポリペプチド、オリゴヌクレオチド、及びオリゴ糖の形態をとることができる。
用語「活性物質送達システム」は、治療に有効な量の活性物質を生体材料から送達できる移殖用装置を指し、テザーを有する移殖用装置を備えた装置を含む。用語「活性物質送達システム」は、「インプラント装置」または「インプラント」と交換可能に用いることができる。
ここで用いる用語「活性ゲル」、「ゲル状薬物」、及び「ゲル形態の薬物」などは、積層パッチに適用するために選択した流動特性及び表面張力特性を得るべくゲル化剤が分散した薬物を含む。従って、活性ゲルは、粘性であるが流動可能な状態の液状薬物であり、液体薬物とゲル化剤のコロイド状/二相性混合物或いは溶解した混合物とすることができる。液体薬物は、それ自体が液体である薬物、または選択された溶媒または担体に溶解した、懸濁した、或いは分散した薬物を指す。このような溶媒は、エタノールや水などの液体、または低分子量のポリマー、ワックス、及び石油ゼリーなどの押出し可能な低粘性の半固体とすることができる。活性ゲルは、体内への薬物の移送を促進するために製剤に添加できるエンハンサーを含むこともできる。活性ゲルはまた、薬物、ゲル化剤、エンハンサー、保存剤、抗酸化剤、刺激除去剤、及び可溶化剤などの組合せも含むことができる。用語「ゲル」は、ゲルの専門的な定義に一致するしないにかかわらず、濃縮した薬物成分の機能的特性にも用いることができる。
用語「投与」は、本発明の送達装置或いは送達システムを患者の体内に導入することを含むものとする。処置のための投与である場合、投与は予防目的或いは治療目的の何れかである。予防目的の場合は、あらゆる症状の前に作用物質を投与しなければならない。作用物質の予防的な投与により、後に起こるあらゆる症状を予防または緩和することができる。治療目的の場合は、発症時またはその直後に作用物質が投与される。この作用物質の治療目的の投与により、あらゆる実際の症状を緩和することができる。
ここで用いる用語「生体材料」は、患者の体内への送達に適した形態で治療的に許容される量の1または複数の活性物質を含む生体適合性材料を含む。
ここで用いる「送達促進」、「浸透促進」、または「透過促進」は、上皮組織層または内皮組織層に送達され、1または複数の層を通過する化合物の送達の量及び/または速度の増大に関連する。送達促進は、動物またはヒトの組織の1または複数の層を通過する化合物の速度及び/または量を測定することで観察できる。送達促進はまた、化合物が送達される組織の深さ及び/または上皮組織または他の組織の1または複数の種類の細胞への送達領域の増大を含むこともできる。このような測定は、例えば、米国特許第5,891,462号に開示されているような拡散細胞装置を用いて容易に行うことができる。
ここで用いる用語「送達部位」は、活性物質が体循環に入るように送達される体内の領域、例えば活性物質を送達して全身に回すことができる部位を含むものとする。活性物質の全身送達に適した例示的な送達部位として、限定するものではないが、腹膜部位及び網部位を挙げることができる。送達は、経表皮的または表皮組織を介して行うことができる。「表皮組織」は、体の表面、空間、内腔の表面領域を覆う基本組織である。上皮組織は主に、通常は上皮細胞によって産生される細胞外基質(基底膜)に位置する互いに付着した複数の上皮細胞から構成されている。
ここで用いる用語「薬物」、「活性物質」、または他の類似の用語は、本発明で開示する方法で投与するのに適した、限定するものではないが(1)生体プロセスへの影響、(2)生物に対する予防効果及び感染症などの不所望の生物学的影響の回避、(3)疾患による苦痛や炎症を緩和するなどの疾患による症状の緩和、及び/または(4)生物の疾患を緩和、軽減、または完全な除去を含むことができる所望の生物学的或いは薬学的効果を誘発する、あらゆる化学物質、生体物質、または化合物を指す。このような効果は、局所麻酔効果などの局所または全身とすることができる。本発明は、新規の薬物または新規のクラスの活性物質を導出するものではない。むしろ、本発明は、活性薬物または活性物質として後に確立でき、本発明による送達に適した、当分野で既知の薬物または作用物質を送達するためのシステム及びその作製方法に限定される。このような物質には、体表及び膜を介するなど、普通に体内に送達できる化合物の広範なクラスが含まれる。一般に、その中には、限定するものではないが、抗生物質や抗ウイルス薬などの抗感染症薬、鎮痛薬及び鎮痛薬混合物、食欲減退薬、抗蠕虫薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、下痢止め薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、偏頭痛薬、制吐薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン病薬、鎮痒薬、抗精神病薬、解熱薬、鎮痙薬、抗コリン作動薬、交感神経様作動薬、キサンチン誘導体や、カリウムチャネル遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、β‐遮断薬、α‐遮断薬、及び抗不整脈薬を含む心血管薬や、降圧薬、利尿薬及び抗利尿薬や、冠動脈、抹消血管、及び脳血管を含む血管拡張薬や、中枢神経刺激薬、血管収縮薬、うっ血除去薬を含む感冒薬や、コルチコステロイドを含むステロイド及びエストラジオールなどのホルモン、催眠薬、免疫抑制薬、筋弛緩薬、副交感神経遮断薬、精神刺激薬、鎮静薬、精神安定薬、及びこれらのニコチン付加塩や酸付加塩が含まれる。
抵抗(拡散係数)または駆動力(拡散の勾配)の何れかを変更することにより、血管組織に亘る薬物の流れを増大することができる。このような流れは、いわゆる浸透エンハンサーまたは化学エンハンサーを用いて促進することができる。化学エンハンサーは、主に2種類の成分すなわち細胞外被障害化合物と溶媒、或いは細胞外被障害化合物と溶媒を含む2成分系からなる。
用語「製剤」は、水、リン酸緩衝生理食塩水、または他の許容物質などの溶媒などの薬学的に許容される担体や賦形剤と組み合わせたあらゆる薬物を指す。製剤は、当分野で周知の1または複数の活性物質を含み、当分野で周知の1または複数の担体物質も含むことができる。
用語「移植部位」は、活性物質送達システムを導入できる患者の体表または体内の部位を指す。これには、限定するものではないが、送達システムを挿入できる表皮の突刺すなわち開口が含まれる。「移植部位」は、「送達部位」の概ね近傍とすることができる。例えば、「移植部位」は患者の体表面の開口を指し、「送達部位」は患者の内面の開口に概ね近接した領域或いは連続した領域を指す。
ここで用いる用語「高分子」は、限定するものではないが、生物起源または合成起源のペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチドなどの大きな分子(分子量が1000Daよりも大きい)を指す。用語「有機低分子」は、分子量が1000Da以下の炭素含有物質を指す。ここで用いる用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって結合した一本鎖のD型アミノ酸、L型アミノ酸、及びこれらの混合物からなる化合物を指す。通常は、ペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸残基を含み、約50アミノ酸長よりも短い。ここで用いる用語「タンパク質」は、ペプチドに比べて明確な高次構造を有するペプチド結合によって直線状に結合したアミノ酸からなる化合物を指す。タンパク質は、ペプチドとは異なり、通常は50アミノ酸長よりも大きい鎖からなる。ここで用いる用語「ポリペプチド」は、少なくとも2つのアミノ酸残基のポリマーを指し、1または複数のペプチド結合を含む。「ポリペプチド」は、明確な高次構造を有する有しないにかかわらず、ペプチド及びタンパク質を包含する。
活性物質送達の文脈で用いられる「パターン化された」または「一時的な」は、通常は所定の期間(例えば、大量瞬時投与に関連した期間以外)に対して実質的に規則的なパターンでの活性物質の送達を意味する。「パターン化された」または「一時的な」活性物質送達は、増大する、減少する、実質的に一定、拍動性の速度または一定範囲の速度(例えば、単位時間当たりの活性物質の量すなわち単位時間に対する活性物質の容量)での活性物質の送達を含み、更に、連続的または実質的に連続的、或いは慢性的な送達も含む。例えば「実質的に連続的な注入」または「実質的に連続的な送達」の文脈で用いられる「実質的に連続的な」は、活性物質送達の所定の期間(例えば、大量瞬時投与に関連した期間以外)において実質的に中断されない活性物質の送達を指す。更に、「実質的に連続的な」活性物質の送達は、活性物質の送達が所定の期間に亘って実質的に中断されない実質的に一定な所定速度または速度範囲(例えば、単位時間当たりの活性物質の量、または単位時間に対する活性物質の容量)での活性物質の送達も指すことができる。
ここで用いる用語「基材」は、活性物質送達システムの下端層を含むものとする。基材は、単なる構造的な支持を提供し、かつ/または1或いは複数の他の機能を果たすことができる。例えば、基材は、患者及び/または活性物質及び/または活性物質を含む材料に役立つ他の物質を含むことができる。用語「基材」が使用された場合、送達システムは単層からなるものも含むため本発明が複数の層を含む送達システムに限定されると解釈すべきではない。
用語「被検動物または被検者」、「個体または個人」、及び「患者」は交換可能に用いられ、限定するものではないが、通常は活性物質を送達できる哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、クマ、ブタ、有蹄類)である被検動物を指す。
ここで用いる用語「徐放」または「放出制御」は、活性物質の放出時間及び/または活性物質の作用時間の延長を指し、当分野で周知であり、特段の記載がない限り交換可能に用いられる。例えば徐放は、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、またはそれ以上の期間とすることができる。
用語「全身送達」は、活性物質が体循環に入ることができる、例えば静脈内、動脈内、筋内、皮下、脂肪組織内、及びリンパ内などのあらゆる非経口送達を含むものとする。
用語「治療効果のある量」は、所望の治療効果を促進するのに有効な治療物質の量または治療物質の送達の割合を指す。正確な所望の治療効果は、治療する症状、投与する製剤、及び当業者に周知の他の様々な因子によって異なる。
ここで用いる用語「生体適合性」は、毒性または傷害性でなくかつ免疫拒絶が起きない、生組織または生物系に適合性のあらゆる材料を指す。「生体適合性」は、材料の生体適合性の性質を含む。ここで用いる用語「生体適合性」は、無傷の送達システム及びその内容物の両方を総称して指す。具体的には、体内の様々な防御システムの悪影響を回避して有意な期間に亘って機能を維持する、移植された無傷の送達システム及びその内容物の能力を指す。免疫系の防御反応すなわち異物線維形成応答(foreign body fibrotic response)を回避するのに加えて、「生体適合性」は、送達システムやその内容物の所望の機能を妨げるような、送達システムやその内容物による特定の不所望の細胞傷害性または全身作用が起こらないという意味も含む。送達システムの生体適合性は、因子の組合せによって得ることができる。
生体適合性及び機能の持続にとって、送達システムの形態や疎水性、並びに送達システムの表面に不所望の物質が存在しない或いは送達システムから浸出しないことが重要である。従って、異物反応を誘発するようなブラシ表面、折り畳み、中間層、または他の形状や構造を避けるべきである。送達システムの形成材料は、十分に純粋であって、その送達システムの材料自体から不所望の物質が浸出しない。加えて、送達システムを用意した後、送達システムに付着する或いは吸収され得る流体または物質(例えば、血清)で送達システムの表面を処理して、後に送達システムが生体適合性を損なわないようにする。
第1に、送達システムを形成するために用いる材料は、送達システムを移植するレシピエントの組織に適合し、その組織が許容できる能力に基づいて選択される物質である。使用される物質は、レシピエントまたは単離された生物活性物質に対して無害である。第2に、生体適合性送達システムの作製に使用される物質は、浸出性発熱物質(leachable pyrogenic substances)や他の有害な刺激物質または免疫原性物質を含まない、或いは十分な精製によってそのような有害物質が除去されている。その後、送達システムの移植に先立った製造及びメンテナンスの間、送達システムの生体適合性を損なうような物質の不純物混和すなわち汚染を防止するために厳重な注意が払われる。第3に、テクスチャを含む送達システムの外部構造は、移植後にレシピエントの組織と最適に接触するように形成されている。このパラメータは、その一部が移植部位によって決まる。例えば、送達システムがレシピエントの腹腔内に配置される場合は、送達システムの表面は平滑にすべきである。しかしながら、送達システムがレシピエントの軟組織内に埋め込まれる場合は、送達システムの表面は中程度に粗い或いは点状にすることができる。決定的要素は、レシピエントの細胞が送達システムの外面に付着するのが望ましいか、またはこのような付着を防止すべきかである。オープンテクスチャ表面或いはスポンジ状表面は毛細血管床の内植を促進でき、平滑な表面は線維芽細胞の過度の成長を妨げることができる。毛細管の成長が過少な部分を除いて、線維芽細胞が過度に増殖しないようにする。なぜなら、この過度の成長によって送達システムの周りに透過性の低い基底膜が付着し、分離細胞とレシピエントの体との接触が妨げられるためである。
明らかに異物線維形成応答(foreign body fibrotic response)を誘発するようなある種の送達システムのジオメトリは避けるべきである。従って、送達システムは、ブラシ表面や折り畳みなどの中間層を有する構造を含むべきではない。一般に、同じ送達システムまたは近接する送達システムの表面や縁と対向する送達システムの表面や縁は、少なくとも1mm、好ましくは2mm、最も好ましくは5mmを超えて離間すべきである。好適な実施形態には、シリンダー、U字型シリンダー、及び平坦なシート或いはサンドイッチが含まれる。生体適合性送達システムの周囲部或いは外周部(外被)は、任意で、移植された送達システムに対する局所炎症反応を低減或いは防止し、かつ/または移植された細胞や組織に対して好適な局所環境を形成或いは育成する物質を含むことができる。
ここで用いる用語「生体吸収性」は、最終的に体内に吸収される材料の能力を含む。このような吸収は、体に悪影響を与えずに行われるのが好ましい。
ここで用いる用語「形状記憶」は、予備成形された形状に戻る材料の能力を含む。
ここで図面を参照されたい。各図面において、同一の参照符号は同一の要素を示している。図3に、物体を体内に移植することができる挿入器具11が示されている。送達システム10は、ウォルソール(Walthall)らによる米国特許第4,902,295号に開示されているような細胞や組織基質、或いは薬物すなわち他の治療物質、予防物質、または他の物質を送達できる他の任意の生体材料とすることができる。送達システム10は、内側チューブ14に取り付けることができるテザー(tether)12で吊るすことができる。テザー12は、送達システム10の機能や生体適合性を損なわないようなものにすべきである。
挿入器具11は、内側チューブ14及び外側チューブ16を含む。内側チューブ14は、送達システム10を受容するキャビティ18を形成するために除去された部分を有する。内側チューブ14は、外側チューブ16内をスライドすることができる。内側チューブ14の外側先端部は、刺入する組織構造、付随する損傷の許容量、及び/または他の事項によって、鈍端、丸端、または鋭端にすることができる。
挿入器具11はハンドル13を含み、このハンドル13を握って内側チューブ14を外側チューブ16の先端部から先端方向に延出させることができる。図3に示されているように、ハンドル13が十分に握られて内側チューブ14が延出し、キャビティ18が十分に露出し、送達システム10がキャビティ18から外れている。内側チューブ14が外側チューブ16からこのように延出すると、送達システム10がテザー12で吊るされた状態になる。移植前の内側チューブ14が外側チューブ16内に収納された状態では、送達システム10が外側チューブ16によってキャビティ18内に保持されている。リップラビングシール(lip rubbing seal)などのシールを内側チューブと外側チューブとの間に配設して、挿入器具11が使用されているときに腹腔内から気体が漏れないようにすることができる。
好適な実施形態では、送達システム10は、テザー付きで、生物活性物質が封入されている。この実施形態では、送達システム10は、生物活性物質を含む膜32を備え、その膜32からテザー12或いはロッドが延出している。テザー12は、治療部位5における膜32から挿入部位2近傍の外部まで延ばすのに十分な長さを有し、細胞輸送手段の延長部とすることができる。
腹部20に、例えばベレス針(veress needle)などを用いて移植の際に気体を注入することができる。オハイオ州シンシナチに所在のエシコン・エンド−サージェリィ社(Ethicon Endo-surgery)が製造するようなトロカールを、腹部20に刺入するために用い、かつ/または挿入器具11及び/または送達システム10の輸送手段として用いることができる。
挿入器具11の先端部を様々な方法で腹部20内に挿入することができる。例えば、前記トロカールのようなカニューレ22を挿入部位2に配置する。このとき、カニューレ22内にオブチュレータを挿入して、挿入時にカニューレ22内に物質が侵入しないようにする。カニューレ/オブチュレータ組立体を挿入部位2の腹部22内に挿入したら、オブチュレータを抜き取り、カニューレ22のみを腹部20内に残す。オブチュレータが抜き取られると、カニューレ22が自由になって挿入器具11を受容することができる。挿入器具11は通常、カニューレ22の中心孔にスライド式に受容される所定の形状を有する。図5に、患者の腹部20内のカニューレ22内に挿入器具11が挿入されたトロカールが示されている。ハンドル13を用いて、外側チューブ16内の内側チューブ14を先端側に進めることができる。
別法では、挿入器具11の先端部が図3に示されているようにキャップ状の場合、挿入器具11がオブチュレータとして機能し、カニューレ22からオブチュレータを抜き取るステップ、続くカニューレ22が腹部20内に挿入された後に挿入器具11をカニューレ22内に挿入するステップを省略できる。図4に、患者の腹部20に使用できる状態の、トロカールのカニューレ22内に装着された挿入器具11が示されているが、この挿入器具は、患者の他の部位に物体を移植するためにも用いることができる。挿入器具11をオブチュレータとして用いる場合、挿入部位2に刺入する前にカニューレ22内に挿入器具11を装着することができる。この場合、トロカールと挿入器具11を同時に挿入し、挿入器具11を腹部20内に導入することができる。図5に、患者の腹部20内のカニューレ22内に挿入器具11が挿入されたトロカールが示されている。ハンドル13を用いて、外側チューブ16内の内側チューブ14を先端側に進める。
別法では、挿入器具11は、別のカニューレ22を用いずに挿入部位2内に挿入することができる。
挿入器具11の先端部を前記トロカールなどのカニューレ22を介して腹部20内に導入したら、図6に示されているようにその先端部を更にカニューレから突出させることができる。内側チューブ14が外側チューブ16から先端側に突き出る。内側チューブ14及び送達システム10の一部が外側チューブ16内にあるため、送達システム10が外側チューブ16によって内側チューブ14のキャビティ18内に保持されている。内側チューブ14を延出させる前に、腹部20内に気体を注入することができる。この気体の注入によって、内側チューブ14のキャビティ18からの送達システム10の配置を容易にすることができる。
図7に示されているように、内側チューブ14を、腹部20内で先端側に完全に延出させることができる。次いで、送達システム10を内側チューブ14から落下させる。別法では、ばねや他の配置手段を用いて内側チューブ14から押し出すことができる。流体または他の物質を内側チューブ14の潤滑剤として用いて、送達システム10の配置を容易にすることができる。送達システム10はテザー12によって吊り下げられている。送達システム10を配置したら、内側チューブ14を基端側へ実質的に戻して外側チューブ16内に収納することができる。内側チューブ14の基端側への引き戻しを一時的に止めて、内側チューブ14のキャビティ18のリップ部と外側チューブ16の先端リップとの間にテザー12が挟まれてテザー12が千切れないようにすることができる。図8に示されているように、カニューレ22と挿入器具11の組立体を腹部20の壁部を介して基端側に引き戻すことができる。
別法では、送達システム10が配置されたら、内側チューブ14を外側チューブ16内に引き戻さずに、カニューレ22と挿入器具11の組立体を腹部20の壁部を介して基端側に引張ることができる。言い換えれば、カニューレ22と挿入器具11の組立体を腹部20の壁部を介して基端側に引張るときに、内側チューブ14が完全に或いは実質的に延出した状態である。
図9に、腹部20の内壁に予備的に配置された送達システム10が示されている。送達システム10は、例えば、テザー12の基端部を基端側に引いて腹膜壁に配置することができる。テザー12が実質的にピンと張られたら、テザー12をクリップ23で所定の位置に止めることができる。別法では、テザー12は、縫合糸または当分野で周知の他の手段を用いて腹部20に他の方法で取り付けることができる。テザー12を固定したら、テザー12を内側チューブ14から切り離すことができる。任意の最終ステップとして、挿入部位2から異物が侵入しないようにキャップで挿入部位2を密閉することができる。本発明の方法の好適な形態では、テザー12を用いて送達システム10を治療部位5から回収することができる。
送達システム10は、腹部20の内部の血管組織から恩恵を受けることができる。送達システム10の血管化が起こって、送達システム10に血液が供給されたり、送達システム10内で薬物がやりとりされる。送達システム10が薬物、治療物質、及び/または予防物質を血管組織に送達することができる。組織内及び/または組織を通る物質の送達の量または割合は、無傷の生組織の画定された領域である所定領域の組織を通る化合物によって時々定量される。この領域は、一般的には約5cm2〜約100cm2、より一般的には約10cm2〜約100cm2、更に一般的には約20cm2〜約60cm2の範囲である。当業者であれば、他の範囲も可能であることを理解できよう。
図10に、挿入器具11の先端部の断面図が示されている。送達システム10が内側チューブ14内に受容されている。送達システム10は、ウォルソール(Walthall)らによる米国特許第4,902,295号に開示されているような生物学的構造、或いは有用な薬物や他の物質を含浸した弾性またはスポンジ状の生体材料26とすることができる。例えば、ポリ乳酸などの生体適合性の移植用プラスチックや、このような使用に適した任意の他の生体適合性移殖用材料から形成した基材24に軟質材料を保持させることができる。
図11に、内側チューブ14から分離してテザー12によって吊られている送達システム10が示されている。テザー12は、送達システム10が取り付けられていても自由に操作できるように、例えばボールとソケットを用いて内側チューブ14の先端部及び送達システム10の両方に取り付けることができる。テザー12はまた、当業者に周知の利用可能な他の任意の方法を用いても内側チューブ14の先端部及び送達システム10に取り付けることができる。
図12に、内側チューブ14の長軸を横断するように見た断面図が示されている。送達システム10の一実施形態では、生体材料26が内側チューブ14の外径まで延在して、生体材料26と腹部20の腹膜壁との間に平坦な接触面をなしている。
図13に、基材24が内側チューブ14の曲率に従って生体材料26が封入された代替の実施形態が示されている。基材24は、内側チューブ14の外径の弧に従っている。この基材24は更に、血管組織との接触が最大となるように十分な可撓性を維持したまま送達システム10が患者の体内に配置されたときに平坦になるように、形状記憶特性を有する生体適合性の弾性材料から形成する、またはこの弾性材料で裏打ちすることができる。パッチ移植の文脈で用いる形状記憶特性を有する弾性材料の利用可能種類及びその使用方法が、サイド(Seid)による米国特許第5,254,133号に開示されている。形状記憶特性を有する他の材料を用いることもできる。
図14に、配置された状態或いは挿入器具11内に装着される前の図13の送達システム10が示されている。基材24及び生体材料26の材料は、配置されたときに平坦な形状をとれるように十分に可撓性であるため、移植後に生体材料26が腹部20の腹膜壁に実質的に接触して生体材料26の表面と腹部20の腹膜壁との接触が最大になる。
各図面では、送達システム10は概ねロッド状である。しかしながら、送達システム10が、挿入時に患者に過度の外傷を与えない、生物活性物質または活性物質を放出する細胞の供給源を受容できるあらゆる形状をとることができることを理解されたい。本送達システム10は、好適な材料を組み合わせて様々な形状に形成できる。細胞を含む場合の送達システムに対する特定の構造を選択する際の条件には、分離した細胞または組織への酸素及び栄養物のアクセス、及び廃棄代謝産物、毒、及び送達システムから分泌される産物の経路が含まれ得る。本送達システム10は、分離した細胞の生存及び機能を維持するために、血流を含むレシピエントの周囲組織に対して、少なくとも一方向において、コアにおけるあらゆる分離した細胞を十分に近づけることができる。通常は、送達システム10は、少なくとも一方向における最大厚み(表面から最下部までの距離)が5mm以下であり、500μmの最大厚みが好ましい。本発明の範囲から逸脱することなく、他の厚みを用いることもできる。レシピエントが所望の効果を得られるように、1または複数の送達システム10が必要な場合がある。移殖用送達システム10の複数の代替の実施形態が図示されている。しかしながら、本発明の範囲内に含まれる移殖用送達システム10の図示されていない他の実施形態も可能であることを理解されたい。
一実施形態では、本発明の移殖用送達システム10は、移植後に完全に回収できる大きさ及び耐久性を有する。通常は1μlのオーダーの最大実用容量を有する回収可能なマイクロカプセルに対して、本発明の好適な送達システム10は「マクロカプセル」と呼ぶことにする。このようなマクロカプセルは、好適な最大容量が約1μl〜10μlのコアを有することができるが、使用目的によっては100μlを超えるようにも容易に形成できる。本発明の範囲から逸脱することなく他の容量にすることも可能である。
図13−図16に更なる詳細が示されている送達システム10は、好ましくは生物活性物質を産生する細胞である分泌細胞で満たされた生体材料26を含む。一実施形態では、送達システム10は更に、生体材料26を取り囲む透過性、半透過性、または選択透過性の膜を含む。テザー12は通常は、不透過性膜材料から形成したり、テザーを不透過性にする材料でコーティングすることができる。一実施形態では、不透過性保護障壁材料で生体材料26の外膜の一部をコーティングすることができる。保護障壁材料の例として、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、シリコン、ヒドロゲル、及びこれらの誘導体や混合物を挙げることができる。半透過性膜32が生体材料26を受容する代替の形状を有することができることを理解されたい。別法では、送達システムは、あらゆる追加の基材及び/または膜を必要としない実質的に固体構造の生体材料を含むことができる。但し、このような生体材料は、患者の組織と接触し続ける十分な形態を維持するように十分な剛性及び強度を有しなければならない。
生体材料層26と共にオプションの支持構造24が、薬物送達のための組織の成長及び血管新生を促進する3次元構造を形成する。支持構造24及びオプションのあらゆる膜層が、一層または多層の生体適合性材料から構成されることに留意されたい。このような生体適合性材料として、限定するものではないが、ヒドロゲル、ポリ(2‐ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリアクリロニトリル‐ポリ塩化ビニル(PAN‐PVC)、ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル(Dacron)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アクリルコポリマー、ポリスルホン、ナイロン、ポリ二フッ化ビニル、ポリ無水物、シリコーン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、セルロース混合エステル、コラーゲン、フィブリン、ポリ(L‐リシン)、ポリ(L‐乳酸)、ヒドロキシエチルメタクリレート、タンパク質ポリマー、ペプチドポリマー、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、ジルコニア、炭素繊維、アルミニウム、リン酸カルシウム、チタン、チタン合金、ニチノール、ステンレス鋼、及びCoCr合金を挙げることができる。
外膜は、ポリマー材料とすることができ、界面活性剤、抗炎症剤、血管形成因子、及び/または抗酸化剤を含むことができる。ポリマー、界面活性剤、または他の添加剤の種類は、封入する材料及び射出装置の構造によって異なる。抗炎症剤の例として、限定するものではないが、コルチゾン及びACTHなどのコルチコイド、デキサメタゾン、コルチゾル、インターロイキン‐1及びその受容体拮抗薬、TGF‐βの抗体、インターロイキン‐1(IL‐1)の抗体、インターフェロン‐γの抗体を挙げることができる。界面活性剤の例として、限定するものではないが、シグマ・ケミカルズ(Sigma Chemicals)のTriton‐X100、及びPluronics P65、P32、及びP18を挙げることができる。抗酸化剤の例として、限定するものではないが、ビタミンC(アスコルビン酸)及びビタミンEを挙げることができる。血管形成因子の例として、限定するものではないが、線維芽細胞成長因子及び神経成長因子を挙げることができる。
オプションの膜は、薬物送達を更に最適にするために特定の物質を添加して改変することができる。このような物質には、相互接続多孔構造における健常な血管組織を促進及び維持すると共に内部孔構造内への基質タンパク質、フィブリン、またはコラーゲンの沈積を最小限にするポリエチレンオキシド(PEO)、ヘパリン、アルブミン、組織成長因子、血管成長因子、及び他の間質組織基質物質、抗炎症剤、及び拒絶反応抑制剤が含まれる。
このような膜に用いることができる血管成長因子の例として、限定するものではないが、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)(ヘパリン結合成長因子‐II及び線維芽細胞成長因子‐IIとしても知られている)、酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)(ヘパリン結合成長因子‐I及び線維芽細胞成長因子‐Iとしても知られている)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来内皮細胞成長因子BB(PDEGF‐BB)、血管新生因子‐1(Angiopoietin-1)、形質転換成長因子‐β(TGF‐β)、形質転換成長因子‐α(TGF‐α)、肝細胞成長因子、腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)、アンジオジェニン、インターロイキン‐8(IL‐8)、低酸素誘導因子‐I(HIF‐1)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターキナプリラット(Quinaprilat)、アンギオトロピン(Angiotropin)、トロンボスポンジン、ペプチドKGHK、低酸素分圧(Low Oxygen Tension)、乳酸、インスリン、及び成長ホルモンを挙げることができる。生体材料構造の外膜内に位置する細胞外基質(ECM)タンパク質が、細胞の支持、細胞の極性、細胞の向きの信号、及び細胞接着の部位を提供し、血管組織内植及び血管形成を促進する。
例えばこのような因子の分泌細胞などの活性物質の供給源が使用済みとなった場合、送達システム10を取り出して交換することができる。移植した送達システム10の回収は、テザー12を引張って治療部位5から抜き取ることができる。ある方法では、キャップを取り外してテザー12を露出させてから、一対の鉗子を用いて送達システム10を取り出す。別の回収装置及び/または方法を用いることもできる。キャップは、患者の上皮組織のすぐ下に配置できる。送達システム10は、別の治療が必要になった場合に新規のインサートと交換することができる。送達システム10内に封入された細胞は、生物活性物質の産生を終了した場合、期限が来た場合、または所定の機能障害を改善及び/または予防する必要がなくなった場合にも回収することができる。
送達システム10の透過部分(例えば、膜)を標的治療部位5またはその近傍に移植し、不透過部分が活性物質をインサートの境界内に制限する。透過部分は、ある分子の通過を妨げるが他の物質を通過させる(すなわち、特定の分子量遮断を有する)所定の大きさの孔を有するポリマー材料を含むことができる。こうした場合、所望の成分は送達システム10から治療部位へ拡散することができるが、ウイルスや様々なプロテアーゼなどの有害物は通過することができない。例えば、約50kD〜約300kDを除く分子量の孔を有する送達システムは有用である。特に、約25kD〜約200kDの分子量の分子を遮断する孔を有するのが好ましい。本発明の範囲から逸脱することなく、他の孔構造及び/または寸法も可能である。
送達システム10は、所望の大きさの孔を有するあらゆる生体適合性材料から形成することができ、内部に含められた物質の活性を制限しない材料から形成される。限定するものではないがヒドロゲル(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ無水物、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドン)などの親水性基質や、エチレン酢酸ビニルなどの疎水性基質が特に有用である。一実施形態では、本発明の移殖用送達システムは、移植後の完全な回収に適した十分な大きさ及び耐久性を有している。
送達システム10は、患者の欠乏を満たす或いは機能障害を治療するあらゆる生物学的な活性物質を供給することができる。別法では、送達システムは、活性物質の活性な類似体、断片、または誘導体を供給することができ、かつ/またはプロセシング後に好適なインビボ位置に因子などの同様の活性を与える前駆体を含むことができる。送達システム10は更に、因子の作動薬を含むことができる。含めることができる他の物質の例として、インスリン、因子VIII、エリスロポエチン及び成長ホルモンなどの栄養因子、リンパ球及びサイトカインなどの生体応答調節因子、酵素、及び抗体分泌細胞からの抗体を挙げることができる。加えて、カプセルは、複数の細胞型及び細胞、組織、及び/または他の好適な物質を含むことができる。
送達システム10の例示的な形態は、注型用のポリマー溶液と生体材料溶液の共有押出し成形によって製造される平滑で継目の無い送達システム10である。この方法では、多孔押出しノズルを用いて、外部孔からポリマー溶液を押出し、内部孔から活性物質を同時押出しする。活性物質(または上記した種類の組織の細胞)に加えて、活性物質はウシ胎児血清、ウマ血清、またはブタ血清などの栄養物を含むことができる。
患者の疾患に対して治療効果のある生物活性物質を分泌するあらゆる細胞を本発明の送達システム内に含めることができる。これに加えて或いは別法では、患者の疾患に対して予防効果のある生物活性物質を分泌する細胞を含めることができる。細胞の増殖、分化、及び/または因子分泌を刺激する能力のある様々な「成長因子」を、活性物質を分泌する細胞と共に同時に移植して、所望の物質または因子を治療部位に確実に送達することができる。このような成長因子は、細胞の種類に特異的であったり、または多数の異なった組織に対して同様の効果を有していたりする。ニューロンなどの神経伝達物質産生細胞の場合、成長因子が神経伝達物質産生を維持して細胞の維持及び成長を促進することができる。或いは、成長因子が神経細胞を分化した状態に維持することができる。有用な細胞成長因子には、神経成長因子(NGF)、アレイ状の線維芽細胞成長因子(FBF)、血小板由来成長因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、上皮成長因子(EGF)、及び毛様体成長因子が含まれる。加えて、グルタミン酸塩やニコチンなどの様々な膜受容体のエフェクターも有用である。
更に、所望の活性物質、成長因子、及び/またはそれらの栄養物、前駆体、誘導体、類似体、またはそれらの断片、または同様のエフェクター活性を有する他の活性物質を発現するように遺伝子組換えされたあらゆる細胞も本発明の実施に有用である。従って、このような方法では、活性物質、またはその類似体や前駆体をコードする遺伝子を細胞株から単離したり、或いはDNA操作により作製することができる。次いで、遺伝子を、発現させるためにプラスミドに組み込み、線維芽細胞などの細胞内に形質移入することができる(例えば、クローニング送達システム及び遺伝子操作法の更なる説明のために言及して本明細書の一部とする「モレキュラー・クローニナ(Molecular Clonina)」(サンブルック(Sambrook)ら著、1989年)を参照されたい)。生物活性物質または因子を発現する細胞は、好適な密度に達するまでインビトロで増殖させることができる。
図15は、生体材料26がレザバー29内の物質28に近接している送達システム10の代替の実施形態の断面図である。図15では、活性物質分泌細胞を含むポリマーレザバー送達システム10がテザー12に取り付けられている。物質28は、例えば、送達システム10内の細胞が送達システム10の血管新生が始まるまで生存できるように栄養分に富んだ材料とすることができる。栄養分に富む材料は、例えば、ウシ胎児血清、ウマ血清、またはブタ血清、または本目的に適した他の好適な材料とすることができる。物質28に近接した開口30により、物質28が生体材料26に接触することができる。別法では、物質28は、任意の好適な目的を果たす栄養物が豊富でない材料とすることができる。
図16に、図15の実施形態の内側チューブ14の長軸を横断するように見た断面図が示されている。図16の実施形態では、テザー12は、レザバー29の補充に用いることができるチューブとすることができる。レザバー29は、注入などの他の方法によっても補充することができる。移植後に、テザー12にキャップを付けて腹膜と体の外部を分離することができる。
好適な一実施形態では、使用する送達システム10は、液体及び細胞のコアを備えた熱可塑性PAN/PVCカプセルとすることができる。このカプセルは、25μmを越える壁部の厚みを有するが、25μm以下の厚みにすることもできる。コアは、ヒドロゲル基質などを含むこともできる。ヒドロゲル基質は、共有結合またはイオンによって架橋結合した市販の親水性ポリマーの3次元ネットワークとすることができる。熱可塑性カプセルは、中空糸を形成してから細胞で満たして塞ぎヒートシールすることを含め、任意の方法で製造することができる。別法では、カプセルは、多腔スピナレットを用いた共有押出しで形成することもできる。
生体適合性送達システム10のコア内の生物活性物質が細胞を含む場合、コアは、内部に隔離された細胞の生存及びその機能を持続させるために好適な局所環境を提供するように構成するのが好ましい。本送達システム10を用いて、十分に分化した足場依存性細胞或いは一時組織から、分化が不十分な胎児または新生児の組織、更に足場依存性形質転換細胞または細胞系までの様々な細胞や組織を封入することができる。特段の記載がない限り、用語「細胞」は、限定するものではないが、組織内に保持された細胞、細胞集合、及び個々に分離された細胞を含め、あらゆる形態の細胞を指す。
移植された送達システム10及びその内容物は、生体内で3ヶ月以上、場合によっては1年以上も機能を維持することができる。加えて、本発明の送達システム10は、1つまたは少数(10個未満)の回収が容易な移殖された送達システムから全治療用量及び/または全予防用量の物質を送達するのに十分な大きさを有するように形成することができる。
送達システム10のコアは、内部に隔離される特定の細胞に好適な局所環境を提供するように形成することができる。ある実施形態では、コアは、細胞を維持するのに十分な液体培地を含む。液体コアは、形質転換細胞を維持するのに特に適している。別の実施形態では、コアは、細胞を分散及び固定して高密度の細胞凝集の形成を抑制するゲル基質を含む。ゲル基質は、限定するものではないが、ヒドロゲルまたは細胞外基質成分から生成することができる。
コアは、細胞集塊における細胞の位置を安定させることができるヒドロゲルによって形成された基質から構成するのが適している。ここで用いる用語「ヒドロゲル」は、架橋結合した親水性ポリマーの3次元ネットワークを指す。このネットワークは、実質的に水からなるゲルの形態にすることができる。ゲルは、限定するものではないが、その90%超が水であるのが好ましい。架橋結合したヒドロゲルは、相当な剪断応力が加えられなければ流動または変形しないため固体と見なすことができる。
ヒドロゲルを構成する組成物は、用途によって3つのクラスに分類することができる。第1のクラスは、負の正味電荷を有し、アルギン酸塩が代表例である。第2のクラスは、正の正味電荷を有し、コラーゲンやラミニンなどの細胞外基質成分が代表例である。市販の細胞外基質の例として、マトリゲル(Matrigel)及びビトロゲン(Vitrogen)を挙げることができる。第3のクラスは、中性の正味電荷を有する。正味中性ヒドロゲルの例として、高度に架橋結合したポリエチレンオキシドまたはポリビニルアルコールを挙げることができる。
ヒドロゲル基質からなるコアは、ランゲルハンス島の細胞や副腎クロム親和細胞などの凝塊を形成する或いは凝集し易い細胞または組織を維持するのに特に適している。この基質は、その中の細胞の拡散を維持するのに十分な粘度を有することができる。場合によっては、本送達システムのコアは、分離した細胞の機能を支援または促進する物質を含むことができる。このような物質として、天然及び/または合成の栄養物供給源、細胞外基質(ECM)成分、成長因子または成長調節因子、及び/またはヘモグロビンやフルオロカーボンなどのO2担体または補助細胞またはフィーダー細胞の集団を含むことができる。
加えて、フィーダー細胞または補助細胞の集団は、送達システム内に共に隔離できる。例えば、肝細胞は、内皮補助細胞と共に隔離することができる。
本送達システム及び方法に対する他の実施形態や付加が可能である。その一部を以下に示す。
送達システム10は、移植後に送達システム10の非侵襲的な局在を可能にするマーカーを含むことができる。対比物質を送達システム10内に含めてマーカーを形成することができる。対比物質の例として、ガドリニウム、放射線不透過物質、または微粒気泡を挙げることができる。それぞれの送達システム10の対比物質を変えて、各送達システム10を識別して送達システム10の製造番号や種類を確認することができる。従って、送達システム10を、それぞれが含む薬物または細胞、製造時期、使用目的、または他の理由によって所望に分類することができる。
送達システム10が細胞や組織基質から構成される場合、構成成分である細胞は同種または異種とすることができる。一実施形態では、細胞は、例えば幹細胞や他の多能性細胞などの前駆細胞である。
挿入器具11は、外側チューブとしてトロカールのカニューレ22を用いる場合、外側チューブ16を含まず内側チューブ14のみから構成することができる。
一般に、活性物質を送達するために活性物質送達システム10を移植する方法または他の配置方法は当分野で周知である。一般に、活性物質送達システム10の配置は、当分野で周知の方法及び器具を用いて行うことができ、患者に少なくとも局所麻酔または全身麻酔をして無菌状態で実施する。活性物質送達システム10の回収及び/または再配置はまた、入手が容易な器具及び方法を用いて実施することができる。
本発明の一実施形態では、挿入器具11を使用しないで、送達システム10を腹部20または他の好適な部位に挿入することができる。単なる例では、好適な方法及び/または装置を用いて挿入部位2に開口を形成することができる。次いで、送達システム10を手で、或いは任意の好適な装置を用いて単純に挿入することができる。図1に、挿入器具11や他の器具が用いられていない、腹部20内の送達システム10が例示されている。
図2に示されているように、送達システム10は、図3に示されている挿入器具11を用いずにカニューレ22を介して挿入することができる。本発明の方法の一形態では、送達システム10を挿入する前に、カニューレ22の中心孔を滅菌生理食塩水などの生物学的に適した溶液で満たす。次いで送達システム10をカニューレ22内に挿入する。溶液が潤滑材の役割を果たして、この担体をカニューレ22の先端部に確実に送ることができる。この実施形態では、図3に示されている挿入器具11を使用しない。送達システム10をカニューレ22内に挿入したら、カニューレ22の先端部に送達システム10を配置するのを補助するためにガイドを挿入することができる。ガイドは、カニューレ22内に初めに配置したのと同じオブチュレータ、別のオブチュレータ、またはガイドワイヤなどとすることができる。ガイドをカニューレ22内の送達システム10の上部に配置し、送達システム10をゆっくりとカニューレ22の先端部に押し下げることができる。最後に、カニューレ22を治療部位5から取り外す。送達システム10を配置するために前のステップでガイドや他の器具を用いた場合は、通常はカニューレ22に加えてそのような器具も取り外す。オブチュレータと同様に、カニューレ22は、カニューレ22のマウントを用いて或いは手で取り外すことができる。最終的に、送達システム10を治療部位5に配置することができる。
上記した本発明の方法を実施するのに有用な本発明の装置は、カニューレ22、少なくとも1つのオブチュレータ、及び生物学的送達システム10を含むことができる。これらはそれぞれ、上記したものと実質的に同じである。生体適合性送達システム10にテザー12を含めても、送達の機能やその生体適合性を維持すべきである。テザー12を含む例示的な送達システム10の全長は約2cm〜10cmとすることができる。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく他の長さを用いることもできる。
送達システム10は、腹膜以外の血管組織に取り付けることもできる。例えば、送達システム10は網に移植することもできる。このように送達システムを取り付ける場合は、送達システム10が腹腔内に入ったら、テザー12で送達システム10を吊り下げることができる。送達システム10を網に取り付け、次いでテザー12を取り外してもよいし、取り外さないで体外からのポートにすることもできる。
テザー12は、移植の際に形成した突刺通路に近接した組織が脱出しないようにするコラーゲンプラグや類似の手段を含むこともできる。経皮孔をコラーゲンプラグで閉じる予防システムは、ケンセイ(Kensey)らによる米国特許出願第5,531,759号に開示されている。
ここで用いるように、テザー12は、取り付ける組織と送達システム10の柔軟な連結部材として用いることができる。基材に送達システム10を取り付けるための柔軟なテザー12は、2つの重要な要求、すなわち(1)生体材料26の活性物質エフェクター分子が働くようにするために送達システム10を固定し、送達システム10を血管組織に引き付けること、(2)固定に用いる材料の生体適合性を満たすことができる。
テザー12として用いることができる水溶性の生体適合性ポリマーの例として、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、及びポリアクリルアミドなどの合成ポリマーや、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、カルボキシメチルセルロース、及びデンプンなどの天然ポリマーなどのポリマーを挙げることができる。
テザー12の長さは、使用するテザー12の機械的強度と、取り付ける生体材料26の所望の安定性とによって決めることができる。例えば、強いテザー12は弱いテザーよりも長くできるであろう。また、損壊するまでのテザー12の半減期が所望となるようにテザー12の長さ及び強度を一致させ、生体材料作用である半減期を調節するのが望ましい。テザー12の最小長さは、テザー12の特性によって異なる。レザー12が柔軟であれば、テザー12の長さを比較的短くしても十分に機能するが、テザー12がより硬質であれば、生体材料26と組織を効果的に接続するにはテザー12をより長くする必要がある。
テザー12は、限定するものではないが5mm〜500mmの範囲の任意の長さを有することができる。この好適な範囲内において、下限が1mm、2mm、10mm、15mm、25mm、30mm、50mm、及び100mmの長さ範囲が有用な特性を有することができる。本発明の範囲から逸脱することなく、他の長さのテザー12を用いることもできる。
一実施形態では、送達システム10は、一方の表面に生体材料26を備えた基材24を含む。基材24は、限定するものではないが、繊維、織物繊維、成形ポリマー、粒子、シート、スポンジ、または膜を含め、あらゆる有用な形態とすることができる。
活性物質を適用するのが好ましい基材24には2つの基本的な種類がある。その1つのクラスには、限定するものではないが、ポリスチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ガラス、ポリシリケート、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、及びステンレス鋼合金などの生体分解性でない生体適合性材料が含まれる。もう1つのクラスには、限定するものではないが、ポリ無水物、ポリグルコール酸、ポリヒドロキシ酸(ポリ乳酸、ポリグルコール酸、及びポリ乳酸‐ポリグルコール酸コポリマーなど)、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレート、ポリホスファゼン、ポリプロピルフメレート(polypropylfumerate)、及び生体分解性ポリウレタンや、コラーゲン及びポリアミノ酸などのタンパク質や、グリコサミノグリカン、アルギン酸塩、及びカラゲナンなどの多糖や、骨粉またはヒドロキシアパタイト、及びこれらの組合せなどの生体適合性の生体分解性材料が含まれる。
基材24の生体分解性を利用して、活性物質が成長を刺激する期間を調節したり、移植した基材24を新しい組織に置換することができる。この目的のために、活性物質が設けられた基材24を、新しい組織を形成する足場と見なすことができる。従って、組織置換が進むにつれて分解性足場が分解していく。活性物質は、基材26から放出されると、標的細胞に取り込まれる或いは標的細胞から拡散する。このような計画的な分解は、組織の成長速度を制限でき、かつ組織足場を除去する必要がないため、組織置換の刺激に使用する移植される組成物に特に有用である。体内に移植する場合、好適な分解期間は、通常は1年未満であり、より一般的には数週間〜数ヶ月間の範囲である。本発明の範囲から逸脱することなく他の分解期間にすることも可能である。
ある実施形態では、細胞外膜成分、基底膜成分、寒天、アガロース、ゼラチン、アラビアゴム、I型、II型、III型、IV型、及びV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、グリコサミノグリカン、これらの混合物、及び細胞培養の分野の技術者に周知の他の材料などの化合物で基材24をコーティングして基材24への細胞の付着を促進することができる。
テザー12及び/または基材24は、限定するものではないが、トーマラ(Tormala)らによる米国特許第6,406,498号に開示されている材料などの生体吸収性材料から形成することができる。一実施形態では、受動的徐放活性物質薬物送達システムは、ポリマー及び活性物質を含む基質を含む。活性物質は、基質の質量に対して少なくとも約5wt%の濃度であるのが好ましい。本発明から逸脱することなく他の濃度にすることも可能である。別の実施形態では、基質は更に透過促進剤を含む。
別の実施形態では、活性物質送達システムは、組織に付着させるのに適した、レザバーを含む基質を有するパッチを含む。別の実施形態では、パッチは、(a)不透過性の基材層、(b)中空スペースを有する活性物質層材料、(c)微小孔または半透過性の膜を有する上面を含む。更に、パッチは、組織に付着させるために接着層を上面に備えることができる。レザバーは、カバー層と膜との間に中空スペースを設けて形成することができる。一般に、膜は不活性ポリマーを含む。レザバーは、開放気孔フォーム、閉鎖気孔フォーム、繊維層、または織物層を含むことができる。場合によっては、基質は自動接着性である。微小孔または半透過性の膜は、例えばポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、またはシリコーンなどの不活性ポリマーから形成することができる。
別の実施形態では、受動的活性物質薬物送達システムは、(a)不透過性基材層、(b)活性物質を含む基質層、及びオプションの透過促進剤及び基質ポリマーを含む。活性物質を含む基質層における活性物質は、プロドラッグ型または活性型の少なくとも1種類の活性物質を含む。
また、ここに記載する徐放システムを患者の組織に接触させるステップを含む、治療が必要な患者に対する活性型またはプロドラッグ型の活性物質の受動的徐放投与の方法も提供する。
活性物質の送達
本発明は、薬物及び他の生物活性物質を含む化合物を、例えば1層または複数層の動物の上皮組織や内皮組織などの組織内及びその組織を通過して移送するのに有効な組成物及び方法を提供する。この方法では、目的の化合物を含む活性物質送達システム10を組織に接触させる。この方法及び組成物は、薬物及び他の生物学的に活性な分子の送達、並びに撮像用分子及び診断用分子の送達に有用である。本発明の方法及び組成物は、生物学的効果を得るために上皮及び内皮を介して移送する必要がある、それ自体が生物学的活性を殆ど或いは全く示さない化合物の送達に特に有用であろう。
本発明の送達システム10及び方法は、目的の化合物の組織への送達において、従来から利用できる方法に比べて大きな利点を提供する。本発明の組成物及び方法は、ヒト及び家畜の治療の分野において特に有用であろう。一般に、投与量は、ピコモルまたはμモル濃度の治療用組成物をエフェクター部位に送達するのに有効な量とすることができる。好適な用量及び濃度は、当分野で周知の方法に従って経験的に導出できる治療用組成物すなわち薬物、送達すべき部位、及び投与の経路によって異なる。更に、当分野で周知の実験動物モデルを用いた用量の評価を手本にすることができる。
本発明の化合物は、必要に応じて好適な医薬品添加物と共に任意の許容される投与方式で投与することができる。好適な投与部位には、限定するものではないが腹膜及び網が含まれる。製剤は、例えば、タブレット、ピル、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、乳濁液、座剤、保持浣腸(retention enemas)、クリーム、軟膏、ローション、またはエアロゾルなどの固体剤形、半固体剤形、凍結乾燥粉末剤形、または液体剤形の形態をとることができ、正確な用量で単純に投与できる単位剤形とするのが好ましい。
活性物質は、経粘膜/経上皮送達に適合した生体材料内のあらゆる様々な製剤に含めることができる。但し、このような製剤は、安定でなければならない(すなわち、体温で分解する量が許容範囲内)。製剤における活性成分の濃度は、約0.1wt%〜約80wt%の範囲とすることができ、100wt%にすることもできる。活性物質は、制御された薬物送達システムによる保持や、拡散のための放出に適した任意の形態、例えば、固体、半固体、ゲル、液体、懸濁液、乳濁液、浸透圧剤形、拡散剤形、及び浸食剤形などにすることができる。
組成物は、従来の薬学的担体または賦形剤を含むことができ、更に他の薬剤、担体、及びアジュバントを含むことができる。組成物は、本発明の化合物の約5wt%〜95wt%を占め、残りの成分は好適な薬学的賦形剤である。本発明から逸脱することなく、他の組成物も可能である。好適な賦形剤は、当分野で周知の方法で、特定の組成物及び投与経路に特別に適合させることができる。
ある実施形態では、組成物は、例えば、ラクトース、スクロース、及びリン酸二カルシウムなどの希釈剤、デンプンまたはその誘導体などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース、及びそれらの誘導体などの結合剤を含むことができる。
投与する組成物は、所望に応じて、湿潤剤または乳化剤などの非毒性補助物質や、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、またはオレイン酸トリエタノールアミンなどのpH緩衝剤を少量含むことができる。
このような剤形を製造する方法は、当業者には明らかであり周知である。例えば、前出のレミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Science)や同様の文献を参照されたい。いずれにしても、投与する組成物は、本発明の開示に従って投与される場合は、治療する症状を緩和するのに薬学的に有効な量のプロドラッグ及び/または活性成分を含むことができる。
一般に、本発明の化合物は、治療する症状及び患者によって大きく異なる治療効果のある量すなわち治療効果が十分にある用量を投与する。限定するものではないが、治療効果のある量は、1日の体重1kg当たりの薬物の量が0.1mg/kg〜100mg/kgの範囲とすることができる。様々な症状が、1日の体重1kg当たりの薬物の量が約1mg/kg〜約30mg/kg、すなわち体重が70kgの患者の場合は1日当たり約70mg〜2100mgの範囲の合計投与量に応答するであろう。他の用量も、本発明から逸脱することなく可能である。
本発明の送達システム10は、生物活性物質及び診断物質を患者の体内の血管組織内に送達することが可能である。長期に亘る持続的な方法で活性物質を送達するこの能力は、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗増殖薬、免疫抑制薬、ビタミン、鎮痛薬、及びホルモンなどの化合物の効果を大幅に促進することができる。
一般に、本発明に従った活性な化合物の投与により、数時間(例えば、2時間、12時間、または24時間〜48時間またはそれ以上)、数日(例えば、2日〜5日またはそれ以上)、数ヶ月、または数年に亘って持続的に放出することができる。一般に、送達は、約1ヶ月〜約12ヶ月またはそれ以上の期間に亘って続けることができる。活性な化合物は、例えば、約2時間〜約72時間、約4時間〜約36時間、約12時間〜約24時間、約2日〜約30日、約5日〜約20日、約7日またはそれ以上から、約10日またはそれ以上から、約100日またはそれ以上から、約1週間〜約4週間、約1ヶ月〜約24ヶ月、約2ヶ月〜約12ヶ月、約3ヶ月〜約9ヶ月、約1ヶ月またはそれ以上から、約2ヶ月またはそれ以上から、約6ヶ月またはそれ以上から、または他の期間に亘って患者に投与することができ、必要に応じてこれらの範囲内で増分期間を設けることもできる。
細胞毒及び免疫抑制薬は、本発明の送達システム10が有用な別の薬物のクラスを構成することができる。このような物質は、乾癬などの過剰増殖疾患や、水疱症及び白血球破砕性血管炎などの免疫疾患に一般的に用いられている。このような化合物の例として、限定するものではないが、メトトレキセート、アザチオプリン、フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素、6‐チオクアニン(6-thioquanine)、ミコフェノラート(mycophenolate)、クロラムブシル、ビニクリスチン(vinicristine)、ビンブラスリン(vinblasrine)、及びダクチノマイシンを挙げることができる。他の例として、シクロフォスファミド、塩酸メクロレタミン、カルムスチン、タキソール、タクロリムス、及びビンブラスチンなどのアルキル化剤を挙げることができ、ダプソン及びスルファサラジンと同様に有用な生物学的物質である。サイクロスポリン、FK506(タクロリムス)、及びラパマイシン(例えば、米国特許第5,912,253号)などのアスコマイシン(Ascomycins)及びそのような化合物の類似体は特に興味深い(例えば、「カレント・ファーマスーティカル・デザイン(Current Pharm. Design)」(モリンソン(Mollinson)ら著、4(5):367‐380、1998年)、米国特許第5,612,350号、同第5,599,927号、同第5,604,294号、同第5,990,131号、同第5,561,140号、同第5,859,031号、同第5,925,649号、同第5,994,299号、同第6,004,973号、及び同第5,508,397号)。サイクロスポリンは、サイクロスポリンA、B、C、D、G、及びMを含む。例えば、米国特許第6,007,840号及び同第6,004,973号を参照されたい。本発明の別の態様は、特に癌細胞の増殖を抑制するのに有用なタキサン抗癌剤及びタキソイド(taxoid)抗癌剤の送達を含む。
送達システム10は、紅斑性狼瘡(円板状と全身性の両方)、皮膚筋炎、晩発性皮膚ポルフィリン症、及び多形日光疹などの症状の治療に有用であろう。このような症状の治療に有用な物質として、例えば、キニーネ、クロロキン、水酸化クロロキン、及びキナクリンを挙げることができる。
本発明の送達システム10は、抗感染症薬の経皮送達にも有用である。例えば、抗菌薬、抗真菌薬、及び抗ウイルス薬を送達システム10と共に用いることができる。抗菌薬は、アクネ及び皮膚感染などの症状の治療に有用であろう。抗真菌薬は、躯幹白癬、足白癬、爪真菌症、カンジダ症、及びなまずなどの治療に用いることができる。抗真菌薬の例として、限定するものではないが、イトラコナゾール、マイコナゾール(myconazole)、及びフルコナゾールなどのアゾール抗真菌薬を挙げることができる。抗ウイルス薬の例として、限定するものではないがアシクロビル、ファムシクロビル(famciclovir)、及びバラシクロビル(valacyclovir)を挙げることができる。このような物質は、例えばヘルペスなどのウイルス疾患の治療に有用であろう。
本発明の送達システム10に適した生物活性物質の別の例として抗ヒスタミン薬がある。このような物質は、じんま疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾癬、及びその他多数の疾患による掻痒などの症状の治療に有用である。このような薬物の例として、例えば、テルフェナジン、アステミゾール、ロロタジン(lorotadine)、セチリジン、アクリバスチン(acrivastine)、テメラスチン(temelastine)、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、及びニザチジンなどを挙げることができる。3環系抗うつ薬も、本発明の送達システム10を用いて送達することができる。
鎮痛薬及び局所麻酔薬は、本発明の送達システム10が治療を促進できる別のクラスの化合物を構成する。例えば、リドカイン、ブピバカイン、ノボカイン、プロカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、コカイン、及びオピエートなどを本発明の送達システム10と共に用いることができる。
一実施形態では、活性物質製剤は、限定するものではないが、血管形成因子、成長因子、カルシウムチャネル遮断薬、降圧薬、強心薬、抗動脈硬化薬(antiatherogenic agents)、凝固阻止薬、β‐遮断薬、抗不整脈薬、抗炎症薬、交感神経様作動薬、ホスホジエステラーゼインヒビター、利尿薬、血管拡張薬、血栓溶解薬、強心配糖体、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗原虫薬、抗腫瘍薬、及びステロイドを含む心臓病薬を含む。
用語「抗不整脈薬」は、心内の電気的インパルスの速度、リズム、または伝導の異常を治療するために用いるあらゆる薬物を指す。用語「血管形成物質(或いは血管形成因子)」は、新しい血管の成長を促進するあらゆる化合物を指す。血管形成因子として、限定するものではないが、例えば、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)及び酸性線維芽細胞成長因子(例えば、FGF‐1、FGF‐2、FGF‐3、FGF‐4、組換えヒトFGF(米国特許第5,604,293号))などの線維芽細胞成長因子、限定するものではないがVEGF‐1、VEGF‐2、VEGF‐D(米国特許第6,235,713号)を含む血管内皮細胞成長因子(VEGF)、形質転換成長因子‐α、形質転換成長因子‐β、血小板由来成長因子、内皮分裂促進因子、血小板活性化因子、腫瘍壊死因子‐α、アンジオジェニン、限定するものではないがPGE1及びPGE2を含むプロスタグランジン、胎盤成長因子、GCSF(顆粒球コロニー刺激因子)、HGF(肝細胞成長因子)、IL‐8、血管透過性因子、上皮成長因子、サブスタンスP、ブラジキニン、アンジオジェニン、アンギオテンシンII、プロリフェリン(proliferin)、インスリン様成長因子‐1、ニコチンアミド、一酸化窒素シンターゼの刺激物質、及び限定するものではないがエストラジオール(E2)、エストリオール(E3)、及びエストラジオール‐17βを含むエストロゲンを挙げることができる。血管形成因子として、上記した血管形成因子のあらゆる誘導体及び機能的類似体を挙げることができる。誘導体には、天然すなわち野生のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチド血管形成因子を含む。このアミノ酸配列は、保存的なアミノ酸の変異(例えば、セリン/トレオニン、アスパラギン/グルタミン、アラニン/バリン、ロイシン/イソロイシン、フェニルアラニン/トリプトファン、リシン/アルギニン、アスパラギン酸/グルタミン酸の置換)、切断、挿入、及び欠失などを含み、血管形成因子に実質的に悪影響を与えずに血管形成因子の血管形成特性を増進できる。血管形成因子は、PEG修飾、アシル化、アセチル化、及びグリコシル化などによって修飾された因子を含む。血管形成因子は、ポリペプチド血管形成因子をコードするポリヌクレオチドを含むこともできる。このようなポリヌクレオチドは、裸の(そのままの)ポリヌクレオチドでも良いし、或いはアデノウイルス、アデノ関連ウイルス、またはレンチウイルス系などのウイルスベクター系などのベクター内に組み入れても良い。
特に、赤痢菌、サルモネラ菌、及びエルシニアなどの侵略的細菌に作用する抗生物質は、本発明の送達システム10と共に用いると有用な生物活性物質の1つである。このような化合物として、例えば、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、トリメトプリム、及びスルファメチルチアゾールなどを挙げることができる。
抗腫瘍薬も、本発明の送達システム10で送達することができる。抗腫瘍薬の例として、例えば、シスプラチン、メトトレキセート、タキソール、フルオロウラシル、メルカプトプリン、ドノルビシン(donorubicin)、及びブレオマイシンを挙げることができる。
送達システム10は、血液脳関門を通過して生物活性物質及び診断用物質を送達するのにも有用である。このような物質は、虚血の治療(例えば、抗アポトーシス薬を用いた)、並びに分裂病、パーキンソン病、及び痛みなどの様々な症状の治療のために神経伝達物質及び他の物質(例えば、モルヒネ、オピエート)の送達に有用であろう。5‐ヒドロキシトリプタミン受容体拮抗薬は、偏頭痛や不安などの症状を治療するのに有用である。
送達システム10は、持続された或いは制御された送達及び/または放出による生物活性物質の送達にも有用であり、患者に満腹感を誘導する或いは促進することができる。一般に、満腹感を誘導するには、活性物質は、栄養物及び薬物からなる群から選択される。栄養物は通常、食物、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、及びミネラルからなる群から選択される。
好適なタンパク質源には、限定するものではないが、乳、大豆、米、肉(例えば、動物)、野菜(例えば、ビート、エンドウマメ、芋)、卵(卵アルブミン)、ゼラチン、及び魚が含まれる。好適な修飾などを受けていないタンパク質には、限定するものではないが、大豆をベースにしたタンパク質、乳をベースにしたタンパク質、カゼインタンパク質、乳清タンパク質、米タンパク質、牛肉コラーゲン、エンドウマメタンパク質、芋タンパク質、及びこれらの混合物が含まれる。好適なタンパク質加水分解物には、限定するものではないが、大豆タンパク質加水分解物、カゼインタンパク質加水分解物、乳清タンパク質加水分解物、米タンパク質加水分解物、芋タンパク質加水分解物、魚タンパク質加水分解物、卵白タンパク質加水分解物、ゼラチンタンパク質加水分解物、動物タンパク質加水分解物と植物タンパク質加水分解物の組合せ、及びこれらの混合物が含まれる。加水分解タンパク質(タンパク質加水分解物)は、短いペプチド断片及びアミノ酸に加水分解或いは分解されたタンパク質である。
好適なタンパク質には、カゼイン加水分解物、乳清加水分解物、カゼイン/乳清加水分解物、大豆加水分解物、及びこれらの混合物などの酸または酵素で処置した動物タンパク質及び植物タンパク質から得た高度に加水分解されたタンパク質加水分解物が含まれる。「高度に加水分解された」タンパク質加水分解物では、修飾などを受けていないタンパク質が、殆どの分子量が1000Da未満であるペプチド断片に加水分解されている。より好ましくは、ペプチド断片の少なくとも約75%(好ましくは少なくとも約95%)が約1000Da未満の分子量を有する。
アミノ酸は、1または複数のアスパラギン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンとすることができる。好適なアミノ酸は、L型フェニルアラニン、L型トリプトファン、L型チロシン、L型シスチン、L型タウリン、L型メチオニン、L型アルギニン、及びL型カルニチンである。より好適なアミノ酸は、L型フェニルアラニン及びL型トリプトファンである。
好適な食物、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルは多様であり、小児用製剤の分野の技術者には周知である。本発明に有用な炭水化物には、単糖、二糖、及び多糖が含まれる。好適な糖類には、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、マルトデクストリン(maltodextrines)、及びグルコースポリマーが含まれる。好ましくは、炭水化物はマルトースである。従って、好適な炭水化物には、限定するものではないが、蝋状または非蝋状の形態のトウモロコシ、タピオカ、米、または芋に由来する、加水分解されたデンプン、無傷のデンプン、天然のデンプン、及び/または化学修飾されたデンプン及び糖が含まれ得る。
好適なビタミンには、限定されるものではないが、ビタミンA、E、C、D、K、ビタミンB複合体、パントテン酸、チアミン、ナイアシン、ナイアシンアミド、リボフラビン、鉄、及びビオチンが含まれる。ミネラルには、限定するものではないが、カルシウム、クロム、リン、ナトリウム、塩素、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、及びヨウ素が含まれる。塩を用いることもできる。好適な塩には、限定するものではないが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムが含まれる。
好適な脂質には、限定するものではないが、ヤシ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、サフラワー油、高オレインサフラワー油、MCT油(中鎖脂肪)、ヒマワリ油、高オレインヒマワリ油、パーム油、パームオレイン、アブラナ油、アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸の脂質源、及びこれらの混合物が含まれる。アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸の脂質源には、限定するものではないが、魚油、卵黄油、及び真菌油(fungal oil)が含まれる。
望む結果によっては、活性物質には、活性リピッド、セロトニン、セロトニン作動薬、またはセロトニン再取り込みインヒビター、ペプチドYYまたはペプチドYY機能的類似体、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、またはCGRP機能的類似体、アドレナリン作動薬、オピオイド作動薬、これらの組合せ、またはペプチドYY受容体、CGRP受容体、セロトニン受容体の拮抗薬、アドレナリン受容体及び/またはオピオイド受容体、及び/またはグルカゴン様ペプチド1(GLP1)が含まれ得る。
好ましくは、患者の満腹感を誘導するには、活性物質は、活性リピッド、セロトニン、セロトニン作動薬、またはセロトニン再取り込みインヒビター、ペプチドYYまたはペプチドYY機能的類似体、GLP1ペプチド及びGLP1類似体、カルシトニン遺伝子関連ペプチドまたは機能的類似体、CGRPまたはCGRP機能的類似体、アドレナリン作動薬、オピオイド作動薬、またはこれらの組合せからなる群から選択される1または複数の物質である。このような物質は、コリン作動性腸遠心経路(cholinergic intestino-fugal pathway)、少なくとも1つの椎骨前神経経路、アドレナリン作動性遠心神経経路、セロトニン作動性介在ニューロン、及び/またはオピオイド介在ニューロンが活性化する量及び条件下で送達する。セロトニンすなわち5‐ヒドロキシトリプタミン(5‐HT)は、体重1kg当たり0.005mg/kg〜0.75mg/kgの用量で用いるのが好ましい。セロトニン再取り込みインヒビターはプロザック(Prozac)またはゾロフト(Zoloft)を含む。
セロトニン受容体拮抗薬は、5‐HT3、5‐HT1P、5‐HT1A、5‐HT2、及び/または5‐HT4受容体の拮抗薬を含む。このような例として、オンダンセトロンまたはグラニセトロン、5HT3受容体拮抗薬(好適な用量は0.04mg/kg〜5mg/kg)、デラムシクレン(deramciclane)、またはアロセトロン(alosetron)を挙げることができる。5‐HT4受容体拮抗薬は、0.05ピコモル/kg〜500ピコモル/kgの範囲の用量で用いるのが好ましい。
ペプチドYY(PYY)及びその機能的類似体は、0.5ピコモル/kg〜500ピコモル/kgの範囲の用量で送達するのが好ましい。PYY機能的類似体には、PYY(22‐36)、BIM‐43004(リュー・シー・ディー(Liu, CD)ら著、「ジャーナル・オブ・サージカル・リサーチ(J. Surg. Res.)」、59(1):80−84(1995年))、BIM‐43073D、BIM‐43004C(リトバック・ディー・エー(Litvak, D.A.)ら著、「ダイジェスティブ・ディシース・アンド・サイエンス(Dig. Dis. Sci.)」、44(3):643−48(1999年))が含まれる。他の例も当分野で周知である(例えば、米国特許第5,604,203号)。PYY受容体拮抗薬には、好ましくはY4/PP1、Y5、またはY5JPP2/Y2、及び最も好ましくはY1またはY2(例えば、米国特許第5,912,227号)が含まれる。他の例には、BIBP3226及びCGP71683A(キング・ピー・ジェイ(King P. J.)ら著、「ニューロケミストリー(Neurochem.)」、73(2):641−46、1999年)がある。
アドレナリン作動薬はノルエピネフリンを含む。アドレナリン作動性拮抗薬或いはアドレナリン受容体拮抗薬は、プロプラノロール及びアテノロールを含むβ‐アドレナリン受容体拮抗薬を含む。これらは、0.05mg/kg〜2mg/kgの用量で用いるのが好ましい。
オピオイド作動薬には、δ‐作用性オピオイド作動薬(好適な用量範囲は0.05mg/kg〜50mg/kg、最適な範囲は0.05mg/kg〜25mg/kg)、κ‐作用性オピオイド作動薬(好適な用量範囲は0.005〜100μg/kg)、μ‐作用性オピオイド作動薬(好適な用量範囲は0.05〜25μg/kg)、及びε‐作用性オピオイド作動薬が含まれる。
オピオイド受容体拮抗薬には、μ‐作用性オピオイド拮抗薬(好適な用量範囲は0.05μg/kg〜5μg/kg)、κ‐オピオイド受容体拮抗薬(好適な用量範囲は0.05mg/kg〜30mg/kg)、δ‐オピオイド受容体拮抗薬(好適な用量範囲は0.05μg/kg〜200μg/kg)、ε‐オピオイド受容体拮抗薬が含まれる。有用なオピオイド受容体拮抗薬の例として、ナロキソン、ナルトレキソン、メチルナルトレキソン、ナルメフェン(nalmefene)、H2186、H3116、またはフェドトジン(fedotozine)すなわち(+)‐1,‐1[(3,4,5‐トリメトキシ)ベンジルオキシメチル]‐1‐フェニル‐N,N‐ジメチルプロピルアミンを挙げることができる。他の有用なオピオイド受容体拮抗薬も知られている(例えば、米国特許第4,987,136号)。
一実施形態では、活性物質は1または複数の活性リピッドである。ここで用いる用語「活性リピッド」は、脂肪の消化の加水分解最終産物に実質的に類似した構造及び機能を有する消化された或いは実質的に消化された分子を含む。加水分解最終産物の例として、ジグリセリド、モノグリセリド、グリセロール、最も好ましくは遊離脂肪酸またはその塩などの分子である。
好適な実施形態では、活性物質は、飽和または不飽和脂肪酸を含む活性リピッドである。本発明の脂肪酸は、4〜24の炭素原子を含む脂肪酸を含む。
本発明の実施に用いる脂肪酸の例として、カプロリン酸(caprolic acid)、カプルリン酸(caprulic acid)、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、トランス‐ヘキサデカン酸、エライジン酸、コランビン酸(columbinic acid)、アラキジン酸、ベヘン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ブレシディン酸(bressidic acid)、セトレイン酸(cetoleic acid)、ネルボン酸、ミード酸(Mead acid)、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸、及びドコサヘキサエン酸などを挙げることができる。好適な実施形態では、活性リピッドは、1または複数のオレイン酸、ドデカン酸、及びグリセロールモノオレエートを含む。
脂肪酸の塩を含む加水分解脂肪の薬学的に許容される塩の形態の活性リピッドも好適である。ナトリウム塩またはカリウム塩が好適であるが、他の薬学的に許容される陽イオンからなる塩も有用である。有用な例として、カプロリン酸(caprolate)、カプルリン酸(caprulate)、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、トランス‐ヘキサデカン酸、エライジン酸、コランビン酸(columbinate)、アラキジン酸、ベヘン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ブレシディン酸(bressidate)、セトレイン酸(cetoleate)、ネルボン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸、及びドコサヘキサエン酸などのナトリウム塩またはカリウム塩を挙げることができる。好適な実施形態では、活性リピッドには、オレイン酸塩及び/またはドデカン酸塩が含まれる。ドデカン酸ナトリウムまたはドデシル硫酸ナトリウムも好適な活性成分である。
本発明の送達システムは、上皮組織及び/または内皮組織の1または複数の層の中及び層を通過して診断用の撮像及び造影剤を送達するのにも有用である。診断薬の例として、99mTc、グルコヘプトン酸塩(glucoheptonate)などの放射標識した物質や、ガドリニウム添加キレート化剤(例えば、Gd‐DTPA)などの磁気共鳴映像法(MRI)に用いられる物質を挙げることができる。診断薬の他の例として、細胞で発現すると容易に検出できるタンパク質(限定するものではないが、β‐ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、及びルシフェラーゼなど)をコードするマーカー遺伝子がある。放射性核種、蛍光物質、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素インヒビター、リガンド(特に、ハプテン)などの様々な標識を用いることができる。
有機低分子治療薬を、ここに記載したように上皮組織または内皮組織を通過させて有利に送達することができる。例えば、レボドパ(L‐3,4‐ジヒドロキシ‐フェニルアラニン;L‐DOPA)などの高度に荷電した物質を、ここに記載した送達システムに連結して利点を得ることができる。ペプトイド及びペプチド様物質も送達システムで送達可能である(例えば、ラングストン(Langston)著、「DDT2:255」、1997年、ギアニス(Giannis)ら著、「アドバンス・ドラッグ・リサーチ(Advances Drug Res.)」、1997年、29:1)。また、本発明は、血清や生理食塩水などの水溶液に溶けにくい有機低分子の送達に有用である。従って、溶けにくさによって治療効果が限定されている化合物を、本発明に従って多量に投与することができ、細胞による取り込みレベルが高くより効果が大きいであろう。
本発明の装置及び方法は、限定するものではないがタンパク質、核酸、多糖、及びそれらの類似体を含め、様々な高分子を1または複数層の上皮組織または内皮組織の中或いは組織を通過して送達するのに特に適している。例示的な核酸には、相補的な標的にハイブリダイズするようにデザインされた選択された配列(例えば、一本鎖または二本鎖の標的に対するアンチセンス配列など)、または核酸転写物すなわちその配列によってコードされるタンパク質を発現するようにデザインされた選択された配列を有する、DNA及びRNAからなるオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド、及びそれらの類似体が含まれる。このような分子は、酵素補充療法、遺伝子治療、及びアンチセンス治療を含め、様々な治療法に用いることができる。
1または複数層の上皮組織または内皮組織の中或いは組織を通過して送達することができる高分子の別のクラスの例に、特に酵素であるタンパク質が含まれる。治療用タンパク質には、限定するものではないが補充酵素が含まれる。治療用酵素には、限定するものではないが、リソゾーマルグルコセレブロシダーゼ欠損症(lysozomal glucoserebrosidase deficiency)(ゴーシェ病)の治療に有用なアルグルシラーゼ(alglucerase)、I型ムコ多糖沈着症の治療に有用なα‐L‐イズロニダーゼ、サンフィリポB症候群の治療に有用なα‐N‐アセチルグルコサミダーゼ、膵不全の治療に有用なリパーゼ、重症複合免疫不全症に有用なアデノシンデアミナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ欠損症に関連した神経筋機能障害の治療に有用なトリオースリン酸イソメラーゼが含まれる。別の実施形態では、本発明は、微生物感染などの有害な生物学的プロセスを阻害するためにサイトゾルに免疫特異的抗体や抗体断片を送達するのに有用である。
ここに開示する方法によって送達するペプチドには、限定するものではないが、エフェクターポリペプチド及び受容体断片などが含まれる。例として、細胞内信号伝達を仲介するタンパク質によって利用されるリン酸化部位を有するペプチドが挙げられる。このようなタンパク質の例には、限定するものではないが、プロテインキナーゼC、RAF‐1、p21Ras、NF‐κB、C‐JUNや、IL‐4受容体、CD28、CTLA‐4、V7、MHCクラスI抗原、及びMHCクラスII抗原などの細胞質尾部の膜受容体が挙げられる。
上記した成分に加えて、本発明の治療用組成物は通常、薬学的に許容される様々な添加物や、そのような物質の拡散に必要な薬学的に許容される担体または基剤を含むことができる。前記添加物には、限定するものではないが、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、及びクエン酸などのpH調整剤、ベンジルアルコールによって代表される局所麻酔剤、塩化ナトリウム、マンニトール、及びソルビトールなどの等張化剤、トウィーン80などの吸着阻害剤、シクロデキストリン及びその誘導体などの可溶化剤、血清アルブミンなどの安定剤、及びグルタチオンなどの還元剤が含まれる。
様々なタンパク質分解酵素が投与環境に存在するため、場合によっては、利点が得られるように本発明の組成物内にプロテアーゼインヒビターを含めて、生理活性ペプチドまたはタンパク質の分解を防止して、バイオアベイラビリティを高めることができる。上記したプロテアーゼインヒビターには、限定するものではないが、メシル酸ガベサキサート(gabaxate mesilate)、α1‐アンチトリプシン、アプロチニン、ロイペプシン(leupepsin)、α2‐マクログロブリン、ペプスタチン、及び卵白や大豆のトリプシンインヒビターが含まれる。このようなインヒビターは、単独或いは組み合わせて用いることができる。プロテアーゼインヒビターは親水性ポリマーに含めて、組織に接触する剤形の表面にコーティングする或いはその表面の表面相に含めることができる。
本発明の治療用組成物は更に、生理活性ペプチドまたはタンパク質の吸収及び拡散を助ける吸収促進剤に添加することもできる。吸収促進剤は、薬学的に許容されるあらゆる促進剤とすることができる。従って、促進剤の例として、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸の誘導体(アセチルサリチル酸塩、サリチル酸コリン、サリチルアミドなど)、アミノ酸及びその塩(例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、及びヒドロキシプロリンなどのモノアミノカルボキシル酸、セリンなどのヒドロキシアミノ酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸などの酸性アミノ酸、リシンなどの塩基性アミノ酸、及びこれらのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を含む)、N‐アセチルアミノ酸(N‐アセチルアミン、N‐アセチルフェニルアラニン、N‐アセチルセリン、N‐アセチルグリシン、N‐アセチルリシン、N‐アセチルグルタミン酸、N‐アセチルプロリン、N‐アセチルヒドロキシプロリンなど)及びそれらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)、通常は乳化剤として用いられる物質(例えば、オレイルリン酸ナトリウム(sodium oleyl phosphate)、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステルなど)、カプロン酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸及びそれらのアルカリ金属塩、ピロリドンカルボン酸、アルキルピロリドンカルボン酸エステル、N‐アルキルピロリドン、及びプロリンアシルエステルなどが挙げられる。吸収促進の機構はそれぞれの吸収促進剤によって様々であるが、長期投与に適したものは、生理活性ペプチドまたはタンパク質と他の成分とのそれぞれの組合せに従って選択できる。上記した添加物は、薬学的に許容される基剤または担体内に分散させることができる。
本発明の治療用組成物の基剤は、ペプチド及び前記添加物を分散させることができる親水性化合物とすることができる。このような親水性化合物の分子量は、限定するものではないが、好ましくは1,000以上、より好ましくは10,000以上、更に好ましくは100,000以上である。この化合物は、薬学的に許容される物質であって、限定するものではないが、通常は、以下の化合物を含むことができる。例えば、ポリカルボン酸またはその塩またはカルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸)と他のモノマー(例えば、メチルアクリル酸塩またはメタクリル酸塩、アクリル酸など)とのコポリマーや、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンなどの親水性ビニルポリマーや、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体や、キトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸などの天然ポリマーや、それらの無毒金属塩などである。この化合物は更に、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びスクロース脂肪酸エステルなどの合成脂肪酸エステルも含むことができる。
このような親水性ポリマーは、単独或いは組み合わせて用いることができ、部分結晶化、イオン結合、または架橋結合などにより、必要な構造的一体性を付与することができる。このような親水性ポリマーは全て、組織に適用するためにフィルム状に成形することができる。
本発明に用いる基剤として、生体分解性の合成ポリマーを、活性物質を含む拡散基剤として用いることができる。生体分解性ポリマーには、通常は、限定するものではないが、ポリ乳酸、ポリ(乳酸‐グリコール酸)コポリマー、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸‐グリコール酸)コポリマー、及びそれらの混合物が含まれる。このような生体分解性ポリマーは、血管組織に適用するためにフィルム状または錠剤にすることができる。
ペプチドの場合、生理学的に許容されるペプチドは、実質的に周知の方法でそのような剤形基材に分散させることができる。このような剤形からの活性ペプチドの放出は、前記生体吸収性ポリマーの拡散、分解、または関連する製剤の水路によって行うことができる。別の可能な機構では、このような生体分解性ポリマーのガラス転移温度が体温に近い或いは体温よりも低い場合、生体に適用した生体分解性ポリマーが軟らかくなって、生理活性ペプチドの放出が加速度的拡散で起こる。吸収は更に、生体分解性ポリマーとシチジンヌクレオチド誘導体との巧妙な組合せによって促進することができる。
本発明の薬学的組成物は、親水性の低分子化合物を含むことができる。このような親水性低分子化合物は、水溶性の生理活性ペプチドまたはタンパク質が吸収される体表面に基剤を介して拡散できる連続通路を提供できる。この通路は、顕微鏡または肉眼で見える大きさにすることができる。つまり、剤形全体が通路として働くことができる。
親水性の低分子量化合物は、組織或いは投与部位から水分を吸収して水溶性の活性ペプチドを溶解する任意の化合物とすることができる。この親水性低分子化合物の分子量は、限定するものではないが、通常は10,000以下であり、好ましくは3,000以下である。従って、ポリオル化合物として、スクロース、マンニトール、ラクトース、L‐アラビノース、D‐エリトロース、D‐リボース、D‐キシロース、D‐マンノース、D‐ガラクトース、ラクツロース、セロビオース、ゲンティビオース(gentibiose)などのオリゴ糖、二糖、多糖を挙げることができる。他のポリオル化合物として、グリセリン及びポリエチレングリコール(平均分子量が200〜3000)を挙げることができる。前記親水性低分子化合物の他の例として、N‐メチルピロリドン、アルコール(例えば、オリゴビニルアルコール(oligovinyl alcohol)、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)がある。このような親水性低分子化合物は単独または組み合わせて用いることができる。
上記した親水性ポリマー、生体分解性ポリマー、親水性低分子化合物、吸収促進剤、プロテアーゼインヒビター、および添加物は、活性ペプチドのアミノ酸組成、その立体構造、及び/または他の因子に従って選択するのが好ましい。
本発明の組成物における生理的なペプチドまたはタンパク質の量は通常、投与された場合にペプチド及びタンパク質が生理活性を引き起こすのに有効な量である。
本発明の治療用組成物に含まれる生理活性ペプチドまたはタンパク質の量は、特定の物質の活性及びその治療効果のある用量に従って選択することができる。但し、あらゆる活性な物質のバイオアベイラビリティが決して100%ではなく、活性ペプチドの投与量が完全には吸収されないという事実を考慮すべきであって、所望の用量よりも僅かに多くの量を含むのが好ましい。
活性物質産生細胞
代替の移殖用活性物質送達装置は、少なくとも1種類の治療薬を産生する真核細胞と担体を含む送達システム10を含む。場合によっては、送達システム10は、そこから治療薬が放出するのを刺激するために送達システム10に機能的に結合した刺激要素を含むことができる。別の実施形態では、送達システム10は更に、患者の少なくとも1つの生理的な特性を監視するための検出要素を含み、移植された送達装置が刺激要素と通信して送達システム10から治療薬が放出するのを刺激する。担体は、ステント、人工血管、ステントグラフト、合成パッチ、注入スリーブ、及びカテーテルから選択することができる。
真核細胞は、ポリマー組成物の中に含めることができる。移殖用装置は、脱水及び再水和可能なポリマー組成物を含むこともできる。一実施形態では、ポリマー組成物は、フィブリン、コラーゲン、アルギン酸塩、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、セルロース、ヒアルロン酸、ポリウレタン、シリコーン、ポリカーボネート、及びそれらの混合物やコポリマーなどからなる群から選択することができる。一実施形態では、真核細胞は、内皮細胞、線維芽細胞、及びそれらの混合物からなる群から選択される。一般に、細胞は自己細胞とすることができるが、自己細胞に限定されるものではない。細胞は、遺伝子組換え細胞が好ましい。一般に、送達システムは更に、細胞を受容する保持担体を含む。
本発明に用いるのに適した細胞には、治療薬を産生する真核細胞または治療薬を産生するように遺伝子組換えされた真核細胞などの様々な細胞が含まれる。このような細胞は、特に電気刺激及び/または他の刺激などを与えた時に、治療薬を分泌するのが望ましい。
本発明に用いるのに好適な細胞には通常、限定するものではないが、内皮細胞及び線維芽細胞を含め、間葉細胞または中胚葉細胞が含まれる。このような細胞は、自己細胞でも同種細胞でもよく、また遺伝子組換え細胞でも非遺伝子組換え細胞でもよい。このような細胞を混合して用いることもできる。
好適な細胞には、例えば幹細胞や他の多能性細胞などの前駆細胞も含まれる。
内皮細胞及び線維芽細胞は生体外での遺伝子移入に適していることが分かっているため、これらの細胞が好ましい。生体外遺伝子移入(生体外遺伝子治療とも呼ばれる)とは、周知の技術を用いて細胞を体内から採取し、通常はインビトロで細胞内に核酸を形質導入或いは形質移入して遺伝子を組み換え、その細胞を治療目的で体内に戻す処置である。これは、遺伝子移入ベクターを患者に投与して患者の細胞及び組織内に遺伝子を移入する生体内遺伝子療法とは対照的である。生体外技術は当業者には周知である。
生体外遺伝子療法は、処置する標的細胞を最適な遺伝子移入効率となるように必要に応じて操作でき、従って処置全体の効率が上がるため、効果的な手法である。しかしながら、この生体外技術には、体内からの採取、生体外培養、及び体内へ戻すことが容易な細胞種しか用いることができない。このような細胞には、血液細胞、骨髄細胞、肝臓の肝細胞、皮膚の線維芽細胞、筋肉の筋細胞、血管の内皮細胞が含まれる。従って、インビトロでレトロウイルスベクターによって効率的に感染させ、次いで患者の体内に戻して遺伝子移入を達成できる内皮細胞及び線維芽細胞が本発明に用いるのに特に適している。
自己内皮細胞が特に望ましい。血管内皮細胞を患者から採取し、レポーター遺伝子(ネーブル(Nabel)ら著、「サイエンス(Science)」、244、1342‐1344、1989年)としてβ‐ガラクトシダーゼを発現するようにデザインされたレトロウイルスベクターで生体外で形質移入する。このような遺伝子組換えした細胞を患者の体内に再び導入する。
本発明の一実施形態では、内皮細胞を患者から採取し細胞培地で培養する。細胞培地での増殖中に、薬物として遺伝子を組み込む遺伝子組換えレトロウイルスで感染させ、内皮細胞の染色体内に局所送達する。これは、例えば米国特許第5,674,722号の開示に従って達成することができる。冠動脈疾患(CAD)の治療の場合は、候補遺伝子として、例えば、野生型組織プラスミノーゲン活性化因子をコードする遺伝子並びにプロテインCをコードする遺伝子を挙げることができる。
核酸を真核細胞に送達して真核細胞が所望の物質を分泌するように改変されたかを調べる方法が多数存在する。このような方法は当業者には周知である。所望の核酸を、例えば発現プラスミド、コスミド、及びYACベクターなどの好適な送達担体に導入することができる。組換えウイルスを含め、生きている或いは不活性な様々なウイルスを使用することができる。レトロウイルスを、様々な遺伝子を送達するために遺伝子組み換えすることができる。細胞内でタンパク質を案内及び発現できる核酸を送達するために、アデノウイルスが様々な実験に用いられている。
細胞内に組み込む核酸として機能し得る核酸の例には、限定するものではないが、細胞に治療効果をもたらすタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを機能的にコードする核酸が含まれる。このような核酸は、遺伝子全体または遺伝子の一部を含むことができる。遺伝子の例として、限定するものではないが、活性型の一酸化窒素シンターゼ(血管を弛緩させて血餅の形成を防止するとして知られているタンパク質)の遺伝子、プロスタグランジンHシンターゼ(内皮損傷の後に血小板凝集及び血管狭窄の内在性インヒビターを回復させる)の遺伝子、及びインスリン産生遺伝子を挙げることができる。
様々な疾患の治療に、本発明の装置及びシステムを用いることができる。そのような疾患の例として、限定するものではないが、糖尿病及びインスリン関連疾患(膵島細胞が標的)、心筋梗塞または動脈瘤に関連した傷害(それぞれ線維芽成長因子または形質転換成長因子及びプロテアーゼが標的)、アテローム性動脈硬化症(高密度リポタンパク質が標的)、及び血液凝固亢進状態(組織プラスミノーゲン活性化因子が標的)を挙げることができる。
タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードする核酸を含むウイルスによって送達される核酸の遺伝子配列は、GenBank(ニューメキシコ州ロスアラモスに所在のロスアラモス国立研究所)、EMBLデータベース(ドイツ国、ハイデルベルグ)、ウイスコンシン・バイオテクノロジー・センター大学(University of Wisconsin Biotechnology Center)(ウイスコンシン州マジソン)、発行された雑誌、特許、及び特許出願を含め、様々なところから得ることができる。当業者であれば、これら全てに容易にアクセスすることができる。このような遺伝子配列は、遺伝子配列が既知の場合は核酸断片(通常はDNA)を含む細胞から得ることができる。核酸は、遺伝子断片の制限エンドヌクレアーゼ消化及び単離、或いはポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)によって得ることができる。PCR法では、プライマーとしてオリゴヌクレオチドを用いて目的の遺伝子を発現する細胞からのmRNAのcDNAコピーを増幅するか、或いは市販されている遺伝子発現ライブラリーからの遺伝子のcDNAコピーを増幅する。オリゴヌクレオチドまたは短いDNA断片は、既知の核酸合成技術を用いて作製したり、アミトフ・バイオテック社(Amitof Biotech Inc.)(マサチューセッツ州ボストン)などの特注オリゴヌクレオチドの販売元から得ることができる。当業者であれば、mRNAからcDNAを得るための様々な市販のキット(販売元には、限定するものではないが、例えばカリフォルニア州ラ・ホヤのストラタジーン(Stratagene)、カリフォルニア州サンディエゴのインビトロジェン(Invitrogen))を知っているであろう。同様に、ストラタジーン(Stratagene)のライブラリーなどを含め、当業者が利用できる様々な有料の遺伝子発現ライブラリーが多数存在する。クローニング、PCR法、及びベクター作製の一般的な方法は、サンブルック(Sambrook)ら著(「分子クローニング(Molecular Cloning)」:実験マニュアル、1989年、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laborattory Press)、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー)及びイニス(Innis)ら著(「PCRストラテジーズ(PCR Strategies)」、1995年、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク州ニューヨーク)に記載されている。
更なる実施形態では、本発明は、生物宿主の生理活性機能に必要な生理分泌物を供給する移植用バイオ人工活性分泌システムを提供する。このシステムは、外部開口を備えた入口及び外部開口を備えた出口を有するハウジングを含む。このハウジングは、流体が移動可能に入口及び出口が宿主の組織液と連通するように配置し、組織液をハウジング内に受容し、後にハウジングから排出できるように、宿主内に少なくとも部分的に移植することができる。チャンバーを、入口及び出口に連通するようにその入口と出口の間のハウジング内に配設し、そのチャンバー内に、生理分泌物が産生されるように自立的に機能する生理活性のある複数の生きた分泌細胞を含めることができる。
更なる実施形態では、周期的に運転するポンプ装置がハウジング内に配設される。このポンプ装置が、初めに宿主から入口を介して組織液を吸引して、チャンバー内の生理活性のある細胞に接触させ、生理分泌物の取り込み及び調整を行って、得られた生理分泌物を有する組織液を出口から宿主に排出する。更に、入口及び出口の外部開口に連通した入口フィルター及び出口フィルターは、宿主の免疫系の細胞、免疫グロブリン、及び補体系成分が通過できない大きさの孔を有することができる。
生きた分泌細胞と接触するように吸引される組織液は、特定の生理分泌物に対する宿主の状態を概ね反映し得る。従って、例えば糖尿病を治療する場合、腹水が血中グルコース値を反映することが知られているため腹水を吸引して、この腹水摂取に対してインスリンを産生する膵臓β細胞である分泌細胞に接触させ、この腹水を所定の経路に戻してグルコース値を調節する。分泌細胞は、透過性の媒体の中に封入するのが好ましい。この透過性媒体は、細胞栄養物及び代謝廃棄物を通過させ、生理分泌物を通過させるが、免疫系の細胞を通さないため、このような細胞が入口フィルターに達する可能性は極めて低い。封入することにより、細胞の充填密度が上がり、組織液と細胞表面の相互作用が増大する。適用例によって異なるが、分泌細胞の寿命は大抵、交換した細胞が導入されてから約2年である。
ポンプ装置は、蠕動のように運転及び停止する一列に配置された複数の弾性ポンプチューブを含み、初めの組織液及び生理分泌物を有する組織液がシステム内を蠕動運動するのが好ましい。蠕動様ポンピングは、ハウジング内に配置され、従って移植されるプログラムされた制御部、及び/または移植されるハウジングに近接して患者の体外に配置されるプログラムされた制御部によって電磁的に行うことができる。どちらの構成でも、電力を断続的に加えて、ポンプチューブ内の組織液を蠕動運動させ、ハウジング内の生きた分泌細胞と接触させることができる。組織液は、分泌細胞が産生する特定の分泌物に対する要求(例えば、インスリン分泌細胞に対するグルコース値)があるか否かを反映することができ、分泌細胞が伝達される要求に応答してその分泌細胞が検出した要求に合った分泌物を一定量自動的に産生する。最後に、組織液が分泌物の要求が低いことを示すと(例えば、分泌物の要求される活性が当面完了した場合)、組織液に接触しているため分泌細胞が要求の低下を検出して分泌活性が自然になくなる。
明らかに、ここで定義した移殖用バイオ人工活性分泌システムは、生理的バランスのセンサ及び提供者の両方として生きた分泌細胞を用いて自然の代謝機能を実質的に再現することができる。このように生細胞を利用することにより、実際の細胞が自然に要求を判断して正確な必要量の分泌物を産生及び放出するため、分泌物の注入または他の種類の導入のタイミング及び量を外部から当て推量しなくてもよい。
例示的な実施形態では、本発明は、I型糖尿病の患者の体内に、グルコース代謝のためにインスリンを生理学的に有利なオンデマンドの送達を提供できる。具体的には、このシステムは、人工膵臓の性能で機能することができ、腹水が装置内に進入するように腹腔内の所定の部位に移植することができる。この装置は腹腔内に配置することができる。このように配置することで、送達システムが故障したり不良になった場合に比較的容易かつ迅速に完全に回収することができる。
移植は、通常は局所麻酔下で実施することができる。インスリン要求の決定に腹水を選択したのは、腹水のグルコース濃度の変化が血中と同じ方向、同じ量、及び比較的類似した時間因子であるからである。インスリン分泌細胞は、上記したようにβ細胞または組織として存在することができる。
好適な実施形態では、総数が少なくとも約1,000,000の細胞集団を送達システム10内に含める。一般に、腹水は、送達システム10内を移動してインスリン分泌細胞と接触する。このような分泌細胞は、腹水のグルコースレベルに自然に反応し、適切なグルコース代謝に必要なインスリンを決定し、それに従って腹水内にインスリンを自然に分泌する。更に、酸素及び栄養物を分泌細胞に供給でき、代謝廃棄物を分泌細胞から腹水内に排出できる。分泌細胞の寿命は当然、適切な栄養物及び酸素の送達、廃棄物の除去、及び宿主が要求する分泌量によって異なる。細胞の有効性が低下或いは消滅した場合は、比較的容易に装置を取り出して新しいユニットに交換して移植部位に戻すことができる。
上記した説明から明らかなように、ここで定義した分泌系は、本物の細胞であるため自然に決定されるレベルを検出して分泌物を産生できる生きた分泌物産生細胞を設けて、天然の分泌系をバイオ人工的に真似ることができる。このような分泌物産生細胞の移植に加えて、生理的要求に従って疾患を治療及び防止するために、薬物、薬剤、及び/または酵素を含む他の媒体をここに開示した装置内に含めて同様に投与することができる。従って、本発明のこれらの例示的な現在好ましい実施形態を詳細に説明してきたが、本発明の概念を別の様々な形態で具現でき、添付の請求の範囲が従来技術以外のこのような様々な変更形態を含むことを理解されたい。
要約すると、本発明の概念を利用することによって得られる様々な利点を説明してきた。本発明の実施形態の前記説明は単に例示及び説明目的であって、本発明を記載した通りの形態に徹底すなわち限定するものではない。明白な変更形態及び変形形態は本開示の範囲内で可能である。本発明の原理及びその実際の適用を最良に例示して、当業者が本発明を特定の用途に適した様々な実施形態に最良に適用できるようにするために1または複数の実施形態を選択して説明した。本発明の範囲が添付の特許の範囲によって規定されることを理解されたい。
本発明の実施態様は以下の通りである。
(1)患者に活性物質を供給するための移殖用活性物質送達システムであって、
前面及び後面を有する一定量の活性物質を含む生体材料を含み、
前記生体材料の前記前面が前記患者の血管組織に実質的に近接して保持されるように適合されており、
前記生体材料が、前記患者に生物活性物質を投与できる或いは代謝機能または免疫機能を提供できることを特徴とする移殖用活性物質送達システム。
(2)前記送達システムが更に、移植部位に固定するため或いは移植後に回収するためにテザーを含むことを特徴とする実施態様(1)に記載の送達システム。
(3)前記テザーが、前記生体材料を血管組織に実質的に近接して保持できるように適合されていることを特徴とする実施態様(2)に記載の送達システム。
(4)前記テザーの材料が生体吸収性であることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(5)前記テザーが、前記送達システム内の活性物質を補充する手段として機能できることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(6)前記送達システムが更に放射線不透過性材料を含むことを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(7)前記送達システムが、活性物質を腹膜に送達できるように適合されていることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(8)前記送達システムが、網に活性物質を送達できるように適合されていることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(9)前記送達システムが、カニューレを介して送達できるように適合されていることを特徴とする実施態様(7)または(8)に記載の送達システム。
(10)前記送達システムが実質的に平坦なシートであることを特徴とする実施態様(7)または(8)に記載の送達システム。
(11)前記活性物質が高温または有機溶媒の存在下で安定であることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(12)前記活性物質が、抗体、酵素、栄養因子、成長因子、ホルモン、及び生物応答変更因子からなる群から選択されることを特徴とする実施態様(1)、(7)、または(8)に記載の送達システム。
(13)前記活性物質が鎮痛薬または苦痛緩和剤であることを特徴とする実施態様(1)、(7)、または(8)に記載の送達システム。
(14)前記活性物質がペプチドまたはタンパク質であることを特徴とする実施態様(12)に記載の送達システム。
(15)前記活性物質がサイトカインまたはリンホカインであることを特徴とする実施態様(14)に記載の送達システム。
(16)前記活性物質が免疫原であることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(17)前記活性物質がワクチンとして用いるための予防薬であることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(18)前記活性物質が抗原及びアジュバントを含むことを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(19)前記生体材料が更に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ヘパリン、アルブミン、組織成長因子、血管成長因子(angiogenic growth factor)、界面活性剤、抗酸化剤、抗炎症剤、及び拒絶反応抑制剤からなる群から選択される1または複数の送達促進剤を含むことを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(20)前記血管成長因子が、塩基性線維芽細胞成長因子、酸性線維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、血小板由来内皮細胞成長因子bb、血管新生因子‐1、形質転換成長因子‐β、形質転換成長因子‐α、肝細胞成長因子、腫瘍壊死因子‐α、アンジオジェニン、インターロイキン‐8、低酸素誘導因子‐I、アンギオテンシン変換酵素インヒビターキナプリラット(quinaprilat)、アンギオトロピン(angiotropin)、トロンボスポンジン、乳酸、インスリン、及び成長ホルモンからなる群から選択されることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(21)前記抗炎症剤が、コルチゾン及びACTH、デキサメタゾン、コルチゾル、インターロイキン‐1及びその受容体拮抗薬、TGF‐βの抗体、インターロイキン‐1(IL‐1)の抗体、及びインターフェロン‐γの抗体からなる群から選択されることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(22)前記送達システムが、約0.001μg/時間〜約200μg/時間の範囲の投与速度で活性物質を送達するように適合されていることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(23)前記送達システムが、約0.001μl/日〜約2ml/日の範囲の投与割合で活性物質を送達するように適合されていることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(24)前記生体材料の前記後面が更に、前記生体材料の形状を実質的に維持できる実質的に弾性の基材を含むことを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(25)前記生体材料が組織に接着するのに適したパッチを含むことを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(26)更に前記パッチが、(a)不透過性の基材層、(b)活性物質層材料、及び(c)組織に接着させるための上面に設けられた接着層を含むことを特徴とする実施態様(25)に記載の送達システム。
(27)更に前記送達システムが、中空スペースを有する活性物質層材料と、微小孔または半透過性の膜を有する上面とを含むことを特徴とする実施態様(25)に記載の送達システム。
(28)更に、活性物質を受容するレザバーを含み、前記レザバーが、前記組織に送達するために前記前面に前記活性物質を送達できるように適合されていることを特徴とする実施態様(25)に記載の送達システム。
(29)前記送達システムが更に浸透促進剤を含むことを特徴とする実施態様(25)に記載の送達システム。
(30)前記浸透促進剤が、細胞外被障害化合物、溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする実施態様(29)に記載の送達システム。
(31)前記送達システムが更に、コアを取り囲む選択透過性の外被を含み、前記外被が、生物学的な産物または機能を提供するために前記外被への(からの)活性物質分子の透過を可能にする分子量遮断を有する生体適合性の膜を含むことを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(32)前記膜の前記分子量遮断が約50kD〜2000kDの範囲であることを特徴とする実施態様(31)に記載の送達システム。
(33)前記膜の前記分子量遮断が約100kDであることを特徴とする実施態様(31)に記載の送達システム。
(34)前記コアが、ヒドロゲルから形成された生体適合性の基質を含むことを特徴とする実施態様(31)に記載の送達システム。
(35)前記ヒドロゲルが薬物中に含浸されていることを特徴とする実施態様(34)に記載の送達システム。
(36)前記外被が、ポリアクリロニトリル‐ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリ二フッ化ビニル、ポリオレフィン、ポリスルホン、及びセルロースからなる群から選択されることを特徴とする実施態様(31)に記載の送達システム。
(37)前記外被が更に、親水性または疎水性の添加物を含むことを特徴とする実施態様(36)に記載の送達システム。
(38)前記生体材料が組織基質構造であることを特徴とする実施態様(3)に記載の送達システム。
(39)前記組織基質構造が哺乳動物細胞を含むことを特徴とする実施態様(38)に記載の送達システム。
(40)前記細胞が、移植する時に同種または同系であることを特徴とする実施態様(39)に記載の送達システム。
(41)前記細胞が、インスリン産生細胞、副腎クロム親和細胞、抗体分泌細胞、線維芽細胞、星状細胞、β細胞系、及びチャイニーズハムスター卵巣細胞からなる群から選択されることを特徴とする実施態様(39)に記載の送達システム。
(42)前記細胞がインスリン産生細胞であることを特徴とする実施態様(39)に記載の送達システム。
(43)前記細胞が抗体を分泌することを特徴とする実施態様(39)に記載の送達システム。
(44)前記細胞の全てが、前記送達システムの前記前面から約800μm以内の距離に配置されていることを特徴とする実施態様(39)に記載の送達システム。
(45)前記送達システムが更に、生体適合性ヒドロゲル基質に分散された容量が1μlを超える少なくとも約104の生細胞を含むコアを含み、前記生細胞が活性物質を分泌できる或いは代謝機能または免疫機能を提供できることを特徴とする実施態様(39)に記載の送達システム。
(46)更に、栄養豊富な物質を受容するレザバーを含み、前記レザバーが、前記細胞に前記栄養豊富な物質を送達できるように適合されていることを特徴とする実施態様(39)に記載の送達システム。
(47)前記細胞が、単位容量当たりのパッキング効率を上げるように適合された拡散凝集形態に凝集されることを特徴とする実施態様(39)に記載の送達システム。
(48)患者に材料を移植する方法であって、
(a)テザーが付いた活性物質送達システムインプラントを患者の体内に挿入するステップと、
(b)前記送達システムを血管組織に近接させて前記体内に留置するステップと、
(c)前記送達システムが前記血管組織に実質的に近接するまで前記テザーを引張るステップと、
(d)前記血管組織に実質的に接触した状態に前記送達システムを実質的に保持するように前記テザーの基端部を一般に固定するステップとを含み、
前記送達システムが、所定量の活性物質を含む生体材料を含み、前記生体材料が、前記患者に生物活性物質を投与できる或いは代謝機能または免疫機能を提供できることを特徴とする方法。
(49)前記投与が治療効果のある量の送達であることを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(50)前記治療効果のある日用量が、活性物質が体重1kg当たり約0.1mg〜約100mgの範囲であることを特徴とする実施態様(49)に記載の方法。
(51)前記活性物質の送達が実質的に連続的であることを特徴とする実施態様(49)に記載の方法。
(52)組織に接触させる前記ステップが、細胞が増殖する条件下で細胞の増殖に十分な時間、細胞及び組成物の接触を維持するステップを含むことを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(53)組織に接触させる前記ステップが、治療が必要な患者に組成物を投与して治療効果のある量の活性物質を送達することを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(54)前記活性物質が組成物の移植によって投与され、基材が所望の組織形状に一致する形状であることを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(55)前記生体材料が生体適合性であることを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(56)前記生体材料が、少なくとも約3日〜約10日の期間に亘る患者の治療に十分な量の活性物質を含むことを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(57)前記生体材料が、20日以上の期間に亘る患者の治療に十分な量の活性物質を含むことを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(58)前記生体材料が、30日以上の期間に亘る患者の治療に十分な量の活性物質を含むことを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(59)前記送達システムが、1日当たり約0.01μl〜3μlの用量範囲で前記活性物質を送達できるように適合されていることを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
(60)前記送達システムが、1時間当たり約0.01μg〜約300μgの割合で前記活性物質を送達することを特徴とする実施態様(48)に記載の方法。
本発明の一実施形態に従った腹部内の送達システムを示す図である。 本発明の一実施形態に従ったカニューレを介して腹部内に導入された送達システムを示す図である。 本発明の一実施形態に従った送達システムと挿入器具の断面図である。 本発明の一実施形態に従った腹部の入口におけるカニューレ内の挿入器具を示す図である。 本発明の一実施形態に従った腹部内に導入された図4のカニューレ内の挿入器具を示す図である。 本発明の一実施形態に従った図4のカニューレ内の挿入器具の内側チューブの延出を示す図である。 本発明の一実施形態に従った図4のカニューレ内の挿入器具から下方に移動した送達システムを示す図である。 本発明の一実施形態に従った腹部から引き抜かれている図4のカニューレ内の挿入器具を示す図である。 本発明の一実施形態に従った腹部の所定の位置に送達システムを保持するためにテザーに取り付けられたクリップを示す図である。 本発明の一実施形態に従った挿入器具の先端部及び送達システムの断面図である。 本発明の一実施形態に従った挿入器具の内側チューブから送達システムが外れている図8の挿入器具及び送達システムの断面図である。 生体材料が挿入器具の内側チューブの外径まで延在する送達システムの実施形態の断面図である。 可撓性の基材が挿入器具の内側チューブの外径で弧を描いている送達システムの実施形態の断面図である。 本発明の一実施形態に従った、配置されて実質的に平坦な形状を有する図13の送達システムの断面図である。 送達システムがレザバーを有する実施形態の断面図である。 図15の実施形態の別の方向からの断面図である。
符号の説明
2 挿入部位
5 治療部位
10 送達システム
11 挿入器具
12 テザー
13 ハンドル
14 内側チューブ
16 外側チューブ
18 キャビティ
20 腹部
22 カニューレ
23 クリップ
24 基材
26 生体材料
28 物質
29 レザバー
30 開口

Claims (11)

  1. 患者に活性物質を供給するための移殖用活性物質送達システムであって、
    前面及び後面を有する一定量の活性物質を含む生体材料を含み、
    前記生体材料の前記前面が前記患者の血管組織に実質的に近接して保持されるように適合されており、
    前記生体材料が、前記患者に生物活性物質を投与できる或いは代謝機能または免疫機能を提供できることを特徴とする移殖用活性物質送達システム。
  2. 前記送達システムが更に、移植部位に固定するため或いは移植後に回収するためにテザーを含むことを特徴とする請求項1に記載の送達システム。
  3. 前記テザーが、前記生体材料を血管組織に実質的に近接して保持できるように適合されていることを特徴とする請求項2に記載の送達システム。
  4. 前記テザーの材料が生体吸収性であることを特徴とする請求項3に記載の送達システム。
  5. 前記テザーが、前記送達システム内の活性物質を補充する手段として機能できることを特徴とする請求項3に記載の送達システム。
  6. 前記送達システムが更に放射線不透過性材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の送達システム。
  7. 前記送達システムが、活性物質を腹膜に送達できるように適合されていることを特徴とする請求項3に記載の送達システム。
  8. 前記送達システムが、網に活性物質を送達できるように適合されていることを特徴とする請求項3に記載の送達システム。
  9. 前記送達システムが、カニューレを介して送達できるように適合されていることを特徴とする請求項7または8に記載の送達システム。
  10. 前記送達システムが実質的に平坦なシートであることを特徴とする請求項7または8に記載の送達システム。
  11. 患者に材料を移植する方法であって、
    (a)テザーが付いた活性物質送達システムインプラントを患者の体内に挿入するステップと、
    (b)前記送達システムを血管組織に近接させて前記体内に留置するステップと、
    (c)前記送達システムが前記血管組織に実質的に近接するまで前記テザーを引張るステップと、
    (d)前記血管組織に実質的に接触して前記送達システムを実質的に保持するように前記テザーの基端部を概ね固定するステップとを含み、
    前記送達システムが、所定量の活性物質を含む生体材料を含み、前記生体材料が、生物活性物質を投与できる或いは前記患者に代謝機能または免疫機能を提供できることを特徴とする方法。
JP2004361673A 2003-12-15 2004-12-14 生体材料を低侵襲移植するための装置及び方法 Expired - Fee Related JP4959130B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US736421 2003-12-15
US10/736,421 US7780973B2 (en) 2003-12-15 2003-12-15 Method and device for minimally invasive implantation of biomaterial

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005194272A true JP2005194272A (ja) 2005-07-21
JP4959130B2 JP4959130B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=34523123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004361673A Expired - Fee Related JP4959130B2 (ja) 2003-12-15 2004-12-14 生体材料を低侵襲移植するための装置及び方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US7780973B2 (ja)
EP (1) EP1543851B1 (ja)
JP (1) JP4959130B2 (ja)
CN (1) CN1788688A (ja)
AU (1) AU2004235619A1 (ja)
BR (1) BRPI0406172B8 (ja)
CA (1) CA2489735C (ja)
PL (1) PL1543851T3 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016165486A (ja) * 2009-09-21 2016-09-15 クック リージェンテック エルエルシー 生物学的製剤注入システム
US10155099B2 (en) 2009-09-21 2018-12-18 Cook Regentec Llc Method for infusing stem cells
JP2019533535A (ja) * 2016-11-08 2019-11-21 ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティドW.L. Gore & Associates, Incorporated 生物学的部分の保持のためのインプラント可能な装置
JP2021502876A (ja) * 2017-11-14 2021-02-04 クック・バイオテック・インコーポレイテッドCook Biotech Incorporated 滅菌組織製品および関連する方法

Families Citing this family (68)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7731947B2 (en) 2003-11-17 2010-06-08 Intarcia Therapeutics, Inc. Composition and dosage form comprising an interferon particle formulation and suspending vehicle
US8728132B2 (en) * 2004-04-20 2014-05-20 James L. Chappuis Internal pedicle insulator apparatus and method of use
US20050267556A1 (en) * 2004-05-28 2005-12-01 Allan Shuros Drug eluting implants to prevent cardiac apoptosis
EP1778077B1 (en) * 2004-07-23 2015-01-14 Varian Medical Systems, Inc. Wireless markers for anchoring within a human body
WO2006083761A2 (en) 2005-02-03 2006-08-10 Alza Corporation Solvent/polymer solutions as suspension vehicles
US11246913B2 (en) 2005-02-03 2022-02-15 Intarcia Therapeutics, Inc. Suspension formulation comprising an insulinotropic peptide
US8961516B2 (en) 2005-05-18 2015-02-24 Sonoma Orthopedic Products, Inc. Straight intramedullary fracture fixation devices and methods
US9060820B2 (en) 2005-05-18 2015-06-23 Sonoma Orthopedic Products, Inc. Segmented intramedullary fracture fixation devices and methods
US20070048288A1 (en) * 2005-08-30 2007-03-01 Lyu Suping Shear thinning polymer cell delivery compositions
WO2007061890A2 (en) 2005-11-17 2007-05-31 Calypso Medical Technologies, Inc. Apparatus and methods for using an electromagnetic transponder in orthopedic procedures
US8734823B2 (en) * 2005-12-14 2014-05-27 The Invention Science Fund I, Llc Device including altered microorganisms, and methods and systems of use
US8278094B2 (en) 2005-12-14 2012-10-02 The Invention Science Fund I, Llc Bone semi-permeable device
US8682619B2 (en) * 2005-12-14 2014-03-25 The Invention Science Fund I, Llc Device including altered microorganisms, and methods and systems of use
US8252329B2 (en) 2007-01-05 2012-08-28 Acelrx Pharmaceuticals, Inc. Bioadhesive drug formulations for oral transmucosal delivery
US8865743B2 (en) 2006-01-06 2014-10-21 Acelrx Pharmaceuticals, Inc. Small volume oral transmucosal dosage forms containing sufentanil for treatment of pain
US9066847B2 (en) 2007-01-05 2015-06-30 Aceirx Pharmaceuticals, Inc. Storage and dispensing devices for administration of oral transmucosal dosage forms
US8202535B2 (en) * 2006-01-06 2012-06-19 Acelrx Pharmaceuticals, Inc. Small-volume oral transmucosal dosage forms
US9289583B2 (en) * 2006-01-06 2016-03-22 Acelrx Pharmaceuticals, Inc. Methods for administering small volume oral transmucosal dosage forms using a dispensing device
US8357114B2 (en) 2006-01-06 2013-01-22 Acelrx Pharmaceuticals, Inc. Drug dispensing device with flexible push rod
US8753308B2 (en) 2006-01-06 2014-06-17 Acelrx Pharmaceuticals, Inc. Methods for administering small volume oral transmucosal dosage forms using a dispensing device
MX2008014870A (es) 2006-05-30 2009-02-12 Intarcia Therapeutics Inc Modulador de flujo para sistema de suministro osmotico con canal interno de dos piezas.
JP2009544406A (ja) * 2006-07-27 2009-12-17 ユニヴァースティ オブ ヴァージニア パテント ファウンデイション 治療又は診断用薬の頭蓋内注入用システム及び方法
EP2359808B1 (en) * 2006-08-09 2013-05-22 Intarcia Therapeutics, Inc Osmotic delivery systems and piston assemblies
CA2670263A1 (en) 2006-11-22 2008-05-29 Sonoma Orthopedic Products, Inc. Fracture fixation device, tools and methods
CN105688191A (zh) 2007-04-23 2016-06-22 精达制药公司 促胰岛素释放肽的混悬制剂及其应用
WO2009042768A1 (en) * 2007-09-25 2009-04-02 University Of Pittsburgh-Of The Commonwealth System Of Higher Education Triggerably dissolvable hollow fibers for controlled delivery
US9089707B2 (en) 2008-07-02 2015-07-28 The Board Of Regents, The University Of Texas System Systems, methods and devices for paired plasticity
US8457757B2 (en) 2007-11-26 2013-06-04 Micro Transponder, Inc. Implantable transponder systems and methods
WO2009102467A2 (en) 2008-02-13 2009-08-20 Intarcia Therapeutics, Inc. Devices, formulations, and methods for delivery of multiple beneficial agents
EP2296756A1 (en) 2008-06-04 2011-03-23 Neovista, Inc. Handheld radiation delivery system for advancing a radiation source wire
EP2341857A2 (en) 2008-09-26 2011-07-13 Sonoma Orthopedic Products, Inc. Bone fixation device, tools and methods
WO2010053737A1 (en) * 2008-10-29 2010-05-14 Wilson-Cook Medical, Inc. Endoscopic sheet delivery
WO2010054296A2 (en) * 2008-11-07 2010-05-14 Combinent Biomedical Systems, Inc. Devices and methods for treating and/or preventing diseases
EP2384147B1 (en) * 2008-12-11 2014-08-13 Cook Medical Technologies LLC Endoscopic sheet rolling system
US9943704B1 (en) 2009-01-21 2018-04-17 Varian Medical Systems, Inc. Method and system for fiducials contained in removable device for radiation therapy
WO2010107761A1 (en) 2009-03-18 2010-09-23 Acelrx Pharmaceuticals, Inc. Improved storage and dispensing devices for administration of oral transmucosal dosage forms
MX352878B (es) 2009-09-28 2017-12-13 Intarcia Therapeutics Inc Establecimiento y/o terminacion rapidos de suministro de estado estable sustancial de farmaco.
US20120232533A1 (en) * 2009-12-04 2012-09-13 Sonoma Orthopedic Products, Inc. Device and method for tensioning an elongate member
DE102010013898A1 (de) * 2010-04-01 2011-10-06 Acino Ag Implantatskanüle mit Implantat und Verfahren zum Befestigen von Implantaten in einer Injektionskanüle
US8876761B2 (en) 2010-05-26 2014-11-04 Ethicon Endo-Surgery, Inc. Intestinal brake inducing intraluminal therapeutic substance eluting devices and methods
US20110295151A1 (en) 2010-05-26 2011-12-01 Bakos Gregory J Enteroendocrine Manipulation for Metabolic Effect
US20110295179A1 (en) 2010-05-26 2011-12-01 Harris Jason L Methods and devices for regulating the activation of ghrelin hormones within a stomach
US20110295178A1 (en) 2010-05-26 2011-12-01 Albrecht Thomas E Intestinal Brake Inducing Intraluminal Therapeutic Substance Eluting Devices and Methods
US20120208755A1 (en) 2011-02-16 2012-08-16 Intarcia Therapeutics, Inc. Compositions, Devices and Methods of Use Thereof for the Treatment of Cancers
US9925355B2 (en) 2012-11-12 2018-03-27 Hollister Incorporated Intermittent catheter assembly and kit
EP2919825B1 (en) 2012-11-14 2018-10-17 Hollister Incorporated Disposable catheter with selectively degradable inner core
CA2928646C (en) 2013-11-08 2020-05-05 Hollister Incorporated Oleophilic lubricated catheters
ES2762743T3 (es) 2013-12-12 2020-05-25 Hollister Inc Catéteres descargables
DK3079750T3 (da) 2013-12-12 2020-07-13 Hollister Inc Udskyllelige katetre
EP3079752B1 (en) 2013-12-12 2020-04-01 Hollister Incorporated Flushable catheters
LT3079748T (lt) 2013-12-12 2020-07-27 Hollister Incorporated Srove nuplaunamas suyrantis kateteris
US9770278B2 (en) 2014-01-17 2017-09-26 Arthrex, Inc. Dual tip guide wire
US9889085B1 (en) 2014-09-30 2018-02-13 Intarcia Therapeutics, Inc. Therapeutic methods for the treatment of diabetes and related conditions for patients with high baseline HbA1c
US9814499B2 (en) 2014-09-30 2017-11-14 Arthrex, Inc. Intramedullary fracture fixation devices and methods
SG11201704797TA (en) 2014-12-23 2017-07-28 Acelrx Pharmaceuticals Inc Systems, devices and methods for dispensing oral transmucosal dosage forms
WO2016191302A1 (en) * 2015-05-22 2016-12-01 Dexcom, Inc. Needle for transcutaneous analyte sensor delivery
JP6993235B2 (ja) 2015-06-03 2022-01-13 インターシア セラピューティクス,インコーポレイティド インプラントの設置及び撤去システム
CA2989330C (en) 2015-06-17 2023-01-31 Hollister Incorporated Selectively water disintegrable materials and catheters made of such materials
EP3682915B1 (en) 2015-10-30 2023-03-22 AcelRx Pharmaceuticals, Inc. Apparatus and methods for dispensing oral transmucosal dosage forms
AU2017208022B2 (en) * 2016-01-15 2021-12-02 Tva Medical, Inc. Systems and methods for adhering vessels
EP3458084B1 (en) 2016-05-16 2020-04-01 Intarcia Therapeutics, Inc Glucagon-receptor selective polypeptides and methods of use thereof
USD860451S1 (en) 2016-06-02 2019-09-17 Intarcia Therapeutics, Inc. Implant removal tool
USD840030S1 (en) 2016-06-02 2019-02-05 Intarcia Therapeutics, Inc. Implant placement guide
KR20190104039A (ko) 2017-01-03 2019-09-05 인타르시아 세라퓨틱스 인코포레이티드 Glp-1 수용체 효능제의 연속적인 투여 및 약물의 동시-투여를 포함하는 방법
EP3545897A1 (en) * 2018-03-29 2019-10-02 Koninklijke Philips N.V. An implantable device
USD933219S1 (en) 2018-07-13 2021-10-12 Intarcia Therapeutics, Inc. Implant removal tool and assembly
AU2021350031A1 (en) * 2020-09-24 2023-05-11 University Of Cincinnati Continuous optical aptamer sensors
DE102020129916A1 (de) 2020-11-12 2022-05-12 Lts Lohmann Therapie-Systeme Ag. Interdermales Wirkstoffabgabesystem

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60190947A (ja) * 1983-07-21 1985-09-28 エチコン・インコ−ポレ−テツド 繊維構造物

Family Cites Families (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4987136A (en) 1982-03-16 1991-01-22 The Rockefeller University Method for controlling gastrointestinal dysmotility
US4902295A (en) 1985-08-26 1990-02-20 Hana Biologics, Inc. Transplantable artificial tissue
US5604293A (en) 1985-09-12 1997-02-18 Scios Inc. Recombinant human basic fibroblast growth factor
US5487739A (en) 1987-11-17 1996-01-30 Brown University Research Foundation Implantable therapy systems and methods
US5674722A (en) 1987-12-11 1997-10-07 Somatix Therapy Corporation Genetic modification of endothelial cells
US6007840A (en) 1988-09-16 1999-12-28 Novartis Ag Pharmaceutical compositions comprising cyclosporins
US5254133A (en) 1991-04-24 1993-10-19 Seid Arnold S Surgical implantation device and related method of use
SG47470A1 (en) * 1991-04-25 1998-04-17 Univ Brown Res Found Implantable biocompatible immunoisolatory vehicle for delivery of a selected therapeutic products
US5604294A (en) 1991-09-05 1997-02-18 Luly; Jay R. Macrocyclic immunomodulators
CA2156064A1 (en) 1993-03-17 1994-09-29 Megumi Kawai Substituted alicyclic amine-containing macrocyclic immunomodulators
SK121895A3 (en) 1993-03-29 1996-10-02 Univ Cincinnati Analogues of peptide yy and uses thereof
EP0711298A1 (en) 1993-07-30 1996-05-15 Abbott Laboratories Activated macrolactams having immunomodulatory activities
US5612350A (en) 1993-11-30 1997-03-18 Abbott Laboratories Macrocyclic immunomodulators with novel cyclohexyl ring replacements
SG64372A1 (en) 1993-12-17 1999-04-27 Novartis Ag Rapamycin derivatives
US5531759A (en) 1994-04-29 1996-07-02 Kensey Nash Corporation System for closing a percutaneous puncture formed by a trocar to prevent tissue at the puncture from herniating
US5912227A (en) 1995-01-27 1999-06-15 North Carolina State University Method of enhancing nutrient uptake
AR004480A1 (es) 1995-04-06 1998-12-16 Amico Derin C D Compuestos de ascomicina que poseen actividad antiinflamatoria, pro cedimiento para prepararlos, uso de dichos compuestos para preparar agentesfarmaceuticos y composiciones farmaceuticas que los incluyen
US5859031A (en) 1995-06-07 1999-01-12 Gpi Nil Holdings, Inc. Small molecule inhibitors of rotamase enzyme activity
FR2736550B1 (fr) 1995-07-14 1998-07-24 Sandoz Sa Composition pharmaceutique sous la forme d'une dispersion solide comprenant un macrolide et un vehicule
US6171298B1 (en) 1996-05-03 2001-01-09 Situs Corporation Intravesical infuser
IT1283102B1 (it) 1996-06-06 1998-04-07 Permatec Nv Composizione terapeutica per la somministrazione transdermica di un principio attivo estrogeno o progestinico o di loro miscele
EP1749836B1 (en) 1996-08-23 2009-06-17 Vegenics Limited Recombinant vascular endothelial cell growth factor D (VEGF-D)
US5786378A (en) 1996-09-25 1998-07-28 Gpi Nil Holdings, Inc. Heterocyclic thioesters
FR2757521B1 (fr) 1996-12-24 1999-01-29 Rhone Poulenc Rorer Sa Nouveaux derives de cyclosporine, leur preparation et les compositions pharmaceutiques qui les contiennent
US6406498B1 (en) 1998-09-04 2002-06-18 Bionx Implants Oy Bioactive, bioabsorbable surgical composite material
US6638727B1 (en) 1999-01-26 2003-10-28 Cytyc Health Corporation Methods for identifying treating or monitoring asymptomatic patients for risk reduction or therapeutic treatment of breast cancer
GB0307082D0 (en) 2003-03-27 2003-04-30 Gyne Ideas Ltd Drug delivery device and method

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60190947A (ja) * 1983-07-21 1985-09-28 エチコン・インコ−ポレ−テツド 繊維構造物

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016165486A (ja) * 2009-09-21 2016-09-15 クック リージェンテック エルエルシー 生物学的製剤注入システム
US10155099B2 (en) 2009-09-21 2018-12-18 Cook Regentec Llc Method for infusing stem cells
US10806891B2 (en) 2009-09-21 2020-10-20 Cook Regentec Llc Method for infusing stem cells
JP2019533535A (ja) * 2016-11-08 2019-11-21 ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティドW.L. Gore & Associates, Incorporated 生物学的部分の保持のためのインプラント可能な装置
US11707611B2 (en) 2016-11-08 2023-07-25 W. L. Gore & Associates, Inc. Implantable apparatus for retention of biological moieties
JP2021502876A (ja) * 2017-11-14 2021-02-04 クック・バイオテック・インコーポレイテッドCook Biotech Incorporated 滅菌組織製品および関連する方法
JP7366038B2 (ja) 2017-11-14 2023-10-20 クック・バイオテック・インコーポレイテッド 滅菌組織製品および関連する方法

Also Published As

Publication number Publication date
US7780973B2 (en) 2010-08-24
BRPI0406172B1 (pt) 2018-10-09
CA2489735C (en) 2014-02-11
BRPI0406172B8 (pt) 2021-06-22
EP1543851B1 (en) 2014-04-23
US20050131386A1 (en) 2005-06-16
AU2004235619A1 (en) 2005-06-30
EP1543851A1 (en) 2005-06-22
BRPI0406172A (pt) 2006-03-28
CN1788688A (zh) 2006-06-21
JP4959130B2 (ja) 2012-06-20
PL1543851T3 (pl) 2014-09-30
CA2489735A1 (en) 2005-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4959130B2 (ja) 生体材料を低侵襲移植するための装置及び方法
JP7416847B2 (ja) 細胞移植のための方法およびデバイス
JP5153340B2 (ja) 薬剤放出制御組成物および薬剤放出性医療器具
JP5881606B2 (ja) 脊髄損傷治療用製剤
ES2206342T3 (es) Dispositivo medico que comprende una superficie sintetica que tiene acido nucleico para la induccion in vivo de su endotelializacion.
US20080311172A1 (en) Programmed-release, nanostructured biological construct
JP6461096B2 (ja) 結腸切除なしに炎症性腸疾患を処置するための方法および組成物
KR20150067388A (ko) 생분해성 랩 및 그의 용도
JP2009530039A5 (ja)
JPH0686829A (ja) 薬剤を長期搬送するための方法およびデバイス
WO2008027783A2 (en) Prosthetic testicle
US10695379B2 (en) Cell population seeding in dermal matrices for endocrine disorder management
CN101959542A (zh) 药物传递系统
AU2011204947B2 (en) Method and device for minimally invasive implantation of biomaterial
MXPA05007289A (es) Metodo y dispositivo para implantacion de biomaterial con invasion minima.
EP3389734B1 (en) Self-assembling peptides comprising non-ionic polar amino acids for anti-adhesion
CA2960980A1 (en) Coated implants, and corresponding systems and methods
AU2023201914A1 (en) Methods and devices for cellular transplantation
JP2016087456A (ja) 移植部位形成剤、移植部位形成デバイス、血管新生誘導剤及び血管新生誘導デバイス
TW200304837A (en) Artificial digestive tract

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071128

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071212

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110201

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110428

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110509

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110601

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120221

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120321

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150330

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4959130

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees