以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明に係る銅箔付き樹脂フィルムAの一例を示すものであり、樹脂フィルム1の片面に無電解めっき層2と電解めっき層3をこの順に積層することによって、無電解めっき層2と電解めっき層3からなる銅箔6を樹脂フィルム1の片面に設け、電解めっき層3の表面を粗化面4として形成するようにしたものである。
ここで、銅箔6のキャリアとなる上記の樹脂フィルム1としては、折り曲げ可能で物理的な力により比較的容易に変形するフレキシブルなプラスチック製フィルムを用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、シンジオタクチックポリスチレンを含むポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリ酢酸セルロースなどの各種セルロース、(メタ)アクリル樹脂、各種ナイロンなどのポリアミド、フッ素樹脂のシートなどを挙げることができる。これらのうち、なかでもポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。樹脂フィルム1の厚さは特に限定されないが、5〜250μm程度が好ましく、より好ましくは20〜100μm程度である。
樹脂フィルム1は単体、複合体のいずれでもよい。また樹脂フィルム1として熱剥離性フィルムを用いることもできる。この熱剥離性フィルムは、基材の樹脂フィルムの表面に常温では粘着性があり加熱されると粘着性を無くす熱剥離性粘着剤を塗工し、熱剥離性粘着剤層の表面にセパレータを被覆したものである。そしてセパレータを剥がして熱剥離性粘着剤層に後述のように金属箔6を積層して設けるようにしたものである。樹脂フィルム1としてこのような熱剥離性樹脂フィルムを用いることによって、後述の金属箔付き樹脂フィルムAを回路基板等と積層するために加熱加圧成形する際に、金属箔6から樹脂フィルム1が熱剥離し、樹脂フィルム1を剥離する作業が容易になるものである。
樹脂フィルム1の少なくとも無電解めっき層2を積層する側の表面には、樹脂フィルム1に対する無電解めっき層2の密着性を高める処理を施しておくのが好ましい。この密着性を高める処理は樹脂フィルム1の両面に施しておくほうがさらに好ましい。
樹脂フィルム1に対する無電解めっき層2の密着性を高める処理は、例えば、樹脂フィルム1の表面を粗面化して凹凸面にすることによって行なうことができる。粗面化処理は通常行われている方法、例えばサンドブラスト法などの物理的方法や化学的侵食法などにより行うことができるものであり、また樹脂フィルム1の表面に、フィラー混入塗料やその他の塗料の塗装を行うことによって粗面化することもできる。このように粗面化処理して凹凸面に形成することによって、凹凸面によるアンカー効果によって無電解めっき層2と樹脂フィルム1との密着性を高めることができるものであり、無電解めっき工程中にめっき膜が樹脂フィルム1から剥離することを防ぐことができると共に、次に行なう電解めっき工程中においても無電解めっき層2が樹脂フィルム1から剥離することを防ぐことができ、樹脂フィルム1の表面に無電解めっき層2と電解めっき層3からなる銅箔6を積層して形成することができるものである。また樹脂フィルム1を剥離した銅箔6の表面に凹凸面が転写されて粗面になるので、回路形成工程での銅箔6とドライフィルムの密着性が良くなるものであり、特に直接銅箔6に回路形成を行う加工品では、このように適切な粗面を有していると樹脂フィルム1を剥離して直ちにドライフィルムのラミネートを行い、清浄・研磨工程がなくても回路形成の歩留まりに支障のないようにすることが可能になるものである。
このように樹脂フィルム1の表面を凹凸面に形成して密着性を高める場合、樹脂フィルム1の凹凸面の表面粗さ及び粗化形状により、樹脂フィルム1に対する無電解めっき層2の密着性をコントロールすることが可能であり、銅箔6を回路基板などに積層接着した後に、銅箔6から樹脂フィルム1を適切に剥離することができるような剥離強度にすることができるものである。このためには、樹脂フィルム1の表面の凹凸面の凹み部8は、無電解めっき層2の側から見た凹み部8の奥行き返りの陰影部が面積比で10%以内になるように形成するのが好ましい。この凹み部8の奥行き返りの陰影部とは、図6(a)(b)に示すように、凹み部8がその開口の幅より奥の幅が広くなるようにアンダーカット部9が形成されている場合、アンダーカット部9の部分をいうものであり、アンダーカット部9の最も深い部分(図6のaの範囲)で凹み部8を樹脂フィルム1の表面と平行に切断したときの凹み部8内の面積aと、この面積aから凹み部8の開口の部分(図6のbの範囲)の面積bとの差の面積(a−b)が、陰影部の面積となる。この[面積(a−b)/面積a]が10%以内になるようにするのが好ましいのである。そして銅箔6を回路基板などに積層接着した後に、銅箔6から樹脂フィルム1を剥離する際に、銅箔6の側にフィルム樹脂が残存しないようにすることは、回路形成において断線や銅残を防ぐために重要であり、凹み部8の奥行き返りの陰影部が面積比で10%より大きいと、銅箔6の無電解めっき層2から樹脂フィルム1から剥離する際にフィルムの樹脂が多く残存し、回路形成工程で銅箔6の研磨処理をしても樹脂が残存するおそれがあるものである。
また、樹脂フィルム1に対する無電解めっき層2の密着性を高める処理は、例えば、樹脂フィルム1の表面をカップリング剤で処理することによっても行なうことができる。すなわち、樹脂フィルム1に無電解めっきを行なうには、無電解めっきを引き起こす触媒を樹脂フィルム1の表面に付与することが必要であるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリイミドフィルムのような触媒吸着能のない樹脂フィルム1の場合は、強酸、強アルカリ、強還元剤等を用いて表面改質して化学反応により触媒吸着を行なわせるのが一般的である。一方、本発明者等は、樹脂フィルム1にこのような化学加工をしなくても、カップリング剤の水溶液に浸漬し、水洗を施して触媒液に浸漬させると、ほぼ単層に付いたカップリング剤が一般的な無電解めっきの触媒であるパラジウム錫コロイドを吸着して、容易に無電解めっきを引き起こすことを発見した。
従って、樹脂フィルム1の表面をカップリング剤で処理することによって、無電解めっきの触媒を樹脂フィルム1の表面に強固に吸着させ、この触媒を核として形成される無電解めっき層2と樹脂フィルム1との密着性を高めることができるものである。X線光電子分析装置を用いて分析を行うと、カップリング剤による処理を施した樹脂フィルム1と無電解めっき層2の間にカップリング剤層、例えばシランカップリング剤の場合はSi層が検出されるものであり、樹脂フィルム1と無電解めっき層2との密着性がカップリング剤によって高められていることが確認される。本発明で用いるカップリング剤は水溶性シランカップリング剤が有効であり、特に水溶性のアミノシランカップリング剤が好ましい。水溶性のアミノシランカップリング剤としては、一般式がNH2−R−Si(OR’)3で表される、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γアミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γアミノプロピルトリエトキシシシラン、N−β(アミノエチル)γアミノプロピルトリメトキシシシラン、γウレイドプロピルトリエトキシシランなどを例示することができる。これらのなかでも水溶液の親水性・加水分解性から安定であるN−β(アミノエチル)γアミノプロピルトリエトキシ(又はメトキシ)シランが望ましい。これらのシランカップリング剤は通常0.001〜5質量%の濃度の水溶液にし、この水溶液に樹脂フィルム1を浸漬することによって処理を行なうことができる。ここで、カップリング剤処理の後の水洗は必須工程である。その理由の1つはカップリング剤処理のムラをなくすことにあるが、主な理由は、カップリング剤が無電解めっき触媒のパラジウム−スズコロイド溶液に混入すると、カップリング剤がコロイドと反応を起こし、パラジウム−スズコロイドが凝集沈殿して触媒付着作用がなくなるので、カップリング剤の持ち込みをなくすために水洗工程が必要なのである。
触媒吸着能がない樹脂フィルム1に無電解めっき触媒を付与する方法としては、上記の他に、無電解めっき触媒を樹脂フィルム1の表面に接着する方法、樹脂フィルム1の樹脂中に無電解めっき触媒を混合する方法、無電解めっき触媒を混合した樹脂層又は無機層を樹脂フィルム1の表面に形成する方法などがある。例えば無電解めっき触媒としてパラジウム、金、銀、銅等の微粒子の溶液を樹脂フィルム1の表面に塗布して乾燥した後、樹脂フィルム1の軟化点以上に加熱することによって、無電解めっき触媒を樹脂フィルム1の表面に接着することができ、またこれらの微粒子が表面に現れるような配合の樹脂材料や無機材料をで樹脂フィルム表面にコーティングすることによって、無電解めっき触媒を混合した樹脂層又は無機層を形成することができるものである。
上記のようにして樹脂フィルム1の表面に無電解めっきの触媒を付与した後、水洗を行い、さらにアクセレレーターで触媒を活性化し、さらに水洗を行い、そして無電解めっき浴に樹脂フィルム1を浸漬する一般的な無電解めっきウェットプロセスによって、樹脂フィルム1の表面に無電解めっき皮膜を形成させて無電解めっき層2を積層することができる。無電解めっき層2は、樹脂フィルム1の表面に導電性を付与して電解めっきを行なうことを可能にするために形成される層であり、本発明ではその厚みは1μm以下に設定されるものである。無電解めっき層2の厚みを1μmより厚くしても、導電性の付与という点で無駄であるばかりではなく、製造コストの上昇を招くからである。無電解めっき層2の厚みは電解めっきのための導電性が確保されれば薄い方が好ましく、下限は特に設定されないが、実用的には0.02μm程度が下限である。
このように樹脂フィルム1の表面に無電解めっき層2を形成した後、樹脂フィルム1を電解めっき液に浸漬して無電解めっき層2に通電することによって、無電解めっき層2の表面に電解めっき膜を析出させて、電解めっき層3を積層し、無電解めっき層2と電解めっき層3からなる銅箔6を形成することができるものである。電解めっき層3の厚みは、0.5〜105μmの範囲に設定するのが好ましい。電解めっき層3の厚みが0.5μm未満の薄い電解めっき膜である場合には、電解めっき層3に多数のピンホールが発生し、配線パターンを形成する際に断線などの不都合が起こり易くなる。また電解めっき層3の厚みが105μmを超えて厚くなると、屈曲させた際に電解めっき層3が樹脂フィルム1から剥離してしまうおそれがある。
ここで本発明では、銅箔6の主体となる電解めっき層3は銅から形成されるものであるが、図1(a)のように銅の単一層に形成する他に、図1(b)のように銅の層を主体とする複数の層であってもよい。図1(b)のように銅の層と銅以外の金属の層からなる複数の層で電解めっき層3を形成する場合、無電解めっき層2に接する側の層3aを厚み1μm以下のニッケル、亜鉛、クロム、コバルト等の銅以外の金属で形成し、無電解めっき層2と反対側の層3bを銅で形成するのが好ましい。
また無電解めっき層2は銅以外の金属、あるいは銅合金で形成されるものである。無電解めっき層2として析出する金属粒は樹脂フィルム1の表面との接着力に関与し、さらに銅箔6を回路基板等に積層する際の加熱・加圧工程や、銅箔6から樹脂フィルム1を剥離した後の銅を主体とする電解めっき層3の酸化防止も行なえるために、銅以外の金属又は銅合金によって無電解めっき層2を形成するのである。無電解めっき層2を形成する銅以外の金属としては、ニッケル、コバルト、亜鉛、酸化亜鉛などが好ましく、銅合金としてはこれらの金属と銅との合金が好ましい。特にニッケルや、銅とニッケルの合金は、樹脂フィルム1との接着力が良好であるため望ましい。また無電解めっき層2は図1(a)のように単一層に形成する他に、図1(b)のように複数の層から形成するようにしてもよい。複数の層から無電解めっき層2を形成する場合、複数の各層2a,2bをそれぞれ銅以外の金属や銅合金で形成するものである。図1(c)は複数の層から無電解めっき層2を形成し、電解めっき層3を銅の単一層で形成した実施の形態を示すものである。
上記のように無電解めっき層2の上に電解めっき層3を形成するに際に、電解めっきの条件などを適宜に選定することにより、電解めっき層3の表面を粗化面4に形成することができる。具体的には、電解めっき層3の形成時における最終段階で、浴組成や浴温、電流密度や電解時間などを変化させることにより、既に形成されている電解めっき膜の表面に0.2〜2.0μm程度の銅粒子を突起物として析出させることができ、この銅粒子による凹凸で粗化面4を形成することができるものである。このような粗化処理によって電解めっき層3の表面を粗化面4に形成すると、銅箔6を回路基板等にプリプレグなどを介して熱圧着して積層したときに、アンカー効果で接合強度を高く得ることができるものである。
上記のようにして無電解めっき層2と電解めっき層3からなる銅箔6を樹脂フィルム1に積層した銅箔付き樹脂フィルムAを得ることができるが、図2のように電解めっき層3の粗化面4の上にさらにニッケル層11、亜鉛層12をこの順序で形成することが好ましい。亜鉛層12は、銅箔6と回路基板等とをプリプレグなどの接着剤を用いて熱圧着したときに、電解めっき層3の銅と接着剤との反応によって接着剤が劣化したり、電解めっき層3の表面が酸化したりすることを防止して、回路基板等との接合強度を高める働きをするものであり、更に、電解めっき層3の粗化面4の銅の突起部が接着剤に喰い込んでいる場合、銅の突起部と接着剤との界面に存在している亜鉛の働きで突起部の銅がエッチングで除去され易くすることができるものである。またニッケル層11は、熱圧着時に亜鉛層12の亜鉛が銅の電解めっき層3側へ熱拡散することを防止し、もって亜鉛層12の上記機能を有効に発揮させる働きをするものである。
ここで、亜鉛は銅へ拡散しやすいので、亜鉛層12の厚みが薄すぎると、拡散の結果、銅の電解めっき層3の表面に存在する亜鉛の量は極度に減少してしまい、結局、亜鉛層12を形成した意味が消失してしまう。亜鉛層12の厚みが厚くなればこの問題は起こらなくなるが、しかし他方ではエッチング時に溶出する亜鉛量も多くなって電解めっき層3の粗化面4と接着層との間にクリアランスが生じてこの場合も接合強度の低下が引き起こされる。このようなことから、亜鉛層12の厚みは、0.15〜0.5mg/dm2の範囲に設定するのが好ましい。
一方、亜鉛の拡散防止層として機能するニッケル層11の厚みは、亜鉛層12の厚みと相関関係をもっている。例えば、ニッケル層11の厚みが薄い場合には、亜鉛の拡散防止層としての機能は充分に発揮されないので、電解めっき層3と接着剤との接合強度を高めるときには、電解めっき層3側への亜鉛の拡散量を見込んで比較的多量のニッケル層11を亜鉛層12の上に存在させることが必要になる。そして、ニッケル層11の厚みを0.01mg/dm2よりも薄くすると、亜鉛の拡散防止層としての機能はほとんど発現せず、また0.05mg/dm2以上の厚みのときには、この上に形成する亜鉛層12の厚みが0.15〜0.5mg/dm2の範囲における上限前後の厚みであっても亜鉛の拡散が有効に防止できる。しかし、ニッケル層11の厚みを0.05mg/dm2より厚くすると、亜鉛の拡散防止層としての機能向上は達成されるものの、他方では、ニッケル層11でエッチングが阻害されることになる。このようなことから、ニッケル層11の厚みは、0.01〜0.05mg/dm2の範囲に設定することが好ましい。
上記のニッケル層11や亜鉛層12は、公知の電解めっき法や無電解めっき法を適用して形成することができる。また、上記のニッケル層11は、純ニッケルで形成してもよく、6質量%以下のリンを含有する含リンニッケルで形成してもよい。
また、銅箔6の表面に更にクロメート処理を行うと、銅箔6の表面に酸化防止層を形成することができる。クロメート処理は公知の方法で行なうことができ、例えば特開昭60−86894号公報に開示されている方法を挙げることができるものであり、クロム量に換算して0.01〜0.2mg/dm2程度のクロム酸化物とその水和物などを付着させることによって、銅箔6に優れた防食能を付与することができる。
またこのようにクロメート処理した銅箔6の表面に、さらにシランカップリング処理を行なうことによって、銅箔6の表面に接着剤との親和力の強い官能基を付与することができ、銅箔6と回路基板等との接合強度を一層向上することができると共に銅箔6の防錆性や耐熱性も向上することができるものである。この際に用いるシランカップリング剤としては、例えばビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらのシランカップリング剤を0.001〜5質量%の濃度の水溶液にし、これを銅箔6の表面に塗布した後、加熱乾燥することによって、シランカップリング処理を行なうことができる。尚、シランカップリング剤に代えて、チタン系、ジルコン系などのカップリング剤を用いてカップリング処理しても同様の効果を得ることができるものである。
上記のようにして作製される図1や図2の銅箔付き樹脂フィルムAは、銅張り積層板Cを製造するために用いることができるものであり、またこの銅張り積層板Cを用いて多層プリント配線板などのプリント配線板を製造することができるものである。例えば、表面に配線パターンが形成された回路基板などの基板14に銅箔6の側で銅箔付き樹脂フィルムAをプリプレグなどの接着材料を介して重ね、これを加熱加圧成形することによって、接着材料による絶縁接着層16で基板14に銅箔6を図3(a)のように積層接着した銅張り積層板Cを作製することができる。そして、図3(b)のように銅箔6から樹脂フィルム1を剥離して銅箔6を露出させた後、必要に応じてバイアホールの加工やバイアホール内のめっき加工を行った後、銅箔6をエッチング加工して図3(c)のように配線パターン15を形成することによって、プリント配線板Dを製造することができるものである。銅箔6は無電解めっき層2と電解めっき層3が積層された構成のまま用いて配線パターン15を形成することができる他、樹脂フィルム1と共に無電解めっき層2を電解めっき層3から剥離して、電解めっき層3を銅箔6として用いて配線パターン15を形成することができるものである。尚、図3(及び後述の図4、図5)にはニッケル層11や亜鉛層12の図示を省略している。また、銅箔付き樹脂フィルムAを銅箔6の側で1枚乃至複数枚のプレプリグと重ね、これを加熱加圧成形することによっても、片面銅張り積層板を作製することもできるものである。
ここで、銅箔付き樹脂フィルムAにおいて、銅箔6は樹脂フィルム1の表面にめっきして形成されるものであるため、極薄に形成することができるものであり、ファインな配線パターン15の形成が可能になるものである。また銅箔6が極薄であっても、可撓性に富む樹脂フィルム1で補強されているので、取り扱い時に銅箔6に皺や折れ目が生じることはないものである。
次に、図4は本発明に係る銅箔付き樹脂シートBの一例を示すものであり、上記のように作製した銅箔付き樹脂シートAの銅箔6の粗化面4を接着用樹脂で被覆し、接着用の熱硬化性樹脂をBステージ状態にした絶縁樹脂層5が密着させて積層することによって、銅箔付き樹脂シートBを形成するようにしてある。ここでBステージ状態とは、熱硬化性樹脂が半硬化状態であって、表面を指で触れても粘着感がなく絶縁樹脂層5を重ね合わせて保管することが可能であり、加熱処理することによって熱硬化性樹脂に硬化反応が起こる状態をいう。
上記の絶縁樹脂層5を形成する熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物などを好適なものとして挙げることができる。特に次の樹脂組成物は、銅箔付き樹脂シートBの耐熱性と難燃性を同時に高めることができるので好適である。
多官能性シアン酸エステル化合物と臭素化エポキシ化合物を含有する樹脂組成物であり、回路板基材等への熱圧着後におけるガラス転移温度が180℃以上の値を示すものである。ガラス転移温度が180℃以上であることが好ましい理由は、銅箔付き樹脂シートBを用いて高密度実装のプリント配線基板を製造する過程での、例えばリフロー炉通過時において大きな温度上昇が起こった場合や、また実使用時において大きな温度上昇が起こった場合などに、樹脂組成物をこれらの温度上昇によって熱劣化させないためである。
多官能性シアン酸エステル化合物としては、特開平10−146915号公報に開示されているものを用いることができる。この場合、多官能性シアン酸エステル化合物の含有量が50質量%より少ないと、絶縁樹脂層5の耐熱性が低下するようになり、また含有量が70質量%より多くなると、製造した銅箔付き樹脂シートBを回路基板等に例えば温度170℃、圧力4.9MPa(50kg/cm2)時間60分という標準熱圧条件で熱圧着したときの接着性が低下するようになるので、樹脂組成物における多官能性シアン酸エステル化合物の含有量は50〜70質量%に設定するのが好ましい。
臭素化エポキシ化合物は、絶縁樹脂層5を難燃化し、その耐熱性を高めるために配合される成分である。このような働きをする臭素化エポキシ化合物としては、例えば、油化シェルエポキシ(株)製の「エピコート5050」(臭素含有量47〜51質量%)、旭チバ(株)製の「アラルダイト8018」などを挙げることができる。この臭素化エポキシ化合物の配合量は、臭素換算量にして12〜20質量%に設定するのが好ましい。配合量が12質量%未満の場合には、難燃規格であるUL−94V0を満たすことができず、また20質量%より多くなると、得られた銅箔付き樹脂シートBを回路基板等に熱圧着したときの柔軟性が悪くなり、さらには銅箔付き樹脂シートBを用いて製造したプリント配線板の切断加工時に粉吹きが多くなるおそれがある。
多官能性シアン酸エステル化合物と臭素化エポキシ樹脂の含有量がそれぞれ上記した値になっている樹脂組成物の場合は、熱圧着時において上記の標準熱圧条件を適用すると、得られた絶縁樹脂層5のガラス転移温度は180℃以上の値を示す。尚、臭素化エポキシ化合物と一緒に酸化アンチモンを配合すると、臭素化エポキシ化合物の配合量を少なくすることができるものであり、例えば酸化アンチモンを2質量%程度配合すると、臭素化エポキシ化合物の配合量が10質量%程度であっても、UL規格を満たすことができるものである。
絶縁樹脂層5を形成するに際しては、前記した樹脂や樹脂組成物を例えばメチルエチルケトン(MEK)、トルエンなどの溶剤に溶解して樹脂液とし、この樹脂液を銅箔付き樹脂フィルムAの銅箔6の粗化面4にロールコータ法などで塗布した後、加熱乾燥して溶剤を除去してBステージ状態にすることによって行なうことができる。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いることができ、乾燥温度は100〜200℃が好ましく、より好ましくは130〜170℃である。
上記のようにして作製される銅箔付き樹脂シートBは、銅張り積層板Cを製造するために用いることができるものであり、またこの銅張り積層板Cを用いて多層プリント配線板などのプリント配線板を製造することができるものである。すなわち、まず絶縁樹脂層5を回路基板などの基板14に重ね合わせたのち全体を加熱加圧成形して絶縁樹脂層5を熱硬化させることによって、絶縁樹脂層5による絶縁接着層16で銅箔6を基板14に図5(a)のように積層接着した銅張り積層板Cを作製することができる。そして、樹脂フィルム1を剥離して図5(b)のように銅箔6を表出させ、銅箔6にエッチング加工を行なって図5(c)のように所定の配線パターン15を形成することによって、プリント配線板を製造することができるものである。銅箔6は無電解めっき層2と電解めっき層3が積層された構成のまま用いて配線パターン15を形成することができる他、無電解めっき層2を電解めっき層3から剥離して電解めっき層3を銅箔6として用いて、配線パターン15を形成することができるものである。また、銅箔付き樹脂シートBの単体を加熱加圧成形することによっても、片面銅張り積層板を作製することもできるものである。
このように銅箔付き樹脂シートBは絶縁樹脂層5で基板14に積層接着することができるので、プリプレグを用いる必要なく多層プリント配線板を製造することができるものである。そしてプリプレグはガラス布等の基材からなっているので所定の厚みを有するが、絶縁樹脂層5は接着性と層間絶縁を確保する範囲で厚みを薄く形成することができ、1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線板を製造することが可能になるものである。絶縁樹脂層5の厚みは20〜80μmであることが好ましい。絶縁樹脂層5の厚みが20μm未満であると、接着力が低下すると共に層間絶縁を確保することが困難になる。逆に絶縁樹脂層5の厚みが80μmを超えると、極薄の多層プリント配線板を製造することが困難になり、また形成された絶縁樹脂層5の可撓性が低下し、ハンドリング時にクラックなどが発生し易くなる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
樹脂フィルム1として、400mm×400mm×厚み50μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムを用いた。
そして、25℃の上村工業社製のパラジウム−スズコロイドタイプの「AT−105アクチベーティング液」に樹脂フィルム1を5分間浸漬することによって、無電解めっき用の触媒を付与した。次にこれを水洗いした後、上村工業社製の「スルカップAL−106アクセレーター」に樹脂フィルム1を25℃で3分間浸漬して促進処理を施した。次にこれを水洗した後、上村工業社製の無電解ニッケルめっき液「ニムデンLPX」に樹脂フィルム1を、90℃、浴負荷0.8dm2/L、析出速度8μm/hrの条件で1分間揺動浸漬することによって、樹脂フィルム1の表面の両面にむらなく均一に、光沢の厚さ0.15μmの無電解ニッケルめっき皮膜を析出させ、樹脂フィルム1に無電解めっき層2を形成した。
次いで、この無電解ニッケルの無電解めっき層2の片面のみが電解銅めっき液に浸かるように1面をシールすると共に、他の1面の無電解めっき層2に通電して次の条件で銅の電解めっきを行ない、無電解ニッケルの無電解めっき層2の表面に厚み6μmの銅の電解めっき層3を積層し、無電解めっき層2と電解めっき層3からなる銅箔6を樹脂フィルム1の片面に形成した。尚、電流密度は徐々に50A/dm2まで上げた。
浴組成:金属銅55g/L、硫酸55g/L、塩化物イオン30ppm(NaClとして)、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム1.5ppm、ヒドロキシエチルセルロース10ppm、浴温:58℃、対極:含リン銅板、電流密度:50A/dm2。
このようにして得られた銅の電解めっき層3の表面粗度をJISB0601で規定する方法によって測定したところ、10点平均表面粗度(Rz)は1.0μmであった。そしてこの銅の電解めっき層3の表面に更に次のような銅めっきを行って粗化面4を形成した。まず、金属銅:20g/L、硫酸:100g/Lから成る組成の電析浴を建浴した。これを浴(1)とする。また、金属銅:60g/L、硫酸:100g/Lから成る電析浴を建浴した。これを浴(2)とする。そして銅の電解めっき層3に対し、浴(1)を用い、浴温25℃、電流密度30A/dm2の条件下で5秒間の粗化処理を行い、その表面に銅粒子を析出させた。次いで、浴(2)を用い、浴温60℃,電流密度15A/dm2の条件下で10秒間のめっき処理を行い、銅粒子を被覆する緻密な銅のカプセルめっき層を設けることによって、粗化面4を形成した。
このようにして、図1(a)に示すような銅箔付き樹脂フィルムAを作製した。この時点で銅の電解めっき層3の表面を顕微鏡観察したところ、全面に微粒子状の突起物が形成されている粗化面4になっていた。この突起物の粒子径の最大値は1.9μm、最小値は0.3μmであり、Rz値は3.4μmであった。次に、この粗化面4の上に次のようにしてニッケル層11及び亜鉛めっき層12を形成した。
まず、硫酸ニッケル六水塩240g/L、塩化ニッケル六水塩45g/L、ホウ酸30g/L、次亜リン酸ナトリウム5g/Lの組成のニッケルめっき浴を建浴し、また硫酸亜鉛七水塩24g/L、水酸化ナトリウム85g/Lの組成の亜鉛めっき浴を建浴した。そして上記の銅箔付き樹脂フィルムAの粗化面4に、対極にステンレス鋼板を用い、ニッケルめっき浴の浴温50℃、電流密度0.5A/dm2の条件で1秒間、ニッケルめっきを行い、粗化面4に厚みが約0.02mg/dm2の含リンニッケル層11を形成し、さらに、対極にステンレス鋼板を用い、亜鉛めっき浴の浴温25℃、電流密度0.4A/dm2の条件で2秒間、亜鉛めっきを行い、厚みが約0.20mg/dm2の亜鉛層12を形成し、図2に示すような銅箔付き樹脂フィルムAを得た。
次に、この銅箔付き樹脂フィルムAを水洗した後、三酸化クロム3g/L、pH11.5の水酸化ナトリウム水溶液(液温:55℃)に6秒間浸漬してクロメート処理を行い、水洗乾燥した。さらにこの銅箔付き樹脂フィルムA、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン2g/Lの水溶液に5秒間浸漬した後に取り出し、温度100℃の温風で乾燥してシランカップリング剤処理を行なった。
このようにして得た銅箔付き樹脂フィルムAを縦300mm×横300mmに切断し、その亜鉛層12の側の面を、厚み1mmのガラス繊維布基材エポキシ樹脂プレプリグシート(FR−4)の上に配置し、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、温度170℃、圧力50kg/cm2、時間60分間の条件で熱圧成形し、厚み1mmの片面銅張り積層板を作製した。この銅張り積層板の銅箔6には樹脂フィルム1が被覆されているが、樹脂フィルム1は微力で剥離することができた。樹脂フィルム1を剥離することによって表れる無電解めっき層2の表面はRz=0.1μmであり鏡面であった。そしてこの表出される無電解めっき層2の表面にドライフィルム(デュポン社製「SP−100」:厚み25μm)を100℃の加温ロールでラミネートしたところ、容易に剥離するので、無電解めっき層2の表面に湿式の研磨材付きブラッシングバフによるバフブラッシング研磨を施し、表面粗さをRz=1.0μmにしてドライフィルムをラミネートするようにした。
上記のようにして作製した片面銅張り積層板の表面の銅箔6について、下記の仕様によりエッチング特性と、プレプリグ材との接合強度と、耐塩酸性を測定した。
エッチング特性:片面銅張り積層板に、厚み25μmの上記のドライフィルムを上記のようにラミネートし、線幅35μm、線間ピッチ25μm、長さ30mmの直線平行パターンを100本描画現像した。次に、塩化第二鉄2.0モル/L、塩酸0.4モル/Lから成るエッチャントをスプレーしてエッチング処理を行ない、配線パターンを形成した。尚、積層板へのエッチング時間は、同一積層板を用いて予備試験を行い、配線パターンの基部に残銅が認められなくなるまでの最適時間を調べ、その時間を採用した。得られた配線パターンについて、ショート部と切断部の有無を顕微鏡観察したところ、いずれも存在せず、エッチング特性は良好であった。
接合強度:片面銅張り積層板から試料を切り出し、めっき層の厚みが全体で18μmとなるように銅めっきを行ったのち、その試料につき、JISC6511で規定する方法に準拠して、引き剥がし強度を測定した。尚、この値が7.8N/cm(0.8kg/cm)以上であるものは良品と判定される。測定の結果、引き剥がし強度は14.7N/cm(1.5kg/cm)であり、良好な接合強度を示すものであった。
耐塩酸性:線幅1mmの配線パターンを作製した試料を、濃度12質量%の塩酸(温度25℃)に30分間浸漬した後、取り出し、上記の引き剥がし強度を測定し、塩酸浸漬前後における引き剥がし強度の低下率(%)を算出した。この値が小さいものほど耐塩酸性が優れていることを表す。測定の結果、引き剥がし強度の低下率は1.0%であり、良好な耐塩酸性を示すものであった。
(実施例2)
大日本インキ化学工業(株)製のビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロン1121−75M」130重量部と、ジシアンジアミド2.1重量部と、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1重量部と、メチルセロソルブ20重量部とを混合して熱硬化性樹脂ワニスを調製した。
そしてシランカップリング剤処理が終了した実施例1の銅箔付き樹脂フィルムAの銅箔6の表面に、この熱硬化性樹脂ワニスをロールコータで厚み6.0mg/dm2となるように塗布し、温度160℃で5分間熱処理してBステージの絶縁樹脂層5を形成することによって、図4(a)のような銅箔付き樹脂シートBを作製した。
この銅箔付き樹脂シートBを用い、実施例1の場合と同様にして片面銅張り積層板を製造し、上記と同様にしてエッチング特性、引き剥がし強度、耐塩酸性を測定した。その結果、エッチング特性はショート部も切断部もなく良好であり、引き剥がし強度は14.7N/cm(1.5kg/cm)で良好であり、耐塩酸性は引き剥がし強度の低下率1.0%で良好であった。
(実施例3)
樹脂フィルム1として、400mm×400mm×厚み50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いた。
そして、この樹脂フィルム1の表面に、片面ずつ乾式のサンドブラスト装置にて砥粒アルミナ#800を用いてサンドブラストを行ない、Ra=0.15μmになるように圧力・ショット時間を調整して両面を粗化させた。この表面を1000倍の電子顕微鏡で観察して、樹脂の凹み部8に隠れたアンダーカット部9の陰影部の面積比を計ったところ5%であった。
次いで、この樹脂フィルム1を25℃の上村工業社製のパラジウム−スズコロイドタイプの「AT−105アクチベーティング液」に5分間浸漬して触媒を付与し、水洗いした後、上村工業社製の「スルカップAL−106アクセレーター」を使用して25℃で3分間の促進処理を施し、水洗した。このように湿式無電解めっき前処理を行なった後、硫酸銅0.01モル/L、硫酸ニッケル0.05モル/L、次亜リン酸ナトリウム0.3モル/L、クエン酸ナトリウム0.2モル/L、ほう砂0.05モル/L、安定剤5ppm、pH9.0の組成の無電解めっき浴を用い、めっき温度60℃、攪拌ありのめっき条件で無電解めっきを4分間行なった。その結果、樹脂フィルム1の表面に銅42質量%、ニッケル52質量%、リン6%の銅合金からなる無電解めっき層2が0.4μmの厚みで形成された。この無電解めっき層2の外観は均一でむらのないものであり、無光沢であった。
あとは、実施例1と同様にして電解銅めっきを施し、銅合金の無電解めっき層2の表面に厚み6μmの銅の電解めっき層3を積層し、無電解めっき層2と電解めっき層3からなる銅箔6を樹脂フィルム1の片面に形成した銅箔付き樹脂フィルムAを作製した。ここで厚み6μmの銅の電解めっき層3の面内バラツキは±0.3μmであった。
また、この銅箔付き樹脂フィルムAを用いて、実施例1と同様にして銅張り積層板を作製し、銅箔6から樹脂フィルム1を剥離後の、銅箔6の無電解めっき層2の表面はRz=1.5μmであり、また樹脂フィルム1の剥離強度は1.5N/cm(0.15kg/cm)であり、剥離性には問題なかった。また、銅箔6の樹脂フィルム1を剥離した面を1000倍の電子顕微鏡で観察しても樹脂の付着はみられなかった。さらにこの銅張り積層板の銅箔6の表面にドライフィルムをラミネーターでラミネートし、実施例1と同様にエッチング特性用のパターンを露光・現像をおこなってもタミネートフィルムの剥離はなかった。
また実施例1と同様にしてエッチング特性、引き剥がし強度、耐塩酸性を測定した。その結果、エッチング特性はショート部も切断部もなく良好であり、引き剥がし強度は14.7N/cm(1.5kg/cm)で良好であり、耐塩酸性は引き剥がし強度の低下率1.0%で良好であった。
(実施例4)
樹脂フィルム1として、400mm×400mm×厚み50μmの熱剥離性フィルム(日東電工社製「リバアルファ」:150℃剥離品、片面にセパレーターを張ったタイプ)のセパレーターを外して用い、この樹脂フィルム1の表面を、片面ずつを乾式のサンドブラスト装置にて砥粒アルミナ#2000を用いてサンドブラストし、Ra=0.05μmになるように圧力・ショット時間を調整して両面を粗化させた。
そして実施例3と同様に無電解めっきを行なって、樹脂フィルム1の表面に銅合金の無電解めっき層2を0.4μmの厚みで積層すると共に、実施例3と同様にして6μm厚の銅の電解めっき層3を積層することによって、無電解めっき層2と電解めっき層3からなる銅箔6を樹脂フィルム1の片面に積層した銅箔付き樹脂フィルムAを作製した。
この銅箔付き樹脂フィルムAを用い、実施例1と同様に、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、温度170℃、圧力4.9MPa(50kg/cm2)、時間60分の条件で加熱加圧成形することによってし、厚み1mmの片面銅張り積層板を製造した。このものでは加熱加圧成形後に熱剥離性フィルムからなる樹脂フィルム1は銅箔6から剥れており、樹脂フィルム1を除くだけで薄箔の銅張り積層板を得ることができた。