JP3735485B2 - 樹脂フィルム付き銅箔、およびそれを用いた樹脂付き銅箔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷回路基板の製造時に用いる樹脂フィルム付き銅箔およびそれを用いた樹脂付き銅箔に関し、更に詳しくは、高密度超微細配線の形成が可能であり、また基材との接合強度も高く、更に取り扱いやすく、とくに多層印刷回路基板の製造に用いて好適な樹脂フィルム付き銅箔と、耐熱性が良好で高密度実装の多層印刷回路基板に用いて有効な樹脂付き銅箔に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷回路基板は、概ね次のようにして製造されている。まず、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などから成る電気絶縁性の基板の表面に、熱硬化性の接着剤を用いて表面回路形成用の薄い銅箔を貼着したのち、加熱・加圧して銅張り積層板を製造する。
【0003】
ついで、その銅張り積層板に、スルーホールの穿設,スルーホールめっきを順次行ったのち、表面の銅箔にエッチング処理を行って所望する線幅と所望する線間ピッチを備えた配線パターンを形成し、最後に、ソルダーレジストの形成やその他の仕上げ処理が行われる。
このとき、用いる銅箔に対しては、基材に熱圧着される表面を粗化面とし、この粗化面で基材に対するアンカー効果を発揮させ、もって基材と銅箔との接合強度を高めて印刷回路基板としての信頼性を確保することがなされている。
【0004】
また、最近では、銅箔の上記粗化面を予めエポキシ樹脂のような接着用樹脂で被覆し、当該接着用樹脂を半硬化状態(Bステージ)の絶縁樹脂層にした樹脂付き銅箔を表面回路形成用の銅箔として用い、その絶縁樹脂層側を基材に熱圧着して印刷回路基板、とりわけ多層印刷回路基板を製造することが行われている。
ところで、最近の各種電子部品は高度に集積化され、小型でかつ高密度の印刷回路を内蔵するICやLSIなどが使用されている。そして、このことに対応して、印刷回路基板における配線パターンも高密度化が要求され、微細な線幅や線間ピッチの配線から成る配線パターンが形成されている、いわゆるファインパターンの印刷回路基板が要求されるようになった。
【0005】
また、印刷回路基板への電子部品高密度実装の進展に伴って印刷回路基板としては多層構造のものが使用されている。そのため、各層の印刷回路基板の厚みは薄くする傾向にあるが、そのことに伴い、各層の印刷回路基板における単位体積当たりの発熱量も多くなるので、印刷回路基板の耐熱性の向上という問題も要求されるようになっている。
【0006】
例えば半導体パッケージに使用される印刷回路基板の場合には、線幅や線間ピッチがそれぞれ30μm前後という高密度極微細配線を有する印刷回路基板が要求されている。
その場合、回路形成用の銅箔として厚い銅箔を用いると、基材の表面までエッチングするために必要な時間が長くなり、その結果、形成された配線パターンにおける側壁の垂直性が崩れて、次式:
Ef=2H/(B−T)(ただし、Hは銅箔の厚み、Bは形成された配線パターンのボトム幅、Tは形成された配線パターンのトップ幅を表す)で示されるエッチングファクタ(Ef)が小さくなる。このような問題は、形成する配線パターンにおける配線の線幅が広い場合にはそれほど深刻な問題にならないが、線幅が狭い配線パターンの場合には断線に結びつくことも起こり得る。
【0007】
一方、薄い銅箔の場合は、確かに上記したEf値を大きくすることができる。しかしながら、この銅箔の場合も、基材との接合強度の確保のために基材側の表面は粗化面になっていて、この粗化面の突起部が基材に喰い込んでいるので、この突起部を完全にエッチング除去するためにはある時間のエッチング処理を継続しなければならない。粗化面の突起部を完全に除去しないと、それが残銅となり、配線パターンの線間ピッチが狭い場合には絶縁不良を引き起こすからである。
【0008】
したがって、粗化面の突起部をエッチング除去する過程で、既に形成されている配線パターンの側壁のエッチングも進行してしまい、結局はEf値が小さくなってしまう。
薄い銅箔を用いる場合、その表面粗度を小さくすれば上記した問題を解消できることは事実であるが、その場合には銅箔と基材との接合強度が小さくなるため信頼性に富むファインな配線パターンの印刷回路基板を製造することは困難である。
【0009】
また、薄い銅箔の場合は、その機械的強度が低いので、印刷回路基板の製造時に皺や折れ目が発生しやすく、更には銅箔切れを起こすこともあり、取り扱いに細心の注意を払わなければならないという問題もある。
このように、Ef値が大きく、かつ基材との接合強度も高いファインな配線パターンが形成されている印刷回路基板を製造することは、実際問題として、かなり困難である。とくに、線間や線幅が30μm前後の高密度極微細配線の配線パターンを従来の銅箔を用いて形成することは事実上不可能であり、現在、それを可能にする銅箔の開発が強く望まれている。
【0010】
上記した要望に応える銅箔として、特開平10−146915号公報には次のような接着剤付き極薄銅箔が開示されている。
すなわち、その銅箔は、キャリア(補強材)に厚み9μm以下の極薄銅箔を仮接着し、その極薄銅箔の表面に化学銅や亜鉛などの処理を施し、更にその処理表面に熱硬化性樹脂を塗布したのちそれをBステージ状態に半硬化させて接着剤として機能させるものである。そして、上記キャリアとしては、アルミニウム,銅,鉄,紙などが例示されている。
【0011】
この銅箔は、その上記接着剤側の面と例えば両面銅張り積層板とを熱圧着したのち、キャリアを剥離・除去して銅箔表面を表出せしめ、そこに配線パターンを形成するという態様で使用され、スルーホール穿設時のバリ発生がなく、またファインな回路パターンを形成しても断線や絶縁不良を招かないものとされている。
【0012】
しかしながら、この銅箔には次のような問題がある。例えばキャリアがアルミニウムである場合、熱圧着後に当該キャリアアルミニウムをエッチングして剥離・除去するときに水酸化ナトリウムのようなアルカリエッチャントを用いることになるが、このアルカリエッチングには長大な時間が必要であり、そのため製造コストの大幅な上昇が引き起こされる。
【0013】
キャリアが銅である場合には、上記したキャリアがアルミニウムの場合と異なり、熱圧着後に当該キャリア銅を物理的に剥離することが可能である。しかしながら、このキャリア銅は高価であり、また、極薄銅箔は基材側に確実に残した状態でキャリア銅のみを極薄銅箔から剥離することができるように適切な剥離強度を備えた状態を得ることは困難である。更には、剥離・除去したキャリア銅の処分問題も生じてくる。
【0014】
そしてキャリアが鉄である場合には、例えば保管中に当該キャリアが発錆することもある。また、キャリアが紙である場合には、当該紙は透水性であるため、熱圧着前段の工程でそのキャリア付き銅箔を各種の薬液で処理するときに紙が変質を起こすとともに、薬液が極薄銅箔側に滲み込んで両者の界面で剥離することがある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特開平10−146915号公報に開示されている接着剤付き極薄銅箔における上記した問題を解決し、線幅や線間ピッチが30μm前後のファインな配線パターンの場合であっても大きいEf値と基材との間における高い接合強度を実現できることは勿論のこと、取り扱いも容易である樹脂フィルム付き銅箔と、耐熱性が良好であるため高密度実装用の印刷回路基板の製造に用いて有効な樹脂接着剤付き銅箔の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、樹脂フィルムの表面に、無電解銅めっき層と電解銅めっき層がこの順序で積層して形成され、前記無電解銅めっき層の厚みが1μm以下で、かつ、前記無電解銅めっき層と電解銅めっき層の合計の厚みが1〜7μmであり、前記電解銅めっき層の表面は粗化面になっていることを特徴とする樹脂フィルム付き銅箔(以下、第1の銅箔という)が提供される。
【0017】
また、本発明においては、前記樹脂フィルム付き銅箔の前記粗化面が、Bステージ状態の絶縁樹脂層で被覆されていることを特徴とする樹脂付き銅箔(以下、第2の銅箔という)が提供される。
とくに、前記絶縁樹脂層が耐熱性樹脂組成物から成り、そのガラス転移温度は180℃以上である樹脂付き銅箔、より具体的には、前記耐熱性樹脂組成物が、多官能性シアン酸エステル化合物50〜70重量%と、臭素化エポキシ化合物12〜20重量%(ただし、この数値は臭素換算量である)とから成ることを好適とする樹脂付き銅箔が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の第1の銅箔の1例Aを図1に示す。第1の銅箔Aは、樹脂フィルム1の片面に、無電解銅めっき層2と電解銅めっき層3がこの順序で形成され、前記電解銅めっき層3の表面3aが粗化面になっている。そして、この第1の銅箔Aは、その粗化面3aを図示しない基材と重ね合わせたのち全体を熱圧着し、ついで樹脂フィルム1を剥離して無電解銅めっき層2を表出せしめ、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
【0019】
ここで、樹脂フィルム1は上記した薄い銅層をバックアップする補強材(キャリア)として機能し、基材との熱圧着時の熱に耐え得る樹脂材料のフィルムであれば何であってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム,フッ素樹脂フィルム,ポリイミド樹脂フィルムなどをあげることができる。とくに、PETフィルムは、170℃程度の耐熱性を備え、また可撓性に優れ、更にはこの上に形成される無電解銅めっき層2との剥離性も良好であるので好適である。樹脂フィルム1の厚みは25〜100μm程度であることが好ましい。
【0020】
無電解銅めっき層2は、上記した樹脂フィルム1の表面に導電性を付与して電解めっきを可能とするために形成される層であり、その厚みは1μm以下に設定される。厚みを1μmより厚くしても、導電性の付与という点で無駄であるばかりではなく、製造コストの上昇を招くからである。
この無電解銅めっき層2の上には、電解めっきにより電解銅めっき層3が形成される。このときの電解銅めっき層3の厚みは、上記した無電解銅めっき層2との合計厚みで1〜7μmとなるように設定される。
【0021】
合計厚みが1μmより薄くなるような薄い電解銅めっき層3である場合には、その電解銅めっき層に多数のピンホールが発生して後段で行う配線パターンの形成時に断線などの不都合が起こりやすくなり、また合計厚みが7μmより厚くなるような厚い電解銅めっき層3である場合には、エッチング時に大きなEf値が実現できず、例えば線幅30μm,線間ピッチ30μmのファインな配線パターンの形成ができなくなるからである。
【0022】
上記した電解銅めっき層3の形成時に、電解めっきの条件などを適宜に選定することにより、その表面3aを、粗化面にすることが好ましい。具体的には、電解銅めっき層の形成時における最終段階で、浴組成や浴温、電流密度や電解時間などを変化させることにより、既に形成されている銅めっき層の表面に0.2〜2.0μm程度の銅粒子を突起物として析出させるような粗化処理を行えばよい。このような粗化処理によって電解銅めっき層の表面を粗化面にすると、この第1の銅箔Aを基材に熱圧着したときに基材との間の接合強度が大きくなるからである。
【0023】
その場合、この粗化面3aは、JIS B0601で規定する10点平均粗さの値(Rz)が2.0〜4.0μmになっていることが好ましい。このRz値が2.0μmより小さい場合は前記した基材との間で充分な接合強度が得られず、またRz値が4.0μmより大きい場合には、熱圧着時における基材1への突起部の喰い込み量が大きくなり、エッチング時にその突起部の完全除去に要するエッチング時間が長くなってEf値は小さくなり、結局、信頼性の高いファインな配線パターンの形成が困難になるからである。
【0024】
この第1の銅箔においては、図2で示したように、上記粗化面3aの上に更にニッケル層4,亜鉛層5をこの順序で形成することが好ましい。
この亜鉛層5は、銅箔A1と基材とを接着剤を用いて例えば熱圧着したときに、電解銅めっき層3と接着剤との反応による前記接着剤の劣化や電解銅めっき層3の表面酸化を防止して基材との接合強度を高める働きをし、更には、電解銅めっき層3の粗化面3aの突起部が基材に喰い込んでいる場合、突起部と基材との界面に存在している亜鉛の働きで突起部の銅がエッチングされやすくなり、もってEf値を向上させる。またニッケル層4は、熱圧着時に亜鉛層5の亜鉛が電解銅めっき層3側へ熱拡散することを防止し、もって亜鉛層5の上記機能を有効に発揮させる働きをする。
【0025】
ここで、亜鉛は銅へ拡散しやすいので、亜鉛層5の厚みが薄すぎると、拡散の結果、電解銅めっき層3の表面に存在する亜鉛の量は極度に減少してしまい、結局、亜鉛層5を形成した意味が消失してしまう。亜鉛層5の厚みが厚くなれば上記した問題は起こらなくなるが、しかし他方ではエッチング時に溶出する亜鉛量も多くなって電解銅めっき層3の粗化面と基材との間にクリアランスが生じてこの場合も接合強度の低下が引き起こされる。このようなことから、亜鉛層5の厚みは、0.15〜0.5mg/dm2の範囲に設定されることが好ましい。
【0026】
一方、亜鉛の拡散防止層として機能するニッケル層4の厚みは、上記した亜鉛層5の厚みと相関関係をもっている。
例えば、ニッケル層4の厚みが薄い場合には、亜鉛の拡散防止層としての機能は充分に発揮されないので、電解銅めっき層3と基材との接合強度を高めるときには、電解銅めっき層側への亜鉛の拡散量を見込んで比較的多量の亜鉛をニッケル層4の上に存在させることが必要になる。そして、ニッケル層4の厚みを0.01mg/dm2よりも薄くすると、亜鉛の拡散防止層としての機能はほとんど発現せず、また0.04〜0.05mg/dm2の厚みのときには、この上に形成する亜鉛層の厚みは、0.15〜0.5mg/dm2の範囲における下限前後の厚みであっても亜鉛の拡散が有効に防止できる。
【0027】
しかし、ニッケル層4の厚みを0.05mg/dm2より厚くすると、亜鉛の拡散防止層としての機能向上は達成されるものの、他方では、ニッケル層4はエッチングを阻害するので、電解銅めっき層3のエッチング時にEf値は小さくなり、ファインな配線パターンの形成ができなくなる。このようなことから、例えば線間ピッチや線幅を30μm程度にするためには、ニッケル層4の厚みを、0.01〜0.05mg/dm2の範囲に設定することが好ましい。
【0028】
なお、これらのニッケル層や亜鉛層は、公知の電解めっき法や無電解めっき法を適用して形成することが好ましい。また、上記したニッケル層は、純ニッケルで形成してもよく、6重量%以下のリンを含有する含リンニッケルで形成してもよい。
また、図1や図2で示した銅箔の表面に更にクロメート処理を行うと、当該表面に酸化防止層が形成される。適用するクロメート処理としては、公知の方法であってよく、例えば、特開昭60−86894号に開示されている方法をあげることができる。クロム量に換算して0.01〜0.2mg/dm2程度のクロム酸化物とその水和物などを付着させることにより、銅箔には優れた防食能を付与することができる。
【0029】
また、前記したクロメート処理面に対し更にシランカップリング材を用いた表面処理を行うと、銅箔表面には接着剤との親和力の強い官能基が付与されるので、銅箔と基材との接合強度は一層向上し、銅箔の防錆性,耐熱性も更に向上するので好適である。
用いるシランカップリング材としては、例えばビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン,3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシランなどをあげることができる。これらのシランカップリング剤は通常0.001〜5%の水溶液にし、これを銅箔の表面に塗布したのちそのまま加熱乾燥して用いればよい。なお、シランカップリング剤に代えて、チタン系,ジルコン系などのカップリング剤を用いても同様の効果を得ることができる。
【0030】
第1の銅箔は上記したような構成になっているので、基材との接合強度は大きく、またファインな配線パターンの形成も可能である。そして、回路形成用の銅箔は全体で7μm以下という極薄であっても、それは可撓性に富む樹脂フィルムで補強されているので、取り扱い時に皺や折れ目を生ずることはない。
次に、本発明の第2の銅箔を説明する。
【0031】
この第2の銅箔Bは、図3で示したように、図1で示した第1の銅箔Aにおける粗化面3aを接着用樹脂で被覆し、当該接着用樹脂の半硬化状態の絶縁樹脂層6が密着して接合した構造になっている樹脂付き銅箔である。
ここでいうBステージ状態とは、いわゆる半硬化状態であって、表面を指で触れても粘着感はなく、その絶縁樹脂層6を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことをいう。
【0032】
この絶縁樹脂層6の形成には熱硬化性樹脂が用いられる。その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,多官能性シアン酸エステル化合物などは好適である。
とくに、次のような樹脂組成物は、製造した樹脂付き銅箔の耐熱性と難燃性を同時に高めることができるので好適である。
【0033】
すなわち、その樹脂組成物とは、多官能性シアン酸エステル化合物と臭素化エポキシ化合物を含有するものであり、後述する基材への熱圧着後におけるガラス転移温度が180℃以上の値を示すものである。
ここで、上記したガラス転移温度が180℃以上であるとした理由は、この樹脂付き銅箔で高密度実装の印刷回路基板を製造する過程での例えばリフロー炉通過時における大きな温度上昇が起こった場合や、また実使用時における大きな温度上昇が起こった場合などに、樹脂組成物をそれら温度上昇により熱劣化させないためである。
【0034】
多官能性シアン酸エステル化合物としては、特開平10−146915号公報に開示されているものを用いることができる。
この場合、多官能性シアン酸エステル化合物の含有量が50重量%より少ないと、絶縁樹脂層の耐熱性が低下するようになり、また含有量が70重量%より多くなると、製造した樹脂付き銅箔を基材に例えば温度170℃、圧力50kg/cm2で60分間という標準プレス条件で熱圧着したときの接着性が低下するようになるので、樹脂組成物における当該多官能性シアン酸エステル化合物の含有量は50〜70重量%に設定される。
【0035】
臭素化エポキシ化合物は、絶縁樹脂層2を難燃化し、その耐熱性を高めるために配合される成分である。
このような働きをする臭素化エポキシ化合物としては、例えば、油化シエルエポキシ(株)製のエピコート5050(臭素含有量47〜51重量%)、旭チバ(株)製のアラルダイト8018などをあげることができる。
【0036】
この臭素化エポキシ化合物の配合量は、臭素換算量にして12〜20重量%に設定される。
配合量が12重量%未満の場合には、難燃規格であるUL−94V0を満たすことができず、また20重量%より多くなると、製造した樹脂付き銅箔を基材に熱圧着したときの柔軟性が悪くなり、更には製造した積層板の切断加工時に粉吹きが多くなるからである。
【0037】
多官能性シアン酸エステル化合物と臭素化エポキシ樹脂の含有量がそれぞれ上記した値になっている樹脂組成物の場合は、熱圧着時における上記した標準プレス条件を適用すると、得られた絶縁樹脂層のガラス転移温度は180℃以上の値を示す。
なお、上記臭素化エポキシ化合物と一緒に酸化アンチモンを配合すると、臭素化エポキシ化合物の配合量を少なくすることができる。例えば酸化アンチモンを2重量%程度配合すると、臭素化エポキシ化合物の配合量が10重量%程度であっても、UL規格を満たすことができる。
【0038】
絶縁樹脂層6の形成に際しては、前記した樹脂や樹脂組成物を例えばメチルエチルケトン(MEK),トルエンなどの溶剤に溶解して樹脂液とし、これを電解銅めっき層3の粗化面3aに例えばロールコータ法などによって塗布し、必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去してBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜200℃、好ましくは130〜170℃であればよい。
【0039】
この樹脂付き銅箔Bは、その絶縁樹脂層6を図示しない基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して絶縁樹脂層を熱硬化し、ついで樹脂フィルム1を剥離して無電解銅めっき層2を表出せしめ、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
この樹脂付き銅箔Bを使用すると、多層印刷回路基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすこともできる。しかも、絶縁樹脂層6の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張り積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
【0040】
なお、上記したようにプリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストは節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層印刷回路基板の厚みは薄くなり、1層の厚みが100μm以下である極薄の多層印刷回路基板を製造することができるという利点がある。
【0041】
この絶縁樹脂層6の厚みは20〜80μmであることが好ましい。
絶縁樹脂層6の厚みが20μmより薄くなると、接着力は低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付き銅箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になるからである。
また、絶縁樹脂層6の厚みを80μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの絶縁樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる。更には、形成された絶縁樹脂層はその可撓性が劣るので、ハンドリング時にクラックなどが発生しやすくなり、また内層材との熱圧着時に過剰な樹脂流れが起こって円滑な積層が困難になるからである。
【0042】
【実施例】
実施例1
(1)樹脂フィルム付き銅箔の製造
長さ300m,幅500mm,厚み100μmのPETフィルムの片面に銅の無電解めっきを連続的に行って厚み0.5μmの無電解銅めっき層を形成した。
【0043】
ついで、この無電解銅めっき層の上に下記の条件で銅の電解めっきを行って厚み2.5μmの電解銅めっき層を形成した。なお、電流密度は徐々に50A/dm2まであげた。
浴組成:金属銅55g/L,硫酸55g/L,塩化物イオン30ppm(NaClとして),3−メルカプト1−プロパンスルホン酸ナトリウム1.5p pm,ヒドロキシエチルセルロース10ppm。
浴温:58℃、対極:含リン銅板、電流密度:50A/dm2。
【0044】
得られた電解銅めっき層の表面粗度をJISB0601で規定する方法によって測定した。10点平均表面粗度(Rz)は1.2μmであった。
この電解銅めっき層の表面に更に次のような銅めっきを行って粗化面を形成した。
【0045】
まず、金属銅:20g/L,硫酸:100g/Lから成る組成の電析浴を建浴した。これを浴(1)とする。また、金属銅:60g/L,硫酸:100g/Lから成る電析浴を建浴した。これを浴(2)とする。
前記した電解銅めっき層に対し、浴(1)を用い、浴温25℃,電流密度30A/dm2の条件下で5秒間の粗化処理を行い、その表面に銅粒子を析出させた。ついで、浴(2)を用い、浴温60℃,電流密度15A/dm2の条件下で10秒間のめっき処理を行い、前記銅粒子を被覆する緻密な銅のカプセルめっき層を形成して図1で示した樹脂フィルム付き銅箔Aにした。
【0046】
この時点で電解銅めっき層の表面を顕微鏡観察したところ、全面に微粒子状の突起物が形成されている粗化面になっていた。この突起物の粒子径の最大値は1.9μm,最小値は0.3μmであり、Rz値は3.4μmであった。
ついで、この粗化面の上に次のようにしてニッケル層,亜鉛めっき層を形成した。
【0047】
まず、下記組成のニッケルめっき浴を建浴した。
硫酸ニッケル六水塩240g/L,塩化ニッケル六水塩45g/L,ホウ酸30g/L,次亜リン酸ナトリウム5g/L。
また、下記組成の亜鉛めっき浴を建浴した。
硫酸亜鉛七水塩24g/L,水酸化ナトリウム85g/L。
【0048】
前記した樹脂フィルム付き銅箔の粗化面に、ニッケルめっき浴の浴温を50℃とし、対極にステンレス鋼板を用い、電流密度0.5A/dm2で1秒間のニッケルめっきを行い、粗化面に厚みが約0.02mg/dm2の含リンニッケルめっき層を形成し、更にその上に、亜鉛めっき浴の浴温を25℃とし、対極にステンレス鋼板を用い、電流密度0.4A/dm2で2秒間の亜鉛めっきを行い、厚みが約0.20mg/dm2の亜鉛めっき層を形成して図2で示した樹脂フィルム付き銅箔A1を製造した。
【0049】
ついで、この銅箔を水洗したのち、三酸化クロム3g/L,pH11.5の水酸化ナトリウム水溶液(液温:55℃)に6秒間浸漬してクロメート処理を行い、水洗乾燥した。
更に、銅箔を、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン2g/Lの水溶液に5秒間浸漬したのち取り出し、温度100℃の温風で乾燥してシランカップリング剤処理を行った。
【0050】
(2)片面銅張積層板の製造とその特性評価
上記した銅箔を縦300mm,横300mmに切断したのちその亜鉛めっき層側の面を、厚み1mmのガラス繊維エポキシプレプリグシート(FR−4)の上に配置し、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、温度170℃,圧力50kg/cm2で60分間熱圧着し、更にPETフィルムを剥離して厚み1mmの片面銅張り積層板を製造した。
【0051】
この片面銅張り積層板の表面銅層に対し、下記の仕様によるエッチング特性と、プレプリグ材との接合強度と耐塩酸性を測定した。
エッチング特性:片面銅張り積層板の無電解銅めっき層の表面に厚み15μmの銅めっきを行ったのち縦100mm,横100mmの試料を切り出した。試料の銅めっき層の上に、厚み2.5μmのレジスト膜を形成したのち線幅35μm,線間ピッチ25μmの直線平行パターンを描画現像した。ついで、塩化第二鉄2.0モル/L,塩酸0.4モル/Lから成るエッチャン
トをスプレーしてエッチング処理を行い配線パターンを形成した。
なお、積層板へのエッチング時間は、同一積層板を用いて予備試験を行い、配線パターンの基部に残銅が認められなくなるまでの最適時間を調べ、当該時間を採用した。
得られた配線パターンにつき、ショート部と切断部の有無を顕微鏡観察した。いずれも存在しないものを良好とした。
【0052】
接合強度:片面銅張り積層板から試料を切りだし、銅めっき層の厚みが全体で15μmとなるように銅めっきを行ったのち、その試料につき、JISC6511で規定する方法に準拠して引き剥がし強度を測定した。なお、この値が0.8kg/cm以上であるものは良品と判定される。
耐塩酸性:線幅1mmのテストパターン描画試料を濃度12%の塩酸(温度25℃)に30分間浸漬したのち取り出して前記した引き剥がし強度を測定し、塩酸浸漬前後における引き剥がし強度の低下率(%)を算出した。この値が小さいものほど耐塩酸性が優れていることを表す。
【0053】
測定結果は以下の通りであった。
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。
引き剥がし強度:1.12kg/cm。
耐塩酸性:1.0%。
【0054】
実施例2
(1)樹脂付き銅箔の製造
エピクロン1121−75M(商品名、大日本インキ化学工業(株)製のビスフェノールA型エポキシ樹脂)130重量部と、ジシアンジアミド2.1重量部と、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1重量部と、メチルセロソルブ20重量部とを混合して熱硬化性の樹脂ワニスを調製した。
シランカップリング剤処理が終了した実施例1の樹脂フィルム付き銅箔の表面に、上記樹脂ワニスをロールコータで厚み6.0mg/dm2となるように塗布したのち、温度160℃で5分間熱処理してBステージの絶縁樹脂層にし、図3で示した樹脂付き銅箔Bを製造した。
【0055】
(2)片面銅張積層板の製造とその特性評価
この樹脂付き銅箔Bを用いて実施例1の場合と同様にして片面銅張り積層板を製造し、その特性を評価した。結果は以下のとおりである。
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。
引き剥がし強度:1.17kg/cm。
耐塩酸性:1.0%。
【0056】
実施例3
(1)樹脂フィルム付き銅箔
実施例1における厚み0.5μmの無電解銅めっき層の上に、下記の条件で銅の電解めっきを行って厚み2.5μmの電解銅めっき層を形成した。なお、電流密度は徐々に55A/dm2まであげた。
浴組成:金属銅90g/L,硫酸100g/L,塩化物イオン20ppm,ニカワ68ppm。
浴温:55℃、電流密度:55A/dm2。
【0057】
上記電解銅めっき層に対し、浴(1)の処理時間を5秒、浴(2)の処理時間を10秒にして粗化処理を行い、Rz値は5.5μmを得た。
この銅箔の粗化面に、実施例1と同様の条件で、含リンニッケルめっき層,亜鉛めっき層を順次形成したのち、クロメート処理,シランカップリング剤処理を行った。
【0058】
(2)片面銅張積層板の製造とその特性評価
得られた銅箔を用いて実施例1と同様にして片面銅張り積層板を製造し、その特性を評価した。結果は以下の通りである。
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。ただし、実施例1の場合に比べると、残銅を完全除去する時間は長くなった。
引き剥がし強度:1.24kg/cm。
耐塩酸性:0.8%。
【0059】
実施例4
(1)樹脂フィルム付き銅箔の製造
実施例1における厚み2.5μmの電解銅めっき層に対し、浴(1)の処理時間を5秒、浴(2)の処理時間を10秒にして粗化処理を行って粗化面を形成した。
Rz値は3.3μmであった。
この粗化面に対するニッケルめっきと亜鉛めっき時における時間を変えて、粗化面の上に、厚み0.09mg/dm2のニッケルめっき層,厚み0.61mg/dm2の亜鉛めっき層を順次形成したのち、実施例1と同様にしてクロメート処理,シランカップリング剤処理を行った。
【0060】
(2)片面銅張積層板の製造とその特性評価
得られた銅箔を用いて実施例1と同様にして片面銅張り積層板を製造し、その特性を評価した。結果は以下の通りである。
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。ただし、実施例1の場合に比べると、残銅を完全除去する時間は長くなった。
引き剥がし強度:1.08kg/cm。
耐塩酸性:3.5%。
【0061】
実施例5
(1)樹脂フィルム付き銅箔の製造
実施例1における厚み2.5μmの電解銅めっき層に対し、浴(1)の処理時間を5秒、浴(2)の処理時間を10秒にして粗化処理を行って粗化面を形成した。
【0062】
Rz値は3.2μmであった。
この粗化面に対するニッケルめっきと亜鉛めっき時における時間を変えて、粗化面の上に、厚み0.005mg/dm2のニッケルめっき層,厚み0.05mg/dm2の亜鉛めっき層を順次形成したのち、実施例1と同様にしてクロメート処理,シランカップリング剤処理を行った。
【0063】
(2)片面銅張積層板の製造とその特性評価
得られた銅箔を用いて実施例1と同様にして片面銅張り積層板を製造し、その特性を評価した。結果は以下の通りである。
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。
引き剥がし強度:1.08kg/cm。ただし、接着面の樹脂に軽い黄変が認められた。
耐塩酸性:0.7%。
【0064】
実施例6
(1)樹脂付き銅箔の製造
まず、実施例1と同じような条件で図1で示した樹脂フィルム付き銅箔を製造し、その粗化面に、実施例1と同じ条件で図2で示した樹脂フィルム付き銅箔A1を製造し、更にその上に実施例1と同じ条件のシランカップリング処理を施した。
【0065】
一方、多官能性シアン酸エステル化合物(商品名:アロシーB40S)59重量%、臭素含有量52重量%の臭素化エポキシ樹脂29.6重量%(臭素換算量にして15.4重量%)、ニッカオクチニックス亜鉛(商品名、亜鉛含有量18重量%)0.06重量%、および液状エポキシ樹脂9.9重量%を混合して熱硬化性の樹脂ワニスを調製した。
【0066】
ついで、このワニスを前記した銅箔のシランカップリング剤処理面にロールコータで厚み60μmとなるように塗布したのち、温度160℃で5分間の熱処理を行ってBステージ状態の絶縁樹脂層にした。
【0067】
(2)片面銅張積層板の製造とその特性評価
得られた樹脂付き銅箔を用い、実施例1と同様の条件で片面銅張積層板を製造した。
得られた片面銅張積層板につき、エッチング特性、接合強度、耐塩酸性、耐熱性、および難燃性を調べた。
【0068】
なお、前3者の特性は実施例1と同様の条件で測定した。また、耐熱性と難燃性に関しては、下記のようにして測定した。
耐熱性:JIS C6481で規定するDSC法により樹脂のガラス転移温度(Tg)を測定した。
難燃性:JIS C6481で規定する耐熱性測定法により、試料着火後のフレーミング時間(1回目の着火後、消えるまでの時間)とグローイング時間(2回目の着火後、消えるまでの時間)を測定する。
試料5個、各2回、計10回のフレーミング時間が、平均5秒以下でかつ最大10秒以下であり、グローイング時間が30秒を超えない場合、UL−94V0に合格する。
【0069】
結果は以下のとおりである。
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。
引き剥がし強度:1.14kg/cm。
耐塩酸性:0.8%。
ガラス転移温度(Tg):190℃
難燃性:UL−94V0合格。
【0070】
実施例7
(1)樹脂付き銅箔の製造
ワニスが多官能性シアン酸エステル化合物(商品名:アロシーB40S)64.2重量%、臭素含有量52重量%の臭素化エポキシ化合物(商品名:アラルダイト8018)29.6重量%(臭素換算量にして15.4重量%)、ニッカオクチニックス亜鉛(商品名、亜鉛含有量18重量%)0.06重量%、および液状エポキシ樹脂4.9重量%を混合した熱硬化性の樹脂ワニスであり、このワニスを銅箔のシランカップリング剤処理面にロールコータで厚み6.0mg/dm2となるように塗布したことを除いては実施例6と同様にしてBステージ状態の絶縁樹脂層を形成した。
【0071】
(2)片面銅張積層板の製造とその特性評価
得られた樹脂付き銅箔を用い、実施例1と同様の条件で片面銅張積層板を製造し、その片面銅張積層板につき、エッチング特性、接合強度、耐塩酸性、耐熱性、および難燃性を調べた。
結果は以下のとおりである。
【0072】
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。
引き剥がし強度:1.08kg/cm。
耐塩酸性:0.7%。
ガラス転移温度(Tg):185℃
難燃性:UL−94V0合格。
【0073】
実施例8
(1)樹脂付き銅箔の製造
ワニスが多官能性シアン酸エステル化合物(商品名:アロシーB40S)64.2重量%、臭素含有量54.4重量%の臭素化エポキシ化合物(商品名:アラルダイト8018)29.6重量%(臭素換算量にして15.4重量%)、ニッカオクチニックス亜鉛(商品名、亜鉛含有量18重量%)0.06重量%、および液状エポキシ樹脂14.8重量%を混合して熱硬化性の樹脂ワニスであり、このワニスを銅箔のシランカップリング剤処理面にロールコータで厚み6.0mg/dm2となるように塗布したことを除いては実施例6と同様にしてBステージ状態の絶縁樹脂層を形成した。
【0074】
(2)片面銅張積層板の製造とその特性評価
得られた樹脂付き銅箔を用い、実施例1と同様の条件で片面銅張積層板を製造し、その片面銅張積層板につき、エッチング特性、接合強度、耐塩酸性、耐熱性、および難燃性を調べた。
結果は以下のとおりである。
【0075】
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。
引き剥がし強度:1.12kg/cm。
耐塩酸性:0.85%。
ガラス転移温度(Tg):180℃
難燃性:UL−94V0合格。
【0076】
実施例9
実施例3の樹脂フィルム付き銅箔のシランカップリング剤処理面に、実施例7で用いた樹脂ワニスで絶縁樹脂層を形成し、得られた樹脂付き銅箔を用いて片面銅張積層板を製造した。この片面銅張積層板の特性は以下のとおりであった。
【0077】
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。
引き剥がし強度:1.25kg/cm。
耐塩酸性:0.9%。
ガラス転移温度(Tg):185℃
難燃性:UL−94V0合格。
【0078】
実施例10
実施例6の樹脂付き銅箔の製造時に用いた樹脂ワニスが多官能性シアン酸エステル化合物(商品名:アロシーB40S)59重量%、臭素含有量52重量%の臭素化エポキシ化合物19.8重量%(臭素換算量にして10.3重量%)、ニッカオクチニックス亜鉛(商品名、亜鉛含有量18重量%)0.06重量%、および液状エポキシ樹脂9.9重量%の組成のものであったことを除いては、実施例6と同様の条件で樹脂付き銅箔を製造し、更にそれを用いて片面銅張積層板を製造し、その特性評価を行った。
【0079】
結果は以下のとおりである。
エッチング特性:ショート部も切断部もなし(良好)。
引き剥がし強度:1.08kg/cm。
耐塩酸性:0.7%。
ガラス転移温度(Tg):183℃
難燃性:フレーミング時間は平均8秒であり、UL−94V0に不合格であった。
【0080】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の樹脂フィルム付き銅箔および樹脂付き銅箔は、表面のRz値が比較的小さい値であるにもかかわらず、基材との接合強度は高く、しかもエッチング時のEf値も大きく、線間ピッチや線幅が30μm前後の高密度超微細配線を有する印刷回路基板用の銅箔として好適である。
【0081】
とくに、本発明の樹脂付き銅箔の場合、表面の絶縁樹脂層が多官能性シアン酸エステル化合物50〜70重量%と、臭素化エポキシ樹脂12〜20重量%(ただし、この数値は臭素換算量である)を含み、かつ熱圧着後のガラス転移温度が180℃以上の値を示す耐熱性樹脂組成物で形成されていると、耐熱性は良好であるのみならず難燃性もUL規格に合格し、高密度実装用の印刷回路板の素材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂フィルム付き銅箔Aの断面構造を示す断面図である。
【図2】本発明の他の樹脂フィルム付き銅箔A1の断面構造を示す断面図である。
【図3】本発明の樹脂付き銅箔Bの断面構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂フィルム
2 無電解銅めっき層
3 電解銅めっき層
3a 粗化面
4 ニッケル層
5 亜鉛層
6 Bステージの絶縁樹脂層
Claims (6)
- 樹脂フィルムの表面に、無電解銅めっき層と電解銅めっき層をこの順序で積層して形成され、前記無電解銅めっき層の厚みが1μm以下で、かつ、前記無電解銅めっき層と電解銅めっき層の合計の厚みが1〜7μmであり、前記電解銅めっき層の表面は粗化面になっていることを特徴とする樹脂フィルム付き銅箔。
- 請求項1の樹脂フィルム付き銅箔の前記粗化面が、Bステージ状態の絶縁樹脂層で被覆されていることを特徴とする樹脂付き銅箔。
- 前記絶縁樹脂層が耐熱性樹脂組成物から成り、そのガラス転移温度は180℃以上である請求項2の樹脂付き銅箔。
- 前記耐熱性樹脂組成物が、多官能性シアン酸エステル化合物50〜70重量%と、臭素化エポキシ化合物12〜20重量%(ただし、この数値は臭素換算量である)とから成る請求項3の樹脂付き銅箔。
- 前記粗化面の表面粗度(Rz)が2.0〜4.0μmであり、かつ、前記粗化面の上には、更に、厚み0.01〜0.05mg/dm2のニッケル層と厚み0.15〜0.5mg/dm2の亜鉛層がこの順序で形成されている請求項1の樹脂フィルム付き銅箔。
- 前記粗化面の表面粗度(Rz)が2.0〜4.0μmであり、かつ、前記粗化面の上には、更に、厚み0.01〜0.05mg/dm2のニッケル層と厚み0.15〜0.5mg/dm2の亜鉛層がこの順序で形成されている請求項2〜4の樹脂付き銅箔。
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