JP2005189583A - 光拡散シートおよびこれを用いたディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、容易なプロセスで得ることができ、部品点数が少なく光利用効率も高く、かつ、縦横の拡散性を容易に制御できる異方拡散性をもった光拡散シート、およびこれを用いた液晶ディスプレイ用バックライト及び液晶ディスプレイ、背面投射型スクリーンおよび背面投射型ディスプレイを提供する。
【解決手段】
本発明の光拡散シートは、織編物からなる光拡散シートであって、該織編物の織糸間又は編糸間に形成される空隙部にバインダー樹脂が充填されることによって、織編物の織り目又は編み目パターンに対応した凹凸形状が、少なくとも片面に形成されることによって光拡散性を得るものであることを特徴とする光拡散シートである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、異方拡散性を有する光拡散シート及びディスプレイに関し、さらに詳しくは本発明は、特に液晶ディスプレイ用バックライト及び液晶ディスプレイや、背面投射型スクリーン及び背面投射型ディスプレイ等に好適に用いられる光拡散性に優れた光拡散シート、並びに、その光拡散シートを用いてなる液晶ディスプレイ用バックライト及び液晶ディスプレイ、背面投射型スクリーン及び背面投射型ディスプレイに関するものである。
近年、携帯機器をはじめ、ノートパソコン、モニター及びテレビなど、あらゆる用途において様々な原理を応用したディスプレイが用いられている。中でも液晶ディスプレイ(LCD)は、携帯機器用の小画面製品から、モニターやテレビなどの大画面製品に至るまで幅広く用いられている。LCDでは、偏光板に挟まれた液晶素子に画面裏側から均一に光を照射するために、面光源であるバックライトを画面裏側に設けることにより画像表示を行っている。
LCDに用いられるバックライトは大きく2種類に分類され、(1)透明なアクリル板等を加工した導光板を用い、その側面に配置された蛍光管から光線を導光板に入射し、導光板に刻まれた散乱ドットの作用を用いて面状に光線を広げつつ、観察方向に光を取り出すサイドライト型と、(2)導光板を使用せず、画面の真下に直接単数または複数の蛍光管を並べる直下型とがある。それぞれの特徴を活かし、サイドライト型は小型および薄型化への対応が容易であり、また直下型は大型化への対応が容易なタイプである。
これらバックライトには、単に画面裏側から光を入射する機能だけではなく、画面全体を均一に、しかも明るく光らせる性能が求められる。このような要求を満たすため、バックライトには、光拡散シート、プリズムシート、又は輝度向上シート(偏光分離シート)という光学機能性シートが組み込まれている。
これら光学機能性シートのうち、光拡散シートは以下のように機能する。すなわち、サイドライト型バックライトの場合、画面に対し側面から光線が入射するために導光板からの光は画面水平方向に偏った分布を持ち、また、画面方向に取り出すために導光板に刻まれている散乱ドットによる輝度ムラも観察される。そのため、光線の出射分布を均等化し、導光板に刻まれたドットの陰を隠蔽するために、光拡散シートを導光板上に重ねる。このサイドライト型バックライト用の光拡散シートには、例えば、ポリエステル樹脂などの透明基材上に、透明樹脂と架橋粒子や無機粒子などからなる拡散成分を含有した光拡散層が形成された構造をもつ光拡散シート等が用いられる(特許文献1参照)。
また、直下型バックライトの場合は、蛍光管が画面真下に設置されているため、蛍光管の形状に対応した輝度ムラが顕著に現れる。そのため、蛍光管像を隠蔽し、光線の出射分布を均等化させるために、ここでは強力な光散乱性(隠蔽性)を有する厚さ2〜3mmの光拡散板(光拡散シート)を蛍光管上側に配置する。この直下型バックライト用の光拡散シートには、例えば、メタクリル樹脂などの透明樹脂とシリコーン樹脂粒子等の拡散成分を、射出成形法や押出成形法を用いて練り混んでシート成形した光拡散シート等が用いられる(特許文献2参照)。
また、直下型バックライトを用いる液晶ディスプレイは、大型テレビなど広い視野角を必要とする用途に用いられるため、視野角の急峻な変化をもつプリズムシートは組み込まれないのが通常である。そのため、視野角を確保しつつ画面正面方向の輝度を少しでも高めるために、指向性をもたせた光拡散シート一枚または複数枚を前述の光拡散シートに重ねて用いている。この光拡散シートは、特許文献1に挙げたような粒子等の拡散成分を含有する光拡散層と同様の構成ではあるが、粒子の平均粒径を約20μmと大きくし、さらにバインダーに対する粒子の質量比を高く設定することにより、光拡散層内で凸レンズの役割を果たす粒子を密に形成することにより指向性を持たせて輝度を向上させるものである(特許文献3参照)。
いずれの方式のバックライトを用いた場合でも、光源としては線状または線状部分が多くを占める蛍光管を設置するため、蛍光管の長手方向に平行な方向と垂直な方向では、元々出射される光線の輝度分布が異なる。また、ディスプレイの用途によっては、敢えて画面上下左右方向で異なる輝度分布を持たせるように設計することがある。このため、画面上下左右方向の拡散性を制御することが求められてくる。この点、上記特許文献1〜3で例として挙げた光拡散シートの場合、拡散性能が全方向で均一なために、このような拡散性を制御することはできない。
このような拡散性を制御するためには、画面上下方向と左右方向で拡散性能が異なる異方性の光拡散シートが必要となってくる。このような異方性拡散シートとしては、例えば、(1)透明マトリクス中に該マトリクスとは屈折率の異なる微小線形物質が略平行に分散したシート(特許文献4参照)、(2)表面に縦割紡錘形状の凸部を略平行に備えたシート(特許文献5参照)、(3)縦横方向で屈折率の異なる繊維からなる織物と透明基材が貼り合わされたシート(特許文献6参照)等が挙げられる。
また近年、TVを中心に大画面化に対する要望が高まってきており、大画面表示に適した装置として背面投射型ディスプレイが注目されている。背面投射型ディスプレイの画像源としてはCRTを用いるのが一般的であったが、液晶パネルや微細鏡アレイを利用する装置が開発されるようになり、これらは軽量薄型コンパクト化と高輝度化を実現するものとして期待されている。
背面投射型ディスプレイは、CRTや液晶パネル等で生成された画像を投影レンズにより背面投射型スクリーンに拡大投影して映像を映し出すディスプレイである。ここで用いられるスクリーンは投射光を適切に配光して良好な画像認識を可能にする働きを担うものである。スクリーンとして、例えば、拡散粒子を練り混んだ等方的な拡散性を示す拡散板を用いることも可能ではあるが、投射光は発散的に入射するためにスクリーンの周辺部は外向きの指向性をもち、スクリーン正面方向から観察した場合には中心で明るく周辺が暗く、また斜めから観察した場合には近い方で明るく遠い方で暗くなる等、画面上での輝度ムラが顕著になる。
このような輝度ムラを排除するために、投射レンズ側にフレネルレンズシートを配置するのが一般的である。フレネルレンズシートは、投射レンズからスクリーンに発散的に入射する投射光をほぼスクリーン面に垂直な平行光に変換する働きをする。このように、スクリーン各部での光の方向をスクリーン面に垂直な方向に変換し、この後に拡散すればどのような方向から観察しても画面全体に渡ってほぼ均一な明るさを実現することが出来る。 さらに、フレネルレンズシートを通して平行光となった光を拡散する手段として、レンチキュラレンズシートを用いるのが一般的である。レンチキュラーレンズシートは、映像光が入射する面に垂直方向を長手方向とするレンチキュラーレンズが形成されたシートであり、入射する平行光を水平方向に拡散し視野角を拡大する異方拡散性を有するシートである。
レンチキュラーレンズシートの出射面は、画像源としてCRTを用いる場合には、色調整のため入射面に形成されたレンズからの光が集光される集光部を凸レンズ状に形成することが一般的である。また、入射面に形成されたレンチキュラーレンズからの光が集光しない非集光部は、シート面に平行な頂部をもつ凸状とされ、コントラスト向上のために凸状部の頂部に黒色塗料等からなる外光吸収層(ブラックストライプ)が設けられる。
また、上述したようなレンチキュラーレンズを用いたスクリーンでは、水平方向では光が広く拡散するために広い視野角が得られるが、垂直方向の視野角は狭いままである。水平方向ほど広げる必要性はないものの、垂直方向においても視野角を多少広げることが望まれる。近年、垂直方向の視野角を広げる手段として、水平方向に延びるレンチキュラーレンズに垂直方向に延びるレンチキュラーレンズを組み合わせたもの(特許文献7参照)、光拡散性を有する前面板を設けたもの(特許文献8参照)、及び、レンチキュラーレンズシートまたはフレネルレンズシートの内部に拡散粒子を入れ込んだものまたは表面に拡散層を設けたもの(特許文献9参照)などが知られている。
特開平6−59107号公報 特開平6−73296号公報 特開2002−357703号公報 特開平4−314522号公報 特開2002−107510号公報 特開平8−160205号公報 特開2000−338607号公報 特開2002−277966号公報 特開2001−228547号公報
しかしながら、まず、LCD用途に提案されている上記の異方性の光拡散シートには、次の問題点が挙げられる。
(1)のシートの場合、組成物の組合せとして大きく2種類ある。一つは、互いに非相溶である樹脂同士を組み合わせた相分離型樹脂組成物である。これは、該樹脂組成物をTダイ押出機に供給後、所定の溶融温度で押出加工を行い、次いで押出板を延伸することで分散樹脂の形状が球状から線状(略平行に分散)に変化させて異方性拡散シートを得るものである。この場合、用いられる樹脂の組合せとして、溶融温度およびガラス転移温度が近いものを選択しないと押出加工ができないこと、また、いずれかの樹脂が温度により劣化してしまう問題点がある。さらに、適度な親和性をもたないと延伸加工時に界面で剥離してしまい、樹脂形状を変形できないこと等の問題点がある。もう一つの組合せとしては、元より棒状形状を有する無機粒子等を分散させるものが挙げられる。これも上記同様に押出・延伸加工により異方性の光拡散シートが得られる。しかしながら、この場合、異物を除去するために押出機に設置するフィルターに該粒子が詰まるという問題点が挙げられる。 (2)のシートの場合、表面に規則的なパターンを転写するため金型成型などの技術を用いて加工することになる。縦割紡錘状のような表面を完全に覆い尽くすことができない形状を転写する場合、個々の突起間の隙間が平坦部として残ってしまう。この平坦部に入射する光線はそのまま出射するため拡散効率が劣るし、出射する光線の輝度分布にムラを生じる原因となる。
(3)のシートの場合、縦横方向の繊維の屈折率差を主に利用しているが、屈折率差だけでは異方性は不十分である。またさらに、この特許文献6には織物の織り目の隙間についての記載がほとんどみられないが、この部分を素通りする光線を減らさないと拡散効率も低下する。
また、背面投射型ディスプレイに関しても、次のような問題点が挙げられる。すなわち、垂直方向に延びるレンズが配列するレンチキュラーレンズシートと水平方向に延びるレンチキュラーレンズを組み合わせるような場合や、光拡散性を有する前面板を設ける場合には、部品点数が増えるため部品コスト及び製造コストが高くなる。また、スクリーンの積層数が増えるためにスクリーンが厚くかつ重くなり、さらに各層間での多重散乱の影響も増えるという問題がある。
また、構成部材の内部または表面に拡散層を形成する場合には、垂直方向の視野角拡大効果を十分に得るためには多量の拡散剤を混入する必要があり、その結果光量損失が著しく映像が暗くなってしまう。
またさらに、レンチキュラーレンズシートは前述のように表裏面に複雑な形状を作り上げる必要があり、歩留まりが悪く、製造コストが高いという問題点もある。
そこで本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を克服し、容易なプロセスで得ることができ、部品点数が少なく光利用効率も高く、かつ、縦横方向の拡散性を容易に制御することができる異方拡散性を有する光拡散シート、およびこれを用いた液晶ディスプレイ用バックライト及び液晶ディスプレイ、背面投射型スクリーンおよび背面投射型ディスプレイを提供せんとすることにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の光拡散シートは、(1) 織編物からなる光拡散シートであって、該織編物の織糸間又は編糸間に形成される空隙部にバインダー樹脂が充填され、該織編物の少なくとも片面に織り目又は編み目パターンに対応した凹凸形状が形成されてなることを特徴とする光拡散シートである。
本発明の光拡散シートは、次の好ましい態様を有している。
(2) 織編物が、少なくとも経糸または緯糸のいずれかがマルチフィラメントの織物である こと。
(3) 織編物が、少なくとも経糸または緯糸のいずれかが、複数の単繊維が面方向に略一列 に並ぶマルチフィラメントの織物であること。
(4) 織編物が、朱子織組織の織物であること。
(5) 織編物が朱子織組織の織物であって、経糸または緯糸のいずれかが、複数の単繊維が 面方向に略一列に並ぶマルチフィラメントからなり、該マルチフィラメントの占有率 が高い表面の織り目パターンが残存するようにバインダー樹脂が充填されてなること。(6) 織編物の下記式で定義される被覆率Sが、50%以上であること。
S={(S1−S2)/S1}×100
(ここで、織編物上に面積S1の領域を設定したとき、面積S1内において織糸間又は編糸間に形成される空隙部の面積をS2とする。)
(7) 織編物が、経糸密度と緯糸密度の異なる織物であること。
(8) 織編物の経糸と緯糸とが、単繊維径(糸を構成する各単繊維の繊維径、以下同じ。) の異なる繊維で構成されていること。
(9) 織編物を構成する糸が、透明糸であること。
(10) 織編物を構成する糸が、可視光を実質的に吸収しない材質からなること。
また、本発明の光拡散シートは、(11) 少なくとも支持体の片側表面に、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光拡散シートを、該光拡散シートの織り目又は編み目パターンに対応した凹凸形状が形成されている表面を支持体とは逆になるように貼り合わせてなることを特徴とする光拡散シートである。
そして本発明の光拡散シートは、さらに次の好ましい態様を有している。
(12) 上記(11)の光拡散シートの少なくとも片側表面に、上記(2)〜(10)のいずれかで規定 される織編物を、空隙部をバインダー樹脂で充填せずに貼り合わせてなること。
(13) 支持体の片側表面にのみ光拡散シートを貼り合わせてなる上記(11)の光拡散シートで あって、該光拡散シートが貼り合わされていないもう一方の支持体表面に、上記(2)〜 (10)のいずれかで規定される織編物を、空隙部をバインダー樹脂で充填せずに貼り合 わせてなること。
(14) 支持体の片側表面にのみ光拡散シートを貼り合わせてなる上記(11)の光拡散シートと、 上記(2)〜(10)のいずれかで規定される織編物が空隙部をバインダー樹脂で充填せずに 支持体の片面に貼り合わせてなるシートとを重ねて用いること。
(15) 上記(2)〜(13)のいずれかの光拡散シートを複数枚重ねて用いること。
(16) 経糸および緯糸方向を各々略平行になるように複数枚の織物を貼り合わせて、または 重ねて用いることを特徴とする上記(11)〜(15)のいずれかに記載の光拡散シート。
(17) 織編物がすべて、上記(2)〜(5)のいずれかで規定される織物であって、マルチフィラ メントの方向がすべて略平行になるように貼り合わせて、または重ねて用いることを 特徴とする上記(16)の光拡散シート。
(18) 支持体が透明基材であることを特徴とする上記(11)〜(17)請求項11〜17のいずれ かに記載の光拡散シート。
また、本発明の光拡散シートは、その光拡散シートを用いた液晶ディスプレイ用のバックライトに適用することができ、さらにその液晶ディスプレイ用バックライトを搭載してなる液晶ディスプレイとすることができる。
また、本発明の光拡散シートは、その光拡散シートを背面投射型スクリーン用として用いることができ、さらに、少なくとも、その背面投射型スクリーン用光拡散シートを用いた背面投射型スクリーンとすることができる。
本発明によれば、基材として織編物を用いてなる光拡散シートであって、容易なプロセスで得られる拡散異方性制御に優れた光拡散シート、およびこれを用いることで輝度分布を制御した液晶ディスプレイ及び背面投射型ディスプレイを得ることが可能となる。
本発明者らは、簡単なプロセスで異方性を制御することができる光拡散シートについて鋭意検討し、基材として織編物を用い、織編物の織糸間又は編糸間に形成される空隙にバインダー樹脂を充填してみたところ、上記課題を解決し、拡散性を制御した光拡散シートが形成できることを究明し本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の光拡散シートは、織編物からなる光拡散シートであって、該織編物の織糸間又は編糸間に形成される空隙部にバインダー樹脂が充填されることによって、織編物の織り目又は編み目パターンに対応した凹凸形状が、少なくとも片面に形成されることによって光拡散性を得るものである。
本発明のコンセプトの中心は基材として織編物を利用することであるが、織編物に形成される空隙をバインダー樹脂により埋め込んだ半埋没状態とし、織編物の織り方又は編み方に応じた表面凹凸を用いて異方拡散性を発現させるものである。
単に織編物を用いるだけで織糸間又は編糸間に形成される空隙を充填しない場合には、その空隙をそのまま素通りする入射光線が増加するために拡散手段としての効果が薄れる。また、織糸間又は編糸間に形成される空隙にバインダー樹脂を完全に埋没させ表面を平坦化した場合には、充填されたバインダー樹脂相に入射する光線は平坦表面で界面の屈折率差に応じて屈折されるが、散乱性が不十分で拡散効果が小さくなるため、バインダー樹脂を半埋没状態とし、少なくとも片面に織編物の織り目又は編み目パターンに対応した表面凹凸形状を形成することが重要である。
ここで、織り目又は編み目パターンに対応した凹凸形状とは、織物または編物の表面に浮き出ている織糸または編糸それぞれの単糸について、最表面側の部分の曲率がほぼ保持されている状態をいう。すなわち、表面凹凸を観察した場合に、織編物の組織、繊度および密度などが確認できる表面形状である。ここでは、繊維の表面がそのまま残っているものでもよいし、バインダー樹脂で繊維表面が覆われているものであってもよい。ただし、織物の場合には、少なくとも経糸または緯糸のいずれかについて、上記凹凸形状の定義が当てはまればよい。すなわち、経糸または緯糸のいずれかが樹脂の充填により埋没していてもよい。
この表面凹凸は、織編物の片面又は両面に形成することができるが、本発明においては、少なくとも片面側に形成されていればよく、もう一方の面が平坦であることも好ましい態様である。
本発明で用いる織編物に使用される繊維としては、透明であることが好ましい。ここでいう透明とは、繊維内部に酸化チタンなど無機微粒子に代表される光散乱性の成分を含まないことを表す。繊維自身が内部で光散乱性を示すと、入射光線を後方散乱するために出射成分が減少し光線利用効率の低下につながるため好ましくない。
さらに、繊維自身または繊維に含まれる添加剤等が可視光を実質的に吸収しないことも好ましい態様である。この場合にも、入射光線の吸収により利用効率が低下するため吸収のない繊維を用いるのがよいということになる。可視光を実質的に吸収しないとは、例えば380〜780nmの可視光領域において、繊維の原料となる樹脂自身または添加剤の透過率を測定した場合に、前記領域で特定のピークを示さず、かつ80%以上、好ましくは85%以上の透過率を持つもののことを表す。特開平8−292304号公報には、空隙をバインダー樹脂によって充填された織物からなるライトコントロール物品の発明に関し、以下の特徴が記載されている。すなわち、上記特許文献は、(1)織物又は充填するバインダー樹脂が光吸収性材料であること、(2)シート内部の光吸収の異方性を利用して光制御すること、を特徴とするものであるが、本発明では、上述したように光線利用効率を上げるために光吸収性の材料は使用しないことが好ましく、また表面形状を利用して異方拡散性を発現させるものであり、上記特許文献に記載の発明は、本発明とは明確に異なる内容である。
また、織編物に好ましく用いられる繊維の例としては、例えば、ポリメチルメタクリレートやポリアクリロニトリル等のアクリル繊維、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリイミド繊維、ポリアセタール繊維、ポリエーテル繊維、ポリスチレン繊維、ポリカーボネート繊維、ポリエステルアミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエーテルエステル繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルブチラール繊維、ポリフッ化ビニル繊維、ポリフッ化ビニリデン繊維、エチレン−酢酸ビニル共重合繊維、及びスチレン−アクリル共重合繊維などが挙げられる。
本発明で用いられる織編物を構成する織糸又は編糸の単繊維径は、1〜200μmが好ましく、より好ましくは1〜100μmである。本発明は、繊維によって形成される織編物表面の凹凸形状により可視光を拡散するものであるから、織糸又は編糸は少なくとも可視光波長以上の大きさを得るために1μm以上の径の糸条であることが好ましい。また、形成される凹凸形状が目視で認識されないように200μm以下であることが好ましい。また、織糸と編糸を構成する単繊維の繊維断面形状は、円形を初め、楕円形、三角形、四角形、六角形等の多角形、星形、ドーナツ形(中空)またはこれらの変形した形状など種々の形状のものが適用できる。また、これら織糸と編糸はモノフィラメントでもマルチフィラメントでもよく、また、紡績糸であってもよい。
また織物は、経糸と緯糸がまったく同一の糸条でもよく、同一材質であるが太さや断面形状が異なるもの、あるいは異なる材質からなるもの等、いずれの組合せも好ましく用いられる。
また、経糸と緯糸として、モノフィラメント、マルチフィラメント及び紡績糸のいずれの組合せにおいても好ましく用いることができるが、経糸と緯糸のいずれかがマルチフィラメントであることがさらに好ましい態様である。また、マルチフィラメントを用いた織物の場合には、マルチフィラメントを構成する複数の単繊維が織物の面方向に略一列に並ぶように形成されていることが好ましい。
ここで、マルチフィラメントを構成する複数の単繊維を略一列に並べる方法としては、製織された織物を通常の精錬・プレセット加工を施した後、通常のカレンダー加工機を用いて加熱及びプレス加工を行う方法が挙げられる。カレンダー加工としては、最近では熱カレンダー加工方式が一般的である。この方式においては、繊維の熱収縮率、生機密度と、加熱及びプレス加工での加熱温度、プレス圧力及び/または処理時間等の加工条件とを適宜選択することで所望の織物が得られる。これらの条件は互いに関連し合うが、繊維の熱収縮率を勘案した上で通常加熱温度160℃以上210℃以下、プレス圧力98N/cm2以上980N/cm2以下、処理時間10秒以上60秒以下の範囲で適宜設定することができる。
本発明で用いられる織編物は、従来公知の織物及び編物を適用することができ、織物組織としては、平織、綾織及び朱子織等が、また編物組織としては、横編み、縦編み及び丸編み等が好ましく用いられる。これら組織のうち、異方拡散性を発現させる点において、朱子織が特に好ましい。朱子織組織としては、4枚朱子、5枚朱子、7枚朱子、8枚朱子、10枚朱子および12枚朱子等の組織が好ましく用いられる。
また、織編物の織糸間又は編糸間に形成される空隙部の大きさに関係する被覆率S(%)を以下のように定義する。すなわち、織編物上に面積S1の領域を設定したとき、面積S1内において織糸間又は編糸間に形成される空隙部の面積をS2とすると、次式で定義される値をいう。
S(%)={(S1−S2)/S1}×100
ここで、面積S1およびS2は、織編物シートのシート面を走査型電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて、100〜400倍に拡大して観察したときに、得られた二次元画像において確認される面積である。
被覆率Sが小さすぎる場合には空隙部が多くなりすぎるため、バインダー樹脂を充填しても隣接する経糸または緯糸間の中央付近では充填された樹脂表面が平坦になりやすく好ましくない。このため被覆率Sとしては、50%以上100%以下が好ましい。被覆率Sが50%以上の場合には、バインダー樹脂のみからなる部分が極めて少なく、織編物の織り目又は編み目をほぼそのまま表面凹凸として反映させることが可能となり、表面形状制御が容易で好ましい。被覆率Sは、より好ましくは被覆率70%以上100%以下である。 ここで、光拡散シートの拡散性(異方拡散性)を制御する方法について説明する。異方拡散性を制御するために、織編物の組織、ストリングの種類(モノフィラメント又はマルチフィラメント)、経糸と緯糸の密度、経糸と緯糸の太さ、上記で定義された被覆率S、またはこれらの組み合わせによって織編物を設計する。
異方拡散性を向上させるためには、織編物の表面における任意の一軸方向について、その他方向と比較してより多くの単糸がより広い面積を占有して配列した構造のものを適用することが好ましい。すなわち、表面における任意の一軸方向に異方性のある構造を有する織編物を用いることで達成できる。この点において、編物よりも、経糸および緯糸からなる織物の方が、好ましい構造を形成できる。
織物表面において、一軸方向により多くの単糸を配列させるためには、経糸または緯糸のいずれかについて、織密度を高めること、ストリングの種類をマルチフィラメントにすること等の方法が用いられる。また、一軸方向により広い面積を占有して配列させるためには、織物組織として、例えば、経糸または緯糸のいずれかが表面により多く浮き出る朱子織組織の織物を用いる方法などが挙げられる。また、これらの方法、および好ましい範囲内において単繊維径を細くすること、被覆率を高めること等を組み合わせることで、求める異方拡散性を得ることが出来る。これら組合せの中では、織物組織が朱子織であって、経糸または緯糸のいずれかがマルチフィラメントであるものが最も好ましく、充填状態としては、マルチフィラメントの占有率の高い方の表面形状が残るように充填したものがよい。ここでは、織物表面の織糸占有状態は、顕微鏡などで観察することによって確認することができる。
経糸と緯糸の密度を変える場合、求める異方拡散性に合わせて設計することになるが、十分な異方性を発現させるためには、低密度側を基準として縦横比で1.2以上あることが好ましい。また、好ましい糸の単繊維径も鑑み、縦横比の最高は20以下であることが好ましい。また、経糸と緯糸の単繊維径を変える場合には、十分な異方拡散性を得るためには、細い方の糸を基準として1.5〜20倍の太さ比率であることが好ましい。ここでいう糸の密度は単糸(織糸又は編糸)単位で設定したものであり、単繊維径は単繊維単位で設定したものである。また、異なる材質からなる経糸と緯糸を用いた場合には、上記方法に加え屈折率差による異方性をも利用でき好ましいのであるが、経糸と緯糸の交差部位において屈折率が異なることにより界面が生じるため、光利用効率が低下することもあり得る。そのため、経糸と緯糸には同一材質からなる繊維を用いることがより好ましい。
また、本発明の光拡散シートは、織編物にバインダー樹脂が充填された構造であってもよく、またさらにそれと支持体とを貼り合わせた積層構造であってもよい。
支持体の例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びアクリル樹脂等の有機フィルム基材やガラス等の無機基材等が適用可能であるが、これらの中ではポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの二軸延伸されたポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。また、かかる支持体は、下地調整材や下塗り材などの処理が施されたものであってもよい。支持体を用いることにより、機械的強度、耐熱性及びハンドリング性などの特性が向上する。支持体の厚さは特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルム基材を用いる場合、機械的強度等の面から20〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。
また、支持体は、無機または有機微粒子等に代表される散乱成分を含有し光散乱性を示すもの、顔料、染料または各種波長の電磁波を吸収するような成分を含有するもの等も好ましく用いられるが、さらに好ましくは透明な基材、すなわち可視光波長領域において特定の吸収ピークをもたず、透過率80%以上の透明基材を用いることである。
支持体と貼り合わせる場合、少なくとも支持体の片側表面に、織編物の織り目又は編み目パターンに対応した凹凸形状が形成されている表面を支持体とは逆になるように貼り合わされていることが好ましい。さらに、支持体との貼り合わせ面側は、充填操作により支持体表面がすべてバインダー樹脂で覆われるように充填されることが好ましい。これは、充填された織編物と支持体の界面に空隙層が形成された場合、この空隙層によって入射光の反射が生じ、光利用効率が低下するからである。
またさらに、支持体と貼り合わされた本発明の光拡散シートの少なくとも片側表面に、上記織編物を、空隙部をバインダー樹脂で充填せずに貼り合わせることも好ましい態様である。上記した構造を持つ織編物は、それ自体は異方拡散性に優れるものの、空隙部を有するためにそのまま素通りする入射光が多く入射方向のみ著しく明るくなること、また、織糸または編糸による干渉縞が見えてしまうこと等、明るさムラが顕著になる欠点をもつことがある。よって、空隙部をバインダー樹脂で埋め込むことで、異方拡散性をもちながら明るさムラを低減した光拡散シートに、異方拡散性を増強するために空隙部を充填しない織編物を貼り合わせることによって、さらに異方性を高めたり、調整することが容易になる。
貼り合わせる場合の組合せとしては、バインダー樹脂を充填した織編物を片面または両面に貼り合わせた光拡散シートに、バインダー樹脂を充填していない織編物を片面または両面に貼り合わせた光拡散シートであれば、いずれの組合せであっても好ましく用いられる。これらの中では、支持体の片面にバインダー樹脂で充填された織編物が貼り合わされ、支持体のもう一方の表面に、バインダー樹脂が充填されていない織編物を貼り合わせた光拡散シートが最も好ましい態様である。
ここで、バインダー樹脂を充填せずに織編物を貼り合わされている状態とは、織編物の最表面がほぼ点または線接触した状態で支持体に貼り付いている状態をいい、拡散性が織編物単独の場合とほぼ同じになる。貼り合わせには、充填する際に使用するバインダー樹脂をそのまま利用することができる。
また、バインダー樹脂を充填した織編物を用いた光拡散シートとは別に、バインダー樹脂を充填していない織編物を単独で支持体に貼り合わせた光拡散シートを作製し、本発明の光拡散シートと重ねて用いることも好ましい態様である。
本発明で用いられるバインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられ、中でも光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂が特に好ましく用いられる。それは、これらのバインダー樹脂は硬度が高く、耐溶剤性、耐熱性及びハンドリング性に優れている等の理由による。これらバインダー樹脂は、織編物に用いられる繊維同様、実質的に光散乱性の成分を含まないこと、および実質的に可視光領域の光線の吸収がないことが好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールおよびこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれらの混合物等の熱可塑性樹脂が好ましく使用される。熱可塑性樹脂を使用してそれを織編物に充填するには、加熱により可塑化する方法では微細な織糸間に入りにくいため、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解した状態で充填し、その後溶剤を乾燥除去する手段が好ましく用いられる。
光硬化性樹脂の例としては、分子内に少なくとも一つのラジカル重合性を有する化合物やカチオン重合性を有する化合物等が挙げられる。ラジカル重合性を有する化合物としては、活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤の存在下に、化学放射線照射により高分子化または架橋反応する化合物で、例えば、構造単位中にエチレン性の不飽和結合を少なくとも1個以上含むものであり、1官能であるビニルモノマーの他に多官能ビニルモノマーを含むものであり、またこれらのオリゴマー、ポリマーあるいは混合物であってもよい。また、分子内に少なくとも一つのカチオン重合性を有する化合物としては、オキシラン環を有する化合物、オキセタン環を有する化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれた一つあるいは2種以上の化合物から選ばれたものが挙げられる。
光硬化性樹脂の特徴としては、硬化速度が速く、硬度が高く、樹脂設計の自由度が大きいこと、また無溶剤で充填可能なために乾燥工程による膜減りが無く、充填形状がそのまま保持されるなどの点が挙げられる。
熱硬化性樹脂の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられ、これらより選択された1種類もしくは2種類以上の混合物を用いることができる。熱硬化性樹脂の特徴としては、特に耐熱性と機械特性に優れている点および、光硬化性樹脂と同じく充填形状がそのまま保持されること等が挙げられる。
光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂には、通常、重合開始剤が用いられる。光硬化性樹脂の場合には、感光波長および重合形式に合わせ、活性エネルギー線の照射によりラジカル種またはカチオン種を発生する光重合開始剤を、また、熱重合開始剤の場合にはプロセス温度に合わせた熱重合開始剤を用いることが好ましい。
バインダー樹脂には、各種添加剤を使用してもよい。かかる添加剤としては、界面活性剤、架橋剤、無機粒子などの充填材、造膜助剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定化剤、顔料、染料、可塑剤、粘度調整剤及び酸化防止剤等が挙げられる。また、界面活性剤は、織編物とバインダー樹脂の親和性を高め、充填性を向上させるため好ましい添加剤である。かかる界面活性剤の例としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤などが好ましく用いられる。
本発明で用いられる織編物をバインダー樹脂で埋めた光拡散シートの製造方法としては、(1)バインダー樹脂中に織編物を浸漬し織編物を引き上げる方法、または織編物の上からバインダー樹脂を塗布する方法、(2)支持体上にバインダー樹脂層を形成し、該バインダー樹脂層上から織編物を貼り合わせる方法、(3)支持体上に織編物を積層し、その織編物の上からバインダー樹脂を塗布する方法、(4)支持体上に、バインダー樹脂を充填した織編物を貼り合わせる方法等が好ましく用いられる。ここで挙げた製造方法の中では、(2)の方法が最も好ましい。つまり、所望の織り目または編み目パターンをもつ面の逆側を貼り合わせ面とすることによって、充填操作による目詰まり等の不具合を最も避けることができる方法であり、所望の表面凹凸を忠実に再現することができる。また、支持体を用いて製造する方法であっても、充填後に支持体を剥離して充填された織編物だけを用いることもできる。
本発明の光拡散シートの製造方法は、上記挙げた方法に限られずその他方法も好ましく用いることが出来る。いずれの場合にも、一度バインダー樹脂を充填した織編物の上からさらにバインダー樹脂を充填する操作を行い、充填度合いを調整することもできる。また、バインダー樹脂として、溶剤に溶解した熱可塑性樹脂を用いる場合には充填後に乾燥工程が付加され、また光硬化性樹脂を用いた場合には充填後に紫外線等の活性エネルギー線を照射する工程が付加され、また熱硬化性樹脂を用いた場合には充填後に加熱処理工程が必要になる。
次に、本発明において、バインダー樹脂の好ましい充填形状を模式図を用いて説明する。ここでは、経糸と緯糸は同一原料組成からなり、透明基材と貼り合わせて作製した光拡散シートを例示説明する。
図1は、織物14を用いた本発明の光拡散シートの面内パターンおよび断面を模式的に示す図であり、ここでは経糸3と緯糸4が同じ太さであり、同じ密度で製織された織物14が用いられている場合であり、織物14の片面に透明基材6が貼着されている。図1中、図1(a)はバインダー樹脂5を充填した織物14を真上から見たときの模式図であり、図1(b)〜(d)は、図1(a)の破線(経糸3平行方向における断面観察位置1)で示した経糸3に平行な方向における部分の光拡散シート断面を示す模式図であり、織物14の織糸(経糸3と緯糸4)間に空隙部15が形成されている。
図1において、バインダー樹脂5の好ましい充填形状としては、織糸(緯糸4)の部分が凸であり、織糸(2本の経糸3と2本の緯糸4)間の空隙部15のバインダー樹脂5表面も凹状曲面になっている形状である。具体的に、図1(b)のように織糸と空隙部15が連続的にサインカーブ様に連なっている形状、図1(c)のように織糸上部もバインダー樹脂5樹脂で被覆された状態で連なっている形状、または図1(d)のように織糸がバインダー樹脂5表面から突出している形状等が好ましい例として挙げられる。この織物14は、図1(a)に示されるように、平織組織で縦横いずれの断面も同様の形状を呈しているから、拡散性は左右で対称となる。
図2は、織物14を用いた本発明の他の光拡散シートの面内パターンおよび断面を模式的に示す図である。図2中、図2(a)はバインダー樹脂5を充填した織物14を真上から見たときの模式図であり、図2(b)は、図2(a)の破線(経糸3平行方向における断面観察位置1)で示した部分の光拡散シート断面を示す模式図である。また、図2(c)は、図2(a)の破線(緯糸4平行方向における断面観察位置2)で示した部分の光拡散シート断面を示す模式図である。図2の光拡散シートにおいても、織物14の片面に透明基材6が貼着されており、そして、織物14の織糸(経糸3と緯糸4)間に空隙部15が形成されている。
図2は、図2(a)に示されるように、経糸3密度が緯糸4密度よりも大きい平織組織の織物14を用いた光拡散シートを例示している。この場合、経糸3密度が緯糸4密度より高いため、バインダー樹脂5により充填された織物14の緯糸4に平行な断面(図2(c))に形成される凹凸の曲率が、経糸3に平行な方向よりも大きくなる。そのため、縦方向より横方向への拡散性が高い光拡散シートが得られる。
図3は、織物14を用いた本発明の他の光拡散シートの面内パターンおよび断面を模式的に示す図である。図3中、図3(a)はバインダー樹脂5を充填した織物14を真上から見たときの模式図であり、図3(b)は、図3(a)の破線(経糸3平行方向における断面観察位置1)で示した部分の光拡散シート断面を示す模式図である。また、図3(c)は、図3(a)の破線(緯糸4平行方向における断面観察位置2)で示した部分の光拡散シート断面を示す模式図である。図3の光拡散シートにおいても、織物14の片面に透明基材6が貼着されており、そして、織物14の織糸(経糸3と緯糸4)間に空隙部15が形成されている。
図3は、図3(a)に示されるように、緯糸4がマルチフィラメントのような扁平化し得る糸条からなる織物14、すなわち被覆率を表す被覆率Sの高い織物14を用いた光拡散シートを示している。この場合、ほぼ織物14の織り目を反映した表面をもつ光拡散シートを得ることが出来る。また、図3は、経糸3と緯糸4の太さが異なる場合を示しており、そして、緯糸4に単繊維3本を1糸条として用い製織した平織組織の織物14を用いた例である。図3の場合、縦横で密度を変えた場合と同様に、表面の縦方向では曲率の高い部分が多く、縦方向への拡散性が高い光拡散シートが得られる。
図4は、織物14を用いた本発明の他の光拡散シートの面内パターンおよび断面を模式的に示す図である。図4中、図4(a)はバインダー樹脂5を充填した織物14を真上から見たときの模式図であり、図4(b)は、図4(a)の破線(経糸3平行方向における断面観察位置1)で示した部分の光拡散シート断面を示す模式図である。また、図4(c)は、図4(a)の破線(緯糸4平行方向における断面観察位置2)で示した部分の光拡散シート断面を示す模式図である。図4の光拡散シートにおいても、織物14の片面に透明基材6が貼着されており、そして、織物14の織糸(経糸3と緯糸4)間に空隙部15が形成されている。
図4は、図4(a)に示されるように、図3で用いた織物14の織り方を変え、表面への緯糸4の露出が多い織物を用いた光拡散シートを示している。すなわち、図3よりも緯糸4に単繊維本数の多い緯糸4を用い製織した朱子織組織の織物14を用いた例である。この場合、図3の光拡散シートよりもさらに縦方向への拡散性が高い光拡散シートが得られる。
図1〜4では、織物を基材とした光拡散シートを例示したが、織物と同様に編物を基材とした光拡散シートとすることもできる。
また、本発明においては、充填されるバインダー樹脂、織糸と編糸または/及び支持体の屈折率をほぼ等しくすることも好ましい態様である。それは、光拡散シート内部での光学的な界面をなくすことで光拡散シートの光利用効率を高めること、また、光拡散シート表面の形状だけで拡散性を制御できること等の理由によるものである。いずれの部材についても好ましい屈折率範囲は1.35〜1.8である。
次に、本発明の光拡散シートを用いた液晶ディスプレイ用のバックライトの好ましい構成を図5および図6に例示するが、本発明はこれらの構成に限られるものではない。
図5は、本発明の光拡散シートを液晶ディスプレイのサイドライト型バックライトに組み込んだ場合のバックライトの構成を模式的に示す図である。図5において、サイドライト型バックライトは、透明なアクリル板を加工した導光板9と、その側面に配置された一本または複数の線状の蛍光管11と、導光板9の底面側に配置された反射シート10と、導光板9の表面側に配置された本発明の光拡散シート8と、その光拡散シート8の更に上部に設置されたプリズムシートまたは偏光分離シート等の輝度向上シート7で構成されている。サイドライト型バックライトにおける本発明の光拡散シート8は、少なくとも導光板9の表面側に一枚または複数枚用い、図5のようにプリズムシートや偏光分離シート等の輝度向上シート7と組み合わせることが好ましい。また、輝度向上シート7と組み合わせる際の本発明の光拡散シート8の位置は特に限定されるものではない。
サイドライト型バックライトの場合、導光板9の側面から光線を入射するため、導光板9の表面から出射される光線は、画面上下方向と水平方向で配向特性が異なる。そのため、導光板9からの配光特性に応じ、縦横の拡散性を制御した本発明の光拡散シート8を用いることで、両方向での配向特性を調整し均一化することが可能となる。
図6は、本発明の光拡散シートを液晶ディスプレイの直下型バックライトに組み込んだ場合のバックライトの構成を模式的に示す図である。図6において、直下型バックライトは、反射シート10が敷き詰められた筐体13底面に複数の線状蛍光管11を並べ、蛍光管11上部に拡散板12を配置し、さらにその上に本発明の光拡散シート8を配置した構成を有するものである。直下型バックライトにおける本発明の光拡散シート8は、少なくとも蛍光管11上部に一枚または複数枚用い、図6のように輝度向上シート7と組み合わせることが好ましい。また、組み合わせる際の本発明の光拡散シート8の位置は特に限定されるものではない。
直下型バックライトの場合、画面奥に線状蛍光管11が平行に配置されているため、前述のサイドライト型バックライトよりも顕著に画面上下方向と水平方向では配向特性が異なる。そのため、本発明の光拡散シート8による異方拡散性を利用することで、両方向での配向特性を調整し均一化することが可能となる。
いずれのバックライトの場合においても、本発明の光拡散シート8表面の凹凸面は、蛍光管11からの光の入射型、出射側のいずれの向きで用いてもよい。
このような構成の光拡散シート8を用いることにより水平方向および垂直方向における配光特性の制御が容易となり、光利用効率が高く、輝度分布の制御された液晶ディスプレイを得ることが可能となる。また、本発明の光拡散シート8は、背面投射型ディスプレイ用途にも好ましく用いることが出来る。
本発明の光拡散シート8を用いた背面投射型スクリーンは、少なくとも、織編物を用いた光拡散シートからなることが好ましい。また、本発明では、フレネルレンズシートを組み合わせる方がさらに好ましい。フレネルレンズシートとしては、公知の方法で製造できるフレネルレンズシートを使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂を加熱されたスタンパを用いて押圧しレンズ面を成形する手法や、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射によって硬化する樹脂を使用してレンズシートを成形する手法等が挙げられるが、特にその材質および製造方法に限定されるものではない。
この2つの部材の組合せ方は、フレネルレンズシートのレンズ面と光拡散シートの凹凸面が向き合うように設置する組合せ、フレネルレンズシートのレンズ面と光拡散シートの平坦面が向き合うように設置する組合せ、及び両シートの平坦面が向き合うように設置する組合せ等が好ましく用いられる。
また、これら2つの部材以外にも、さらに、同一または異なる表面形状をもつ光拡散シート、等方性の拡散性を示す光拡散シート、及びレンチキュラーレンズシート等を、上記2つの部材の間または外側に設置することも好ましい態様である。
このような構成の背面投射型スクリーンを用いることにより、水平方向および垂直方向の視野角制御が容易であり、光利用効率の高くて明るい背面投射型ディスプレイを得ることが可能となる。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(特性の測定方法)
A.断面観察
光拡散シートの断面を切り出して白金−パラジウム蒸着を施した後、走査型電子顕微鏡S−2100A(日立製作所(株)製)を用いて200倍で断面観察を行い、充填形状を観察した。
B.被覆率測定
織編物に白金−パラジウム蒸着を施した後、走査型電子顕微鏡S−2100A(日立製作所(株)製)を用いて100倍で表面を観察した。得られた二次元画像全体の面積S1および、面積S1内において織糸間又は編糸間に形成される空隙部の面積S2を求め、次式から計算される被覆率Sを測定した。
S(%)={(S1−S2)/S1}×100
C.拡散性評価
暗室において、光拡散シートを壁から10cm離した状態で、その光拡散シート面が平行かつ凹凸面が壁とは逆側になるように固定し、該凹凸面に垂直にレーザーポインター(グリーンレーザーポインターGLP−FB((株)高知豊中技研製):ビーム径1mm、波長532nm、出力1mW未満)から出力されるレーザービームを照射し、壁に映し出されるビーム像の形状を観察した。ここで、壁に映し出される像について、レーザービームがそのまま素通りし、明るい輝点(スポット)として観察されるものは拡散性が弱く好ましくないものである。
(実施例1)
織物として、下記の織物1を使用した。
(織物1)
糸 種:経糸・緯糸共/13dtexのナイロンモノフィラメント
ナイロン66単繊維径38μm
粒子添加:なし
織物組織:平織組織
織物密度:タテ・ヨコ共/300本/2.54cm
被覆率 :70%
で製織後、常法に従って加熱セットし、織物1を作成した。
次に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)QT40 膜厚100μm)の透明基材上に、下記組成物1のバインダー樹脂をバーコーター(#6)を用いて塗布し、厚み9μmの塗膜を形成後、上記のように作成した織物1を、さらにその上から重ねて貼り合わせた。
(組成物1)
カチオン重合性樹脂
“アデカオプトマー”(登録商標) KRM−2199(旭電化工業(株)製)
10重量部
“アロンオキセタン”(登録商標) OXT−221(東亞合成(株)製)
1重量部
カチオン系光重合開始剤
“アデカオプトマー”(登録商標) SP−172(旭電化工業(株)製)
1重量部
上記のように織物1を貼り合わせ後、超高圧水銀灯を用いて400mJ/cm2露光し、組成物1を硬化させることで、求める光拡散シートを作製した。このようにして得られた光拡散シートの表面は、織物1の織糸が露出し曲率をほぼ維持した凹凸形状であり、バインダー樹脂の充填形状を観察すると、単糸と空隙部が滑らかに繋がる図1(b)タイプの波形形状で、空隙部最下点膜厚が15μmであった。拡散性を評価してみると、1mm径のレーザースポットが、25mm角の正方形状に拡大された。
(実施例2)
実施例1において、織物として下記織物2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして光拡散シートを作製した。
(織物2)
糸 種:経糸・緯糸共/13dtex−1フィラメント(ナイロン66)
単繊維径38μm
粒子添加:なし
織物組織:平織組織
織物密度:タテ 150本/2.54cm
ヨコ 300本/2.54cm
被覆率 :57%
で製織後、常法に従って加熱セットし、織物2を作成した。
このようにして得られた光拡散シートの表面は、織物2の織糸が露出し曲率をほぼ維持した凹凸形状であり、バインダー樹脂の充填形状を測定すると、単糸と空隙部が滑らかに繋がる図1(b)タイプの波形形状で、空隙部最下点膜厚が20μmであった。拡散性を評価してみると、1mm径のレーザースポットが、縦方向に25mm、横方向に15mmの略長方形状に拡大され、縦横で異方性をもったシートが得られた。
(実施例3)
織物として、下記の織物3を使用した。
(織物3)
糸 種:タテ糸/17dtex−7フィラメント(ナイロン66)
単繊維径16μm
ヨコ糸/13dtex−1フィラメント(ナイロン66)
単繊維径38μm
粒子添加:なし
織物組織:4枚朱子組織
織物密度:タテ202本/2.54cm ヨコ206本/2.54cm
被覆率 :80%
経糸に、アクリル糊材(互応化学JW95)を9.2重量%付着させて製織した。次に常法に従って糊抜き精練・加熱セットし、織物3を得た。次に、PETフィルム(東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)QT40 膜厚100μm)上に組成物1のバインダー樹脂をバーコーター(#24)を用いて塗布し、厚み36μmの塗膜を形成後、上記のように作成した織物3を、タテ糸の占有率が高い表面を支持体とは逆にして重ねて貼り合わせた。上記のように織物3を貼り合わせ後、超高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2露光し、組成物1を硬化させ、求める光拡散シートを作製した。このようにして得られた光拡散シートの表面は、織物3の織糸が露出し曲率をほぼ維持した凹凸形状であり、バインダー樹脂の充填形状を測定すると、単糸と開口部が滑らかに繋がる図1(b)タイプの波形形状で、空隙部最下点膜厚が20μmであった。拡散性を評価してみると、1mm径のレーザースポットが、縦方向に20mm、横方向に55mmの略長方形状に拡大され、縦横で異方性をもったシートが得られた。
(実施例4)
織物として、下記織物4を使用した。
(織物4)
糸 種:タテ糸/17dtex−7フィラメント(ナイロン66)
単繊維径16μm
ヨコ糸/13dtexー1フィラメント(ナイロン66)
単繊維径38μm
粒子添加:なし
織物組織:4枚朱子組織
織物密度:タテ202本/2.54cm ヨコ206本/2.54cm
被覆率 :92%
経糸に、アクリル糊材(互応化学JW95)を9.2重量%付着させて製織した。次に常法に従って、糊抜き精錬・加熱セット後、加熱ロール表面温度180℃、プレス圧力880N/cm2、処理時間30秒でカレンダー加工を実施し、織物4を得た。この織物4のタテ糸(マルチフィラメント)は7本の単繊維が面方向にほぼ一列に並んでいた。次に、PETフィルム(東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)QT40 膜厚100μm)上に組成物1のバインダー樹脂をバーコーター(#14)を用いて塗布し、厚み20μmの塗膜を形成後、上記のように作製した織物4を、タテ糸の占有率が高い表面を支持体とは逆にして重ねて貼り合わせた。織物4を貼り合わせ後、超高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2露光し、組成物1を硬化させ、求める光拡散シートを作製した。このようにして得られた光拡散シートの表面は、織物4の織糸が露出し曲率をほぼ維持した凹凸形状であり、バインダー樹脂の充填形状を測定すると、単糸と空隙部が滑らかに繋がる図1(b)タイプの波形形状で、空隙部最下点膜厚が35μmであった。拡散性を評価してみると、1mm計のレーザースポットが、縦方向に20mm、横方向に70mmの略長方形に拡大され、縦横で異方性をもったシートが得られた。
(実施例5)
実施例4で得られた光拡散シートにおいて、織物が貼り合わされていないPETフィルム表面に組成物1のバインダー樹脂をバーコーター(#3)を用いて塗布し、厚み5μmの塗膜を形成後、実施例4で作製した織物4をタテ糸の占有率が高い表面を支持体とは逆にし、さらに実施例3で貼り合わせた織物4とタテ糸およびヨコ糸がそれぞれ平行になるように重ねて貼り合わせた。貼り合わせ後、超高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2露光し、組成物1を硬化させ、求める両面織物貼り合わせの光拡散シートを作製した。本実施例において貼り合わせた織物4は、PETフィルムと点または線接触して貼り合わされていた。拡散性を評価してみると、1mm径のレーザースポットが、縦方向に15mm、横方向に100mmの略長方形状に拡大され、縦横で異方性を持ったシートが得られた。
(比較例1)
実施例1において、織物1に組成物1を充填せず、単に織物1と透明基材を重ね合わせた光拡散シートを作製した。拡散性を評価すると、十文字状に延びる像が得られたものの、レーザーは拡散されずにほぼ素通りし、ほぼ1mm径のスポット(円形)が強く観察され、光拡散シートとしての拡散性は弱いものであった。
(比較例2)
実施例1において、バーコーターを#30を用い、塗膜厚みを45μmにして光拡散シートを作製した。断面を観察すると、織物1がすべて埋没し表面には凹凸形状がなく平坦な光拡散シートであった。拡散性を評価すると、比較例1と同様に十文字状の像が得られたが、拡散性が弱く、3mm径(円形)のスポットが強く観察され、レーザーがほぼ素通りしていることがわかった。
本発明の光拡散シートは異方拡散性を有し、特に液晶ディスプレイ用バックライト及び液晶ディスプレイ、及び背面投射型スクリーン及び背面投射型ディスプレイ等に好適に用いられ、産業上有意義である。
図1は、織物を用いた本発明の光拡散シートの面内パターンおよび断面を模式的に示す図である。 図2は、織物を用いた本発明の他の光拡散シートの面内パターンおよび断面を模式的に示す図である。 図3は、織物を用いた本発明の他の光拡散シートの面内パターンおよび断面を模式的に示す図である。 図4は、織物を用いた本発明の他の光拡散シートの面内パターンおよび断面を模式的に示す図である。 図5は、本発明の光拡散シートを液晶ディスプレイのサイドライト型バックライトに組み込んだ場合のバックライトの構成を模式的に示す図である。 図6は、本発明の光拡散シートを液晶ディスプレイの直下型バックライトに組み込んだ場合のバックライトの構成を模式的に示す図である。
符号の説明
1 経糸平行方向における断面観察位置
2 緯糸平行方向における断面観察位置
3 経糸
4 緯糸
5 バインダー樹脂
6 透明基材
7 輝度向上シート
8 光拡散シート
9 導光板
10 反射シート
11 蛍光管
12 拡散板
13 筐体
14 織物
15 空隙部

Claims (22)

  1. 織編物の織糸間又は編糸間に形成される空隙部にバインダー樹脂が充填され、該織編物の少なくとも片面に織り目又は編み目パターンに対応した凹凸形状が形成されてなることを特徴とする光拡散シート。
  2. 織編物が、少なくとも経糸または緯糸のいずれかがマルチフィラメントの織物であることを特徴とする請求項1記載の光拡散シート。
  3. 織編物が、少なくとも経糸または緯糸のいずれかが、複数の単繊維が面方向に略一列に並ぶマルチフィラメントの織物であることを特徴とする請求項1または2記載の光拡散シート。
  4. 織編物が、朱子織組織の織物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散シート。
  5. 織編物が朱子織組織の織物であって、経糸または緯糸のいずれかが、複数の単繊維が面方向に略一列に並ぶマルチフィラメントからなり、該マルチフィラメントの占有率が高い表面の織り目パターンが残存するようにバインダー樹脂が充填されてなることを特徴とする請求項4記載の光拡散シート。
  6. 織編物の下記式で定義される被覆率Sが、50%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散シート。
    S={(S1−S2)/S1}×100
    (ここで、織編物上に面積S1の領域を設定したとき、面積S1内において織糸間又は編糸間に形成される空隙部の面積をS2とする。)
  7. 織編物が、経糸密度と緯糸密度の異なる織物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光拡散シート。
  8. 織編物の経糸と緯糸とが、単繊維径の異なる繊維で構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光拡散シート。
  9. 織編物を構成する糸が、透明糸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光拡散シート。
  10. 織編物を構成するが、可視光を実質的に吸収しない材質からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光拡散シート。
  11. 少なくとも支持体の片側表面に、請求項1〜10のいずれかに記載の光拡散シートを、該光拡散シートの織り目又は編み目パターンに対応した凹凸形状が形成されている表面を支持体とは逆になるように貼り合わせてなることを特徴とする光拡散シート。
  12. 請求項11記載の光拡散シートの少なくとも片側表面に、請求項2〜10のいずれかで規定される織編物を、空隙部をバインダー樹脂で充填せずに貼り合わせてなることを特徴とする光拡散シート。
  13. 支持体の片側表面にのみ光拡散シートを貼り合わせてなる請求項11記載の光拡散シートであって、該光拡散シートが貼り合わされていないもう一方の支持体表面に、請求項2〜10のいずれかで規定される織編物を、空隙部をバインダー樹脂で充填せずに貼り合わせてなることを特徴とする光拡散シート。
  14. 支持体の片側表面にのみ光拡散シートを貼り合わせてなる請求項11記載の光拡散シートと、請求項2〜10のいずれかで規定される織編物が空隙部をバインダー樹脂で充填せずに支持体の片面に貼り合わせてなるシートとを重ねて用いることを特徴とする光拡散シート。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の光拡散シートを複数枚重ねて用いることを特徴とする光拡散シート。
  16. 経糸および緯糸方向を各々略平行になるように複数枚の織物を貼り合わせて、または重ねて用いることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の光拡散シート。
  17. 織編物がすべて、請求項2〜5のいずれかで規定される織物であって、マルチフィラメントの方向がすべて略平行になるように貼り合わせて、または重ねて用いることを特徴とする請求項16の光拡散シート。
  18. 支持体が透明基材であることを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の光拡散シート。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載の光拡散シートを用いてなる液晶ディスプレイ用のバックライト。
  20. 請求項19記載の液晶ディスプレイ用バックライトを搭載してなることを特徴とする液晶ディスプレイ。
  21. 請求項1〜18のいずれかに記載の光拡散シートを用いてなる背面投射型スクリーン。
  22. 請求項21記載の背面投射型スクリーンを用いてなる背面投射型ディスプレイ。
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