JP2005188672A - バルブ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】流量特性を向上してガスの流量を大きくし、弁室内でのガスの滞留を抑制して、真空排気性能やパージ性能などのガス置換特性を向上させる。
【解決手段】
ハウジング(2)に第1流路(7)と閉止弁(8)の弁室(9)と第2流路(10)とを順に形成する。弁室(9)を保密状に覆う状態にダイヤフラム(13)を配置する。ダイヤフラム(13)の中間部が対面する弁室内面に第1流路(7)の内端を開口し、この開口の周囲に弁座(15)を形成する。ダイヤフラム(13)を弁座(15)に接離させることで閉止弁(8)を開閉させる。弁室内面のうち弁座(15)の周囲に溝部(18)を形成する。この溝部(18)に第2流路(10)と連通する溝出入口(19)を、溝幅(w)を直径とする円形よりも広い面積で開口させる。この溝出入口(19)と溝部(18)とを順に介して第2流路(10)を弁室(9)に連通させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、容器弁等に用いられるバルブ装置に関し、さらに詳しくは、半導体産業において使用される半導体材料ガスやパージガス、標準ガス、キャリヤガス等の、高純度ガスを貯蔵し供給するガス容器などに装着されるバルブ装置として適した構造の、流量特性やガス置換特性にすぐれたバルブ装置に関する。
半導体プロセスに使われるガスは、高純度かつ高清浄度が求められ、ガス中にパーティクルや酸素、水分等の不純物が存在すると、酸化や金属汚染に起因したデバイス特性不良や、製品の歩留まり低下といった問題を引き起こす。
一般に、半導体製造設備や高純度ガス供給設備にガス容器を取り付ける際には、バルブ装置の接続部が大気に暴露されているため、この接続部とガス設備の取り付け用配管との間に大気が混入してしまう。そこでこのとき混入した大気は、窒素やアルゴンガスといった不活性ガスによるパージや、真空排気により除去されるが、これらの除去が不十分であると、残留不純物がガス容器内へ混入する惧れがある。
例えば反応性を持つガスを用いる場合に、酸素や水分等の大気成分ガスが残留不純物として混入すると、ガス濃度の経時変化を引き起こし、酸化反応による不純物生成や、ガス容器とバルブ装置の接ガス部の金属表面に腐食を生じさせる原因となる。
また、ガス供給時には、ガス供給設備から消費設備にかけて、残留不純物による汚染が発生する。ガス供給時における汚染の影響は、ガスシステムに対してだけでなく、半導体製品の歩留りの低下や電気的特性の不良としても現れる。
さらに、上記の不純物との反応で生成したガム状の付着物が弁室内面に堆積すると、閉止弁の作動不良などを生じる惧れもある。
従来、上記のガス容器に用いられるバルブ装置として、図10に示すように、ハウジング(51)に第1流路(52)と閉止弁(53)の弁室(54)と第2流路(55)とを順に形成し、上記の弁室(54)をダイヤフラム(56)で保密状に覆った、いわゆるダイヤフラム式バルブ装置(50)がある(例えば、特許文献1参照。)。このバルブ装置(50)は、上記のダイヤフラム(56)の中間部が対面する弁室内面に第1流路(52)の内端を開口して、この開口の周縁に弁座(57)を形成してあり、このダイヤフラム(56)を弁座(57)に対し進退させることで、この閉止弁(53)を開閉するように構成してある。
上記のバルブ装置(50)は、弁室(54)内でガスに接する部材がハウジングの弁室内面以外にダイヤフラム(56)の下面のみであり、極めて簡単な構成であることから、半導体プロセスガスなどの高純度ガスを取り扱う場合に適している。
特許第2775496号公報
上記の従来のバルブ装置(50)は、第1流路(52)の内端開口と第2流路(55)の内端開口との間をガスが流通するが、ダイヤフラム(56)が両流路(52・55)の内端開口から大きく離れていると、弁室(54)内でダイヤフラム(56)の近傍にガスが滞留し易い。また、ガス設備との着脱の際に、弁室(54)内のガスの残量や弁室(54)内への空気の流入量をできるだけ少なくすることが好ましく、これらの理由から、上記の弁室(54)はできるだけ小さな容積に形成される。しかしながら、上記のダイヤフラム(56)を両流路(52・55)に近接させて弁室(54)の容積を小さくすると、特に閉弁時には、弁座(57)を挟んで第2流路(55)の内端開口とは反対側に狭い空間(58)が形成され、この狭い空間(58)にガスが滞留し易くなる問題がある。この結果、真空排気や不活性ガスでパージする操作の繰返し回数が多く必要となり、弁室内のガスを置換する操作が煩雑で時間がかかる問題がある。
また、図11に示すように、上記の第1流路(52)の内端開口は平面視で弁室(54)の略中央に開口され、第2流路(55)の内端開口は、弁座(57)の周囲と弁室(54)の周縁との間に開口されることから、両流路(52・55)の内径を共に大きくすることが容易でない。例えば、ダイヤフラムの直径に対し、両流路の内径はそれぞれ5分の1程度が限度となる。このため、両流路を経て流通するガスの流量を大きくすることが容易でなく、充填作業等に時間がかかる問題があった。
本発明は上記の問題点を解消し、流量特性を向上してガスの流量を大きくできるうえ、弁室内でのガスの滞留を抑制し、真空排気性能やパージ性能などのガス置換特性を向上させたバルブ装置を提供することを技術的課題とする。
本発明は上記の課題を解決するため、例えば本発明の実施の形態を示す図1から図9に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち、本発明はバルブ装置に関し、ハウジング(2)に第1流路(7)と閉止弁(8)の弁室(9)と第2流路(10・23)とを順に形成し、上記の弁室(9)を保密状に覆う状態にダイヤフラム(13)を配置し、このダイヤフラム(13)の中間部が対面する弁室内面に第1流路(7)の内端を開口して、この開口の周囲に弁座(15)を形成し、上記のダイヤフラム(13)を弁座(15)に接離させることで閉止弁(8)を開閉するように構成したバルブ装置であって、上記の弁室内面のうち、上記の弁座(15)の周囲に溝部(18)を形成し、この溝部(18)に上記の第2流路(10・23)と連通する溝出入口(19)を、溝幅(w)を直径とする円形よりも広い面積で開口させ、この溝出入口(19)と溝部(18)とを順に介して上記の第2流路(10・23)を上記の弁室(9)に連通させたことを特徴とする。
上記の溝部に形成される溝出入口は、溝幅を直径とする円形よりも広い面積で開口しているので、前記の従来技術よりも流通抵抗が小さい。このため、上記の第1流路から弁室内に流入したガスは、上記の溝部を円滑に流通して上記の溝出入口から第2流路に案内される。逆に、第2流路から流入するガスは上記の溝出入口を経て溝部を円滑に流通したのち、弁室から第1流路に案内される。
上記の溝出入口は、溝底面へ溝部の長さ方向に沿って長く形成することも可能であるが、溝側面や溝側面と溝底面との間に亘って形成すると、溝幅に制限されることなく容易に広い面積で開口することができ、好ましい。
上記の第2流路は、少なくともその内端側部分を、上記の第1流路の軸心に対し傾斜させて設けることができる。この場合は、溝部内を溝底面に向かって移動するガスが第2流路側へ円滑に案内されるので好ましい。
上記の溝部は、溝深さを均一に形成すると溝部の形成が容易である利点があるが、溝底面を上記の溝出入口に向かって深くなる形状に形成してもよく、この場合は溝底面に達したガスが、上記の溝出入口を経て第2流路側へ円滑に流れるので好ましい。
なお上記の溝部は、弁座の周囲の一部に円弧状に形成してもよいが、弁座の全体を取り囲む環状に形成すると、弁室内の空間全体がこの溝部を介して第2流路に良好に連通するので、より好ましい。
上記の第2流路は、溝部の法線方向から、即ち、平面視で溝側面と直交する方向から連通させてもよいが、例えば図7に示すように、上記の溝部に対し接線方向から連通させると、第2流路側から溝部に流入したガスが溝部内を旋回しながら弁室に案内され、弁室内のガスがこの流入ガスに巻き込まれて良好に置換されるので、好ましい。
上記の溝部の最も深い溝深さは、上記の溝部に形成する開口の開口面積を広くできる深さであればよく、例えば、溝幅の30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは溝幅と同等以上の寸法に形成される。
なお、この溝部の最も深い溝深さは、第1流路の最小内径と同等以上の寸法に設定するのが好ましい。
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
上記の溝部に形成する溝出入口は、溝幅を直径とする円形よりも広い開口面積を有しており、しかも上記の第2流路は、この広い開口の溝出入口を介して弁室に連通するため、弁室の大きさやダイヤフラムの直径などの制限を受けずに、この第2流路の内径を大きく形成することができる。この結果、バルブ装置を大型化することなく、弁室と第2流路との間を流れるガスの流通抵抗を小さくでき、流通性能を高めてガス流量を大きくできるので、例えば短時間でガスを充填でき、ガス充填の作業効率を高めることができる。
さらに、上記の溝部は弁座の周囲の広い範囲に形成されるので、溝幅を多少狭くしてもこの溝部の流路断面積は十分に広い。そこでこの溝幅を狭くすることで、上記の第1流路の内径を太く形成できるので、この第1流路の流通抵抗も小さくすることができ、流通性能をさらに高めて、両流路を流通するガス流量を一層大きくすることができる。
取出しガスや充填ガスなどは上記の溝部を円滑に流通し、しかもこの溝部は弁座の周囲に形成してあるので、ダイヤフラムを弁室内面に近接させて設けても、弁室やこの溝部にガスが滞留することなく流通する。この結果、弁室内のガスを不活性ガスに置換する場合に、弁室内のガスが良好に真空排気され、また、弁室内へパージガスが良好に流入することから、弁室内のガス置換特性を高めることができる。従って、例えば半導体製造設備や高純度ガス供給設備にガス容器を取り付けて実際にガスを使用する迄のパージ作業等の準備時間を短縮でき、作業効率を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1から図3は本発明のバルブ装置の実施形態を示し、図1はバルブ装置の縦断面図、図2は弁室近傍の破断斜視図、図3は弁室の横断平面図である。
図1に示すように、このガス容器用バルブ装置(1)は、ハウジング(2)の下部に形成した脚ネジ部(3)がガス容器(4)のガス取出し口金に嵌合固定される。この脚ネジ部(3)の下面にはガス入口(5)が開口してあり、ハウジング(2)の途中高さ部にガス出口(6)が横向きに開口してある。ハウジング(2)内には、ガス入口(5)からガス出口(6)に至るまでに、第1流路としてのガス入口孔(7)と、閉止弁(8)の弁室(9)と、第2流路としてのガス出口孔(10)とが順に形成してある。なお、上記のガス入口孔(7)にはガス逃し孔(11)が分岐してあり、このガス逃し孔(11)に安全弁(12)が付設されている。
上記のハウジング(2)は特定の材質に限定されず、例えば真鍮やステンレス鋼、ニッケル合金等から鍛造され、機械加工されることによって製作される。さらに、水分等のガス分子やパーティクルが接ガス部表面に吸着する影響を少なくし、金属表面の耐食性を向上させる目的から、接ガス部表面には、機械研磨や砥粒研磨、電解研磨、複合電解研磨、化学研磨、複合化学研磨等が施されると好ましい。
上記の弁室(9)には、ステンレス鋼やニッケル基合金、銅合金などの金属製ダイヤフラム(13)が配置してある。このダイヤフラム(13)の周縁部は弁蓋(14)で弁室(9)の周壁に押圧固定してあり、このダイヤフラム(13)により弁室(9)の上部を保密状に覆ってある。このダイヤフラム(13)の中間部に対面する弁室(9)の内面には、略中央に上記のガス入口孔(7)の内端が開口してあり、この開口の周囲にフッソ樹脂等の弾性体からなる弁座(15)が形成してある。なお、本発明では水分の除去効率などを考慮し、上記の弾性体からなる弁座(15)に代えて、弁座がハウジング(2)と一体に形成された、いわゆるオールメタルバルブ構造を採用することも可能である。
上記のダイヤフラム(13)の上面中央部には、操作ハンドル(16)に連動させた中間伝動具(17)が載置してある。操作ハンドル(16)によりこの中間伝動具(17)を下向きに押圧操作すると、ダイヤフラム(13)は、ガス圧による上向き力やダイヤフラム(13)の弾性反発力に抗して弁座(15)に閉弁接当される。これに対して、中間伝動具(17)への上記の押圧力を解除すると、ダイヤフラム(13)の中央寄り部が上向き凸状に弾性復帰し、ガス入口孔(7)と弁室(9)とが連通する。
図1から図3に示すように、上記の弁室(9)の内面には、弁座(15)の周囲に環状の溝部(18)が形成してある。この溝部(18)は、溝深さ(h)が溝幅(w)よりも大きい寸法に設定してあり、また、ガス入口孔(7)の内径(d)よりも大きい寸法に設定してある。即ち、この溝部(18)は、前記のガス出口孔(10)の中心近傍に達するまで深く形成してあり、このガス出口孔(10)に開口する溝出入口(19)が溝側面(20)と溝底面(21)に亘って形成してある。この溝出入口(19)の開口面積は、図3に示すように、溝幅(w)を直径とする円形よりも広く形成してある。そして、上記のガス出口孔(10)は、この溝出入口(19)と溝部(18)とを順に介して上記の弁室(9)に連通している。
上記のガス容器(4)から貯蔵ガスを取り出す場合は、上記の操作ハンドル(16)を操作してダイヤフラム(13)を弁座(15)から離隔させる。これによりガス容器(4)内の貯蔵ガスはガス入口(5)からガス入口孔(7)を経て弁室(9)内に流入する。この弁室(9)に流入したガスは、ダイヤフラム(13)の下面に沿って弁室(9)内を広がり、上記の溝部(18)に案内されてこの溝部(18)内を円滑に流通し、上記の溝出入口(19)とガス出口孔(10)とを順に経てガス出口(6)から取り出される。
上記のガス容器(4)にガスを充填する場合は、ガス充填装置(図示せず)が上記のガス出口(6)に接続され、閉止弁(8)が開弁される。ガス充填装置から供給されたフレッシュガスは、ガス出口(6)とガス出口孔(10)と溝出入口(19)とを順に経て溝部(18)に流入し、溝部(18)内を円滑に流通したのち弁室(9)に流入する。この溝部(18)から弁室(9)に流入したフレッシュガスは、ダイヤフラム(13)の下面に沿って流れて、弁室(9)の略中央に開口するガス入口孔(7)に案内され、このガス入口孔(7)を経たのちガス入口(5)からガス容器(4)内に充填される。
上記のガス容器(4)を、例えば半導体製造設備などに取り付ける際は、上記の弁室(9)や溝部(18)、ガス出口孔(10)内に残留する大気が、不活性ガスによるパージや真空排気により除去される。即ち、上記の閉止弁(8)が閉弁された状態で、上記のガス出口(6)に真空排気装置(図示せず)が接続され、ガス出口孔(10)と溝部(18)と弁室(9)内のガスが吸引排除される。このとき、弁室(9)内は環状の溝部(18)に臨んでいるため狭い空間がなく、弁室(9)内等のガスが効率よく吸引され排除される。次いで上記のガス出口(6)にパージガス供給設備(図示せず)が接続され、窒素ガスなどの不活性ガスからなるパージガスがガス出口孔(10)から溝部(18)を経て弁室(9)内に供給される。弁室(9)内には狭い空間が無いので、上記のパージガスは弁室(9)内の隅々にまで行き渡り、弁室(9)に残留するガスやパーティクル等と良好に混合され置換される。その後、上記の真空排気処理とパージ処理が繰り返されて、弁室(9)や溝部(18)、ガス出口孔(10)から、大気に含まれる酸素や水分などの不純物が十分に除去されたのち、ガス出口(6)に半導体製造設備などが接続される。なお、上記の真空排気装置やパージガス供給装置などは、半導体製造設備などとともに、切替バルブ等を介して全てガス出口(6)に予め接続しておいてもよい。
次に、上記のバルブ装置のガス置換性能について、前記従来のバルブ装置と比較しながら測定した結果を説明する。
(1)真空排気速度
バルブ装置のガス出口に真空ポンプを接続し、弁室内の真空度が1Pa(0.0075Torr)に達するまでの時間を測定した。その結果、上記の実施形態のものは908秒で所定の圧力に達したが、従来技術のものは1070秒を要した。従って、上記の実施形態のものは従来技術のものに比べて、溝部の形成により内部空間が増加したにもかかわらず、真空排気時間を約15%短縮することができた。
(2)バルブのコンダクタンス(Cv値)
バルブ装置の前後で6.9KPaの差圧を設け、約15℃の水が1分間に流れた量(USガロン)を測定した。その結果、Cv値は、ガス取出し方向で0.40、ガス充填方向で0.35であった。これに対し、従来技術のものは、ガス取出し方向およびガス充填方向の両方向とも0.20であった。従って、上記のバルブ装置の流量は、従来技術に比べてガス取出し方向で2倍に向上し、ガス充填方向で1.75倍に向上した。
(3)ガス置換特性
バルブ装置にヘリウムガスを流通させてガス出口側にヘリウムガスを充満させたのち閉止弁を閉じ、ガス出口への窒素ガスの供給と真空引きでパージ処理を行い、このパージ処理の繰返し回数とガス出口側に残留するヘリウムガスの残量(リークレート)を測定した。その測定結果を図4の対比グラフに示す。この測定結果から明らかなように、上記の実施形態のバルブ装置は、従来技術のものに比べてパージ処理の繰返し回数が少なく済み、ガス置換特性に優れている。
なお、上記の実施形態では、閉止弁を操作ハンドルにより開閉する場合について説明したが、上記の閉止弁の開閉は、圧力流体や電磁装置などを用いて遠隔操作するように構成できることは、いうまでもない。また、本発明のバルブ装置は上記の実施形態のものに限定されず、例えば、次のような変形例にすることができる。
図5に示す第1変形例では、上記のガス出口孔(10)を、ガス入口孔(7)の軸心(22)に対して、内端側が弁室(9)に近づく傾斜状に形成してある。また、上記の溝部(18)の溝底面(21)を、溝出入口(19)に向かって深くなる傾斜状に形成してある。これらの構成により、溝部(18)とガス出口孔(10)との間で一層円滑にガスが流通する。
上記のガス出口孔(10)からなる第2流路はいずれも直線状に形成されているので、取出しガスや充填ガス、パージガスなどは、このガス出口孔内を円滑に流通する。しかし本発明ではこの第2流路を屈曲状に形成してもよい。即ち図6に示す第2変形例では、第2流路が直線状のガス出口孔(10)とその内端側に接続された傾斜状の連通孔(23)とからなり、この連通孔(23)を、上記のガス入口孔(7)の軸心(22)に対し傾斜させて設けてある。溝部(18)に形成された溝出入口(19)はこの連通孔(23)に開口している。なお、この連通孔(23)は、図6の仮想線に示すように、ガス入口孔(7)の軸心(22)と平行に設けることも可能である。
上記の実施形態では、上記のガス出口孔(10)を溝部(18)に法線方向から、即ち、溝側面(20)と直交する方向から接続してある。これに対し、図7に示す第3変形例では、平面視で溝部(18)に対し接線方向から連通させてある。このように接続すると、ガス出口孔(10)から溝出入口(19)を経て流入したパージガスは、溝部(18)内を旋回しながら弁室(9)内に流入するので、弁室(9)内のガスを巻き込んで良好に置換することができる。
図8に示す第4変形例では、ハウジング(2)内に2本の第2流路(10・10)を形成してあり、それぞれ溝部(18)に接線方向から接続してある。ガス容器から貯蔵ガスを取り出す場合は、第2流路(10・10)の両方またはいずれか一方が用いられる。一方、溝部(18)や弁室(9)内をパージする場合は、第2流路(10)の一方がパージガス充填路(24)にされてパージガス供給設備に接続され、他方が排気路(25)にされて真空排気装置などに接続される。このように構成すると、溝部(18)や弁室(9)内をパージガスが円滑に流通し、効率よくパージされるので好ましい。
上記の実施形態の溝部(18)は、平面視で環状に形成してあるので、弁座(15)の周囲の弁室内空間が均等にこの溝部(18)に臨んでおり、好ましい。しかし本発明では、例えば図9に示す第5変形例のように、溝部(18)を平面視で円弧状に形成することも可能である。この場合も、取出しガスや充填ガスは、この広い溝部(18)内を円滑に流通するので、流通特性に優れる。また、弁室(9)内には溝部(18)の切れた部位に狭い空間が形成されるが、この溝部(18)での流通特性が優れているため、弁室(9)内のガスを置換する場合も、パージガスが弁室(9)内へ良好に流入し、上記の狭い空間のガスが容易に置換される。
本発明のバルブ装置は、流通特性に優れることから、ガス容器の容器弁やその他のガス機器のバルブ装置に好適に用いられ、しかもガス置換特性に優れることから、半導体製造設備や高純度ガス供給設備などに用いるガス容器の容器弁に特に好適に用いられる。
本発明の実施形態を示す、バルブ装置の縦断面図である。 実施形態の、弁室近傍の破断斜視図である。 実施形態の、弁室近傍の横断平面図である。 ガス置換特性の測定結果を示す対比グラフである。 第1変形例の、弁室近傍の縦断面図である。 第2変形例の、弁室近傍の縦断面図である。 第3変形例の、弁室近傍の横断平面図である。 第4変形例の、弁室近傍の横断平面図である。 第5変形例の、弁室近傍の横断平面図である。 従来技術を示す、バルブ装置の要部の一部破断立面図である。 従来技術の、弁室近傍の横断平面図である。
符号の説明
1…バルブ装置
2…ハウジング
7…第1流路(ガス入口孔)
8…閉止弁
9…弁室
10…第2流路(ガス出口孔)
13…ダイヤフラム
15…弁座
18…溝部
19…溝出入口
20…溝側面
21…溝底面
22…第1流路(ガス入口孔)の軸心
23…第2流路(連通孔)
d…第1流路(ガス入口孔)の内径
h…溝深さ
w…溝幅

Claims (7)

  1. ハウジング(2)に第1流路(7)と閉止弁(8)の弁室(9)と第2流路(10・23)とを順に形成し、上記の弁室(9)を保密状に覆う状態にダイヤフラム(13)を配置し、このダイヤフラム(13)の中間部が対面する弁室内面に第1流路(7)の内端を開口して、この開口の周囲に弁座(15)を形成し、上記のダイヤフラム(13)を弁座(15)に接離させることで閉止弁(8)を開閉するように構成したバルブ装置であって、
    上記の弁室内面のうち、上記の弁座(15)の周囲に溝部(18)を形成し、
    この溝部(18)に上記の第2流路(10・23)と連通する溝出入口(19)を、溝幅(w)を直径とする円形よりも広い面積で開口させ、
    この溝出入口(19)と溝部(18)とを順に介して上記の第2流路(10・23)を上記の弁室(9)に連通させたことを特徴とする、バルブ装置。
  2. 上記の溝出入口(19)を、少なくともその一部が溝側面(20)に開口するように形成した、請求項1に記載のバルブ装置。
  3. 上記の第2流路(10・23)の少なくとも内端側部分を、上記の第1流路(7)の軸心(22)に対し傾斜させて設けた、請求項1または請求項2に記載のバルブ装置。
  4. 上記の溝部(18)の溝底面(21)を、上記の溝出入口(19)に向かって深くなる形状に形成した、請求項1から3のいずれか1項に記載のバルブ装置。
  5. 上記の第2流路(10・23)を、上記の溝部(18)に対し接線方向から連通させた、請求項1から4のいずれか1項に記載のバルブ装置。
  6. 上記の溝部(18)の最も深い溝深さ(h)を、溝幅(w)の30%以上の寸法に設定した、請求項1から5のいずれか1項に記載のバルブ装置。
  7. 上記の溝部(18)の最も深い溝深さ(h)を、第1流路(7)の最小内径(d)と同等以上の寸法に設定した、請求項1から6のいずれか1項に記載のバルブ装置。

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