JP2005188605A - ソレノイドバルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】 加工工程を増やすことなく安定したプランジャの作動特性を得ることが可能なソレノイドバルブを提供すること。
【解決手段】 ソレノイドバルブにおいて、粘性流体の温度、ソレノイドバルブの構成部品の温度又はソレノイドバルブ周辺の雰囲気温度のうち少なくとも1つを検出する温度検出手段と、温度検出手段により検出された温度が所定値より低いときにコイルに通電し、温度を上昇させる低温時通電手段とを備えることとした。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ソレノイドバルブにおいて、特にコイルに通電した時に発生する磁力によりプランジャを駆動し、プランジャの動きに応じて弁部を開閉して、粘性流体の流通を制御するソレノイドバルブに関する。
従来、ソレノイドバルブとして、例えば特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報に記載されているソレノイドバルブは、プランジャの往復運動により弁体を開閉することで粘性流体の流通を制御している。この構成においては、低温時に粘性流体の粘性が高くなりプランジャの往復運動の時に粘性抵抗による作動特性の低下が懸念される。そのため、プランジャ前後での流体の流通をしやすくしプランジャの作動特性を確保するために、プランジャの前後を連通する溝を設けている。
実開平1−118268号公報(図2参照)。
しかしながら、上述のソレノイドバルブにあっては、プランジャに溝を設けるため、加工工程が増加し、その結果製造コストも上昇するという問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、加工工程を増やすことなく作動特性を確保させることが可能なソレノイドバルブを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、ソレノイドバルブにおいて、粘性流体の温度、ソレノイドバルブの構成部品の温度又はソレノイドバルブ周辺の雰囲気温度のうち少なくとも1つを検出する温度検出手段と、温度検出手段により検出された温度が所定値より低いときにコイルに通電し、温度を上昇させる低温時通電手段とを備えることとした。
よって、加工工程を増やすことなくソレノイドバルブの作動特性を確保させることができる。
以下、本発明のソレノイドバルブを実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
図1は実施例1の全体構成を表すシステム図である。ブレーキペダル1を踏み込むと、ブースタ2により踏力が増幅され、マスタシリンダ3に液圧が発生する。この発生したマスタシリンダ圧は、油路3a,3bから前輪側ブレーキアクチュエータ51を介してホイルシリンダ7aに供給される。前輪側ブレーキアクチュエータ51はドライバ一体型であり、メインECU54からの指令信号に基づいて前輪のホイルシリンダ液圧を制御する。
前記油路3a,3bには、ブレーキ液圧を検出する液圧センサWPが設けられている。後輪側ブレーキアクチュエータ52はドライバ一体型であり、メインECU54からの指令信号に基づいて後輪のホイルシリンダ液圧を制御する。
尚、本実施例では後輪側ブレーキアクチュエータ52にマスタシリンダ圧を供給する油路構成を備えていない。すなわち、後輪は前輪に比べて制動力が小さく(一般的に前輪と後輪の制動力比は7:3程度)、例えブレーキバイワイヤ制御がフェールに陥ったとしても前輪のみで十分な制動力を確保できるためである。
後輪側には、後輪側ブレーキアクチュエータ52に加えて、車輪の回転力により発電することで制動力を発生するブレーキジェネレータ53と、ブレーキジェネレータ53の作動を制御するブレーキジェネレータコントロールユニット(以下、BGECUと記載する)55が設けられている。BGECU55は、蓄電可能なバッテリ56のSOC(State of charge)を監視すると共に、メインECU54にSOCを出力する。また、メインECU54の指令信号に基づいて、ブレーキジェネレータ53の作動を制御する。
〔前輪側ブレーキアクチュエータ〕
前輪側ブレーキアクチュエータ51には、ABS制御可能な増減圧バルブ及び減圧された油圧をリザーバに還流するモータポンプ等が内蔵されている。基本的な油路構成はについては後述する。通常制動時はマスタシリンダ圧をそのまま前輪のホイルシリンダ7aに供給し、制動力を発生する。また、運転者の急制動操作により車輪がロック傾向になると、ロックを解除するために、増圧バルブを駆動し、マスタシリンダ側からホイルシリンダ側への液圧の供給を遮断する。そして、減圧バルブを適宜駆動することで、ホイルシリンダ内の液圧を減圧し、車輪のロックを回避しつつ制動力を得る構成となっている。
〔後輪側ブレーキアクチュエータ〕
後輪側ブレーキアクチュエータ52には、後述するブレーキバイワイヤ制御実行可能な油圧回路が構成されている。液圧センサWPにより検出された前輪側の液圧値はメインECU54に出力され、検出された液圧値に基づいて後輪の必要制動力を演算し、ブレーキ操作(ブレーキ操作力または操作量)に基づき制動力が演算される。ブレーキジェネレータ53を作動させる際には、後輪の必要制動力のうち、ブレーキジェネレータ53により発生する制動力を差し引いた分の制動力を後輪側ブレーキアクチュエータ52により発生する。
(回生制動制御)
後輪側のブレーキバイワイヤ制御における制動では、ブレーキジェネレータコントロールユニット(BGECU)55がバッテリ56の充電量を検知して、メインECU54に充電状態を送信し、ECU54は、回生制動実施条件が成立するかを判断する。バッテリ56に空き領域があり、ブレーキジェネレータ53との間に電位差が生じている場合は、回生制動実施条件が成立しているため車輪の回転により発電する回生制動を行うことができる。
ここで、バッテリ56とブレーキジェネレータ53との間の電位差が大きい場合は、回生制動のみで制動を行うことができる。また、回生制動のみでは制動力が足りない場合は、回生制動と摩擦制動の両方により制動を行う。
メインECU54では、バッテリ56の充電量から回生制動分を決定し、BGECU55に回生制動量を伝達する。BGECU55はブレーキジェネレータ53の発電量を決定する。回生制動分だけ摩擦制動を少なくすることができる。尚、バッテリ56が満充電状態であり回生制動を行うことができない場合は、摩擦制動のみで制動を行う。
図2は、実施例1における油圧回路図である。前輪側はブースタ2を用いたブレーキシステム、また後輪側はブレーキバイワイヤ制御を適用している。前輪、後輪それぞれに関し、ブレーキ制御内容について説明する。
(前輪におけるブレーキ制御)
まず、前輪側について説明する。前輪の各輪に制動力を発生させるホイルシリンダ7a(Fl),7a(FR)は、油路3a,3bを介してマスタシリンダ3に接続されている。
また、各ホイルシリンダ7a,7aの液圧を増圧・保持・減圧可能な液圧制御バルブであるINバルブ15,16及びOUTバルブ19,20と、マスタシリンダ3とは別途設けられ、モータ25により駆動する制御用油圧源の接続を切り換える油圧供給源切換えバルブである、吸入バルブ9,10と、カットバルブ11,12と、リザーバ32,33が備えられている。尚、油路3a,3b上にはマスタシリンダ圧を検出するセンサ5,6が設けられている。
運転者がブレーキペダル1を操作してマスタシリンダ3に油圧が発生すると、このマスタシリンダ圧をホイルシリンダ7a,7aに供給する通常ブレーキ状態と、運転者がブレーキ操作を行っていないとき、もしくは運転者のブレーキ操作以上に液圧が必要な時に、制御用油圧源26,27の液圧をホイルシリンダ7a,7aに向けて供給すると共に、各液圧制御バルブによりホイルシリンダ圧を最適制御する制御ブレーキ状態とに切換え可能に構成されている。
ここで、各ホイルシリンダ7aの圧力を制御したい場合について説明する。増圧時は、吸入バルブ9,10を開き、ポンプ26,27にブレーキ液(特許請求の範囲の粘性流体に相当)を供給する。そして、カットバルブ11,12を閉じ、ブレーキ液のマスタシリンダへの流出を抑制することで行われる。この状態での減圧時は、吸入バルブ9,10を閉じ、OUTバルブ19,20あるいはカットバルブ11,12を解放することによりホイルシリンダ内のブレーキ液がマスタシリンダ側に流出することで行われる。
マスタシリンダ3による増圧では、カットバルブ11,12を解放し、吸入バルブ9,10を遮断し、INバルブ15,16を解放し、マスタシリンダのブレーキ液をホイルシリンダ側に流出することで行われる。
減圧時は、INバルブ15,16を遮断し、OUTバルブ19,20を解放し、ホイルシリンダ内のブレーキ液をリザーバ32,33側に流出することで行われる。尚、カットバルブ11,12にはマスタシリンダからホイルシリンダ側への流れを許可する一方向弁13,14が各々設けられ、INバルブ15,16にはホイルシリンダ側からマスタシリンダ側への流れを許可する一方向弁17,18が設けられている。
ポンプ26,27は、コントロールユニットからの指令値に基づいてポンプモータ25により駆動される。
ワンウェイバルブ23,24は、ポンプ26,27を駆動して必要量の油圧を供給したときに、ポンプ26,27側に液圧が戻らないようにしている。そして、吐出側通路には脈圧低減用オリフィス21,22が設けられている。また、ポンプ26,27の吸入側には吸入チェック弁28,29が設けられている。更に増圧時に吸入バルブ9,10からポンプ26,27に流れるブレーキ液がリザーバ32,33へ逆流するのを防止するチェック弁30,31が設けられている。
(後輪におけるブレーキバイワイヤ制御)
後輪の各輪に制動力を発生させるホイルシリンダ8a(RL),8a(RR)は、マスタシリンダ3とは直接接続されていない。各ホイルシリンダ8a,8aの液圧を増圧・保持・減圧可能な液圧制御バルブであるINバルブ38,39及びOUTバルブ40,41、吸入バルブ36,37、カットバルブ34,35、アイソレーションバルブ50から成っている。
尚、アイソレーションバルブ50は、非通電(OFF)時は閉弁状態(所謂ノーマルクローズタイプ)で、右前輪側と左前輪側の油路を遮断している。このアイソレーションバルブ50を閉じることにより、ポンプ46,47に発生した液圧を左右輪それぞれ独立に供給することが可能である。つまり、一方のホイルシリンダと連通する油路に失陥が発生し、システムが遮断する時も、アイソレーションバルブ50によって左右ホイルシリンダ8a,8aとマスタシリンダ3とを独立した油圧回路として確保しているため、少なくとも1輪は制動力を発生することが可能となり、安全性を確保できる。
ポンプ46,47は、ブレーキ操作に対して演算されるコントロールユニットからの指令値に基づいてポンプモータ25’により駆動される。そして、ホイルシリンダ圧センサ61,62により検出される圧力が適正な値になるようにポンプモータ25’が駆動される。
ここで、ポンプ吸入側には吸入チェック弁48,49が設けられ、吐出側にはワンウェイバルブ44,45が設けられている。ワンウェイバルブ44,45は、ポンプ46,47を駆動して必要量の油圧を供給したときに、ポンプ26,27側に液圧が戻らないようにしている。更に吐出側には脈圧低減用オリフィス42,43が設けられている。
ここで、各ホイルシリンダ8a,8aの圧力を制御したい場合について説明する。まず増圧時は、吸入バルブ36,37を開き、ポンプ46,47にブレーキ液を供給し、ポンプモータ25'を駆動することで行われる。ポンプモータ25'を駆動すると、アイソレーションバルブ50が閉弁状態であることからポンプ46に供給されたブレーキ液はINバルブ38を経由してホイルシリンダ8aにブレーキ液が供給される。同様に、ポンプ47に供給されたブレーキ液はINバルブ39を経由してホイルシリンダ8aにブレーキ液が供給される。
尚、INバルブ38,39は常開の比例制御弁(特許請求の範囲のソレノイドバルブに相当)であるため、ホイルシリンダ8a,8aの増圧に必要なブレーキ液量を比例制御しながら供給することが可能である。よって、ブレーキ圧が急激に増加することがなく、滑らかなブレーキ制御を行うことができる。
この状態での減圧時は、吸入バルブ36,37を閉じ、カットバルブ34,35またはOUTバルブ40,41を解放することによりホイルシリンダ内のブレーキ液がマスタシリンダ側に流出することで行われる。
尚、カットバルブ34,35においても常開の比例制御弁としている。常開弁とすることで、制動時にシステム遮断となった場合でも常開のINバルブ38,39を経由してカットバルブ34,35からリザーバ4に流出させることが可能となり、ブレーキ液がホイルシリンダ内に封じ込められて不要な制動力が発生するのを防止できる。また、比例制御弁とすることで、減圧に必要なブレーキ液量を制御しながら流出させることができるため、ブレーキ液が急激に減少するのを防止することが可能となり、違和感のないブレーキ操作を達成できる。
また、OUTバルブ40,41においても、前輪のOUTバルブと異なり、常開弁としてある。この場合も、常開弁とすることで制動時に後輪フェールセーフでシステム遮断となったときに不要な制動力が発生するのを防止できる。
ここで、各ブレーキ液圧制御弁のうち、比例制御弁(INバルブ38,39及びカットバルブ34,35)Hの構造について説明する。
図8は、実施例1における比例制御弁Hの構造を示す図である。
比例制御弁Hは常開弁であり、通電により電磁力を発生するコイル71と、コイル71の電磁吸引力によりストロークするプランジャ73と、プランジャ73と一体に移動するボール弁75と、ボール弁75との間で流量及び油圧を制御する弁座形成部材77と、ボール弁75に対し弁座形成部材77と離れる方向に付勢するばね76から構成されている。
コイル71はケーシング72内部に収容され、プランジャ73はシリンダ部材74の内部に摺動可能に挿入されている。ボール弁75はプランジャ73の先端部に固定され、弁座形成部材77はシリンダ部材74の内壁に圧入されている。尚、ボール弁75は弁座形成部材77に着離座可能となっている。ばね76はプランジャ73と弁座形成部材77との間に形成される。通孔78はシリンダ部材74の側周部に形成される。
コイル71の通電により、プランジャ73が図8の下方に移動する。これにより、ボール弁75が弁座形成部材77に着座して比例制御弁Hが閉弁し、通孔78からのブレーキ液の連通が遮断される。また、コイル71に通電しないときは、ばね76の力によりプランジャ73が図の上方に移動し、比例制御弁Hが開弁して通孔78からブレーキ液を連通させる。
この構成により、例えば、システム遮断によりコイル71に通電されない場合であっても、比例制御弁Hが開弁するため、ブレーキ液がホイルシリンダ内へ封じ込められることにより不要な制動力が発生するのを防止できる。尚、常開の比例制御弁は、常閉の比例制御弁に比べ、広いストローク範囲において比例制御を行うことが可能であり、滑らかに比例制御を行うことができる。
図3は、実施例1における制御内容を表すフローチャートである。
ステップ101において、通常ブレーキ制御処理を行い、ステップ102へ進む。
ステップ102において、車両水温が所定値以下であるかどうかを判定する。所定値よりも水温が低いときはステップ103へ進む。所定値よりも水温が高いときはステップ111へ進む。
ステップ103において、ブレーキ非制御中であるかどうかを判定する。ブレーキ非制御中のときはステップ104へ進む。ブレーキ制御中のときはステップ111に進む。
ステップ104において、デューティ出力停止カウンタが0より大きいかどうかを判定する。デューティ出力停止カウンタが0より大きい場合はステップ109においてデューティ出力停止カウンタのデクリメントを行い、本制御フローを終了する。デューティ出力停止カウンタが0より小さい場合はステップ105へ進む。
ステップ105において、温度検出手段により、比例制御弁Hの温度が所定値以下であるかどうかを判定する。尚、温度検出手段は、比例制御弁Hに流通するブレーキ液の温度、比例制御弁Hを構成する部品の温度、比例制御弁H周辺の雰囲気の温度のうちの少なくとも一つから比例制御弁Hの温度を求めることとする。比例制御弁Hの温度が所定値以下のときはステップ106へ進む。それ以外はステップ110へ進む。
ステップ106において、比例制御弁Hが動作しない範囲で出力デューティを設定し、ステップ107へ進む。これは、比例制御弁Hが動作するとブレーキ特性に影響を及ぼす虞があるためである。出力デューティの設定は、例えば図5で表されるコイル71への供給電圧と出力デューティ特性との関係に基づいて行われる。尚、コイル71への供給電圧と出力デューティ特性との関係の詳細については後述する。
ステップ107において、デューティ出力の許可を行い、ステップ108へ進む。
ステップ105〜107においては、比例制御弁Hの温度が所定値以下である場合に、比例制御弁Hの温度に応じて出力デューティを設定する。そして、設定した出力デューティに応じて低温時通電手段によりコイル71に通電し、比例制御弁Hの温度を上昇させる。
ステップ108において、比例制御弁温度計測処理を行い、本制御フローを終了する。尚、比例制御弁温度計測処理の内容については後述の図4のフローチャートにおいて説明する。
ステップ110においてデューティ出力停止カウンタに値をセット後、ステップ112においてデューティ出力を停止し、本制御フローを終了する。尚、デューティ出力停止カウンタ値の設定は、例えば図6のデューティ停止後の放熱特性に基づいて行う。尚、デューティ停止後の放熱特性の詳細については後述する。
ステップ111において、車両水温が所定値以上、またはブレーキ制御中と判断した場合は、デューティ出力を停止する。
車両水温が所定値以上のときは、比例制御弁Hの温度が高くブレーキ液の粘性が低い。よって、摺動抵抗がプランジャ73の作動特性に影響を及ぼす虞がないため、デューティ出力を行う必要がない。また、ブレーキ制御中は、デューティ制御を行うと比例制御弁Hが動作してブレーキ特性に影響する虞があるため、デューティ制御を行わない。
デューティ出力停止にあたっては、制御再開時に不要なデューティ出力停止期間が生じるのを防ぐため、デューティ出力停止カウンタをクリア後、ステップ112においてデューティ出力を停止し、本制御フローを終了する。
尚、上記フローチャートにおいて、ステップ102〜108は、IGN_ON後に所定時間内のみ行うこととしてもよいし、車両水温が所定温度以下の場合のみ行うこととしてもよい。
図4は、実施例1における比例制御弁温度計測処理の内容を表すフローチャートである。
ステップ201において、比例制御弁電圧値Val_Vの取込みを行い、ステップ202へ進む。
ステップ202において、比例制御弁電流値Val_Iの取込みを行い、ステップ203へ進む。
ステップ203において、比例制御弁Hの温度を算出し、本制御フローを終了する。尚、比例制御弁Hの温度は以下の式により算出される。
Val_T=(Val_V/Val_I/mRm)×(mTn+234.5)−234.5
尚、mRmは、温度がmTmのときの抵抗値を表す。
ここで、コイル71への供給電圧と出力デューティ特性との関係について、図5に基づいて説明する。
コイル71にかかる電圧が低い場合は、比例制御弁Hのプランジャ73に作用する電磁力も低いため、比例制御弁Hの温度が低い。そこで、コイル71にかかる電圧が低いときほど出力デューティを大きくし、コイル71に通電することで、比例制御弁Hの温度を上昇させる。
また、デューティ停止後の放熱特性について、図6に基づいて説明する。
デューティ出力停止後、すなわちコイル71への通電停止後は、時間の経過に伴い放熱時間も長くなる。よって、比例制御弁Hの温度は下降していく。
図7は、実施例1における比例制御弁Hの温度とデューティ出力との関係を表すタイムチャートである。
時刻t1において、比例制御弁Hの温度は比例制御弁温度下限閾値を下回っている。よって、出力デューティを設定後、デューティ出力の許可を行い、比例制御弁温度計測処理を行う。
時刻t2において、比例制御弁Hの温度が比例制御弁温度上限閾値を上回るため、デューティ出力停止カウンタをセットする。
時刻t3において、デューティ出力停止カウンタのセットに伴い、デューティ出力を停止する。図6のデューティ停止後の放熱特性に基づいて放熱が行われ、比例制御弁Hの温度が徐々に低下していく。
時刻t4において、比例制御弁Hの温度が再び比例制御弁温度下限閾値を下回るため、出力デューティを設定し、デューティ出力の許可を行う。
時刻t5において、比例制御弁Hの温度が比例制御弁温度上限閾値を上回る。
時刻t6において、デューティ出力停止カウンタをセットし、デューティ出力を停止する。以後、比例制御弁Hの温度が比例制御弁温度下限閾値を下回る毎にデューティ出力を行い、比例制御弁Hの温度を上昇させることで、比例制御弁H周辺のブレーキ液の温度を上昇させることが可能となり、プランジャ73の摺動抵抗を小さくすることができる。
(比例制御弁温度が所定値以下の場合)
ここで、比例制御弁Hの温度が所定値より低い場合を考える。比例制御弁Hの温度が低い場合、ブレーキ液の粘性が高くなる。このとき、図8の比例制御弁Hにおいてプランジャ73上部の空間部Aに粘性の高いブレーキ液が流れ込むと、コイル71通電によるプランジャ73移動時において、摺動抵抗の上昇が懸念される。
従来例においては、プランジャに溝を設け、低温時でブレーキ液の粘性が高い場合であっても、溝を介して積極的にブレーキ液を移動させることで粘性抵抗による作動特性の低下を抑えていた。しかし、溝を形成することにより加工工程が増加し、製造コストが高くなるという問題があった。
そこで、本実施例1のように、比例制御弁Hの温度が所定値よりも低い場合は、比例制御弁Hが作動しない範囲において出力デューティを設定し、設定した出力デューティに従って低温時通電手段によりコイル71に通電することとした。よって、低温時で粘性抵抗の上昇が懸念される場合であってもコイル71への通電により比例制御弁Hの温度を上げることで、ブレーキ液の粘性を低下させることができる。つまり、プランジャ73に溝を設けることなくデューティ制御のみでプランジャ73移動時の作動特性を確保することが可能となり、加工工程を増やすことなく製造コストの上昇を抑えることができる(請求項1に対応)。
また、ブレーキ液圧制御装置の増減圧弁に比例制御弁Hを適用している。そのため、低温時における比例制御弁Hの作動特性を安定させることでブレーキ特性を安定させることができる。
また、低温時通電手段を、比例制御弁Hの温度が所定値以上になったときには中止することとした。これにより、通常のブレーキ制御時以外は、比例制御弁Hの温度が所定値以下の場合のみ通電するため、消費電力の増大を防ぐことができる。
更に、上記各実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ) 請求項1記載のソレノイドバルブにおいて、
前記ソレノイドバルブは、比例制御弁であり、該ソレノイドバルブはブレーキ液圧制御装置の増減圧制御弁であることを特徴とするソレノイドバルブ。
ソレノイドバルブは比例制御弁であり、ブレーキ液圧制御装置の増減圧弁に適用している。すなわち、低温時にデューティ制御を行い、設定した出力デューティに基づいてコイル71に通電して、比例制御弁Hの温度上昇を図ることにより、低温時における比例制御弁Hの作動特性を安定させることが可能となる。よって、ブレーキ特性を安定させることができる。
(ロ) 請求項1記載のソレノイドバルブにおいて、
前記低温時通電手段を、所定温度以上になったときには中止することを特徴とするソレノイドバルブ。
通常のブレーキ制御時以外は、比例制御弁Hが所定値以下の場合のみに通電するため、消費電力の増大を防ぐことが可能となる。
実施例1の全体構成を表すシステム図である。 実施例1における油圧回路図である。 実施例1における制御内容を表すフローチャートである。 実施例1における比例制御弁温度計測処理の内容を表すフローチャートである。 実施例1におけるコイル71への供給電圧と出力デューティ特性との関係を示す図である。 実施例1におけるデューティ停止後の放熱特性を示す図である。 実施例1における比例制御弁温度とデューティ出力との関係を表すタイムチャートである。 比例制御弁の構造を示す図である。
符号の説明
1 ブレーキペダル
2 ブースタ
3 マスタシリンダ
4 リザーバ
5,6 マスタシリンダ圧センサ
7a 前輪側ホイルシリンダ
8a 後輪側ホイルシリンダ
9,10 吸入バルブ
11,12 カットバルブ
13,14 ワンウェイバルブ
15,16 INバルブ
17,18 ワンウェイバルブ
19,20 OUTバルブ
21,22 脈圧低減用オリフィス
23,24 ワンウェイバルブ
25,25' ポンプモータ
26,27 ポンプ
28,29 吸入チェック弁
30,31 ワンウェイバルブ
32,33 リザーバ
34,35 カットバルブ
36,37 吸入バルブ
38,39 INバルブ
40,41 OUTバルブ
42,43 脈圧低減用オリフィス
44,45 ワンウェイバルブ
46,47 ポンプ
48,49 吸入チェック弁
50 アイソレーションバルブ
51 前輪側ブレーキアクチュエータ
52 後輪側ブレーキアクチュエータ
53 ブレーキジェネレータ
54 メインECU
55 ブレーキジェネレータコントロールユニット(BGECU)
56 バッテリ
61,62 ホイルシリンダ圧センサ
71 コイル
72 ケーシング
73 プランジャ
74 シリンダ部材
75 ボール弁
76 ばね
77 弁座形成部材
78 通孔
A 空間部
H 比例制御弁

Claims (1)

  1. コイルに通電したときに発生する磁力によりプランジャを駆動し、プランジャの動きに応じて弁部を開閉し、粘性流体の流通を制御するソレノイドバルブにおいて、
    前記粘性流体の温度、前記ソレノイドバルブの構成部品の温度又は前記ソレノイドバルブ周辺の雰囲気温度のうち少なくとも1つを検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段により検出された温度が所定値より低いときにコイルに通電し該温度を上昇させる低温時通電手段と、
    を備えたことを特徴とするソレノイドバルブ。
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