JP2005186227A - 硬質膜被覆工具 - Google Patents
硬質膜被覆工具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005186227A JP2005186227A JP2003431857A JP2003431857A JP2005186227A JP 2005186227 A JP2005186227 A JP 2005186227A JP 2003431857 A JP2003431857 A JP 2003431857A JP 2003431857 A JP2003431857 A JP 2003431857A JP 2005186227 A JP2005186227 A JP 2005186227A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tool
- hard film
- carbide
- steel
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Gear Processing (AREA)
- Drilling Tools (AREA)
- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Abstract
【課題】ダイス鋼又は高速度工具鋼を母材とする、ドリル、エンドミル、タップ、ホブ、金型を含む工具表面に、硬質膜の密着性を高める処理を行うことにより、従来の一般ダイス鋼工具又は高速度工具鋼工具の寿命を安定して向上させた硬質膜被覆工具を提供する。
【解決手段】ダイス鋼や高速度工具鋼など炭化物を有する鋼からなる工具母材で、表面炭化物成分を化学的溶液処理により溶出させて除去し、表面からのEPMA(Electron Plobe Micro Analyzer)で表面の炭化物成分を、化学的溶液処理により溶出する溶解成分合計でみて、処理前よりも50〜30原子%までに低下させた前記表面に硬質膜を被覆した。
【選択図】図1
【解決手段】ダイス鋼や高速度工具鋼など炭化物を有する鋼からなる工具母材で、表面炭化物成分を化学的溶液処理により溶出させて除去し、表面からのEPMA(Electron Plobe Micro Analyzer)で表面の炭化物成分を、化学的溶液処理により溶出する溶解成分合計でみて、処理前よりも50〜30原子%までに低下させた前記表面に硬質膜を被覆した。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンドミル、ドリル、ホブなどの高速度工具鋼、合金工具鋼を母材とした、鋭利な刃を有する切削工具表面の表面処理を施し、かつPVD法(物理蒸着法)によりセラミック硬質膜を被覆することによって得られた硬質膜被覆工具に関する。
イオンプレーティング装置の普及でTiNやTiAlNなどの、ビッカース硬度が2000HV以上の硬さのセラミック硬質膜を工具表面に被覆して、高速切削条件下での工具の寿命を大幅に向上させることが可能となった。このセラミック硬質膜被覆技術は表面処理技術として一般的に行われているものであり、工具の寿命を延長させるためには非常に有効な手法であるが、さらに高速切削加工領域での工具の寿命を延ばすためには、耐摩耗性を向上させることに加えて、成膜されたセラミック硬質膜の密着性をさらに強固なものにする必要がある。これまでのイオンプレーティング技術は、密着性を確保するため、特許文献1に示すように、硬質膜を成膜する前に装置内で工具表面をクリーニングするためのエッチング工程を行うのが一般的である。この工程はアルゴンガスなどの不活性ガスを用いて装置内部にプラズマを形成し、工具に負の電位を印加することでプラズマ中のアルゴンイオンを電気的に表面に引きつけて衝突させ、表面の研削焼けなどの加工変質層や表面に付着した汚れなどの除去を行うものである。このエッチング工程を経た後に硬質膜を成膜することにより、ハイス母材との密着性は向上する。
特開平08-35075号公報 請求項1
特開平05-69327号公報
特許第2597931号 請求項1
しかしながらこのエッチング工程は、工具を製作するときに生じた表面変質層や酸化層、あるいは表面の付着物を除去するだけの機能しかなく、表面に存在する不安定な表面炭化物を除去できるものではないし、過剰にエッチングを行ったとしても非常に硬い表面の炭化物をエッチングする作用はなく、炭化物の周りに存在するフェライト鉄を優先的にエッチングするだけで、処理後の表面を観察すると部分的に炭化物が浮き出た状態のところが多く存在し、かえって炭化物を露出させることになる。この表面状態の上に硬質膜を成膜した場合、浮き出た炭化物は不安定で基材から取れやすく被膜の剥離の基点になる可能性がある。これまでの表面改質でよく知られているものにショットブラスト処理がある。これは精密ショットピーニング法(特許第1594395号)で、鉄の硬球を高速圧力で吹き付けて行うものであり、応力を付加することが主目的なため炭化物を除去する作用はない。その他では特許文献2に示すマイクロブラスト法があるが、これはアルミナなどの硬質微粉体を高速で吹き付けることにより表面を改質する処理であるが、処理後の面を観察するとフェライト鉄と炭化物がともに研掃されるため表面の光沢が無くなるほどの強い作用を及ぼし表面を清浄にする点では効果的ではあるが、表面炭化物を完全に除去することはできないし、面粗度が重要な工具や鋭利な刃を有する工具に対しては慎重な条件設定が必要である。特許文献3には、高速度工具鋼のチタンコーティング被膜の除去剤を開示している。
本発明の課題は、ダイス鋼又は高速度工具鋼など炭化物を有する鋼を母材とする、ドリル、エンドミル、タップ、ホブ、金型を含む工具表面に、硬質膜の密着性を高める処理を行うことにより、従来の一般ダイス鋼工具又は高速度工具鋼工具の寿命を安定して向上させた硬質膜被覆工具を提供することにある。
このため本発明は、ダイス鋼や高速度工具鋼など炭化物を有する鋼からなる工具母材で、表面炭化物成分を化学的溶液処理により溶出させて除去し、表面からのEPMA(Electron Plobe Micro Analyzer)で表面の炭化物成分を、化学的溶液処理により溶出する溶解成分合計でみて、処理前よりも50〜30原子%までに低下させた前記表面に硬質膜を被覆したことを特徴とする硬質膜被覆工具によって上述した本発明の課題を解決した。
本発明では、高速度工具鋼および合金工具鋼を母材とする、鋭利な刃を有する切削工具に対して硬質膜の密着性を確保するための有効な手段として、表面に形成された不安定な表面炭化物を化学的溶液を用いた前処理方法により除去し、改質された表面に硬質膜を被覆することで従来より被膜の密着強度が格段に向上、安定化した硬質膜被覆工具を提供するものとなった。
好ましくは、前記炭化物が除去された表面に硬質膜を被覆した工具で、形成する硬質被膜は、Ti、V、Cr等の4a族、5a族、6a族の元素と、Si、Al、Bの1種以上
の組み合わせからなる窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物の単層または2層以上の多層膜を被覆した工具である。
さらに好ましくは、前記炭化物成分が除去された表面をグロー放電によるエチング処理を施し、さらに表面に前記硬質膜を被覆した工具とした。
の組み合わせからなる窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物の単層または2層以上の多層膜を被覆した工具である。
さらに好ましくは、前記炭化物成分が除去された表面をグロー放電によるエチング処理を施し、さらに表面に前記硬質膜を被覆した工具とした。
本発明を実施するための最良の形態の硬質膜被覆工具につき図面を参照して説明する。本発明を実施するための最良の形態の硬質膜被覆工具は、ダイス鋼や高速度工具鋼など炭化物を有する鋼からなる工具母材で、表面炭化物成分を化学的溶液処理により溶出させて除去し、表面からのEPMA(Electron Plobe Micro Analyzer)で表面の炭化物成分を、化学的溶液処理により溶出する溶解成分合計でみて、処理前よりも50〜30原子%までに低下させた前記表面に硬質膜を被覆したことを特徴とする硬質膜被覆工具である。
化学的前処理の目的は表面にある鋼や炭化物を溶解し、脱落しやすくなった炭化物成分を除去し表層状の炭化物成分を安定化する働きをする。炭化物成分溶出液には例えば特許文献3に開示するような、セラミック硬質膜を除膜するために一般的に用いられている溶液を使用する。即ち、1〜10重量%のピロリン酸塩水溶液と0.5〜5重量%のメタリン酸カリウムを含む水溶液を50℃から80℃に保持した混合溶液、あるいはそれぞれ0.5〜5重量%の、水酸化カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウムの水溶液を常温から50℃の間に保った混合溶液に、過酸化水素水でPH9からPH11の間に5〜10%の濃度にして、その中に処理物を浸漬する。この溶液で4時間浸漬した高速度工具鋼工具の表面の処理前と処理後の比較写真を図1に示す。微細な炭化物成分は残存しているが、5〜10μmの大きな炭化物成分は溶出、除去されて空孔になっている。この大きな炭化物成分はモリブデンとタングステン系の炭化物(M6C)であり、小さいものはバナジウム炭化物(VC)で、特に大きな炭化物成分は非常に高硬度な物質であり、衝撃に弱いとされている。このような炭化物成分は母材中に固着した状態であるならば、耐摩耗性を発揮して有益となるが、表面に存在する炭化物成分は離脱という不安定要素を含んでおり、剥離基点となりうる可能性があるため、硬質膜の密着性を確保する点で好ましいものではない。このような表面の大きな炭化物成分を積極的に除去することによって、剥離基点の要因が取り除かれるため、その上に形成された硬質膜は均質化して安定的に向上する。また除去されてできた空孔に硬質膜が入り込み、そこから硬質膜が成長するため、母材と硬質膜との把持力が増す、いわゆるアンカー効果も生じる。一方でこの化学的前処理により表層部にはリン酸被膜が形成されることがあるが、これは非常に薄いものであり、通常PVD処理で行われる加熱工程および次に説明するエッチング工程で完全に除去できる。またこの化学的表面処理の後さらに前述のマイクロブラスト処理を施せばより好ましい。
次に硬質膜を被覆するPVD処理について説明する。硬質膜形成にはイオンプレーティング装置を用いて行う。今回成膜に使用したアーク方式イオンプレーティング装置の概略図を図2に示す。まず工具を治具に装着して真空排気を行う。そして 400〜550 ℃に加熱するとともにアルゴンガスを導入して10〜0.1 Paの真空度状態で工具母材に−10〜−500Vの負電圧を印加し、負グロー放電によるエッチング処理を行う。この段階で先ほど述べた前処理で形成されたリン酸被膜は完全に除去される。エッチング処理を施した後には、所定の金属成分からなるターゲットを用いて被膜処理を行う。成膜するセラミック硬質膜はターゲット成分の混合比率と反応ガスの組み合わせによって下記に示すような色々な成分の被膜を得ることができる。工具に適する硬質膜はTi、V、Cr等の4a族、5a族、
6a族の元素と、Si、Al、Bの1種以上の組み合わせからなる窒化物、炭化物、炭窒
化物、酸化物の単層または2層以上の多層膜である。
本発明品の構成を図3に示す。
6a族の元素と、Si、Al、Bの1種以上の組み合わせからなる窒化物、炭化物、炭窒
化物、酸化物の単層または2層以上の多層膜である。
本発明品の構成を図3に示す。
つぎに、本発明の硬質膜被覆工具において、前述の化学的前処理を行った改質表面の炭化物成分の除去量の程度を上記のように特定した理由について説明する。炭化物成分の除去量が50原子%未満と少ない場合は、当然ながら硬質膜の密着強度の向上は期待できない。一方で除去量が30原子%までに低下した、浸漬時間が長く、処理温度が高い場合にはリン酸被膜が過剰について表面が黒く変色し、PVD処理の加熱、エッチング工程で除去することが不可能になる。化学的前処理による炭化物成分除去の割合を調査研究した結果、本発明によって改質された工具の表面は、EPMA(Electron Plobe Micro Analyzer)による表面からの成分分析で、表面の炭化物成分を、化学的溶液処理により溶出する溶解成分合計でみて、処理前よりも50〜30原子%までに低下した状態が良い密着性を示したのでこの範囲に限定した。
本発明の表面改質硬質膜被覆工具を実施例で具体的に説明する。
(化学的前処理による表面改質)
高速度工具鋼の試料(6mm×6mm×40mm、表面粗さを0.2μm以下、硬さ66HRC)を準備し、ピロリン酸塩とメタリン酸カリウムの混合水溶液を80℃の間に保ち、過酸化水素水10%濃度でPH10にした溶液に4時間浸漬して表面炭化物成分を除去した。またその試料の前後のEPMAで表面分析を行った結果を表1に示す。処理後の表面は穴が多く存在しており炭化物成分が溶出したことを示している。処理前後の炭化物成分を分析した結果、高速度工具鋼(HS93R)の試料において処理前は炭化物のバナジウム成分が7.4%で、モリブデン成分が2.5%、タングステン成分が3.7%、炭素成分21.3%であったものが、処理後はバナジウム成分が0.4%、モリブデン成分が1.1%、タングステン成分が1.5%、炭素成分14.6%にに低下しており、表面から炭化物成分が、溶出する溶解成分合計で49%除去されていることが確認できた。溶出しない成分Si、Cr、Mn、Fe及びCoは、溶出する溶解成分の減少により、成分組成割合が上昇しているものもある。
(化学的前処理による表面改質)
高速度工具鋼の試料(6mm×6mm×40mm、表面粗さを0.2μm以下、硬さ66HRC)を準備し、ピロリン酸塩とメタリン酸カリウムの混合水溶液を80℃の間に保ち、過酸化水素水10%濃度でPH10にした溶液に4時間浸漬して表面炭化物成分を除去した。またその試料の前後のEPMAで表面分析を行った結果を表1に示す。処理後の表面は穴が多く存在しており炭化物成分が溶出したことを示している。処理前後の炭化物成分を分析した結果、高速度工具鋼(HS93R)の試料において処理前は炭化物のバナジウム成分が7.4%で、モリブデン成分が2.5%、タングステン成分が3.7%、炭素成分21.3%であったものが、処理後はバナジウム成分が0.4%、モリブデン成分が1.1%、タングステン成分が1.5%、炭素成分14.6%にに低下しており、表面から炭化物成分が、溶出する溶解成分合計で49%除去されていることが確認できた。溶出しない成分Si、Cr、Mn、Fe及びCoは、溶出する溶解成分の減少により、成分組成割合が上昇しているものもある。
(硬質膜の被覆)
上記で化学的表面処理をした試料を脱油洗浄した後、図2に示す、アークイオンプレーティング装置の工具取り付け治具3に設置して真空容器1を所定の真空度まで真空排気11し、加熱用ヒータ12で450℃に工具本体を加熱して1時間保持した。その後、真空容器1内にアルゴンガス導入口6から真空圧力3Paになるまでアルゴンガスを導入し、電子銃2とアノード4の間で電源8を用いて負グロー放電によるアルゴンプラズマを発生させた状態で、取り付け治具3に負電圧200Vを印加10してイオンイオンボンバード処理により60分間工具表面を清浄化した。その後金属蒸発源(ターゲット)に取り付けたTi合金5にアーク放電9を起こしてTiを蒸発させ、窒素ガス7の流量を所定の比率に設定してアークイオンプレーティング方式により代表的なセラミック硬質膜であるTiNを約3μm成膜した。
上記で化学的表面処理をした試料を脱油洗浄した後、図2に示す、アークイオンプレーティング装置の工具取り付け治具3に設置して真空容器1を所定の真空度まで真空排気11し、加熱用ヒータ12で450℃に工具本体を加熱して1時間保持した。その後、真空容器1内にアルゴンガス導入口6から真空圧力3Paになるまでアルゴンガスを導入し、電子銃2とアノード4の間で電源8を用いて負グロー放電によるアルゴンプラズマを発生させた状態で、取り付け治具3に負電圧200Vを印加10してイオンイオンボンバード処理により60分間工具表面を清浄化した。その後金属蒸発源(ターゲット)に取り付けたTi合金5にアーク放電9を起こしてTiを蒸発させ、窒素ガス7の流量を所定の比率に設定してアークイオンプレーティング方式により代表的なセラミック硬質膜であるTiNを約3μm成膜した。
(被膜の密着性の評価)
密着性の評価には同様な処理を行ったテストピース(角型ハイス93R 6×6×40L)を準備し、CSEM社のスクラッチ試験機を用いて臨界荷重Lcを測定した。
スクラッチ試験は、ダイヤモンド圧子を試料表面から垂直に押しつけて徐々に荷重を増加させるながらダイヤモンド圧子を水平方向に一定速度で移動させる。このときある荷重以上で硬質膜が破壊し、その破壊音をAE(アコーステック エミッション)で検出する。そのときの立ち上がりの荷重を臨界荷重Lcとして密着力の評価とするものである。
高速度工具鋼処理前後の試料を作成し、同時に硬質膜被覆処理を行い上記スクラッチ試験法で測定した結果を表2に示す。
本発明品の臨界荷重は比較試料と較べて値が高く、ばらつきも少なくなっており、良好な結果が得られた。
密着性の評価には同様な処理を行ったテストピース(角型ハイス93R 6×6×40L)を準備し、CSEM社のスクラッチ試験機を用いて臨界荷重Lcを測定した。
スクラッチ試験は、ダイヤモンド圧子を試料表面から垂直に押しつけて徐々に荷重を増加させるながらダイヤモンド圧子を水平方向に一定速度で移動させる。このときある荷重以上で硬質膜が破壊し、その破壊音をAE(アコーステック エミッション)で検出する。そのときの立ち上がりの荷重を臨界荷重Lcとして密着力の評価とするものである。
高速度工具鋼処理前後の試料を作成し、同時に硬質膜被覆処理を行い上記スクラッチ試験法で測定した結果を表2に示す。
本発明品の臨界荷重は比較試料と較べて値が高く、ばらつきも少なくなっており、良好な結果が得られた。
TiAlNコーティングハイスエンドミルの切削試験
実施例1と同様な工程で製作しハイスラフィングエンドミル(本発明品)と、本発明を施していない試料(比較品)を準備し、同時にTiAlN膜を被覆して切削性能試験を以下の条件で行った。
切削工具:外径10mm×柄径10mm 4枚刃 ハイスラフィングエンドミル
切削条件:ドライ(エアブロー)
加工方法:側面切削(ダウンカット)
切削速度:50m/min(660min−1)
送り速度:0.1mm/刃(35mm/min)
切り込み:Aa=10mm Ar=5mm
切削長:20m
被削材:S50C(硬さ180HB)
本発明品と比較品とのハイスラフィングエンドミルの切削試験結果を図4に示す。
ハイスラフィングエンドミルに本発明品を施したもの(本発明品)と、本発明を施していないもの(比較品)を比べると、本発明品は摩耗量が少ない結果となった。
〔本発明の最良の実施形態の効果〕
実施例1と同様な工程で製作しハイスラフィングエンドミル(本発明品)と、本発明を施していない試料(比較品)を準備し、同時にTiAlN膜を被覆して切削性能試験を以下の条件で行った。
切削工具:外径10mm×柄径10mm 4枚刃 ハイスラフィングエンドミル
切削条件:ドライ(エアブロー)
加工方法:側面切削(ダウンカット)
切削速度:50m/min(660min−1)
送り速度:0.1mm/刃(35mm/min)
切り込み:Aa=10mm Ar=5mm
切削長:20m
被削材:S50C(硬さ180HB)
本発明品と比較品とのハイスラフィングエンドミルの切削試験結果を図4に示す。
ハイスラフィングエンドミルに本発明品を施したもの(本発明品)と、本発明を施していないもの(比較品)を比べると、本発明品は摩耗量が少ない結果となった。
〔本発明の最良の実施形態の効果〕
上記の実施例から、ダイス鋼又は高速度工具鋼など炭化物を有する鋼を母材とする、ドリル、エンドミル、タップ、ホブ、金型を含む工具表面に、硬質膜の密着性を高める処理を行うことことにより、従来の一般ダイス鋼工具又は高速度工具鋼工具の寿命を安定して向上させた硬質膜被覆工具を提供するものとなった。
Claims (3)
- ダイス鋼や高速度工具鋼など炭化物を有する鋼からなる工具母材で、表面炭化物成分を化学的溶液処理により溶出させて除去し、表面からのEPMA(Electron Plobe Micro Analyzer)で表面の炭化物成分を、化学的溶液処理により溶出する溶解成分合計でみて、処理前よりも50〜30原子%までに低下させた前記表面に硬質膜を被覆したことを特徴とする硬質膜被覆工具。
- 前記硬質被膜は、Ti、V、Cr等の4a族、5a族、6a族の元素と、Si、Al、Bの1種以上の組み合わせからなる窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物の単層または2層以上の多層膜であることを特徴とする請求項1記載の硬質膜被覆工具。
- 前記炭化物成分が除去された表面をグロー放電によるエチング処理を施し、さらに表面に前記硬質膜を被覆したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の硬質膜被覆工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003431857A JP2005186227A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 硬質膜被覆工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003431857A JP2005186227A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 硬質膜被覆工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005186227A true JP2005186227A (ja) | 2005-07-14 |
Family
ID=34789738
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003431857A Withdrawn JP2005186227A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 硬質膜被覆工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005186227A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009047867A1 (ja) * | 2007-10-12 | 2009-04-16 | Hitachi Tool Engineering, Ltd. | 硬質皮膜被覆部材、及びその製造方法 |
JP2009297864A (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-24 | Osg Corp | ハイス工具 |
JP2009297863A (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-24 | Osg Corp | ハイス工具 |
-
2003
- 2003-12-26 JP JP2003431857A patent/JP2005186227A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009047867A1 (ja) * | 2007-10-12 | 2009-04-16 | Hitachi Tool Engineering, Ltd. | 硬質皮膜被覆部材、及びその製造方法 |
US8304098B2 (en) | 2007-10-12 | 2012-11-06 | Hitachi Tool Engineering, Ltd. | Hard-coated member, and its production method |
JP5246165B2 (ja) * | 2007-10-12 | 2013-07-24 | 日立ツール株式会社 | 硬質皮膜被覆部材の製造方法 |
JP2009297864A (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-24 | Osg Corp | ハイス工具 |
JP2009297863A (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-24 | Osg Corp | ハイス工具 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6362003B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP6525310B2 (ja) | 被覆工具 | |
JP6658983B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP2009078351A (ja) | 被膜付き切削工具の製造方法 | |
CN110691662B (zh) | 包覆切削工具 | |
JP2004238736A (ja) | 硬質皮膜及び硬質皮膜被覆工具 | |
US20100003456A1 (en) | Coated body and method for its production | |
JP2017001147A (ja) | 被覆切削工具 | |
JP6555796B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
KR20160138278A (ko) | 다층 기판 및 제조 방법 | |
JP2009006439A (ja) | 切削工具 | |
JP6243796B2 (ja) | ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜方法 | |
JP2006052435A (ja) | 半導体加工装置用部材及びその製造方法 | |
JP2005186227A (ja) | 硬質膜被覆工具 | |
JP6844704B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
KR102482622B1 (ko) | 절삭 공구 및 그 제조 방법 | |
JP2004131820A (ja) | 高機能ハイス工具製造方法 | |
WO2018220910A1 (ja) | 表面被覆立方晶窒化硼素焼結体およびこれを備える切削工具 | |
WO2024048304A1 (ja) | 被覆工具 | |
JP2005153126A (ja) | プラズマ窒化セラミック硬質膜被覆工具 | |
JP4084678B2 (ja) | 表面被覆切削工具およびその製造方法 | |
JP2008213059A (ja) | 硬質皮膜 | |
JP2024027836A (ja) | 被覆工具 | |
JP3143154B2 (ja) | プラズマ気相蒸着法 | |
JP4916176B2 (ja) | 被覆部材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070306 |