JP2005181919A - 液晶セルスペーサ及び液晶パネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単量体の重合によって得られる合成樹脂系微粒子からなり、前記合成樹脂系微粒子の表面に、化学的エッチング処理による微細孔が設けられていることを特徴とする液晶セルスペーサを提供する。化学的エッチング処理は、酸性又はアルカリ性のエッチング液による処理でよく、酸又はアルカリ、界面活性剤及び有機溶剤を必須成分とするエッチング液を用いることもできる。
【選択図】なし
Description
単量体の重合によって得られる合成樹脂系微粒子であって、その表面に化学的エッチング処理による微細孔が設けられたものである。かかる微細孔は、液晶割れを生じさせることのないような液晶規制範囲を示す大きさ、形状、範囲等の微細な孔であり、特に、それと同時に、非通電時及び通電時の光抜けを物理的に防止でき、且つ乾式散布時にスペーサの凝集を発生させないものが好ましい。
単量体の重合によって得られる。合成樹脂系微粒子には、化学的エッチングが可能な無機有機複合体粒子のような複合体微粒子も含まれる。
単量体の重合方法としては、特に限定されず、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法等を用いることができる。特に、本発明の液晶セルスペーサを製造する場合は、水媒体中での乳化重合法や懸濁重合法等が好ましい。
合成樹脂系微粒子の表面に微細孔を生じさせる処理である。種々の化学的エッチング方法が含まれる。
種々の条件を設定することができる。処理温度は、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃である。処理温度が低いと微細孔が形成され難い一方、処理温度が高いとスペーサとしての力学的な強度の低下が起こり易い。合成樹脂系微粒子の材質、大きさ等の関係から、エッチング液濃度、処理温度、処理時間等を変えることで、適当な微細孔のものに制御すればよい。
乾式ではなく湿式での化学的なエッチングのため、低温プラズマ処理のような物理的なエッチング現象と異なり、スペーサ表面に均一に微細孔が形成される。その微細孔が液晶分子を好適に規制することにより、液晶分子が、スペーサ表面の水平方向へ沿って配列することが避けられ、垂直に配向する。このことにより、液晶割れが防止でき、スペーサと液晶との界面及びスペーサ間の液晶の光抜けが有効に防止され、コントラストに優れた液晶表示が得られる。
このように、化学的エッチング処理を施された合成樹脂系微粒子を液晶セルスペーサとして用いた液晶パネルは、従来の種々の問題点を解決することができ、液晶パネルとしての品質が高い。液晶パネルは、例えば、一対の基板と前記各基板の間に介在する液晶と前記各基板の間を所定の間隔に維持する液晶セルスペーサとを備える。
<実施例1>
微粒子表面の酸(硫酸)による化学的エッチング(80℃10時間)
セパラブルフラスコ中へ、スペーサ〔早川ゴム(株)製、L−11、粒径5.75μm〕24重量部、IPA(2−プロパノール)16.6重量部、脱イオン水16.6重量部、ノニオン系界面活性剤〔和光純薬工業(株)製:トリトンX−100〕30%水溶液0.1重量部を投入し、超音波処理を行ない、分散液を作製する。
酸(硫酸)による化学的エッチング(80℃20時間)
酸による化学的エッチングの時間を80℃で20時間行なう以外は実施例1と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は5.75μmである。
<実施例3>
酸(塩酸)による化学的エッチング
酸性エッチング液を64%硫酸水から40%塩酸〔和光純薬工業(株)製〕へ代える以外は実施例1と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は5.75μmである。
<実施例4>
酸(硝酸)による化学的エッチング
酸性エッチング液を64%硫酸水から35%硝酸溶液〔和光純薬工業(株)製〕へ代える以外は実施例1と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は5.75μmである。
<実施例5>
酸(燐酸)による化学的エッチング
酸性エッチング液を64%硫酸水から60%燐酸溶液〔和光純薬工業(株)製〕120重量部へ代える以外は実施例1と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は5.75μmである。
アルカリ(水酸化ナトリウム)による化学的エッチング(80℃10時間)
セパラブルフラスコ中へ、スペーサ〔早川ゴム(株)製、L−11、粒径5.75μm〕16重量部、IPA15.2重量部、脱イオン水15.2重量部、ノニオン系界面活性剤トリトンX−100の30%水溶液0.1重量部を投入し、超音波処理を行ない、分散液を作製する。
アルカリ(水酸化ナトリウム)による化学的エッチング(80℃20時間)
アルカリによる化学的エッチングの時間を80℃で20時間行なう以外は実施例6と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は5.75μmである。
<実施例8>
アルカリ(水酸化カリウム)による化学的エッチング
アルカリ性エッチング液を0.1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液から0.1モル/Lの水酸化カリウム溶液〔和光純薬工業(株)製〕へ代える以外は実施例6と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は5.75μmである。
着色粒子の化学的エッチング
被エッチング処理スペーサを、早川ゴム(株)製、L−11、粒径5.75μmから特開2000−319529号公報記載の製造方法にて得られる着色粒子(粒径5.9μm)
に代える以外は実施例1と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。平均粒子径は5.9μmである。
エッチング液成分の検討
IPA、界面活性剤を添加しない以外は実施例1と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は5.75μmである。
エッチング液濃度の検討
0.1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液の代わりに5モル/Lの水酸化ナトリウム溶液を用いる以外は実施例6と同様の操作を行ない、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は4.9μmである。
実施例1の被エッチング処理スペーサ〔早川ゴム(株)製、L−11、粒径5.75μm〕をそのまま液晶スペーサとして用いる。
<比較例2>
セパラブルフラスコ中で、特開2000−319529号公報記載の製造方法にて得られる着色粒子(粒径5.9μm)5重量部を1,4−ジオキサン100重量部中に分散させる。次に、この分散液を充分撹拌しながら、ドデカノイルクロライド〔和光純薬工業(株)製〕10重量部を滴下後に60℃10時間の条件で粒子表面をアルキル鎖で修飾し、アセトンによる充分な洗浄を行なって後に乾燥させ、スペーサ粒子を得る。スペーサ粒子の平均粒子径は5.9μmである。
評価方法
各パラメータは、以下のようにして測定する。
<粒子径>
粒子径及び粒子径分布の測定には、コールターカウンターZM/VC−256(ベックマンコールター社製)を用い、約3万個を測定し平均化して値を示す。使用に際しては、同社製標準粒子を用いて矯正する。
<力学的強度>
力学的強度については、微小圧縮試験機〔MCTM−200型、(株)島津製作所製〕を用いて、10%圧縮強度、圧縮回復性を測定する。以下、測定方法について述べる。
10%圧縮強度は、試料台上に散布した試料粒子1個について、粒子径dを付属の顕微鏡測定機で求めて後、粒子の中心方向へ0.675g/秒の圧縮速度で試料粒子が破壊するまで荷重をかけ、粒子の初期10%圧縮弾性率時の荷重Pを式:G=28P/πd2に適用し求める。このようにして、20℃における10%圧縮強度G値(kgf/mm2)を算出する。この操作を直径が最も平均的と観察される異なる5個の粒子について行ない、その平均値を粒子の10%圧縮強度とする。100%回復率は、粒子の中心方向に1grfまで荷重をかけて後、荷重を0grfまで除荷する。この間のデータを変位−荷重曲線に記録し、原点から1grfまでの変位(L1)に対する、0grfに除荷した際の回復変位(L2)の測定値の割合を百分率で表す。この際の圧縮強度は0.029g/秒のものを用いる。なお、必要な場合は1kgf≒9.80665Nで換算する。
<散布性、張り合わせ時のスペーサ破壊、液晶スペーサ界面およびスペーサ間の光抜け評価>
透明電極及び配向膜を有するガラス基板を脱脂綿でラビングして配向処理し、得られるスペーサ粒子を液晶表示装置用スペーサとして用い、乾式散布装置DSPA‐μR〔日清エンジニアリング(株)製〕によってその基板上へ散布する。N2ガス流量3.0kgf/cm2、配管はマイナス配管とする。このとき、フィーダ回転数をガラス基板上へのスペーサの散布量が100〜120個/mm2になるように調整する。このようにして得られるガラス基板を光学顕微鏡により観察し散布性を評価する。
次に、他方のガラス基板の周辺に周辺シール材を形成して後、ラビング方向が240度の角度になるように両者を張り合わせる。この後、160℃で3時間処理してシール剤を硬化させ空セルを作製する。このようにして得られる空セルに所定量のSTN型液晶を注入して後、その注入口を塞ぎ、ガラス基板の表面に偏向フィルムを貼り付けノーマリーブラックモードである液晶表示パネルを作製する。
この液晶表示パネル内で、張り合わせ時に破壊する液晶スペーサの有無、及び上下の透明電極間に2.5Vの電圧をかける際に起こる液晶スペーサ界面の光抜け、液晶スペーサ間のディスクリネーション(液晶割れ)を透過型顕微鏡にて観察する。
Claims (7)
- 単量体の重合によって得られる合成樹脂系微粒子からなり、前記合成樹脂系微粒子の表面に、化学的エッチング処理による微細孔が設けられていることを特徴とする液晶セルスペーサ。
- 前記化学的エッチング処理が、酸又はアルカリ、界面活性剤及び有機溶剤を必須成分とするエッチング液によることを特徴とする請求項1記載の液晶セルスペーサ。
- 前記エッチング液が、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸及び過塩素酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸を含有することを特徴とする請求項2記載の液晶セルスペーサ。
- 前記エッチング液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム及びアンモニアからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリを含有することを特徴とする請求項2記載の液晶セルスペーサ。
- 前記界面活性剤がノニオン系の界面活性剤であり、前記有機溶剤が水混和性有機溶剤であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載の液晶セルスペーサ。
- 着色粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の液晶セルスペーサ。
- 一対の基板と前記各基板の間に介在する液晶と前記各基板の間を所定の間隔に維持する液晶セルスペーサとを備える液晶パネルであって、
前記液晶セルスペーサが、単量体の重合によって得られる合成樹脂系微粒子からなり、前記合成樹脂系微粒子の表面に、化学的エッチング処理による微細孔が設けられていることを特徴とする液晶パネル。
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2003
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