JP4433526B2 - 液晶性高分子水系分散物の製造方法、液晶性高分子水系分散物、光学素子の製造方法及び光学素子 - Google Patents

液晶性高分子水系分散物の製造方法、液晶性高分子水系分散物、光学素子の製造方法及び光学素子 Download PDF

Info

Publication number
JP4433526B2
JP4433526B2 JP28663499A JP28663499A JP4433526B2 JP 4433526 B2 JP4433526 B2 JP 4433526B2 JP 28663499 A JP28663499 A JP 28663499A JP 28663499 A JP28663499 A JP 28663499A JP 4433526 B2 JP4433526 B2 JP 4433526B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystalline
crystalline polymer
polymer
aqueous dispersion
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28663499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001108829A (ja
Inventor
伸夫 久保
憲康 葛原
博紀 梅田
壮太 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP28663499A priority Critical patent/JP4433526B2/ja
Publication of JP2001108829A publication Critical patent/JP2001108829A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4433526B2 publication Critical patent/JP4433526B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶性高分子水系分散物の製造方法、液晶性高分子水系分散物、該液晶高分子水系分散物による光学素子の製造方法及び光学素子に関する。詳しくは液晶ディスプレイの色補償用または視野角補償用の光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターのマルチメディア化が進み、ラップトップ型パーソナルコンピューターにおいても、カラー表示が一般的になって来ている。ラップトップ型コンピューターでは、STN液晶ディスプレイやTFT液晶ディスプレイが主に使用されている。
【0003】
STN液晶ディスプレイは、複屈折モードを利用した表示素子であるため、液晶で生じる位相差により着色し、白黒表示が不可能であるという大きな問題があった。このような問題を解決するために、D−STN方式(補償用液晶セルを用いる方式)が試みられたが、この方式では、液晶ディスプレイの特徴である薄くて軽いという時代の要求に逆行しており、また補償用液晶セルの製造おいて高い精度が要求されるという生産性の点で歩留りが悪く、使用していくには課題が多くあった。
【0004】
液晶ディスプレーや補償用液晶セルのこれらの問題を解決する方法として、例えば、特開昭63−149624号公報には延伸樹脂フィルムを用いるF−STN方式が提案され、また、特開平3−87720号及び同4−333019号公報にはD−STN方式の補償性能を維持して、その重量と肉厚を軽減する目的で、液晶性高分子をねじれ配向させたフィルムを使って色補償を行う方法が提案されている。この液晶ディスプレイの位相差補償板は、透光性基板とこの基板の上に形成された配向膜、及び、この配向膜の上にねじれ配向状態に固定した液晶高分子層とから構成されている。
【0005】
更に、最近では、TFT液晶ディスプレイの視野角補償として、特開平7−191217号公報に開示されているように、ディスコティック液晶のフィルムを液晶セルの上面と下面に配置して、液晶セルの視野角特性を改善する試みがなされている。このTN型液晶ディスプレイ用補償板は、上述の特開平3−87720号及び同4−333019号公報に記載されている液晶ディスプレイの位相差補償板と同様に、透光性基板と、この基板の上に形成された配向膜及びこの配向膜の上に形成された液晶性高分子層で構成されている。
【0006】
上述のように、近年、STN液晶ディスプレイやTFT液晶ディスプレイにおいては、従来より高度な補償性能を有する光学フィルムが要望され、その解決手段として、液晶性高分子が検討されるようになって来ている。
【0007】
従来、液晶性高分子を用いた光学素子には、液晶性高分子を特定の均一な配向状態にさせるために、配向膜が使用されている。この配向膜は、ポリイミドの前駆体の有機溶剤溶液を基板の上に薄膜塗工し乾燥後、百数十度の温度に加熱焼成することによってポリイミド膜として形成したものであり、これをラビングすることによって配向膜面内の配向方向を制御するとともに、面からの立ち上がりであるチルト角も同時に生成させている。このような配向膜を樹脂フィルム基板上に形成させる場合には、樹脂フィルムは配向膜の有機溶剤に溶解あるいは変質してはならないし、配向膜の形成に必要な加熱焼成温度に充分に耐える耐熱性が必要である。また、有機溶媒の使用は、工程を常に爆発限界以下になるように対策をとらなければならず、装置等が大がかりになる。
【0008】
ラビングは、ラビングロール布から塵埃が出るため、繊維、配向膜の小片などの配向膜上の汚れを取り除くと吸引装置や洗浄工程が必要となる。更に、絶縁体膜面を擦るので静電気が発生し易く、イオナイザー静電気除去装置を設けたり、基板の周辺には静電気破壊を防ぐための装置等も設けなければならない。更に、ラビングロールは、押しつける強さを距離で管理しているため、擦り減って行くロール布にあわせて、常に調節が必要であるばかりでなく、基板の所定枚数処理後とに布を張り替えなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような、ラビングロールによる配向を必要としない技術として、種々な方法が提案されている。その中で、光照射による架橋、二量化、異性化、分解等の光配向技術が注目されている。しかしながらディスコティック液晶による補償フィルムが開発され、1枚のフィルムで視野角が改善されるようになり、光配向技術が、設備投資などの点から期待が薄れて来た。しかし、ディスコティック液晶は高価であり、製造方法にも問題がある。
【0010】
一方、大面積化、高精細化、表示モードの多様化に伴い、ラビングについても限界があり、大面積化に対応出来る技術として光配向技術が、光源などの進歩により見直されるようになって来た。しかしながら、光配向する従来の方法は、配向膜と液晶層とが重層されている構造をとっているため、製造上煩雑であり、且つ、収率の低下、コストアップになるばかりでなく、実際の性能上液晶表示を補償する特徴を充分に発揮出来なかった。
【0011】
従って、本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、ラビングによらず、工程の安全性を確保出来、簡略化することにより経済的に光学素子を製造する方法及び光学素子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成よりなる。
【0013】
(1) 液晶性高分子水系分散物を製造する方法において、液晶性成分を有する単量体を重合、または該単量体と他の単量体を重合した液晶性高分子を含有する有機溶媒溶液を分散安定剤として水溶性光反応性高分子を含有する水中に分散し、後に有機溶媒を除去して液晶性高分子と水溶性光反応性高分子とが隣接して存在する液晶性高分子水系分散物を調製することを特徴とする液晶性高分子水系分散物の製造方法。
(2) 水溶性光反応性高分子が光2量化反応成分を有する単量体の重合体、または光2量化反応成分を有する単量体と他の単量体の共重合体であることを特徴とする(1)に記載の液晶性高分子水系分散物の製造方法
(3) (1)または(2)の何れか1項に記載の方法で調製されたことを特徴とする液晶性高分子水系分散物。
) ()に記載の液晶性高分子水系分散物を、支持体上に塗布後乾燥し、加熱しながら、電場または磁場を印加及び/または偏光紫外線を照射し、後に室温まで冷却することを特徴とする光学素子の製造方法。
) ()に記載の方法で形成したことを特徴とする光学素子。
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明に係る液晶性高分子は、液晶成分を有する単量体の単独重合体または他の単量体との共重合体で、詳しくは液晶成分を有するエチレン性不飽和単量体の単独重合体または他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である。
【0028】
以下に本発明に係る液晶成分を有する単量体の例を示すが、これに限定されない。
【0029】
【化1】
Figure 0004433526
【0030】
【化2】
Figure 0004433526
【0031】
【化3】
Figure 0004433526
【0032】
本発明に係る液晶性高分子に用いられる他のエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィンまたはジオレフィン類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン等のビニルケトン類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−モルホリノアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−モルホリノメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド等のアクリルアミド類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン等のハロゲン化ビニルまたはオレフィン類等を挙げることが出来る。なお、ここではノルマル(n)、イソ(i)、セカンダリー(s)、ターシャリー(t)については省略したが、何れの単量体も使用し得る。
【0033】
本発明の液晶成分を有するエチレン性不飽和単量体は重合体中30重量%以上あることが必要であり、好ましくは40重量%である。
【0034】
また、液晶性高分子の分散安定性の向上の目的で、全単量体重量分率で10重量%以下、好ましくは5重量%以下のアニオン性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を用いてもよい。具体的には、アニオン性官能基がカルボキシル基である場合の単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−オキシカルボニルエチルアクリレート、2−オキシカルボニルエチルメタクリレート、2−(2′−オキシカルボニルエチルカルボキシ)エチルアクリレート、2−(2′−オキシカルボニルエチルカルボキシ)エチルメタクリレート、2−(m−オキシカルボニルベンゾイルオキシ)エチルアクリレート、2−オキシカルボニルエチルカルボオキシエチレン、m−オキシカルボニルベンゾイルオキシエチレン、4−オキシカルボニルスチレン等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。本発明において、上記単量体単位のうち、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸が好ましく用いられる。また、アニオン性官能基がスルホン酸基である単量体の例としては、スチレンスルホン酸、アクリロイルオキシメチルスルホン酸、アクリロイルオキシエチルスルホン酸、アクリロイルオキシプロピルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることが出来る。これらの酸はアルカリ金属(例えば、Na、Kなど)またはアンモニウムイオンの塩であってもよい。
【0035】
本発明の液晶性高分子水系分散物は、有機溶媒中で液晶性成分を有する単量体を、または他の単量体と共に、溶液重合した液晶性高分子溶液を水系液中で分散して、後に有機溶媒を除去する方法、別に重合した液晶性高分子を有機溶媒に溶解した後、水系液中に上記と同様に分散する方法、液晶性成分を有する単量体を、または他の単量体と共に、水系液中で乳化重合する方法等により調製される。
【0036】
液晶性高分子水系分散物を得る方法を更に具体的に説明する。
【0037】
液晶性高分子の有機溶媒溶液を用いて水系分散物とする方法としては、液晶性高分子の低沸点有機溶媒と溶液を、分散安定剤として界面活性剤を含有する水溶液及び/または水溶性高分子を含有する水溶液に混合し、次いで高速度回転ミキサー、コロイドミル、超音波分散機等の如き分散機を用いて乳化分散する方法を挙げることが出来る。水溶性高分子は、20℃の水100gに対して、水溶性高分子が0.5g以上溶解し、または加熱溶解後に20℃で析出しないもので、好ましくは1g以上溶解するのものである。
【0038】
低沸点有機溶媒は、非水溶性の有機溶媒で、沸点は常圧で30〜180℃、好ましくは45〜約160℃のもので、具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、2−エトキシエチルアセテート、クロロホルム等を挙げることが出来る。
【0039】
本発明の液晶性高分子水系分散物の分散安定剤としての界面活性剤は、一般的な界面活性剤を用いることが出来、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤何れも使用出来る。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤として、石ケン類、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等、ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリル酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等、またカチオン性界面活性剤として、セチルピリジニウム塩酸塩、トリメチルアンモニウムハイドロオキサイド等、また、両性界面活性剤として、ジメチルアミルベタイン、エチルグリシン等を挙げることが出来る。
【0040】
本発明の液晶性高分子水系分散物の分散安定剤としての水溶性高分子としては、水溶性天然化合物、半合成水溶性高分子または合成水溶性高分子何れも使用出来、アルギン酸またはその塩、グアガム、プルラン、グリコーゲン、アラビアゴム、アルブミン、寒天、でんぷん誘導体、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等の蛋白質、ゼラチン誘導体、ゼラチンとエチレン性不飽和単量体とのグラフト重合物、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル等の如きセルロース誘導体、デキストリン、デキストラン、デキストラン硫酸塩等の糖誘導体等の水溶性天然化合物及び半合成水溶性高分子、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸とそれらの塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単独重合体あるいはこれらの単量体と他の単量体との共重合体等の合成水溶性高分子を挙げることが出来る。
【0041】
本発明は、本発明の液晶性高分子組成物を用いて、光反応性高分子を光照射して光配向させ、性能の優れた液晶ディスプレイの色補償用や視野角補償用の光学素子とするもので、液晶性高分子と光反応性高分子とが隣接して存在していることが特徴である。従って、液晶性高分子水系分散物の分散安定剤として水溶性高分子を使用する場合、上記の水溶性高分子を使用するよりも、分散安定剤として水溶性光反応性高分子することにより液晶性高分子に隣接して光反応性高分子を配置することが出来るので好ましい。
【0042】
本発明に使用する光反応性高分子は、光二量化、光結合または光分解するものであって、光反応性基を有する光反応性高分子ならば制限なく使用出来るが、下記のような光反応性基を有する高分子、繰り返し単位を有する光反応性高分子、または光反応性反応基を有する単量体からの高分子が好ましく用いられる。
【0043】
光反応性基としては、
【0044】
【化4】
Figure 0004433526
【0045】
等を挙げることが出来る。ここで、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基等である。
【0046】
また、下記の光反応性高分子の繰り返し単位として、
【0047】
【化5】
Figure 0004433526
【0048】
等を挙げることが出来る。
【0049】
更に、下記の光反応性基を有する単量体としては、
【0050】
【化6】
Figure 0004433526
【0051】
等を挙げることが出来る。
【0052】
上記、光反応性基、光反応性高分子の繰り返し単位、及び光反応性基を有する単量体は、これらに限定されるものではないが、シンナモイル基、カルコン基またはクマリン基の光反応性基を有しているものが好ましい。
【0053】
本発明において、光反応性高分子は、光反応性単量体からの光反応性高分子であっても、また他の単量体との共重合体の光反応性高分子であってもよい。
【0054】
光反応性単量体と共重合する他の単量体としては、前記液晶性高分子に用いられる他のエチレン性不飽和単量体(ここでは省略)、前記アニオン性官能基がカルボキシル基である場合の単量体の例において述べた単量体(ここでは省略)、及びこれらの他にN−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピラゾール、アクリルアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリジン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルオキサゾリン、N−ビニルイソチアゾリン、N−ビニルピペラジン、N−(2−アクリロイルオキシエチル)ピロリドン、N−アクリロイルモルホリン等を挙げる事が出来る。これらのうち、水溶性単量体として、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピラゾール、N−(2−アクリロイルオキシエチル)ピロリドン、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。本発明において、水溶性の光反応性高分子のうち、アイオニック(anionic)な、またはプロティック(protic)な基を有するものよりも、アプロティック(aprotic)な基を有する単量体または水溶性の光反応性高分子の方が好ましい。また、前記水溶性高分子においても、同様にアプロティックな単量体の共重合水溶性高分子が好ましい。
【0055】
本発明に有用な光反応性高分子を下記に例として挙げるが、これらに限定されない。
【0056】
【化7】
Figure 0004433526
【0057】
【化8】
Figure 0004433526
【0058】
ここで、nは高分子であることを表している。また、n1及びn2は共重合体中の繰り返し単位の比率である。
【0059】
本発明において、上記水溶性光反応性高分子は液晶高分子の有機溶媒溶液を水中に分散して液晶性水系分散物を調製するためのみに用いるではなく、液晶性高分子の乳化重合物の分散安定剤としても好ましく使用し得る。この場合水溶性光反応性高分子の水溶液中で乳化重合してもよいし、乳化重合後に水溶性反応性高分子水溶液を添加してもよい。
【0060】
もう一つの本発明の液晶性高分子水系分散物は液晶性高分子を乳化重合してコアとし、その周りに光反応性高分子をシェルとして乳化重合する、いわゆる、コア/シェル構造を有する乳化重合物(以下、ラテックスということもある)である。
【0061】
本発明に使用する高分子の重合方法は、有機溶媒溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等種々の重合方法を用いることが出来る。全3者は得られた高分子は有機溶媒溶液からの液晶性高分子の水系分散物に用いられ、乳化重合はそのまま液晶性高分子水系分散物として使用出来る。重合方法は通常行われている乳化重合方法を適用出来、大津隆行、大下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、1996年刷を参考にして行う事が出来る。通常、重合は溶液中に重合開始剤を添加し、乳化重合の場合には更に必要に応じて分散安定剤(乳化剤)を添加し、窒素ガスで満たした反応容器で、単量体を滴下し、重合熱を外部から押さえながら重合を行う。重合終了後、得られた高分子を非溶媒に沈殿させたり、析出させたりして取り出すが、乳化重合の場合はそのまま使用する場合が多い。重合温度は、100℃以上の場合もあるが、通常30〜100℃でレドックス重合開始剤の場合には−10〜60℃程度である。乳化重合の場合には、水あるいは水中で、また場合によっては水に混和し得る有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン等)を含有する水中で重合反応を行う。水に混和し得る有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒の量は水に対して体積比で0〜30%、好ましくは0〜15%である。乳化重合反応は、重合すべき単量体に対し0.05〜5重量%のラジカル重合開始剤と、必要に応じて0.1〜10重量%の乳化剤を用いて行なわれる。重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、t−ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等、またレドックス重合開始剤として、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸カリウム−酸性亜硫酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキサイド−硫酸第一鉄、過酸化ベンゾイル−ジエチルアニリン等を挙げることが出来る。分散安定剤(以下、乳化剤ということもある)としてはアニオン性、両性、ノニオン性の界面活性剤の他、水溶性ポリマーなどがある。例えばラウリン酸ソーダ、ドデシル硫酸ナトリウム、1−オクトキシカルボニルメチル−1−オクトキシカルボニルメタンスルホン酸ナトリウム、ラウリルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル、ポリビニルアルコール、特公昭53−6190号に記載の乳化剤や水溶性高分子等を挙げることが出来る。乳化重合においては、その目的に応じて、重合開始剤、濃度、重合温度、反応時間などを幅広く、かつ、容易に変更出来ることはいうまでもない。
【0062】
本発明の液晶性高分子水系分散物において、有用な方法の一つとして乳化重合法によるコア/シェル構造を有する乳化重合物を用いる。本発明のコア/シェル構造の液晶性高分子水系分散物は、コアとして液晶性高分子とシェルとして光反応性高分子の2重構造の液晶性高分子と光反応性高分子とが粒子の中で隣接している機能的なもので、コアの液晶性高分子の乳化重合物に対し、シェルを形成する光反応性単量体を、または他の単量体を共に、滴下しながら更に乳化重合することにより容易に得る事が出来る。シェルを形成する単量体を一括投入する方法もあるが、重合に伴う発熱を回避するためにも滴下しながら添加する方がよい。
【0063】
コア/シェル構造を有する乳化重合物は、上記の重合開始剤や乳化剤の存在下に乳化重合により、コア乳化重合粒子を形成した後、シェルを形成する単量体を重合する際には乳化剤を更に添加してもよいし、添加せずに重合を行ってもよい。乳化剤の追加添加は生成ラテックスの安定性に必要となる場合も多いが、逆に過剰の乳化剤が存在すると目的以外のシェルを形成する高分子のみからなる粒子が副生してしまうことがある。従って、コアラテックス形成後に追加添加する乳化剤の量はコアラテックス粒子に対し、0.001ないし2重量%程度に抑えるか、もしくは全く添加しない方が好ましい。コア/シェル構造を完成させるためには、シェル形成単量体添加時におけるコアラテックスの重合は出来るだけ完結しておくことが重要であり、コア重合体の重合率を90%以上、好ましくは95%以上、特に好ましくは実質的に100%にしておくことである。また、コア/シェルの高分子の重量比は、シェルを形成する高分子が光反応の目的達成するためには、70/30〜99.5/0.5、好ましくは90/10〜99.5/0.5の範囲にある。
【0064】
本発明の液晶性高分子水性分散物は、使用する界面活性剤、または水溶性高分子が液晶性成分の配向を妨げる場合もあるので、ソープフリー乳化重合(乳化剤不存在下の乳化重合法)が好ましい。ソープフリーの乳化重合は、界面活性剤を分散安定剤として使用しないで、重合開始剤の親水性部分を利用して乳化重合する等の方法である。ソープフリー乳化重合法については、特公昭49−5615号、特公平1−36484号、同4−19242号公報等数多くの報告があり、本発明において、これらの公知の技術を用いて液晶性高分子分散物を乳化重合法で得ることが出来る。
【0065】
本発明の光学素子は本発明の液晶性高分子水系分散物を支持体に塗布することによって得られる。
【0066】
本発明で用いる支持体は、光透過率が80%以上の特性を有するものであり、セルロースエステルフィルム、例えばセルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルフォン、ポリエステルフィルム等光学的に等方性のものが好ましく用いられ、一軸延伸ポリエステルも使用し得る。
【0067】
本発明で用いる支持体は、ハロゲン化銀写真感光材料に使用するように、下引層が塗設されていてもよい。下引層としては、例えば、ゼラチン層、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体層、ポリビニルアルコール層等を挙げることが出来る。また支持体表面を鹸化処理、コロナ放電処理、ガス中放電プラズマ処理、プラズマ処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線処理等を施したものを使用してもく、また下引層塗設前後にこれらの処理を施してもよい。
【0068】
本発明の光学素子は、液晶セルを挟んで上下に設けられ、液晶ディスプレイの色補償用または視野角補償用の光学素子として用いられ、主に液晶性高分子組成層と支持体で構成されている。
【0069】
本発明の光学素子を作製するに際し、液晶性高分子組成物の塗布方法としては、ワイヤーバー、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーター等を挙げることが出来るが、特に限定されるものではない。本発明においては、適宜塗布方法を選択して使用すればよい。
【0070】
本発明の光学素子を作製するために、本発明の液晶性高分子組成物を支持体に塗布後、乾燥する過程において、乾燥温度は、液晶性を発現しない温度、すなわち70℃未満で行うのがよい。
【0071】
本発明の光学素子は、上記塗布乾燥工程を経て、一旦巻き取られた後に、液晶性を発現させてもよいし、塗布乾燥工程中あるいはその延長上で液晶性を発現させてもよい。層中の液晶性成分を液晶性を発現出来る温度以上の温度に加熱することにより、液晶性を有する材料が塗膜中にて分子運動が可能となり、電場または磁場の印加によりまた偏光照射により、所定の方向に配向させることが出来る。
【0072】
本発明に用いる液晶性高分子の液晶性を発現出来る温度は70〜130℃の範囲で、その状態の間に、電場または磁場を印加、あるいは偏光紫外線を照射することによって、液晶性高分子を配向させることが出来る。液晶性高分子だけで、光反応性高分子が存在していない場合は、電場または磁場を印加するだけで、液晶性高分子は配向する。また光反応性高分子を隣接して含有する場合には、偏光紫外線の照射することによって液晶性高分子を配向することが出来るが、電場または磁場を印加しても同様に配向させることが出来る。更に、電場または磁場の印加と偏光紫外線の照射を両方与えてもよい。70℃未満だと液晶ディスプレイの使用環境によっては配向された液晶性高分子の配向状態が不安定で、その状態を維持することが出来ず、補償性能が失効することがある。
【0073】
本発明に使用する光反応性高分子は、前述のように、光二量化により桂皮酸基、カルコン基あるいはクマリン基等の二重結合が、相対している光反応性高分子間で架橋(シクロゼイション)を起こすもので、その際に偏光により方向性が記録出来、これが液晶性高分子、詳しくは液晶性成分の配向に寄与する。これを光配向という。光配向については、液晶デバイスの分野でその技術が既に検討されており、長谷川雅樹、「液晶」、第3巻、第1号、3〜16頁(1999年)に総説が記載されている。
【0074】
従来の補償フィルムのような液晶性化合物を配向させる場合は、液晶性化合物と配向層とが別の層として重ねられているが、本発明の光学素子においては、液晶性高分子層に光反応性高分子を含有していることが特徴で、このような同一層にあることが液晶性成分の配向を非常に容易にし、効率をよくしていると発明者らは考えている。
【0075】
本発明において、光配向させるための、また光反応性高分子を光二量化するための紫外線光源としては、超高圧水銀灯、中圧水銀灯、キセノン灯、ハロゲンランプ、蛍光灯等を挙げることが出来、光源と偏光子を組み合わせて(偏光子を通して)直線偏光を照射することが出来る。偏光子としては、主に使用されているものとして延伸染色PVAがある。
【0076】
本発明において、偏光紫外線以外の配向させる技術として、前述の電場または磁場を印加して液晶性成分の配向を行ってもよい。層中の液晶性成分を液晶発現温度以上の温度に加熱することにより、液晶性成分が層中で分子運動が可能となり、偏光紫外線照射により、あるいは電場または磁場の印加により所定の方向に配向されることになる。照射または印加して配向させた後は、液晶性高分子組成物の層を液晶性発現温度未満の温度に冷却することにより、所望の方向に液晶性配向が固定化され光学素子を得ることが出来る。この場合、電場または磁場の印加条件は、目的とする光学的機能、液晶性高分子材料の種類によって異なるため、一義的には定め得ない。何れにしても、本発明では光反応性高分子の偏光紫外線照射による光化学反応、特に光二量化反応によって、および/または電場、磁場の印加によって液晶性高分子が、塗膜状態で所定の方向に配向される。
【0077】
【実施例】
以下に本発明を実施例で説明するが、これらに限定されない。
【0078】
[評価]
〔光透過率の評価〕
試料を光透過軸が直行するように配置した2枚の偏光板の間に設置した。試料の設置方向は、試料作製時の偏光紫外線を照射した偏光軸の方向、もしくは磁場の磁力線方向、あるいはラビング方向に対して偏光板のどちらかの軸が平行になるように配置して密着し、光透過率を測定した。
【0079】
〔操作方法の評価〕
光学素子を作製する操作の難易度及び操作の煩雑度を○、△及び×で示した。
【0080】
[液晶性高分子水系分散物の調製]
調製例1
〔液晶性高分子PL−1の重合〕
5000mlの三口フラスコにLC−1を200g、アゾビスイソブチロニトリルを2g及びテトラヒドロフランを1800mlを加え混合し、窒素を30分間バブリングした。50℃に昇温し攪拌しながら重合反応を5時間行った。室温に放冷後ロータリーエバポレーターで反応溶媒を減圧留去し反応混合物を濃縮した。この混合液をジエチルエーテル中で沈殿を析出させ、固形分を真空乾燥して液晶性高分子PL−1を得た。収率は72%であった。このPL−1を少量のTHFに溶解し、プレパラート上にキャスト製膜し真空乾燥し、110℃で10分間熱処理を行い室温まで冷却した。2枚の偏光板をクロスニコルの状態とし、この間にキャスト製膜したプレパラートを設置したところ、光学的に異方性を有することが確認出来た。この膜をさらに加熱して123℃で同様に観察したところ、光学的に異方性を示さず等方性であった。
【0081】
〔光反応性高分子P(VCi−VP)の重合〕
5000mlの褐色三口フラスコにビニルシンナメートを30g、ビニルピロリドンを70g、アゾビスイソブチロニトリルを1g、テトラヒドロフラン1900mlを加え混合し、窒素を30分間バブリングした。50℃に昇温し攪拌しながら重合反応を3時間行った。室温に放冷後ロータリーエバポレーターで反応溶媒を減圧留去し反応混合物を濃縮した。ジエチルエーテル中にこの混合液を添加し沈殿を析出させ、真空乾燥し、ポリ(ビニルシンナメート−co−ビニルピロリドン)[P(VCi−VP)]を得た。元素分析より重合組成比は重量比でビニルシンナメート単位:ビニルピロリドン単位=33:67であり、収率は65%であった。
【0082】
〔液晶性高分子水系分散物PD−1の調製〕
100gのPL−1及び100gの低沸点溶媒の酢酸エチルを混合し、ディゾルバーで1時間混和した。この混合液に、8gのトリイソプロピルナフタレン酸ナトリウム及び2重量%のP(VCi−VP)を含む水溶液400gを50℃下で混合し、爆発防止装置付ホモジナイザーで乳化分散しながら、酢酸エチルを減圧留去し80℃に加温後分散操作を停止し、室温まで放冷して平均粒径80nmの液晶性高分子水系分散物PD−1を得た。
【0083】
調製例2
〔液晶性高分子PL−2の重合と液晶性高分子水系分散物PD−2の調製〕
撹拌装置、温度計、還流冷却管を装着した1000mlの三口フラスコに、蒸留水360ml及びドデシル硫酸ナトリウムを5gを加え、窒素気流下75℃で加熱撹拌した。これに、LC−1の1重量%の過硫酸アンモニウムを含む水10mlの溶液を添加した後、直ちにLC−1を10gを添加し、20分間加熱攪拌した。次いで、90gのLC−1及びLC−1の1重量%の過硫酸アンモニウムを含む水溶液30mlをそれぞれ定速滴下装置で2時間かけて滴下しながら加熱撹拌した。滴下終了後さらに3時間加熱撹拌を行い重合反応を完結させた。その後室温まで放冷し、平均粒径110nmの液晶性高分子(ラテックス)PL−2を得、これを液晶性高分子水系分散物PD−2とした。
【0084】
調製例3
〔液晶性高分子水系分散物PD−3の調製〕
PL−2を50g分取し、P(VCi−VP)0.8gをその中に溶解して、充分に撹拌して液晶性水系分散物PD−3を調整した。
【0085】
調製例4
〔液晶性高分子PL−3の重合と液晶性高分子水系分散物PD−4の調製〕
PL−2と同様の装置を用いて、350mlの蒸留水ポリビニル、4gのピロリドン及び1gのドデシル硫酸ナトリウムを混合溶解し、この混合液を窒素気流下75℃で加熱撹拌した。これに、LC−1の1重量%の過硫酸アンモニウムを含む水溶液10mlを添加後、直ちに10gのLC−1を添加し、20分間加熱攪拌した。次いで85gのLC−1及びLC−1の1重量%の過硫酸アンモニウム水溶液30ml溶液を、それぞれ別の定速滴下装置から2時間かけて滴下しながら加熱撹拌した。滴下終了してから更に2時間撹拌した後、ビニルシンナメート2.5gとエチルアクリレート2.5gの混合溶液、及び0.05g(ビニルシンナメートとエチルアクリレートの合計重量に対して5重量%)の過硫酸アンモニウムを含む水溶液10mlを、それぞれ別の定速滴下装置から0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間加熱撹拌を行い、重合反応を完結させた。その後室温まで放冷し、濾過を行い平均粒径122nmのコア/シェル構造の液晶性高分子(ラテックス)PL−3を得、これを液晶性高分子水系分散物PD−4とした。
【0086】
調製例5
〔液晶性高分子PL−4の重合と液晶性高分子水系分散物PD−5の調製〕
PL−2と同様の装置に、蒸留水360ml、ポリ(ビニルシンナメート−co−ビニルピロリドン)(重量組成比3:7)8g及びドデシル硫酸ナトリウム1gを加え、窒素気流下75℃で加熱撹拌した。これに、過硫酸アンモニウムをLC−1の1重量%を含む水10mlの溶液を添加後直ちにLC−1を10gを添加し、20分間加熱攪拌した。次いでLC−1を90g及びLC−1の1重量%を含む過硫酸アンモニウムの水溶液30mlをそれぞれ別の定速滴下装置から2時間かけて滴下しながら加熱撹拌した。滴下終了後、更に、3時間加熱撹拌を行い重合反応を完結させた。その後室温まで放冷し、平均粒径130nmの液晶性高分子(ラテックス)PL−4を得た。これを液晶性高分子水系分散物PD−5とした。
【0087】
調製例6
〔液晶性高分子PL−5の重合と液晶性高分子水系分散物PD−6の調製〕
PL−2と同様の装置を用いて、蒸留水360mlを窒素気流下75℃で加熱撹拌した。これに、LC−1の0.1重量%の過硫酸アンモニウムを含む水溶液10mlを添加後、直ちにLC−1を10gを添加し、20分間加熱攪拌した。次いで、0.21g(後に添加するLC−1の0.25重量%)のアンモニウムを含む水溶液20mlを加え、次いで、定速滴下装置で85gのLC−1を1.5時間かけて滴下しながら加熱撹拌した。更に、0.013g(後に添加するビニルシンナメートとエチルアクリレートの総重量の0.25重量%)の過硫酸アンモニウムを含む水溶液10mlを加えた。その後、ビニルシンナメート2.5g、エチルアクリレート2.5gの混合液を定速滴下装置で0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間加熱撹拌を行い、重合反応を完結させた。その後室温まで放冷し、平均粒径115nmの液晶性高分子(ラテックス)PL−5を得た。これを液晶性高分子水系分散物PD−6とした。
【0088】
実施例1
ゼラチン薄膜(0.1μm)を塗設した厚さ60μmのセルローストリアセテートフィルム(コニカ(株)製)上に、PD−1をワイヤーバーで塗布し、50℃で乾燥した後、110℃に昇温して、電磁石を用い、面方向に対して45度の角度をなす方向に磁力線が延びるように10kG(ガウス)の強度の磁場を印加した。液晶性高分子を配向させた後、室温まで放冷して、厚さ2.0μmの光学異方層を形成した。
【0089】
実施例2
PD−1をPD−2に変えた以外は実施例1と同様に行った。
【0090】
実施例3
ゼラチン薄膜(0.1μm)を塗設した厚さ60μmのセルローストリアセテートフィルム(コニカ(株)製)上にPD−3をワイヤーバーを用いて塗布した。50℃で乾燥した後、110℃で10分間加熱して、超高圧水銀灯から可視光カットフィルターを通し、更に偏光子を通して直線偏光として塗膜側より5分間照射したのち室温まで冷却して、厚さ2.0μmの光学異方層を形成した。
【0091】
実施例4
PD−3をPL−4に変えた以外は実施例3と同様に行った。
【0092】
実施例5
PD−3をPD−5に変えた以外は実施例3と同様に行った。
【0093】
実施例6
PD−3をPD−6に変えた以外は実施例3と同様に行った。
【0094】
実施例7
PD−3をPD−1に変えた以外は実施例3と同様に行った。
【0095】
比較例1
ゼラチン薄膜(0.1μm)を塗設した厚さ60μmのセルローストリアセテートフィルム(コニカ(株)製)の上にポリビニルアルコール(ケン化価約80%)の水溶液を塗布し、80℃温風にて乾燥させた後、ラビング処理を行い、配向膜を形成した。この際、ラビングされた屑やラビングロールの布の塵を吸引除去し、更に静電気の発生を防止するため、イオン風を当てながらラビングした。
【0096】
この配向膜上に、1.6gのPL−1、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.05gを6.6gのメチルエチルケトンに溶解して得られた塗布液を、ワイヤーバーで塗布した。次いで110℃の恒温槽中で3分間加熱し、液晶性高分子化合物を配向させた後室温まで放冷して、厚さ2.0μmの光学異方層を形成した。
【0097】
比較例2
ゼラチン薄膜(0.1μm)を塗設した厚さ60μmのセルローストリアセテートフィルム(コニカ(株)製)の上に1.6gのPL−1、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.05gを6.6gのメチルエチルケトンに溶解して得られた塗布液を、ワイヤーバーで塗布し、50℃で乾燥した。これを110℃で10分間加熱しながら、高圧水銀灯から可視光カットフィルターを通し、更に、偏光子を通して塗膜側より5分間照射したのち室温まで冷却し、厚さ2.0μmの光学異方層を形成した。
【0098】
上記について評価した結果を下記に示す。
【0099】
【表1】
Figure 0004433526
【0100】
(結果)
実施例1〜7及び比較例1の各試料を直交ニコル間に置いたところ、すべて均一なホモジニアス配向となっていることが認められた。しかしながら比較例2は直交ニコル下で明るいが、その光透過率は角度依存性を示さず、ランダムパラレル配向していることが認められたが、光反応性高分子も含まないため、均一な配向が形成されておらず、どの方向においても透過率の差は認められなかった。本発明の液晶性水系高分子は比較例1のように有機溶媒溶液からのものでラビングしたもの同程度の性質をもつことが分かったが、ラビングのような煩雑且つ塵埃等に対する対策が難しく、また、有機溶媒を扱うという爆発等の懸念もなく取り扱うことが出来る。
【0101】
【発明の効果】
本発明は、配向膜を設置しない光学素子であり、ラビングを必要とせず、そのための塵埃に対する設備的な配慮もいらず、更に電磁場もしくは光によって液晶配向が均一となるため塗布工程のパス回数が簡素化されるばかりでなく、また水系塗布が使用出来るため、工程設備の簡略化、安全化が計られ、それゆえ生産コストも大幅に削減出来る等、安価で、優れた光学素子を得ることが出来る。

Claims (5)

  1. 液晶性高分子水系分散物を製造する方法において、液晶性成分を有する単量体を重合、または該単量体と他の単量体を重合した液晶性高分子を含有する有機溶媒溶液を分散安定剤として水溶性光反応性高分子を含有する水中に分散し、後に有機溶媒を除去して液晶性高分子と水溶性光反応性高分子とが隣接して存在する液晶性高分子水系分散物を調製することを特徴とする液晶性高分子水系分散物の製造方法。
  2. 水溶性光反応性高分子が光2量化反応成分を有する単量体の重合体、または光2量化反応成分を有する単量体と他の単量体の共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の液晶性高分子水系分散物の製造方法。
  3. 請求項1または2項に記載の方法で調製されたことを特徴とする液晶性高分子水系分散物。
  4. 請求項3に記載の液晶性高分子水系分散物を、支持体上に塗布後乾燥し、加熱しながら、電場または磁場を印加及び/または偏光紫外線を照射し、後に室温まで冷却することを特徴とする光学素子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の方法で形成したことを特徴とする光学素子。
JP28663499A 1999-10-07 1999-10-07 液晶性高分子水系分散物の製造方法、液晶性高分子水系分散物、光学素子の製造方法及び光学素子 Expired - Fee Related JP4433526B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28663499A JP4433526B2 (ja) 1999-10-07 1999-10-07 液晶性高分子水系分散物の製造方法、液晶性高分子水系分散物、光学素子の製造方法及び光学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28663499A JP4433526B2 (ja) 1999-10-07 1999-10-07 液晶性高分子水系分散物の製造方法、液晶性高分子水系分散物、光学素子の製造方法及び光学素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001108829A JP2001108829A (ja) 2001-04-20
JP4433526B2 true JP4433526B2 (ja) 2010-03-17

Family

ID=17706962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28663499A Expired - Fee Related JP4433526B2 (ja) 1999-10-07 1999-10-07 液晶性高分子水系分散物の製造方法、液晶性高分子水系分散物、光学素子の製造方法及び光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4433526B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3303870B2 (ja) 2000-01-26 2002-07-22 松下電器産業株式会社 ヒートシンクとその製造方法およびそれを用いた冷却装置
JP2001354732A (ja) * 2000-04-12 2001-12-25 Nitto Denko Corp 側鎖型液晶ポリマーおよびその製造方法
WO2003007398A1 (en) * 2001-07-09 2003-01-23 Plastic Logic Limited Progressive aligned deposition
JP2008516051A (ja) * 2004-10-06 2008-05-15 コーナーストーン リサーチ グループ,インコーポレーテッド 光活性化された形状記憶共重合体
US20100302487A1 (en) * 2007-12-28 2010-12-02 Storer Joey W Phase compensation film
JP5241853B2 (ja) * 2007-12-28 2013-07-17 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 微小機能性材料
KR101717398B1 (ko) * 2008-11-24 2017-03-16 바스프 에스이 광경화성 중합체 유전체 및 이의 제조 및 이용 방법
CN103547655B (zh) * 2011-05-09 2015-06-03 默克专利有限公司 基于反应性介晶的聚合物粒子
CN109354639A (zh) * 2018-10-29 2019-02-19 长沙新宇高分子科技有限公司 一种以光引发制备无皂涂布乳液的方法及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001108829A (ja) 2001-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4215834B2 (ja) 液体ドメインを含有する粒子および液滴
CN1740867B (zh) 拉伸纤维素酯薄膜、使用它的偏振片以及液晶显示装置
JP4433526B2 (ja) 液晶性高分子水系分散物の製造方法、液晶性高分子水系分散物、光学素子の製造方法及び光学素子
JP2011508281A (ja) 液晶材料を吸収したポリマーナノ粒子を含む位相補償フィルム
JP3027745B1 (ja) 高分子マトリックスを改質させた電気光学的特性高分子分散液晶複合フィルム及び当該フィルムを使用したセル並びにその製造方法
JP6469180B2 (ja) 光学異方性膜とその製造方法、積層体とその製造方法、偏光板、液晶表示装置及び有機el表示装置
JP2632929B2 (ja) 液晶分散フィルムおよびそれを用いた装置
JP2015197492A (ja) 光学異方性膜とその製造方法、積層体とその製造方法、偏光板、液晶表示装置及び有機el表示装置
TWI745726B (zh) 光學薄膜、偏光板保護薄膜及偏光板
JP3317714B2 (ja) 架橋重合体微粒子の製造方法
JP2010207813A (ja) 粒子及びそれを製造する方法
WO2020067218A1 (ja) アクリルフィルムの製造方法
JP4113290B2 (ja) 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子
JP2958410B2 (ja) 液晶・高分子複合材料、電気光学素子およびそれらの製造方法
JP7093350B2 (ja) 原反フィルム、延伸光学フィルムの製造方法、及び延伸光学フィルム
JPH09171184A (ja) 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子
JP4052864B2 (ja) 液晶表示素子用スペーサ及びそれを用いた液晶表示素子
JPH05214111A (ja) 架橋重合体微粒子の製造方法
JP2000206540A (ja) 液晶表示素子用スペ―サ及びその製造方法、並びに、液晶表示素子
JPH09281503A (ja) 液晶表示用スペーサー及び液晶表示装置
JP4580642B2 (ja) 液晶セルスペーサ及び液晶パネル
JP2004117564A (ja) 液晶表示装置用スペーサ及び液晶表示装置
JPH09281504A (ja) 液晶表示用スペーサー及び液晶表示装置
JPH07196752A (ja) 架橋ポリマー粒子の改質方法
JP2005309365A (ja) 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060811

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090423

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090512

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090622

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090804

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091028

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20091112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091208

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees