JP7093350B2 - 原反フィルム、延伸光学フィルムの製造方法、及び延伸光学フィルム - Google Patents

原反フィルム、延伸光学フィルムの製造方法、及び延伸光学フィルム Download PDF

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Description

本発明は、原反フィルム、延伸光学フィルムの製造方法、及び延伸光学フィルムに関する。
光の透過及び遮蔽機能を有する偏光板は、光の偏光状態を変化させる液晶と共に、液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。多くの偏光板は、偏光フィルムの退色を防止したり、偏光フィルムの収縮を防いだりするため、偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護膜が貼り合わされた構造を有している。偏光板を構成する偏光フィルムとしては、ビニルアルコール系重合体フィルム(以下、「ビニルアルコール系重合体」を「PVA」と称することがある。)を一軸延伸してなる延伸フィルムにヨウ素系色素(I やI 等)が吸着しているものが主流となっている。
LCDは、電卓及び腕時計などの小型機器、スマートフォン、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、屋内外で用いられる計測機器など、広範囲の用途において用いられている。この中でもスマートフォン、ノートパソコン、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステムなどの用途においては、高い偏光性能を有する偏光フィルムが求められており、例えばスマートフォンでは透過率42%のときに偏光度99.99%以上の高い偏光性能が必要とされている。また、近年では薄型・軽量化が要求されており、偏光フィルムに対しても薄型化が求められている。しかし、薄型の偏光フィルムは裂け強度が小さくて裂けやすい。そのため、偏光フィルムに保護膜を貼り合わせるときなどに偏光フィルムが裂け、製造収率が低下するという不都合を有する。そこで、薄型で、裂け強度が大きく、光学特性としての偏光性能が高い偏光フィルムが求められている。また、位相差フィルム等、偏光フィルム以外の延伸光学フィルムにおいても、同様に薄型で、裂け強度が大きく、かつ光学特性が高いことが要求されている。
偏光性能が高い偏光フィルムの製造方法や、裂けを防ぐ偏光フィルムの製造方法としては、以下の特許文献1及び特許文献2に記載の方法が知られている。
特開2013-101301号公報 特開2011-248293号公報
特許文献1では、水溶性酸化防止剤を用いて、PVAフィルムに過剰に吸着したヨウ素を除去することで偏光性能が高い偏光フィルムを得ている。しかし、本発明者らが薄型の偏光フィルムに特許文献1の方法を適用したところ、裂け強度が小さく、偏光フィルムが裂けやすいという欠点が確認された。
特許文献2では、基材フィルムの上にPVAの層を形成してから延伸することで、薄型の偏光フィルムを製造している。しかしながら、特許文献2の方法では、偏光フィルムの裂け強度を大きくする効果が不十分であった。
また、偏光フィルムの延伸倍率を低くすれば裂け強度を大きくできるが、偏光性能が低下するため好ましくない。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、薄型で、裂け強度が大きく、光学特性に優れる延伸光学フィルムを得ることができる原反フィルム、並びに薄型で、裂け強度が大きく、光学特性に優れる延伸光学フィルム、及びこのような延伸光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者らが上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、PVAと微細な樹脂粒子とを含む原反フィルムを用いれば、上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、以下の通りである。
[1]平均厚みが45μm以下であり、主成分であるビニルアルコール系重合体と、平均粒径が25nm以上150nm以下の樹脂粒子とを含有し、上記樹脂粒子の含有量が1質量%以上25質量%以下である延伸光学フィルム製造用の原反フィルム。
[2]上記樹脂粒子が重合体を含有し、上記重合体が、ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位を備える[1]の原反フィルム。
[3][1]又は[2]の原反フィルムを延伸する工程を備える延伸光学フィルムの製造方法。
[4]平均厚みが20μm以下であり、主成分であるビニルアルコール系重合体と、平均粒径が25nm以上150nm以下の樹脂粒子とを含有し、上記樹脂粒子の含有量が1質量%以上25質量%以下である延伸光学フィルム。
本発明によれば、薄型で、裂け強度が大きく、光学特性に優れる延伸光学フィルムを得ることができる原反フィルム、並びに薄型で、裂け強度が大きく、光学特性に優れる延伸光学フィルム、及びこのような延伸光学フィルムの製造方法を提供することができる。
<原反フィルム>
本発明の一実施形態に係る原反フィルムは、延伸光学フィルムの製造に用いられるフィルムである。すなわち、当該原反フィルムは、偏光フィルムや位相差フィルム等の延伸光学フィルムの材料となるフィルムである。当該原反フィルムを延伸することにより、延伸光学フィルムが得られる。
当該原反フィルムは、単層フィルムであってもよく、多層フィルム(積層体)であってもよい。多層フィルムの形態としては、例えば熱可塑性樹脂フィルム上にコート法などによって形成されたPVA層を有するフィルムなどを挙げることができる。本発明の効果がより一層顕著に奏される点、積層(コート等)作業の煩雑さ、熱可塑性樹脂フィルムのコストなどの観点から単層フィルムであることが好ましい。
(平均厚み)
当該原反フィルムの平均厚みの上限は、45μmであり、40μmが好ましく、35μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。当該原反フィルムの平均厚みが上記上限以下であることで、薄型の延伸光学フィルムを得ることができる。一方、この平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましく、20μmがよりさらに好ましい。当該原反フィルムの平均厚みが上記下限以上であることで、得られる延伸光学フィルムの裂け強度をより大きくすることができる。
(PVA)
当該原反フィルムは、主成分としてPVA(ビニルアルコール系重合体)を含有する。なお、主成分とは、質量基準で最も含有量の大きい成分をいう(以下、同様である。)。PVAは、ビニルアルコール単位(-CH-CH(OH)-)を構造単位として有する重合体である。PVAは、ビニルアルコール単位の他、ビニルエステル単位やその他の単位を有していてもよい。
PVAの製造方法は特に限定されない。例えば、(1)ビニルエステル系重合体を得る工程、及び(2)得られたビニルエステル系重合体をけん化する、すなわちビニルエステル系重合体のビニルエステル単位をビニルアルコール単位に変換する工程により、PVAを製造することができる。
ビニルエステル系重合体は、ビニルエステル系単量体のみからなる単独重合体であってもよく、ビニルエステル系単量体と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
ビニルエステル系単量体は、特に限定されないが、例えば蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。経済的観点からは、これらの中でも、酢酸ビニルが好ましい。
ビニルエステル系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば
エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等の炭素数2~30のα-オレフィン;
(メタ)アクリル酸又はその塩;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリルアミド;
N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸又はその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン又はその塩、N-メチロール(メタ)アクリルアミド又はその誘導体等の(メタ)アクリルアミド誘導体;
N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン等のN-ビニルアミド;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;
(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;
酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;
マレイン酸、又はその塩、エステル若しくは酸無水物;
イタコン酸、又はその塩、エステル若しくは酸無水物;
ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;
不飽和スルホン酸などを挙げることができる。
ビニルエステル系共重合体は、上記他の単量体の1種又は2種以上に由来する構造単位を有することができる。上記他の単量体は、ビニルエステル系単量体を重合反応に供する際、重合系内に予め存在させておいたり、あるいは、重合反応の進行中に系内に添加したりするなどして使用することができる。
なお、上記他の単量体の中でも、α-オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。α-オレフィン単位を含む場合、延伸性が向上すると共により高い温度で延伸することができ、延伸光学フィルム製造時に延伸切れ等のトラブルの発生が低減され、延伸光学フィルムの生産性がより一層向上する。PVAがα-オレフィン単位を含む場合、α-オレフィン単位の含有率の下限は、全構造単位に対して1モル%が好ましく、2モル%がより好ましい。一方、この含有率の上限は、4モル%が好ましく、3モル%がより好ましい。α-オレフィン単位の含有量が上記範囲であることで、上述の延伸性等をより効果的に発現することができる。
ビニルエステル系単量体を重合する際の重合方式は、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合などのいずれの方式でもよい。また、重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を適用することができる。通常、無溶媒で重合を進行させる塊状重合法、又はアルコールなどの溶媒中で重合を進行させる溶液重合法が採用される。高重合度のビニルエステル系共重合体を得る場合には、乳化重合法も好ましい。溶液重合法の溶媒は特に限定されないが、例えばアルコールである。溶液重合法の溶媒に使用されるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールを挙げることができる。重合系における溶媒の使用量は、目的とするPVAの重合度に応じて溶媒の連鎖移動を考慮して選択すればよく、例えば溶媒がメタノールの場合、溶媒と重合系に含まれる全単量体との質量比{=(溶媒)/(全単量体)}として、好ましくは0.01~10の範囲内、より好ましくは0.05~3の範囲内から選択される。
ビニルエステル系単量体の重合に使用される重合開始剤は、公知の重合開始剤、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等から重合方法に応じて選択すればよい。アゾ系開始剤としては、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等を挙げることができる。過酸化物系開始剤としては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート系化合物;t-ブチルパーオキシネオデカネート、α-クミルパーオキシネオデカネートなどのパーエステル系化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4-トリメチルペンチル-2-パーオキシフェノキシアセテート;過酸化アセチル等を挙げることができる。過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを上記開始剤に組み合わせて重合開始剤としてもよい。レドックス系開始剤としては、例えば上記過酸化物系開始剤と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L-アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせた重合開始剤を挙げることができる。重合開始剤の使用量は、重合開始剤の種類により異なるために一概には決められないが、重合速度に応じて選択すればよい。例えば重合開始剤に2,2’-アゾビスイソブチロニトリル又は過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系単量体に対して0.01~0.2モル%が好ましく、0.02~0.15モル%がより好ましい。重合温度は特に限定されないが、室温~150℃程度が適当であり、好ましくは40℃以上かつ使用する溶媒の沸点以下である。
ビニルエステル系単量体の重合は、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。連鎖移動剤としては、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2-ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;ホスフィン酸ナトリウム一水和物などのホスフィン酸塩類などを挙げることができる。これらのなかでも、アルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤の使用量は、使用する連鎖移動剤の連鎖移動係数及び目的とするPVAの重合度に応じて決定することができるが、一般にビニルエステル系単量体100質量部に対して0.1~10質量部が好ましい。
ビニルエステル系重合体のけん化は、例えば溶媒としてのアルコール又は含水アルコールにビニルエステル系重合体が溶解した状態で行うことができる。けん化に使用するアルコールは、例えばメタノール、エタノールなどの低級アルコールが挙げられ、メタノールが好ましい。けん化に使用する溶媒は、例えばその質量の40質量%以下の割合で、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼンなどの他の溶媒を含んでもよい。けん化に使用する触媒は、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、鉱酸などの酸触媒である。けん化を行う温度は限定されないが、20~60℃の範囲内が好適である。けん化の進行にしたがってゲル状の生成物が析出してくる場合には、生成物を粉砕した後、洗浄、乾燥して、PVAを得ることができる。けん化方法は、前述した方法に限らず公知の方法を適用できる。
PVAの重合度の下限としては、1,500が好ましく、1,800がより好ましく、2,000がさらに好ましい。重合度が上記下限以上であることで、原反フィルムから得られる延伸光学フィルムの耐久性を向上させることなどができる。一方、この上限としては、6,000が好ましく、5,000がより好ましく、4,000がさらに好ましい。重合度が上記上限以下であることで、製造コストの上昇や、製膜時における不良発生などを抑制することができる。なお、PVAの重合度は、JIS K6726-1994の記載に準じて測定した平均重合度を意味する。
PVAのけん化度の下限は、原反フィルムから得られる延伸光学フィルムの耐水性の点などから、95モル%が好ましく、96モル%がより好ましく、98モル%がさらに好ましい。一方、このけん化度の上限は、実質的に100モル%であってよい。なお、PVAのけん化度とは、けん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対するビニルアルコール単位のモル数の割合(モル%)をいう。けん化度は、JIS K6726-1994の記載に準じて測定することができる。
当該原反フィルムにおけるPVAの含有量の下限としては、60質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましい。PVAの含有量を上記下限以上とすることで、得られる延伸光学フィルムにおいて、偏光性能等の光学特性がより良好に発現される。一方、この含有量の上限としては、95質量%が好ましく、90質量%がより好ましい場合があり、85質量%がさらに好ましい場合もある。PVAの含有量を上記上限以下とすることで、得られる延伸光学フィルムの裂け強度をより大きくすることなどができる。
(樹脂粒子)
当該原反フィルムは、樹脂粒子を含有する。当該原反フィルムは、所定サイズ及び所定量の樹脂粒子を含有することにより、得られる延伸光学フィルムの裂け強度を大きくすることができる。このような効果が生じる理由は定かでは無いが、当該原反フィルムから製造した延伸光学フィルムが裂けた場所の断面を観察したところ、断面が荒くなっていたことから、フィルム中に分散している微細な樹脂粒子が裂けの伝播を抑制することで、裂け強度が大きくなったものと推測される。
樹脂粒子とは、主成分が重合体(樹脂)である粒子である。樹脂粒子中の重合体の含有量の下限としては、例えば50質量%であり、80質量%が好ましく、95質量%がより好ましい。樹脂粒子は、実質的に樹脂のみから形成されていてよい。
樹脂粒子の平均粒径の下限は、25nmであり、30nmが好ましく、50nmがより好ましい場合もある。樹脂粒子の平均粒径が上記下限以上であることで、樹脂粒子同士の凝集を抑制し、原反フィルム中に樹脂粒子を良好に分散させることができる。これにより、得られる延伸光学フィルムの裂け強度が大きくなる。一方、この平均粒径の上限は、150nmであり、100nmが好ましく、80nmがより好ましく、60nmがさらに好ましい場合もある。樹脂粒子の平均粒径が上記上限を超える場合、樹脂粒子の比表面積が小さくなるため、PVAとの相互作用が小さくなり、当該原反フィルムから得られた延伸光学フィルムの裂け強度の向上が不十分となる。また、原反フィルムが白濁しやすくなるため、光学フィルム材料として不適当である。
なお、当該原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径は、以下の方法により測定した値をいう。まず、原反フィルムを95℃の熱水で4時間撹拌して、PVAを溶解させる。その後、溶液を25℃まで冷却し、必要に応じ、例えば孔径5μmのメンブレンフィルターでろ過し、樹脂粒子以外の不溶分を除去することで、樹脂粒子の分散液を得る。この分散液に対して動的光散乱法で測定し、この測定値を樹脂粒子の平均粒径とする。なお、樹脂粒子以外の不溶分の除去処理の方法は特に限定されず、ろ過以外の方法であってもよい。また、原反フィルムが、樹脂粒子以外の不溶分を含まない場合などは、上記ろ過等の除去処理を省略することができる。後述する延伸光学フィルムの場合も同様である。
当該原反フィルムに占める樹脂粒子の含有量の下限は、1質量%であり、3質量%が好ましく、6質量%がより好ましい。樹脂粒子の含有量を上記下限以上とすることで、得られる延伸光学フィルムの裂け強度を大きくすることができる。一方、この含有量の上限は、25質量%であり、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。樹脂粒子の含有量が上記上限を超える場合は、原反フィルムが白濁することがある。また、当該原反フィルムから得られる延伸光学フィルムの光学特性(偏光性能等)が低下する。この理由は明らかではないが、樹脂粒子によってPVAの配向が阻害されるためと推測される。
なお、当該原反フィルム中の樹脂粒子の含有量は、以下の方法により測定した値をいう。まず、原反フィルムを95℃の熱水で4時間撹拌して、溶解させる。その後、溶液を25℃まで冷却し、必要に応じ、例えば孔径5μmのメンブレンフィルターでろ過し、樹脂粒子以外の不溶分を除去することで、樹脂粒子の分散液を得る。この分散液を孔径0.025μmのメンブレンフィルターで3回ろ過する。3回のろ過で捕捉された樹脂粒子の合計質量を原反フィルム中の樹脂粒子の質量とする。原反フィルムの質量に対する上記求められた樹脂粒子の質量を原反フィルム中の樹脂粒子の含有量(質量%)とする。なお、樹脂粒子以外の不溶分の除去処理の方法は特に限定されず、ろ過以外の方法であってもよい。また、原反フィルムが、樹脂粒子以外の不溶分を含まない場合などは、上記ろ過等の除去処理を省略することができる。後述する延伸光学フィルムの場合も同様である。
樹脂粒子は、重合体を含有する。この重合体としては、特に限定されず、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂等であってもよいが、ヒドロキシ基(-OH)を含む基を有する構造単位を備える重合体が好ましい。このような重合体を用いることで、得られる延伸光学フィルムの裂け強度をより大きくすることができる。この理由は定かでは無いが、ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位を備える重合体は、PVAとの親和性が高いため、このような重合体を含む樹脂粒子は、フィルム中での分散性が特に高いことによると推測される。
なお、ヒドロキシ基を含む基とは、ヒドロキシ基のみならず、ヒドロキシ基と他の基とから構成される基も含む。ヒドロキシ基と他の基とから構成される基としては、カルボキシ基(-COOH)、スルホ基(-SOOH)等を挙げることができる。なお、ヒドロキシ基は、その一部又は全部が、塩(アニオン)の状態であってもよい。すなわち、ヒドロキシ基を含む基には、例えば-OX、-COOX、-SOOX(Xは、アルカリ金属原子を示す。)などで表される塩の状態の基も含まれる。
ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位を備える重合体は、ヒドロキシ基を含む基を有する単量体を公知の方法で重合することによって得ることができる。なお、上記重合体は、ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位以外の構造単位を有する共重合体であってもよい。
ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位を与える単量体としては、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシフェニル等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシ基を有するビニルエーテル、3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール等の不飽和アルコール、その他ビニルフェノール等、ヒドロキシ基を有する単量体;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、これらの塩、これらの無水物等のカルボキシ基を有する単量体;
エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、これらの塩等のスルホ基を有する単量体等を挙げることができる。
ヒドロキシ基を有する構造単位を備える重合体は、ビニルエステル単位を備える重合体をけん化することによっても得ることができる。また、カルボキシ基を有する構造単位を備える重合体は、(メタ)アクリル酸メチル単位等の(メタ)アクリル酸エステル単位を備える重合体を変性処理することによっても得ることができる。
ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位の中でも、カルボキシ基を有する構造単位が好ましく、(メタ)アクリル酸単位(-CH-CH(COOH)-及び-CH-C(CH)(COOH)-)がより好ましい。
上記重合体の全構造単位に占めるヒドロキシ基を含む基を有する構造単位の含有率の下限としては、例えば5質量%であってよく、20質量%であってもよい。一方、この含有率の上限は、100質量%であってよいが、60質量%であってもよく、40質量%であってもよい。なお、上記重合体が共重合体である場合、例えば他の構造単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位等を有することができる。
上記重合体は、ブロック共重合体であることが好ましい。ブロック共重合体であることで、樹脂粒子の分散性や弾性などが改善されることにより、より本発明の効果を高めることができる。好ましいブロック共重合体としては、ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位を備えるブロックと、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を備えるブロックとの共重合体を挙げることができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル等、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸ブチルがより好ましい。特に好ましいブロック共重合体としては、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸ブチル等、(メタ)アクリル酸単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位とのブロック共重合体を挙げることができる。上記ブロック共重合体は、公知の方法により合成することができる。上記ブロック共重合体は、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体等であってもよい。
また、上記重合体は、エラストマーであることが好ましく、熱可塑性エラストマーであることがより好ましい。エラストマーの樹脂粒子を用いることで、延伸光学フィルムの裂け強度をより大きくすることができる。例えば上記(メタ)アクリル酸単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位との共重合体は、好適な熱可塑性エラストマーとして例示できる。なお、エラストマーとは、常温(例えば20℃)で弾性を有する樹脂をいう。
樹脂粒子は、一種の重合体から形成される粒子を用いてもよく、内側と外側の材質が異なる、いわゆるコアシェル型の構造を有する粒子を用いてもよい。コアシェル型の粒子を用いる場合、シェル側の材料が、ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位を備える重合体であることが好ましい。
樹脂粒子は、公知の方法により製造することができる。また、樹脂粒子は、市販品を用いてもよい。また、当該原反フィルムに樹脂粒子を含有させる方法も、特に限定されない。例えばPVAチップに樹脂粒子を添加してもよいし、製膜時に用いる製膜原液に樹脂粒子を添加しても良い。
(可塑剤)
当該原反フィルムは、可塑剤をさらに含むことができる。当該原反フィルムが可塑剤を含むことにより、取扱性や延伸性の向上等を図ることができる。好ましい可塑剤としては、多価アルコールが挙げられ、具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらの可塑剤は、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、延伸性の向上効果の点からグリセリンが好ましい。
当該原反フィルムにおける可塑剤の含有量の下限としては、PVA100質量部に対して、1質量部が好ましく、3質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量を上記下限以上とすることで、延伸性がより向上する。一方、この含有量の上限としては、20質量部が好ましく、17質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量を上記上限以下とすることで、原反フィルムが柔軟になりすぎたり、表面に可塑剤がブリードアウトしたりして、取扱性が低下するのを抑制することができる。
当該原反フィルムにおけるPVA及び可塑剤の合計量の下限としては、70質量%が好ましく、75質量%がより好ましいことがあり、80質量%がさらに好ましいこともある。
(他の添加剤等)
当該原反フィルムには、PVA、樹脂粒子及び可塑剤以外に、さらに充填剤、銅化合物などの加工安定剤、耐候性安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、他の熱可塑性樹脂、潤滑剤、香料、消泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強剤、架橋剤、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの他の添加剤を、必要に応じて適宜配合できる。
但し、当該原反フィルムにおけるPVA、樹脂粒子及び可塑剤以外の他の添加剤の含有量の上限としては、1質量%が好ましいことがあり、0.2質量%がより好ましいことがある。他の添加剤の含有量が上記上限を超える場合、得られる延伸光学フィルムの裂け強度や光学特性に影響を与える場合がある。
当該原反フィルムの膨潤度の下限としては、160%が好ましく、170%がより好ましく、180%がさらに好ましい。膨潤度が上記下限以上であることにより、極度に結晶化が進行するのを抑制することができ、安定して高倍率まで延伸することができる。一方、この膨潤度の上限としては、240%が好ましく、230%がより好ましく、220%がさらに好ましい。膨潤度が上記上限以下であることにより、延伸時の溶解が抑制され、より高温の条件下でも延伸することが可能となる。なお、原反フィルムの膨潤度とは、原反フィルムを30℃の蒸留水中に30分間浸漬した際の質量を、30℃の蒸留水に30分間浸漬した後に105℃で16時間乾燥した原反フィルムの質量で除して得られる値の百分率を意味する。
当該原反フィルムの幅は特に制限されず、製造される偏光フィルム等の延伸光学フィルムの用途などに応じて決めることができる。近年、液晶テレビや液晶モニターの大画面化が進行している点から原反フィルムの幅を3m以上にしておくと、これらの用途に好適である。一方、原反フィルムの幅があまりに大きすぎると実用化されている装置で延伸光学フィルムを製造する場合に一軸延伸を均一に行うことが困難になりやすい。従って、原反フィルムの幅は7m以下であることが好ましい。
当該原反フィルムは、製造時や取り扱い時に裂けにくい延伸光学フィルムを比較的容易に製造できる。従って、偏光フィルムや位相差フィルム等の延伸光学フィルムの材料として好適に用いることができる。なかでも、当該原反フィルムは、良好な偏光性能を有する偏光フィルムを容易に製造することができることから、偏光フィルムを製造するための原反フィルムとして用いることが特に好ましい。
(原反フィルムの製造方法)
本発明の原反フィルムの製造方法は特に限定されず、製膜後の原反フィルムの厚み及び幅がより均一になる製造方法を好ましく採用することができる。例えば、原反フィルムを構成する上記PVA及び樹脂粒子、並びに必要に応じてさらに、可塑剤、その他の添加剤、及び後述する界面活性剤等のうちの1種又は2種以上が液体媒体中に溶解した製膜原液を用いて、製膜することにより得ることができる。また、必要に応じて、PVAを溶融した製膜原液を用いても製造することができる。製膜原液において、樹脂粒子は均一に混合されていることが好ましい。また、製膜原液が、可塑剤、その他の添加剤及び界面活性剤の少なくとも1種を含有する場合には、それらの成分が均一に混合されていることが好ましい。
上記液体媒体としては、例えば水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができる。これらの液体媒体は、1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、環境に与える負荷や回収性の点から水が好ましい。
製膜原液の揮発分率(製膜原液中における、製膜時に揮発や蒸発によって除去される液体媒体などの揮発性成分の含有割合)は、製膜方法、製膜条件などによっても異なるが、一般的には、下限として50質量%が好ましく、55質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。製膜原液の揮発分率が上記下限以上であることにより、製膜原液の粘度が高くなり過ぎず、製膜原液調製時のろ過や脱泡が円滑に行われ、異物や欠点の少ない原反フィルムの製造が容易になる。一方、この揮発分率の上限としては、95質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、85質量%がさらに好ましい。製膜原液の揮発分率が上記上限以下であることにより、製膜原液の濃度が低くなり過ぎず、工業的な原反フィルムの製造が容易になる。
製膜原液は界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤を含むことにより、製膜性が向上して原反フィルムの厚み斑の発生が抑制されると共に、製膜に使用する金属ロールやベルトからのフィルムの剥離が容易になる。界面活性剤を含む製膜原液から原反フィルムを製造した場合には、当該原反フィルム中には界面活性剤が含有され得る。上記界面活性剤の種類は特に限定されないが、金属ロールやベルトからの剥離性の観点などから、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えばラウリン酸カリウム等のカルボン酸型;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、オクチルサルフェート等の硫酸エステル型;ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型等が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型;ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型;ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型等が好ましい。
これらの界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
製膜原液又は得られる原反フィルムが界面活性剤を含む場合、その含有量の下限は、製膜原液又は原反フィルムに含まれるPVA100質量部に対して、0.01質量部が好ましく、0.02質量部がより好ましく、0.05質量部がさらに好ましい。界面活性剤の含有量が上記下限以上であることにより、製膜性及び剥離性がより向上する。一方、この含有量の上限としては、0.5質量部が好ましく、0.3質量部がより好ましく、0.1質量部がさらに好ましい。界面活性剤の含有量が上記上限以下であることにより、界面活性剤が原反フィルムの表面にブリードアウトしてブロッキングが生じて取り扱い性が低下することを抑制することができる。
上記製膜原液を用いて原反フィルムを製膜する際の製膜方法としては、例えばキャスト製膜法、押出製膜法、湿式製膜法、ゲル製膜法などが挙げられる。これらの製膜方法は1種のみを採用しても2種以上を組み合わせて採用してもよい。これらの製膜方法の中でもキャスト製膜法及び押出製膜法が、厚み及び幅が均一で物性の良好な原反フィルムが得られることから好ましい。製膜された原反フィルムには必要に応じて乾燥や熱処理を行うことができる。
当該原反フィルムの具体的な製造方法の例としては、例えば以下の方法が挙げられる。まず、T型スリットダイ、ホッパープレート、I-ダイ、リップコーターダイ等を用いて、上記製膜原液を最上流側に位置する回転する加熱した第1ロール(あるいはベルト)の周面上に均一に吐出又は流延する。この第1ロール(あるいはベルト)の周面上に形成されたPVA膜の一方の面から揮発性成分を蒸発させて、PVA膜を乾燥させる。続いて、その下流側に配置した1個又は複数個の回転する加熱したロールの周面上でさらにPVA膜を乾燥するか、または熱風乾燥装置の中にPVA膜を通過させてさらに乾燥させた後、巻き取り装置により巻き取る。加熱したロールによる乾燥と熱風乾燥装置による乾燥とは、適宜組み合わせて実施してもよい。
<延伸光学フィルム>
本発明の一実施形態に係る延伸光学フィルムは、偏光フィルムや位相差フィルム等、所定方向に配向したPVAを含む光学フィルムである。当該延伸光学フィルムは、一軸延伸されていてもよく、二軸延伸されていてもよいが、一軸延伸されていることが好ましい。一軸延伸された当該延伸光学フィルムは、偏光フィルム等として好適に用いることができる。当該延伸光学フィルムは、単層フィルムであっても、多層フィルムであってもよいが、単層フィルムであることが好ましい。
(平均厚み)
当該延伸光学フィルムの平均厚みの上限は、20μmであり、18μmが好ましく、16μmがより好ましく、14μmがさらに好ましい。当該延伸光学フィルムの平均厚みが上記上限以下であることで、十分な薄型化を図ることができる。一方、この平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、8μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。当該延伸光学フィルムの平均厚みが上記下限以上であることで、裂け強度をより大きくすることができる。
(成分等)
当該延伸光学フィルムは、主成分であるPVAと樹脂粒子とを含有する。
当該延伸光学フィルムに含有される樹脂粒子の平均粒径の下限は、25nmであり、30nmが好ましく、50nmがより好ましい場合もある。樹脂粒子の平均粒径が上記下限以上であることで、裂け強度が大きくなる。一方、この平均粒径の上限は、150nmであり、100nmが好ましく、80nmがより好ましく、60nmがさらに好ましい場合もある。樹脂粒子の平均粒径が上記上限を超える場合、当該延伸光学フィルムが白化したり、偏光性能等の光学特性が低下したりする。
当該延伸光学フィルムに占める樹脂粒子の含有量の下限は、1質量%であり、3質量%が好ましく、6質量%がより好ましい。樹脂粒子の含有量を上記下限以上とすることで、裂け強度を大きくすることができる。一方、この含有量の上限は、25質量%であり、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。樹脂粒子の含有量が上記上限を超える場合は、白濁が生じたり、光学特性が低下したりする。
当該延伸光学フィルムに含有される樹脂粒子の平均粒径及び含有量の測定は、上述した原反フィルムに含有される樹脂粒子の平均粒径及び含有量と同様に行うことができる。当該延伸光学フィルムに含有されるPVA及び樹脂粒子の好ましい形態は、上述した原反フィルムに含有されるPVA及び樹脂粒子と同様である。
当該延伸光学フィルムに含まれていてもよいその他の成分についても、上述した原反フィルムと同様である。当該延伸光学フィルムが偏光フィルムである場合、当該延伸光学フィルムは、表裏面に吸着された二色性色素を有する。二色性色素としては、ヨウ素系色素が一般的である。
当該延伸光学フィルムの裂け強度の下限は、2Nが好ましく、3Nがより好ましく、4Nがさらに好ましい。裂け強度が上記下限未満の場合、保護膜を貼り合わせるときなどに当該延伸光学フィルムが裂けやすくなり、製造収率が低下する。一方、この裂け強度の上限としては、例えば20Nであってよく、10Nであってもよい。
当該延伸光学フィルムが偏光フィルムの場合、その偏光性能としては、透過率42%のときの偏光度の下限として、99.99%であることが好ましく、99.995%であることがより好ましく、99.997%であることがさらに好ましい。偏光度が上記下限未満の場合は、スマートフォン、ノートパソコン、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステムなどに用いると、LCDのコントラストが低下することがある。
当該延伸光学フィルムが偏光フィルムの場合、この偏光フィルムは、通常、その両面又は片面に、光学的に透明で且つ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にして使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルム等が使用される。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤や紫外線硬化型接着剤などを挙げることができ、PVA系接着剤が好ましい。
上記のようにして得られた偏光板は、さらに位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等が貼り合わせられていてもよい。なお、上記位相差フィルムとして、本発明の延伸光学フィルムを用いることもできる。偏光板は、アクリル系等の粘着剤をコートした後、ガラス基板に貼り合わせてLCDの部品として使用することができる。
<延伸光学フィルムの製造方法>
本発明の一実施形態に係る延伸光学フィルムは、上述した当該原反フィルムを延伸する工程を備える製造方法によって得ることができる。以下、当該延伸光学フィルムが偏光フィルムである場合の具体的な製造方法について説明する。
当該偏光フィルムを製造するための具体的な方法としては、当該原反フィルムに対して、膨潤処理、染色処理、一軸延伸処理、及び必要に応じてさらに、架橋処理、固定処理、洗浄処理、乾燥処理、熱処理などを施す方法が挙げられる。この場合、膨潤処理、染色処理、架橋処理、一軸延伸、固定処理などの各処理の順序は特に制限されず、また、2つ以上の処理を同時に行うこともできる。また、各処理の1つ又は2つ以上を2回又はそれ以上行うこともできる。
膨潤処理は、原反フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水に浸漬する際の水の温度の下限としては、20℃が好ましく、22℃がより好ましく、25℃がさらに好ましい。一方、この温度の上限としては、40℃が好ましく、38℃がより好ましく、35℃がさらに好ましい。また、水に浸漬する時間の下限としては、0.1分が好ましく、0.5分がより好ましい。一方、この時間の上限としては、5分が好ましく、3分がより好ましい。なお、水に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
染色処理は、原反フィルムに対して二色性色素を接触させることにより行うことができる。二色性色素としては、ヨウ素系色素を用いるのが一般的である。染色処理の時期としては、一軸延伸処理前、一軸延伸処理時及び一軸延伸処理後のいずれの段階であってもよい。染色処理は、原反フィルムを染色浴としてヨウ素-ヨウ化カリウムを含有する溶液(特に水溶液)中に浸漬させることにより行うのが一般的である。染色浴におけるヨウ素の濃度は0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、ヨウ化カリウムの濃度は0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。また、染色浴の温度の下限は、20℃が好ましく、25℃がより好ましい。一方、この温度の上限は、50℃が好ましく、40℃がより好ましい。
原反フィルムに対して架橋処理を施すことで、高温で湿式延伸する際に、PVAが水へ溶出することを効果的に防止することができる。この観点から架橋処理は一軸延伸処理の前に行うことが好ましい。架橋処理は、架橋剤を含む水溶液に原反フィルムを浸漬することにより行うことができる。上記架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素無機化合物の1種又は2種以上を使用することができる。架橋剤を含む水溶液における架橋剤の濃度の下限は1質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましい。一方、この濃度の上限は、15質量%が好ましく、7質量%がより好ましく、6質量%がさらに好ましい。架橋剤の濃度が上記範囲内にあることで十分な延伸性を維持することができる。架橋剤を含む水溶液はヨウ化カリウム等の助剤を含有してもよい。架橋剤を含む水溶液の温度の下限は、20℃が好ましく、25℃がより好ましい。一方、この温度の上限は、50℃が好ましく、40℃がより好ましい。この温度を上記範囲内とすることで効率良く架橋することができる。
一軸延伸処理は、湿式延伸法及び乾式延伸法のいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合は、ホウ酸水溶液中で行うこともできるし、上述した染色浴中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また、乾式延伸法の場合は、室温のまま一軸延伸処理を行ってもよいし、加熱しながら一軸延伸処理を行ってもよいし、吸水後の原反フィルムを用いて空気中で一軸延伸処理を行ってもよい。これらの中でも、湿式延伸法が好ましく、ホウ酸水溶液中で一軸延伸処理を行うことがより好ましい。ホウ酸水溶液のホウ酸濃度の下限は0.5質量%が好ましく、1.0質量%がより好ましく、1.5質量%がさらに好ましい。一方、このホウ酸濃度の上限は、6.0質量%が好ましく、5.0質量がより好ましく、4.0質量%がさらに好ましい。また、ホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。
一軸延伸処理における延伸温度の下限は、30℃が好ましく、40℃がより好ましく、50℃がさらに好ましい。一方、この延伸温度の上限は、90℃が好ましく、80℃がより好ましく、70℃がさらに好ましい。
一軸延伸処理における延伸倍率の下限は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から5倍が好ましく、6倍がより好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、例えば10倍が好ましく、8倍がより好ましいこともある。
長尺の原反フィルムに一軸延伸処理を行う場合の一軸延伸処理の方向は、特に制限はない。長尺方向への一軸延伸処理又は横一軸延伸処理や、いわゆる斜め延伸処理を採用することができるが、偏光性能に優れる偏光フィルムが得られることから長尺方向への一軸延伸処理が好ましい。長尺方向への一軸延伸処理は、互いに平行な複数のロールを備える延伸装置を使用して、各ロール間の周速を変えることにより行うことができる。一方、横一軸延伸処理はテンター型延伸機を用いて行うことができる。
偏光フィルムの製造にあたっては、原反フィルムへの二色性色素(ヨウ素系色素等)の吸着を強固にするために一軸延伸処理の後に固定処理を行うことが好ましい。固定処理に使用する固定処理浴としては、ホウ酸、硼砂等のホウ素無機化合物の1種又は2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴におけるホウ素無機化合物の濃度の下限は、2質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。一方、この濃度の上限は、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。この濃度を上記範囲内にすることで二色性色素の吸着をより強固にすることができる。固定処理浴の温度の下限は、15℃が好ましい。一方、この温度の上限は、60℃が好ましく、40℃がより好ましい。
洗浄処理は、水等に原反フィルムを浸漬して行われることが一般的である。このとき、偏光性能向上の点から洗浄処理に用いる水等はヨウ化カリウム等の助剤を含有することが好ましい。このとき、ヨウ化カリウム等のヨウ化物の濃度は0.5質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。また、洗浄処理に用いる水等の温度の下限は、一般的に5℃であり、10℃が好ましく、15℃がより好ましい。一方、この温度の上限は、一般的に50℃であり、45℃が好ましく、40℃がより好ましい。経済的な観点から水等の温度が低すぎることは好ましくない。一方、水等の温度が高すぎると偏光性能が低下することがある。
乾燥処理の条件は特に制限されないが、乾燥温度の下限としては、30℃が好ましく、50℃がより好ましい。一方、乾燥温度の上限としては、150℃が好ましく、130℃がより好ましい。上記範囲内の温度で乾燥することで、寸法安定性に優れる偏光フィルムが得られやすい。
乾燥処理の後に熱処理を行うことで、さらに寸法安定性に優れた偏光フィルムを得ることができる。ここで熱処理とは、乾燥処理後の水分率が5%以下の偏光フィルムをさらに加熱し、偏光フィルムの寸法安定性を向上させる処理のことである。熱処理の条件は特に制限されないが、60℃以上150℃以下の範囲内で熱処理することが好ましい。60℃よりも低温で熱処理を行うと熱処理による寸法安定化効果が不十分である。一方、150℃よりも高温で熱処理を行うと、偏光フィルムに黄変が激しく生じることがある。
<その他の実施形態>
本発明の原反フィルム、延伸光学フィルム、及び延伸光学フィルムの製造方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、延伸光学フィルム及びその製造方法としては、延伸光学フィルムが偏光フィルムである場合を中心に説明したが、延伸光学フィルムは偏光フィルムに限定されるものではない。例えば、位相差フィルム等の偏光フィルム以外の延伸光学フィルムも、本発明の範囲内であり、本発明の原反フィルムを延伸する工程を備える製造方法によって製造することができる。本発明の一実施形態としての位相差フィルムの製造方法は、本発明の原反フィルムを延伸すること以外は、従来公知の方法を用いて行うことができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において採用された各測定または評価方法を以下に示す。
[原反フィルムの平均厚み測定]
原反フィルムの中央部から幅方向に3cm間隔で厚みを測定し、その平均値を原反フィルムの平均厚みとした。厚みの測定は、シルバック社の「デジタルマイクロインジケータS229」と小野測器社の「ゲージスタンドST-022」を用いて行った。
[原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径の測定]
原反フィルム2gを熱水に入れ、濃度が2質量%になるように調製して95℃で4時間撹拌し、原反フィルムを溶解させた。熱水の水温を25℃まで冷却した後、水を加えて散乱光強度が適切になるように調整した。この分散液に対して、大塚電子社のゼータ電位・粒径測定システム「ELS-Z2」を用いて、25℃の環境下で動的光散乱を測定し、キュムラント解析を行うことで動的光散乱法による平均粒径を求めた。なお、測定溶媒の屈折率、粘度、比誘電率の値として、水の屈折率1.33、水の粘度0.89cP、水の比誘電率78.3を用いた。また、ノイズカットレベルは0.3%、積算回数は70回、ピンホールは50μmに設定した。
[原反フィルム中の樹脂粒子の含有量の測定]
20℃/50%RHで16時間調湿した原反フィルムをおよそ0.1g切り取り、精秤(A(g))した。その後、およそ2質量%になるように95℃の熱水を加えて4時間撹拌し、原反フィルムを溶解させた。熱水の水温を25℃まで冷却した後、水を加えて40倍に希釈した水溶液とした。次に孔径0.025μmのメンブレンフィルター(メルク社の「MF-ミリポア」)を3枚用意し、それぞれのフィルター質量(B、B’、B’’(g))を測定した。次に、そのうちの1枚(フィルター質量B)を用いて、上記水溶液の一次ろ過を行った。その一次ろ過液を回収し、更に、2枚目の孔径0.025μmのメンブレンフィルター(フィルター質量B’)を用いて二次ろ過を行った。更に、その二次ろ過液を回収し、3枚目の孔径0.025μmのメンブレンフィルター(フィルター質量B’’)を用いて三次ろ過を行った。その後、一次ろ過から三次ろ過に使用した3枚の孔径0.025μmのメンブレンフィルターを、ろ物とともに60℃/真空下で16時間乾燥し、その総質量(C(g))を測定した。その後、下記計算式(1)を用いて、三枚の孔径0.025μmのメンブレンフィルターで捕捉された成分、すなわち樹脂粒子の質量(D(g))を算出した。次いで、下記計算式(2)を用いて、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量を算出した。
捕捉された成分(樹脂粒子)の質量D(g)
=C-(B+B’+B’’)・・・(1)
原反フィルム中の樹脂粒子の含有量(質量%)
=(D/A)×100 ・・・(2)
[偏光フィルムの平均厚みの測定方法]
偏光フィルムの中央部から、幅方向に15mm間隔で厚みを測定し、その平均値を偏光フィルムの平均厚みとした。厚みの測定は、小野測器社の「デジタルゲージカウンターDG-5100」、小野測器社の「リニアゲージセンサーGS-3813」、及び小野測器社の「ゲージスタンドST-0230」を用いて行った。
[偏光フィルム中の樹脂粒子の平均粒径の測定]
約10gの偏光フィルムを1cm×1cmの大きさに切り、蒸留水200gとともに500mLのガラスビーカーに入れた。その後、3.4cm×0.8cm×0.7cmの大きさの撹拌子を用いて300rpmの速さで撹拌しながら、95℃に昇温し、24時間撹拌し、偏光フィルムを溶解させた。25℃まで冷却した後、水を加えて散乱光強度が適切になるように調整した。この分散液に対して、大塚電子社のゼータ電位・粒径測定システム「ELS-Z2」を用いて、25℃の環境下で動的光散乱を測定し、キュムラント解析を行うことで動的光散乱法による平均粒径を求めた。なお、測定溶媒の屈折率、粘度、比誘電率の値として、水の屈折率1.33、水の粘度0.89cP、水の比誘電率78.3を用いた。また、ノイズカットレベルは0.3%、積算回数は70回、ピンホールは50μmに設定した。
[偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量の測定]
約10gの偏光フィルムの質量(E(g))を精秤した後、1cm×1cmの大きさに切り、蒸留水200gとともに500mLのガラスビーカーに入れた。その後、3.4cm×0.8cm×0.7cmの大きさの撹拌子を用いて300rpmの速さで撹拌しながら、95℃に昇温し、24時間撹拌し、偏光フィルムを溶解させた。25℃まで冷却した後、水を加えて濃度が約0.05質量%となるように水溶液を調整した。次に、孔径0.025μmのメンブレンフィルター(メルク社の「MF-ミリポア」)を3枚用意し、それぞれのフィルター質量(F、F’、F’’(g))を測定した。次に、そのうちの1枚(フィルター質量F)を用いて調整後の水溶液に対して一次ろ過を行った。一次ろ過液を回収し、更に、2枚目の孔径0.025μmのメンブレンフィルター(フィルター質量F’)を用いて二次ろ過を行った。更に、二次ろ過液を回収し、3枚目の孔径0.025μmのメンブレンフィルター(フィルター質量F’’)で三次ろ過を行った。その後、一次ろ過から三次ろ過に使用した孔径0.025μmのメンブレンフィルターをろ物とともに60℃/真空下で16時間乾燥し、その総質量(G(g))を測定した。その後、下記計算式(3)を用いて、三枚の孔径0.025μmのメンブレンフィルターで捕捉された成分、すなわち樹脂粒子の質量(H(g))を算出し、下記計算式(4)を用いて、偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量を算出した。
捕捉された成分(樹脂粒子)の質量H(g)
=G-(F+F’+F’’)・・・(3)
偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量(質量%)
=(H/E)×100 ・・・(4)
[偏光フィルムの裂け強度]
延伸方向に33mm、延伸方向と垂直な方向に20mmの大きさの偏光フィルムを、外寸33mm×27mm、内寸20mm×15mm、厚み1mmのステンレス枠2枚の間に挟んだ。なお、ステンレス枠の外寸の長辺方向と内寸の長辺方向は同じ方向であり、偏光フィルムの延伸方向とステンレス枠の長辺方向とが平行になるように偏光フィルムを挟んだ。次にステンレス枠の長辺の両端の2箇所をクリップで挟んで留めて偏光フィルムを固定し、測定試料とした。なお、偏光フィルムは20℃/20%RHで18時間調湿したものを使用した。次に島津製作所の卓上形精密万能試験機「オートグラフAGS-J」の下のつかみ具に上記測定試料を固定した。一方、上記試験器の上のつかみ具に先端形状が短辺1mm、長辺5mmの矩形である突き刺し治具を、その長辺が偏光フィルムの延伸方向に平行となるように固定した。そして、ステンレス枠の中央に位置する偏光フィルムを速度1mm/分で突き刺し、このときの最大荷重を測定した。測定は4回行い、最大荷重の平均値を計算し、その平均値を裂け強度とした。
[偏光フィルムの偏光性能]
(透過率Tsの測定)
偏光フィルムの中央部から、偏光フィルムの延伸方向に2cmの長さのサンプルを2枚採取した。1枚のサンプルについて、積分球付き分光光度計(日本分光社の「V7100」)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行い、長さ方向に対して+45°傾けた場合の光の透過率と-45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Ts1(%)を求めた。もう1枚のサンプルについても同様にして、+45°傾けた場合の光の透過率と-45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Ts2(%)を求めた。下記計算式(11)を用いて、Ts1とTs2を平均し、偏光フィルムの透過率Ts(%)とした。
Ts=(Ts1+Ts2)/2・・・(11)
(偏光度Vの測定)
上記透過率Tsの測定で使用した2枚のサンプルについて、その延伸方向がお互いに直交するように重ねた場合の光の透過率T(%)と、その延伸方向が平行になるように重ねた場合の光の透過率T//(%)を測定した。この測定は、積分球付き分光光度計(日本分光社の「V7100」)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行って実施した。測定したT//(%)及びT(%)から、下記計算式(12)を用いて、偏光度V(%)を求めた。
V={(T//-T)/(T//+T)}1/2×100・・・(12)
[製造例1]メタクリル酸無水物-アクリル酸n-ブチル共重合体の製造
二軸押出機(パーカーコーポレーション社製)に、ホッパーからメタクリル酸メチル-アクリル酸n-ブチル共重合体(クラリティ(登録商標)LA2140、株式会社クラレ製、メタクリル酸メチル単位24質量%)を0.66kg/時で供給し、シリンダー途中からn-メチルシクロヘキシルアミンを0.18kg/時(メタクリル酸メチル-アクリル酸n-ブチル共重合体中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して100モルとなる量)で供給し、シリンダー温度220℃、スクリュウ回転数100rpmで溶融混練した。これにより、メタクリル酸無水物-アクリル酸n-ブチル共重合体1を得た。
また、シリンダー途中から加えるn-メチルシクロヘキシルアミンを0.072kg/時(メタクリル酸メチル-アクリル酸n-ブチル共重合体中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して40モルとなる量)に変えたこと以外は、上記と同様の方法で、メタクリル酸無水物-アクリル酸n-ブチル共重合体2を得た。
[製造例2]メタクリル酸-アクリル酸n-ブチル―メタクリル酸トリブロック共重合体製の樹脂粒子の製造
製造例1にて得られたメタクリル酸無水物-アクリル酸n-ブチル共重合体1を20mm以下に粉砕し、80℃の熱水に24時間浸漬することで酸無水物をカルボキシ基に変換し、メタクリル酸-アクリル酸n-ブチル共重合体1(MAA-BA共重合体1)とした。次にMAA-BA共重合体1をろ過にて取り出し、乾燥した後、メタノールを溶媒として固形分濃度10質量%になる様に溶解した。その後、MAA-BA共重合体1の溶解に用いたメタノールと同じ質量の蒸留水に対して、得られたMAA-BA共重合体1/メタノール溶液を滴下し、MAA-BA共重合体1からなる樹脂粒子の分散液を得た。その後、この分散液を60℃になるように加温しながら沸騰しない様に減圧処理して、メタノールを除去し、固形分濃度が10質量%のメタクリル酸-アクリル酸n-ブチル-メタクリル酸トリブロック共重合体1(MAA-BA-MAAトリブロック共重合体1)からなる樹脂粒子1の水分散液を得た。なお、このMAA-BA-MAAトリブロック共重合体1は、熱可塑性エラストマーである。
同様の操作をメタクリル酸無水物-アクリル酸n-ブチル共重合体2についても行い、固形分濃度が10質量%のメタクリル酸-アクリル酸n-ブチル―メタクリル酸トリブロック共重合体2(MAA-BA-MAAトリブロック共重合体2)からなる樹脂粒子2の水分散液を得た。なお、このMAA-BA-MAAトリブロック共重合体2は、熱可塑性エラストマーである。
[実施例1]
(1)PVA(けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン変性量2.5モル%)100質量部、可塑剤としてグリセリン10質量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1質量部、及び上記樹脂粒子1(MAA-BA-MAAトリブロック共重合体1)を5質量部含む、PVAの含有率が10質量%である水溶液を作製し、これを製膜原液として用いた。この製膜原液を80℃の金属ロール上で乾燥し、得られたPVAフィルムを熱風乾燥機中で120℃の温度で10分間熱処理し、平均厚み30μmの原反フィルムを得た。原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径を測定したところ、30nmであった。また、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量を測定したところ、4質量%であった。これらの結果を表1にまとめた。
(2)上記(1)で得られた原反フィルムの幅方向中央部から、幅5cm×長さ5cmの範囲が一軸延伸できるように幅5cm×長さ9cmのサンプルをカットした。このサンプルを30℃の蒸留水に浸漬しつつ、長さ方向に1.1倍に一軸延伸した。続いて、長さ方向に2.2倍(全体で2.4倍)に一軸延伸しつつ、ヨウ素1質量部に対してヨウ化カリウムを100質量部の割合で含有する水溶液(染色処理浴)(温度30℃)に60秒間浸漬してヨウ素を吸着させた。このとき、得られた偏光フィルムの透過率Ts(%)が42%になるように、染色処理浴のヨウ素濃度は適宜調整した。次いで、ホウ酸を3質量%及びヨウ化カリウムを3質量%の割合で含有する水溶液(架橋処理浴)(温度30℃)に浸漬しつつ、長さ方向に1.2倍(全体で2.7倍)に一軸延伸した。さらにホウ酸を4質量%及びヨウ化カリウムを6質量%の割合で含有する水溶液(一軸延伸処理浴)に浸漬しつつ、長さ方向に全体で6.2倍(総延伸倍率)まで一軸延伸した。その後、ヨウ化カリウムを3質量%の割合で含有する水溶液(洗浄処理浴)(温度30℃)に5秒間浸漬した。最後に60℃で4分間乾燥して偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの平均厚みを測定したところ13μmであった。得られた偏光フィルムの樹脂粒子の平均粒径を測定したところ、30nmであった。偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量を測定したところ、5質量%であった。また、得られた偏光フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムの裂け強度及び偏光性能(透過率及び偏光度)を評価した。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例2]
PVA100質量部に対する上記樹脂粒子1の混合量を10質量部としたこと以外は実施例1と同様の方法で原反フィルム及び偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[実施例3]
PVA100質量部に対する上記樹脂粒子1の混合量を20質量部としたこと以外は実施例1と同様の方法で原反フィルム及び偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[実施例4]
製膜原液に加えた樹脂粒子1を上記樹脂粒子2(MAA-BA-MAAトリブロック共重合体2)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で原反フィルム及び偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[実施例5]
製膜原液に加えた樹脂粒子1を上記樹脂粒子2に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で原反フィルム及び偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[実施例6]
製膜原液に加えた樹脂粒子1を大成ファインケミカルの「WAN-6000」(ウレタン樹脂からなる樹脂粒子)に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で原反フィルム及び偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[比較例1]
製膜原液に樹脂粒子1を加えなかったこと以外は実施例1と同様の方法で原反フィルム及び偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[比較例2]
PVA100質量部に対する上記樹脂粒子1の混合量を40質量部としたこと以外は実施例1と同様の方法で原反フィルム及び偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[比較例3]
製膜原液に加えた樹脂粒子1を星光PMC社の「PE―1304」(スチレンアクリル樹脂からなる樹脂粒子、メーカー公表平均粒径250nm)に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で原反フィルムと偏光フィルムを作製しようとした。しかし、原反フィルムが白く濁ったため、偏光フィルムの作製や各種評価を中止した。
[比較例4]
製膜原液に加えた樹脂粒子1を日産化学工業社の「スノーテックス ST-50」(シリカ粒子、メーカー公表平均粒径20~25nm)に変更したこと以外は実施例3と同様の方法で原反フィルムと偏光フィルムを作製しようとした。しかし、原反フィルムが白く濁ったため、偏光フィルムの作製や各種評価を中止した。
[比較例5]
樹脂粒子1に替えて、和光純薬社のポリアクリル酸(重合度2000)を製膜原液に加えたこと以外は実施例1と同様の方法で原反フィルムと偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、原反フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、原反フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルム中の樹脂粒子の平均粒径、偏光フィルム中の樹脂粒子の含有量、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。ポリアクリル酸は、フィルム中で粒子として存在せず、PVAと相溶していた。
[比較例6]
洗浄処理浴にアスコルビン酸ナトリウム0.0316質量%を加えたこと以外は比較例1と同様の方法で原反フィルムと偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[比較例7]
一軸延伸処理浴において全体で延伸倍率(総延伸倍率)が4倍になるように延伸したこと以外は比較例1と同様の方法で原反フィルムと偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[比較例8]
原反フィルムの平均厚みを40μmにしたこと以外は比較例1と同様の方法で原反フィルムと偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
[比較例9]
原反フィルムの平均厚みを60μmにしたこと以外は比較例1と同様の方法で原反フィルムと偏光フィルムを作製した。
得られた原反フィルムの平均厚み、偏光フィルムの平均厚み、偏光フィルムの裂け強度、及び偏光性能を測定又は評価した。それらの結果を表1に示した。
Figure 0007093350000001
上記表1中、MAA-BA-MAAトリブロック共重合体1は「メタクリル酸-アクリル酸n-ブチル-メタクリル酸トリブロック共重合体1」をMAA-BA-MAAトリブロック共重合体2は「メタクリル酸-アクリル酸n-ブチル-メタクリル酸トリブロック共重合体2」をそれぞれ示す。また、上記表1に示した総合判定A~Cは、以下の基準に基づく。
A:偏光フィルムの平均厚み20μm以下、裂け強度2N以上、かつ偏光度99.994%超
B:偏光フィルムの平均厚み20μm以下、裂け強度2N以上、かつ偏光度99.990%超99.994%以下
C:上記A及びB以外
以上の結果から明らかなように、実施例1~6の原反フィルムから得られる偏光フィルムは、薄型で、裂け強度が大きく、光学特性である偏光性能が高いことがわかる。一方、比較例1~9においては、薄型で、裂け強度が大きく、偏光性能が高い偏光フィルムを得ることができなかった。なお、特に比較例8及び9からわかるように、裂け強度が2Nを下回り避けやすくなるという不都合は、平均厚みが45μm以下の原反フィルムを用いて延伸光学フィルムを製造しようとした場合に生じうる課題であるといえる。
本発明の原反フィルムは、LCDの構成材料である偏光フィルム等の材料として好適に用いることができる。また、本発明の延伸光学フィルムの製造方法、及び延伸光学フィルムは、偏光フィルムやその製造方法として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 平均厚みが45μm以下であり、
    主成分であるビニルアルコール系重合体と、平均粒径が25nm以上150nm以下の樹脂粒子とを同一の層中に含有し、
    上記樹脂粒子の含有量が1質量%以上20質量%以下であり、
    上記樹脂粒子がエラストマーを含む延伸光学フィルム製造用の原反フィルム。
  2. 上記エラストマーが、ヒドロキシ基を含む基を有する構造単位を備える請求項1に記載の原反フィルム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の原反フィルムを延伸する工程
    を備える延伸光学フィルムの製造方法。
  4. 平均厚みが20μm以下であり、
    主成分であるビニルアルコール系重合体と、平均粒径が25nm以上150nm以下の樹脂粒子とを同一の層中に含有し、
    上記樹脂粒子の含有量が1質量%以上20質量%以下であり、
    上記樹脂粒子がエラストマーを含む延伸光学フィルム。
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