JP5179646B2 - 偏光フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、偏光フィルムに関する。より詳細には、本発明は、色相が改善された偏光フィルムに関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶などとともに液晶表示装置(LCD)の重要な構成要素である。この液晶表示装置の適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時計などの小型機器から、近年では、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器などの広い範囲に広がっており、特に液晶テレビなどでは大画面化が進んでいる。液晶表示装置の用途の拡大に伴って、表示品質の高級化、つまり色再現性の向上などがますます求められるようになっており、この課題を達成するために、偏光板に対して大画面化、高偏光度、高透過度といった光学特性に加えて、色相の改善が強く求められている。
従来汎用されている偏光板は、一般に、ポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸した後にヨウ素や二色性染料を用いて染色処理する方法、染色して一軸延伸した後にホウ素化合物で固定処理を行う方法、前記いずれかの方法において染色と同時に固定処理を行う方法などによって製造された偏光フィルムの片面または両面に三酢酸セルロースフィルムや酢酸・酪酸セルロースフィルムなどの保護膜を貼り合わせた構成を有している。
特にヨウ素で染色した偏光フィルムは、光の透過率および偏光度が大きくて二色性比が高く、高コントラストを示す。そのため、液晶表示装置用の偏光板の作製に当たっては、一般にヨウ素で染色した偏光フィルムが用いられている。しかしながら、ヨウ素で染色した偏光フィルムでは、PVAとヨウ素の錯体がI およびI の2種類のイオン形態で存在すると言われており、偏光フィルムの色相を完全なニュートラルグレーの状態にすることが難しい。そのため、特定波長の光漏れの現象が生じ易く、特に青色光の光漏れの現象が起こり易く、色相が悪いとされている。
ヨウ素を用いた偏光フィルムにおける色相の改善については、偏光フィルム製造工程で塩化亜鉛を添加する方法(特許文献1、2)がよく知られているが、その検討は赤色の低減に留まっており、本発明において目的とする青色光の光漏れについては十分な検討がなされていない。
また、偏光フィルムの製造条件を工夫することにより色相を改善する手法(特許文献3〜8)が報告されているが、いずれの方法もヨウ素錯体の2種のイオン形態の生成量のバランスを取ることに留まっており、偏光フィルムの色相を完全なニュートラルグレーの状態にするには至っていない。
特開昭54−16575号公報 特開昭61−175602号公報 特開平8−304624号公報 特開2001−91736号公報 特開2002−22950号公報 特開2002−174728号公報 特開2002−214436号公報 特開2002−258043号公報
本発明の目的は、色相に優れていて、2枚の偏光フィルムを直交させてクロスニコル状態にしたときに青色光の光漏れが少なく、さらに2枚の偏光フィルムを並行に重ねてパラレルニコル状態にしたときの黄色の着色が少ないという優れた性能を有する偏光フィルムを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、クラックを含有する偏光フィルムは、2枚を直交させてクロスニコル状態にしたときに青色光の漏れが少なく、さらに2枚を並行に重ねてパラレルニコル状態にしたときの黄色の着色が少ないという優れた性質を有していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、クラックを含有していることを特徴とする偏光フィルムを提供する。
本発明の偏光フィルムは、色相に優れているという特性を活かして、電卓、腕時計、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器などの液晶表示装置の構成部品である偏光板の作製に有効に用いることができ、特に高い色再現性が求められる液晶モニターや液晶テレビ用の偏光板用の原料として有用である。
以下に本発明について詳細に説明する。
まず、本発明で言うクラックとは、偏光フィルム中に存在する微小な空隙であり、偏光フィルムの厚み方向には貫通していないものである。このクラックは、水溶性無機塩の粒子状物が分散しているポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコールフィルム」を「PVAフィルム」と略記することがある)を延伸することにより、あるいは水溶性無機塩の粒子状物が分散しているPVAフィルムを水に浸漬し、水溶性無機塩を溶出させた後で延伸することにより、偏光フィルム中に形成することができる。
本発明においてクラックの大きさは5〜25μmであることが好ましく、8〜20μmであることがさらに好ましく、10〜16μmであることが特に好ましい。クラックが小さいほど色相の改善効果が発現しにくいため、5μmよりも小さいことは好ましくない。また、クラックが大きいほど偏光フィルムの透過率の低下が大きくなり、偏光フィルムとしての品質が低下するため、25μmよりも大きいことは好ましくない。クラックの大きさを制御するには、水溶性無機塩の添加量を変える方法や、偏光フィルムを製造する際のPVAフィルムの延伸倍率を変える方法などが挙げられる。
本発明の偏光フィルムに存在するクラックの個数は、偏光フィルムの面積100平方μm当たり2〜15個であることが好ましく、3〜10個であることがさらに好ましく、4〜8個であることが特に好ましい。クラックの個数が少ないほど色相の改善効果が発現しにくいため、2個よりも少ないことは好ましくない。また、クラックの個数が多いほど偏光フィルムの透過率の低下が大きくなり、偏光フィルムとしての品質が低下するため、クラックの個数が15個よりも多いことは好ましくない。クラックの個数は、水溶性無機塩の種類および/または添加量を調整することにより制御することができ、さらに偏光フィルムを製造する際のPVAフィルムの延伸倍率を変えることによってクラックの見かけ上の個数を変えることができるため、これらの方法を適宜組合せて実施するのが好ましい。
本発明において使用するポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と略記することがある)は、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステルの1種または2種を用いて重合を行って得られるポリビニルエステルをケン化して得られる。特に、ビニルエステルとして酢酸ビニルを用いることにより得られるPVAが、製造の容易性、入手の容易性、コストなどの点から好ましく用いられる。
本発明において用い得るPVAの典型としては、ビニルエステルの単独重合体のケン化物(PVA単独重合体)を挙げることができる。しかしながら、本発明のPVAフィルムに用いるPVAは、ビニルエステルの単独重合体のケン化物に限定されず、本発明の効果を損なわない場合には、PVA系重合体として変性PVA系重合体、ビニルエステルと少量の他の共重合性単量体の共重合体のケン化物、PVA系重合体の水酸基の一部を架橋したポリビニルアセタール系重合体などを用いることもできる。
そのうち、変性PVA系重合体の例としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα−オレフィンなどを5モル%未満の割合でグラフト共重合した変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造される変性PVA系ポリマーや、未変性または変性PVA系重合体を挙げることができる。
また、ビニルエステルと少量の他の共重合性単量体の共重合体のケン化物の製造に用い得る他の共重合性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、その他の炭素数2〜30のα−オレフィン類;(メタ)アクリル酸およびその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体などの(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル;不飽和スルホン酸などを挙げることができる。本発明において用いられるPVA系重合体は、前記した他の重合性単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有していることができる。
PVAが、ビニルエステルと他の共重合性単量体の共重合体のケン化物である場合は、他の共重合性単量体に由来する構造単位の割合は、PVA系重合体を構成する全構造単位に基づいて15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
特に、他の共重合性単量体が、(メタ)アクリル酸、スルホン酸などのような、PVA系重合体の水溶解性を促進する単量体である場合は、PVAフィルムから偏光フィルムを作製する際の水溶液中での処理時にフィルムが溶解したり溶断するのを防止するために、水溶解性単量体の重合割合を5モル%以下、特に3モル%以下にするのがよい。
本発明においてPVAの重合度は、偏光フィルムの偏光性能の点から、2000以上であることが好ましい。PVAの重合度が2000未満であると、PVAフィルムから得られる偏光フィルムの偏光性能が良好とならず、光漏れの程度が著しく大きくなるため、液晶テレビなどの液晶表示装置の用途に適用することが困難となる。PVAの重合度が高い方が、得られる偏光フィルムの偏光性能が良好になるため、重合度を高くすることは光漏れの程度を低減するのにある程度の効果を有する。PVAの重合度が高すぎると、PVAの製造コストの上昇、製膜時の工程通過性の不良などを生じ易くなるので、PVAの重合度は2000〜10000であることが好ましく、2000〜8000であることがより好ましく、2200〜5000であることがさらに好ましい。なお、本明細書でいうPVAの重合度は、JIS K6726の記載に準じた方法で測定した重合度を意味する。
さらに、本発明においてPVAのケン化度は、99.0モル%以上であることが好ましく、99.9モル%以上がさらに好ましく、99.95%以上であることが特に好ましい。水溶性無機塩の粒子状物の生成を容易にするためには、ケン化度は高いほど好ましい。PVAのケン化度が99.0モル%より低いと、水溶性無機塩の粒子状物の生成が起こりにくくなる傾向がある。
なお、本明細書におけるPVAのケン化度とは、重合体を構成する構造単位のうちで、ケン化によってビニルアルコール単位に変換され得る単位(典型的にはビニルエステル単位)の全モル数に対して実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合(モル%)をいう。ケン化度はJIS K6726に記載されている方法に準じて測定することができる。
本発明において水溶性無機塩は、PVAフィルムの表面にブリードアウトすることがなく、PVAフィルム中に取込まれて凝集し、粒子状物を形成することが必要であり、その例として、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、酸化物などを挙げることができる。水溶性無機塩は1種または2種以上を組合せて使用することができる。
水溶性無機塩の粒子状物が分散するPVAフィルムを用いて偏光フィルムを製造した場合、偏光フィルム中に水溶性無機塩が残存すると耐久性能等の悪化の原因となるため、水溶性無機塩は、偏光フィルムの製造工程でPVAフィルムから速やかに溶出するのが好ましく、この点から水溶性無機塩としては硝酸マグネシウムが特に好ましい。
PVAフィルム中における水溶性無機塩の含有量は3〜30重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることがさらに好ましい。水溶性無機塩の含有量が3重量%よりも少ないと、PVAフィルムを用いて製造される偏光フィルムの色相の改善効果が発現しにくくなる傾向があるため好ましくない。また、水溶性無機塩の含有量が30重量%より多いと、偏光フィルムの透過率の低下が大きくなる傾向があるため好ましくない。
本発明においてPVAフィルム中に分散する水溶性無機塩の粒子状物の平均粒径は1〜5μmであることが好ましく、2〜3μmであることが特に好ましい。平均粒径が1μmよりも小さいと、PVAフィルムを用いて製造される偏光フィルムの色相の改善効果が発現しにくくなる傾向があるため好ましくない。また、平均粒径が5μmよりも大きいと、偏光フィルムの透過率の低下が大きくなる傾向があるため好ましくない。水溶性無機塩の粒子状物の平均粒径は、水溶性無機塩の種類を選択することにより、あるいはPVAフィルムを製造する際の製膜原液の粘度および濃度、さらには製膜後のPVAフィルムの乾燥温度を調整することなどにより制御することができる。これらの方法は適宜組合せて実施することができる。
PVAフィルム中に分散する水溶性無機塩の粒子状物の数は、PVAフィルムの面積100平方μm当たり2〜15個であることが好ましく、5〜10個であることがさらに好ましい。粒子状物の数が2個よりも少ないと、PVAフィルムを用いて製造される偏光フィルムの色相の改善効果が発現しにくくなる傾向があるため好ましくない。また、粒子状物の数が15個よりも多いと、偏光フィルムとしたときの透過率の低下が大きくなる傾向があるため好ましくない。水溶性無機塩の粒子状物の数は、水溶性無機塩の種類を選択することにより、あるいはPVAフィルムを製造する際の製膜原液の粘度および濃度、さらには製膜後のPVAフィルムの乾燥温度を調整することなどにより制御することができる。これらの方法は適宜組合せて実施することができる。
本発明においてPVAフィルムは、上記したPVAおよび水溶性無機塩と共に可塑剤を含有していることが望ましく、可塑剤を含有していることにより、PVAフィルムから偏光フィルムを製造する際の延伸性の向上などを図ることができる。可塑剤としては、多価アルコールが好ましく用いられ、具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。そのうちでも、PVAフィルムの延伸性がより良好になる点からグリセリンが好ましく用いられる。
可塑剤の添加量は、PVA100質量部に対して、3〜20質量部、更には5〜15質量部、特に7〜12質量部が好ましい。可塑剤の添加量が少ないと、PVAフィルムの延伸性が不良になり、偏光フィルムを円滑に製造できにくくなり、一方可塑剤の添加量が多すぎると、PVAフィルムの表面に可塑剤がブリードアウトしてPVAフィルムの取り扱い性が低下する。
また、PVAフィルムは、必要に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色防止剤、油剤などを含有していてもよい。
PVAフィルムの厚さは特に制限されないが、一般的には20〜120μm、さらには30〜100μm、特に40〜80μm程度であることが好ましい。PVAフィルムが薄すぎると、偏光フィルムを製造するための一軸延伸処理時に、延伸切れが発生しやすくなり、偏光性能に優れる偏光フィルムが得られにくくなる。また、PVAフィルムが厚すぎると、偏光フィルムを製造するための一軸延伸処理時に延伸斑が発生しやすくなる。
PVAフィルムの幅は特に制限されず、PVAフィルムから製造される偏光フィルムの用途などに応じて決めることができる。近年、液晶テレビやモニターの大画面化が進行しており、かかる点からPVAフィルムの幅を3m以上にしておくと、これらの用途に好適である。一方、PVAフィルムの幅が大きすぎると、実用化されている装置で偏光板を製造する場合に一軸延伸自体を均一に行うことが困難になり易いので、PVAフィルムの幅は6m以下であることが好ましい。
本発明においてPVAフィルムの製法は特に限定されず、PVAフィルムの製膜原液の中でPVAと水溶性無機塩などが均一に混合されており、さらに可塑剤や他の添加剤を含有する場合はそれらの成分も均一に混合されていて、しかも製膜後の厚さおよび幅が可能な限り均一で、偏光フィルムの製造に好適に用いうるPVAフィルムを製造できる方法であれば、従来公知のいずれの方法で製造してもよい。
製膜原液の調製に使用される溶剤としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。そのうちでも、水が環境に与える負荷や回収性の点から好適に使用される。
PVAを含む製膜原液の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される溶媒などの揮発性成分の含有割合)は、製膜方法、製膜条件などによって異なるが、一般的には、50〜95質量%、さらには55〜90質量%、特に60〜85質量%であることが好ましい。製膜原液の揮発分率が低すぎると、製膜原液の粘度が高くなり過ぎて、原液調製時の濾過や脱泡が困難となり、異物や欠点のないPVAフィルムの製造が困難となる傾向がある。一方、製膜原液の揮発分率が高すぎると、製膜原液の濃度が低くなり過ぎて、実験室で試験的に製膜するならば問題ないが、工業的なPVAフィルムの製造が困難になる。
また、PVAフィルムを製造するための製膜原液中に界面活性剤を添加しておくことが好ましく、界面活性剤の添加により、製膜性が向上してフィルムの厚さ斑の発生が抑制されると共に、製膜に使用する金属ロールやベルトからのフィルムの剥離が容易になる。界面活性剤の種類は特に限定されないが、金属ロールやベルトなどからの剥離性の観点からアニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましく、特にノニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤は1種または2種以上を組合せて使用することができる。
製膜原液中に界面活性剤を添加する場合は、その添加量はPVA100質量部に対して0.01〜0.5質量部、さらには0.02〜0.03質量部、特に0.05〜0.1質量部が好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量部よりも少ないと、界面活性剤を添加したことによる製膜性および剥離性の向上効果が現れにくくなり、一方、0.5質量部を超えると、界面活性剤がPVAフィルムの表面にブリードアウトしてブロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
上記した製膜原液を用いてPVAフィルムを製膜する際の製膜方法としては、乾式による流延製膜法または押出製膜法が好ましい。このほか湿式製膜法やゲル製膜法を採用することもでき、その場合には、水溶性無機塩の溶出に注意する必要がある。また、これらの組合せによる方法などを採用することができる。これらの製膜方法のなかでも、押出製膜法が、膜の厚さおよび幅が均一で、物性の良好なPVAフィルムが得られることから好ましく採用される。PVAフィルムは必要に応じて乾燥や熱処理を行う。
製膜にあたっては、T型スリットダイ、ホッパープレート、I−ダイ、リップコーターダイなどを用いたり、キャスト製膜などによって、製膜原液を最上流側に位置する回転する加熱した第1ロール(あるいはベルト)の周面上に均一に吐出し(流延し)、この第1ロール上に吐出(流延)された膜の一方の面から揮発分を蒸発させて乾燥し、続いて吐出(流延)された膜の他方の面を回転する第2の加熱ロール(乾燥ロール)の周面上を通過させて乾燥し、その下流側に配置した1個または複数個の回転する加熱ロールの周面上でさらに乾燥するか、または熱風乾燥装置の中を通過させて乾燥した後、巻き取り装置に巻き取る方法が工業的には好ましく採用される。ロール乾燥と熱風乾燥は適宜組合せて実施することも可能である。
PVAフィルムを適切な状態に調整するためには、熱処理装置や調湿装置、さらにはそれぞれのロール駆動用のモータや変速機などの速度調整機構が付設されることが望ましい。
PVAフィルムの製造工程での乾燥処理は、一般に、乾燥温度は50〜150℃、特に60℃〜120℃の温度で行うことが、偏光フィルムを製造する際の延伸性、染色性に優れ、しかも得られる偏光フィルムの偏光性能や耐久性が良好になる点から好ましい。
PVAフィルムから偏光フィルムを製造する際の偏光フィルム製造方法は特に制限されず、PVAフィルムを原反フィルムとして用いて偏光フィルムを製造する際に従来から採用されているいずれの方法を採用してもよい。
PVAフィルムから偏光フィルムを製造するには、例えば、PVAフィルムの水分調整、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を行えばよく、染色、一軸延伸、固定処理等の操作の順序は特に制限されない。また一軸延伸を二段以上の多段で行ってもよいし、染色や固定処理などと同時に行っても構わない。
染色は、ヨウ素を用いて行うのがよく、染色の時期としては、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれの段階であってもよい。通常、染色は、PVAフィルムをヨウ素−ヨウ化カリウムを含有する溶液(特に水溶液)中に浸漬させることにより行うことが一般的であり、本発明においてもヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液を用いる染色方法が好適に採用される。染色用水溶液におけるヨウ素の濃度を0.01〜0.5質量%、ヨウ化カリウムの濃度を0.01〜10質量%にすることが好ましい。また、染色浴の温度は20〜50℃、特に25〜40℃とすることが好ましい。
一軸延伸は、水などの溶媒中において実施する湿式延伸法または空気中などにおいて実施する乾熱延伸法のいずれで行ってもよい。湿式延伸法による場合は、水中での一軸延伸、ホウ酸を含有しない染色溶液中での一軸延伸、ホウ酸を含有する染色溶液中での一軸延伸、ホウ酸水溶液中での一軸延伸、前記の工程に跨がった多段延伸などにより行うことができる。
延伸温度は、特に限定されないが、PVAフィルムを湿式延伸する場合は30〜90℃が好ましく、乾熱延伸する場合は50〜180℃が好ましい。
また、一軸延伸の延伸倍率(多段で一軸延伸する場合には合計の延伸倍率)は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から4倍以上、特に5倍以上であることが好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、均一延伸の点から8倍以下であることが好ましい。
偏光フィルムの製造に当たっては、PVAフィルムへのヨウ素の吸着を強固にするために、固定処理を行うことが多く、本発明でも偏光フィルムの製造に当たって固定処理を行うことが好ましい。固定処理に使用する処理浴としては、通常、ホウ酸、硼砂などのホウ素化合物の1種または2種以上を添加した水溶液を使用する。また、必要に応じて、固定処理用の処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理用の処理浴におけるホウ素化合物の濃度は、一般に2〜15質量%、特に3〜10質量%程度であることが好ましい。固定処理を行う際の処理浴の温度は、15〜60℃、特に25〜40℃であることが好ましい。
上記した一軸延伸、染色処理、固定処理などを施し、その後得られた偏光フィルムを乾燥する。得られた偏光フィルムの乾燥処理は、30〜150℃、特に50〜150℃で行うことが好ましい。乾燥処理を行って偏光フィルムの水分率が10%以下程度になった時点で偏光フィルムに張力をかけて80〜120℃程度で1〜5分間程度熱処理を行うと、寸法安定性、耐久性などに一層優れる偏光フィルムを得ることができる。
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で且つ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にして使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などを挙げることができるが、なかでもPVA系接着剤が好適である。
上記のようにして得られた偏光板は、アクリル系などの粘着剤をコートした後、ガラス基板に貼り合わせて液晶表示装置の部品として使用される。同時に位相差フィルムや視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどと貼り合わせてもよい。
以下に本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお以下の例において、偏光性能および色相は下記の方法により評価した。
(1)偏光フィルムの偏光度:
(i)透過率
以下の実施例または比較例で得られた偏光フィルムの幅方向の中央部から、偏光フィルムの配向方向に平行に4cm×4cmの正方形のサンプルを2枚採取し、それぞれについて日立製作所製の分光光度計U−4100(積分球付属)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2度視野の可視光領域の視感度補正を行い、1枚の偏光フィルムサンプルについて、延伸軸方向に対して45度傾けた場合の光の透過率と−45度傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値(Y1)を求めた。
もう一枚の偏光フィルムサンプルについても、前記と同様にして45度傾けた場合の光の透過率と−45度傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値(Y2)を求めた。
前記で求めたY1とY2を平均して偏光フィルムの透過率(Y)(%)とした。
(ii)偏光度:
上記(i)で採取した2枚の偏光フィルムを、その配向方向が平行になるように重ねた場合の光の透過率(Y‖)、および配向方向が直交するように重ねた場合の光の透過率(Y⊥)を、上記透過率の測定方法と同様の方法にて測定し、下記の式から偏光度を求めた。
偏光度(V/%)={(Y‖―Y⊥)/(Y‖+Y⊥)}1/2×100
(2)偏光フィルムの色相:
偏光フィルムの青色光の漏れの有無を評価するために、ハンターLab表色系により、b値を算出して評価した。上記(1)の(i)で採取した2枚の偏光フィルムサンプルをその延伸軸方向が平行になるように重ねた場合のb値(b‖)、および延伸軸方向が直交するように重ねた場合のb値(b⊥)を、上記透過率の測定方法と同様の方法にて測定し、下記の式からb値を求めた。

b値 = |b‖−b⊥|
実施例1
(1)平均重合度2400、ケン化度99.95モル%のPVA100質量部と、硝酸マグネシウム無水物20質量部と可塑剤としてグリセリン12質量部のPVA10%水溶液を60℃の金属ロール上で乾燥して、厚みが75μmのPVAフィルムを得た。さらに得られたフィルムを枠に固定して、140℃で3分間熱処理をした。熱処理後のPVAフィルムの熱水切断温度は68.2℃、膨潤度は200%であった。
得られたPVAフィルムを位相差顕微鏡で観察したところ、PVAフィルム中に平均粒径3μmの粒子状物が生成しており、また粒子状物はフィルム面積100平方μmあたり平均で10個存在していることが確認された。なお、平均粒径は、フィルム中の粒子状物を無作為に5個選んでそれぞれの粒径を測定し、それを平均して求めた値であり、粒子状物の個数は、PVAフィルムから無作為に選んだ3箇所の粒子状物の個数を顕微鏡観察により数え、それを平均して求めた値である。
(2)上記(1)で得られたPVAフィルムを30℃の純水に3分間浸漬した後、ヨウ素を0.04質量%、ヨウ化カリウムを4質量%およびホウ酸を4質量%の割合で含有する水溶液(染色浴)(温度30℃)に30秒間浸漬してヨウ素を吸着させた。次いで、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4重量%、50℃)中で5.4倍に一軸延伸した後、さらにヨウ化カリウムを6質量%およびホウ酸を4質量%の割合で含有する水溶液(35℃)に4分間浸漬した。その後、50℃で4分間乾燥して偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムを位相差顕微鏡で観察したところ、延伸方向を長軸とする細長い形状のクラックが発生していてその大きさ(長軸の長さ)は約10μmであり、またクラックはフィルム面積100平方μmあたり平均で8個存在していることが確認された。なお、長軸の長さは偏光フィルム中のクラックを無作為に5個選んでそれぞれの長軸を計測し、それを平均して求めた値であり、クラックの個数は、偏光フィルムから無作為に選んだ3箇所のクラックの個数を顕微鏡観察により数え、それを平均して求めた値である。
この偏光フィルムの透過度は44.1%、偏光度は98.4%、b値は2.9であり、硝酸マグネシウムが未添加の場合に得られる偏光フィルム(比較例1)と比較して、b値が小さくて色相に優れていた。
実施例2
(1)平均重合度2400、ケン化度99.95モル%のPVA100重量部と、硝酸マグネシウム無水物5重量部と可塑剤としてグリセリン12重量部のPVA10%水溶液を60℃の金属ロール上で乾燥して、厚みが75μmのPVAフィルムを得た。さらに得られたフィルムを枠に固定して、130℃で3分間熱処理をした。熱処理後のPVAフィルムの熱水切断温度は68.2℃、膨潤度は202%であった。
得られたPVAフィルムを実施例1と同様にして位相差顕微鏡で観察したところ、PVAフィルム中に平均粒径2μmの粒子状物が生成しており、また粒子状物はフィルム面積100平方μmあたり平均で5個存在していることが確認された。
(2)上記(1)で得られたPVAフィルムを用い、PVAフィルムを染色浴に浸漬する時間を75秒間にしたことと、ホウ酸水溶液中での一軸延伸の倍率を5.5倍に変更したこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。
得られたPVAフィルムを実施例1と同様にして位相差顕微鏡で観察したところ、延伸方向を長軸とする細長い形状のクラックが発生していてその大きさ(長軸の長さ)は約11μmであり、またクラックはフィルム面積100平方μmあたり平均で4個存在していることが確認された。
この偏光フィルムの透過度は43.6%、偏光度は99.7%、色相は4.0であり、硝酸マグネシウムが未添加の場合に得られる偏光フィルム(比較例1)と比較して、b値が小さくて色相に優れていた。
実施例3
(1)平均重合度2400、ケン化度99.95モル%のPVA100重量部と、硝酸マグネシウム無水物20重量部のPVA10%水溶液を60℃の金属ロール上で乾燥して、厚みが75μmのPVAフィルムを得た。さらに得られたフィルムを枠に固定して、140℃で3分間熱処理をした。熱処理後のPVAフィルムのフィルムの熱水切断温度は68.9℃、膨潤度は200%であった。
得られたPVAフィルムを実施例1と同様にして位相差顕微鏡で観察したところ、PVAフィルム中に平均粒径3μmの粒子状物が生成しており、また粒子状物はフィルム面積100平方μmあたり平均で10個存在していることが確認された。
(2)上記(1)で得られたPVAフィルムを用い、PVAフィルムを染色浴に浸漬する時間を60秒間にしたことと、ホウ酸水溶液中での一軸延伸の倍率を5.15倍に変更したこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。
得られたPVAフィルムを実施例1と同様にして位相差顕微鏡で観察したところ、延伸方向を長軸とする細長い形状のクラックが発生していてその大きさ(長軸の長さ)は約15μmであり、またクラックはフィルム面積100平方μmあたり平均で7個存在していることが確認された。
この偏光フィルムの透過度は43.6%、偏光度は99.65%、色相は3.8であり、硝酸マグネシウムが未添加の場合に得られる偏光フィルム(比較例1)と比較して、b値が小さくて色相に優れていた。
実施例4
(1)平均重合度2400、ケン化度99.95モル%のPVA100重量部と、硝酸マグネシウム無水物20重量部と可塑剤としてグリセリン12重量部のPVA10%水溶液を60℃の金属ロール上で乾燥して、厚みが75μmのPVAフィルムを得た。さらに得られたフィルムを枠に固定して、140℃で3分間熱処理をした。熱処理後のPVAフィルムのフィルムの熱水切断温度は68.2℃、膨潤度は200%であった。
得られたPVAフィルムを実施例1と同様にして位相差顕微鏡で観察したところ、PVAフィルム中に平均粒径3μmの粒子状物が生成しており、また粒子状物はフィルム面積100平方μmあたり平均で10個存在していることが確認された。
(2)上記(1)で得られたPVAフィルムを用い、PVAフィルムを染色浴に浸漬する時間を45秒間にしたことと、ホウ酸水溶液の温度を55℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。
得られたPVAフィルムを実施例1と同様にして位相差顕微鏡で観察したところ、延伸方向を長軸とする細長い形状のクラックが発生していてその大きさ(長軸の長さ)は約16μmであり、またクラックはフィルム面積100平方μmあたり平均で4個存在していることが確認された。
この偏光フィルムの透過度は44.3%、偏光度は98.73%、色相は2.3であり、硝酸マグネシウムが未添加の場合に得られる偏光フィルム(比較例1)と比較して、b値が小さくて色相に優れていた。
比較例1
(1)平均重合度2400、ケン化度99.95モル%のPVA100重量部と、可塑剤としてグリセリン12重量部のPVA10%水溶液を60℃の金属ロール上で乾燥して、厚みが75μmのPVAフィルムを得た。さらに得られたフィルムを枠に固定して、130℃で3分間熱処理をした。熱処理後のPVAフィルムの熱水切断温度は68.9℃、膨潤度は198%であった。
得られたPVAフィルムを位相差顕微鏡で観察したところ、フィルム中に粒子状物は生成していなかった。
(2)上記(1)で得られたPVAフィルムを用い、PVAフィルムを染色浴に浸漬する時間を3分間にしたことと、ホウ酸水溶液中での一軸延伸の倍率を5.3倍に変更したこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムを位相差顕微鏡で観察したところ、クラックは発生していなかった。
この偏光フィルムの透過度は43.4%、偏光度は99.94%、色相は4.5であり、硝酸マグネシウムが添加されている場合に得られる偏光フィルム(実施例1〜4)と比較して、b値が大きくて色相に劣っていた。
本発明により、従来技術では達成することが難しかった、色相に優れた偏光フィルムを提供することができる。すなわち、本発明により、2枚の偏光フィルムを直交させたクロスニコル状態での青色光の光漏れが少なく、2枚の偏光フィルムを平行させたパラレルニコル状態での黄色光の着色が少ない偏光フィルムを提供することができる。
本発明の偏光フィルムは色相が改善されており、特に高い色再現性が要求される液晶表示装置や液晶テレビの部品用の部材である偏光板の作製に有効に用いることができる。

Claims (2)

  1. クラックを含有している偏光フィルムであって、クラックが偏光フィルムの面積100平方μm当たり2〜15個存在することを特徴とする偏光フィルム。
  2. クラックの大きさが5〜25μmであることを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルム。
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