例えば、電気給湯器には加熱温度制御に加えてカレンダー機能などの様々な機能を制御するコントローラが備え付けられている。そして、近年電気給湯器自体の機能が向上するにつれて、この機能を十分に発揮させるためにコントローラの操作部(マンマシンインターフェース部)も様々なスイッチや表示器が設けられるようになっている。これに伴い、コントローラの操作部自体も大型化・複雑化してきた。このような多機能対応型コントローラの操作パネルは、使い慣れれば当該コントローラの機能を十分に発揮する上で役立つものである。しかし、コントローラ自体が大型化するに伴い、コントローラ操作部の金型製作のコストもかかるようになってきた。
また、コントローラで電気給湯器を制御するに当たってその制御をやり易くするために、当該コントローラに専用リモコンを備え、このリモコンを用いて電気給湯器を制御する場合がある。かかるリモコンは、例えばテレビのリモコン等において用いられるように赤外線を利用したタイプのものが一般的である。このようなリモコンを製造するに当たって、電気給湯器の製造メーカーは、リモコン自体の機能には大差ないが各社独自の特徴を出すために外観の異なるリモコンを各社ごとに製造することが一般的に行なわれている。
一方、近年の携帯電話やPHSに代表される携帯端末の普及度は急速に広がっており、大抵の人が携帯端末を身に付けている状況にある。特に若い人には携帯端末のテンキーやコマンドキーを目祝することなく親指だけで自在に操作できるように使い慣れている人が多い。また、このような携帯端末を利用して様々な装置の遠隔監視や制御を行うような技術も知られている。ここでこれらの関連技術について以下に紹介する。
特許文献1は、ユーザアプリケーションのプログラムを携帯端末にダウンロードする技術が記載されている。これによって、ユーザーが操作する携帯電話でインターネット上のさまざまな情報サイトにアクセスして所望のサービスを利用するようになっている。なお、ここでいう情報サイトとはあらかじめ登録されているレストランの場所やメニューなどの情報を提供する情報サイト(サーバーシステム)である操作部(マンマシンインターフェース部)も様々なスイッチや表示器が設けられるようになっている。これに伴い、コントローラの操作部自体も大型化・複雑化してきた。このような多機能対応型コントローラの操作パネルは、使い慣れれば当該コントローラの機能を十分に発揮する上で役立っものである。しかし、コントローラ自体が大型化するに伴い、コントローラ操作部の金型製作のコストもかかるようになってきた。
特許文献2には、携帯電話に自動お湯はりを指示するモードを備え、携帯電話から自動お湯福一りを遠隔で指示する技術が記載されている。また、この技術においては給湯器のコントローラに入浴プログラムをインストールすることが可能となっている。
特許文献3は、携帯電話に赤外線受光部を備え、保守データを吸い上げて修理の納優先庖格優先の選択をした後、赤外線データのやりとりを介してサービスサーバーにデータを送信する技術が記載されている。
特許文献4は、火災等が起きたときホームコントローラから携帯電話に連絡し、当該携帯電話によってホームコントローラを制御する技術が記載されている。
特許文献5は、制御設備から異常の知らせを携帯電話に伝える技術として、監視通報装置に対して異常の知らせを行うプログラムが携帯電話に内蔵されている技術が記載されている。
特許文献6には、温水熱源器の情報を携帯電話に現場で一時的に書き込み、これを管理センターに持ち帰って携帯電話をパソコンにつなぎプリントアウトする技術が記載されている。
特開2002−7268号公報
特開2002−174453号公報
特開2002−297809号公報
特開2001−127897号公報
特開2002−111892号公報
特開2001−318950号公報
上述したように給湯器コントローラの高機能化に伴う操作パネルの大型化・複雑化はコントローラ操作パネルの金型コストを高くするため、このような金型コストへの投資を少なくすることが要求されている。また、リモコン製造メーカーにとっては電気給湯器自体を製造する製造メーカー毎に当該メーカー独自のリモコンを製造するのでは、そのつど短期間で当該製造メーカー独自のリモコンを開発しなければならず、リモコンの金型コストも高くつく。
しかも、携帯電話をリモコンとして実際に使用する際に、給湯器コントローラが異常運転をしている場合、通常の操作では対応できない状態になることがある。また、このような異常運転を知らずに通常の操作を行うことで、更に取り返しのつかない運転状況になる虞もある。そこで、特に、携帯電話をリモコンとして使用するには、給湯器コントローラの異常運転を迅速に判断して対応できる手段が必要になっている。
更に、コントローラ操作部はマンマシンインターフェース部としての重要な機能を果たしているので、コントローラ操作部の取付け位置は電気給湯器における操作のし易い場所に限定される。しかしながら、電気給湯器のコントローラ自体が大型化してコントローラ操作部も大型化することに伴って、コントローラ操作部は給湯器の限定された位置に配置される。このように電気給湯器に占めるコントローラ操作部の配置場所が限定されることで、電気給湯器の設計上の自由度を制約する場合が多くなっている。
また、リモコン自体の大きさも大型化して製造コストが高くなっている。その上、リモコン自体は専用品であるので、例えば電気給湯器がレストラン等の店舗に設置される場合でアルバイトの店員などのようにリモコン操作者が頻繁に入れ替わる場合、リモコンの操作方法を操作者ごとに毎回を教えなければならず、かなりの時間を費やしてしまう。同様に、専用品であるリモコンの操作方法に慣れるまである軽度の時間を要し、かつこの間リモコン操作に当たって操作マニュアルを確認しつつリモコンを目祝しながら操作しなければならないので、電気給湯器を制御するに当たってのリモコン操作時間を余分に必要とする。
更には、リモコン自体は専用品であるため、リモコンを破損した場合には代替品を入手するまで操作者は慣れない操作パネルを直接使用しなければならず、使い慣れたリモコンをその間使うことができなくなる。そのため、電気給湯器を制御するに当たってコントローラの操作に手間取ってしまう。また、専用リモコンを紛失したりすると、代替リモコンが無いのでリモコンを探すためにかなりの無駄時間を費やしてしまう。
以上のように電気給湯器の高機能化に伴い、そのコントローラ操作部とコントローラ操作用リモコンの使い難さに関する様々な問題が顕在化してきた。
なお、上述した数々の先行特許文献は以下のような理由によって本発明の課題を解決するには至らない技術であることが分かる。
特許文献1は、ユーザー端末に給湯器設定プログラムをダウンロードする機能を単に記載したものに過ぎない。即ち、例えばレストラン検索サービス等のプログラムが例示され、これらのプログラムに基づき予め登録されているレストランの場所やメニューなどの情報を当該情報サイト(サーバーシステム)から引き出す内容が記載されているに過ぎず、携帯端末を用いてコントローラ操作部を小型化・簡素化する点については開示も示唆もされていない。
特許文献2には、携帯電話から自動お湯はりを指示するモードを選択できる点と入浴プログラムをインストール可能となっている点が記載されているが、入浴プログラムのインストール先はコントローラ自体であって携帯電話ではない。従って、携帯端末を用いて給湯器コントローラの操作部を小型化・簡素化する点については開示も示唆もされていない。
特許文献3には、携帯電話に赤外線受光部を備え、保守データを吸い上げて修理の納期を優先すべきか価格を優先すべきかの選択をした後にサービスサーバーにデータを送信する内容が記載されている。しかしながら、この記載内容は単に携帯電話と給湯器コントローラとの間で赤外線によるデータのやりとりを行うだけの内容に留まり、携帯端末を用いてコントローラ操作部を小型化・簡素化する点については開示も示唆もされていない。
特許文献4には、火災等が起きたときに携帯電話に通報し,携帯電話によってホームコントローラを制御する機能が記載されているが、これも携帯電話を安全上の監視システムに利用したものに過ぎず、携帯端末を用いてコントローラの操作部を小型化・簡素化する点については開示も示唆もされていない。
特許文献5は、監視設備からの異常の知らせを携帯電話に伝える技術であり、当該公報には監視通報装置に対して異常状態の発生を知らせるプログラムが携帯電話に内蔵されている点が記載されている。しかしながら、携帯電話に内蔵されたプログラムは異常監視の発報に関するプログラムであり、携帯端末を用いて監視設備自体のコントローラ操作部の小型化・簡素化を図る点については開示も示唆もされていない。
特許文献6には、温水熱源機の情報を現場で携帯電話に一時的に書き込み、これを監視センターに持ち帰ってプリントアウトする機能が記載されているに過ぎず、携帯電話を用いて温水熱源機のコントローラ操作部を小型化・簡素化する点については開示も示唆もされていない。
特許文献7は、特定の携帯電話を所持している者が特定のエリアに戻ってくると携帯電話からホームコントローラに信号が送信されてホームコントローラを制御するシステムに関する技術であるが、かかる携帯電話を用いてホームコントローラ操作部を小型化・簡素化する点については記載も示唆もされていない。
以上に加えて、上記先行特許文献はカレンダー機能を備えた給湯器に特有の問題点を解決した点について開示も示唆もしていない。具体的には、例えば電気給湯器にはカレンダー機能が備わっていることが多いが、このようなカレンダー機能は給湯器の動作日時や時刻をその使用状態に合わせて定期的に設定し直す作業が必要とされる。かかる設定作業を行うに当たって従来のような給湯器コントローラのテンキー等を用いて入力していたのでは、慣れないキー操作を行う必要があると共に、例えば給湯器コントローラの設置場所によって不自然な姿勢で設定作業を行わなければならず、設定作業がやり難いことが多い。また、専用リモコンを用いて設定作業を行う場合も、そのリモコンの操作方法が分からず設定作業がやり難いことが多い。そのため、このような面倒なカレンダー機能の入力をよりやり易くすることが要望されている。
そこで本発明は、上述の課題を解決すべく創出されたもので、管理用サーバーからインターネット回線を介して給湯器設定プログラムをダウンロードすることで、給湯器の多機能化を損なうことなくそのコントローラ操作部の小型化・簡素化を図ると共に、コントローラから送信された運転状況に関するデータを管理用サーバーに送信することで、正常時の運転状況と異常時の運転状況とに対応してコントローラ操作を行うことができる給湯器コントローラ操作システム及び給湯器コントローラの提供を目的とするものである。
上述の目的を達成すべく本発明の第1の手段は、給湯器に装着され該給湯器を制御するコントローラと、該コントローラーの設定プログラムを管理する管理用サーバーと、該管理用サーバーからインターネット回線を介して給湯器設定プログラムをダウンロードする携帯端末とから成り、該携帯端末は、前記管理用サーバーからダウンロードした設定プログラムに基づき前記コントローラを操作する制御信号をワイヤレスで送信する送信手段を備え、前記コントローラは、前記携帯端末から送信されたワイヤレスの制御信号を受信する受信手段と、当該受信手段によって受信された受信信号に基づき前記コントローラの設定を操作する制御手段とを備えた給湯器コントローラ操作システムにある。
第2の手段において、前記携帯端末は、前記給湯器コントローラからワイヤレスで送信された給湯器の運転状況に関するデータを受信する受信手段と、当該受信手段によって受信されたデータをストレージする記憶手段と、給湯器コントロ−ラーからワイヤレスで送信された給湯器の運転状況に関するデータを送信する送信手段とを備え、前記コントローラから送信された運転状況に関するデータを正常時の運転状況と異常時の運転状況とに判別すると共に異常時の運転状況に関する運転データを特定の管理用サーバーに送信するプログラムが携帯端末のユーザーアプリケーションプログラム用メモリーにインストールされた給湯器コントローラ操作システムである。
第3の手段は、給湯器に装着され該給湯器を制御するコントローラと、該コントローラーの設定プログラムを管理する管理用サーバーと、該管理用サーバーにインターネット回線を介してアクセスする携帯端末とから成り、該携帯端末は、管理用サーバーからダウンロードした設定プログラムに基づき前記コントローラを操作する制御信号をワイヤレスで送信する送信手段を備えた操作システムの給湯器コントローラにおいて、前記携帯端末から発信したワイヤレスの制御信号を受信する受信手段を備えると共に、該受信手段で受信した制御信号に基づきコントローラを操作する制御手段を備え、該制御手段が制御する給湯器の運転状態をワイヤレスで前記携帯端末に送信する送信手段を備えた給湯器コントローラにある。
第4の手段における給湯器コントローラにおいて、前記制御手段は、給湯器の動作日時及び時刻を指定するカレンダー機能と所定の日時が経過した際に給湯器内の加熱済みの湯水を自動的に入替える休止モード機能とを有し、前記受信手段で受信した制御信号に基いてカレンダー機能と休止モード機能とが作動する。
第5の手段における給湯器コントローラにおいて、前記制御手段は、外気温度が高い時期に沸し上げ温度を下げる季節モード機能を有し、前記受信手段で受信した制御信号に基いて季節モード機能が作動する。
第6の手段は、前記制御手段において、複数の電気給湯器をグループ別に設定し、各グループを単位時間ごとに交互に通電せしめる交互運転機能を設け、前記受信手段で受信した制御信号に基いて交互運転機能が作動する。
第7の手段における給湯器コントローラの操作部は、電源スイッチと、赤外線受光部又は赤外線投受光部の何れか一つとを備えたことにある。
本発明において、請求項1の操作システムによると、携帯端末をリモコン代わりに使用し、管理用サーバーからインターネット回線を介して給湯器設定プログラムをダウンロードすることで、給湯器の多機能化を損なうことなくそのコントローラ操作部の小型化・簡素化を図ることができる。
また、本発明操作システムは、給湯器コントローラの操作を携帯端末で行うことができるので、従来の給湯器自体の高機能をコントローラに発揮させるために大型かつ複雑な操作表示部を当該給湯器コントローラに設ける必要がなくなる。即ち、給湯器には携帯端末から発信されたワイヤレス信号の受信部を少なくとも有していれば良いので、コントローラ自体を給湯器のどのような場所にでも配置できるようになり、コントローラ配置上の制約を受けなくて済む。そのため、給湯器の設計の自由度が向上する。
更に、本発明操作システムは、給湯器コントローラを操作する専用リモコンを用いず携帯端末により給湯器コントローラを操作するので、給湯器のメーカーごとに専用品である独自のリモコンを製造しなくて済み、リモコン製造に要する金型コストを省くことができる。
しかも、本発明操作システムは、従来のように専用品であるリモコンの操作に慣れるまで時間を要することがなくなる。即ち、携帯端末として使用する携帯電話は一般に広く普及しており、各自が使い慣れた自分の携帯電話を用いて給湯器コントローラを操作することができるので、専用リモコンの操作方法を覚える必要がなく、コントローラの操作方法も短期間で習熟することができるようになる。また、給湯器コントローラの操作者が頻繁に入れ替わる環境下においてもコントローラの操作方法や専用リモコンの操作方法を教育する時間を短縮することができる。
更に、本発明操作システムは、専用リモコンを紛失することがなくなり、当該専用リモコンを探すような手間を省くことができる。しかも、専用リモコンを破損した場合に代替品を入手するまで慣れないコントローラ操作部自体の操作を行う必要が無くなり、その上、代替品を購入するコストを省くこともできる。
本発明における請求項2の操作システムは、携帯端末が給湯器の運転状況に関するデータをストレージし、コントローラから送信された運転状況に関するデータを管理用サーバーに送信することで、正常時の運転状況と異常時の運転状況とに対応してコントローラの操作を行うことができる。
しかも、本発明操作システムの携帯端末は、携帯端末が給湯器の運転状況に関する運転データを送信することができるようになっているので、このような運転状況に関するデータを中央監視装置等に送り、故障診断に役立てることができる。また、給湯器の状態を常に正確に診断することができ、かつ給湯器の最適な運転状況と比較することも可能となり、経験の少ないメンテナンス要員であっても正確な故障診断を行うことができるようになる。
更に、本発明操作システムの携帯端末は、携帯端末が給湯器の異常時の運転状況に関する運転データを独自に判別して管理用サーバーに送信することができるので、給湯器の異常発生を迅速に判断することができる。
本発明における請求項3に記載のコントローラは、極めて簡素なコントローラ操作部を備えながら携帯端末を介して多機能のコントローラ操作を行うことができる。また、シンプルなコントローラ操作部であるので給湯器コントローラ自体に関する製造金型のコスト低減を図ると共に、給湯器内におけるコントローラ配置の自由度が高まり、給湯器の小型化を達成できる。
本発明における請求項3及び7に記載のコントローラは、コントローラが携帯端末に給湯器の運転状況をワイヤレスで送信することができるので、給湯器の運転状況を確実に判断することができる。また、コントローラと監視装置との間を配線する必要がなく、かつモデム等を介して特別な電話回線で接続する必要もない。従って、設備設置のコスト低減に貢献することが可能である。
本発明における請求項4に記載の給湯器コントローラによると、給湯器がその動作日時や時刻をその使用状態に合わせて定期的に設定し直す作業が必要とされるカレンダー機能を備えているが、従来のような給湯器コントローラのテンキー等を用いて慣れないキー操作で入力したりせずに済む。また、給湯器コントローラがどのような場所に設置されていても、不自然な姿勢で設定作業を行わずに済む。また、操作方法の分かり難い専用リモコンを用いての設定作業も行わずに済む。そのため、カレンダー機能を備えた給湯器においてかかるカレンダー機能の入力をより行い易くする。
本発明の請求項4によると、前記制御手段に、カレンダー機能と、休止モード機能とを備え、携帯端末の送信手段で前記給湯器コントローラの休止モード機能を設定することができるので、所定の日時が経過した際に給湯器内の加熱済みの湯水を自動的に入替えることが可能になる。
本発明の請求項5により、前記制御手段に季節モード機能を備え、前記送信手段で前記給湯器コントローラの季節モード機能を設定することができるので、外気温度が高い時期に、沸し上げ温度を一定温度低下せしめることが可能になる。
本発明の請求項6により、前記制御手段に交互運転機能を備え、前記送信手段で前記給湯器コントローラの交互運転機能を設定することができるので、複数の電気給湯器をグループ別に設定し、各グループを単位時間ごとに交互に通電せしめることができるものである。
以下、本発明の一実施形態にかかる電気給湯器のコントローラ操作システムについて図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態においては携帯端末として赤外線ポートを備えた携帯電話を利用しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
本発明の一実施形態にかかる電気給湯器のコントローラ操作システムは、図1に示すように電気給湯器110に接続された給湯器コントローラ120と、この給湯器コントローラ120を赤外線によるワイヤレスで操作する携帯端末として使用する携帯電話140とからなる。そして、携帯電話140は、図2に示すように、携帯電話回線を介して中央監視センター150及び電気給湯器のメンテナンス要員Mと無線で通信できるようになっている。
給湯器コントローラ120は、図1に示すように、電気給湯器110を適切に加熱制御する制御装置(CPU)121と、電気給湯器110の加熱制御に使用する所定のパラメータ等を予め記憶したROM122aと、電気給湯器110の運転状況を一時的に記憶したり例えば一遇間の動作パターンを各曜日及び時間ごとに記憶し、いわゆるカレンダー機能を実現するためのRAM122bと、CPU121に接続された赤外線通信部123と、赤外線通信部123に接続された赤外線投光部124a及び赤外線受光部124b等を備えている。
一方、携帯電話140は携帯電話内部にCPU141と、携帯電話本来の機能を発揮するためのROM142a及びRAM142bからなるメモリー142と、携帯電話140の音声又はデータを変換する変復調部145と、無線送受信部146と、CPU141に接続された赤外線通信部143と、赤外線通信部143に接続された赤外線投光部144b及び赤外線受光部144a等を備えている。また、携帯電話140はCPU141にユーザーアプリケーションプログラム用メモリー147が接続され、中央監視センター150(図2参照)のサーバー151から提供される給湯器コントローラ120の操作プログラムをこのユーザーアプリケーションプログラム用メモリー147にダウンロードできるようになっている。また、携帯電話140のCPU141には給湯器コントローラ120からアップロードした電気給湯器の運転データをプリンタ等外部機器に出力するためのシリアルI/F149が接続されている。
このような携帯電話140は、近年よく利用されるようになった例えばiモード(登録商標)等のWEBサイトからJa v a(登録商標)等のアプリケーションプログラムをダウンロードし、これを実行する機能がサポートされた携帯電話140を使用している。即ち、iモードユーザーとして、iモードのWEBサイトに接続して、この場合携帯電話140を電気給湯器のリモコンとして使用するためのユーザーアプリケーションプログラムや携帯電話140のリモコン機能に電気給湯器のカレンダー機能を制御するためのアプリケーションプログラムをダウンロードしてインストールするようになっている。
アプリケーションのダウンロードは例えば以下の手順で行われる。最初にiモードブラウザを使って必要なアプリケーションプログラムのダウンロードリンク先を決定する。この場合、ダウンロードリンク先は、給湯器コントローラ120の操作用プログラムを提供するリンク先である。そして、リンクをクリックしてインストール作業を開始する。これによって給湯器コントローラ120の操作プログラムが携帯電話140の給湯器設定プログラム用メモリー147へダウンロードされる。また、サーバー151においてアプリケーションプログラムが適時更新されるようになっており、そのつど最新の給湯器コントローラ操作用アプリケーションプログラムを適宜ダウンロードしてインストールすることができる。
これによって、給湯器設定プログラム用メモリー147の中に、給湯器コントローラ120の操作用プログラムがインストールされ、赤外線ポートを有するタイプの携帯電話140を給湯器コントローラ120の操作用リモコンとして使用することができるようになる。
続いて、携帯電話140と中央監視センター150との関係について説明する。携帯電話140は、図2に示すように携帯電話網を介して中央監視センター150と通信可能となっている。管理用サーバー151から給湯器設定プログラムを携帯電話140のユーザーアプリケーションプログラムをダウンロードする場合の操作手順を図7に示している。まず、管理用サーバー151にアクセスしてユーザーアプリケーションプログラムを携帯電話140のユーザーアプリケーションプログラム用メモリー147にダウンロードする。次に、携帯電話140にダウンロードした設定プログラムから設定メニューを選択し、詳細を設定する。続いて、選択した設定メニューのプログラムを携帯電話140から給湯器コントローラ120に送信する。そして、給湯器コントローラ120に送信された設定プログラムに基いて、電気給湯器110が稼動するものである。
このように携帯電話140を給湯器コントローラ120のリモコンとして使用することで、経験の少ない新人のサービス要員やメンテナンス要員であっても、自分の使い慣れた携帯電話140を用いて給湯器コントローラ120の操作方法を短期間で習熟することができるようになる。
一方、電気給湯器110が加熱しない等の異常発生時には、携帯電話140を介して電気給湯器110の運転データを中央監視センター150の管理用サーバー151に送ることができる。この手順を図8に示している。まず、給湯器コントローラ120から携帯電話140に電気給湯器110の運転データを受信して記憶手段にストレージする。次に、携帯電話140において、受信した運転データから電気給湯器110の運転が正常か異常かを判断する。続いて、運転データが異常と判断されると、この運転データを携帯電話140から管理用サーバー151に送信する。中央監視センター150では、送られた運転データをデータベース152の内容と比較して故障原因の推測を行うと共に、携帯電話140を介して巡回中のメンテナンス要員Mに連絡するものである。
この時点で、ある程度の故障原因を推測するので、現場で必要とされる部品や修理用機器をメンテナンス要員Mに予め知らせておくことができ、メンテナンスの効率化を図ることができる。これによって中央監視センター150から連絡を受けたメンテナンス要員Mがある程度の故障状況を把握しながら電気給湯器110の下にすぐに点検に行き修理や部品交換を効率的に行うことが可能となっている。
また、このような異常発生時にメンテナンス要員Mが現場に駆けつけた後、携帯電話140のRAMに電気給湯器110の運転データを一時的に記録し、この携帯電話140を中央監視センター150に持ち帰って電気給湯器110の運転用データベース152にシリアルI/F149を介して(携帯電話回線を介さずに)直接書き込んだり、持ち帰ったデータをその場でプリントアウトして、故障診断の解析に役立てることも可能である。
これによって、従来のように異常発生時にメンテナンス要員Mが給湯器コントローラ120自体を交換して故障したコントローラを持ち帰るという面倒な作業をなるべく行わずに済む。
一方、携帯電話140を介して、電気給湯器110の運転状況等のデータを中央監視センター150とやりとりできるので、図2に示すに二点鎖線で示すような従来の複雑な専用回線が必要なくなる。
なお、携帯電話140は、図2に示すように電気給湯器110の各サービス要員やメンテナンス要員が常に携帯していても良く、又は給湯器コントローラ120に専用の携帯電話140を常時備え付けようにしておいても良い。なお、後者の場合は携帯電話140を介して電気給湯器110の運転データを給湯器コントローラ120から赤外線を介して携帯電話140に定期的に読み込むようにし、この読み込んだ運転データを、携帯電話網を介して中央監視センター150に適宜送信するのが好ましい。
なお、上述の実施形態においては電気給湯器の給湯器コントローラ120とこの給湯器コントローラ120のリモコンに携帯電話140を使用する内容について説明したが、必ずしもこれに限定されずガス給湯器のコントローラとこのコントローラのリモコンにかかる携帯電話を適用可能であることは言うまでもない。
また、給湯器コントローラ120から送信された運転状況に関するデータを携帯電話140が中央監視センター150に定期的に送信するようにしても良く、正常時の運転状況と異常時の運転状況とに判別して異常時の運転状況に関する運転データのみを中央監視センター150に送信するようにしても良い。
また、以上の説明内容においては、赤外線投受光部を介して携帯電話140と給湯器コントローラ120間との通信をワイヤレスで行う点について記載したが、必ずしもこれに限定される必要はない。従って、通信手段として近距離を非接触で通信できるものであればいかなるものを利用しても良く、RF−ID、10M経度の近距離無線通信のインターフェース規格であるブルートウース、2.4GHz帯の電波を使つた無線LANであるHoMe RF、その他の無線LANの標準的な規格として知られるIEEE802.11等のいかなる送受信手段を使用することも可能である。
また、上述の実施形態においては携帯端末として携帯電話140を記載したが、必ずしもこれに限定されずPHS(personalHandy phone SysteM)のような携帯端末であれば広く利用できる。
この携帯電話140のリモコンとしての具体的な使用方法は以下の通りとなる。なお、携帯電話140をリモコンとして使用するに当たって、ユーザー認証を経てから操作することは言うまでもない。また、電気給湯器110の設定温度等については携帯電話140のテンキーやコマンドキーを介して全て入力可能となる。
具体的には、図3に示すコマンドナビゲーションボタンCKやソフトキーSKl、ソフトキーSK2によりメニューを呼び出し、ダイヤルボタン(テンキー)を操作することで各種データのやり取りを行う。
例えば、コマンドナビゲーションボタンCKによって、温度設定モード、タイマモード、急速湯沸しモード、メンテナンスモード、現在温度表示モードの何れかのモードを選択可能とする。この場合、タイマモードを選択したとすると、続くソフトキー操作に移行する。このソフトキー操作においては、湯沸し開始時間設定、カレンダ設定、自動運転時間設定、日時修正の何れかを選択できる。ここで湯沸し開始時間設定が選択されると、ダイヤルボタン(テンキー)により例えば07時00分(時、分は固定)と入力することで湯沸し開始時間を設定できる。
また、電気給湯器110の加熱温度についても携帯電話140をリモコンとして使用することで任意に設定可能である。また、電気給湯器110の加熱パターンは例えば給湯器コントローラ120のRAM122bに備わるカレンダー機能により各曜日及び時間ごとに細かく設定可能である。また、このカレンダー機能の書き換えは携帯電話140をリモコンとして利用することで容易に行うことができる。
図4(イ)乃至(ハ)は、携帯電話140の画面に表示される内容を例示的に表したものである。すなわち、同図(イ)は電気給湯器の温度設定モードを選択した場合に表示される内容で、テンキーとコマンドキーとで設定温度を容易に入力できる。また、携帯電話140のコマンドキーCKで現在温度表示モードを選択すると、同図(ロ)に示す現在温度表示の指令内容に移行する。ここで、この表示内容に従うと、現在温度が表示される。同図(ハ)は電気給湯器に関する運転データの後述するデータアップロードモードを選択した場合の表示内容を示している。この図に示すように特定のテンキーやコマンドキーを押すだけでデータアップロードを簡単に行うことができる。
以上のように本実施形態では従来のリモコンで行っていた操作内容を全て携帯電話140の表示画面に表示させることで赤外線を介してコントローラ操作を容易に行うことを可能としている。
従って、給湯器の動作日時や時刻をその使用状態に合わせて定期的に設定し直す作業が必要とされるカレンダー機能を備えた給湯器の場合、従来のような給湯器コントローラのテンキー等を用いて慣れないキー操作で入力したりせずに済む。また、給湯器コントローラがどのような場所に設置されていても、不自然な姿勢で設定作業を行わずに済む。また、操作方法の分かり難い専用リモコンを用いての設定作業も行わずに済む。そのため、電気給湯器の機能として一般的なカレンダー機能を備えた給湯器において当該カレンダー機能の入力をより行い易くする。
本発明の給湯器コントローラ120は、前記カレンダー機能と共に、休止モード機能を備えている。この休止モード機能は、所定の日時が経過した際に、給湯器内の加熱済みの湯水を自動的に入替える機能である。この休止モード機能を作動せしめる日時の設定も前記携帯電話140を操作して行うものである。例えば、前記カレンダー機能によって、夏季休暇や年末年始の長期休暇に休止モード機能が作動するように設定しておくと、タンク内の湯水を排出して休暇を迎え、休み明けに新しい水を給水して沸し上げを行う。開放式の湯沸器では、タンクをからにすることができるが、密閉式の温水器の場合、押出し方式となるので、一度沸し上げて塩素が飛んでしまった湯を、一定時間排出することで、塩素の含まれた水道水をタンク内に取り込み、雑菌の増殖を抑えるものである。
携帯電話140による休止モード機能の設定は図9に示すように行う。先ず、インターネット回線を介して管理用サーバー151にアクセスし、ユーザーアプリケーションプログラムをダウンロードする。次に、ダウンロードしたプログラムから休止モード機能のメニューを選択して、期間等の設定を行う。休止モードの期間設定は、前日に設定を行う日数入力と、カレンダー機能を利用したカレンダー入力とがある。日数入力では、「明日から何日間」というように設定日数を入力する。カレンダー入力では、開始の年、月、日と、終了の年、月、日とを入力する。そして設定内容を給湯器コントローラ120に送信する。更に、休止モード機能を実行するかしないかをON/OFFで選択する。
更に、本発明の給湯器コントローラ120は、制御手段に季節モード機能を備えている。この季節モード機能は、給水時の水温が高くなる時期に沸し上げ機能を停止する機能である。この季節モード機能を、夏季のように環境温度と共に水温が上昇し、湯を使用する機会が少なくなる時期に設定しておくことで、必要以上の高温に沸し上げることがなくなる。すなわち、季節モード機能は、給水温度が設定値以上になるとヒータへの通電を停止し、下回るとヒータ通電を行う機能である。そのため季節モードが作動してヒータへの通電が停止している状態では、給水温度は給水される水温のまま加熱されずに吐水される。このように、季節モード機能は、電気量及び放熱ロスを減らすことができる。
携帯電話140による季節モード機能の設定は図10に示すように行なう。先ず、インターネット回線を介して管理用サーバー151にアクセスし、ユーザーアプリケーションプログラムをダウンロードする。次に、ダウンロードしたプログラムから季節モード機能のメニューを選択して、温度の設定を行なう。例えば、給水時の水温が30度Cを上回ったときにヒータへの通電を停止させたいのであれば、温度を30度Cに設定する。この温度は、任意に設定する。そして設定内容を給湯器コントローラ120に送信する。更に、季節モード機能を実行するかしないかをON/OFFで選択する。
本発明給湯器コントローラの制御手段に、更に交互運転機能を設けている。この交互運転機能は、複数の電気給湯器をグループ別に設定し、各グループを単位時間ごとに交互に通電せしめる機能である。この交互運転機能により、複数の電気給湯器が同時に通電しないように設定できるので、最大需要電力(契約電力)を抑えることが可能になる。各グループのごとに交互に通電する際に、各グーループの給湯器が完全に沸し上げるまで通電するのではなく、5分単位、10分単位、15分単位というように、一定時間ごとに通電を行い、各グループが冷めない範囲で少しずつ沸し上げるものである。
例えば、単相100V1.1kWという仕様の給湯器A・B機を2台設置する場合、通常であれば2台の給湯器は別々に配線されるので、湯の使用状況によって、2台同時にヒータ通電する場合があり、そのため最大需要電力は2.2kWになってしまう。これに対して、給湯器が交互運転モードに設定されている場合、2台同時にヒータ通電しなければいけない状況でもA機がヒータ通電していればB機はヒータ通電を行なわない。そのため最大需要電力は1.1kWで済むことになる。
携帯電話140による交互運転モード機能の設定は図11に示すように行う。先ず、複数台の給湯器の各給湯器コントローラ120を有線にて接続し、接続した給湯器コントローラ120の制御手段に親機、子機の設定を行う。このとき、各給湯器コントローラ120を有線にて接続せずに、携帯電話140のみで親機、子機の設定を行うようにすることも可能である。この設定は、給湯器メンテナンス要員Mが行う。次に、インターネット回線を介して管理用サーバー151にアクセスし、ユーザーアプリケーションプログラムをダウンロードする。次に、ダウンロードしたプログラムから交互運転モード機能のメニューを選択し、交互運転時間を設定して親機の給湯器コントローラに送信する。この設定も給湯器メンテナンス要員Mが有する携帯電話140のみが設定できるようにしている。
交互運転モード機能は次のように作動する。例えば、2台の給湯器を使用してA機を親機、B機を子機、設定時間を10分とすると、A機のタンク内の水温が設定温度より低い場合、ヒータに10分間通電する。例えタンク内の水温が設定温度に達していなくても、10分後には停止し、B機に運転命令を出す。B機のタンク内の水温が設定温度より低い場合ヒータに通電し、10分間だけ運転を行う。親機であるA機は常にB機を監視しており、B機が通電している間、A機は通電しない。このとき、B機が6分で沸し上がって4分余った場合、B機が通電していないのを検知して自分が通電する必要があれば、設定時間の10分が完了するのを待たずに自分のヒータに通電する。逆の場合も同様で、A機が設定時間内に沸し上がった場合は、すぐにB機に運転の命令を出す。このようにA機とB機とで設定温度に達するまで交互に運転を行なう。2台が切り換わる際にはタイムラグを設け、瞬間的にでも同時に通電してしまうのを防止している。昼時など使用が集中する時間帯には、2台同時に通電する必要が出てくることも考えられるが、交互運転のためどちらか一方は待つことになる。
また、携帯電話140をこのように給湯器コントローラ120のリモコンとして使用することによって、電気給湯器110に接続されたコントローラ120の操作部130を後述するように極めて簡素な構成とすることができる。即ち、給湯器コントローラ120の操作部130は、図2に示すように、電源スイッチ131と赤外線投受光部132のみを備えており、これ以外の例えばテンキー、コマンドキー、電気給湯器運転微調整用スイッチ等は一切備えていない。従って、図2に二点鎖線で示す従来型の給湯器コントローラ操作部に較べて給湯器コントロ−ラ120の操作部130を極めてシンプルなものにすることができ、コントローラ操作部13の金型コストを格段に低減することができる。
図5は従来型の給湯器コントローラの操作部示し、図6は、本発明の一実施形態にかかる給湯器コントローラの操作部130を示す。図6からも明らかなように、本発明にかかる給湯器コントローラ操作システムを利用することで給湯器コントローラの操作部130を極めてシンプルな構成にすることができる。また、携帯電話140を利用することで、操作者はコントローラ設置場所や設置高さに係わらず一定の姿勢で給湯器コントローラ120の制御を行うことができ、特に高齢者が給湯器コントローラ120の制御を行う場合などに無理な姿勢で行うことがなくなり、その使い勝手が非常に良くなるものである。