JP2005174825A - リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムおよびこれを用いたリチウム電池 - Google Patents

リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムおよびこれを用いたリチウム電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム電池用包装体の金属箔からなるバリアー層とリチウム電池本体から突設される金属端子との短絡を防止して安定した状態で密封することができるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムを提供する。
【解決手段】正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して周縁熱接着部で密封した内層に熱接着性を有するポリオレフィン系樹脂と金属箔からなるバリアー層とを少なくとも備えた包装体の前記周縁熱接着部の前記内層と前記金属端子との間に介在させる接着性フィルムにおいて、該接着性フィルム1は少なくとも前記金属端子と当接する層が酸変性ポリオレフィン層2からなる単層ないし多層のポリオレフィンフィルムであって、該ポリオレフィンフィルムの少なくとも一つの層が充填剤を含有した充填剤含有層3’であること。
【選択図】図2

Description

本発明は、電解質(液体や固体電解質)を有するリチウム電池本体を包装する包装材料に関し、さらに詳しくは、前記リチウム電池本体を包装する包装体と前記リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続されて前記包装体の外部に突設される金属端子との間に介在させて、前記包装体と前記金属端子および前記包装体同士を接着するリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムおよびこれを用いたリチウム電池に関するものである。
リチウム電池とは、リチウム2次電池ともいわれ、電解質として固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で起電する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム2次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)からなるリチウム電池本体およびそれらを包装する包装体等からなる。リチウム2次電池の用途としては、パソコン、携帯端末(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用いられる。なお、本明細書においては、前記正極集電材と正極活性物質層とを正極、前記負極集電材と負極活性物質層とを負極と呼称する。
前記リチウム電池の外装体としては、金属をプレス加工して円筒状ないし直方体状に容器化した金属製缶、あるいは、プラスチックフィルム、アルミニウム等の金属箔を積層した積層体を袋状等に加工した袋体(以下、包装体と呼称する)などが用いられている。
ところで、金属製缶からなる外装体はリジッドであり、これにより電池自体の形状が決められるために、たとえば、これを携帯電話に用いる場合には、携帯電話本体の寸法が電池の形状で決り、携帯電話の形状を自由に設計することができないといった問題があり、この問題の解決を目的として柔軟性を有するために携帯電話本体の形状をある程度自由に設計できることから前記包装体が用いられる傾向にある。さらにまた、前記包装体が用いられる傾向にある理由としては、電池が高温下で使用されて内部圧力が異常に高まった場合、金属製缶からなる外装体は、爆発、発火が起こるまで外装体が耐えるために危険であるといった問題があるのに対して、熱接着部で密封される前記包装体は前記熱接着部が剥離して内部圧力を逃がす安全弁の働きをするために電池としての機能は失われるものの金属製缶からなる外装体に比べて爆発、発火の危険性を少なくすることができるためでもある。
前記包装体としては、リチウム電池としての必要な物性、加工性、経済性等から、図4に示すように少なくとも基材層A1、アルミニウム等の金属箔からなるバリアー層A2、熱接着性樹脂層A3を積層した積層体Aが用いられ、この積層体Aを図5(a)に示すように袋状〔図5(a)上はピロータイプの包装袋であるが三方タイプ、四方タイプ等の包装袋であってもよい〕に加工して前記リチウム電池本体およびこれの正極および負極との各々に接続された金属端子31を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封するなり、あるいは、この積層体Aを図6(a)に示すように前記熱接着性樹脂層が内側に位置するようにプレス成形して凹部を形成し、この凹部に前記リチウム電池本体およびこれの正極および負極との各々に接続された金属端子31を外側に突出した状態で収納すると共に別途用意したシート状の前記積層体A(図示せず)の前記熱接着性樹脂層が前記凹部側に位置するようにして前記凹部を被覆すると共に周縁を熱接着して密封することにより図5(b)、あるいは、図6(b)に示すリチウム電池10として用いられている。なお、符号Sは周縁熱接着部を示す。
前記包装体(前記積層体A)を構成する前記熱接着性樹脂層A3としては、前記熱接着性樹脂層A3同士の熱接着性と共に前記リチウム電池本体から前記包装体の外部に突設される金属端子31との熱接着性が求められ、金属との接着性に優れる酸変性ポリオレフィン樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体、あるいは、金属架橋ポリオレフィン樹脂などが用いられていた。
しかしながら、前記包装体(前記積層体A)を構成する前記熱接着性樹脂層A3に前記酸変性ポリオレフィン樹脂を用いると、一般的なポリオレフィン系樹脂(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂を意味し、以下一般ポリオレフィン系樹脂と呼称する)と比較して滑り性が悪く、袋状に加工する際にシワが入るといった問題やプレス成形して凹部を形成する際にピンホールやクラックが発生する虞があるといった問題があり、これに代わるものとして前記熱接着性樹脂層A3には一般ポリオレフィン系樹脂を用い、この一般ポリオレフィン系樹脂と前記金属端子31との両方に熱接着可能な上記したような酸変性ポリオレフィン樹脂の単層ないしこれを少なくとも一方の表層に形成した多層からなるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム(以下、接着性フィルムと呼称する場合がある)を前記金属端子と前記熱接着性樹脂層との間に介在させて熱接着して密封する方法が採用されるようになってきた(たとえば、特許文献1参照)。
具体的に説明すると、図7に示すように電解質を注入する前のリチウム電池本体30は前記リチウム電池本体30から前記包装体の外部に突設される金属端子31〔図5(b)、図6(b)参照〕とからなり、たとえば、該金属端子31の両面に上記した酸変性ポリオレフィン樹脂単層からなる金属端子部密封用接着性フィルム1”が仮着シールにより固定される。そして、たとえば、プレス成形して凹部を形成した図6(a)に示す積層体Aの前記凹部に前記リチウム電池本体30を収納すると共に、別途用意したシート状の前記積層体A(図示せず)で前記凹部を被覆して前記リチウム電池本体30の前記金属端子31を備える周縁を含む3つの周縁を熱接着して後に1つの未接着部の周縁から電解質を注入し、その後に前記未接着部を熱接着して密封することにより図6(b)に示すリチウム電池10となる。
ところで、前記リチウム電池10の前記金属端子31は前記接着性フィルム1”を備えた部位で前記包装体(前記積層体A)に挟持された状態で熱接着されるが、前記金属端子31はその厚さが少なくとも50μm程度、巾としては少なくとも2.5mm程度あり、前記金属端子31の両側部の空隙を前記接着性フィルム1”と前記包装体(前記積層体A)の前記熱接着性樹脂層A3で埋めて密封状態を確保するためには熱接着するための熱と圧力が必要となるが、これにより前記接着性フィルム1”と前記包装体(前記積層体A)の前記熱接着性樹脂層A3とが加圧部の外に押出されて前記加圧部が薄肉となると共に、一般に金属端子の両側端部には小幅に裁断するときに数μm〜数十μmのバリが発生しており、これが原因となり前記包装体(前記積層体A)のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層A2と前記金属端子31とが接触して短絡する虞があった。
また、たとえば、前記金属端子31の両面に用いる接着性フィルムとして、酸変性ポリオレフィン樹脂層/二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/酸変性ポリオレフィン樹脂層からなる構成のものを用いた場合には、上記した短絡するという現象は酸変性ポリオレフィン樹脂単層のものに比べて良化するが、水蒸気バリアー性の点で酸変性ポリオレフィン樹脂単層のものに比べて劣り、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを透過して侵入した水蒸気が電解質と反応してフッ化水素を生成し、電池寿命を短くする等の虞があった。
特開2001−307715号公報
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して周縁熱接着部で密封した内層に熱接着性を有するポリオレフィン系樹脂(一般ポリオレフィン系樹脂)と金属箔からなるバリアー層とを少なくとも備えた包装体において、前記包装体のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層と金属端子、特に金属端子のバリとの短絡を防止して安定した状態で密封することができると共に水蒸気バイアー性においても優れたリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムおよびこれを用いたリチウム電池を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して周縁熱接着部で密封した内層に熱接着性を有するポリオレフィン系樹脂と金属箔からなるバリアー層とを少なくとも備えた包装体の前記周縁熱接着部の前記内層と前記金属端子との間に介在させるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムにおいて、該リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムは少なくとも前記金属端子と当接する層が酸変性ポリオレフィン層からなる単層ないし多層のポリオレフィンフィルムであって、該ポリオレフィンフィルムの少なくとも一つの層が充填剤を含有した充填剤含有層であることを特徴とするものである。このように構成することにより、金属端子を挟持して熱接着して密封する周縁熱接着部において、水蒸気バイアー性に優れ、かつ、酸変性ポリオレフィン層は金属端子との熱接着性に優れるために安定した状態で密封することができると共にポリオレフィンフィルムの少なくとも一つの層が充填剤を含有した充填剤含有層からなるために充填剤がスペーサー(Spacer)として機能し、前記包装体のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層と金属端子、特に金属端子のバリとの短絡を防止することができるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムとすることができる(絶縁性に優れたリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムとすることができる)。
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載のリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムにおいて、前記酸変性ポリオレフィン層が不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリエチレンないしポリプロピレンで形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィンに比べて、水蒸気バリアー性や耐熱性に優れた金属端子部密封用接着性フィルムとすることができる。
また、請求項3記載の本発明は、正極と負極と電解質とを収納し、前記正極および負極の各々に接続された金属端子を突出するように挟持して周縁熱接着部で密封した内層に熱接着性を有するポリオレフィン系樹脂と金属箔からなるバリアー層とを少なくとも備えた包装体からなるリチウム電池において、前記包装体の前記周縁熱接着部の前記内層と前記金属端子との間に請求項1、2のいずれかに記載のリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムを介在させたことを特徴とするものである。このように構成することにより、絶縁性や密封性に優れると共に水蒸気バリアー性においても優れ、結果として高性能なリチウム電池とすることができる。
本発明の接着性フィルムは、従来技術の項で説明した接着性フィルムに比べて、リチウム電池の金属端子部を熱接着により密封する際に、充填剤がスペーサー(Spacer)として機能し、金属端子のバリと前記包装体のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層との接触を防止することができるために、短絡を防止することができる。また、本発明の接着性フィルムは、少なくとも前記金属端子と当接する層が酸変性ポリオレフィン層からなる単層ないし多層のポリオレフィンフィルムからなるために、密封性に優れると共に水蒸気バリアー性にも優れるものとすることができるという顕著な効果を奏する。また、本発明の接着性フィルムを用いたリチウム電池は、金属端子のバリと前記包装体のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層との短絡を防止することができ、密封性や水蒸気バリアー性に優れるという顕著な効果を奏する。
最初に本発明に供するリチウム電池の包装体について説明する。前記包装体としては、図4に示す、少なくとも基材層A1、アルミニウム等の金属箔からなるバリアー層A2、一般ポリオレフィン系樹脂からなる熱接着性樹脂層A3を積層した積層体Aが用いられ、前記基材層A1としては二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ナイロンフィルム、あるいは、これらの積層体を挙げることができ、その厚さとしては概ね6〜30μm程度である。また、前記バリアー層A2としては、アルミニウムやニッケル、ステンレスなどの金属箔を挙げることができ、その厚さとしては概ね15〜80μm程度である。また、前記熱接着性樹脂層A3を形成する一般ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物を挙げることができ、その厚さとしては概ね20〜100μmである。
次に、上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述するが、リチウム電池の形態等は従来技術で説明した形態と同じであり、従来技術の図を用いて説明する。
図1は本発明にかかるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの第1実施形態の層構成を図解的に示す図、図2は本発明にかかるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの第2実施形態の層構成を図解的に示す図、図3はリチウム電池の金属端子部熱接着部の短絡防止を図解的に説明する概念図、図4はリチウム電池に用いる包装体の基本的な層構成を図解的に示す図、図5はリチウム電池に用いる包装体の一実施例を説明する図、図6はリチウム電池に用いる包装体の他の実施例を説明する図、図7はリチウム電池の金属端子部に用いるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの設け方の一例を説明する図であり、図中の1,1’,1”はリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム、2は酸変性ポリオレフィン樹脂層、3,3’,3”は一般ポリオレフィン系樹脂層、10はリチウム電池、30はリチウム電池本体、31は金属端子、Aは積層体、A1は基材層、A2は金属箔からなるバリアー層、A3は熱接着性樹脂層、Kは熱板、αは充填剤をそれぞれ示す。
図1は本発明にかかるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの第1実施形態の層構成を図解的に示す図であって、リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム1は、酸変性ポリオレフィン樹脂層2の単層からなるフィルムであって、この層2が充填剤αを含有した充填剤含有層を構成している。前記充填剤αは層2中にほぼ均一に分散されている。
図2は本発明にかかるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの第2実施形態の層構成を図解的に示す図であって、リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム1’は、一般ポリオレフィン系樹脂層3と酸変性ポリオレフィン樹脂層2との積層体からなると共に、前記一般ポリオレフィン系樹脂層3はさらに一般ポリオレフィン系樹脂層3’と一般ポリオレフィン系樹脂層3”とからなり、前記一般ポリオレフィン系樹脂層3”と前記酸変性ポリオレフィン樹脂層2とに挟まれる前記一般ポリオレフィン系樹脂層3’が充填剤αを含有した充填剤含有層を構成している。前記充填剤αは層3’中にほぼ均一に分散されている。
なお、前記酸変性ポリオレフィン樹脂層2、および、前記一般ポリオレフィン系樹脂層3’、3”は前記金属端子31(図7参照)および包装体の内層である一般ポリオレフィン系樹脂からなる前記熱接着性樹脂層A3(図4参照)と熱接着するために設ける層であり、前記熱接着性樹脂層A3(図4参照)に用いる樹脂種により適宜選択して用いる必要があるが、前記酸変性ポリオレフィン樹脂層2に用いる樹脂としては、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体、あるいは、金属架橋ポリオレフィン樹脂等であり、必要に応じてブテン成分、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、非晶質のエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等を5%以上添加してもよいものである。また、前記一般ポリオレフィン系樹脂層3’、3”としては、上記した包装体(積層体A)で説明した一般ポリオレフィン系樹脂と同じ樹脂を用いることができる。
前記接着性フィルム1、1’の総厚としては、50μm以上であり、好ましくは70〜120μmである。50μm未満では、ヒートシールすることによりシール痩せ(シール部の厚さが薄くなる)が発生してヒートシール強度が低下したり、熱によりフィルムが大きく変形(収縮)して絶縁性が損なわれる虞があり、120μm超では接着性フィルムの総厚が増し、端面からの水蒸気バリアー性が低下すると共にコスト対効果(ヒートシール強度、絶縁性)において顕著な向上効果が見られない。また、前記接着性フィルム1’の構成の場合、前記金属端子と当接する酸変性ポリオレフィン樹脂層2の厚さとしては、10〜40μm、好ましくは15〜30μmである。10μm未満では金属端子との接着強度にバラツキが生じ易く、40μm超では上記したように水蒸気バリアー性の低下とコスト対効果において向上効果が見られない。また、前記一般ポリオレフィン系樹脂3’の厚さとしては、後述する充填剤の平均粒径および含有量を考慮すると20〜60μm、好ましくは30〜50μmである。20μm未満ではスペーサーとしての効果が十分ではなくて短絡防止効果が小さく、60μm超では上記したようにコスト対効果において顕著な向上効果が見られない。
次に、前記接着性フィルム1、1’に添加する充填剤αについて説明する。
充填剤の平均粒径としては、0.1〜35μm、好ましくは5.0〜30μm、さらに好ましくは10〜25μmの範囲のものであって、その含有量としては、充填剤含有層を形成する樹脂100重量部に対して5〜30重量部、好ましくは10〜20重量部である。この理由としては、充填剤の平均粒径が0.1μm未満の場合、充填剤含有層を形成する樹脂100重量部に対して充填剤を30重量部超含有させないと包装体の金属箔からなるバリアー層と金属端子のバリとの短絡を防止することができないばかりか、前記接着性フィルム1の場合に、特に金属端子と十分な接着強度を得ることができない虞が生じ、また、充填剤の平均粒径が35μm超の場合、充填剤含有量を比較的少なくしないと充填剤含有層の製膜が困難であり、一方、充填剤含有層を形成する樹脂100重量部に対して充填剤の含有量を0超5重量部未満に調節しても包装体の金属箔からなるバリアー層と金属端子のバリとの短絡を防止することができない虞が生じるからである。
前記充填剤としては、無機系、有機系のいずれも用いることができ、無機系充填剤としては、たとえば、炭素(カーボン、グラファイト)、シリカ、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、シリコンカーバイド、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等を挙げることができ、有機系充填剤としては、たとえば、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ポリメタクリル酸メチル架橋物、ポリエチレン架橋物等を挙げることができるが、形状の安定性、剛性、内容物耐性の点から酸化アルミニウム、シリカ、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物が好ましく、特にこの中でも球状の酸化アルミニウム、シリカが熱変形し難くスペーサーとしての効果が高いことおよびコスト対効果の点等から好ましい。前記充填剤の充填剤含有層を形成する樹脂への混合方法としては、予めバンバリーミキサー等で両者をメルトブレンドし、マスターバッチ化したものを所定の混合比にする方法、あるいは、充填剤含有層を形成する樹脂との直接混合方法のいずれであってもよいものである。
図3はリチウム電池の金属端子部熱接着部の短絡防止を図解的に説明する概念図であって、まず図7に示すようにリチウム電池本体30の正極、負極の各々に接続された金属端子31の両面に接着性フィルム1が仮着シールにより固定され、この状態で前記金属端子31が突出するように前記接着性フィルム1部分を挟持した図4に示す積層体A(前記積層体Aの熱接着性樹脂層A3同士を対向させて前記接着性フィルム1部分を挟持した積層体A)が図3(a)に示すように対向する熱板K間に挿設される(図3上、一方の極に接続された金属端子31のみ示す)。そして、所定温度に加熱された前記熱板Kを前記積層体Aの熱接着されるべき所定箇所に所定時間、所定圧力で押圧することにより、加圧部(前記金属端子31の存在する部分)の前記熱接着性樹脂層A3と前記接着性フィルム1とが外(前記金属端子31の存在しない部分)に押出されて加圧部の前記熱接着性樹脂層A3と前記接着性フィルム1とが薄肉となると共に、この押出された前記熱接着性樹脂層A3と前記接着性フィルム1との樹脂により前記金属端子31の両側部の空隙が埋められて密封状態が確保されるものである。図3(a)上の矢印は前記熱板Kの加圧方向を示す。
ところが、充填剤を添加していないポリオレフィン系樹脂からなる接着性フィルム1”の場合、図3(b)に示すように、前記金属端子31には通常切断および裁断時に数μm〜数十μm、具体的には3μm〜15μm程度のバリBが前記金属端子31の端面に発生しているものであり、このバリBが原因となって積層体Aの金属箔からなるバリアー層A2と前記金属端子31のバリBとが接触して短絡する虞があった。そのために、前記積層体Aで前記金属端子31を挟持した状態で熱接着して密封する際の熱と圧と時間の条件(ヒートシール条件)を厳密に管理する必要があり、結構煩雑な作業となっていた。
しかしながら、充填剤を添加した接着性フィルム1の場合、図3(c)に示すように、充填剤αが熱で溶融しないために、前記金属端子31と前記積層体Aの金属箔からなるバリアー層A2との間に介在して、前記バリアー層A2と前記金属端子31のバリBとが接触するのを防止するスペーサー(Spacer)として機能するために、短絡するのを防止することができる。また、前記充填剤αを添加した前記接着性フィルム1は、樹脂の見かけの溶融粘度を高くすることができ、熱接着時(ヒートシール時)に加圧部が薄肉となるのを防止することができるために、前記バリアー層A2と前記金属端子31のバリBとの接触を一層防止することができる。充填剤を添加した前記接着性フィルム1を用いることにより、上記した効果を得ることができるために、ヒートシール条件の管理幅を広くすることができ、作業性の向上と密封性の安定を図ることができる。
上記したように、第1、および、第2実施形態のリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム1、1’は、密封性や水蒸気バリアー性に優れると共に、充填剤がスペーサー(Spacer)として機能し、金属端子のバリと前記包装体のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層との接触を防止することができるために、短絡を防止することができる。特に、前記リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム1’は、前記一般ポリオレフィン系樹脂層3’を充填剤含有層としたことにより、たとえば、前記接着性フィルム1’を共押出し法で製造する際に、前記酸変性ポリオレフィン樹脂層2と前記一般ポリオレフィン系樹脂層3”でサンドイッチされ、充填剤に起因する筋等のない美麗なフィルムを容易に製造することができると共に、包装体(積層体A)および金属端子と当接する層が充填剤を含有しないオレフィン樹脂(少なくとも金属端子と当接する層は酸変性ポリオレフィン樹脂)からなるために熱接着性(ヒートシール性)においても優れたものとすることができる。
また、前記接着性フィルム1、1’は必要に応じて少なくとも一つの層に顔料を添加して着色層としてもよいものである。これに用いる顔料としては、無機系の各種顔料を用いることができるが、一般に電池の内部に使用されている材料であり、電解液に対する溶出の虞がなく、また、着色効果が大きく接着性を阻害しない程度の添加量で充分な着色効果を得られると共に熱で溶融することがなく添加した樹脂の見かけの溶融粘度を高くすることができ、熱接着時(ヒートシール時)に加圧部が薄肉となることを防止してシール強度の低下を防ぐことができるなどの理由から、上記充填剤で例示した炭素(カーボン、グラファイト)が好ましく、その添加量としては、たとえば、平均粒径が約0.03μmのカーボンブラックを使用した場合、樹脂100重量部に対して0.05〜0.3重量部、好ましく0.1〜0.2重量部である。このように前記酸変性ポリオレフィン層4を着色層とすることにより、前記接着性フィルム1の有無をセンサーで検知可能なもの、あるいは、目視で検査可能なものとすることができる。
また、今までは、前記接着性フィルム1、1’の前記金属端子への設け方として、図7に示す正極および負極との各々に接続された前記金属端子31のそれぞれの両面にそれぞれ前記接着性フィルム1を設けた例で説明してきたが、図示はしないが前記接着性フィルム1、1’の前記金属端子31への設け方としては、2つの前記金属端子31を横断するように両面に設けてもよいし、また、前記金属端子31の各々に巻き付けてもよいものである。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。まず、リチウム電池の包装体となる積層体について説明する。該積層体としては、本発明の接着性フィルムを構成するポリオレフィンフィルムの樹脂種によりポリエチレン仕様とポリプロピレン仕様とに大別される。
〔ポリエチレン仕様の積層体の作製〕
予め、フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)したアルミニウム箔(40μm厚さ)の一方の面と25μm厚さの二軸延伸ナイロンフィルムとをウレタン系接着剤を介して積層し、前記アルミニウム箔の他方の面と30μm厚さの線状低密度ポリエチレンフィルムとを酸変性ポリエチレン樹脂(不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリエチレン)でサンドイッチラミネーションすると共に、熱風により前記酸変性ポリエチレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱して実施例に供するポリエチレン仕様の積層体を作製した。
〔ポリプロピレン仕様の積層体の作製〕
線状低密度ポリエチレンフィルムに代えてポリプロピレンフィルム(ランダムコポリマー)を用い、酸変性ポリエチレン樹脂に代えて酸変性ポリプロピレン樹脂(不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン)を用い、熱風による加熱を前記酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上の温度にした以外は上記したポリエチレン仕様と同様に作製して実施例に供するポリプロピレン仕様の積層体を作製した。なお、後述する各種評価試験においては、前記積層体の線状低密度ポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルム(ランダムコポリマー)をシーラントフィルムと呼称し、接着性フィルムを構成するポリオレフィン層の樹脂種(ポリエチレン系、ポリプロピレン系)により、ポリエチレン仕様とポリプロピレン仕様の積層体を適宜使い分けて使用した。
〔リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの作製〕
酸変性ポリプロピレン樹脂〔不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン、以下PPaと呼称する〕100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを15重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂を周知のTダイ法で製膜して100μm厚さのPPaフィルム(シリカ含有)を作製した。
ポリプロピレン樹脂(ランダムコポリマータイプ、以下PPと呼称する)100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを15重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂とPPaとを周知の共押出法で2層共押出しして、ポリプロピレン(酸化アルミニウム含有)80μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
PPとPP100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを30重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂とPPaとを周知の共押出法で3層共押出しして、PP20μm/ポリプロピレン(酸化アルミニウム含有)60μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
PPとPP100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを15重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂とPPaとを周知の共押出法で3層共押出しして、PP20μm/ポリプロピレン(酸化アルミニウム含有)60μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
PPとPP100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを10重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂とPPaとを周知の共押出法で3層共押出しして、PP20μm/ポリプロピレン(酸化アルミニウム含有)60μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
PPとPP100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを5重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂とPPaとを周知の共押出法で3層共押出しして、PP20μm/ポリプロピレン(酸化アルミニウム含有)60μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
PPとPP100重量部に対して平均粒径20μmの球状シリカを15重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂とPPaとを周知の共押出法で3層共押出しして、PP20μm/ポリプロピレン(シリカ含有)60μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
PPとPP100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを15重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂とPPaとを周知の共押出法で3層共押出しして、PP40μm/ポリプロピレン(酸化アルミニウム含有)40μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
PPとPP100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを15重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂とPPaとを周知の共押出法で3層共押出しして、PP60μm/ポリプロピレン(酸化アルミニウム含有)20μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
線状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと呼称する)とLLDPE100重量部に対して平均粒径20μmの酸化アルミニウムを15重量部ブレンドしてマスターバッチ化した樹脂と酸変性ポリエチレン樹脂(不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリエチレン、以下PEaと呼称する)とを周知の共押出法で3層共押出しして、LLDPE40μm/LLDPE(酸化アルミニウム含有)40μm/PEa20μmの積層フィルムを作製した。
〔比較例1〕
PPaを周知のインフレーション法で製膜して100μm厚さのPPaフィルムを作製した。
〔比較例2〕
PPとPPaとを周知の共押出法で2層共押出しして、PP80μm/PPa20μmの積層フィルムを作製した。
〔比較例3〕
LLDPEとPEaとを周知の共押出法で2層共押出しして、LLDPE80μm/PEa20μmの積層フィルムを作製した。
上記で作製した実施例1〜10、および、比較例1〜3の接着性フィルムを用いて、下記する方法で接着性フィルムと金属端子間のヒートシール強度(N/15mm巾)〔以下、HS強度と呼称する〕を測定すると共に、絶縁性、洩れの有無、水蒸気バリアー性を評価し、その結果を纏めて表1に示した。
Figure 2005174825
〔評価方法〕
※1)HS強度:上記で作製した包装体となる積層体および接着性フィルムを裁断して60mm角のテストサンプルを作製し、前記積層体のシーラントフィルム面同士を対向させて前記積層体を配置すると共に、同じく60mm角の厚さが100μmのアルミニウム端子を2枚の接着性フィルムの間に挟持した状態で前記積層体間に挿入すると共に一方の端辺に平行に上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でヒートシール(シール条件:190℃、1.0MPa、3秒)した後に、ヒートシール部に対して直交する方向に15mm幅に切断して、アルミニウム端子と接着性フィルム間のヒートシール強度を引張り速度50mm/分で測定した。
※2)絶縁性:上記で作製した包装体となる積層体および接着性フィルムを裁断して60mm角のテストサンプルを作製し、前記積層体のシーラントフィルム面同士を対向させて前記積層体を配置すると共に、幅が4mm、長さが55mm、厚さが100μmのニッケル端子を2枚の接着性フィルムの間に挟持した状態で前記積層体間に挿入すると共に前記ニッケル端子と前記積層体のアルミニウム箔にテスターの端子を接続し、この状態で前記ニッケル端子の長さ方向に直交する方向に上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でヒートシール(シール条件:190℃、1.0MPa)して、前記ニッケル箔と前記積層体のアルミニウム箔とが短絡するまでの時間を測定し、10秒以上を絶縁性優良として◎印で示し、5秒以上10秒未満を絶縁性良好として○印で示し、3秒以上5秒未満を絶縁性可として△印で示し、3秒未満を絶縁性に劣るとして×印で評価した。
※3)洩れの有無:接着性フィルムを裁断して8×15mmの接着性フィルムテストサンプルを作製すると共に、幅が4mm、長さが55mm、厚さが100μmのニッケル端子(アルカリ脱脂処理後に60℃の1モル硝酸溶液で5分間処理したもの)と同寸法のアルミニウム端子(リン酸クロメート処理を施したもの)のそれぞれの両面の対向する位置に裁断した前記接着性フィルムテストサンプルを酸変性ポリオレフィンが端子側となるように、かつ、15mm長さ側が端子の長手方向となるように配置し、この両面を1回ずつ一方が熱板で他方がゴムシートのヒートシール機でヒートシール(150℃、0.5MPa、2秒)して、接着性フィルムテストサンプルが仮シールされたフィルム付き端子を作製した。その後に、上記で作製した包装体となる積層体を裁断して60×75mmの積層体テストサンプルを作製すると共に前記積層体のシーラントフィルム面同士を対向させて重ね合わせ、60mm長さの一方の端辺間にそれぞれの前記フィルム付き端子を該端子同士が接触しないように平行に挿入し、上下共に7mm幅の熱板(この上下に配した熱板は端子に対応する箇所が10mm幅で80μm深さコの字状に削られている)からなるヒートシール機でヒートシール(190℃、1.5MPa、3秒)し、続いて他の三端辺を上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でヒートシール(シール条件:190℃、1.0MPa、3秒)した四方シール包装袋を作製した。なお、包装袋内には、3gの電解液〔6フッ化リン酸リチウムを混合液〈エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〉に溶解し、1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液としたもの〕を封入した。その後、この包装袋を、端子をヒートシールした熱接着部を下側にした状態で60℃恒温槽に1週間保管して、金属端子および接着性フィルムからの電解液の洩れの有無を目視で評価した。
※4)水蒸気バリアー性:上記で作製した包装体となる積層体を裁断して100×120mmの積層体テストサンプルを作製すると共に、接着性フィルムを裁断して15×120mmの接着性フィルムテストサンプルを作製した。前記積層体テストサンプルを前記積層体のシーラントフィルム面同士が対向するように2つ折りすると共に120mm長さの端辺側に2枚の前記接着性フィルムテストサンプルを重ねて挿入し、挿入した端辺を上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でヒートシール(190℃、1.0MPa、3秒)して7mm幅の熱接着部を形成した。次いで、50mm幅の対向する両端辺を上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でそれぞれ2回位置をずらしてヒートシール(190℃、2.0MPa、3秒)してそれぞれ約10mm幅の熱接着部を形成した三方シール包装袋を作製した。この約10mm幅の熱接着部は、この部位からの水分透過を無視できるものとするためである。なお、包装袋内には3gの混合液〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〕を封入した。その後、前記7mm幅の熱接着部を3mm幅となるようにトリミングした包装袋を60℃、90%RHの恒温恒湿槽に10日間保管して、前記混合液の水分増加量をカールフィッシャー法で測定した。
表1からも明らかように、実施例1〜10に示した本発明の接着性フィルムは、比較例1〜3の接着性フィルムに比べていずれも、ヒートシール強度、洩れについては遜色ない性能を示し、絶縁性においてはさらに向上した性能を示した。また、水蒸気バリアー性においても実施例1、2は比較例1、2に比べて18%程度優れるという良好な結果を示した。
本発明にかかるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの第1実施形態の層構成を図解的に示す図である。 本発明にかかるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの第2実施形態の層構成を図解的に示す図である。 リチウム電池の金属端子部熱接着部の短絡防止を図解的に説明する概念図である。 リチウム電池に用いる包装体の基本的な層構成を図解的に示す図である。 リチウム電池に用いる包装体の一実施例を説明する図である。 リチウム電池に用いる包装体の他の実施例を説明する図である。 リチウム電池の金属端子部に用いるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムの設け方の一例を説明する図である。
符号の説明
1,1’,1” リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム
2 酸変性ポリオレフィン樹脂層
3,3’,3” 一般ポリオレフィン系樹脂層
10 リチウム電池
30 リチウム電池本体
31 金属端子
A 積層体
A1 基材層
A2 金属箔からなるバリアー層
A3 熱接着性樹脂層
K 熱板
α 充填剤

Claims (3)

  1. 正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して周縁熱接着部で密封した内層に熱接着性を有するポリオレフィン系樹脂と金属箔からなるバリアー層とを少なくとも備えた包装体の前記周縁熱接着部の前記内層と前記金属端子との間に介在させるリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムにおいて、該リチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムは少なくとも前記金属端子と当接する層が酸変性ポリオレフィン層からなる単層ないし多層のポリオレフィンフィルムであって、該ポリオレフィンフィルムの少なくとも一つの層が充填剤を含有した充填剤含有層であることを特徴とするリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム。
  2. 前記酸変性ポリオレフィン層が不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリエチレンないしポリプロピレンで形成されていることを特徴とする請求項1記載のリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルム。
  3. 正極と負極と電解質とを収納し、前記正極および負極の各々に接続された金属端子を突出するように挟持して周縁熱接着部で密封した内層に熱接着性を有するポリオレフィン系樹脂と金属箔からなるバリアー層とを少なくとも備えた包装体からなるリチウム電池において、前記包装体の前記周縁熱接着部の前記内層と前記金属端子との間に請求項1、2のいずれかに記載のリチウム電池金属端子部密封用接着性フィルムを介在させたことを特徴とするリチウム電池。

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