JP2005174645A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池を構成する各単位電池間における温度上昇のばらつきを考慮して効率的な暖機促進を図り、円滑な始動を実現することが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】固体高分子型の燃料電池10を有する燃料電池システムにおいて、低温起動時に、燃料電池10に対する燃料ガスの供給を開始した後に、燃料電池10を構成する各単位電池のうちで温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始する。これにより、温度上昇しにくい一部の単位電池が積極的に昇温され、暖機促進が効率的に行われて円滑な始動が実現される。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子型の燃料電池を備える燃料電池システムに関するものであり、特に、低温起動性を向上させるための技術に関する。
燃料電池は、クリーンで高効率な発電装置であり、近年、世界規模での開発競争が繰り広げられている。とりわけ自動車業界においては、内燃機関の代替動力源として燃料電池に対する期待は大きく、様々な観点からの技術開発が盛んに行われている。
中でも、電解質に固体高分子膜を用いた固体高分子型の燃料電池は、小型軽量でありながら高出力が得られ、高い出力密度を確保できることから、自動車の動力源として適用する上で好適な燃料電池として注目を集めている。
固体高分子型燃料電池の一般的な構成について説明すると、固体高分子型燃料電池の1発電単位は、電解質として機能する固体高分子膜の両側に、燃料極及び酸化剤極として機能する触媒層、ガス拡散層がそれぞれ設けられてガス拡散電極とされた膜電極複合体を有している。そして、この膜電極複合体を挟持するように、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路をそれぞれ片面ずつに設けたセパレータが配置される。セパレータは、燃料ガスマニホールド及び酸化剤ガスマニホールドと呼ばれる貫通孔の内部を流れる燃料ガス及び酸化剤ガスを、それぞれ燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路を介して燃料極及び酸化剤極に供給する機能を有する。また、セパレータは、以上のようなガス供給機能だけでなく、膜電極複合体で生じた起電力により流れる電流を、膜電極複合体と接するリブ部を介して集電する役割を担う。
これらを1つのユニットとして単位電池と呼ぶ。固体高分子型燃料電池は、通常、この単位電池を直列に複数積層してスタックとしたものを指す。また、各単位電池の酸化剤極における電気化学反応は発熱反応であるため、その熱を冷却するための冷却板を所定の単位電池数ごとに挿入する場合もある。更に、単位電池を積層したスタックは、その両端に電流を取り出す機能とスタックの積層方向に締付けるための締付け機能を必要とする。一般的には、エンドプレートと呼ばれる導電性の締付板と電流取り出し板の両機能を兼ね備えた部材をスタックの両端に設けてタイロッド等で積層方向に締付け、各締付板からスタックの電流を取り出す。固体高分子型燃料電池は、通常このスタックを横に寝かせて並設積層状態として発電を行う。
以上のような固体高分子型燃料電池を自動車の動力源として適用する上で最も重要な課題の1つは、氷点下などの低温状態から円滑に起動するためのシステム構成や制御方法である。固体高分子型燃料電池は、電解質である固体高分子膜を湿潤させた状態にして初めて発電可能となるが、低温状態では、触媒を有する燃料極や酸化剤極及びガス拡散層内に溜まった水が凍って燃料ガスや酸化剤ガスの拡散を阻害したり、更には高分子膜内部の水も凍って高分子膜自体のプロトン伝導性を低下させたりなど、低温起動時には様々な問題がある。特に、燃料ガスの拡散が阻害された状態で燃料電池を発電すると、燃料極に存在するカーボンが腐食して不可逆的な劣化を引き起こすといった問題も懸念される。
このため、固体高分子型燃料電池の低温起動時には、一般に、暖機促進を図って燃料電池を適正な作動温度にまで昇温させるようにしているが、この暖機に時間がかかると円滑な始動が阻害されることになる。そこで、燃料電池の暖機時間を短縮させて低温起動性を向上させるための技術開発が様々な観点からなされている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、低温起動時に燃料電池への燃料ガスの供給圧力を定常時よりも低下させるように制御することで、燃料電池の発電効率を積極的に低下させる技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、以上のような制御を行うことで、低温起動時に燃料電池の自己発熱量を増大させて、暖機時間を短縮させるようにしている。
特開2002−313388号公報
ところで、単位電池が複数積層されたスタック構造の固体高分子型燃料電池では、暖機促進時に各単位電池が均一に温度上昇するわけではなく、スタック内における単位電池の位置に応じて温度上昇にばらつきが見られる。特に、膜電極複合体やセパレータなどの繰り返し部材とは別の熱容量の大きい部材、例えば上述したエンドプレート等の近傍に位置する単位電池は、他の位置の単位電池に比べて低温状態からの起動時に温度が上昇しにくくなっている。また、このような熱容量の大きい部材の近傍に位置する単位電池では、極低温の状態で発電が行われて酸化剤極に水が生成されると、この生成水が凍結して上述した様々な問題を生じさせる要因となる。
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、このような燃料電池を構成する各単位電池間の温度上昇のばらつきについては考慮していないため、必ずしも効率的な暖機促進を実現できているとは言い難く、更なる改良が望まれる。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、燃料電池を構成する各単位電池間における温度上昇のばらつきを考慮して効率的な暖機促進を図り、円滑な始動を実現することが可能な燃料電池システムを提供することを目的としている。
本発明に係る燃料電池システムは、膜電極複合体とセパレータとで単位電池が構成され、この単位電池が繰り返し並設された積層構造の燃料電池と、燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段、燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段、燃料電池における単位電池積層方向の両端部近傍に位置する燃料極と酸化剤極とを接続するように配置された電力消費手段とを備える。このような燃料電池システムにおいて、本発明では、上述した目的を達成するために、低温起動時には、燃料ガス供給手段による燃料電池への燃料ガスの供給を開始した後に、燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態で、酸化剤ガス供給手段による燃料電池への酸化剤ガスの供給を開始するようにした。
この燃料電池システムでは、低温起動時に、燃料電池を構成する各単位電池のうちで酸化剤ガスが十分に供給される単位電池に起電力が発生するために、電力消費手段に所定の電流(電子)が流れ、同時に燃料電池内部のセパレータに電子の流れと電解質膜にはプロトンの流れが生じる。その際、酸化剤ガス供給流量が低減或いは遮断された一部の単位電池においては、酸化剤ガスが不足しているために、その酸化剤極において上述した電子とプロトンの流れの発生により還元反応が生じ水素が生成されることになる。そして、この酸化剤極において生成された水素を、後に供給する酸化剤ガスで燃焼反応させることにより燃焼熱が発生し、この燃焼熱によって当該単位電池近傍を積極的に昇温させることができる。
また、酸化剤ガス供給流量が低減或いは遮断された一部の単位電池では、酸化剤ガス不足のために酸化剤極における生成水の発生が抑制され、温度が低いことによる生成水の凍結を抑制できるので、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。更に、酸化剤ガス供給流量が低減或いは遮断された一部の単位電池では、酸化剤ガス不足のために起電力が不十分になるので、その分、発熱量を増大させて、この単位電池近傍の昇温を促進させることができる。
したがって、前記一部の単位電池として、例えば積層方向の端部近傍に位置する単位電池(上述したエンドプレート近傍に位置する単位電池)等、温度が上昇しにくい単位電池を選択することで、効率的な暖機促進を図り、円滑な始動を実現することが可能となる。
本発明によれば、低温起動時に、燃料電池を構成する各単位電池のうちで一部の単位電池近傍の温度を積極的に昇温させることができるので、この一部の単位電池として、燃料電池の中で温度が上昇しにくい単位電池を選択することで、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
以下、本発明を適用した燃料電池システムの具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明を適用した燃料電池システムで用いられる固体高分子型の燃料電池の構成について、図1を参照して説明する。
固体高分子型の燃料電池10は、電解質として機能する固体高分子膜1の両側に、触媒層2a,2b、ガス拡散層3a,3bが各々配置され、触媒層2aとガス拡散層3aとで燃料極に相当するガス拡散電極、触媒層2bとガス拡散層3bとで酸化剤極に相当するガス拡散電極が構成された膜電極複合体4を有している。
膜電極複合体4の固体高分子膜1は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。この固体高分子膜1の両面に配設される触媒層2a,2bは、白金または、白金とその他の金属からなる触媒を含有するカーボンクロス、またはカーボンペーパー等からなり、触媒の存在する面が固体高分子膜1と接触するように形成されている。また、ガス拡散層3a,3bは、触媒層2a,2bに効率的に燃料ガス、酸化剤ガスを行き渡らせるためのもので、例えば多孔質触媒電極として形成される。
このような膜電極複合体4において、燃料極側では、供給された水素(燃料ガス)が水素イオンと電子に解離し、水素イオンは固体高分子膜1を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させて、酸化剤極側にそれぞれ移動する。酸化剤極側では、供給された空気(酸化剤ガス)中の酸素と前記水素イオン及び電子が反応して水が生成される。
また、膜電極複合体4と接して、当該膜電極複合体4の燃料極側に燃料ガス、酸化剤極側に酸化剤ガスをそれぞれ供給するための燃料ガス流路5a、酸化剤ガス流路5bを有するセパレータ6が設けられている。セパレータ6は、燃料ガス供給マニフォールド(図示せず)及び酸化剤ガス供給マニフォールド7の内部を流れる燃料ガス及び酸化剤ガスを、それぞれ燃料ガス流路5a及び酸化剤ガス流路5bを介して膜電極複合体4の燃料極側及び酸化剤極側に供給する機能を有する。また、セパレータ6は、以上のようなガス供給機能だけでなく、膜電極複合体4で生じた起電力により流れる電流を、膜電極複合体4と接するリブ部(ガス流路間の凸部)を介して集電する役割を担う。
以上のような膜電極複合体4とセパレータ6の間には、燃料ガスと酸化剤ガスの流路をシールして、これらが混ざらないようにするためのガスケット8が設けられている。そして、これらの部材により発電単位である単位電池が構成され、この単位電池が繰り返し積層されてスタック構造とすることにより、燃料電池10が構成される。
単位電池を積層したスタックの両端部には、エンドプレートと呼ばれる導電性の締付板と電流取り出し板の両機能を兼ね備えた一対の部材(図示せず)が設けられている。そして、これら一対のエンドプレートの間に単位電池を積層したスタックを挟み込んだ状態でタイロッド等で積層方向に締付け、各エンドプレートからスタックの電流を取り出す。燃料電池10は、通常このスタックを横に寝かせて並設積層状態として発電を行う。
次に、以上のような固体高分子型の燃料電池10を備えた本実施形態の燃料電池システムの要部構成について、図2を参照して説明する。
本実施形態の燃料電池システムは、固体高分子型の燃料電池10の他に、この燃料電池10に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段、燃料電池10に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段、燃料電池10にて発電された電力を消費する電力消費手段11を有している。
燃料ガス供給手段は、図示を省略するが、例えば、燃料供給源に貯蔵されている燃料ガスを可変バルブで圧力や流量を調整しながら取り出して、この燃料ガスを燃料ガス供給経路を介して燃料電池10における各単位電池の燃料極側に供給する構成となっている。
酸化剤ガス供給手段は、酸化剤ガス供給源13からの酸化剤ガスを酸化剤ガス供給経路14を介して燃料電池10における各単位電池の酸化剤極側に供給する構成となっており、特に、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池10における単位電池積層方向の端部近傍に位置する一部の単位電池の酸化剤極に酸化剤ガスを供給するための第1の酸化剤ガス供給経路14aと、燃料電池10における他の単位電池の酸化剤極に酸化剤ガスを供給するための第2の酸化剤ガス供給経路14bとが、それぞれ独立に設けられている。そして、第1の酸化剤ガス供給経路14aには第1のブロア13aが、第2の酸化剤ガス供給経路14bには第2のブロア13bが、それぞれ独立の酸化剤ガス供給源13として設けられている。
また、燃料電池10には、当該燃料電池10における単位電池積層方向の端部近傍に位置する一部の単位電池の酸化剤極側に繋がる第1の酸化剤ガス供給マニフォールド7aと、当該燃料電池10における他の単位電池の酸化剤極側に繋がる第2の酸化剤ガス供給マニフォールド7bとが各々独立に設けられており、第1の酸化剤ガス供給経路14aは第1の酸化剤ガス供給マニフォールド7aに、第2の酸化剤ガス供給経路14bは第2の酸化剤ガス供給マニフォールド7bにそれぞれ接続されている。
また、燃料電池10の酸化剤ガス排出側には、各単位電池に亘って一体の酸化剤ガス排出マニフォールド7cが設けられており、この酸化剤ガス排出マニフォールド7cに酸化剤ガス排出経路12が接続されている。
燃料電池10の単位電池積層方向の両端部に位置する単位電池は、その一方が燃料極側を外側に向け、他方が酸化剤極側を外側に向けて配置されており、これら両端部の単位電池の燃料極側と酸化剤極側とに各々接するようにして、導電性の締付板と電流取り出し板との両機能を兼ね備えた一対のエンドプレート15a,15bが設けられている。そして、これらエンドプレート15a,15bにそれぞれ接続されるようにして、上述した電力消費手段11が配置されている。
本実施形態の燃料電池システムにおいては、この電力消費手段11は燃料電池10に常時接続状態となっている。なお、この電力消費手段11は、電気的な負荷に限らず、DC−DCコンバータやACインバータ等を含んでも構わない。
また、一対のエンドプレート15a,15bには、それぞれ温度検出手段として機能する熱電対16a,16bが設けられており、その検出信号がブロア制御手段17に入力されるようになっている。そして、ブロア制御手段17が、熱電対16a,16bのうちの少なくとも一方からの検出信号に基づいて燃料電池10の端部近傍の温度状態を判断し、それに応じて第1のブロア13aの出力を制御するようになっている。
次に、以上のように構成される本実施形態の燃料電池システムにおける低温起動時の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態の燃料電池システムにおいて、低温起動時には、先ず、ステップS1−1において、燃料電池10に電力消費手段11を接続した状態で、燃料ガス供給手段による燃料電池10への燃料ガスの供給を開始する。このとき、燃料電池10における各単位電池の燃料極には、できるだけ均一に燃料ガスを供給することが望ましい。
続いて、ステップS1−2において、酸化剤ガス供給手段による燃料電池10への酸化剤ガスの供給を開始する。このとき、酸化剤ガス供給手段の第1のブロア13aと第2のブロア13bとを独立に制御して、燃料電池10の単位電池積層方向の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と、燃料電池10における他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量とを異ならせる。すなわち、燃料電池10における他の単位電池に対しては、燃料電池10から電力消費手段11に流れる電流値に基づいて決定される流量の酸化剤ガスを第2のブロア13bから供給するが、第1のブロア13aの出力は抑えて、この第1のブロア13aから燃料電池10の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量は低減させる。
この酸化剤ガスの供給によって、燃料電池10における端部近傍以外の他の単位電池では、全て同程度の所定電圧が得られることになるが、燃料電池10における端部近傍の一部の単位電池では、電圧が0V近くになる。これは、端部近傍の一部の単位電池では酸化剤ガス流量が低減されているために、酸化剤極において水素が発生しているか、或いは酸化剤ガス中の酸素分圧が極めて低くなっている状態である。この状態では、燃料電池10における端部近傍の一部の単位電池は他の単位電池に比べて発生電力が小さくなり、その分発熱量が増加することになる。また、端部近傍の一部の単位電池では酸化剤極における生成水の発生が抑制されることになる。また同時に、酸化剤ガス不足の状態では酸化剤極の一部で水素が生成するので、後に供給される酸化剤ガスにより、起電力を抑えた状態でその分多くの燃焼熱が得られることになる。
燃料電池10における端部近傍の一部の単位電池は、熱容量の大きいエンドプレート15a,15bに近接しているので、低温起動時には、他の単位電池に比べて温度上昇しにくい状態にある。このような温度上昇しにくい単位電池に対して、以上のような酸化剤ガスの流量制限を行うようにすることで、温度上昇しにくい単位電池を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図ることができる。また、温度上昇しにくい単位電池に供給する酸化剤ガスの流量を制限することで、この単位電池の酸化剤極における生成水の発生が抑制できるので、酸化剤極を水が覆って凍結するために生じるガスの拡散阻害といった問題を有効に回避することができる。また、燃料電池10から電流を取り出すために酸化剤極の電位を抑制できるので、酸化剤極における腐食を抑制することができる。
以上のような酸化剤ガスの供給、すなわち、燃料電池10における端部近傍の一部の単位電池への酸化剤ガス流量を低減させた状態での酸化剤ガスの供給は、所定時間継続して行われる。そして、その間、エンドプレート15a,15bに設置した熱電対16a,16bにより燃料電池10の端部近傍の温度状態をモニタリングし(ステップS1−3)、燃料電池10の端部近傍の温度が0℃を越えたと判定された段階で、ステップS1−4において、ブロア制御手段17により第1のブロア13aの出力を向上させて、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量が、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにする。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムでは、低温起動時に、燃料電池10を構成する各単位電池のうちで特に温度上昇しにくい端部近傍の一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させるようにしているので、温度上昇しにくい一部の単位電池の温度を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
なお、以上は、酸化剤ガスの流量を低減させる一部の単位電池として、燃料電池10における単位電池積層方向の端部近傍に位置する単位電池を例に挙げて説明したが、温度上昇しにくい単位電池が他の部分にある場合には、その温度上昇しにくい単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減させるようにすればよい。
また、酸化剤ガスの流量を低減させる一部の単位電池の数は、これら一部の単位電池における合計の過電圧から求まる消費電力に対して、他の単位電池から得られる起電力と、燃料電池10以外に他の電力供給手段(例えば2次電池)が並設されている場合にはこの電力供給手段から得られる起電力との合計が大きくなるように決定すればよい。酸化剤ガスの流量を低減させる一部の単位電池の数を以上のように決定することによって、一部の単位電池に酸化剤ガスの流量を低減させた状態で電流(電子)とプロトンを流して、その酸化剤極において水素を発生させることができ、上述したように、一部の単位電池の温度上昇を促進させることができる。
また、以上の例では、低温起動時に、温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させた状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始するようにしているが、温度上昇しにくい一部の単位電池に対する酸化剤ガスの供給を遮断した状態で、他の単位電池に対する酸化剤ガスの供給を開始するようにしてもよい。
この場合には、温度上昇しにくい一部の単位電池に対する酸化剤ガスの供給を遮断することで、この単位電池の酸化剤極における生成水の発生を確実に防止することができるので、酸化剤極の反応サイトの確保を更に効果的に維持することができ、より迅速な起動を実現できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を適用した第2の実施形態の燃料電池システムについて、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態の燃料電池システムの要部構成を示したものである。本実施形態の燃料電池システムは、基本的には上述した第1の実施形態と同様であるが、第1のブロア13aを制御するブロア制御手段17の制御内容が、第1の実施形態と若干異なっている。
すなわち、第1の実施形態の燃料電池システムにおけるブロア制御手段17は、燃料電池10のエンドプレート15a,15bに設置された熱電対16a,16bからの検出信号に基づいて燃料電池10の端部近傍の温度状態を判断し、それに応じて第1のブロア13aの出力を制御するようにしているが、本実施形態の燃料電池システムにおけるブロア制御手段17は、電力消費手段11を流れる電流値から、酸化剤ガス流量が低減された一部の単位電池の酸化剤極に発生する水素量を換算し、その水素量に相当する発熱量(HHV)から燃料電池10の端部近傍の昇温量を推定し、それに応じて第1のブロア13aの出力を制御するようにしている。具体的には、ブロア制御手段17は、燃料電池10の端部近傍の昇温量を推定して、燃料電池10の端部近傍の温度が0℃を越えると判断した場合に、第1のブロア13aの出力を向上させて、燃料電池10の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量が、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにする。
なお、本実施形態の燃料電池システムにおけるその他の構成、及び低温起動時におけるその他の制御内容は、上述した第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。
本実施形態の燃料電池システムにおいても、第1の実施形態の燃料電池システムと同様に、低温起動時に、温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させた状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始させるようにしているので、温度上昇しにくい一部の単位電池の温度を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池10の中で温度上昇しにくい部分の昇温量をブロア制御手段17が推定し、これに基づいて第1のブロア13aの出力を制御するようにしているので、熱電対16a,16b等の部品を不要とすることができ、部品点数の削減を図ることもできる。
(第3の実施形態)
次に、本発明を適用した第3の実施形態の燃料電池システムについて、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の燃料電池システムの要部構成を示したものである。本実施形態の燃料電池システムは、基本的には上述した第1の実施形態と同様であるが、酸化剤ガス供給手段の構成が、第1の実施形態と若干異なっている。
すなわち、第1の実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池10における一部の単位電池に酸化剤ガスを供給するための第1の酸化剤ガス供給経路14aと、燃料電池10における他の単位電池に酸化剤ガスを供給するための第2の酸化剤ガス供給経路14bとがそれぞれ独立に設けられ、これら酸化剤ガス供給経路14a,14bに各々独立のブロア13a,13bが設置されていたが、本実施形態の燃料電池システムでは、第1の酸化剤ガス供給経路14aと第2の酸化剤ガス供給経路14bとが、単一のブロア13を有する経路から分岐された構成となっており、第1の酸化剤ガス供給経路14aには、当該第1の酸化剤ガス供給経路14aを流れる酸化剤ガスの流量を調整するための比例弁(絞り開度調整手段)21が設けられている。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、一対のエンドプレート15a,15bに設けられた熱電対16a,16bの検出信号が比例弁制御手段22に入力されるようになっている。そして、比例弁制御手段22が、熱電対16a,16bからの検出信号に基づいて燃料電池10の端部近傍の温度状態を判断し、それに応じて比例弁21の開度を制御して、第1の酸化剤ガス供給経路14aから燃料電池10における一部の単位電池に供給される酸化剤ガスの流量を調整するようにしている。
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池10に外部マニフォールド23a,23bが設けられており、このうち、酸化剤ガス供給側の外部マニフォールド23aの内部は、酸化剤ガス供給経路毎にデバイダ24によって仕切られ、ガスが混ざらない仕組みになっている。そして、第1の酸化剤ガス供給経路14aは、燃料電池10における一部の単位電池の酸化剤極側に繋がる外部マニフォールド23a内の空間に接続され、第2の酸化剤ガス供給経路14bは、燃料電池10における他の単位電池の酸化剤極に繋がる外部マニフォールド23a内の空間に接続されている。一方、酸化剤ガス排出側の外部マニフォールド23bはその内部が連続した空間とされており、この酸化剤ガス排出側の外部マニフォールド23bに、酸化剤ガス排出経路12が接続されている。
なお、本実施形態の燃料電池システムにおけるその他の構成、及び低温起動時におけるその他の制御内容は、上述した第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。
本実施形態の燃料電池システムにおいても、第1の実施形態の燃料電池システムと同様に、低温起動時に、温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させた状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始させるようにしているので、温度上昇しにくい一部の単位電池の温度を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、第1の酸化剤ガス供給経路14a内を流れる酸化剤ガス流量を、比例弁21の開度を制御することにより調整しているので、ブロア13の出力を変化させることなく、燃料電池10における一部の単位電池に供給する酸化剤ガスの流量を調整することができる。また、燃料電池10の内部に貫通形成したマニフォールドではなく、外部マニホールド23a,23bを使用するようにしているので、並設積層位置に応じた酸化剤ガス流量の調整を、極めて簡単な構成で実現することが可能となる。
(第4の実施形態)
次に、本発明を適用した第4の実施形態の燃料電池システムについて、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態の燃料電池システムの要部構成を示したものである。本実施形態の燃料電池システムは、基本的には上述した第1の実施形態と同様であるが、酸化剤ガス供給手段の構成が、第1の実施形態と若干異なっている。
すなわち、第1の実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池10における一部の単位電池に酸化剤ガスを供給するための第1の酸化剤ガス供給経路14aと、燃料電池10における他の単位電池に酸化剤ガスを供給するための第2の酸化剤ガス供給経路14bとがそれぞれ独立に設けられ、これら酸化剤ガス供給経路14a,14bに各々独立のブロア13a,13bが設置されていたが、本実施形態の燃料電池システムでは、第1の酸化剤ガス供給経路14aと第2の酸化剤ガス供給経路14bとが、単一のブロア13を有する経路から分岐された構成となっており、第1の酸化剤ガス供給経路14aには、当該第1の酸化剤ガス供給経路14aを流れる酸化剤ガスの流量を調整するためのリボンヒータ(加熱手段)25が設けられている。なお、リボンヒータ25の電源としては、燃料電池10の出力を利用するようにしてもよいし、その他の電力供給手段からの電力を使用してもよい。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、一対のエンドプレート15a,15bに設けられた熱電対16a,16bの検出信号がヒータ制御手段26に入力されるようになっている。そして、ヒータ制御手段26が、熱電対16a,16bからの検出信号に基づいて燃料電池10の端部近傍の温度状態を判断し、それに応じてリボンヒータ25の出力を制御して、第1の酸化剤ガス供給経路14aから燃料電池10における一部の単位電池に供給される酸化剤ガスの流量を調整するようにしている。すなわち、リボンヒータ25によって第1の酸化剤ガス供給経路14aを加熱すると、そこを流れる酸化剤ガスの体積膨張が促進され、酸化剤ガスの圧力損失バランスを維持する上で第1の酸化剤ガス供給経路14aを流れる酸化剤ガスの質量流量が低下することになる。本実施形態の燃料電池システムでは、これを利用して燃料電池10における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を調整するようにしている。
なお、本実施形態の燃料電池システムにおけるその他の構成、及び低温起動時におけるその他の制御内容は、上述した第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。
本実施形態の燃料電池システムにおいても、第1の実施形態の燃料電池システムと同様に、低温起動時に、温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させた状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始させるようにしているので、温度上昇しにくい一部の単位電池の温度を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、第1の酸化剤ガス供給経路14a内を流れる酸化剤ガス流量を、リボンヒータ25の出力を制御することにより調整しているので、ブロア13の出力を変化させることなく、燃料電池10における一部の単位電池に供給する酸化剤ガスの流量を調整することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明を適用した第5の実施形態の燃料電池システムについて、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態の燃料電池システムの要部構成を示したものである。本実施形態の燃料電池システムは、上述した第1の実施形態の燃料電池システムの構成に、第2の電力消費手段27を付加したものである。なお、本実施形態の燃料電池システムにおけるその他の構成、及び低温起動時におけるその他の制御内容は、上述した第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。
本実施形態の燃料電池システムにおいて、第2の電力消費手段27は、燃料電池10の各単位電池における燃料極と酸化剤極とを全て接続するように配置されている。この第2の電力消費手段27には、燃料電池10の各単位電池からの電流が流れるので、絶縁体よりも比抵抗値が小さい材料を使用することが望ましい。また、この第2の電力消費手段27は、必要に応じて燃料電池10から切り離すことができるようになっているが、この第2の電力消費手段27を燃料電池10から切り離す機構については、ここでは図示を省略する。
燃料ガス供給手段から燃料電池10に燃料ガスを供給する際、燃料電池10の内部、とりわけ各単位電池の酸化剤極側に酸素が存在していると、燃料電池10に電圧が発生する。そのとき、電力消費手段11を接続したままの場合では、燃料ガスの各単位電池への配流ばらつきに起因して、燃料ガス欠乏により各単位電池の燃料極の腐食を引き起こす虞がある。これは、燃料ガスが早めに導入された単位電池で発生した起電力と電力消費手段11の接続により、燃料電池10の内部では電子とプロトンの流れが生じる影響で、燃料ガスが欠乏した単位電池においては、燃料極でカーボンが腐食してプロトンを生成し、上述したプロトンの流れに対応するために生じる腐食である。
本実施形態の燃料電池システムにおいては、第2の電力消費手段27を予め燃料電池10の各単位電池における燃料極と酸化剤極とを全て接続した状態で配置しておくことにより、電子の通路を作ることになるためプロトンの流れを抑えることができるので、燃料ガス配流のばらつきに伴う上述した燃料極の腐食を抑えることができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明を適用した第6の実施形態の燃料電池システムについて、図8及び図9を参照して説明する。図8は、本実施形態の燃料電池システムの要部構成を示したものであり、図9は、本実施形態の燃料電池システムにおける低温起動時の動作を示すフローチャートである。
本実施形態の燃料電池システムは、上述した第1の実施形態の燃料電池システムの構成に、切替スイッチ(接続状態切替え手段)28を付加したものである。この切替スイッチ28は、燃料電池10に対する電力消費手段11の接続と非接続とを切り替えるためのものであり、この切替スイッチ28がオンのときに電力消費手段11が燃料電池10に対して接続状態とされ、この切替スイッチ28がオフのときに電力消費手段11が燃料電池に対して非接続状態とされる。この切替スイッチ28の制御機能は上述したブロア制御手段17の中に組み込まれており、ブロア制御手段17によって、この切替スイッチ28のオン/オフが制御されるようになっている。なお、本実施形態の燃料電池システムにおけるその他の構成は、上述した第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。
以上のように構成される本実施形態の燃料電池システムにおいて、低温起動時には、図9に示すように、先ず、ステップS2−1において、ブロア制御手段17によって切替スイッチ28をオフに切り替え、電力消費手段11を燃料電池10に対して非接続状態とさせる。そして、この状態で、ステップS2−2において、燃料ガス供給手段による燃料電池10への燃料ガスの供給を開始する。このとき、燃料電池10における各単位電池の燃料極には、できるだけ均一に燃料ガスを供給することが望ましい。
続いて、ステップS2−3において、ブロア制御手段17によって切替スイッチ28をオンに切り替え、電力消費手段11を燃料電池10に対して接続状態とさせた後、ステップS2−4において、酸化剤ガス供給手段による燃料電池10への酸化剤ガスの供給を開始する。このとき、酸化剤ガス供給手段の第1のブロア13aと第2のブロア13bとを独立に制御して、燃料電池10の単位電池積層方向の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と、燃料電池10における他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量とを異ならせる。すなわち、燃料電池10における他の単位電池に対しては、燃料電池10から電力消費手段11に流れる電流値に基づいて決定される流量の酸化剤ガスを第2のブロア13bから供給するが、第1のブロア13aの出力は抑えて、この第1のブロア13aから燃料電池10の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量は低減させる。
以上のような酸化剤ガスの供給、すなわち、燃料電池10における端部近傍の一部の単位電池への酸化剤ガス流量を低減させた状態での酸化剤ガスの供給は、所定時間継続して行われる。そして、その間、エンドプレート15a,15bに設置した熱電対16a,16bにより燃料電池10の端部近傍の温度状態をモニタリングし(ステップS2−5)、燃料電池10の端部近傍の温度が0℃を越えたと判定された段階で、ステップS2−6において、ブロア制御手段17により第1のブロア13aの出力を向上させて、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量が、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにする。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムにおいても、第1の実施形態の燃料電池システムと同様に、低温起動時に、温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させた状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始させるようにしているので、温度上昇しにくい一部の単位電池の温度を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池10に対して燃料ガスを供給するときは、電力消費手段11を燃料電池10に対して非接続状態としているので、燃料ガスが燃料電池10における各単位電池に供給される際の配流ばらつきにより生じる燃料極の腐食を抑制できるといった効果も得られる。
(第7の実施形態)
次に、本発明を適用した第7の実施形態の燃料電池システムについて、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態の燃料電池システムにおける低温起動時の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態の燃料電池システムの構成は、図8に示した第6の実施形態の燃料電池システムの構成と同様であり、切替スイッチ28のオン/オフの切り替えによって、燃料電池10に対して電力消費手段11を接続状態と非接続状態とに切り替えられるようになっている。
本実施形態の燃料電池システムにおいて、低温起動時には、図10に示すように、先ず、ステップS3−1において、ブロア制御手段17によって切替スイッチ28をオフに切り替え、電力消費手段11を燃料電池10に対して非接続状態とさせる。そして、この状態で、ステップS3−2において、燃料ガス供給手段による燃料電池10への燃料ガスの供給を開始する。このとき、燃料電池10における各単位電池の燃料極には、できるだけ均一に燃料ガスを供給することが望ましい。
続いて、ステップS3−3において、酸化剤ガス供給手段による燃料電池10への酸化剤ガスの供給を開始する。このとき、第1のブロア13aの出力は抑えて、この第1のブロア13aから燃料電池10の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量は低減させる。また、このとき、第1及び第2のブロア13a,13bから燃料電池10全体に供給される酸化剤ガスの流量が、本システムで制御可能な最低流量となるように、全体としての酸化剤ガス供給量を制御する。
その後、ステップS3−4において、ブロア制御手段17によって切替スイッチ28をオンに切り替えて、電力消費手段11を燃料電池10に対して接続状態とさせる。そして、燃料電池10における端部近傍の一部の単位電池への酸化剤ガス流量を低減させた状態での酸化剤ガスの供給を所定時間継続し、エンドプレート15a,15bに設置した熱電対16a,16bにより燃料電池10の端部近傍の温度状態をモニタリングする(ステップS3−5)。そして、燃料電池10の端部近傍の温度が0℃を越えたと判定された段階で、ステップS3−6において、ブロア制御手段17により第1のブロア13aの出力を向上させて、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量が、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにする。その後、第1及び第2のブロア13a,13bの出力を連続的に上昇させて、燃料電池10への酸化剤ガス供給量が目標供給量となるまで、酸化剤ガスの供給流量を徐々に増加させる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムにおいても、第1の実施形態の燃料電池システムと同様に、低温起動時に、温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させた状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始させるようにしているので、温度上昇しにくい一部の単位電池の温度を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池10に対して燃料ガスを供給するときは、電力消費手段11を燃料電池10に対して非接続状態とし、燃料ガスの供給を開始した後であって、更に酸化剤ガスの供給を開始した後に、燃料電池10に対して電力消費手段11を接続するようにしているので、電力消費手段11が非接続状態で燃料電池10に供給された燃料ガスが、燃料電池10における各単位電池に配流されるまでの時間を確保することができ、上述した第6の実施形態の燃料電池システムにも増して、燃料ガスの配流ばらつきにより生じる燃料極の腐食を防止することができる。
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減させた状態で燃料電池10への酸化剤ガスの供給を行うときに、全体としての酸化剤ガス流量をシステム制御上の最低供給流量としているので、燃料電池10における起電力を最低限に抑えてその分発熱量を増加させ、暖機促進を更に効率的に行うことができる。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにした後に、酸化剤ガスの供給流量を徐々に増加させるようにしているので、一部の単位電池で過電圧が増大するのを有効に防止することができ、また、燃料電池10から電流を取り出す際の酸化剤極の電位を抑制できるので、酸化剤極における腐食を抑制することができる。
(第8の実施形態)
次に、本発明を適用した第8の実施形態の燃料電池システムについて、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態の燃料電池システムにおける低温起動時の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態の燃料電池システムの構成は、図8に示した第6の実施形態の燃料電池システムの構成と同様であり、切替スイッチ28のオン/オフの切り替えによって、燃料電池10に対して電力消費手段11を接続状態と非接続状態とに切り替えられるようになっている。
本実施形態の燃料電池システムにおいて、低温起動時には、図11に示すように、先ず、ステップS4−1において、燃料電池10に電力消費手段11を接続した状態で、燃料ガス供給手段による燃料電池10への燃料ガスの供給を開始する。このとき、燃料電池10における各単位電池の燃料極には、できるだけ均一に燃料ガスを供給することが望ましい。
続いて、ステップS4−2において、酸化剤ガス供給手段による燃料電池10への酸化剤ガスの供給を開始する。このとき、酸化剤ガス供給手段の第1のブロア13aと第2のブロア13bとを独立に制御して、燃料電池10の単位電池積層方向の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と、燃料電池10における他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量とを異ならせる。すなわち、燃料電池10における他の単位電池に対しては、燃料電池10から電力消費手段11に流れる電流値に基づいて決定される流量の酸化剤ガスを第2のブロア13bから供給するが、第1のブロア13aの出力は抑えて、この第1のブロア13aから燃料電池10の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量は低減させる。
以上のような酸化剤ガスの供給、すなわち、燃料電池10における端部近傍の一部の単位電池への酸化剤ガス流量を低減させた状態での酸化剤ガスの供給は、所定時間継続して行われる。そして、その間、エンドプレート15a,15bに設置した熱電対16a,16bにより燃料電池10の端部近傍の温度状態をモニタリングし(ステップS4−3)、燃料電池10の端部近傍の温度が0℃を越えたと判定された段階で、ステップS4−4において、ブロア制御手段17によって切替スイッチ28をオフに切り替え、電力消費手段11を燃料電池10に対して非接続状態とさせる。そして、この状態で、ステップS4−5において、ブロア制御手段17により第1のブロア13aの出力を向上させて、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量が、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにする。その後、ステップS4−6において、ブロア制御手段17によって切替スイッチ28をオンに切り替えて、電力消費手段11を燃料電池10に対して接続状態とさせる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムにおいても、第1の実施形態の燃料電池システムと同様に、低温起動時に、温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させた状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始させるようにしているので、温度上昇しにくい一部の単位電池の温度を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにする前に、燃料電池10に対して電力消費手段11を非接続状態に切り替えるようにしているので、この時点での燃料電池10からの電気出力を完全に0として、その分、燃料電池10内部での発熱量を増加させることができ、暖機促進を更に効率的に行うことができる。
(第9の実施形態)
次に、本発明を適用した第9の実施形態の燃料電池システムについて、図12及び図13を参照して説明する。図12は、本実施形態の燃料電池システムの要部構成を示したものであり、図13は、本実施形態の燃料電池システムにおける低温起動時の動作を示すフローチャートである。
本実施形態の燃料電池システムは、基本的には上述した第1の実施形態と同様であるが、電力消費手段11が可変抵抗機能を有しており、抵抗値を変えることによって燃料電池10から取り出す負荷電流を変えることができるようになっている。この電力消費手段11の負荷抵抗を制御するための抵抗制御機能は、上述したブロア制御手段17の中に組み込まれており、ブロア制御手段(電流制御手段)17によって電力消費手段11の負荷抵抗が制御されることで、燃料電池10から取り出す負荷電流値が制御されるようになっている。なお、本実施形態の燃料電池システムにおけるその他の構成は、上述した第1の実施形態の燃料電池システムと同様である。
以上のように構成される本実施形態の燃料電池システムにおいて、低温起動時には、図13に示すように、先ず、ステップS5−1において、燃料電池10に電力消費手段11を接続した状態で、燃料ガス供給手段による燃料電池10への燃料ガスの供給を開始する。このとき、燃料電池10における各単位電池の燃料極には、できるだけ均一に燃料ガスを供給することが望ましい。
続いて、ステップS5−2において、酸化剤ガス供給手段による燃料電池10への酸化剤ガスの供給を開始する。このとき、燃料電池10への酸化剤ガスの供給は間欠供給とする。また、第1のブロア13aの出力は抑えて、この第1のブロア13aから燃料電池10の端部近傍に位置する一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量は低減させる。また、このとき、第1及び第2のブロア13a,13bから燃料電池10全体に供給される酸化剤ガスの流量が、酸化剤ガスを供給した際に電力消費手段11に流れる電流と燃料電池10の単位電池数から換算される反応に必要な最低流量以下となるように、全体としての酸化剤ガス供給量を制御する。
以上のような酸化剤ガスの間欠供給、すなわち、燃料電池10における端部近傍の一部の単位電池への酸化剤ガス流量を低減させた状態での酸化剤ガスの間欠供給は、所定時間継続して行われる。そして、その間、エンドプレート15a,15bに設置した熱電対16a,16bにより燃料電池10の端部近傍の温度状態をモニタリングし(ステップS4−3)、燃料電池10の端部近傍の温度が−10℃を越えたと判定された段階で、ステップS5−4において、ブロア制御手段17により電力消費手段11の負荷抵抗を制御して、燃料電池10から取り出す負荷電流を低減させる。この燃料電池10から取り出す負荷電流を低減させる際には、間欠的に燃料電池10に供給している酸化剤ガスの平均供給量は一定とする。
その後、熱電対16a,16bにより燃料電池10の端部近傍の温度状態を再度モニタリングして(ステップS5−5)、燃料電池10の端部近傍の温度が0℃を越えたと判定された段階で、ステップS5−6において、酸化剤ガスの供給を間欠供給から連続供給に切り替えると共に、ブロア制御手段17により第1のブロア13aの出力を向上させて、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量が、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにする。その後、第1及び第2のブロア13a,13bの出力を連続的に上昇させて、燃料電池10への酸化剤ガス供給量が目標供給量となるまで、酸化剤ガスの供給流量を徐々に増加させる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムにおいても、第1の実施形態の燃料電池システムと同様に、低温起動時に、温度上昇しにくい一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を、他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量よりも低減させた状態で、燃料電池10に対する酸化剤ガスの供給を開始させるようにしているので、温度上昇しにくい一部の単位電池の温度を積極的に昇温させることができ、効率的な暖機促進を図って、円滑な始動を実現することが可能となる。
また、このような一部の単位電池での生成水の発生が抑制されるので、極低温時の起動に際して生成水が凍結するといった不都合を回避して、酸化剤極の反応サイトの確保を維持することができ、迅速な起動を実現できる。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減させた状態で燃料電池10への酸化剤ガスの供給を行うときに、酸化剤ガスの供給を間欠的に行うようにしているので、酸化剤ガスが供給されないタイミングでは燃料電池10の酸化剤極において上述した水素生成反応が促進され、起電力が低下した状態で酸化剤ガスの供給が行われることになり、水素の燃焼熱により燃料電池10内部での発熱量を増加させることができ、暖機促進を更に効率的に行うことができる。
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減させた状態で燃料電池10への酸化剤ガスの間欠供給を行うときに、全体としての酸化剤ガス流量を反応に必要な最低供給流量以下となるようにしているので、酸化剤ガスの配流ばらつきによって酸化剤ガス供給量が不足する単位電池が生じることになり、燃料電池10における起電力を最低限に抑えてその分発熱量を増加させ、暖機促進を更に効率的に行うことができる。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにする前に、酸化剤ガスの平均供給量を一定とした状態で燃料電池10から取り出す負荷電流を低減するようにしているので、燃料電池10における電気出力を抑えて、その分、燃料電池10内部での発熱量を増加させることができ、暖機促進を更に効率的に行うことができる。
更にまた、本実施形態の燃料電池システムでは、一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を他の単位電池に供給する酸化剤ガス流量と等しくなるようにした後に、酸化剤ガスの供給流量を徐々に増加させるようにしているので、一部の単位電池で過電圧が増大するのを有効に防止することができ、また、燃料電池10から電流を取り出す際の酸化剤極の電位を抑制できるので、酸化剤極における腐食を抑制することができる。
本発明を適用した燃料電池システムで用いられる固体高分子型の燃料電池の構造を示す概略断面図である。 第1の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す模式図である。 第1の実施形態の燃料電池における低温起動時の動作を示すフローチャートである。 第2の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す模式図である。 第3の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す模式図である。 第4の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す模式図である。 第5の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す模式図である。 第6の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す模式図である。 第6の実施形態の燃料電池における低温起動時の動作を示すフローチャートである。 第7の実施形態の燃料電池における低温起動時の動作を示すフローチャートである。 第8の実施形態の燃料電池における低温起動時の動作を示すフローチャートである。 第9の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す模式図である。 第9の実施形態の燃料電池における低温起動時の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
4 膜電極複合体
6 セパレータ
7a 第1の酸化剤ガス供給マニフォールド
7b 第2の酸化剤ガス供給マニフォールド
10 燃料電池
11 電力消費手段
13a 第1のブロア
13b 第2のブロア
14a 第1の酸化剤ガス供給経路
14b 第2の酸化剤ガス供給経路
15a,15b エンドプレート
16a,16b 熱電対
17 ブロア制御手段
21 比例弁
22 比例弁制御手段
25 リボンヒータ
26 ヒータ制御手段
27 第2の電力消費手段
28 切替スイッチ

Claims (20)

  1. 電解質膜の両側に燃料極及び酸化剤極に相当するガス拡散電極をそれぞれ配置した膜電極複合体と、前記膜電極複合体の燃料極及び酸化剤極に燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ流通させると共に前記膜電極複合体からの起電力を集電するセパレータとにより単位電池が構成され、当該単位電池が繰り返し並設された積層構造を有する燃料電池と、
    前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
    前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
    前記燃料電池における単位電池積層方向の両端部近傍に位置する燃料極と酸化剤極とを接続するように配置された電力消費手段とを備え、
    低温起動時に、前記燃料ガス供給手段による前記燃料電池への燃料ガスの供給を開始した後に、前記燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態で、前記酸化剤ガス供給手段による前記燃料電池への酸化剤ガスの供給を開始することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池における一部の単位電池が、前記燃料電池における単位電池積層方向の端部近傍に位置する1以上の単位電池であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池における一部の単位電池の数は、これら一部の単位電池における合計の過電圧から求まる消費電力に対して、前記燃料電池における他の単位電池から得られる起電力並びに当該燃料電池システムが備える他の電力供給手段から得られる起電力の合計が大きくなるように決められた数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記酸化剤ガス供給手段が、前記燃料電池における一部の単位電池に酸化剤ガスを供給するための第1の酸化剤ガス供給経路と、前記燃料電池における他の単位電池に酸化剤ガスを供給するための第2の酸化剤ガス供給経路とを有し、
    前記燃料電池には、前記第1の酸化剤ガス供給経路に接続されて前記一部の単位電池の酸化剤極に繋がる第1の酸化剤ガス供給マニフォールドと、前記第2の酸化剤ガス供給経路に接続されて前記他の単位電池の酸化剤極に繋がる第2の酸化剤ガス供給マニフォールドとが各々独立に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の燃料電池システム。
  5. 前記第1の酸化剤ガス供給経路と前記第2の酸化剤ガス供給経路には、各々独立の酸化剤ガス供給源がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記第1の酸化剤ガス供給経路と前記第2の酸化剤ガス供給経路は、単一の酸化剤ガス供給源を有する経路から分岐された経路であり、
    前記第1の酸化剤ガス供給経路に、当該第1の酸化剤ガス供給経路を流れる酸化剤ガスの流量を調整する流量調整手段が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  7. 前記第1の酸化剤ガス供給経路に、前記流量調整手段として絞り開度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記第1の酸化剤ガス供給経路に、前記流量調整手段として加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池に対する前記電力消費手段の接続と非接続とを切り替える接続状態切替え手段を備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の燃料電池システム。
  10. 前記接続状態切替え手段は、前記燃料ガス供給手段による前記燃料電池への燃料ガスの供給が開始される前に、前記電力消費手段を前記燃料電池に対して非接続状態にし、前記燃料ガス供給手段による前記燃料電池への燃料ガスの供給が開始された後に、前記電力消費手段を前記燃料電池に対して接続状態に切り替えることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
  11. 前記接続状態切替え手段は、前記燃料ガス供給手段による前記燃料電池への燃料ガスの供給が開始された後であって、更に前記酸化剤ガス供給手段による前記燃料電池への酸化剤ガスの供給が開始された後に、前記電力消費手段を前記燃料電池に対して接続状態に切り替えることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
  12. 前記酸化剤ガス供給手段は、前記燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態での前記燃料電池への酸化剤ガスの供給を開始してから所定時間経過後に、前記燃料電池における全ての単位電池に供給する酸化剤ガス流量が均等となるように酸化剤ガスを供給することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の燃料電池システム。
  13. 前記燃料電池に対する前記電力消費手段の接続と非接続とを切り替える接続状態切替え手段を備え、
    前記接続状態切替え手段は、前記燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態での前記酸化剤ガス供給手段による前記燃料電池への酸化剤ガスの供給が開始されてから所定時間経過後に、前記電力消費手段を前記燃料電池に対して非接続状態にし、
    前記電力消費手段が前記燃料電池に対して非接続とされている状態で、前記酸化剤ガス供給手段が、前記燃料電池における全ての単位電池に供給する酸化剤ガス流量が均等となるような酸化剤ガスの供給を開始することを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システム。
  14. 前記電力消費手段が前記燃料電池から取り出す電流値を制御する電流制御手段を有し、
    前記電力消費手段は、前記燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態での前記酸化剤ガス供給手段による前記燃料電池への酸化剤ガスの供給が開始されてから所定時間経過後に、前記燃料電池から取り出す電流値を制限し、
    前記燃料電池から取り出す電流値が制限されている状態で、前記酸化剤ガス供給手段が、前記燃料電池における全ての単位電池に供給する酸化剤ガス流量が均等となるような酸化剤ガスの供給を開始することを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システム。
  15. 前記燃料電池における一部の単位電池近傍の温度を検出または推定する温度検出手段を備え、
    前記温度検出手段からの情報に基づいて前記所定時間が設定されることを特徴とする請求項12乃至14の何れかに記載の燃料電池システム。
  16. 前記酸化剤ガス供給手段は、前記燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態での酸化剤ガスの供給から、前記燃料電池における全ての単位電池に供給する酸化剤ガス流量が均等となるような酸化剤ガスの供給へと移行する際に、供給する酸化剤ガス流量を徐々に増加させることを特徴とする請求項12乃至15の何れかに記載の燃料電池システム。
  17. 前記酸化剤ガス供給手段は、前記燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態で酸化剤ガスを供給する際に、当該酸化剤ガスの供給を間欠的に行うことを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の燃料電池システム。
  18. 前記酸化剤ガス供給手段は、前記燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態で酸化剤ガスを供給する際に、前記燃料電池全体に供給される酸化剤ガスの流量が当該燃料電池システムで制御可能な最低流量となるように、全体としての酸化剤ガス流量を制御することを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の燃料電池システム。
  19. 前記酸化剤ガス供給手段は、前記燃料電池における一部の単位電池に供給する酸化剤ガス流量を低減または遮断した状態で酸化剤ガスを供給する際に、前記燃料電池全体に供給される酸化剤ガスの流量が前記電力消費手段を流れる電流値と前記燃料電池における単位電池数から換算される必要最低流量以下となるように、全体としての酸化剤ガス流量を制御することを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の燃料電池システム。
  20. 前記燃料電池における各単位電池の燃料極と酸化剤極とを全て接続するように配置された他の電力消費手段を備えることを特徴とする請求項1乃至19の何れかに記載の燃料電池システム。
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