JP2005172045A - クラッチ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 クラッチ容量切り替え時のフリクションを軽減すると共に応答性を高めることができるクラッチ装置を提供する。
【解決手段】 被駆動軸であるメインシャフトの外周部にピン68を立設し、クラッチインナ24とメインシャフトとの間に中間部材60を介設し、この中間部材60に、皿バネ28を保持する保持部材56を固定すると共に、ピン68を挿通可能でかつクラッチインナ24の軸線方向に対して傾斜する長孔63を設け、クラッチインナ24がメインシャフトに対して正転方向に回転した場合には中間部材60が皿バネ28のバネ荷重を増加させる方向に移動する一方、クラッチインナ24がメインシャフトに対して逆転方向に回転した場合には中間部材60が皿バネ28のバネ荷重の増加分を弱める方向に移動するように設定した。
【選択図】 図3

Description

この発明は、自動二輪車等の車両の駆動軸と被駆動軸との間に介設されるクラッチ装置に関する。
従来、自動二輪車等の車両に用いられるクラッチ装置は、駆動軸で駆動されるクラッチアウタと被駆動軸につながるクラッチインナとがクラッチディスク及びクラッチプレートを介して摩擦係合することでクラッチ接続状態となり、前記摩擦係合が解除されることでクラッチ切断状態となるように構成されている。クラッチディスク及びクラッチプレートはクラッチスプリングのバネ荷重により圧接される。クラッチディスクとクラッチプレートとの圧接力、即ちクラッチ容量は専らクラッチスプリングのバネ荷重により決定される。
そして、このようなクラッチ装置の中には、走行時に急激なシフトダウンを行う等により駆動輪から伝達されるバックトルクを解放するために、バックトルクが加わった際にはクラッチスプリングのバネ荷重を弱めてクラッチ容量を低下させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特公平7−56292号公報
しかしながら、上記従来のクラッチ装置では、クラッチ容量を変化させるために用いられるカム機構が互いに整合する傾斜面同士を当接させて作動するため、クラッチ容量切り替え時のカム機構のフリクションが大きい。このため、クラッチ容量をスムーズに変化させるためにはカム機構の動作ストロークを増加させる必要があり、クラッチ容量を切り替える際の応答性が低下する場合がある。
そこでこの発明は、クラッチ容量切り替え時のフリクションを軽減すると共に応答性を高めることができるクラッチ装置を提供する。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、駆動軸(例えば実施の形態におけるクランクシャフト10)で駆動されるクラッチアウタ(例えば実施の形態におけるクラッチアウタ23)と、被駆動軸(例えば実施の形態におけるメインシャフト22)につながるクラッチインナ(例えば実施の形態におけるクラッチインナ24)と、該クラッチインナとクラッチアウタとの間にこれらの軸線方向で摺動可能に介設されるクラッチディスク及びクラッチプレート(例えば実施の形態におけるクラッチディスク25及びクラッチプレート26)と、該クラッチディスク及びクラッチプレートを前記軸線方向で圧接させ前記クラッチアウタ及びクラッチインナを摩擦係合させる弾発部材(例えば実施の形態における皿バネ28,コイルスプリング128)と、該弾発部材を所定の弾発荷重を生じさせた状態で保持する保持部材(例えば実施の形態における保持部材56、ワッシャ付きボルト156)とを備えるクラッチ装置(例えば実施の形態におけるクラッチ装置20,120)において、前記クラッチインナと被駆動軸との間に被駆動軸に遊嵌されてクラッチインナと共に回転する中間部材(例えば実施の形態における中間部材60,160)を介設し、この中間部材に、前記保持部材を固定すると共に、前記軸線方向に対して傾斜する長孔(例えば実施の形態における長孔63,163)を設け、この長孔内にはピン(例えば実施の形態におけるピン68,168)を配設し、前記クラッチインナが被駆動軸に対して正転方向に回転した場合には前記中間部材がその長孔に沿って前記弾発部材の弾発荷重を増加させる方向に移動する一方、クラッチインナが被駆動軸に対して逆転方向に回転した場合には前記中間部材がその長孔に沿って前記弾発部材の弾発荷重の増加分を弱める方向に移動するように設定したことを特徴とする。
このクラッチ装置によれば、駆動軸と被駆動軸との間でトルク伝達が行われていない場合、中間部材は、弾発部材の弾発荷重の反力により、長孔に沿って弾発部材の弾発荷重の後述する増加分を弱める方向に移動することとなる。
また、駆動軸によりクラッチアウタが正転方向に駆動されると、クラッチディスク及びクラッチプレートを介してクラッチインナに正転方向のトルクが伝達され、さらにこのトルクが中間部材、長孔、及びピンを介して被駆動軸に伝達されて、被駆動軸が駆動される。このとき、クラッチインナと被駆動軸との間に介設される中間部材が被駆動軸に遊嵌されていることから、クラッチインナはトルク伝達初期には中間部材と共に被駆動軸に対して正転方向に回転することとなる。このため、中間部材が長孔に沿って弾発部材の弾発荷重を増加させる方向に移動し、クラッチディスクとクラッチプレートとの圧接力(クラッチ容量)が高まった状態となる。
さらに、被駆動軸に正転方向のトルクが作用した場合、被駆動軸からクラッチインナ及び中間部材へのトルク伝達初期には、被駆動軸がクラッチインナ及び中間部材に対して正転方向に回転する、つまりクラッチインナ及び中間部材が被駆動軸に対して逆転方向に回転することとなる。このため、中間部材が長孔に沿って弾発部材の弾発荷重の増加分を弱める方向に移動し、クラッチ容量が低下した状態となる。
そして、弾発部材の弾発荷重を増減させクラッチ容量を変化させるための中間部材の移動が、被駆動軸に設けられたピンに対して中間部材に設けられた長孔が摺動することで行われるため、従来のカム機構と比較して摺動面積が少なくフリクションを大幅に軽減することができる。
請求項2に記載した発明は、前記ピンにローラ(例えば実施の形態におけるローラ70,170)が取り付けられることを特徴とする。
このクラッチ装置によれば、被駆動軸に設けられたピン及びこれに取り付けられたローラに対して中間部材が長孔に沿って移動するため、クラッチ容量切り替え時のフリクションをより一層軽減することができる。
請求項3に記載した発明は、前記弾発部材が皿バネであることを特徴とする。
このクラッチ装置によれば、クラッチディスク及びクラッチプレートを均等に押圧することができ、これらの接触不良等に起因する振動(ジャダー)を良好に抑えることができる。
請求項1に記載した発明によれば、駆動軸と被駆動軸との間でトルク伝達が行われていない場合には弾発部材の弾発荷重が弱まるため、クラッチ操作に必要な操作力を軽減することができる。
また、駆動軸によりクラッチアウタが正転方向に駆動されクラッチインナに正転方向のトルクが伝達された場合には、中間部材が長孔に沿って弾発部材の弾発荷重を増加させる方向に移動しクラッチ容量が高まるため、駆動軸のトルクを被駆動軸にロスなく伝達することができる。
さらに、被駆動軸に正転方向のトルクが作用した場合には中間部材が長孔に沿って弾発部材の弾発荷重の増加分を弱める方向に移動してクラッチ容量を低下させるため、被駆動軸から伝達されたバックトルクを良好に解放することができる。
そして、中間部材がその長孔を被駆動軸に設けられたピンに摺動させながら移動することでフリクションを軽減することができるため、クラッチ容量切り替え時の応答性を高めることができる。
請求項2に記載した発明によれば、クラッチ容量を変化させる際、中間部材がその長孔をメインシャフトに設けられたピン及びローラに接触させながら移動することとなるため、フリクションが大幅に軽減され、クラッチ容量切り替え時の応答性をより一層高めることができる。
請求項3に記載した発明によれば、クラッチディスク及びクラッチプレートを均等に押圧することでジャダーが抑えられるため、クラッチディスク及びクラッチプレートの耐久性を向上させることができる。
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。
図1に示すエンジン1は、例えば自動二輪車用の水冷式並列四気筒型エンジンであり、不図示の車体フレームに支持される。なお、図1はエンジン1を車体の左側から見たもので、図中右方を車体及びエンジン1の前方とする。
エンジン1のシリンダ本体2及びシリンダヘッド3はクランクケース4上に配設される。シリンダヘッド3の後部には各気筒に対応するスロットルボディ5が接続され、シリンダヘッド3の前部には各気筒に対応する排気管6が接続される。クランクケース4はアッパーケース7とロアケース8とに分割構成され、アッパーケース7とシリンダ本体2とは一体成形される。
図2を併せて参照して説明すると、クランクケース4内には左右方向に平行な軸線Cを有するクランクシャフト10が配設される。また、クランクケース4の後部には変速機ケース11が連なり、この変速機ケース11内に変速機12及びクラッチ装置20が各々配設される。シリンダ本体2には四つのシリンダ13が左右方向に並んで形成され、これらシリンダ13内にピストン14が摺動可能に嵌装される。
各ピストン14はコンロッド15を介してクランクシャフト10のクランクピン16に連結される。クランクシャフト10はそのジャーナル部17がアッパーケース7及びロアケース8に回転自在に支持され、ピストン14の往復運動がジャーナル部17の軸線Cを中心とした回転運動に変換される。ここで、クランクシャフト10の正転方向(駆動方向)を矢印E(図1参照)で示す。
最右側のクランクピン16を支持する左側のクランクウェブ18の外周部にはプライマリドライブギヤ19が設けられ、このプライマリドライブギヤ19が変速機ケース11の右側に配設されるクラッチ装置20のプライマリドリブンギヤ21に噛み合っている。
クラッチ装置20は、駆動軸であるクランクシャフト10と被駆動軸である変速機12のメインシャフト22との間に介設されるもので、プライマリドリブンギヤ21と一体に構成されクランクシャフト10により常時駆動されるクラッチアウタ23と、メインシャフト22につながるクラッチインナ24とが、クラッチディスク25及びクラッチプレート26を介して摩擦係合することでトルク伝達可能な状態となり、前記摩擦係合が解除されることでトルク伝達が切断された状態となる。クラッチディスク25及びクラッチプレート26はプレッシャプレート27を介して皿バネ(弾発部材)28のバネ荷重(弾発荷重)を受けることで圧接されて所定の摩擦係合力を発生させる。また、前記摩擦係合の解除は不図示のクラッチレバー等の操作により変速機ケース11左側に配設されるクラッチレリーズ29を作動させ、メインシャフト22内に挿通されるリフタロッド30を介してプレッシャプレート27を皿バネ28のバネ荷重に抗して移動させることで行われる。
変速機12は、軸線Cと平行、つまり左右方向と平行に配置され変速機ケース11に回転自在に支持されるメインシャフト22及びカウンタシャフト32(何れもスプライン軸)と、これら両シャフト22,32にそれぞれ設けられ相互にスプライン嵌合する変速ギヤ群33等を備える。そして、メインシャフト22の右端部にはクラッチ装置20が同軸配置される。ここで、クラッチ装置20及びメインシャフト22の回転中心を軸線Dとする。
そして、エンジン1の駆動力は、クランクシャフト10からプライマリドライブギヤ19、プライマリドリブンギヤ21、及びクラッチ装置20を介して変速機12のメインシャフト22に伝達されると共に、変速ギヤ群33を介して所定の減速比でカウンタシャフト32に伝達され、さらに、カウンタシャフト32の左端部に取り付けられたドライブスプロケット34からドライブチェーン35を介して不図示の駆動輪に伝達されるようになっている。
次に、クラッチ装置20について詳細に説明する。
図3、図4に示すように、クラッチ装置20のクラッチアウタ23及びその内側に設けられるクラッチインナ24は軸線Dを中心とした略有底円筒状をなし、各々の底部43,44を左側に向けた状態で配置される。ここで、図中矢印LHは左方向を示している。クラッチアウタ23のドラム部41には軸線Dと平行に形成される溝部45が複数設けられ、クラッチインナ24のドラム部42の外周部には軸線Dと平行に形成される外周溝部46が複数設けられる。一方、クラッチディスク25及びクラッチプレート26は中空円盤状に形成されるもので、クラッチディスク25の外周部にはクラッチアウタ23の溝部45に対応する外周係合部47が形成され、クラッチプレート26の内周部にはクラッチインナ24の外周溝部46に対応するする内周係合部48が形成される。なお、クラッチディスク25はプレート部材の両面に摩擦係数の高い部材が接合されてなり、クラッチプレート26は一枚の金属板からなるものである。
クラッチディスク25は、その外周係合部47を溝部45に係合させることで、クラッチアウタ23に軸線D方向で摺動可能に取り付けられる。また、クラッチプレート26は、その内周係合部48を外周溝部46に係合させることで、クラッチインナ24に軸線D方向で摺動可能に取り付けられる。ここで、クラッチディスク25及びクラッチプレート26の軸線D方向に沿う左側への移動は、クラッチインナ24の底部44の外縁に設けられたフランジ部49により規制される。そして、複数のクラッチディスク25及びクラッチプレート26が交互に重ねられた状態でクラッチアウタ23とクラッチインナ24との間に介設される。
メインシャフト22の右側先端部にはスプライン51が形成され、このスプライン51のさらに右側には雄ネジ52が形成される。また、メインシャフト22のスプライン51よりも左側の部位は支持部53とされる(何れも図4参照)。
一方、プライマリドリブンギヤ21が形成されるギヤプレート21Aはクラッチアウタ23の底部43にリベット等を介して軸線Dを中心として相対回転可能に取り付けられ、かつその相対回転がダンパスプリング59により規制されることで、ギヤプレート21Aとクラッチアウタ23とが一体に回転するように構成される(何れも図3参照)。ギヤプレート21Aにはメインシャフト22の支持部53を挿通させる円管状のアウタハブ54が一体に形成され、このアウタハブ54がスリーブ(図示略)及びニードルベアリング55を介して支持部53に取り付けられることで、クラッチアウタ23がメインシャフト22に軸線Dを中心として相対回転自在に支持される。
クラッチディスク25及びクラッチプレート26の右側にはこれらと略同径の円盤状に形成されるプレッシャプレート27が配置され、このプレッシャプレート27を介してクラッチディスク25及びクラッチプレート26が皿バネ28により軸線D方向に沿って左側に押圧される。そして、クラッチディスク25及びクラッチプレート26がクラッチインナ24のフランジ部49及びプレッシャプレート27に左右から挟まれ、皿バネ28のバネ荷重により軸線D方向に押圧されることで圧接される。皿バネ28は所謂ダイヤフラムスプリングであり、軸線Dと略直行するように配置され、外周側から軸線D側に近づくにつれて右側に突出するように形成される。また、皿バネ28にはその中央孔28aから外周近傍に至る複数のスリット28bが形成され、これらスリット28bの間隔を変化させるように弾性変形することで、軸線D方向に沿うバネ荷重を発生させている。
皿バネ28は、その中央孔28a近傍が保持部材56により軸線Dに沿って左側に押圧され、所定のバネ荷重を発生させた状態で保持される。保持部材56の中央部にはガイド孔57が設けられ、このガイド孔57がプレッシャプレート27の中央部に設けられたガイド部58に軸線D方向に沿って摺動可能に嵌合される。そして、保持部材56は後述する中間部材60のボス部62にボルト56aにより固定される。
ここで、メインシャフト22のスプライン51には円筒状のインナハブ64が嵌合装着され、さらにロックナット(図示略)が雄ネジ52に螺着されることでメインシャフト22とインナハブ64とが一体に固定される。インナハブ64はアウタハブ54の右側に隣接配置され、インナハブ64の左側端とアウタハブ54の右側端とが平ワッシャ66を介して当接している(図3参照)。
インナハブ64の右側には、その径方向に沿う固定孔67が円周方向に沿って複数設けられ、これら固定孔67には各々ピン68が嵌合固定される。つまり、各ピン68はインナハブ64に軸線Dと垂直方向に立設されている。そして、各ピン68にはローラ70が回転自在に取り付けられる。各ピン68は扁平状の頭部69を有しており、この頭部69とインナハブ64の外周面とによりローラ70のピン68の軸方向での移動が規制される。
中間部材60はクラッチインナ24とメインシャフト22との間に介設されるもので、環状の部材本体61の右側に複数のボス部62を軸線Dに沿って立設したものである。部材本体61は、インナハブ64の各ピン68が立設された部位を取り囲むように設けられ、インナハブ64の外周部に軸線Dを中心として回転自在でかつ軸線Dに沿って左右方向に移動自在に取り付けられる。また、部材本体61にはその右側面に開口する固定孔61aが複数形成され、各固定孔61aにボス部62のネジ部62aが締め込まれることで各ボス部62と部材本体61とが一体に固定される。そして、中間部材60の部材本体61には、インナハブ64に立設されたピン68及びローラ70を挿通可能な長孔63が各ピン68及びローラ70毎に設けられる。
各長孔63は、部材本体61の外周部分をその径方向に沿って貫通する貫通孔であり、かつその長円形状の長手方向が軸線Dに対して傾斜するように形成される。具体的には、クランクシャフト10の矢印E方向への回転に伴うクラッチ装置20の回転方向を矢印F(図1,4参照)で示すと、各長孔63の長手方向は左側に位置するほど矢印F方向にずれるように傾斜して形成される。
ピン68及びローラ70は長孔63の長手方向に沿って移動可能であり、したがって中間部材60はインナハブ64に遊嵌されていることとなる。
そして、中間部材60がメインシャフト22及びインナハブ64に対して矢印F方向へ相対回転した場合には、中間部材60は、各ピン68に対して長孔63に沿って移動することで、矢印F方向へ回転しつつ軸線Dに沿って左側に移動することとなる。また、中間部材60がメインシャフト22及びインナハブ64に対して矢印F方向と逆方向(図3中矢印F’で示す)へ相対回転した場合には、中間部材60は、各ピン68に対して長孔63に沿って移動することで、矢印F方向と逆方向へ回転しつつ軸線Dに沿って右側に移動することとなる。
インナハブ64の左側端部には軸線Dと直交する段差面71を介して縮径する縮径部72が形成され、この縮径部72にクラッチインナ24の底部44に設けられた嵌合孔73が嵌合し、かつ嵌合孔73の周囲が段差面71と平ワッシャ66とに挟まれて軸線D方向の移動が規制される。これにより、クラッチインナ24がインナハブ64及びメインシャフト22に軸線Dを中心として回転自在に取り付けられる。
クラッチインナ24の底部44の右側部には軸線Dに沿って突出するキー部74が複数設けられ、これらキー部74に整合するキー溝75が中間部材60の部材本体61の左側部に形成される。そして、各キー部74及びキー溝75を嵌合させることで、クラッチインナ24と中間部材60とが軸線Dを中心とした回転方向で係合され一体に回転可能となる。
これにより、クランクシャフト10からクラッチ装置20に伝達されたトルクは、クラッチアウタ23からクラッチディスク25及びクラッチプレート26を介してクラッチインナ24に伝達され、さらにクラッチインナ24から中間部材60、ローラ70、ピン68、及びインナハブ64を介してメインシャフト22に伝達される。また、メインシャフト22からクラッチ装置20に伝達されたトルクは、上記経路と逆の経路を通じてクランクシャフト10に伝達される。
中間部材60が軸線D方向で移動した場合にはボス部62に固定された保持部材56も軸線D方向で移動するため、クラッチディスク25及びクラッチプレート26を押圧する皿バネ28のバネ荷重が変化することとなる。つまり、中間部材60が左側端位置にあるとき(長孔63内の右端部にピン68及びローラ70が位置しているとき)には、保持部材56が皿バネ28のたわみ量を増加させることでバネ荷重が増加し、中間部材60が右側端位置にあるとき(長孔63内の左端部にピン68及びローラ70が位置しているとき)には皿バネ28のバネ荷重が減少する。
ここで、クラッチ装置20においては、中間部材60が左側端位置にあるときには、クラッチアウタ23とクラッチインナ24との摩擦係合力がエンジン1の駆動力をロスなく確実に伝達可能となるように設定される。また、中間部材60が右側端位置にあるときには、クラッチアウタ23とクラッチインナ24との摩擦係合力を減少させて半クラッチ状態を作り出し、滑らかなトルク伝達が可能となるように設定される。
なお、各キー部74及びキー溝75の軸線D方向での嵌合深さは、中間部材60が長孔63に沿って移動する際の軸線D方向での移動量に対して大きく、したがって、中間部材60が右側端位置にある状態でもクラッチインナ24と中間部材60との回転方向での係合が保たれる。
次に、作用について説明する。
まず、エンジン1を搭載した自動二輪車等の車両において、例えば停車時のようにクランクシャフト10とメインシャフト22との間でトルク伝達が行われていない場合には、保持部材56が固定される中間部材60は、クラッチディスク25及びクラッチプレート26を圧接させる皿バネ28のバネ荷重の反力により、インナハブ64に一体に立設されるピン68及びこれに取り付けられるローラ70に対して長孔63の傾斜に沿って滑らかに右側に移動することとなって、皿バネ28のバネ荷重が弱まった状態となる。
また、車両加速時には、クランクシャフト10からプライマリドライブギヤ19及びプライマリドリブンギヤ21を介してクラッチアウタ23に矢印F方向(正転方向)のトルクが作用し、クラッチディスク25及びクラッチプレート26を介してクラッチインナ24にトルクが伝達され、さらにこのトルクが中間部材60、ローラ70、ピン68、及びインナハブ64を介してメインシャフト22に伝達されて、最終的に車両の駆動輪を駆動させる。なお、プライマリドライブギヤ19とプライマリドリブンギヤ21との噛み合いにおけるバックラッシは、ギヤプレート21Aとクラッチアウタ23との間に介設されたダンパスプリング59により抑えることができる。
このとき、図5に示すように、クラッチインナ24とメインシャフト22との間に介設される中間部材60がインナハブ64に遊嵌されていることから、クラッチインナ24はトルク伝達初期には中間部材60と共にメインシャフト22に対して矢印F方向に相対回転することとなる。このため、中間部材60が各ピン68及びローラ70に対して長孔63に沿って滑らかに左側端位置まで移動し、皿バネ28のバネ荷重を増加させ、クラッチディスク25とクラッチプレート26との圧設力、即ちクラッチ容量を増加させた状態となる。
さらに、車両減速時のように、車体の慣性力により回転する駆動輪からメインシャフト22に矢印F方向(正転方向)のトルクが作用した場合、メインシャフト22からクラッチインナ24及び中間部材60へのトルク伝達初期には、メインシャフト22がクラッチインナ24及び中間部材60に対して矢印F方向に回転する、つまりクラッチインナ25及び中間部材60がメインシャフト22に対して矢印Fの逆転方向である矢印F’方向に回転することとなる。このため、中間部材60が各ピン68及びローラ70に対して長孔63に沿って滑らかに右側端位置まで移動し、皿バネ28のバネ荷重の増加分を弱めてクラッチ容量を減少させた状態となる。
そして、中間部材60がその長孔63をメインシャフト22に設けられたピン68及びローラ70に接触させながら移動することで、皿バネ28のバネ荷重を増減させクラッチ容量を変化させるようになっているため、従来のカム機構と比較してクラッチ容量切り替え時のフリクションが大幅に軽減されている。
上記実施の形態によれば、クランクシャフト10とメインシャフト22との間でトルク伝達が行われていない場合には皿バネ28のバネ荷重の増加分が弱まることで、クラッチ操作を行う際のクラッチレバー等の操作力を軽減することができる。また、クランクシャフト10からクラッチアウタ23に矢印F方向のトルクが作用した場合には、中間部材60がその長孔63に沿って左側端位置まで移動しクラッチ容量を増加させるため、クラッチアウタ23とクラッチインナ24とを確実に摩擦係合させてクランクシャフト10から伝達されるトルクをメインシャフト22にロスなく伝達することができる。さらに、メインシャフト22に矢印F方向のトルクが作用した場合には、中間部材60がその長孔63に沿って右側端位置まで移動しクラッチ容量を減少させるため、メインシャフト22から伝達されたバックトルクを良好に解放することができる。
そして、中間部材60がその長孔63をメインシャフト22に設けられたピン68及びローラ70に接触させながら移動するようになっているため、フリクションが大幅に軽減され、クラッチ容量切り替え時の応答性を高めることができる。特に、クランクケース4外部に配置される乾式クラッチにも適用し易い。
なお、この発明は上記実施の形態に限られるものではなく、例えば図6に示すクラッチ装置120ように、皿バネ28に代わり、コイルスプリング(弾発部材)128を複数用いたものであってもよい。この場合、保持部材56に代わり、コイルスプリング128毎に設けられるワッシャ付きボルト156が保持部材となる。クラッチインナ24と前記メインシャフト22との間にはメインシャフト22に遊嵌されてクラッチインナ24と共に回転する中間部材160が介設される。この中間部材160は円筒状の部材本体161と複数のボス部162とを有し、部材本体161にはインナハブ64に立設された各ピン168及びローラ170を挿通可能な長孔163が各々設けられ、各ボス部162にはワッシャ付きボルト156が固定される。そして、クラッチインナ24がメインシャフト22に対して前記矢印F方向に回転した場合には中間部材60が長孔163に沿ってコルスプリング128のバネ荷重を増加させる方向に移動する一方、クラッチインナ24がメインシャフト22に対して前記矢印F’方向に回転した場合には中間部材160が長孔163に沿ってコイルスプリング128のバネ荷重の増加分を弱める方向に移動するように設定されている。ここで、前記実施の形態におけるクラッチ装置20の構成部品と同等の部品には同一符号を付して説明を省略する。
また、長孔63,163は端部が開放した形状(長溝状)であってもよい。さらに、ローラ70,170を設けずピン68,168と長孔63,163とを互いに摺動させる構成としても、摺動面積を十分小さくすることができ、フリクションを軽減してクラッチ容量切り替え時の応答性を高めることができる。さらにまた、ピン68,168は駆動力を伝達するためではなくクラッチ容量を変化させるために使用されるものであるため、複数ではなく一本のみとすることも可能である
そして、上記実施の形態は一例であり、例えば湿式多板クラッチに限らず乾式多板クラッチや単板クラッチ等であってもよい等、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
この発明の実施の形態におけるエンジンの側面図である。 図1におけるA−A線に沿う断面図である。 クラッチ装置の断面図である。 クラッチ装置の分解斜視図である。 クラッチ装置の正方向トルク伝達時の状態を示す断面図である。 クラッチ装置の他の実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
10 クランクシャフト(駆動軸)
20,120 クラッチ装置
22 メインシャフト(被駆動軸)
23 クラッチアウタ
24 クラッチインナ
25 クラッチディスク
26 クラッチプレート
28 皿バネ(弾発部材)
56 保持部材
60,160 中間部材
63,163 長孔
68,168 ピン
70,170 ローラ
128 コイルスプリング(弾発部材)
156 ワッシャ付きボルト(保持部材)

Claims (3)

  1. 駆動軸で駆動されるクラッチアウタと、被駆動軸につながるクラッチインナと、該クラッチインナとクラッチアウタとの間にこれらの軸線方向で摺動可能に介設されるクラッチディスク及びクラッチプレートと、該クラッチディスク及びクラッチプレートを前記軸線方向で圧接させ前記クラッチアウタ及びクラッチインナを摩擦係合させる弾発部材と、該弾発部材を所定の弾発荷重を生じさせた状態で保持する保持部材とを備えるクラッチ装置において、
    前記クラッチインナと被駆動軸との間に被駆動軸に遊嵌されてクラッチインナと共に回転する中間部材を介設し、この中間部材に、前記保持部材を固定すると共に、前記軸線方向に対して傾斜する長孔を設け、この長孔内にはピンを配設し、前記クラッチインナが被駆動軸に対して正転方向に回転した場合には前記中間部材がその長孔に沿って前記弾発部材の弾発荷重を増加させる方向に移動する一方、クラッチインナが被駆動軸に対して逆転方向に回転した場合には前記中間部材がその長孔に沿って前記弾発部材の弾発荷重の増加分を弱める方向に移動するように設定したことを特徴とするクラッチ装置。
  2. 前記ピンにローラが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 前記弾発部材が皿バネであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクラッチ装置。

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