JP2005172045A - クラッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 被駆動軸であるメインシャフトの外周部にピン68を立設し、クラッチインナ24とメインシャフトとの間に中間部材60を介設し、この中間部材60に、皿バネ28を保持する保持部材56を固定すると共に、ピン68を挿通可能でかつクラッチインナ24の軸線方向に対して傾斜する長孔63を設け、クラッチインナ24がメインシャフトに対して正転方向に回転した場合には中間部材60が皿バネ28のバネ荷重を増加させる方向に移動する一方、クラッチインナ24がメインシャフトに対して逆転方向に回転した場合には中間部材60が皿バネ28のバネ荷重の増加分を弱める方向に移動するように設定した。
【選択図】 図3
Description
そして、このようなクラッチ装置の中には、走行時に急激なシフトダウンを行う等により駆動輪から伝達されるバックトルクを解放するために、バックトルクが加わった際にはクラッチスプリングのバネ荷重を弱めてクラッチ容量を低下させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
そこでこの発明は、クラッチ容量切り替え時のフリクションを軽減すると共に応答性を高めることができるクラッチ装置を提供する。
また、駆動軸によりクラッチアウタが正転方向に駆動されると、クラッチディスク及びクラッチプレートを介してクラッチインナに正転方向のトルクが伝達され、さらにこのトルクが中間部材、長孔、及びピンを介して被駆動軸に伝達されて、被駆動軸が駆動される。このとき、クラッチインナと被駆動軸との間に介設される中間部材が被駆動軸に遊嵌されていることから、クラッチインナはトルク伝達初期には中間部材と共に被駆動軸に対して正転方向に回転することとなる。このため、中間部材が長孔に沿って弾発部材の弾発荷重を増加させる方向に移動し、クラッチディスクとクラッチプレートとの圧接力(クラッチ容量)が高まった状態となる。
さらに、被駆動軸に正転方向のトルクが作用した場合、被駆動軸からクラッチインナ及び中間部材へのトルク伝達初期には、被駆動軸がクラッチインナ及び中間部材に対して正転方向に回転する、つまりクラッチインナ及び中間部材が被駆動軸に対して逆転方向に回転することとなる。このため、中間部材が長孔に沿って弾発部材の弾発荷重の増加分を弱める方向に移動し、クラッチ容量が低下した状態となる。
そして、弾発部材の弾発荷重を増減させクラッチ容量を変化させるための中間部材の移動が、被駆動軸に設けられたピンに対して中間部材に設けられた長孔が摺動することで行われるため、従来のカム機構と比較して摺動面積が少なくフリクションを大幅に軽減することができる。
また、駆動軸によりクラッチアウタが正転方向に駆動されクラッチインナに正転方向のトルクが伝達された場合には、中間部材が長孔に沿って弾発部材の弾発荷重を増加させる方向に移動しクラッチ容量が高まるため、駆動軸のトルクを被駆動軸にロスなく伝達することができる。
さらに、被駆動軸に正転方向のトルクが作用した場合には中間部材が長孔に沿って弾発部材の弾発荷重の増加分を弱める方向に移動してクラッチ容量を低下させるため、被駆動軸から伝達されたバックトルクを良好に解放することができる。
そして、中間部材がその長孔を被駆動軸に設けられたピンに摺動させながら移動することでフリクションを軽減することができるため、クラッチ容量切り替え時の応答性を高めることができる。
請求項2に記載した発明によれば、クラッチ容量を変化させる際、中間部材がその長孔をメインシャフトに設けられたピン及びローラに接触させながら移動することとなるため、フリクションが大幅に軽減され、クラッチ容量切り替え時の応答性をより一層高めることができる。
請求項3に記載した発明によれば、クラッチディスク及びクラッチプレートを均等に押圧することでジャダーが抑えられるため、クラッチディスク及びクラッチプレートの耐久性を向上させることができる。
図1に示すエンジン1は、例えば自動二輪車用の水冷式並列四気筒型エンジンであり、不図示の車体フレームに支持される。なお、図1はエンジン1を車体の左側から見たもので、図中右方を車体及びエンジン1の前方とする。
エンジン1のシリンダ本体2及びシリンダヘッド3はクランクケース4上に配設される。シリンダヘッド3の後部には各気筒に対応するスロットルボディ5が接続され、シリンダヘッド3の前部には各気筒に対応する排気管6が接続される。クランクケース4はアッパーケース7とロアケース8とに分割構成され、アッパーケース7とシリンダ本体2とは一体成形される。
各ピストン14はコンロッド15を介してクランクシャフト10のクランクピン16に連結される。クランクシャフト10はそのジャーナル部17がアッパーケース7及びロアケース8に回転自在に支持され、ピストン14の往復運動がジャーナル部17の軸線Cを中心とした回転運動に変換される。ここで、クランクシャフト10の正転方向(駆動方向)を矢印E(図1参照)で示す。
クラッチ装置20は、駆動軸であるクランクシャフト10と被駆動軸である変速機12のメインシャフト22との間に介設されるもので、プライマリドリブンギヤ21と一体に構成されクランクシャフト10により常時駆動されるクラッチアウタ23と、メインシャフト22につながるクラッチインナ24とが、クラッチディスク25及びクラッチプレート26を介して摩擦係合することでトルク伝達可能な状態となり、前記摩擦係合が解除されることでトルク伝達が切断された状態となる。クラッチディスク25及びクラッチプレート26はプレッシャプレート27を介して皿バネ(弾発部材)28のバネ荷重(弾発荷重)を受けることで圧接されて所定の摩擦係合力を発生させる。また、前記摩擦係合の解除は不図示のクラッチレバー等の操作により変速機ケース11左側に配設されるクラッチレリーズ29を作動させ、メインシャフト22内に挿通されるリフタロッド30を介してプレッシャプレート27を皿バネ28のバネ荷重に抗して移動させることで行われる。
そして、エンジン1の駆動力は、クランクシャフト10からプライマリドライブギヤ19、プライマリドリブンギヤ21、及びクラッチ装置20を介して変速機12のメインシャフト22に伝達されると共に、変速ギヤ群33を介して所定の減速比でカウンタシャフト32に伝達され、さらに、カウンタシャフト32の左端部に取り付けられたドライブスプロケット34からドライブチェーン35を介して不図示の駆動輪に伝達されるようになっている。
図3、図4に示すように、クラッチ装置20のクラッチアウタ23及びその内側に設けられるクラッチインナ24は軸線Dを中心とした略有底円筒状をなし、各々の底部43,44を左側に向けた状態で配置される。ここで、図中矢印LHは左方向を示している。クラッチアウタ23のドラム部41には軸線Dと平行に形成される溝部45が複数設けられ、クラッチインナ24のドラム部42の外周部には軸線Dと平行に形成される外周溝部46が複数設けられる。一方、クラッチディスク25及びクラッチプレート26は中空円盤状に形成されるもので、クラッチディスク25の外周部にはクラッチアウタ23の溝部45に対応する外周係合部47が形成され、クラッチプレート26の内周部にはクラッチインナ24の外周溝部46に対応するする内周係合部48が形成される。なお、クラッチディスク25はプレート部材の両面に摩擦係数の高い部材が接合されてなり、クラッチプレート26は一枚の金属板からなるものである。
一方、プライマリドリブンギヤ21が形成されるギヤプレート21Aはクラッチアウタ23の底部43にリベット等を介して軸線Dを中心として相対回転可能に取り付けられ、かつその相対回転がダンパスプリング59により規制されることで、ギヤプレート21Aとクラッチアウタ23とが一体に回転するように構成される(何れも図3参照)。ギヤプレート21Aにはメインシャフト22の支持部53を挿通させる円管状のアウタハブ54が一体に形成され、このアウタハブ54がスリーブ(図示略)及びニードルベアリング55を介して支持部53に取り付けられることで、クラッチアウタ23がメインシャフト22に軸線Dを中心として相対回転自在に支持される。
インナハブ64の右側には、その径方向に沿う固定孔67が円周方向に沿って複数設けられ、これら固定孔67には各々ピン68が嵌合固定される。つまり、各ピン68はインナハブ64に軸線Dと垂直方向に立設されている。そして、各ピン68にはローラ70が回転自在に取り付けられる。各ピン68は扁平状の頭部69を有しており、この頭部69とインナハブ64の外周面とによりローラ70のピン68の軸方向での移動が規制される。
ピン68及びローラ70は長孔63の長手方向に沿って移動可能であり、したがって中間部材60はインナハブ64に遊嵌されていることとなる。
クラッチインナ24の底部44の右側部には軸線Dに沿って突出するキー部74が複数設けられ、これらキー部74に整合するキー溝75が中間部材60の部材本体61の左側部に形成される。そして、各キー部74及びキー溝75を嵌合させることで、クラッチインナ24と中間部材60とが軸線Dを中心とした回転方向で係合され一体に回転可能となる。
なお、各キー部74及びキー溝75の軸線D方向での嵌合深さは、中間部材60が長孔63に沿って移動する際の軸線D方向での移動量に対して大きく、したがって、中間部材60が右側端位置にある状態でもクラッチインナ24と中間部材60との回転方向での係合が保たれる。
まず、エンジン1を搭載した自動二輪車等の車両において、例えば停車時のようにクランクシャフト10とメインシャフト22との間でトルク伝達が行われていない場合には、保持部材56が固定される中間部材60は、クラッチディスク25及びクラッチプレート26を圧接させる皿バネ28のバネ荷重の反力により、インナハブ64に一体に立設されるピン68及びこれに取り付けられるローラ70に対して長孔63の傾斜に沿って滑らかに右側に移動することとなって、皿バネ28のバネ荷重が弱まった状態となる。
そして、上記実施の形態は一例であり、例えば湿式多板クラッチに限らず乾式多板クラッチや単板クラッチ等であってもよい等、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
20,120 クラッチ装置
22 メインシャフト(被駆動軸)
23 クラッチアウタ
24 クラッチインナ
25 クラッチディスク
26 クラッチプレート
28 皿バネ(弾発部材)
56 保持部材
60,160 中間部材
63,163 長孔
68,168 ピン
70,170 ローラ
128 コイルスプリング(弾発部材)
156 ワッシャ付きボルト(保持部材)
Claims (3)
- 駆動軸で駆動されるクラッチアウタと、被駆動軸につながるクラッチインナと、該クラッチインナとクラッチアウタとの間にこれらの軸線方向で摺動可能に介設されるクラッチディスク及びクラッチプレートと、該クラッチディスク及びクラッチプレートを前記軸線方向で圧接させ前記クラッチアウタ及びクラッチインナを摩擦係合させる弾発部材と、該弾発部材を所定の弾発荷重を生じさせた状態で保持する保持部材とを備えるクラッチ装置において、
前記クラッチインナと被駆動軸との間に被駆動軸に遊嵌されてクラッチインナと共に回転する中間部材を介設し、この中間部材に、前記保持部材を固定すると共に、前記軸線方向に対して傾斜する長孔を設け、この長孔内にはピンを配設し、前記クラッチインナが被駆動軸に対して正転方向に回転した場合には前記中間部材がその長孔に沿って前記弾発部材の弾発荷重を増加させる方向に移動する一方、クラッチインナが被駆動軸に対して逆転方向に回転した場合には前記中間部材がその長孔に沿って前記弾発部材の弾発荷重の増加分を弱める方向に移動するように設定したことを特徴とするクラッチ装置。 - 前記ピンにローラが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のクラッチ装置。
- 前記弾発部材が皿バネであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクラッチ装置。
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