JP2005171338A - 加工性及び耐食性に優れたディーゼル微粒子除去装置構成部品用フェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 C:0.015質量%以下,Si:0.5質量%以下,Cr:11.0〜25.0質量%,N:0.020質量%以下,Ti:0.05〜0.50質量%,Nb:0.10〜0.50質量%,B:0.0100質量%以下を含み、必要に応じてさらに、Mo:3.0%以下,Ni:2.0%以下,Cu:2.0%以下,Al:4.0%以下の1種以上を含むフェライト系ステンレス鋼であって、一軸引張りで加工したときの破断伸びが30%以上,ランクフォード値(r値)のrmin値が1.3以上であるフェライト系ステンレス鋼板を用いると、成形過程での加工に起因した割れが発生することなく、長期にわたって優れた耐食性を維持されるディーゼル微粒子除去装置を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
しかしその反面、ディーゼルエンジンからのNOXや粒子状物質(以下、「PM」と称す。)等の排出が環境問題としてクローズアップされている。交通量の集中する都心部では大気汚染が年々深刻化してきている。中でもPMは呼吸器系の疾患及び花粉症との関連が指摘され、2001年にはいわゆる「自動車NOX,PM法」が成立し、排気ガス規制が強化されている。こうした規制に適合させるために排気ガスの後処理装置が実用化され始めている。
加工性及び耐食性に優れる金属材料としては、ステンレス鋼が挙げられる。ステンレス鋼はフェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼に大別される。フェライト系ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレス鋼に比較すると加工性に劣り、円筒状に絞り加工された後にさらに二次加工が加わると、割れが生じる。一方、オーステナイト系ステンレス鋼は加工性を有するものの、応力腐食割れを生じる可能性がある。
そこで、本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、DPFを構成する部材及びカバー等への加工が容易で、耐衝撃特性に優れ、かつ厳しい腐食環境にあっても長期にわたって耐食性を維持できるDPF構成部品用フェライト系ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
フェライト系ステンレス鋼板としては、必要に応じてさらに、Mo:3.0%以下,Ni:2.0%以下,Cu:2.0%以下,Al:4.0%以下の1種以上を含むものが好ましい。
したがって、このステンレス鋼板をDPF構成部品に適用すると、DPFのコンパクト化が可能になるばかりでなく、腐食による穴あきや衝撃による変形が抑制され、性能の優れたDPFを低コストで製造することが可能となる。
ランクフォード値(r値)の測定に際しては、同じくJIS13B号試験片を使用し、15%の引張り歪を与えた後、圧延方向(L方向)、圧延方向に対して45度方向(D方向)ならびに圧延方向に対して垂直方向(T方向)でのr値を求めた。上記3方向で求めたr値の中で最も低い値をrminとした。r値は板厚及び板幅を測定し、幅収縮率の自然対数値を板厚減少率の自然対数値で除した値として算出した。
本発明鋼は、11.0〜25.0質量%のCrを含有し、また場合によってMo,Ni等も含有しているので優れた耐食性を有している。さらに、Ti,Nb等の固定元素を含有させている。このため、燃焼ガスの発生により温度が上昇し、鋭敏化現象が起こり得る環境になっても、固定化元素の作用により粒界腐食が抑制される。
C:0.015%以下
Cは、炭化物を形成し、それが最終焼鈍での再結晶フェライトのランダム化の再結晶核として働く。しかし、Cは冷延焼鈍後の強度を上昇させる元素であり、あまり高いと靭性の低下を招くため、0.015%以下とした。
Siは通常脱酸のために使用するが、固溶強化能が高く、あまりその含有量が多いと材質が硬化し延性の低下を招くので、0.5%以下とした。
Cr:11.0〜25.0%
Crは、ステンレス鋼としての耐食性を発揮するために、11.0%の含有が必要である。しかし、Cr量が多くなると、靭性や加工性の低下を招くため、その上限を25.0%とした。
Nは、窒化物を形成し、Cと同様にそれが最終焼鈍での再結晶フェライトの結晶方位ランダム化の再結晶核として働く。しかしNは冷延焼鈍材の強度を上昇させる元素であり、あまり高いと靭性の低下を招くため、0.020%以下とした。
Ti:0.05〜0.50%
TiはC,Nを固定し、加工性および耐食性を向上させる元素である。その効果がでる最低量は0.05%である。しかし、Tiを添加すると、鋼材コストの増大を招き、Ti系介在物が原因の表面欠陥が問題となることから、Ti含有量の上限を0.50%に設定した。
NbはC,Nを固定し、耐衝撃特性や二次加工性、耐食性を向上させる元素である。これらの効果がでる最低量は0.10%である。しかし、Nbを添加しすぎると材料が硬化し加工性に悪影響をもたらす。また再結晶温度を上げることにもなる。したがって上限を0.50%とする。
B:0.0100%以下
Bは、Nを固定し、耐食性や加工性を改善する作用をもつ合金成分である。この作用を発揮させるためには、0.0005%以上添加することが好ましい。しかし、過剰に添加すると熱間加工性の低下や溶接性の低下を招くので、上限を0.0100%に設定した。
Mo:3.0%以下
Moは、耐食性を改善するのに有効な元素であるが、過剰な添加は高温での固溶強化や動的再結晶の遅滞により、熱間加工性の低下をもたらすので、添加する場合は、3.0%以下とする。
Ni:2.0%以下
Niは、オーステナイト形成元素であり、2.0%を超える添加は硬質化やコスト上昇を招くので2.0%を上限とすることが好ましい。
Cuは、溶製時のスクラップからの混入等、不可避的に含有されるが、過度の含有は熱間加工性や耐食性を低下させるので、2.0%以下とすることが好ましい。
Al:4.0%以下
Alは、脱酸や耐酸化性のために有効な元素であるが、過剰な添加は表面欠陥の原因となる。したがって上限は4.0%とすることが好ましい。
Mn:2.0%以下
Mnは、オーステナイト形成元素であり、固溶強化能が小さく材質への悪影響が少ない。しかし、含有量が多いと溶製時にMnヒュームが生成する等、製造性が低下するので、望ましくは2.0%以下とする。
P:0.050%以下
Pは、熱間加工性に有害な元素である。特に0.050%を超えるとその影響は顕著になるので、望ましくは0.050%以下とする。
Sは、結晶粒界に偏析しやすく、粒界脆化により熱間加工性の低下等を促進する元素である。0.020%を超えるとその影響は顕著になるので、望ましくは0.020%以下とする。
V,Zr:0.30%以下
Vは固溶Cを炭化物として析出させる効果による加工性向上、Zrは鋼中の酸素を酸化物として捕らえることによる加工性や靭性向上の面から有効な元素である。しかしながら、多量に添加すると製造性が低下するので、適正含有量は、それぞれ0.30%以下である。
これら以外にも、Ca,Mg,Co,REMなどは、溶製中に原料であるスクラップ中より含まれることがあるが、とりたてて多量に含まれる場合を除き、成形品の形状凍結性には影響ない。
加工は、初期ブランク径φ76mm(ポンチ1段;φ40,2段;φ31.5,3段;φ24.5)で円筒深絞りした。
各種ステンレス鋼板を素材と施した加工製品について、耐食性試験及び加工性評価試験を実施した。
加工性評価試験は、加工製品の温度を5℃に制御しつつ、φ2mmのビーズを5kgf/mm2圧力で1時間噴射して噴射面を目視観察する衝撃試験で行った。加工部にネッキング等が生じていると衝撃試験後に割れを生じることから、ビーズ噴射後の割れの有無で加工性の良否を判断した。
耐食性試験結果及び加工性評価試験結果を表2に示す。
この結果から、本発明鋼は加工部においても良好な耐食性を有することがわかる。
衝撃試験において、本発明鋼では全て割れは生じていなかった。比較鋼Fでは、C含有量が請求項で規定された範囲よりも多いために、既に衝撃試験を行う前に加工割れが生じていた。比較鋼Gでは、Nb含有量が請求項で規定された範囲よりも少ないために、加工性が十分ではなく、衝撃試験で割れが発生していた。
この結果から、本発明鋼は優れた加工性を有することがわかる。
Claims (3)
- C:0.015質量%以下,Si:0.5質量%以下,Cr:11.0〜25.0質量%,N:0.020質量%以下,Ti:0.05〜0.50質量%,Nb:0.10〜0.50質量%,B:0.0100質量%以下を含むフェライト系ステンレス鋼であって、一軸引張りで加工したときの破断伸びが30%以上,ランクフォード値(r値)のrmin値が1.3以上であることを特徴とする加工性及び耐食性に優れたディーゼル微粒子除去装置構成部品用フェライト系ステンレス鋼板。
- フェライト系ステンレス鋼板が、さらにMo:3.0質量%以下を含むものである請求項1に記載の加工性及び耐食性に優れたディーゼル微粒子除去装置構成部品用フェライト系ステンレス鋼板。
- フェライト系ステンレス鋼板が、さらに、Ni:2.0質量%以下,Cu:2.0質量%以下,Al:4.0質量%以下の1種以上を含むものである請求項1又は2に記載の加工性及び耐食性に優れたディーゼル微粒子除去装置構成部品用フェライト系ステンレス鋼板。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008070298A (ja) * | 2006-09-15 | 2008-03-27 | Tokyo Electric Power Co Inc:The | 鋼材の耐食性試験方法及び評価方法 |
KR20200102489A (ko) | 2018-03-30 | 2020-08-31 | 닛테츠 스테인레스 가부시키가이샤 | 내염해 부식성이 우수한 페라이트계 스테인리스강 |
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2003
- 2003-12-12 JP JP2003414400A patent/JP2005171338A/ja active Pending
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