JP2006037176A - エキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
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【課題】1000〜1050℃での長期繰り返し使用において優れた耐スケール剥離性を呈するエキゾーストマニホールド内管に適したステンレス鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03%以下,Si:1%以下,Mn:2%以下,P:0.04%以下,S:0.01%以下,Ni:1.5%以下,Cr:17〜23%,N:0.03%以下,Nb:0.05〜0.5%,Mo:1〜2.5%であり、必要に応じてTi:0.01〜0.5%,Cu:0.01〜0.5%,Al:0.01〜0.5%,B:0.0005〜0.01%の1または2以上を満たし、REM,Y,Caの合計:0.005〜0.1%、あるいはV:0.05〜0.5%,W:0.05〜0.5%,Zr:0.05〜0.5%の1種以上を含み、残部Feおよび不可避的不純物であり、下記(1)式を満たすエキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼。1≦(24−Cr)/Mo≦4 ……(1)
【選択図】図1
【解決手段】質量%で、C:0.03%以下,Si:1%以下,Mn:2%以下,P:0.04%以下,S:0.01%以下,Ni:1.5%以下,Cr:17〜23%,N:0.03%以下,Nb:0.05〜0.5%,Mo:1〜2.5%であり、必要に応じてTi:0.01〜0.5%,Cu:0.01〜0.5%,Al:0.01〜0.5%,B:0.0005〜0.01%の1または2以上を満たし、REM,Y,Caの合計:0.005〜0.1%、あるいはV:0.05〜0.5%,W:0.05〜0.5%,Zr:0.05〜0.5%の1種以上を含み、残部Feおよび不可避的不純物であり、下記(1)式を満たすエキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼。1≦(24−Cr)/Mo≦4 ……(1)
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車エンジンの排気ガス経路部材であるエキゾーストマニホールド用の鋼であって、特に1000〜1050℃の高温排ガスに曝されるタイプの二重構造エキゾーストマニホールド内管に好適なフェライト系ステンレス鋼に関する。
近年、自動車エンジンおよび排気ガス処理システムには、厳しい排ガス規制をクリアする浄化性能が求められている。排ガス浄化手段としては排ガス経路に触媒コンバーターを設けるのが一般的であるが、エンジン始動直後は浄化装置の温度が低く通常運転時よりも浄化効率が低下するため、このときにできるだけ高効率で作動させることが重要となる。その対策として浄化装置をエキゾーストマニホールド直下に追加設置すること、あるいは燃焼ガス温度そのものを上昇させることなどが有効であり、種々検討されてきたが、これらにも限界がある。
その後、エキゾーストマニホールドを二重構造にする方法が提案され、既に一部で実用化されている。これによると従来の単構造パイプよりも部品単価は高くなるものの、燃焼ガスの保温効果が非常に高いので浄化効率が高まり、断熱材,加熱装置,更なる浄化装置等を付加する必要がなく、部品点数削減によるコスト低減メリットが生じる。
単構造のエキゾーストマニホールドでは加熱・冷却の繰り返しによる熱疲労破壊を避けるために、オーステナイト系よりも熱膨張係数の小さいフェライト系鋼種が使用される。一方、二重構造では、外側の管(外管)はやはり拘束された状態で加熱冷却の繰り返しを受けるため単管と同様にフェライト系鋼種を使用することが望ましい。しかし内側の管(内管)は、材料が拘束されないように設計することが可能であることから、加工性を考慮するとオーステナイト系鋼種を使用する方が有利な場合が多くなる。
エキゾーストマニホールドの内管は排ガスに直接曝されるため、材料温度は排ガスと同程度(従来一般的には800〜1000℃)に達する。下記特許文献1には、この温度域で使用可能な二重構造エキゾーストマニホールド内管用オーステナイト系ステンレス鋼が提案されている。この鋼は1000℃で100サイクルの断続加熱において優れた耐酸化特性を呈するものであり、成形性や溶接性にも配慮した成分設計となっている。
しかし、自動車の最高排ガス温度は車種によって多様化しており、最近では1000〜1050℃といった高温の燃焼ガスを排出するタイプのエンジンも生産されている。特許文献1の鋼ではこのような高温排ガスに対応できない。
一方、特許文献2〜4に示されるように、耐熱用のフェライト系ステンレス鋼も種々開発されている。
最高排ガス温度が1000〜1050℃になる自動車エンジンに十分対応可能なエキゾーストマニホールド内管材料を提供するには、従来材より一層優れた高温酸化特性、特に耐スケール剥離性を有する材料を開発しなければならない。このような高温域になると、オーステナイト系鋼ではかなりの高Ni材を使用しないと十分な耐スケール剥離性を確保することが難しく、材料コストの高騰を免れない。
一方、フェライト系鋼の場合は、耐スケール剥離性の面で本質的にオーステナイト系鋼より有利である。しかし、厳しい加工を施すと「脆性割れ」を起こす場合があり、特に耐熱性向上のために高Cr化した合金では問題となりやすい。
特許文献2,3のフェライト系鋼は基本的に1000〜1050℃という高温域で使用できる耐熱性を有していない。特許文献4のフェライト系鋼はCrを最大20%まで含有するものであるが、これも1000〜1050℃域での使用は意図されておらず、また、脆性割れについても配慮されていない。
特許文献2,3のフェライト系鋼は基本的に1000〜1050℃という高温域で使用できる耐熱性を有していない。特許文献4のフェライト系鋼はCrを最大20%まで含有するものであるが、これも1000〜1050℃域での使用は意図されておらず、また、脆性割れについても配慮されていない。
ところで、昨今では自動車の長期信頼性を向上させる取り組みが各自動車メーカーで行われ、断続加熱に対する耐久性に関しては特許文献12で行っている100サイクル程度の試験では足りず、1000サイクル以上、好ましくは2000サイクルの耐久試験において優れた耐スケール剥離性を示す性能が望まれるようになってきた。1000〜1050℃の高温排ガスに曝される用途のエキゾーストマニホールド材料についても例外ではない。
本発明は、このような現状に鑑み、材料温度が1000〜1050℃となるような環境で使用されるエキゾーストマニホールド、特に二重構造の内側材料に好適な高温強度,長期繰り返しにおける耐スケール剥離性を有し、かつ耐脆性割れ性にも配慮したフェライト系鋼を開発し提供しようというものである。
本発明で提供する鋼は、質量%で、C:0.03%以下,Si:1%以下,Mn:2%以下,P:0.04%以下,S:0.01%以下,Ni:1.5%以下,Cr:17〜23%,N:0.03%以下,Nb:0.05〜0.5%,Mo:1〜2.5%,Ti:0〜0.5%,Cu:0〜0.5%,Al:0〜0.5%,B:0〜0.01%,REM(希土類元素),Y,Caの合計:0〜0.1%,V:0〜0.5%,W:0〜0.5%,Zr:0〜0.5%,残部Feおよび不可避的不純物であり、かつ下記(1)式を満たすエキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼である。
1≦(24−Cr)/Mo≦4 ……(1)
1≦(24−Cr)/Mo≦4 ……(1)
元素含有量の下限「0%」は、製鋼段階で行われる通常の分析方法において測定限界以下となる場合である。
(1)式の元素記号の箇所には質量%で表された当該元素の含有量が代入される。
(1)式の元素記号の箇所には質量%で表された当該元素の含有量が代入される。
また上記鋼において特に、質量%で、Ti:0.01〜0.5%,Cu:0.01〜0.5%,Al:0.01〜0.5%,B:0.0005〜0.01%の1または2以上を満たすものが提供される。
また、質量%で、V:0.05〜0.5,W:0.05〜0.5%,Zr:0.05〜0.5%の1または2以上を満たすものが提供される。
あるいはまた、質量%で、REM,Y,Caの合計:0.005〜0.1%であるものが提供される。
また、質量%で、V:0.05〜0.5,W:0.05〜0.5%,Zr:0.05〜0.5%の1または2以上を満たすものが提供される。
あるいはまた、質量%で、REM,Y,Caの合計:0.005〜0.1%であるものが提供される。
本発明によれば、1000〜1050℃の温度域で長期間繰り返し使用したときに優れた耐久性、特に優れた耐スケール剥離性を呈する鋼が実現された。この鋼は高温強度にも優れ、エキゾーストマニホールドの特に二重構造の内側材に好適な特性を有する。また、同等の耐熱性能を有するオーステナイト系鋼と比べ安価であり、フェライト系鋼で問題となりやすい成形時の脆性割れも改善されている。したがって本発明は、最高排ガス温度が1000〜1050℃と高いタイプの自動車において、エキゾーストマニホールドの信頼性向上およびコスト低減に寄与するものである。
本発明の鋼は、フェライト系鋼において1000〜1050℃の温度に曝される二重構造エキゾーストマニホールドの内管に好適な高温強度,長期繰り返しにおける耐スケール剥離性を付与し、かつ耐脆性割れ性を改善すべく、以下のような成分設計を行ったものである。
CおよびNは、一般的には高温強度を高める元素である。しかし、含有量が多くなると延性が低下し、成形時の脆性割れも生じやすくなる。また、高温強度向上に重要な固溶Nbを減少させることになる。このため、C,Nはいずれも0.03質量%以下に制限される。
Siは、高温酸化特性の改善に有効な元素である。しかし、含有量が多くなると硬さが上昇し、延性,靱性を損なう。このためSi含有量は1質量%以下に制限される。特に好ましいSi含有量は0.1〜0.6質量%である。
Mnは、スケール密着性の向上に有効である。しかし、多量に含有させるとオーステナイト相の析出などによって異常酸化を誘発することがある。また、熱疲労特性の低下を招くこともある。このためMn含有量は2質量%以下に制限される。特に好ましいMn含有量は0.5〜1.5質量%である。
Pは、フェライト系ステンレス鋼の靱性および耐食性を劣化させる元素であり、可能な限り低減することが望ましい。このためP含有量は0.04質量%以下に制限される。
Sは、フェライト系ステンレス鋼の加工性,熱間加工性,耐溶接高温割れ性,耐酸化性および耐食性を劣化させる元素である。このためS含有量は0.01質量%以下に制限される。
Niは、フェライト系ステンレス鋼の靱性改善に有効な場合があり、成形時の脆性割れ防止に寄与しうる。しかし、多量に含有させるとオーステナイト相の析出によって異常酸化の誘発や熱疲労特性低下を招く。このためNi含有量は1.5質量%以下に制限される。特に好ましいNi含有量は0.05〜0.5質量%である。
Crは、高温でのスケール生成を抑制し、かつ耐スケール剥離性を付与するための基本元素である。これらの効果は後述のMo添加によって極めて有効となるが、そのCrとMoの相乗効果を引き出すためには17質量%のCr含有が必要となる。ただし過剰のCr含有は延性低下を招き、また成形時の脆性割れを誘発する。このためCr含有量は17〜22質量%とする。特に好ましいCr含有量は18〜21質量%である。
Nbは、フェライトマトリックスに固溶した状態で高温強度を向上させる作用を有し、本発明では非常に重要な元素である。また熱疲労特性の改善にも有効である。これらの作用を有効に引き出すために0.05質量%以上のNb含有量を確保する必要である。しかし、多量のNb含有は溶接高温割れ感受性を高め、また延性や靱性を阻害する要因にもなる。このためNb含有量の上限は0.5質量%に制限される。特に好ましいNb含有量は0.2〜0.45質量%である。
Moは、Nbとともに高温強度を向上させるための重要な元素である。また、1000〜1050℃に断続加熱した際の耐スケール剥離性を付与するためにCrとの複合添加が重要となる。これらの効果を十分発揮させるためには1質量%以上のMo含有が必要である。ただし多量のMo含有は靱性を低下させ、成形時の脆性割れを招く。このためMo含有量の上限は2.5質量に制限される。
Ti,Cu,Al,Bは、低温靱性の向上に有効であり、本発明では成形時の脆性割れを防止する上でこれらのいずれかの元素を含有させることが望ましい。上記効果はTi,Cu,Alは0.01質量%以上の含有量で、Bは0.0005質量%以上の含有量で発揮される。これらの元素はいずれか1種を単独で含有させてもよいし2種以上を複合で含有させてもよい。ただしTi,Alの過剰添加は溶接性を低下させ、Cu,Bの過剰添加は熱間加工性を低下させる。このためこれらの元素の含有量の上限はTi,Cu,Alについては0.5質量%に、Bについては0.1質量%に制限される。
REM,Y,Caは、1000〜1050℃での耐スケール剥離性をより高いレベルで確保するために有効な元素である。その効果を十分に発揮させるためにはこれらの元素の1種または2種以上を添加することによりその合計含有量を0.005質量%以上とすることが望ましい。ただし多量に含有させると鋼が硬質化し、原料コストも高くなる。このため、これらの元素の合計含有量は0.1質量%以下に制限される。
V,W,Zrは、Nbと同様に高温強度の向上作用を有する。これらいずれの元素も0.05質量%以上の含有により前記作用を効果的に発現する。ただし多量に添加すると鋼の硬質化や原料コスト増を招くので、V,W,Zrを添加する場合はいずれも0.5質量%以下の範囲で行う。
本発明では、1050℃レベルでの繰り返しの使用に長期間耐え得る優れた耐スケール剥離性を付与することを重要な課題としている。具体的には、後述の実施例で説明する1050℃,2000サイクルの高温酸化試験において、板厚0.8mmの材料で減肉率20%未満となるような優れた特性を具備させる。その手法としてCrおよびNbを前記含有量範囲であって、かつ下記の関係式を満たすように含有させる。
(24−Cr)/Mo≦4
(24−Cr)/Mo≦4
一方、フェライト系鋼種においてはエキゾーストマニホールドへの成形時に脆性割れを抑止することにも十分な配慮が必要となる。発明者らの検討によれば、Cr,Moの含有量が多くなるとエキゾーストマニホールド内側部材への成形時に脆性割れを起こしやすくなるが、その脆性割れ防止のためには、CrおよびNbを前記含有量範囲であって、かつ下記の関係式を満たすように含有させればよいことがわかった。
(24−Cr)/Mo≧1
(24−Cr)/Mo≧1
これらの知見は発明者らの数多くに実験に基づき得られたものである。その実験結果の一部を図1に例示する。図1は板厚0.8mmの高Crフェライト系ステンレス鋼板について、耐スケール剥離性と耐脆性割れ性に及ぼすCr含有量,Mo含有量の影響を示してある。横軸がCr含有量、縦軸がMo含有量である。耐スケール剥離性は後述実施例に示す1050℃,2000サイクルの試験において減肉率が20%未満のものを良好(○または□)、それ以上のものを不良(●または■)とした。耐脆性割れ性は−25℃でのシャルピー衝撃試験を実施し、衝撃値が50J/cm2以上のものを良好(○または●)、50J/cm2未満のものを不良(□または■)とした。
図1からわかるように、上記の優れた耐スケール剥離性を付与するためには、Cr≧17%,Mo≧1%,かつ(24−Cr)/Mo≦4を満たす必要がある。また、耐脆性割れ性を確保するためにはCr≦23%,Mo≦2.5%,かつ(24−Cr)/Mo≧1を満たす必要がある。
したがって本発明では、CrおよびMoの含有量に関し、それぞれ前記の含有量範囲であって、前記(1)式を満足することを要件とする。
したがって本発明では、CrおよびMoの含有量に関し、それぞれ前記の含有量範囲であって、前記(1)式を満足することを要件とする。
以上のように成分調整した鋼は、通常のステンレス鋼板製造設備を用いて例えば板厚0.8mm程度の鋼板とし、溶接造管によりエキゾーストマニホールド用の鋼管とすることができる。その鋼管は曲げ加工などによって所定の形状に成形される。また、目的とするエキゾーストマニホールド部材が複雑形状である場合には、鋼板をプレス成形した1対の部品を溶接で接合することにより、所望形状の管に仕上げることもできる。
表1に示す鋼を溶製し、通常のステンレス鋼板製造条件にしたがって、熱間圧延→焼鈍酸洗→冷間圧延→焼鈍酸洗の工程により鋼板を得た。
板厚0.8mmの鋼板から圧延方向に平行方向の引張試験片(JIS 13B号)を切り出し、JIS Z 2241に準拠して常温での引張試験を行い、延性を評価するために伸びを測定した。また、各鋼板から圧延方向に平行方向の高温引張試験片を切り出し、JIS G 0567に準拠して高温引張試験を1050℃で行い、高温強度の指標として1050℃における0.2%耐力を求めた。
また、板厚0.8mmの鋼板から25×35mmの高温酸化試験片を切り出し、JIS Z 2282に準拠して「大気中1050℃×5分→5分間の空冷」を1サイクルとする2000サイクル繰り返しの高温酸化試験に供した。高温酸化試験前後の重量変化、および試験後最も板厚が減少した箇所の減肉率を求めた。減肉率は次式により算出される。
減肉率=(試験前板厚−試験後板厚)/試験前板厚×100
減肉率=(試験前板厚−試験後板厚)/試験前板厚×100
また、長手方向が圧延方向と垂直になるシャルピー衝撃試験片を用いて、JIS Z 2242に準拠して試験温度−50〜25℃でシャルピー衝撃試験を実施し、シャルピー衝撃値が50J/cm2以上になる温度が−50℃以下のものを◎、−50℃より高く−25℃以下のものを○、−25℃より高く0℃以下のものを△、0℃より高いものを×として、成形時の耐脆性割れ性を評価した。
結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
表2からわかるように、本発明で規定の化学組成を満たす材料は、2000サイクルの高温酸化試験後の減肉率が20%未満であり、1050℃での繰り返し加熱において優れた耐スケール剥離性を呈した。高温酸化試験前後の重量変化も10mg/cm2以下と小さかった。この試験でスケールは剥離せずタイトに密着しており、異常酸化が見られなかったことから、その後更に長期間の繰り返し加熱によっても表面に形成された保護性スケールによって酸化の進行が抑止されると考えられる。つまり、本発明鋼は1000〜1050℃域での繰り返し加熱に曝した場合に優れた耐久性を安定して呈することが確認された。耐脆性割れ性については−25℃でのシャルピー衝撃値が50J/cm2以上であり、延性に関しても常温伸びが32%以上であることから、エキゾーストマニホールドの内側材として十分な加工性を有している。高温強度(1050℃での0.2%耐力)も8N/mm2以上と十分であった。
これに対し、鋼No.17,18は(24−Cr)/Moが4を超え前記(1)式を満たさないため、また鋼No.13,16はCr,Moのいずれかの含有量が低すぎるため、これらは耐スケール剥離性(減肉率)に劣った。鋼No.15,19,21は(24−Cr)/Moが1未満と低く前記(1)式を満たさないため、また鋼No.12,14はCr,Moのいずれかの含有量が高すぎるため、これらは耐脆性割れ性に劣った。鋼No.20はNbあるいはMoの含有量が低すぎるため、高温強度が不十分であった。鋼No.22,23はSi,Nbのいずれかの含有量が高すぎるため、延性が不足した。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.03%以下,Si:1%以下,Mn:2%以下,P:0.04%以下,S:0.01%以下,Ni:1.5%以下,Cr:17〜23%,N:0.03%以下,Nb:0.05〜0.5%,Mo:1〜2.5%,Ti:0〜0.5%,Cu:0〜0.5%,Al:0〜0.5%,B:0〜0.01%,REM,Y,Caの合計:0〜0.1%,V:0〜0.5%,W:0〜0.5%,Zr:0〜0.5%,残部Feおよび不可避的不純物であり、かつ下記(1)式を満たすエキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼。
1≦(24−Cr)/Mo≦4 ……(1) - 質量%で、Ti:0.01〜0.5%,Cu:0.01〜0.5%,Al:0.01〜0.5%,B:0.0005〜0.01%の1または2以上を満たす請求項1に記載のエキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼。
- 質量%で、V:0.05〜0.5,W:0.05〜0.5%,Zr:0.05〜0.5%の1または2以上を満たす請求項1に記載のエキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼。
- 質量%で、REM,Y,Caの合計:0.005〜0.1%である請求項1に記載のエキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼。
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JP2004220172A JP2006037176A (ja) | 2004-07-28 | 2004-07-28 | エキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼 |
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