JP2005170112A - 建設機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】 横転したときに運転室内のオペレータの安全を図ることができる手段を、必要なときに、大がかりな改造を要することなく追加することができる建設機械を提供する。
【解決手段】 旋回フレーム1と旋回フレーム1上に設置される運転室2と運転室2に後続するように旋回フレーム1上に設置される建屋とを備えた建設機械に対し、運転室2の頂部上に配置して建設機械の横転時に運転室2が直接衝撃を受けるのを防止するための運転室用保護構造体3を必要に応じて設置することができるようにした建設機械であって、運転室用保護構造体3を支持するための後部支柱4a,4bを高さ方向で分割して形成した分割片4a1,4a2及び分割片4b1,4b2のうちの下方の分割片4a1,4b1を旋回フレーム1上の運転室2の後方に予め立設するようにした。
【選択図】 図4

Description

本発明は、旋回フレームとこの旋回フレーム上に設置される運転室とこの運転室に後続するように旋回フレーム上に設置される建屋とを備えた油圧ショベル等の自走式の建設機械に関する。
油圧ショベル等の自走式の建設機械は、自走式の建設機械を走行可能にするためのクローラ等による下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に設置された上部旋回体とを設けて構成される。この上部旋回体は、これの基盤となる旋回フレーム上に、運転室、機械室としての建屋、カウンタウエイト等の諸装置を設置して構成される。旋回フレームの前端部には、この旋回フレームに対して傾動可能なブームとこのブームに対して揺動可能なアームとこのアームに対して揺動可能で種々の作業を行うバケット等のアタッチメントとを備えた作業装置(フロント)が通常設置される。例えば、油圧ショベルでは、こうした作業装置を旋回フレームの走行方向右側に設置し、そのため、運転室を旋回フレームの左側限界近くにまで寄せて設置している。こうした建設機械は、使用態様によってはその転倒により運転室が大きく変形してオペレータに危険をもたらす恐れがあるが、本発明は、こうした事態に適宜対応できるようにしたものである。
この明細書で運転室とは、オペレータの運転空間を区画している隔壁を称し、キャブとも称する。この建設機械の運転室を製作する場合、例えば、左右の各側面部を一対の鋼板を接合して形成し、上面部及び後面部を一枚の鋼板で形成する。そして、運転室の上面部となる鋼板及び後面部となる鋼板は、左右の側面部となる各接合鋼板の上端部及び後端部にそれぞれ溶接により取り付ける。左右の各側面部を一対の鋼板を接合して形成する際、一対の鋼板の間に上下方向に延びる中空柱状のピラー部を複数形成し、このピラー部の中空部内に適宜鋼管鋼棒等の補強材や充填材を装填してピラーを形成する。このピラーは、運転室の剛性を高めて、運転室の上下方向の骨組み部としての役割を果たす。
この柱状のピラーは、通常、運転室の前端部の骨組み部をなすフロントピラーと、中央部の骨組み部をなすセンタピラーと、後端部の骨組み部をなすリヤピラーとからなり、これら一組のピラーは、左右の側面部にそれぞれ形成される。そして、左右の側面部のフロントピラー間には、フロントガラスが取り付けられ、左右一方の側面部のフロントピラーとセンタピラーとの間には、乗降用のドアが開閉可能に取り付けられる。また、左右の側面部や後面部の所定個所には、適宜、窓部を形成してガラス等の透明板を装着するとともに、左右の側面部や後面部等の底部には、矩形状の枠体によるブラケットを介して床板を取り付ける。建設機械の運転室は、以上のような構造により運転室の剛性を極力高めるように形成して、旋回フレーム上に防振体を介して設置される。この種の運転室を備えた建設機械は、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2001ー115491号公報(第3−6頁、図1−7)
また、油圧ショベル等の建設機械では、通常、こうした運転室に後続するように、エンジンや油圧ポンプ等を収納するための建屋を設置している。そして、この種の建設機械の中には、工具等を収納するための収納室をその建屋の前部に設け、この収納室から工具等を出し入れするための後部ドアと称する建屋の開閉装置を、運転室の後面部に近接するように建屋の側面に開閉可能に設けたものもある。この建屋の開閉装置は、建屋用のものであるため、その高さが乗降用のドアよりもかなり低く形成されており、例えば、乗降用のドアの半分程度の高さに形成される。
ところで、油圧ショベル等のクローラによる建設機械は、傾斜がかなり大きい地でも走行することができる性能をもっている。そのため、傾斜地で作業をしたり傾斜地を移動したりしているときに横転する危険性がある。また、こうした建設機械では、アタッチメントを取り付けることにより吊荷を吊って移送する作業を行う等、重量物を持ち上げて旋回させる作業を行うこともある。油圧ショベル等の建設機械は、こうした作業を行う場合にも横転する危険性がある。
こうしたことにより建設機械が万一横転すると、運転室は、前述のように旋回フレームの片側に限界近くまで寄せて設置しているため、運転室の側面側の頂部が地面に激突して直接的に激しい衝撃を受ける。しかしながら、建設機械は、前述したように運転室の剛性を極力高めるように形成しているため、こうした場合でも、標準的な使い方をしている限り、運転室は、ある程度変形するものの、大きく変形してオペレータに危険をもたらすようなことはない。
ところが、油圧ショベル等の建設機械では、作業の種類によっては、クレーン機能を有するアッタッチメントを取り付ける、バケットを大きなものに取り換える、クローラを幅や長さの大きい大形なものに取り換える等、特殊なアタッチメントを使用したり、カウンタウエイトに大重量のものを使用したりする場合があり、こうした場合には、建設機械の総重量が標準の使用時よりもかなり大きくなるため、横転したときには、その横転時の衝撃により運転室が大きく変形する恐れがある。こうして運転室が大きく変形すると、運転室内で操縦をしているオペレータには、当然、危険をもたらすこととなる。また、こうした運転室の変形に伴って乗降用のドアを開けることができなくなり、オペレータが車外に脱出することができなくなる危険性もある。
そのため、場合によっては、こうした事態に備えるための防護手段を設ける必要があるが、通常の建設機械では、標準的な使い方をすることを第一義的に想定しているため、こうした防護手段を設けていない。また、必要時に、こうした防護手段を後から設けようとすると、既製の建設機械の機械設備に大がかりな改造を加えることが必要となり、例外的な作業を行うために多額の改造費を要することとなる。
すなわち、油圧ショベル等の建設機械では、運転室が旋回フレームの前端部を占めるようにして左右一方の側に寄せて設置されており、この運転室の脇の他方の側に、オペレータが監視しながら操縦する作業装置を設置しているため、こうした防護手段を設ける場合には、運転室後方の旋回フレーム上のスペースを利用せざるを得ないが、旋回フレーム上には、運転室に後続するように建屋が設置されているため、既設の建屋の前部付近に大がかりな改造を加えることは避けられない。そして、特に、運転室の後面部に近接するように建屋の開閉装置が設置されている場合には、この開閉装置の開閉の妨げにならないように防護手段を設ける必要があるため、とりわけ大がかりな改造を要することとなる。
本発明は、こうした従来の技術の問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、横転したときに運転室内のオペレータの安全を図ることができる手段を、必要なときに、大がかりな改造を要することなく追加することができる建設機械を提供することにある。
本発明は、前記の技術課題を達成するため、
旋回フレームとこの旋回フレーム上に設置される運転室とこの運転室に後続するように旋回フレーム上に設置される建屋とを備えた建設機械に対し、運転室の頂部上に配置して建設機械の横転時に運転室が直接衝撃を受けるのを防止するための運転室用保護構造体を、必要なときに設置することができるように建設機械を構成することとし、そのため、運転室用保護構造体を支持するための支持構造部材を高さ方向で分割した支持構造部材の分割片のうちの下方の分割片を旋回フレーム上の運転室の後方に予め立設するようにした。
建設機械に対し、運転室用保護構造体を設置して運転室の頂部上に配置した場合には、建設機械が万一横転したときでも、最初に、運転室の頂部上の運転室用保護構造体が地面に衝突して、その衝突時の衝撃を運転室用保護構造体が直接受けることとなり、その衝撃を、従来のように運転室が直接受けるのを防ぐことができる。そして、こうした衝撃により運転室用保護構造体が受ける負荷は、支持構造部材を介して旋回フレームに作用し、運転室に直接的に作用することはないので、建設機械の総重量が通常よりかなり大きい場合でも、運転室が従来のように大きく変形することは防ぐことができる。そのため、こうした運転室用保護構造体を必要時に所定の態様で設置すれば、運転室を保護して運転室内のオペレータの安全を図ることができる。
本発明の建設機械では、こうした運転室用保護構造体を支持するための支持構造部材の構成部材である下方の分割片を旋回フレーム上の運転室の後方に予め立設するようにしたので、建設機械の総重量が標準の使用時よりもかなり大きくなるような態様で作業を行う際には、この予め立設された下方の分割片の上端部側に支持構造部材の他の分割片を連結することにより支持構造部材を組み立てることができる。そして、こうして組み立てた支持構造部材により運転室用保護構造体を支持すれば、運転室用保護構造体を運転室の頂部上に配置するように設置することができる。
また、こうした支持構造部材を設けるに当たっては、その下方の分割片を、旋回フレーム上の運転室の後方に建屋を害しないように予め計画的に立設することができるので、運転室用保護構造体を後から設置する場合に運転室の後方付近の建屋等の既設の設備に大きな改造を加えることを要しない。したがって、本発明の建設機械によれば、横転したときに運転室内のオペレータの安全を図ることができる手段を、必要なときに、大がかりな改造を要することなく追加することができる。
以下の説明から明らかなように、本発明の建設機械は、前記の〔課題を解決するための手段〕の項に示した手段を採用しているので、横転したときに運転室内のオペレータの安全を図ることができる手段を、必要なときに、大がかりな改造を要することなく追加することができる。そのため、オペレータの安全を図る手段を必要に応じて経済的に設置することができて、オペレータの安全対策を適時簡便に講じることができる。
本発明の建設機械を具体化する場合、特に、特許請求の範囲の請求項2に記載のように具体化すれば、支持構造部材の下方の分割片を建屋の高さと同程度の高さの支柱に形成して建屋の左右の側部に隣接するように左右に配置したことにより、建設機械の標準の使用時にこれら左右の下方の分割片を建屋の外観と側面視において融合させることができる。加えて、これら下方の分割片をカバーで覆うことにより、同分割片を建屋の外観と平面視でも融合させることができる。以上の結果、下方の分割片を旋回フレーム上に予め立設しても、運転室の後方の上部旋回体の外観が損なわれない。また、このように下方の分割片をカバーで覆うことにより、下方の分割片の上端部側は、汚損しないようにカバーにより保護されて、他の分割片を適正に連結できるように常に良好な状態に保持される。このカバーは、他の分割片を下方の分割片に連結するための連結手段を利用して下方の分割片に取り付けることができるように構成しているので、他の分割片を連結するための連結手段を、カバーの取付けのためにも利用することができて二重に活用することができる。
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを図1乃至図4を用いて説明することにより、本発明を実施するための望ましい形態を明らかにする。
図1は、本発明を具体化した建設機械の要部の側面図で、運転室用保護構造体を設置していないときの状態を示す図、図2は、図1の建設機械の斜視図、図3は、本発明を具体化した建設機械の要部の側面図で、運転室用保護構造体を設置しているときの状態を示す図、図4は、図3の建設機械の斜視図である。
本発明を具体化した以下に示す例の建設機械は、すでに述べた従来の技術に係る建設機械と同様、旋回フレームとこの旋回フレーム上に設置される運転室とこの運転室に後続するように旋回フレーム上に設置される建屋とを備え、この建屋の側面には、運転室の後面部に近接するように開閉装置が設置される油圧ショベル等のクローラによる自走式の建設機械に関するものである。
まず、図1及び図2に基づき、建設機械の運転室の一般的な構造及びこれに関連する事項について説明する。
これらの図において、1は下部走行体上に旋回可能に設置され上部旋回体の基盤となる旋回フレーム、2はこの旋回フレーム1上に設置される建設機械の運転室、2aは運転室2の天井をなす運転室2の上面部、2bは運転室2の前端部の骨組み部となるフロントピラー、2cは運転室2の中央部の骨組み部となるセンタピラー、2dは運転室2の後端部の骨組み部となるリヤピラー、2eは一対の鋼板を接合して形成した運転室2の側面部、2fは一枚の鋼板で形成した運転室2の後面部、2gは運転室2の前面部をなすフロントガラス、2hは運転室2の乗降用のドア、5は運転室の後面部に近接するように建屋の側面に開閉可能に設けた後部ドアと称する建屋の開閉装置である。なお、運転室2の後方から旋回フレーム1上の後部にかけて建屋が実際には設置されているが、建屋については、開閉装置5しか図に表れていない。
旋回フレーム1は、クローラによる下部走行体(図示せず)上に旋回可能に設置されて図示しない油圧モータにより旋回させることができるようになっている。図示はしていないが、旋回フレーム1の前端部の走行方向右側に、旋回フレーム1に対して傾動可能なブームとこのブームに対して揺動可能なアームとこのアームに対して揺動可能で種々の作業を行うバケット等のアタッチメントとを備えた作業装置が設置されている。そのため、運転室2は、通常、旋回フレーム1の左側限界近くにまで寄せて設置されている。この運転室2は、オペレータの身の安全を図るため、次に述べる構造によりできるだけ変形しにくいように形成している。
フロントピラー2b、センタピラー2c及びリヤピラー2dは、一対の鋼板を接合して運転室2の側面部2eを形成する際に、一対の鋼板の間に、上端から下端に延びる中空柱状のピラー部を形成して、このピラー部の中空部内に適宜鋼管鋼棒等の補強材や充填材を装填することにより、剛性が高められるように形成されている。その場合、フロントピラー2b及びリヤピラー2dを形成するための各中空のピラー部は、それぞれ、運転室2の側面部の前端及び後端の形状に沿うように若干曲線状に形成され、センタピラー2cを形成するための中空のピラー部は、直線状に形成されている。
こうして形成された運転室2の左右の側面部2eをなす鋼板の上端部及び後端部には、それぞれ、運転室2の上面部2a及び後面部2fをなす鋼板を溶接により取り付ける。これら左右の側面部2eや後面部2fなす鋼板の所定個所には、ドア2hを装着するための開口や窓部が予め形成されており、窓部には、ガラス等の透明板が装着される。また、左右の側面部2eのフロントピラー2b間には、フロントガラス2gを取り付け、左右一方の側面部2eのフロントピラー2bとセンタピラー2cとの間には、ドア2hをセンタピラー2cに枢着することにより開閉可能に取り付ける。こうして箱状に形成された運転室2の組立構造物における左右の側面部2eや後面部2f等の底部には、矩形状の枠体によるブラケット(図示せず)を介して床板を取り付ける。建設機械の運転室2は、以上のような構造により、運転室2の剛性を極力高めるように形成して、旋回フレーム1上に防振体(図示せず)を介して設置される。
次に、図1乃至図4に基づき、本発明の建設機械に関係する特徴的な事項について説明する。
本発明の建設機械の最大の特徴は、以上述べたような旋回フレーム1と運転室2と建屋とを備えた建設機械に対し、特殊アタッチメントを使用する場合等運転室を保護することが必要なときに、後述する運転室用保護構造体3を、建屋等の既設の設備に大きな改造を加えることなく後から設置することができるように構成した点にある。以下、こうしたことを具現した建設機械の一例を図1乃至図4に基づいて詳述する。
これらの図において、3は建設機械の横転時に運転室2が直接衝撃を受けるのを防止するための運転室用保護構造体、4aは下方の分割片4a1と上方の分割片4a2とを連結して形成され運転室用保護構造体3の後端部左側を支持する支持構造部材としての左側の後部支柱、4bは下方の分割片4b1と上方の分割片4b2とを連結して形成され運転室用保護構造体3の後端部右側を支持する支持構造部材としての右側の後部支柱、4cは一本の構造材で形成され運転室用保護構造体3の前端部左側を補助的に支持する左側の前部支柱、4dは一本の構造材で形成され運転室用保護構造体3の前端部右側を補助的に支持する右側の前部支柱、6は旋回フレーム1の前端部に設けられ前部支柱4cを必要に応じて取り付け得るようにするための前部支柱用のブラケット、7は後部支柱4a,4bの構成部材である左右の下方の分割片4a1,4b1の上端部側に架け渡して取り付けることにより、両分割片4a1,4b1を上方から見えないように覆うことができる桁状のカバー、8は運転室2の後面部2fに近接して設けられた後部支柱用のブラケットである。なお、旋回フレーム1の前端部には、前部支柱4dを必要に応じて取り付け得るようにするための前部支柱用のブラケット6も設けているが、図には表れていない。
運転室用保護構造体3は、運転室2の上面部2a上に所定の間隔を置いて配置した状態で主として左右の後部支柱4a,4bで支持する。この運転室用保護構造体3は、建設機械の横転時に運転室2よりも先に地面に接触して衝撃を受けることができるようにするため、運転室2の上面部2a上に配置した状態において、少なくとも、旋回フレーム1の側部に近接する運転室2の左の側面部2eよりも側部を外方に若干張り出すように形成している。なお、運転室用保護構造体3は、運転室2の上面部2aの上に配置しているので、ビルの解体現場や砕石場で建設機械により作業をしている場合において、運転室2内のオペレータを落下物から保護する機能も果たし得る。
ここに示す例では、後部支柱4a及び後部支柱4bは、これらを高さ方向で二分割した二本の分割片4a1,4a2及び分割片4b1,4b2でそれぞれ構成しているが、強度上問題がなければ、更に多分割して三本以上の分割片で構成するようにしてもよい。左側における下方の分割片4a1の上端部及び上方の分割片4a2の下端部には、下方の分割片4a1の上端部に上方の分割片4a2を着脱可能に連結するための連結手段としての連結用のブラケット4a3がそれぞれ付設されており、各ブラケット4a3には、連結用のボルトを通すためのボルト孔を設けている。同様にして、右側における下方の分割片4b1の上端部及び上方の分割片4b2の下端部にも、上方の分割片4b2を着脱可能に連結するための連結手段としての、ボルト孔を有する連結用のブラケット4b3がそれぞれ付設されている。
これら左右の分割片4a1,4a2及び分割片4b1,4b2のうちの左右の下方の分割片4a1,4b1は、それぞれ下端部を後部支柱用のブラケット8を介して旋回フレーム1に適宜の手段で取り付けることにより、建屋の開閉装置5の開閉の妨げにならないように旋回フレーム1上の運転室2の後方に予め立設しておく。その場合、ここに示す例では、左右の下方の分割片4a1,4b1を、図1に示すように建屋の高さ(換言すると、図示の建屋の開閉装置5の高さ)と同程度の高さに形成して、建屋の左右の側部前端に隣接するように運転室2の後方に配置することにより建屋の外観と融合させるようにしている。これら下方の分割片4a1,4b1は、その表面に開閉装置5と似通った配色のカバーをしたり、開閉装置5の構成部材に見えるような形状に形成したりすることにより、外観上、開閉装置5と一体化させることもできる。
前部支柱4c,4dは、何れも、運転室2の側面部の前端形状に沿うように曲線状に形成する。これら前部支柱4c,4dを必要に応じて運転室2の前方に設置することができるようにするため、ここに示す例では、ブラケット6を予め旋回フレーム1に設けているが、このブラケット6は、建設機械の既存設備に改造を加えることなく事後に取り付けることができるので、前部支柱4c,4dを設置することが必要になったときに設けるようにしてもよい。これら前部支柱4c,4dや運転室用保護構造体3、後部支柱4a,4bの上方の分割片4a2,4b2は、建設機械の標準的な使用時には、建設機械に設置する必要がない。そのため、これらの用具は、アタッチメントとして建設機械に備え付けて置いてもよいし、注文により必要時に購入できるようにしてもよい。
運転室を保護することが必要なときには、旋回フレーム1上に予め立設している下方の分割片4a1,4b1にそれぞれ上方の分割片4a2,4b2を連結することにより、後部支柱4a,4bを形成する。その場合、分割片4a1,4a2の各連結用のブラケット4a3同士及び分割片4b1,4b2の各連結用のブラケット4b3同士をそれぞれ連結用のボルトで締結して下方の分割片4a1,4b1に上方の分割片4a2,4b2を連結する。また、こうした作業と並行して、前部支柱4c,4dを前部支柱用のブラケット8にボルトで取り付けることにより旋回フレーム1に設置する。
次いで、こうして設置した後部支柱4a,4b及び前部支柱4c,4dの上端部にボルトや溶接等適宜の手段で運転室用保護構造体3を取り付けて、これを、図3及び図4に示すように後部支柱4a,4bや前部支柱4c,4dで支持する。その場合、運転室用保護構造体3は、主として後部支柱4a,4bで支持し、前部支柱4c,4dでは補助的に支持するので、建設機械の横転時に運転室用保護構造体3が受ける衝撃に対抗できるように後部支柱4a,4bの強度(太さ等)を適切に選定すれば、前部支柱4c,4dを設けずに、運転室用保護構造体3を後部支柱4a,4bだけで支持するようにすることも可能である。しかしながら、ここに示す例では、運転室用保護構造体3を前部支柱4c,4dで補助的に支持することにより、後部支柱4a,4bの強度を徒に増強しなくても済むようにしている。
カバー7の左右の端部には、左右下方の分割片4a1,4b1の各上端部に付設した連結用のブラケット4a3,4b3のボルト孔と合致させることができるボルト孔を設けている。このカバー7は、下方の分割片4a1,4b1に上方の分割片4a2,4b2を連結していないときに、下方の分割片4a1,4b1の各上端部側をなす連結用のブラケット4a3,4b3に架け渡した後、この連結用のブラケット4a3,4b3を利用して取り付ける。すなわち、カバー7の左右両端部のボルト孔を連結用のブラケット4a3,4b3の所定のボルト孔と合致させて、これらのボルト孔に前記連結用のボルト乃至は専用のボルトを通すことにより、カバー7を下方の分割片4a1,4b1の各上端部にボルトで締結する。こうしてカバー7を下方の分割片4a1,4b1の上端部側に取り付けたときには、カバー7は、図1に示すように上面が建屋の上面と揃うとともに後面が建屋の前面と接した状態でセットされる。
以上のような構造を備えた図1乃至図4に図示の建設機械について、その作用効果を説明する。
本建設機械に対し、運転室用保護構造体3を設置して運転室2の頂部上に配置した場合には、運転室用保護構造体3を運転室2の左の側面部2eよりも側部を外方に若干張り出すようにしているので、建設機械が万一横転したときでも、運転室2の頂部上の運転室用保護構造体3が最初に地面に衝突して、その衝突時の衝撃を運転室用保護構造体3が直接受けることとなり、その衝撃を、従来のように運転室3が直接受けるのを防ぐことができる。なお、右側に横転したときには、運転室2の右の側面部2eは、旋回フレーム1の右の側部からかなり離れており、しかも、運転室2の右側には、作業装置(フロント)が設置されているので、運転室2がもろに地面に衝突するようなことはほとんどない。
建設機械の横転時の衝撃により運転室用保護構造体3が受ける負荷は、旋回フレーム1に設置した後部支柱4a,4bや前部支柱4c,4dに伝達されて旋回フレーム1に作用し、運転室2には直接的に作用しないので、建設機械の総重量が通常よりかなり大きい場合でも、運転室2が従来のように大きく変形することは防ぐことができる。そのため、こうした運転室用保護構造体3を、特殊アタッチメントを使用する場合等運転室を特別に保護することが必要なときに既述の態様で設置すれば、運転室2を保護して運転室2内のオペレータの安全を図ることができる。
本建設機械では、運転室用保護構造体3の中心的な支柱である後部支柱4a,4bについて、その構成部材である下方の分割片4a1,4b1を旋回フレーム1上の運転室2の後方に予め立設しているので、運転室を特別に保護することが必要なときには、この予め立設された下方の分割片4a1,4b1の上端部に上方の分割片4a2,4b2を連結用のブラケット4a3,4b3を介して連結することにより、後部支柱4a,4bを簡単に組み立てて設置することができる。また、補助的な柱である前部支柱4c,4dについても、下端部を前部支柱用のブラケット6に取り付けることにより必要時に簡単に設置することができる。そして、こうして設置した後部支柱4a,4bや前部支柱4c,4dにより運転室用保護構造体3を支持すれば、運転室用保護構造体3を運転室2の頂部上に配置するように設置することができる。
本建設機械では、後部支柱4a,4bを設けるに当たって、下方の分割片4a1,4b1を、旋回フレーム1上の運転室2の後方に、建屋等の既設の設備を害しないように予め計画的に立設することができるので、運転室用保護構造体3を後から設置する場合に、建屋の開閉装置5等、運転室3の後方付近の既設の設備に大きな改造を加えることを要しない。また、前部支柱4c,4dを後から設置する場合も、当然、既設の設備に改造を加えることを要しない。したがって、本建設機械によれば、横転したときに運転室2内のオペレータの安全を図ることができる手段を、必要なときに、大がかりな改造を要することなく追加することができる。そのため、オペレータの安全を図る手段を必要に応じて経済的に設置することができて、オペレータの安全対策を適時簡便に講じることができる。
本建設機械では、後部支柱4a,4bのほか前部支柱4c,4dを必要に応じて特別に設置できるようにしているので、運転室用保護構造体3が地面に衝突して衝撃を受けた場合には、運転室用保護構造体3を主として後部支柱4a,4bで支持するものの、その衝撃により運転室用保護構造体3が受ける負荷を、この負荷の状態に応じて後部支柱4a,4bと前部支柱4c,4dとに適宜分散して伝達しながら、後部支柱4a,4bと前部支柱4c,4dとで協働して運転室用保護構造体3を支持することができる。そのため、後部支柱4a,4bは、強度を徒に増強しなくても、運転室用保護構造体3にかかる衝撃による負荷を確実に受け止めて旋回フレーム1に伝達することができる。
本建設機械では、左右の下方の分割片4a1,4b1を、建屋の高さと同程度の高さに形成して、建屋の左右の側部に隣接するように運転室2の後方に配置するようにしているので、これらの分割片4a1,4b1に上方の分割片4a2,4b2が連結されていない建設機械の標準的な使用時には、下方の分割片4a1,4b1を建屋の外観と側面視において融合させることができる。さらに、下方の分割片4a1,4b1の上端部側に架け渡して同分割片4a1,4b1を上方から見えないように覆うことができるカバー7を備え付けているので、建設機械の標準的な使用時にこのカバー7を下方の分割片4a1,4b1の上端部側に架け渡して取り付けることにより、下方の分割片4a1,4b1を露出させないようにカバー7で覆うことができて、同分割片4a1,4b1を建屋の外観と平面視でも融合させることができる。以上の結果、下方の分割片4a1,4b1を旋回フレーム1上に予め立設しても、運転室2の後方の上部旋回体の外観が損なわれない。
また、このように下方の分割片4a1,4b1をカバー7で覆うことにより、下方の分割片4a1,4b1の上端部側をなす連結用のブラケット4a3,4b3は、汚損されないようにカバー7により保護されて、上方の分割片4a2,4b2を適正に連結できるように常に良好な状態に保持される。さらに、カバー7の左右の端部には、下方の分割片4a1,4b1に付設した連結用のブラケット4a3,4b3のボルト孔と合致させることができるボルト孔を設けることにより、下方の分割片4a1,4b1の上端部側に架け渡したカバー7を、連結用のブラケット4a3,4b3を利用してボルトで取り付けることができるようにしているので、上方の分割片4a2,4b2を連結するための下方の分割片4a1,4b1の連結用のブラケット4a3,4b3を、カバー7の取付けのためにも利用することができて二重に活用することができる。
本発明を具体化した建設機械の要部の側面図で、運転室用保護構造体を設置していないときの状態を示す図である。 図1の建設機械の斜視図である。 本発明を具体化した建設機械の要部の側面図で、運転室用保護構造体を設置しているときの状態を示す図である。 図3の建設機械の斜視図である。
符号の説明
1 旋回フレーム
2 運転室
2a (運転室2の)上面部
2b フロントピラー
2c センタピラー
2d リヤピラー
2e (運転室2の)側面部
2f (運転室2の)後面部
2g フロントガラス
2h (運転室2の)乗降用のドア
3 運転室用保護構造体
4a,4b 後部支柱
4a1,4b1 (後部支柱4a,4bの)下方の分割片
4a2,4b2 (後部支柱4a,4bの)上方の分割片
4a3,4b3 連結用のブラケット
4c,4d 前部支柱
5 建屋の開閉装置
6 前部支柱用のブラケット
7 カバー
8 後部支柱用のブラケット

Claims (2)

  1. 旋回フレームとこの旋回フレーム上に設置される運転室とこの運転室に後続するように旋回フレーム上に設置される建屋とを備えた建設機械に対し、運転室の頂部上に配置して建設機械の横転時に運転室が直接衝撃を受けるのを防止するための運転室用保護構造体を、必要なときに設置することができるようにした建設機械であって、運転室用保護構造体を支持するための支持構造部材を高さ方向で分割した支持構造部材の分割片のうちの下方の分割片を旋回フレーム上の運転室の後方に予め立設するようにしたことを特徴とする建設機械。
  2. 請求項1に記載の建設機械において、運転室の後方に立設する下方の分割片を建屋の高さと同程度の高さの支柱に形成して、建屋の左右の側部に隣接するように左右に配置した上で、各下方の分割片の上端部側に架け渡してこれら下方の分割片を上方から見えないように覆うことができるカバーを備え付けるとともに、下方の分割片の上端部側に他の分割片を着脱可能に連結するための連結手段を付設しておき、下方の分割片に他の分割片を連結していないときに、この連結手段を利用して、下方の分割片の上端部側に架け渡した前記カバーを同分割片に取り付けることができるように構成したことを特徴とする建設機械。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR2910411A1 (fr) * 2006-12-21 2008-06-27 Brevet Soc Par Actions Simplif Ensemble formant une structure de protection de la cabine d'un vehicule industriel notamment d'un vehicule utilise dans une carriere.
WO2013050885A1 (en) 2011-10-07 2013-04-11 Merli Giovanni A vehicle upper protection structure

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