JP2005166967A - 複合磁性粒子 - Google Patents

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Abstract


【課題】 磁性を有するとともに、黒色系、赤色系、黄色系を含む各種の色調を備えてなる、セキュリテイー用途やバイオ、生化学用途にとくに適した複合磁性粒子を提供することを目的とする。

【解決手段】 平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある酸化物磁性粒子またはこの酸化物磁性粒子に平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある顔料粒子を加えた混合粒子とシリカとからなり、酸化物磁性粒子に基づく磁性を有し、かつ酸化物磁性粒子またはこれと顔料粒子に基づく所定の色調を有する複合磁性粒子、とくに、シリカが上記の酸化物磁性粒子または混合粒子の表面に被膜として形成されてなる上記構成の複合磁性粒子、また平均粒子サイズが0.5〜10μm、飽和磁化が0.5〜20A・m2 /kg(0.5〜20emu/g)の範囲にある上記構成の複合磁性粒子。

【選択図】 なし

Description

本発明は、磁性と同時に各種の色調を有する複合磁性粒子に関し、とくにセキュリテイー用途やバイオ、生化学用途などに適した複合磁性粒子に関する。
従来、磁性粒子は、磁気記録媒体を初めとして各種の用途に利用されている。これは、磁性粒子が外部磁界で磁化することにより、磁性粒子が磁界を発生し、この磁界をセンサーで測定することにより、磁性粒子の存在を検出したり、磁化の向きを検出して信号を記録再生するものである。また、原料中から特定の生体物質を磁性粒子に結合させたのち、磁石でこの磁性粒子を集めて結合物質を取り出す工程において、磁性粒子を捕集する手段として、バイオや生化学の分野で利用されている。
磁性粒子は、酸化物粒子でも、金属粒子でも、通常、色調は黒色または黒茶色である。磁性粒子を磁気記録などの用途に使用する場合、磁性粒子の色調は黒色または黒茶色で問題ないが、磁性粒子を顔料として使用する場合、磁性粒子が黒色または黒茶色以外の色調を有していれば、用途が拡大する。黒色または黒茶色以外の色調を有する磁性粒子としては、たとえば、本発明者の一人が、黄色または黄緑色の色調を有する磁性粒子として希土類鉄ガーネット粒子を提案している(特許文献1,2参照)
このような磁性粒子をカラー顔料として利用するには、上述したような黒色または黒茶色系の色調や黄色または黄緑色系の色調だけでなく、さらに広範囲の色調が必要である。とくにセキュリテイー用途では、磁性を有するカラー顔料のニーズが大きいが、黒色、黒茶色と黄色、黄緑系だけでは、セキュリテイー用途としては不足で、セキュリテイー性を高めるためには、できる限り多くの色調を揃える必要がある。
また、たとえば、黒色、黒茶色の磁性粒子や黄色、黄緑系の磁性粒子と磁性を有さない各種のカラー顔料粒子とを混合して使用することもできるが、これらの2種の粒子の比重や表面性などの性質が大きく異なるため、インクを調製するときに相分離しやすく均一な色調のインクの調製が困難になる。またさらに、たとえば、黄色または黄緑色系の色調を有する希土類鉄ガーネット粒子は、一般的に粒子形状が不均一なものが多く、そのままでは均一なインクを調製することが困難である。
バイオの分野では、蛍光色素や蛍光顔料を比率や量を変えて担持した磁性粒子に特定の抗体やオリゴマーを結合させ、この蛍光の種類を測定することにより磁性粒子を識別しながら、特定の抗体やオリゴマーを通して特異的に結合した各種の生体物質を分析する方法が実用化されている。この方法では、磁性粒子を微妙な蛍光の違いにより識別する必要があるため、高感度の高価な蛍光分析装置が必要になる。
特開2000−211924号公報 特開2000−252120号公報
本発明は、このような事情に照らし、磁性を有するとともに、黒色系、赤色系、黄色系を含む各種の色調を備えてなる、セキュリテイー用途やバイオ、生化学用途にとくに適した複合磁性粒子を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、酸化物磁性粒子またはこれに顔料粒子を加えた混合粒子を、シリカの被膜で被覆して、一体化することにより、酸化物磁性粒子に基づく磁性を維持しつつ、上記磁性粒子またはこれと顔料粒子に基づく各種の色調を有する複合磁性粒子が得られ、この複合磁性粒子は上記シリカの被覆でほぼ球状粒子となり、インク化特性にすぐれたものとなることがわかった。
とくに、酸化物磁性粒子が希土類鉄ガーネット粒子などであると、一般的に粒子形状が不均一なものが多く、そのままでは均一なインクを調製しにくいが、この磁性粒子をシリカで被覆して球状の粒子とすると、インク化特性にすぐれた複合磁性粒子となることがわかった。また、酸化物磁性粒子と顔料粒子を組み合わせ使用する場合に、両者をただ単に混合したのでは、インク調製時に相分離しやすく均一な色調のインクを調製しにくいが、酸化物磁性粒子に顔料粒子を加えた混合粒子をシリカで被覆して一体化すると、相分離の問題もなく均一な色調のインクを調製できることがわかった。
さらに、この複合磁性粒子は、上記すぐれたインク特性を利用して、磁性と同時に各種の色調を有するセキュリテイー用途に利用でき、また、可視領域で色調の違いにより磁性粒子を識別できるので、この複合磁性粒子のシリカ表面に特定の表面物質を固定しておくことにより、高価な装置を必要とせずに汎用の光学顕微鏡を用いて、これらの表面物質と特異的に結合する生体物質を、磁性粒子の色調から識別し、分析することが可能となり、バイオ、生化学用途に最適なものとなることがわかった。
本発明は、このような知見をもとにして、さらに広範囲の実験検討を繰り返した結果、完成されたものである。すなわち、本発明は、平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある酸化物磁性粒子またはこの酸化物磁性粒子に平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある顔料粒子を加えた混合粒子とシリカとからなり、酸化物磁性粒子に基づく磁性を有し、かつ酸化物磁性粒子またはこれと顔料粒子に基づく所定の色調を有する複合磁性粒子に係るものである。
とくに、本発明は、上記の酸化物磁性粒子が、マグネタイト粒子、ガンマヘマタイト粒子、マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、希土類鉄ガーネット粒子、ビスマス置換希土類鉄ガーネット粒子の中から選ばれた少なくとも1種である上記構成の複合磁性粒子、上記の顔料粒子が、無機顔料粒子である上記構成の複合磁性粒子、上記の無機顔料粒子が、二酸化チタン粒子または複合酸化物粒子の中から選ばれた少なくとも1種である上記構成の複合磁性粒子、上記の複合酸化物粒子が、チタン、アンチモン、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガンの中から選ばれた少なくとも2種の元素からからなる酸化物である上記構成の複合磁性粒子を、提供できるものである。
また、本発明は、酸化物磁性粒子またはこれに顔料粒子を加えた混合粒子の粒子表面にシリカが被膜として形成されてなる上記構成の複合磁性粒子、上記シリカの被膜表面に、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基、メタクリル基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する上記構成の複合磁性粒子、平均粒子サイズが0.5〜10μm、飽和磁化が0.5〜20A・m2 /kg(0.5〜20emu/g)の範囲にある上記各構成の複合磁性粒子に係るものである。
このように、本発明は、黒色系、赤色系、黄色系の色調を有する各種の酸化鉄磁性粒子またはこれに各種の色調を有する顔料粒子を加えた混合粒子をシリカの被膜で被覆したことにより、磁性と同時に各種の色調を有し、この特性を活かしてセキュリテイー用途や、バイオ、生化学の分野に最適な複合磁性粒子を提供することができる。
本発明における酸化物磁性粒子は、とくに限定されるものではないが、マグネタイト粒子、ガンマヘマタイト粒子、マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、希土類鉄ガーネット粒子、ビスマス置換希土類鉄ガーネット粒子などが、好ましく用いられる。
これらの酸化物磁性粒子の中で、マグネタイト粒子は黒色系の色調が、ガンマヘマタイト粒子は茶色系の色調が、マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子とガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子は赤色または赤茶色系の色調が、それぞれ得られやすい。また、希土類鉄ガーネット粒子やビスマス置換イットリウム鉄ガーネット粒子は黄色または黄緑色の色調が得られやすい。
このような酸化物磁性粒子の粒子サイズは、平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にあるのが望ましい。平均粒子サイズが上記の範囲外となると、複合磁性粒子として最適な粒子サイズを有するものを得にくく、インクの分散性、磁性、色調の均一性などの諸性能ををすべて満足する複合磁性粒子を得にくくなる。

なお、本明細書において、平均粒子サイズは、走査型電子顕微鏡写真上で、300個の粒子のサイズを測定し、その平均値から求められる値である。
このような酸化物磁性粒子の製造方法としては、とくに限定されない。以下に、酸化物磁性粒子の代表的な製造方法として、(1)マグネタイト粒子の製造方法、(2)マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の製造方法、(3)希土類鉄ガーネット粒子の製造方法について、詳しく説明する。
(1)マグネタイト粒子の製造方法
マグネタイト粒子は、鉄塩水溶液中の酸化反応を用いて、製造できる。
硫酸第一鉄(FeSO4 ・6H2 O)を溶解した2価のFeイオン水溶液に、NaOH水溶液を滴下し、水酸化第一鉄〔Fe( OH)2〕を析出させる。この水酸化第一鉄の懸濁液のpHを9〜10に調整したのち、空気を吹き込んで酸化し、マグネタイト粒子を成長させる。pHが上記範囲より小さいと、マグネタイトの析出が遅くなり、上記範囲より大きいと、ゲーサイト(α−FeOOH)が生成しやすくなる。
空気吹き込み速度と懸濁液の保持温度は、マグネタイト粒子の粒子サイズに大いに影響を与える。空気吹き込み速度は100〜400リットル/時間、懸濁液の保持温度は50〜90℃に調整するのがよい。空気吹き込み速度が大きくなるにつれて、マグネタイトの結晶成長が速くなり、粒子サイズが小さくなる。空気吹き込み速度が小さすぎたり、大きすぎたりすると、マグネタイト以外の物質が混在析出しやすい。保持温度が高くなるほどマグネタイトの結晶が成長しやすくなり、粒子サイズが大きくなる。保持温度が低すぎると、ゲーサイト(α−FeOOH)粒子が生成しやすくい。

このような方法により、平均粒子サイズとして0.02〜0.5μmの黒色または黒茶色の色調を有するマグネタイト粒子を製造できる。
(2)マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の製造方法
マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子は、マグネタイト粒子を、空気中で加熱して酸化処理することにより、製造できる。

酸化処理に際して、最適加熱温度は、マグネタイト粒子の粒子サイズにより異なり、一般に粒子サイズが小さくなるほど、最適加熱処理温度は低くなるが、300〜800℃の温度範囲とするのが好ましい。加熱温度が300℃より低いと、酸化が不十分となり、ガンマへマタイト(γ−Fe2 3 )による茶色の粒子となる。また、800℃よりも高いと、赤色の粒子が得やすくなるが、酸化が進行しすぎて、磁性を有さないアルファヘマタイト(α−Fe2 3 )が生成しやすくなる。

加熱時間は1〜10時間が好ましい。加熱時間が短いと、酸化が不十分となり、その結果、鮮やかな赤色の色調を有する酸化鉄粒子が得られにくい。また、加熱時間が長いと、酸化が過度に進行し、飽和磁化の低い酸化鉄磁性粒子になりやすい。
このような方法により、平均粒子サイズが0.02〜0.5μm、保磁力が2.39〜15.93kA/m(30〜200エルステッド)、飽和磁化が0.5〜40A・m2 /kg(0.5〜40emu/g)の範囲にある、赤色または赤茶色の色調を有するマグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子が得られる。

なお、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子は、上記したマグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の製造方法において、マグネタイトがガンマヘマタイトに代わるだけであり、基本的には上記と同じ方法で製造できる。
(3)希土類鉄ガーネット粒子の製造方法
希土類鉄ガーネット粒子は、a)希土類元素と鉄イオンを含む酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して、希土類元素と鉄の共沈物を得る工程、b)この共沈物に水の存在下で融剤を加えて懸濁液を得る工程、c)この懸濁液から水を除去して共沈物と融剤の混合物を得る工程、d)この混合物を600〜1,200℃で加熱処理して、希土類鉄ガーネット粒子を析出させる工程、およびe)この析出後に融剤を水洗除去して希土類鉄ガーネット粒子を取り出す工程により、工業的に製造することができる。以下に、希土類として、Y(イットリウム)を使用する場合を例にとり、詳しく説明する。
まず、a)工程においては、イットリウムと鉄を含む酸性水溶液、つまり、式:Y3 Fe5 12で表されるイットリウム鉄ガーネットを構成する基本元素を含む酸性水溶液と、アルカリ水溶液とを混合して、イットリウムと鉄の共沈物、つまり、イットリウム鉄ガーネットを構成する基本元素の共沈物を得る。

ここで、上記の酸性水溶液とは、イットリムと鉄とを基本成分とした金属の酸性塩の水溶液であり、酸性塩の種類はとくに限定されないが、水洗後に不純物が残留しにくい硝酸塩や塩化物などを使用するのが好ましい。
なお、イットリウムの一部をBi(ビスマス)で置換すると、イットリウム鉄ガーネットを生成するための熱処理温度が低くなり、また粒子の色調が明るいものが得られやすいため、イットリウムの一部をビスマスで置換するのが好ましい。

この際のイットリウムの置換量は、Bi/(Y+Bi)で表して、1〜50モル%が好ましい。Biの置換量がこの範囲より少ないと、反応温度低減の効果が少なく、またこの範囲より多いと、飽和磁化量が過度に低下するため、好ましくない。
また、アルカリ水溶液としては、NaOH、KOH、アンモニアなどのアルカリ水溶液が用いられる。イットリウムおよび鉄イオンは共に3価であるため、共沈物を生成させるには、アルカリイオンは最低3倍モル等量以上必要である。

しかしながら、最終的に飽和磁化の大きいイットリウム鉄ガーネット粒子を得るためには、4倍モル等量以上の過剰アルカリイオンの存在下で共沈物を生成するのが好ましい。アルカリイオンの上限はとくにないが、濃度が高すぎると水洗時の効率が悪くなるため、12倍モル等量以下とするのが好ましい。
つぎに、b)工程においては、上記の共沈物を十分に水洗して、余剰のアルカリイオンなどを除去したのち、融剤が溶解できる程度に水を残留させた状態で融剤を加え、この融剤を撹拌溶解させて、融剤と共沈物の均一懸濁液を得る。撹拌溶解が十分でないと、次工程で共沈物と融剤との均一混合物を得にくい。

融剤には、Na、K、Liなどのアルカリ金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物などが好ましく用いられる。融剤の使用量は、最終的に得られるイットリウム鉄ガーネット粒子に対し、100重量%以上、好ましくは200重量%以上であるのがよく、これにより上記磁性担体に最適な希土類鉄ガーネット粒子が得られる。
ついで、c)工程においては、上記の懸濁液から水を除去して共沈物と融剤との均一混合物を得るものである。水の除去方法としては、たとえば、空気中で直接加熱乾燥して水だけを蒸発除去する方法などがある。

続いて、d)工程においては、上記の混合物を加熱処理して、融剤中にイットリウム鉄ガーネットの微粒子結晶を析出させる。加熱処理温度は、融剤の融点以上の温度として、600〜1,200℃の範囲において融剤の種類に応じた適宜の温度を選択すればよい。なお、加熱処理に先立ち、上記の混合物をあらかじめプレスなどにより成形しておくと、YとFeが融剤中で反応しやくなり、飽和磁化の増大およびより明るい色調の発現に寄与させることができるので,望ましい。
最後に、e)工程においては、上記のイットリウム鉄ガーネット微粒子結晶の析出後、融剤を水洗除して、微粒子結晶を取り出すものである。この取り出し後、乾燥することにより、酸化物磁性粒子が得られる。

この酸化物磁性粒子は、式:Y3 Fe5 12で表されるイットリウム鉄ガーネットを基本組成とし、平均粒子サイズが0.05〜5.0μm、保磁力が2.39〜15.93kA/m(30〜200エルステッド)、飽和磁化が1〜30A・m2 /kg(1〜30emu/g)の範囲にある、黄色または黄緑色の色調を有するものである。
本発明における顔料粒子には、有機顔料粒子、無機顔料粒子のいずれも使用することができる。しかし、無機顔料粒子は、化学的安定性にすぐれており、またシリカの被膜で被覆する際に、酸化物磁性粒子と比重が近いため、均一な被膜を形成しやすい利点がある。このため、とくに好ましくは無機顔料粒子を使用するのがよい。
無機顔料粒子としては、たとえば、白色系の顔料粒子として、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらの中でも、二酸化チタンが隠蔽性が大きいため、とくに好ましく用いられる。

また、その他の色調を有する無機顔料粒子として、チタン、アンチモン、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガンの中から選ばれた少なくとも2種の元素からなる複合酸化物顔料粒子が好ましく用いられる。たとえば、コバルト−アルミニウム複合酸化物は、赤みのある青色の色調を得やすく、チタン−亜鉛−コバルト−ニッケル複合酸化物は、黄みのある緑色の色調が得やすい。
このような顔料粒子の粒子サイズは、酸化物磁性粒子の場合と同様に、平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にあるのが望ましい。平均粒子サイズが上記の範囲外となると、これと酸化物磁性粒子を組み合わせてシリカで被覆してなる複合磁性粒子として、最適な粒子サイズを有するものを得にくく、インクの分散性、磁性、色調の均一性などの諸性能ををすべて満足する複合磁性粒子を得にくくなる。
本発明においては、前記の酸化物磁性粒子またはこれに上記の顔料粒子を加えた混合粒子を使用し、これをシリカの被膜で被覆して、複合磁性粒子とする。

酸化物磁性粒子と顔料粒子との混合粒子とする場合、両者の混合割合としては、目的とする色調により異なるが、通常は、酸化物磁性粒子に対して顔料粒子を50〜500重量%混合するのが好ましく、より好ましくは100〜400重量%混合するのがよい。上記割合より少ないと、ほとんど酸化物磁性粒子が有する色調になり、顔料粒子が有する色調が出にくくなる。また、上記割合より多いと、飽和磁化が小さくなり、磁石や磁気ヘッドなどの磁気デバイスへの感応性が低下しやすい。
本発明において、酸化物磁性粒子またはこれに顔料粒子を加えた混合粒子に、シリカの被膜を形成する方法は、とくに限定されない。

以下に、酸化物磁性粒子としてイットリウム鉄ガーネット粒子を使用し、これに顔料粒子として代表的な白色顔料である二酸化チタン粒子を混合した混合粒子に対して、シリカの被膜を被着形成する方法を例にとり、説明する。
最初に、イットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子とを、所定の割合となるように乳鉢で混合して、混合粒子とする。この混合粒子に珪酸ナトリウムの水溶液を所定量加えて、珪酸ナトリウムの水溶液中に混合粒子を分散させる。

珪酸ナトリウムの添加量は、SiO2 に換算して、混合粒子に対し10〜300重量%が好ましく、より好ましくは15〜250重量%である。添加量が少ないと、大きな飽和磁化が得られやすい反面、粒子を均一に被覆することが困難になる。また、添加量が多いと、飽和磁化が小さくなり磁界応答性が低下する。
上記の珪酸ナトリウムを溶解した混合粒子の懸濁液とは別に、有機溶媒に所定量の界面活性剤を溶解する。有機溶媒としては、水に対する溶解度が低いものが好ましく、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが好ましい有機溶媒として使用できる。

また、乳化剤として使用する界面活性剤には、ソルビタン脂肪酸エステル系の界面活性剤が好ましく、たとえば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレートなどが好適なものとして使用できる。
つぎに、前記の珪酸ナトリウムを溶解した混合粒子の懸濁液に対して、上記の界面活性剤を溶解した有機溶媒を混合し、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの強力な撹拌機を用いて撹拌し、W/O型のエマルジョンを調製する。撹拌時間は、撹拌機の能力によるが、1〜30分程度とするのが好ましい。

撹拌時間が短すぎると、均一なサイズのエマルジョン粒子を得にくくなり、また撹拌時間が長すぎると、撹拌エネルギーにより酸化物磁性粒子とシリカが反応して、目的とする構造を持たない粒子が生成しやすくなる。
このように調製されるエマルジョン粒子は、有機溶媒中で混合粒子と珪酸ナトリウム水溶液が界面活性剤により包み込まれた構造を有している。

つぎに、このエマルジョン粒子の懸濁液を、アンモニウム塩を溶解した水溶液に滴下する。珪酸ナトリウム水溶液はアルカリ性であるため、珪酸ナトリウムはアルカリ領域では水に溶解しているが、中性領域で不溶性となる。したがって、アンモニウム塩により中和され、シリカとなって析出する。その結果、混合粒子を含有するようにシリカの被膜で覆われた、球状の複合磁性粒子が生成する。
このシリカ析出工程において、エマルジョン懸濁液はアンモニウム塩水溶液に滴下することにより、徐々に析出させるのが好ましい。滴下時間は10分〜3時間が好ましく、短すぎるとシリカ被膜に欠陥が生じたり、表面に凹凸が生じやすく、長すぎると特性上とくに問題となることはないが、合成時間が長くなるだけで、意味がない。

中和のために用いられるアンモニウム塩としては、硫酸塩や炭酸塩などが好ましいものとして使用できる。たとえば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが好適なものとして使用できる。
このシリカ析出後、純水で十分に水洗し、ろ過したのち、空気中、たとえば60℃で4時間程度乾燥させることにより、目的とする複合磁性粒子が得られる。

この複合磁性粒子は、イットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子とからなる混合粒子がシリカで被覆された構造を有し、平均粒子サイズが0.5〜10μmの範囲にある球状の形状で、白色または黄白色の色調を有している。
なお、上記の例は、イットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子とからなる混合粒子をシリカで被覆する例を示したものであるが、これ以外の酸化物磁性粒子と顔料粒子とからなる混合粒子をシリカで被覆する場合や、イットリウム鉄ガーネット粒子やマグネタイト粒子などの酸化物磁性粒子単独をシリカで被覆する場合も、基本的には、上記と同様の方法で、シリカの被膜を形成することができる。

酸化物磁性粒子単独をシリカで被覆する場合、色調は酸化物磁性粒子が有する色調と変わらないが、シリカで覆われた球状粒子が得られることで、インク特性や各種溶媒中での分散性、流動性が向上してくるなどの利点がもたらされる。
本発明の複合磁性粒子は、このような酸化物磁性粒子またはこれに顔料粒子を加えた混合粒子がシリカの被膜で被覆された構造を有し、磁性と同時に各種の色調を備えてなり、平均粒子サイズが0.5〜10μm、とくに好ましくは1.0〜8μmの範囲にあり、飽和磁化が0.5〜20A・m2 /kg(0.5〜20emu/g)、とくに好ましくは 1.0〜10A・m2 /kg(1.0〜10emu/g)の範囲にある。

このような複合磁性粒子は、可視領域で色調の違いにより磁性粒子を識別できるので、この複合磁性粒子のシリカ表面に特定の物質を固定化しておくことにより、高価な装置を必要とせず汎用の光学顕微鏡を用いて、上記の表面物質と特異的に結合する生体物質を、磁性粒子の色調から識別し、分析することが可能になる。
複合磁性粒子の粒子表面に、上記した生体物質と特異的に結合する特定の物質を固定化するためには、まず、複合磁性粒子の粒子表面に、各種の官能基を導入する必要がある。この官能基としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基、メタクリル基がとくに有効である。

このような官能基の導入方法としては、各種の方法があるが、以下に、シランカップリング剤による官能基の導入方法を例に取り、説明する。
複合磁性粒子を、水に対し1〜40重量%になるように水中に分散し、この分散液にシランカップリング剤溶液を加える。シランカップリング剤溶液は、そのままでもよいし、水、アルコール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、これらの混合溶媒などで希釈して用いてもよい。

シランカップリング剤の量は、複合磁性粒子に対して、0.01〜20重量%の範囲とするのが好ましい。シランカップリング剤の量が上記範囲より少ないと、固定化できる生体物質の量が減少し、多すぎると、シランカップリング剤が粒子表面に均一に結合しにくくなるため、固定化効率が逆に劣る傾向にある。
シランカップリング剤には、生体物質(生理活性物質)に対して親和性のある官能基、たとえば、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基などを有するものを使用できる。

これらの官能基を含有するシランカップリング剤としては、たとえば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
シランカップリング剤による処理時間は、1〜4時間程度が好ましい。処理時間が短すぎると、複合磁性粒子の粒子表面におけるシリカ被覆層へのシランカップリング剤の結合が不十分になる。処理時間が長すぎると、反応時に生成するアルコールなどが悪影響を及ぼすためか、シランカップリング剤の未反応のアルコキシ基が残存して、好ましくない。この反応混合物を水洗し、ろ過、乾燥する。このような方法により、複合磁性粒子の粒子表面に各種の官能基を有するシランカップリング剤を結合できる。
このように官能基を導入した複合粒子は、既述のとおり、可視領域で色調の違いによる磁性粒子の識別性を利用し、高価な装置を必要とせず汎用の光学顕微鏡を用いて、これらの表面固定化物質と特異的に結合する生体物質を分析できる。

たとえば、官能基を導入した色調の異なる複合磁性粒子のそれぞれに、構造の明らかなオリゴDNAを結合させる。つぎに、これらの複合粒子の混合分散液に、分析したいDNAを添加してハイブリタリゼーション反応させる。この際、このDNAには、通常の方法により蛍光色素で染色しておく。
反応後、洗浄し、未反応物を除去したのち、スライドガラス上にこの複合磁性粒子の分散液を滴下して、粒子をスライドガラス上に広げ、溶媒を乾燥させる。この反応により、特定のオリゴDNAに結合したDNAのみが、複合磁性粒子の表面に残り、染色した蛍光色素が蛍光を発する。この蛍光は、通常の蛍光顕微鏡により容易に観察できる。つぎに、同じ視野で、蛍光顕微鏡を通常の可視の顕微鏡に切り替え、カラー複合粒子の色調を観察すれば、どの色調の磁性粒子が蛍光を発していたか容易に識別できる。
このような方法により、高価な装置を用いることなく、バイオ分野におけるSNP(一塩基多型)分析や、その他の生体物質の分析を容易に行える。また、上記の例は、DNAを解析する例であるが、官能基を導入した複合磁性粒子に結合させる物質の種類を変えれば、上記と同様にして蛋白質なども分析できることは言うまでもない。
以下に、本発明の実施例として「実施例1〜8」を記載し、併せて「実施例4」と対比させるための「比較例1」、「実施例6」と対比させるための「比較例2」を記載して、本発明をより具体的に説明する。
<希土類鉄ガーネット粒子の製造>
ベースとなる色調が黄色または黄緑色を得るのに適した酸化物磁性粒子として、希土類鉄ガーネット粒子の製造方法について、希土類元素としてイットリウムを用いた場合を例にとり、説明する。

硝酸イットリウム0.1モルと硝酸鉄0.1785モルとを2,000ccの水に溶解したのち、硝酸ビスマス0.007モルを溶解した12Nの硝酸溶液100ccと混合した。この硝酸塩水溶液を、3.415モルの水酸化ナトリウムを2,000ccの水に溶解した水溶液に、撹拌しながら約30分かけて滴下し、イットリウムとビスマス、鉄の共沈物を生成させた。この共沈物を中性付付近になるまで水洗したのち、ろ過して、共沈物を取り出した。
この共沈物を別の容器に入れ、これに融剤として臭化カリウム0.857モルと水500ccを加え、臭化カリウムが水に溶解するまで撹拌混合し、共沈物が臭化カリウム水溶液中に均一に分散した懸濁液を得た。つぎに、この懸濁液をバットに取り出し、90℃で乾燥させて水を除去し、共沈物と臭化カリウムの均一混合物を得た。この混合物を乳鉢で軽く解砕したのち、プレス成形した。この成形物をルツボに入れ、850℃で2時間加熱処理して、臭化カリウム中にイットリウム鉄ガーネット粒子を析出させた。最後に、この加熱処理物を水洗して、臭化カリウムを溶解除去し、取り出した。

このようにして得られたイットリウム鉄ガーネット粒子は、平均粒子サイズが0.32μmの球状ないし楕円状の形状を有しており、保磁力が5.17kA/m(65エルステッド)で、飽和磁化が24.3A・m2 /kg(24.3emu/g)であり、黄緑色の色調を有していた。
<シリカ被覆希土類鉄ガーネット粒子の製造>
上記のイットリウム鉄ガーネット粒子10gを、純水130g中に分散させた。これに21.9gのケイ酸ナトリウムを溶解した。このケイ酸ナトリウムを溶解したイットリウム鉄ガーネット粒子の分散液とは別に、470ccのヘキサンに界面活性剤として7.0gのソルビタンモノラウレートを溶解した。この界面活性剤を溶解したヘキサンを、ケイ酸ナトリウムを溶解したイットリウム鉄ガーネット粒子の分散液と混合した。この混合液をホモミキサーで10分間撹拌分散し、エマルジョン分散液を調製した。
つぎに、300gの硫酸アンモニウムを1,500ccの純水に溶解し、これを撹拌しながら、これに上記のエマルジョン分散液を、約30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を行った。この硫酸アンモニウムによる中和反応により、イットリウム鉄ガーネット粒子を包含するようにシリカが析出して、被膜が形成された。

このようにして得られたシリカ被覆イットリウム鉄ガーネット粒子からなる複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約5μmの球状であり、保磁力が5.17kA/m(65エルステッド)、飽和磁化が14.0A・m2 /kg(14.0emu/g)であり、白色がかった黄緑色の色調を有していた。走査電子顕微鏡写真から、イットリウム鉄ガーネット粒子の集合体がシリカで被覆された構造を有していることが認められた。
<マグネタイト粒子の製造>
ベースとなる色調が黒色または黒茶色を得るのに適した酸化鉄磁性粒子として、マグネタイト粒子の製造方法について、説明する。

100gの硫酸第一鉄(FeSO4 ・7H2 O)を1,000ccの純水に溶解した。この硫酸第一鉄と等倍モルになるように、28.8gの水酸化ナトリウムを500ccの純水に溶解した。つぎに、硫酸第一鉄水溶液を撹拌しながら、1時間かけて水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、水酸化第一鉄の沈殿物を生成させた。滴下終了後、撹拌しながら、水酸化第一鉄の沈殿物を含む懸濁液の温度を75℃まで昇温した。懸濁液の温度が75℃に達したのち、250リットル/時間の速度で、エアーポンプを使用して空気を吹き込みながら、8時間酸化して、マグネタイト粒子を生成させた。

このようにして得られたマグネタイト粒子は、ほぼ球形であって、平均粒子サイズが約0.22μmであった。保磁力が4.78kA/m(60エルステッド)で、飽和磁化が82.1A・m2 /kg(82.1emu/g)であり、黒色の色調を有していた。
なお、マグネタイト粒子の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡写真上、約300個の粒子サイズを測定し、その平均粒子サイズから求めたものである。

<シリカ被覆マグネタイト粒子の製造>
上記のマグネタイト粒子を用いて、以下、実施例1と同様にして、このマグネタイト粒子の粒子表面にシリカの被膜を形成した複合磁性粒子を製造した。

この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約5μmの球状であり、保磁力が4.78kA/m(60エルステッド)、飽和磁化が46.9A・m2 /kg(46.9emu/g)であり、黒色の色調を有していた。
<ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の製造>
ベースとなる色調が赤色または赤茶色を得るのに適した酸化物磁性粒子として、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の製造方法について、説明する。

まず、実施例2で得られたマグネタイト粒子を、空気中、300℃で2時間加熱酸化して、ガンマへマタイトとした。つぎに、このガンマヘマタイトを、空気中、500℃で2時間加熱酸化し、さらに550℃で2時間加熱酸化して、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子を製造した。

このようにして得られたガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子は、元のマグネタイト粒子とほとんど同じ形状で、平均粒子サイズが約0.22μmで、保磁力が13.53kA/m(170エルステッド)で、飽和磁化が24.2A・m2 /kg(24.2emu/g)であり、赤色ないし赤茶色の色調を有していた。

なお、マグネタイト粒子を酸化処理して得られるマグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子も、基本的には、上記と同様の方法で製造できる。
<シリカ被覆ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の製造>
上記のガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子を用いて、以下、実施例1と同様にして、このガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の粒子表面にシリカの被膜を形成した複合磁性粒子を製造した。

この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約5μmの球状であり、保磁力が12.74kA/m(160エルステッド)、飽和磁化が13.8A・m2 /kg(13.8emu/g)であり、赤色ないし赤茶色の色調を有していた。
<白色ないし黄白色混合粒子の製造>
酸化物磁性粒子として実施例1で得られた黄色ないし黄緑色のイットリウム鉄ガーネット粒子を、顔料粒子として白色の二酸化チタン粒子を使用した。二酸化チタン粒子には、平均粒子サイズが0.26μmの堺化学社製の「R−62N」を使用した。

上記のイットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子とを、重量比で1対3の割合になるように、乳鉢で混合し、混合粒子とした。
<シリカ被覆白色ないし黄白色混合粒子の製造>
この混合粒子に、実施例1と同じ方法でシリカの被膜を形成した。
すなわち、この混合粒子10gを純水130g中に分散させ、これに21.9gのケイ酸ナトリウムを溶解した。このケイ酸ナトリウムを溶解した混合粒子の分散液とは別に、470ccのヘキサンに界面活性剤として7.0gのソルビタンモノラウレートを溶解した。この界面活性剤を溶解したヘキサンを、上記のケイ酸ナトリウムを溶解した混合粒子の分散液と混合した。この混合液をホモミキサーを使用して、10分間撹拌分散し、エマルジョン分散液を調製した。
つぎに、300gの硫酸アンモニウムを1,500ccの純水に溶解した。この硫酸アンモニウム溶解液を撹拌しながら、これに上記のエマルジョン分散液を、約30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を行った。このような硫酸アンモニウムによる中和反応により、イットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子を包含するようにシリカが析出して、被膜が形成された。

このようにして得られたイットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタンとの混合粒子をシリカの被膜で被覆した複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約6μmの球状であり、保磁力が4.78kA/m(60エルステッド)、飽和磁化が3.1A・m2 /kg(3.1emu/g)であり、白色ないし黄白色の色調を有していた。走査電子顕微鏡写真から、イットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子の集合体がシリカで被覆された構造を有していることが認められた。
比較例1
実施例4において、酸化物磁性粒子である黄色ないし黄緑色のイットリウム鉄ガーネット粒子を使用せず、白色の顔料粒子である二酸化チタンのみを使用し、この顔料粒子の粒子表面にシリカの被膜を形成した。

すなわち、混合粒子10gを二酸化チタン粒子のみとし、その他は、実施例4と同様にして、二酸化チタン粒子を包含するようにシリカの被膜を形成した。この複合粒子は、平均粒子サイズが約5μmの白色の球状粒子で、磁性を有していなかった。
<青色混合粒子の製造>
酸化物磁性粒子として実施例2で得られたマグネタイト粒子を使用し、青色顔料粒子として平均粒子サイズが0.5〜1.0μmの大日精化社製の「ダイピロキサイドブルー9410」を使用した。このマグネタイト粒子と青色顔料粒子とを、重量比で1対9になるように、乳鉢で混合し、混合粒子とした。
<シリカ被覆青色混合粒子の製造>
この混合粒子に対し、実施例4と同じ方法でシリカの被膜を形成した。このようにして得られた複合磁性粒子は、マグネタイト粒子と青色顔料粒子を包含するようにシリカの被膜が形成されていることを確認した。

この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約6μmの球状であり、保磁力が8.76kA/m(110エルステッド)で、飽和磁化が3.5A・m2 /kg(3.5emu/g)であり、若干くすんだ青色の色調を有していた。
<緑色混合粒子の製造>
酸化物磁性粒子として実施例2で得られたマグネタイト粒子を使用し、緑色顔料粒子として平均粒子サイズが0.5〜1.0μmの大日精化社製の「ダイピロキサイドグリーン9310」を使用した。このマグネタイト粒子と緑色顔料粒子とを、重量比で1対7になるように、乳鉢で混合し、混合粒子とした。
<シリカ被覆緑色混合粒子の製造>
この混合粒子に対し、実施例4と同じ方法でシリカの被膜を形成した。このようにして得られた複合磁性粒子は、マグネタイト粒子と緑色顔料粒子を包含するようにシリカの被膜が形成されていることを確認した。

この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約6μmの球状であり、保磁力が8.36kA/m(105エルステッド)で、飽和磁化が2.9A・m2 /kg(2.9emu/g)であり、若干くすんだ緑色の色調を有していた。
比較例2
実施例6において、酸化物磁性粒子である黒色のマグネタイト粒子を使用せず、緑色顔料粒子である「ダイピロキサイドグリーン9310」のみを使用し、この緑色顔料粒子の粒子表面にシリカの被膜を形成した。

すなわち、混合粒子10gを緑色顔料粒子(「ダイピロキサイドグリーン9310」)のみとし、その他は、実施例6と同様にして、緑色顔料粒子を包含するようにシリカの被膜を形成した。この複合粒子は、平均粒子サイズが約6μmの緑色の球状粒子であり、磁性を有していなかった。
<桃色混合粒子の製造>
酸化物磁性粒子として実施例3で得られた赤色ないし赤茶色の色調を有するガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子を使用し、白色顔料粒子として二酸化チタン粒子(平均粒子サイズが0.26μmの堺化学社製の「R−62N」)を使用した。

このガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子と二酸化チタン粒子とを、重量比で2対3の割合になるように、乳鉢で混合し、混合粒子とした。
<シリカ被覆桃色混合粒子の製造>
この混合粒子に対し、実施例4と同じ方法でシリカの被膜を形成した。このようにして得られた複合磁性粒子は、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子と二酸化チタン粒子を包含するようにシリカの被膜が形成されていることを確認した。

この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約6μmの球状であり、保磁力が14.33kA/m(180エルステッド)、飽和磁化が2.1A・m2 /kg(2.1emu/g)であり、桃白色の色調を有していた。
<シリカ被覆白色ないし黄白色混合粒子への官能基の導入>
実施例4で得られた白色ないし黄白色の色調を有するイットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子の集合体がシリカで被覆された複合磁性粒子を使用し、この複合磁性粒子に官能基を導入する場合を例にとり、説明する。

この複合磁性粒子10gを純水25g中に分散した。この分散液を撹拌しながら、末端にアミノ基を有するN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.2gを添加した。添加後、さらに3時間撹拌した。水洗したのち、ろ過し、110℃で4時間乾燥し、複合磁性粒子の表面にアミノ基を導入した。
なお、上記の例では、官能基としてアミノ基を導入する方法について説明したが、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基、メタクリル基などのその他の官能基を導入する場合でも、上記例で示したように、末端に各種の官能基を有するシランカップリング剤を使用して、実施することができる。

また、上記の例では、複合磁性粒子として、実施例4で得られた白色ないし黄白色の色調を有するイットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子の集合体がシリカで被覆された複合磁性粒子を使用したが、他の複合磁性粒子に対して官能基を導入する場合でも、上記と同様の方法により、実施することができる。
以上のように、本発明では、マグネタイト粒子、ガンマヘマタイト粒子、マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、希土類鉄ガーネット粒子などの黒色系、赤色系、黄色系の酸化物磁性粒子またはこれに二酸化チタン粒子や各種の色調を有する顔料粒子を加えた混合粒子を、シリカの被膜で被覆することにより、磁性を維持した状態で各種の色調を有し、インク化特性にすぐれ、セキュリテイー用途に最適なカラー複合磁性粒子が得られる。

また、バイオ、生化学の用途では、可視領域で色調の違いにより磁性粒子を識別できるため、これらの複合磁性粒子の表面に特定の物質を固定化しておくことにより、高価な装置を必要とせず汎用の光学顕微鏡を用いて、これらの表面物質と特異的に結合する生体物質を磁性粒子の色調から分析することが可能になる。

Claims (8)

  1. 平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある酸化物磁性粒子またはこの酸化物磁性粒子に平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある顔料粒子を加えた混合粒子とシリカとからなり、酸化物磁性粒子に基づく磁性を有し、かつ酸化物磁性粒子またはこれと顔料粒子に基づく所定の色調を有する複合磁性粒子。
  2. 酸化物磁性粒子が、マグネタイト粒子、ガンマヘマタイト粒子、マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、希土類鉄ガーネット粒子、ビスマス置換希土類鉄ガーネット粒子の中から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の複合磁性粒子。
  3. 顔料粒子が、無機顔料粒子である請求項1または2に記載の複合磁性粒子。
  4. 無機顔料粒子が、二酸化チタン粒子または複合酸化物粒子の中から選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載の複合磁性粒子。
  5. 複合酸化物粒子が、チタン、アンチモン、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガンの中から選ばれた少なくとも2種の元素からからなる酸化物である請求項4に記載の複合磁性粒子。
  6. 酸化物磁性粒子またはこれに顔料粒子を加えた混合粒子の粒子表面に、シリカが被膜として形成されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の複合磁性粒子。
  7. シリカの被膜表面に、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基、メタクリル基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する請求項6に記載の複合磁性粒子。
  8. 平均粒子サイズが0.5〜10μm、飽和磁化が0.5〜20A・m2 /kg(0.5〜20emu/g)の範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の複合磁性粒子。
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