JP2005166967A - 複合磁性粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 磁性を有するとともに、黒色系、赤色系、黄色系を含む各種の色調を備えてなる、セキュリテイー用途やバイオ、生化学用途にとくに適した複合磁性粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】 平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある酸化物磁性粒子またはこの酸化物磁性粒子に平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある顔料粒子を加えた混合粒子とシリカとからなり、酸化物磁性粒子に基づく磁性を有し、かつ酸化物磁性粒子またはこれと顔料粒子に基づく所定の色調を有する複合磁性粒子、とくに、シリカが上記の酸化物磁性粒子または混合粒子の表面に被膜として形成されてなる上記構成の複合磁性粒子、また平均粒子サイズが0.5〜10μm、飽和磁化が0.5〜20A・m2 /kg(0.5〜20emu/g)の範囲にある上記構成の複合磁性粒子。
【選択図】 なし
Description
なお、本明細書において、平均粒子サイズは、走査型電子顕微鏡写真上で、300個の粒子のサイズを測定し、その平均値から求められる値である。
マグネタイト粒子は、鉄塩水溶液中の酸化反応を用いて、製造できる。
硫酸第一鉄(FeSO4 ・6H2 O)を溶解した2価のFeイオン水溶液に、NaOH水溶液を滴下し、水酸化第一鉄〔Fe( OH)2〕を析出させる。この水酸化第一鉄の懸濁液のpHを9〜10に調整したのち、空気を吹き込んで酸化し、マグネタイト粒子を成長させる。pHが上記範囲より小さいと、マグネタイトの析出が遅くなり、上記範囲より大きいと、ゲーサイト(α−FeOOH)が生成しやすくなる。
このような方法により、平均粒子サイズとして0.02〜0.5μmの黒色または黒茶色の色調を有するマグネタイト粒子を製造できる。
マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子は、マグネタイト粒子を、空気中で加熱して酸化処理することにより、製造できる。
酸化処理に際して、最適加熱温度は、マグネタイト粒子の粒子サイズにより異なり、一般に粒子サイズが小さくなるほど、最適加熱処理温度は低くなるが、300〜800℃の温度範囲とするのが好ましい。加熱温度が300℃より低いと、酸化が不十分となり、ガンマへマタイト(γ−Fe2 O3 )による茶色の粒子となる。また、800℃よりも高いと、赤色の粒子が得やすくなるが、酸化が進行しすぎて、磁性を有さないアルファヘマタイト(α−Fe2 O3 )が生成しやすくなる。
加熱時間は1〜10時間が好ましい。加熱時間が短いと、酸化が不十分となり、その結果、鮮やかな赤色の色調を有する酸化鉄粒子が得られにくい。また、加熱時間が長いと、酸化が過度に進行し、飽和磁化の低い酸化鉄磁性粒子になりやすい。
なお、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子は、上記したマグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の製造方法において、マグネタイトがガンマヘマタイトに代わるだけであり、基本的には上記と同じ方法で製造できる。
希土類鉄ガーネット粒子は、a)希土類元素と鉄イオンを含む酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して、希土類元素と鉄の共沈物を得る工程、b)この共沈物に水の存在下で融剤を加えて懸濁液を得る工程、c)この懸濁液から水を除去して共沈物と融剤の混合物を得る工程、d)この混合物を600〜1,200℃で加熱処理して、希土類鉄ガーネット粒子を析出させる工程、およびe)この析出後に融剤を水洗除去して希土類鉄ガーネット粒子を取り出す工程により、工業的に製造することができる。以下に、希土類として、Y(イットリウム)を使用する場合を例にとり、詳しく説明する。
ここで、上記の酸性水溶液とは、イットリムと鉄とを基本成分とした金属の酸性塩の水溶液であり、酸性塩の種類はとくに限定されないが、水洗後に不純物が残留しにくい硝酸塩や塩化物などを使用するのが好ましい。
この際のイットリウムの置換量は、Bi/(Y+Bi)で表して、1〜50モル%が好ましい。Biの置換量がこの範囲より少ないと、反応温度低減の効果が少なく、またこの範囲より多いと、飽和磁化量が過度に低下するため、好ましくない。
しかしながら、最終的に飽和磁化の大きいイットリウム鉄ガーネット粒子を得るためには、4倍モル等量以上の過剰アルカリイオンの存在下で共沈物を生成するのが好ましい。アルカリイオンの上限はとくにないが、濃度が高すぎると水洗時の効率が悪くなるため、12倍モル等量以下とするのが好ましい。
融剤には、Na、K、Liなどのアルカリ金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物などが好ましく用いられる。融剤の使用量は、最終的に得られるイットリウム鉄ガーネット粒子に対し、100重量%以上、好ましくは200重量%以上であるのがよく、これにより上記磁性担体に最適な希土類鉄ガーネット粒子が得られる。
続いて、d)工程においては、上記の混合物を加熱処理して、融剤中にイットリウム鉄ガーネットの微粒子結晶を析出させる。加熱処理温度は、融剤の融点以上の温度として、600〜1,200℃の範囲において融剤の種類に応じた適宜の温度を選択すればよい。なお、加熱処理に先立ち、上記の混合物をあらかじめプレスなどにより成形しておくと、YとFeが融剤中で反応しやくなり、飽和磁化の増大およびより明るい色調の発現に寄与させることができるので,望ましい。
この酸化物磁性粒子は、式:Y3 Fe5 O12で表されるイットリウム鉄ガーネットを基本組成とし、平均粒子サイズが0.05〜5.0μm、保磁力が2.39〜15.93kA/m(30〜200エルステッド)、飽和磁化が1〜30A・m2 /kg(1〜30emu/g)の範囲にある、黄色または黄緑色の色調を有するものである。
また、その他の色調を有する無機顔料粒子として、チタン、アンチモン、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガンの中から選ばれた少なくとも2種の元素からなる複合酸化物顔料粒子が好ましく用いられる。たとえば、コバルト−アルミニウム複合酸化物は、赤みのある青色の色調を得やすく、チタン−亜鉛−コバルト−ニッケル複合酸化物は、黄みのある緑色の色調が得やすい。
酸化物磁性粒子と顔料粒子との混合粒子とする場合、両者の混合割合としては、目的とする色調により異なるが、通常は、酸化物磁性粒子に対して顔料粒子を50〜500重量%混合するのが好ましく、より好ましくは100〜400重量%混合するのがよい。上記割合より少ないと、ほとんど酸化物磁性粒子が有する色調になり、顔料粒子が有する色調が出にくくなる。また、上記割合より多いと、飽和磁化が小さくなり、磁石や磁気ヘッドなどの磁気デバイスへの感応性が低下しやすい。
以下に、酸化物磁性粒子としてイットリウム鉄ガーネット粒子を使用し、これに顔料粒子として代表的な白色顔料である二酸化チタン粒子を混合した混合粒子に対して、シリカの被膜を被着形成する方法を例にとり、説明する。
珪酸ナトリウムの添加量は、SiO2 に換算して、混合粒子に対し10〜300重量%が好ましく、より好ましくは15〜250重量%である。添加量が少ないと、大きな飽和磁化が得られやすい反面、粒子を均一に被覆することが困難になる。また、添加量が多いと、飽和磁化が小さくなり磁界応答性が低下する。
また、乳化剤として使用する界面活性剤には、ソルビタン脂肪酸エステル系の界面活性剤が好ましく、たとえば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレートなどが好適なものとして使用できる。
撹拌時間が短すぎると、均一なサイズのエマルジョン粒子を得にくくなり、また撹拌時間が長すぎると、撹拌エネルギーにより酸化物磁性粒子とシリカが反応して、目的とする構造を持たない粒子が生成しやすくなる。
つぎに、このエマルジョン粒子の懸濁液を、アンモニウム塩を溶解した水溶液に滴下する。珪酸ナトリウム水溶液はアルカリ性であるため、珪酸ナトリウムはアルカリ領域では水に溶解しているが、中性領域で不溶性となる。したがって、アンモニウム塩により中和され、シリカとなって析出する。その結果、混合粒子を含有するようにシリカの被膜で覆われた、球状の複合磁性粒子が生成する。
中和のために用いられるアンモニウム塩としては、硫酸塩や炭酸塩などが好ましいものとして使用できる。たとえば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが好適なものとして使用できる。
この複合磁性粒子は、イットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子とからなる混合粒子がシリカで被覆された構造を有し、平均粒子サイズが0.5〜10μmの範囲にある球状の形状で、白色または黄白色の色調を有している。
酸化物磁性粒子単独をシリカで被覆する場合、色調は酸化物磁性粒子が有する色調と変わらないが、シリカで覆われた球状粒子が得られることで、インク特性や各種溶媒中での分散性、流動性が向上してくるなどの利点がもたらされる。
このような複合磁性粒子は、可視領域で色調の違いにより磁性粒子を識別できるので、この複合磁性粒子のシリカ表面に特定の物質を固定化しておくことにより、高価な装置を必要とせず汎用の光学顕微鏡を用いて、上記の表面物質と特異的に結合する生体物質を、磁性粒子の色調から識別し、分析することが可能になる。
このような官能基の導入方法としては、各種の方法があるが、以下に、シランカップリング剤による官能基の導入方法を例に取り、説明する。
シランカップリング剤の量は、複合磁性粒子に対して、0.01〜20重量%の範囲とするのが好ましい。シランカップリング剤の量が上記範囲より少ないと、固定化できる生体物質の量が減少し、多すぎると、シランカップリング剤が粒子表面に均一に結合しにくくなるため、固定化効率が逆に劣る傾向にある。
これらの官能基を含有するシランカップリング剤としては、たとえば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
たとえば、官能基を導入した色調の異なる複合磁性粒子のそれぞれに、構造の明らかなオリゴDNAを結合させる。つぎに、これらの複合粒子の混合分散液に、分析したいDNAを添加してハイブリタリゼーション反応させる。この際、このDNAには、通常の方法により蛍光色素で染色しておく。
ベースとなる色調が黄色または黄緑色を得るのに適した酸化物磁性粒子として、希土類鉄ガーネット粒子の製造方法について、希土類元素としてイットリウムを用いた場合を例にとり、説明する。
硝酸イットリウム0.1モルと硝酸鉄0.1785モルとを2,000ccの水に溶解したのち、硝酸ビスマス0.007モルを溶解した12Nの硝酸溶液100ccと混合した。この硝酸塩水溶液を、3.415モルの水酸化ナトリウムを2,000ccの水に溶解した水溶液に、撹拌しながら約30分かけて滴下し、イットリウムとビスマス、鉄の共沈物を生成させた。この共沈物を中性付付近になるまで水洗したのち、ろ過して、共沈物を取り出した。
このようにして得られたイットリウム鉄ガーネット粒子は、平均粒子サイズが0.32μmの球状ないし楕円状の形状を有しており、保磁力が5.17kA/m(65エルステッド)で、飽和磁化が24.3A・m2 /kg(24.3emu/g)であり、黄緑色の色調を有していた。
上記のイットリウム鉄ガーネット粒子10gを、純水130g中に分散させた。これに21.9gのケイ酸ナトリウムを溶解した。このケイ酸ナトリウムを溶解したイットリウム鉄ガーネット粒子の分散液とは別に、470ccのヘキサンに界面活性剤として7.0gのソルビタンモノラウレートを溶解した。この界面活性剤を溶解したヘキサンを、ケイ酸ナトリウムを溶解したイットリウム鉄ガーネット粒子の分散液と混合した。この混合液をホモミキサーで10分間撹拌分散し、エマルジョン分散液を調製した。
このようにして得られたシリカ被覆イットリウム鉄ガーネット粒子からなる複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約5μmの球状であり、保磁力が5.17kA/m(65エルステッド)、飽和磁化が14.0A・m2 /kg(14.0emu/g)であり、白色がかった黄緑色の色調を有していた。走査電子顕微鏡写真から、イットリウム鉄ガーネット粒子の集合体がシリカで被覆された構造を有していることが認められた。
ベースとなる色調が黒色または黒茶色を得るのに適した酸化鉄磁性粒子として、マグネタイト粒子の製造方法について、説明する。
100gの硫酸第一鉄(FeSO4 ・7H2 O)を1,000ccの純水に溶解した。この硫酸第一鉄と等倍モルになるように、28.8gの水酸化ナトリウムを500ccの純水に溶解した。つぎに、硫酸第一鉄水溶液を撹拌しながら、1時間かけて水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、水酸化第一鉄の沈殿物を生成させた。滴下終了後、撹拌しながら、水酸化第一鉄の沈殿物を含む懸濁液の温度を75℃まで昇温した。懸濁液の温度が75℃に達したのち、250リットル/時間の速度で、エアーポンプを使用して空気を吹き込みながら、8時間酸化して、マグネタイト粒子を生成させた。
このようにして得られたマグネタイト粒子は、ほぼ球形であって、平均粒子サイズが約0.22μmであった。保磁力が4.78kA/m(60エルステッド)で、飽和磁化が82.1A・m2 /kg(82.1emu/g)であり、黒色の色調を有していた。
なお、マグネタイト粒子の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡写真上、約300個の粒子サイズを測定し、その平均粒子サイズから求めたものである。
上記のマグネタイト粒子を用いて、以下、実施例1と同様にして、このマグネタイト粒子の粒子表面にシリカの被膜を形成した複合磁性粒子を製造した。
この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約5μmの球状であり、保磁力が4.78kA/m(60エルステッド)、飽和磁化が46.9A・m2 /kg(46.9emu/g)であり、黒色の色調を有していた。
ベースとなる色調が赤色または赤茶色を得るのに適した酸化物磁性粒子として、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の製造方法について、説明する。
まず、実施例2で得られたマグネタイト粒子を、空気中、300℃で2時間加熱酸化して、ガンマへマタイトとした。つぎに、このガンマヘマタイトを、空気中、500℃で2時間加熱酸化し、さらに550℃で2時間加熱酸化して、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子を製造した。
このようにして得られたガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子は、元のマグネタイト粒子とほとんど同じ形状で、平均粒子サイズが約0.22μmで、保磁力が13.53kA/m(170エルステッド)で、飽和磁化が24.2A・m2 /kg(24.2emu/g)であり、赤色ないし赤茶色の色調を有していた。
なお、マグネタイト粒子を酸化処理して得られるマグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子も、基本的には、上記と同様の方法で製造できる。
上記のガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子を用いて、以下、実施例1と同様にして、このガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子の粒子表面にシリカの被膜を形成した複合磁性粒子を製造した。
この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約5μmの球状であり、保磁力が12.74kA/m(160エルステッド)、飽和磁化が13.8A・m2 /kg(13.8emu/g)であり、赤色ないし赤茶色の色調を有していた。
酸化物磁性粒子として実施例1で得られた黄色ないし黄緑色のイットリウム鉄ガーネット粒子を、顔料粒子として白色の二酸化チタン粒子を使用した。二酸化チタン粒子には、平均粒子サイズが0.26μmの堺化学社製の「R−62N」を使用した。
上記のイットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子とを、重量比で1対3の割合になるように、乳鉢で混合し、混合粒子とした。
この混合粒子に、実施例1と同じ方法でシリカの被膜を形成した。
すなわち、この混合粒子10gを純水130g中に分散させ、これに21.9gのケイ酸ナトリウムを溶解した。このケイ酸ナトリウムを溶解した混合粒子の分散液とは別に、470ccのヘキサンに界面活性剤として7.0gのソルビタンモノラウレートを溶解した。この界面活性剤を溶解したヘキサンを、上記のケイ酸ナトリウムを溶解した混合粒子の分散液と混合した。この混合液をホモミキサーを使用して、10分間撹拌分散し、エマルジョン分散液を調製した。
このようにして得られたイットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタンとの混合粒子をシリカの被膜で被覆した複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約6μmの球状であり、保磁力が4.78kA/m(60エルステッド)、飽和磁化が3.1A・m2 /kg(3.1emu/g)であり、白色ないし黄白色の色調を有していた。走査電子顕微鏡写真から、イットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子の集合体がシリカで被覆された構造を有していることが認められた。
実施例4において、酸化物磁性粒子である黄色ないし黄緑色のイットリウム鉄ガーネット粒子を使用せず、白色の顔料粒子である二酸化チタンのみを使用し、この顔料粒子の粒子表面にシリカの被膜を形成した。
すなわち、混合粒子10gを二酸化チタン粒子のみとし、その他は、実施例4と同様にして、二酸化チタン粒子を包含するようにシリカの被膜を形成した。この複合粒子は、平均粒子サイズが約5μmの白色の球状粒子で、磁性を有していなかった。
酸化物磁性粒子として実施例2で得られたマグネタイト粒子を使用し、青色顔料粒子として平均粒子サイズが0.5〜1.0μmの大日精化社製の「ダイピロキサイドブルー9410」を使用した。このマグネタイト粒子と青色顔料粒子とを、重量比で1対9になるように、乳鉢で混合し、混合粒子とした。
この混合粒子に対し、実施例4と同じ方法でシリカの被膜を形成した。このようにして得られた複合磁性粒子は、マグネタイト粒子と青色顔料粒子を包含するようにシリカの被膜が形成されていることを確認した。
この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約6μmの球状であり、保磁力が8.76kA/m(110エルステッド)で、飽和磁化が3.5A・m2 /kg(3.5emu/g)であり、若干くすんだ青色の色調を有していた。
酸化物磁性粒子として実施例2で得られたマグネタイト粒子を使用し、緑色顔料粒子として平均粒子サイズが0.5〜1.0μmの大日精化社製の「ダイピロキサイドグリーン9310」を使用した。このマグネタイト粒子と緑色顔料粒子とを、重量比で1対7になるように、乳鉢で混合し、混合粒子とした。
この混合粒子に対し、実施例4と同じ方法でシリカの被膜を形成した。このようにして得られた複合磁性粒子は、マグネタイト粒子と緑色顔料粒子を包含するようにシリカの被膜が形成されていることを確認した。
この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約6μmの球状であり、保磁力が8.36kA/m(105エルステッド)で、飽和磁化が2.9A・m2 /kg(2.9emu/g)であり、若干くすんだ緑色の色調を有していた。
実施例6において、酸化物磁性粒子である黒色のマグネタイト粒子を使用せず、緑色顔料粒子である「ダイピロキサイドグリーン9310」のみを使用し、この緑色顔料粒子の粒子表面にシリカの被膜を形成した。
すなわち、混合粒子10gを緑色顔料粒子(「ダイピロキサイドグリーン9310」)のみとし、その他は、実施例6と同様にして、緑色顔料粒子を包含するようにシリカの被膜を形成した。この複合粒子は、平均粒子サイズが約6μmの緑色の球状粒子であり、磁性を有していなかった。
酸化物磁性粒子として実施例3で得られた赤色ないし赤茶色の色調を有するガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子を使用し、白色顔料粒子として二酸化チタン粒子(平均粒子サイズが0.26μmの堺化学社製の「R−62N」)を使用した。
このガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子と二酸化チタン粒子とを、重量比で2対3の割合になるように、乳鉢で混合し、混合粒子とした。
この混合粒子に対し、実施例4と同じ方法でシリカの被膜を形成した。このようにして得られた複合磁性粒子は、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子と二酸化チタン粒子を包含するようにシリカの被膜が形成されていることを確認した。
この複合磁性粒子は、平均粒子サイズが約6μmの球状であり、保磁力が14.33kA/m(180エルステッド)、飽和磁化が2.1A・m2 /kg(2.1emu/g)であり、桃白色の色調を有していた。
実施例4で得られた白色ないし黄白色の色調を有するイットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子の集合体がシリカで被覆された複合磁性粒子を使用し、この複合磁性粒子に官能基を導入する場合を例にとり、説明する。
この複合磁性粒子10gを純水25g中に分散した。この分散液を撹拌しながら、末端にアミノ基を有するN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.2gを添加した。添加後、さらに3時間撹拌した。水洗したのち、ろ過し、110℃で4時間乾燥し、複合磁性粒子の表面にアミノ基を導入した。
また、上記の例では、複合磁性粒子として、実施例4で得られた白色ないし黄白色の色調を有するイットリウム鉄ガーネット粒子と二酸化チタン粒子の集合体がシリカで被覆された複合磁性粒子を使用したが、他の複合磁性粒子に対して官能基を導入する場合でも、上記と同様の方法により、実施することができる。
また、バイオ、生化学の用途では、可視領域で色調の違いにより磁性粒子を識別できるため、これらの複合磁性粒子の表面に特定の物質を固定化しておくことにより、高価な装置を必要とせず汎用の光学顕微鏡を用いて、これらの表面物質と特異的に結合する生体物質を磁性粒子の色調から分析することが可能になる。
Claims (8)
- 平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある酸化物磁性粒子またはこの酸化物磁性粒子に平均粒子サイズが0.02〜5.0μmの範囲にある顔料粒子を加えた混合粒子とシリカとからなり、酸化物磁性粒子に基づく磁性を有し、かつ酸化物磁性粒子またはこれと顔料粒子に基づく所定の色調を有する複合磁性粒子。
- 酸化物磁性粒子が、マグネタイト粒子、ガンマヘマタイト粒子、マグネタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、ガンマヘマタイト−アルファヘマタイト中間酸化鉄粒子、希土類鉄ガーネット粒子、ビスマス置換希土類鉄ガーネット粒子の中から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の複合磁性粒子。
- 顔料粒子が、無機顔料粒子である請求項1または2に記載の複合磁性粒子。
- 無機顔料粒子が、二酸化チタン粒子または複合酸化物粒子の中から選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載の複合磁性粒子。
- 複合酸化物粒子が、チタン、アンチモン、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガンの中から選ばれた少なくとも2種の元素からからなる酸化物である請求項4に記載の複合磁性粒子。
- 酸化物磁性粒子またはこれに顔料粒子を加えた混合粒子の粒子表面に、シリカが被膜として形成されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の複合磁性粒子。
- シリカの被膜表面に、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基、メタクリル基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する請求項6に記載の複合磁性粒子。
- 平均粒子サイズが0.5〜10μm、飽和磁化が0.5〜20A・m2 /kg(0.5〜20emu/g)の範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の複合磁性粒子。
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