JP2005166397A - 層状コバルト酸化物を用いた酸素イオン伝導体およびこれを用いた燃料電池 - Google Patents

層状コバルト酸化物を用いた酸素イオン伝導体およびこれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 毒性が少なく安定な材料で尚且つ500℃程度の温度でも充分な酸素イオン伝導性と電子伝導性を併せ持つ混合伝導体を得る。
【解決手段】 酸素イオン伝導体に用いるコバルト酸化物は、化学式R AE M5+xの組成で表されると共に層状ペロブスカイト型結晶構造を備えている。xは0≦x≦1であり、RはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yのうちのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群であり、AEはBa元素又はBa元素の一部がSr元素とCa元素の一方または双方の元素で置換されたものであり、MはCo元素又はCo元素の一部がTi、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cuのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群で置換されたものである。このコバルト酸化物中における酸素イオンの化学拡散係数Dcは300℃程度の温度で約10−7cm/sという比較的大きな値を持つ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池や酸素精製機などの各種分野で使用される酸素イオン伝導体に関する。さらに詳述すると、本発明は、コバルト酸化物を用いた酸素イオン伝導体に関する。
酸素原子は酸化物中では酸素イオンになっているが、この酸素イオンが内部を動きやすい物質を酸素イオン伝導体という。酸素イオン伝導体は、例えば固体酸化物型燃料電池の電解質や電極に使われたり、空気から酸素を分離する酸素精製機に使われたり、さらには環境中の酸素濃度をモニターするための酸素センサーに使われたりするなど、非常に広い産業分野において利用されている。このような酸素イオン伝導体のうち、特に電子伝導性を併せ持つものは混合伝導体と呼ばれ、固体酸化物型燃料電池の空気極材料として不可欠な材料となっている。
酸素イオンは常温では酸化物中をほとんど動けないため、酸化物が酸素イオン伝導性を示すようにするためには、材料を加熱する必要がある。例えば特許文献1,2に開示されている固体酸化物型燃料電池の空気極材料として最も一般的に利用されているマンガン酸化物およびその類縁物質は、約1000℃まで加熱しないと充分な酸素イオン伝導度が得られない、具体的には電気伝導度にして約10−2Scm−1が得られないため、現在開発が進められている固体酸化物型燃料電池の運転温度は1000℃という高温になっている。
一方、固体酸化物型燃料電池の電解質材料として、例えば特許文献3に開示されるように、500℃程度の低温で動作可能なセリウム酸化物が知られている。このセリウム酸化物は電子伝導性を持たないため純粋な酸素イオン伝導体であり、500℃において10−2Scm−1程度の電気伝導度を持つ。
他方、500℃の温度で10−2Scm−1程度の電気伝導度をもつ混合伝導体として、例えば非特許文献1に開示されるように、BIMEVOXと呼ばれるビスマス系酸化物が知られている。
特開平9−92298号 特表2000−505593号 特開2002−373676号 R. N. Vannier et al., Solid State Ionics, Vol. 160, pp. 85-92 (2003)
しかしながら、特許文献1,2に開示される酸素イオン伝導体は、約1000℃という高温でないと酸素イオン伝導体としての機能を発揮しない。約1000℃という高温では、酸素イオン伝導体以外の装置構成材料が酸化したり劣化したりしやすいため、使用できる材料が限られ、高コストになりがちである。また、運転温度が1000℃という高温下では、装置の寿命も一般に短い。
特に、酸素イオン伝導体の主要な応用先である固体酸化物型燃料電池に関しては、(1)運転温度が1000℃と高温であるため、装置の立ち上げ、立ち下げに時間がかかる、(2)1000℃の運転には本質的に危険が伴うため、一般家庭や自動車に固体酸化物型燃料電池を導入することは非常に難しい、(3)装置を構成する材料の熱膨張係数をうまく合わせなければならないため、材料の選定に大きな制約が付きまとう、など多くの欠点を抱えており、これが固体酸化物型燃料電池の普及を阻む大きな要因となっている。このため産業界では、できる限り低温で充分な酸素イオン伝導度が得られる酸素イオン伝導体が望まれている。
特許文献3に開示されるセリウム酸化物は、500℃において10−2Scm−1程度の電気伝導度を有し、固体酸化物型燃料電池の運転温度の低温化に有効であり、電解質材料として利用できるが、電子伝導性を持たない純粋な酸素イオン伝導体であるため、空気極材料としては利用できない。セリウム酸化物と組み合わせて500℃程度の低温で動作する燃料電池を実現するためには、500℃程度の温度で10−2Scm−1程度の電気伝導度をもつ混合伝導体が、空気極材料として必要である。
非特許文献1に開示されるビスマス系酸化物は、500℃の温度で10−2Scm−1程度の電気伝導度をもつ混合伝導体ではあるが、ビスマス元素が蒸発しやすい上に毒性を持っていること、またビスマスは500℃程度の温度でも反応性が強いために、組み合わせる材料を劣化させてしまうとともにBIMEVOX自身も変化してしまうこと、などの欠点を持っている。このため、実際の利用が困難である。
そこで本発明は、毒性が少なく安定な材料で尚且つ500℃程度の温度でも充分な酸素イオン伝導性と電子伝導性を併せ持つ混合伝導体を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本願発明者は鋭意研究を行った結果、R(希土類元素サイト):Ba(バリウム):Co(コバルト):O(酸素)の比が1:1:2:5+xとなる化学式RBaCo5+xの組成で表され、層状ペロブスカイト型結晶構造を持つコバルト酸化物が、500℃程度の低温でも充分な酸素イオン伝導性と電子伝導性を併せ持ち、10−2Scm−1程度の酸素イオンによる電気伝導度を示すことを見出した。但し、0≦x≦1であり、Rは希土類元素であるLa(ランタン)、Pr(プラセオジウム)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロビウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Y(イットリウム)のうちのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群である。RBaCo5+xの組成で表されるコバルト酸化物は、室温近くで相転移に伴う大きな電気抵抗の変化を示すことが知られていたが、酸素イオン伝導体として機能することは従来全く知られていなかった。
このコバルト酸化物では、それぞれ[CoO]、[BaO]、[RO]という構成をもつ2次元的な層が規則的に積層されて層状ペロブスカイト型構造を形成しており、全体の構造を安定に保ったまま[RO]の層における酸素の割合xを0から1まで大きく変えることができる。本願発明者の研究の結果、この[RO]の層における酸素は300℃程度の温度でも非常に動きやすく、約10−7cm/sの拡散係数を持つことがわかった。このため、このコバルト酸化物の[RO]層が大きな酸素イオン伝導性に寄与する。また、このコバルト酸化物では[CoO]層が電子伝導性を担っており、結晶構造中の別の部分で電子伝導が起こるため、理想的な混合伝導体となっている。
このコバルト酸化物において、上述のような性能を発揮させているのは独特の層状ペロブスカイト型結晶構造である。この層状ペロブスカイト型結晶構造は、Rとして希土類元素のLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Yのどれをとっても実現されることが本願発明者の実験により確認された。この層状ペロブスカイト型結晶構造の安定性は希土類元素サイトすなわちRサイトの平均イオン半径で決まる。上記の希土類元素イオンの中では、イオン半径はLaが一番大きく、Yが一番小さい。従って、上記の希土類元素以外でもYのイオン半径とLaのイオン半径との間の大きさのイオン半径を有するEuまたはTbのいずれか一つの希土類元素を選んでも、あるいはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yの任意の組み合わせを選んでも、同じ層状ペロブスカイト型結晶構造が得られることが当然に導かれる。即ち、RサイトがLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yのうちのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群である一連のコバルト酸化物において、上述した性能を備える酸素イオン伝導体が実現される。
また、このコバルト酸化物において、Ba元素の一部をSr(ストロンチウム)元素またはCa(カルシウム)元素で置換しても、層状ペロブスカイト型結晶構造は変化しないことが実験により確認された。従って、Ba元素の一部をSr元素とCa元素の一方または双方の元素で置換しても、上述した性能を備える酸素イオン伝導体が実現される。
また、このコバルト酸化物のようなペロブスカイト型化合物においては、遷移金属元素のサイトを部分的に他の遷移金属元素で置換することが可能であることは広く知られている。実際、このコバルト酸化物において、Co元素の一部を同じ遷移金属元素であるFe(鉄)元素またはNi(ニッケル)元素で置換しても、層状ペロブスカイト型結晶構造は変化しないことが実験により確認された。従って、Co元素の一部を遷移金属元素のTi(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)のいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群で置換しても、上述した性能を備える酸素イオン伝導体が実現される。
請求項1記載の酸素イオン伝導体は、かかる知見に基づくものであって、酸素イオン伝導体に用いるコバルト酸化物は、希土類元素サイトRとアルカリ土類元素サイトAEと遷移金属元素Mと酸素Oの比が1:1:2:5+xとなるR AE M5+xの組成で表されると共に層状ペロブスカイト型結晶構造を備え、前記xは0≦x≦1であり、前記RはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yのうちのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群であり、前記AEはBa元素又はBa元素の一部がSr元素とCa元素の一方または双方の元素で置換されたものであり、前記MはCo元素又はCo元素の一部がTi、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cuのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群で置換されたものとしている。
また、請求項2記載の燃料電池は、請求項1記載の酸素イオン伝導体を空気極として用いるようにしている。
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の燃料電池において、セリウム酸化物を電解質として用いるようにしている。尚、セリウム酸化物には、例えば特許文献3に開示される既存の物を利用して良い。
請求項1の発明に係る層状コバルト酸化物は、500℃程度の低温でBIMEVOXと同程度の酸素イオン伝導を示す優れた酸素イオン伝導体であり、しかもBIMEVOXとは異なり問題の多いビスマス元素を含まないことから、従来より低温で且つ安全に酸素イオン伝導を利用することが可能になる。
従って、このコバルト酸化物を酸素イオン伝導体として、固体酸化物型燃料電池の電解質や電極、空気亜鉛電池の空気極、あるいは空気から酸素を分離する酸素精製機または酸素ポンプにおける酸素透過膜、さらには環境中の酸素濃度をモニターするための酸素センサーなどに使用することができる。特に、この層状コバルト酸化物を空気極とし、セリウム酸化物を電解質として構成することによって、500℃程度の低温での動作が可能な固体酸化物型燃料電池が実現できる。
以下、本発明のコバルト酸化物を用いた酸素イオン伝導体の実施の一形態を詳細に説明する。この酸素イオン伝導体に用いるコバルト酸化物1は、希土類元素サイトRとアルカリ土類元素サイトAEと遷移金属元素Mと酸素Oの比が1:1:2:5+xとなるR AE M5+xの組成で表されると共に層状ペロブスカイト型結晶構造を備えるものである。但し、xは0≦x≦1であり、RはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yのうちのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群であり、AEはBa元素又はBa元素の一部がSr元素とCa元素の一方または双方の元素で置換されたものであり、MはCo元素又はCo元素の一部がTi、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cuのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群で置換されたものである。
このコバルト酸化物1は、図12に示すように、[CoO]層2、[BaO]層3、[CoO]層2、[RO]層4が規則的に積層された層状ペロブスカイト型構造を有しており、全体の構造を安定に保ったまま[RO]層4における酸素の割合xを0から1まで大きく変えることができる。従って、この[RO]層4が大きな酸素イオン伝導性に寄与する。また、このコバルト酸化物1では[CoO]層2が電子伝導性を担っており、結晶構造中の別の部分で電子伝導が起こるため、理想的な混合伝導体となっている。このコバルト酸化物1の結晶構造の一例として、GdBaCo5.5の結晶構造を図13に示す。図13中の符号10がCo元素を示し、符号11がO元素を示し、符号12がGd元素を示し、符号13がBa元素を示す。尚、このコバルト酸化物1は、通常は正方晶の対称性を持っているが、x=0.5の付近では斜方晶となる。但し、[CoO]層2、[BaO]層3、[CoO]層2、[RO]層4が規則的に積層された層状ペロブスカイト型構造を有していれば、優れた酸素イオン伝導性と電子伝導性とを併せ持つので、正方晶や斜方晶といった対称性は必要ない。
この層状コバルト酸化物1は、500℃程度の低温でも充分な酸素イオン伝導性と電子伝導性を併せ持ち、10−2Scm−1程度の酸素イオンによる電気伝導度を示す。即ち、この層状コバルト酸化物1は、500℃程度の低温でBIMEVOXと同程度の酸素イオン伝導を示す優れた酸素イオン伝導体であり、しかもBIMEVOXとは異なり問題の多いビスマス元素を含まないことから、従来より低温で且つ安全に酸素イオン伝導を利用することが可能になる。従って、このコバルト酸化物1を酸素イオン伝導体として、固体酸化物型燃料電池の電解質や電極、空気亜鉛電池の空気極、あるいは空気から酸素を分離する酸素精製機または酸素ポンプにおける酸素透過膜、さらには環境中の酸素濃度をモニターするための酸素センサーなどに使用することができる。特に、この層状コバルト酸化物1を空気極とし、セリウム酸化物を電解質として燃料電池を構成することによって、500℃程度の低温での動作が可能な固体酸化物型燃料電池が実現できる。尚、当該固体酸化物型燃料電池の電解質として用いるセリウム酸化物には、例えば特許文献3に開示される既存の物を利用して良く、当該固体酸化物型燃料電池の燃料極には、例えば燃料極材料として一般的に利用されているニッケル−セリア・サーメット(ニッケルの微粉末とセリウム酸化物の微粉末を混ぜて焼き固めたもの)を利用して良い。あるいは本発明に係る層状コバルト酸化物1を燃料極側にも使用してよい。
以下に、実際に製造した層状コバルト酸化物1およびその物性を確認するための実験及び分析結果を実施例として説明する。
化学式GdBaCo5+xの組成で表される層状コバルト酸化物を次のように製造した。先ず、それぞれ純度99.9%以上の粉末状の酸化ガドリミウム(Gd)と炭酸バリウム(BaCO)と酸化コバルト(CoO)とを、それぞれのモル比が1:2:4になるように秤量し、メノウ乳鉢にて充分に混合した。その混合粉をアルミナるつぼに入れ、電気炉内に850℃で20時間保持した後、温度を900℃に上げ、20時間焼結した。その生成物をメノウ乳鉢で粉砕混合した後、再びアルミナるつぼに入れ、電気炉内において950℃で20時間焼結した。その生成物を再度メノウ乳鉢で粉砕混合した後、再びアルミナるつぼに入れ電気炉内において1000℃で20時間焼結した。これにより、均一なGdBaCo5+xを合成した。得られたGdBaCo5+xをメノウ乳鉢で粉砕した後、ゴムのチューブに入れてから油圧プレス機によって直径約7mmの棒状に整形し、その棒を電気炉内において1200℃で12時間焼結し、硬く焼きしまった棒状のGdBaCo5+x焼結体を得た。この焼結体を遠赤外線集光加熱式単結晶成長炉にセットし、4日間かけて単結晶成長を行うことによって棒状のGdBaCo5+x単結晶を得た。
上記のように得られたGdBaCo5+x単結晶について、酸素イオンの化学拡散係数を測定した。図1は、酸素イオンの化学拡散係数の絶対温度依存性をアレニウス・プロットの形で示したグラフである。図1の結果から、GdBaCo5+x中における酸素イオンの化学拡散係数Dcは、絶対温度をT、ボルツマン係数をk、電子の電荷をeとして、数式1で与えられ、GdBaCo5+x中における酸素イオンの移動の際の活性化エネルギーは0.7eVであることがわかった。
<数1>
Dc=0.15exp{−0.7e/kT}
このGdBaCo5+x単結晶を酸素精製機用の酸素透過膜などとして利用するときの性能は化学拡散係数Dcで決まる。このGdBaCo5+x単結晶の化学拡散係数Dcは例えば300℃で約10−7cm/sという比較的大きな値を持つ。
さらに、一定温度におけるGdBaCo5+x単結晶中の酸素量xと、このxを与える平衡酸素分圧との関係から、GdBaCo5+x単結晶の熱力学的因子は約13と求まり、この値と上記の化学拡散係数Dcから、500℃における酸素イオンによる電気伝導度を計算すると、10−2Scm−1程度となることがわかった。また、GdBaCo5+x単結晶の電子による電気伝導度を通常の電気抵抗測定によって求めたところ、電気伝導度は90℃以上の温度ではほとんど温度に依らず、電子による電気伝導度は常に1000Scm−1程度であることがわかった。これらの酸素イオンによる電気伝導度および電子による電気伝導度の値は、GdBaCo5+xの組成で表される層状コバルト酸化物を燃料電池の空気極として使用するのに充分なものである。
化学式RBaCo5+x(RはLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Yの8種)の組成で表される層状コバルト酸化物を次のように製造した。先ず、それぞれ純度99.9%以上の粉末状の希土類酸化物Rと炭酸バリウム(BaCO)と酸化コバルト(CoO)とを、それぞれのモル比が1:2:4になるように秤量し、メノウ乳鉢にて充分に混合した。希土類酸化物Rは、R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Yの8種を用いた。各混合粉をアルミナるつぼを用いて、それぞれ以下の表1に示す条件で焼成した。
各回の焼成は全て20時間行い、次の焼成の前には生成物をメノウ乳鉢で粉砕混合してから再びアルミナるつぼに入れた。この焼成条件により、均一なRBaCo5+x(R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Y)を合成した。得られた各RBaCo5+xをそれぞれメノウ乳鉢で粉砕した後、ゴムのチューブに入れてから油圧プレス機によって直径約7mmの棒状に整形し、その棒を電気炉内において以下の表2に示す温度で10時間空気中で焼結し、硬く焼きしまった棒状のRBaCo5+x(R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Y)焼結体を得た。
得られた一連のRBaCo5+x焼結体の一部を粉砕し、粉末X線回折によって構造を評価した結果が図2である。図2の結果から、ここで試した希土類元素R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Yのすべてにおいて、層状ペロブスカイト型結晶構造を備えるRBaCo5+x単相試料ができていることがわかる。つまり図2の結果は、上記の方法によって本発明に係る層状コバルト酸化物をR=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Yのすべてについて合成できることを示している。
また、合成した各RBaCo5+x(R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Y)の粉末X線回折データから計算した格子定数を図3に示す。図3中の「△」がa軸長を表し、「▼」 がb軸長を表し、「□」がc軸長を2で割ったものを表している。尚、DyとGdのものは結晶構造が斜方晶になっているためa軸長とb軸長が異なっている。図3に示されるように、これら一連のRBaCo5+x焼結体に対する粉末X線回折の結果から求められる格子定数は、希土類元素Rを変えるとともに系統的に変化している。
さらに、これら一連のRBaCo5+x焼結体試料について、温度を200℃から1000℃まで空気中で変化させたときの各試料中の平衡酸素量を測定した。測定結果を図4に示す。尚、図4中の「■」がR=Laを示し、「○」がR=Prを示し、「▲」がR=Ndを示し、「□」がR=Smを示し、「◆」がR=Gdを示し、「●」がR=Dyを示し、「△」がR=Hoを示し、「*」がR=Yを示している。図4に示されるように、RBaCo5+xにおいては[RO]の層における酸素イオンが動きやすいという特徴を反映して、希土類元素の種類によって或いは温度によって、どの程度の酸素イオンの割合xを平衡値として取るかが変化する。図4の結果は、希土類元素のイオン半径が大きいほど平衡状態における酸素量xが多くなり、また温度が高いほどxが少なくなることを示している。
つぎに、上記一連のRBaCo5+x焼結体試料について、各試料中での酸素イオンの動きやすさを300℃において測定した。実験は、はじめに各試料を還元処理して酸素量xをゼロにしておき、その後300℃に保持した電気炉内に試料を挿入したときに、時間とともに試料中の酸素量がどのように平衡値に近づくかを測定することによって行った。実験結果を図5に示す。尚、図5中の「□」がR=Laを示し、「●」がR=Prを示し、「▼」がR=Ndを示し、「○」がR=Smを示し、「▽」がR=Gdを示し、「◇」がR=Dyを示し、「+」がR=Hoを示し、「▲」がR=Yを示している。図5は、酸素量xが平衡値xに達するまでの時間、即ちx/x=1になるまでの時間が短いほど、酸素が動きやすいことを示している。図5の結果から、実施例1において単結晶試料を用いて酸素の拡散定数が300℃で約10−7cm/sと決定されたGdBaCo5+xは、一連のRBaCo5+x焼結体の中で中間的な性能を示しており、NdBaCo5+x、LaBaCo5+x、PrBaCo5+xは、酸素イオンの動きやすさにおいてGdBaCo5+xよりも優れていることがわかる。特にNdBaCo5+xは、GdBaCo5+xの約2倍の酸素拡散定数を持っていることが図5からわかる。この実験で合成した物質の中で最も酸素拡散定数が劣っているのはYBaCo5+xであるが、それでもGdBaCo5+xに比べて1/5程度の酸素拡散定数を保持していることがわかり、酸素イオン伝導体として充分高性能である。
これら一連のRBaCo5+x(R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Y)は、Rサイトの元素によって、格子定数、熱膨張係数、電気抵抗率、融点、他の材料との反応性などが少しずつ異なっているため、機器を組むときの他の材料との相性や用途などに応じて、最適となるRサイトの元素を選ぶことができる。
また、図2で単相のRBaCo5+xが合成できることを示した希土類元素R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Yの中では、イオン半径はLaが一番大きく、Yが一番小さい。RBaCo5+xの層状ペロブスカイト型結晶構造の安定性は希土類元素サイトすなわちRサイトの平均イオン半径で決まるので、上記の希土類元素以外でもYのイオン半径とLaのイオン半径との間の大きさのイオン半径を有するEuまたはTbのいずれか一つの希土類元素を選んでも、あるいはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yの任意の組み合わせを選んでも、同じ層状ペロブスカイト型結晶構造が得られることが当然に導かれる。
RBaCo5+xのBaサイトの一部をアルカリ土類元素で置換した場合の例として、GdBaCo5+xのBaサイトをモル比で10%のSrで置換したGdBa0.9Sr0.1Co5+xと、GdBaCo5+xのBaサイトをモル比で10%のCaで置換したGdBa0.9Ca0.1Co5+xとを、それぞれ次のように製造した。
先ず、それぞれ純度99.9%以上の粉末状の酸化ガドリミウム(Gd)と炭酸バリウム(BaCO)と炭酸ストロンチウム(SrCO)と酸化コバルト(CoO)とを、それぞれのモル比が1:1.8:0.2:4になるように秤量し、メノウ乳鉢にて充分に混合した。これより得られる混合粉を混合粉1と呼ぶ。
また、それぞれ純度99.9%以上の粉末状の酸化ガドリミウム(Gd)と炭酸バリウム(BaCO)と炭酸カルシウム(CaCO)と酸化コバルト(CoO)とを、それぞれのモル比が1:1.8:0.2:4になるように秤量し、メノウ乳鉢にて充分に混合した。これより得られる混合粉を混合粉2と呼ぶ。
これらの混合粉1,2をそれぞれアルミナるつぼに入れ、電気炉内に850℃で20時間保持した後、温度を900℃に上げ、20時間焼結した。これより得られる各生成物をそれぞれメノウ乳鉢で粉砕混合した後、再びそれぞれアルミナるつぼに入れ、電気炉内において950℃で20時間焼結した。これより得られる各生成物をそれぞれ再度メノウ乳鉢で粉砕混合した後、再びそれぞれアルミナるつぼに入れ、電気炉内において1000℃で20時間焼結した。これにより、均一なGdBa0.9Sr0.1Co5+xとGdBa0.9Ca0.1Co5+xを合成した。
この合成したGdBa0.9Sr0.1Co5+xとGdBa0.9Ca0.1Co5+xをそれぞれメノウ乳鉢で粉砕した後、ゴムのチューブに入れてから油圧プレス機によって直径約7mmの棒状に整形し、その棒を電気炉内において1200℃で10時間焼結し、硬く焼きしまった棒状のGdBa0.9Sr0.1Co5+xおよびGdBa0.9Ca0.1Co5+xの焼結体を得た。
得られたGdBa0.9Sr0.1Co5+xおよびGdBa0.9Ca0.1Co5+xの焼結体の一部を粉砕し、粉末X線回折によって構造を評価した結果が図6である。図6の結果から、GdBaCo5+xのBaサイトの一部をアルカリ土類元素であるCaまたはSrで置換しても、GdBaCo5+xと同じ構造すなわち層状ペロブスカイト型結晶構造の単相試料が得られることがわかる。
図7は、上記の粉末X線回折データから求められたSrおよびCa置換時の格子定数の変化を示す。ここで、GdBaCo5+xのBaサイトの一部をSrおよびCaで置換したときに平衡酸素量が変化し、それによって格子定数も変化してしまうので、図7では条件をそろえるために、全ての試料をx=0になるように還元処理した上で格子定数を比較した。この還元処理のために、結晶構造は正方晶となっており、a軸長とb軸長は等しい。図7中のハッチングを施した「□」がGdBaCo5+xのa軸長およびb軸長を表し、ハッチングを施した「▽」がGdBaCo5+xのc軸長を2で割ったものを表し、「□」がGdBa0.9Sr0.1Co5+xのa軸長およびb軸長を表し、「■」がGdBa0.9Ca0.1Co5+xのa軸長およびb軸長を表し、「▽」がGdBa0.9Sr0.1Co5+xのc軸長を2で割ったものを表し、「▼」がGdBa0.9Ca0.1Co5+xのc軸長を2で割ったものを表している。図7の結果は、上記のようなBaサイトの置換によって結晶の格子定数を変化させられることを示している。
さらに、作製した2種類の焼結体試料GdBa0.9Sr0.1Co5+x、GdBa0.9Ca0.1Co5+xについて、各試料中での酸素イオンの動きやすさを300℃において測定した。実験は実施例2と同様に、はじめに試料を還元処理して酸素量xをゼロにしておき、その後300℃に保持した電気炉内に試料を挿入したときに、時間とともに試料中の酸素濃度がどのように平衡値に近づくかを測定することによって行った。実験結果を図8に示す。図8中の「■」がGdBaCo5+xを示し、「△」がGdBa0.9Sr0.1Co5+x を示し、「●」がGdBa0.9Ca0.1Co5+x を示している。図8に示されるように、GdBa0.9Sr0.1Co5+x においては酸素の動きやすさがGdBaCo5+xよりも向上しており、一方、GdBa0.9Ca0.1Co5+x においては酸素の動きやすさがGdBaCo5+x よりも悪くなっていることがわかる。
以上の結果に例示されるように、RBaCo5+xのBaサイトの一部を置換割合yで置換したRBa1−ySrCo5+xおよびRBa1−yCaCo5+xは、格子定数、酸素イオン伝導度、熱膨張係数、電気抵抗率、融点、他の材料との反応性などが置換前のRBaCo5+xとは少し異なっているため、置換割合yを変えることで、これらの物性パラメータを望ましいものに近づけることができる。
RBaCo5+xのCo元素を部分的に遷移金属元素Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cuで置換した場合の代表例として、GdBaCo5+xのCoサイトをモル比で5%のFeで置換したGdBaCo1.9Fe0.15+xと、GdBaCo5+xのCoサイトをモル比で5%のNiで置換したGdBaCo1.9Ni0.15+xとを、それぞれ次のように製造した。
先ず、それぞれ純度99.9%以上の粉末状の酸化ガドリミウム(Gd)と炭酸バリウム(BaCO)と酸化コバルト(CoO)と純鉄(Fe)とを、それぞれのモル比が1:2:3.8:0.2になるように秤量し、メノウ乳鉢にて充分に混合した。これより得られる混合粉を混合粉3と呼ぶ。
また、それぞれ純度99.9%以上の粉末状の酸化ガドリミウム(Gd)と炭酸バリウム(BaCO)と酸化コバルト(CoO)と酸化ニッケル(NiO)とを、それぞれのモル比が1:2:3.8:0.2になるように秤量し、メノウ乳鉢にて充分に混合した。これより得られる混合粉を混合粉4と呼ぶ。
これらの混合粉3,4をそれぞれアルミナるつぼに入れ、電気炉内に850℃で20時間保持した後、温度を900℃に上げ、20時間焼結した。これより得られる各生成物をメノウ乳鉢で粉砕混合した後、再びそれぞれアルミナるつぼに入れ、電気炉内において950℃で20時間焼結した。これより得られる各生成物を再度メノウ乳鉢で粉砕混合した後、再びそれぞれアルミナるつぼに入れ、電気炉内において1000℃で20時間焼結した。これにより、均一なGdBaCo1.9Fe0.15+xとGdBaCo1.9Ni0.15+xを合成した。
この合成したGdBaCo1.9Fe0.15+xとGdBaCo1.9Ni0.15+xをそれぞれメノウ乳鉢で粉砕した後、ゴムのチューブに入れてから油圧プレス機によって直径約7mmの棒状に整形し、その棒を電気炉内において1200℃で10時間焼結し、硬く焼きしまった棒状のGdBaCo1.9Fe0.15+xおよびGdBaCo1.9Ni0.15+xの焼結体を得た。
得られたGdBaCo1.9Fe0.15+xおよびGdBaCo1.9Ni0.15+xの焼結体の一部を粉砕し、粉末X線回折によって構造を評価した結果が図9である。図9の結果から、GdBaCo5+xのCoサイトを一部を同じ遷移金属元素であるFeまたはNiで置換しても、GdBaCo5+xと同じ構造すなわち層状ペロブスカイト型結晶構造の単相試料が得られることがわかる。
図10は、上記の粉末X線回折データから求められたFeおよびNi置換時の格子定数の変化を示す。ここで、GdBaCo5+xのCoサイトの一部をFeおよびNiで置換したときに平衡酸素量が変化し、それによって格子定数も変化してしまうので、図10では条件をそろえるために、実施例3と同様に、全ての試料をx=0になるように還元処理した上で格子定数を比較した。この還元処理のために、結晶構造は正方晶となっており、a軸長とb軸長は等しい。図10中のハッチングを施した「▽」がGdBaCo5+xのa軸長およびb軸長を表し、ハッチングを施した「□」がGdBaCo5+xのc軸長を2で割ったものを表し、「▽」がGdBaCo1.9Fe0.15+xのa軸長およびb軸長を表し、「▼」がGdBaCo1.9Ni0.15+xのa軸長およびb軸長を表し、「□」がGdBaCo1.9Fe0.15+xのc軸長を2で割ったものを表し、「■」がGdBaCo1.9Ni0.15+xのc軸長を2で割ったものを表している。図10の結果は、上記のようなCoサイト置換によって結晶の格子定数を変化させられることを示している。
さらに、作製した2種類の焼結体試料GdBaCo1.9Fe0.15+x、GdBaCo1.9Ni0.15+xについて、各試料中での酸素イオンの動きやすさを300℃において測定した。実験は、実施例2,3と同様に、はじめに試料を還元処理して酸素量xをゼロにしておき、その後300℃に保持した電気炉内に試料を挿入したときに、時間とともに試料中の酸素濃度がどのように平衡値に近づくかを測定することによって行った。実験結果を図11に示す。図11中の「■」がGdBaCo5+xを示し、「□」がGdBaCo1.9Fe0.15+xを示し、「▼」がGdBaCo1.9Ni0.15+xを示している。図11に示されるように、GdBaCo1.9Fe0.15+xにおいては酸素の動きやすさがGdBaCo5+xよりも顕著に向上しており、Fe置換が酸素イオン伝導性能の向上に有効であることがわかる。一方、今回作製したGdBaCo1.9Ni0.15+xにおいては酸素の動きやすさがGdBaCo5+xよりも悪くなっている。
以上の結果に例示されるように、RBaCo5+xのCoサイトの一部を置換割合zで置換したRBa(Co1−zM’)5+x(但し、M’は遷移金属元素のうちTi、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu)は、格子定数、酸素イオン伝導度、熱膨張係数、電気抵抗率、融点、他の材料との反応性などが置換前のRBaCo5+xとは少し異なっているため、置換割合zを変えることで、これらの物性パラメータを望ましいものに近づけることができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
実施例1における酸素イオンの化学拡散係数を測定結果を示し、GdBaCo5+x単結晶の酸素イオンの化学拡散係数の絶対温度依存性をアレニウス・プロットの形で示したグラフである。 実施例2で合成したRBaCo5+x(R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Y)の粉末X線回折データを示す図である。 実施例2で合成したRBaCo5+x(R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Y)の粉末X線回折データから計算した格子定数を示し、縦軸は結晶軸の軸長を示し、横軸はRサイト元素のイオン半径を示す。 実施例2で合成したRBaCo5+x(R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Y)の各試料において、温度を200℃から1000℃まで空気中で変化させたときの各試料中の平衡酸素量の温度依存性を示し、縦軸は酸素イオンの割合xを示し、横軸は温度を示す。 実施例2で合成したRBaCo5+x(R=La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Y)の各試料において、はじめに各試料を還元処理して酸素量xをゼロにしておき、その後300℃に保持した電気炉内に試料を挿入したときに、時間とともに試料中の酸素量がどのように平衡値に近づくかを測定した結果を示し、縦軸は各時間における酸素量xを300℃における各試料の平衡酸素量xで割ったものを示し、横軸は時間を示す。 実施例3で合成したGdBa0.9Sr0.1Co5+xおよびGdBa0.9Ca0.1Co5+xの粉末X線回折データを示す図である。 実施例3で合成したGdBa0.9Sr0.1Co5+xおよびGdBa0.9Ca0.1Co5+xの粉末X線回折データから計算した格子定数を示し、縦軸は結晶軸の軸長を示し、横軸はBaに対するSrまたはCaの置換割合を示す。 実施例3で合成したGdBa0.9Sr0.1Co5+xおよびGdBa0.9Ca0.1Co5+xの各試料において、はじめに各試料を還元処理して酸素量xをゼロにしておき、その後300℃に保持した電気炉内に試料を挿入したときに、時間とともに試料中の酸素量がどのように平衡値に近づくかを測定した結果を示し、縦軸は各時間における酸素量xを300℃における各試料の平衡酸素量xで割ったものを示し、横軸は時間を示す。 実施例4で合成したGdBaCo1.9Fe0.15+xおよびGdBaCo1.9Ni0.15+xの粉末X線回折データを示す図である。 実施例4で合成したGdBaCo1.9Fe0.15+xおよびGdBaCo1.9Ni0.15+xの粉末X線回折データから計算した格子定数を示し、縦軸は結晶軸の軸長を示し、横軸はBaに対するSrまたはCaの置換割合を示す。 実施例4で合成したGdBaCo1.9Fe0.15+xおよびGdBaCo1.9Ni0.15+xの各試料において、はじめに各試料を還元処理して酸素量xをゼロにしておき、その後300℃に保持した電気炉内に試料を挿入したときに、時間とともに試料中の酸素量がどのように平衡値に近づくかを測定した結果を示し、縦軸は各時間における酸素量xを300℃における各試料の平衡酸素量xで割ったものを示し、横軸は時間を示す。 本発明の酸素イオン伝導体に用いるコバルト酸化物の結晶構造を表す概念図である。 GdBaCo5.5の結晶構造を示す図である。
符号の説明
1 層状コバルト酸化物
2 [CoO]層
3 [BaO]層
4 [RO]層

Claims (3)

  1. コバルト酸化物を用いた酸素イオン伝導体であり、前記コバルト酸化物は、希土類元素サイトRとアルカリ土類元素サイトAEと遷移金属元素Mと酸素Oの比が1:1:2:5+xとなるR AE M5+xの組成で表されると共に層状ペロブスカイト型結晶構造を備え、前記xは0≦x≦1であり、前記RはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Yのうちのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群であり、前記AEはBa元素又はBa元素の一部がSr元素とCa元素の一方または双方の元素で置換されたものであり、前記MはCo元素又はCo元素の一部がTi、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cuのいずれか一つの元素又はこれらの任意の組み合わせからなる元素群で置換されたものであることを特徴とする酸素イオン伝導体。
  2. 請求項1記載の酸素イオン伝導体を空気極として用いたことを特徴とする燃料電池。
  3. セリウム酸化物を電解質として用いたことを特徴とする請求項2記載の燃料電池。
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