JP2005164137A - ハニカム構造体及びこれを備える調湿装置 - Google Patents

ハニカム構造体及びこれを備える調湿装置 Download PDF

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Abstract

【課題】吸着材に対する不均一加熱による低い吸脱着性能を向上する。
【解決手段】調湿用ハニカム構造体が平面状シートとコルゲート状シートが交互に積層されてなるものであって、平面状シートとコルゲート状シートの少なくとも一方に面状発熱体を形成することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、水分の吸着・脱着能力を有するハニカム構造体及びそのハニカム構造体を用いた調湿装置に関するものである。
従来よりゼオライトやシリカゲルなどを用いて室内を調湿する装置が開発されている。室内の空気から効率よく水分を除去するために平面状シートとコルゲート加工したシートを交互に積層して形成したハニカム構造体を用いている。ハニカム構造体は通風抵抗が低く単位体積当りの接触面積が大きい。そのため通風路表面にゼオライトやシリカゲルなどの吸着材を担持することで空気中から大量の水を吸着除去することが可能になっている。しかしながら吸着材が飽和水分量まで水を吸着した場合、それ以上水を吸着することは不可能である。そのため通常一定時間ごとにハニカム構造体を加熱し吸着水を脱着することで吸着材を再生している。再生した吸着材は再度空気中から水分を吸着できるようになる。このような吸着材を担持したハニカム構造体は大量の空気を効率よく処理できるとともに長寿命であるため業務用や家庭用の空調機器や除湿機などに用いられている。
しかしながら従来のハニカム構造体を用いた調湿装置では、水分はハニカム構造体の最大水分吸着量に対して通常半分量以下の吸脱着をしているにすぎず、気中水分を取り除く能力が低いという問題があった。これはハニカムからの水分の脱着が十分にできていないという原因による。
これを解決する手段として、ハニカムの効果的な加熱の検討がなされている。ハニカムロータのハニカム基材に複数のスリットを入れてスリット部を熱抵抗とし脱着部に到達したハニカムからの熱伝導による熱ロスを低減している(例えば特許文献1参照)。
また、線状発熱体をシート上に埋め込んで発熱体を通電発熱することでシート上の吸着材に吸着されている水を脱離するものが既に知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2によればシートの全面に亘って多数の抵抗線を平行して蛇行状に配設し、この抵抗線を加熱することで水分を脱着している。
特開2002−186825号公報 特許第2950453号公報
しかしながら、ハニカムロータにスリットを入れる場合ハニカムの強度を保つ必要があるため深いスリットを入れることができず、そのため熱伝導をなくすことができないためわずかな改善効果しかない。また線状発熱体をシート内に埋め込んだ場合、線状発熱体の近傍の構造体は加熱されるがそれ以外の部分には熱伝導でしか熱が伝わらない。しかし、ハニカム構造体は通常セラミックで熱伝導率が低いため線間にあたる構造体部分では十分に熱伝導が起こらないため線間部分での水の吸脱着が起こりにくくなる。そのためハニカム構造体全体としての水分の吸脱着効率が低くなり、空気中からの水分除去能力が低くなってしまうおそれがあった。
本願発明は、吸着材に対する不均一加熱による低い吸脱着性能を向上したハニカム構造体およびそれを用いた調湿装置に関する。
請求項1記載の本発明の調湿用ハニカム構造体は、平面状シートとコルゲート状シートが交互に積層されてなるハニカム構造体であって、平面状シートとコルゲート状シートの少なくとも一方に面状発熱体を形成することを特徴とする。
請求項2記載の本発明の調湿用ハニカム構造体は、前記面状発熱体が白金抵抗体を含有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明の調湿用ハニカム構造体は、前記面状発熱体がPTCヒータよりなることを特徴とする。
請求項4記載の本発明の調湿用ハニカム構造体は、前記平面状シートと前記コルゲート状シートが接着された複合接着物を成巻して得られたものであることを特徴とする。
請求項5記載の本発明の調湿用ハニカム構造体は、前記成巻されたハニカム構造体の最内周部および最外周部と少なくともあと1点から電極が取り出され、分割して加熱することを特徴とする。
請求項6記載の本発明の調湿用ハニカム構造体を用いた調湿装置は、平面状シートとコルゲート状シートが交互に積層され接着されてなるハニカム構造体を用い、平面状シートとコルゲート状シートの少なくとも一方に面状発熱体を含む調湿用ハニカム構造体を用い、雰囲気空気から水分を吸着し網状発熱体加熱時に水分を脱離することを特徴とする前記調湿用ハニカム構造体を用いた調湿装置。
上記実施例から明らかなように、請求項1記載の本発明によれば、平面状シートとコルゲート状シートが交互に積層されてなるハニカム構造体で平面状シートとコルゲート状シートの少なくとも一方に面状発熱体を形成することで吸着材を直接加熱することができるようになり、消費電力を低減した調湿装置を提供できる。
請求項2記載の発明によれば、面状発熱体が白金抵抗体を含有するので、面状発熱体内の発熱量のばらつきが小さくなる。そのため局部的な温度上昇を起こさずハニカム構造体の信頼性を向上することができる。
請求項3記載の発明によれば、面状発熱体がPTCヒータよりなるので、温度が上がると抵抗が増加し発熱量が低下する。このように自己温度制御機能をもっているためハニカム構造体の極端な温度上昇を避けることができ吸着材の熱による劣化を抑えることができハニカム構造体の信頼性を向上することができる。
請求項4記載の発明によればハニカム構造体が平板状シートとコルゲート状シートの積層された一対の積層体を成巻したものなので面状発熱体が細長い形状となるため長手方向の両端での抵抗が十分高くなり電圧印加により容易に発熱させることができる。
請求項5記載の発明によれば成巻されたハニカム構造体の最内周部および最外周部と少なくともあと1点から電極が取り出されるため、分割して加熱することが可能になった。そのため脱着時にハニカム構造体を通る風量のばらつきがあっても発熱量を変化させることができる。
請求項6記載の発明によれば平面状シートとコルゲート状シートが交互に積層されたハニカム構造体で、平面状シートとコルゲート状シートの少なくとも一方に面状発熱体を含む調湿用ハニカム構造体を用いた調湿装置を使用することで、雰囲気空気から水分を吸着
し面状発熱体加熱時に水分を脱離することで入力が低く、低外気温時にも室内を加湿できるようになった。
なお、実施例では加湿機能についてのみ詳細に述べたが本発明はそれに限定されるわけではなく、除湿機能を使用することもできる。また送風ファンについてもプロペラファンとシロッコファンだけの説明をしたが、クロスフローファンやターボファンなど公知のファンを用いることができる。
本発明のハニカム構造体は、平面状の無機繊維シートとコルゲート状無機繊維シートが交互に積層されてなることにより多数のハニカムセルを形成してなるハニカム構造体であって平面状シートとコルゲート状シートの少なくとも一方に面状発熱体を含むことを特徴とする調湿用ハニカム構造体を提供するものである。
図1は本発明による調湿用ハニカム構造体の一実施例の模式的な斜視図である。以下図1を参照しながら本発明を説明する。調湿用ハニカム構造体は、平面状シート1とコルゲート状シート2が交互に積層され接着されることにより多数のハニカムセルを形成してなる。平面状シート1上には両面に薄膜状の面状発熱体3が形成されている。面状発熱体としては白金抵抗体や炭素、酸化スズ、ITO(インジウムスズオキシド)などの粒子を樹脂に混ぜて塗布したものなど公知の材料を用いることができる。白金抵抗体が無機繊維シート上に作成しやすく最適である。またPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータも適している。PTCヒーターは、正の温度係数をもっているため温度が上がると急激に抵抗が増加する。このように自己温度制御機能をもっているためハニカム構造体の極端な温度上昇を避けることができ吸着材の熱による劣化を抑えることができる。
なお、図1では平板状シート上に面状発熱体を形成しているがコルゲート状シート表面に面状発熱体を形成しても双方に形成しても構わない。平面状シートとコルゲート状シートの双方に面状発熱体を形成する場合には平面状シートとコルゲート状シートの接点部分を絶縁する必要がある。無機繊維をはさんだり無機接着剤を両面に塗布するなど絶縁方法は特に指定しないが無機繊維を間にはさむのが確実に絶縁することができて最適である。
平面状シート1およびコルゲート状シート2に使用できる面状発熱体以外のものとしては公知の無機繊維を用いることができる。例えばガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ−アルミナ繊維、ロックウール繊維、炭素繊維等が挙げられる。無機繊維の厚さは特に指定しないが、面状発熱体と同程度以上すなわち0.08〜0.5mm程度が最適である。
平面状シート1およびコルゲート状シート2には吸着剤を担持する。吸着剤としては特に指定しないがシリカゲルやゼオライトのような水分吸脱着性能の高いものを用いるのが最適である。これらは粉末をバインダーとともに水に分散して作成したスラリーにシートを含浸することで得ることができる。
本発明の別の実施例を図2に示す。これは図1の実施例と同様の平板状シートとコルゲート状シートが交互に積層された積層体を成巻したハニカム構造体の一実施例の模式的な斜視図である。図2を参照しながら本発明を説明をする。平板状シート1とコルゲート状シート2が積層された一対の積層体を成巻した構成になっており、平板状シートのみ表面に白金抵抗体からなる面状発熱体を使用している。本実施例では平板状シートを面状発熱体としたがコルゲート状シートを面状発熱体にしても両シートとも面状発熱体にしても構わない。本実施例ではこれらのシートが積層された積層体を成巻した構造となっている。
そのためひとつのハニカムに対して、面状発熱体は一枚のシートとなっている。この面状発熱体の両端すなわちハニカムの最内周部および最外周部から電極4を取り出しこれらに電圧を印加することでハニカム全体を加熱することが可能になる。本実施例ではさらにハニカムの中央部の面状発熱体からも電極5を取り出している。このようにすることでハニカム外周側とハニカム内周側とで発熱量を変えることが可能になる。脱着時にプロペラファンでハニカムに空気を流す場合、ハニカム内周側よりも外周側の方が風量が多くなる。本実施例では風量の多い部分で発熱量を多くしている。このようにハニカムの径方向に風量のばらつきがある場合に本発明の電極分割は最適である。
本発明の別の実施例を図3に示す。これは図2の実施例と同様の平板状シートとコルゲート状シートが交互に積層された積層体を成巻したハニカム構造体の一実施例の模式的な斜視図である。図3は、図2と異なり面状発熱体が円筒の長さ方向に2分割されている。平板状シート上に細長い2つの電極パターンを形成しコルゲート状シートに無機接着剤を介して接着しその後に成巻することで図3のハニカム構造体が得られる。2つの面状発熱体の最内周部および最外周部から電極6を取り出しそれぞれに独立して電源7に接続し発熱量をコントロールすることができる。ハニカム構造体の上流側よりも下流側の温度を上げる方が好ましい。上流側で水分脱着時に吸着熱を奪われた吸着材の温度を上げることで下流側の水分脱着を良好にしハニカム構造体全体としての単位時間あたりの水分脱着量をふやすことができる。
図4は本発明のハニカム構造体8を用いた調湿装置の一実施例の断面図である。図4a)に水分吸着時、図4b)に水分脱着時を示してある。水分吸着時にはハニカム構造体に外気を通過させるためにプロペラファン9を設置してある。吸着時はダンパー10を切り替え外気を導入する。吸着時には急速に空気中の水分を吸着剤に吸着させるため3〜5m/minの大きな風量が好ましい。図3b)に示すように脱着時にはダンパー10を切り替えて加湿空気が室内に導入される。この際にプロペラファン9は停止し、ハニカム構造体8内の面状発熱体は電源11からの供給電流により加熱する。安全のために温度ヒューズ(図示せず)などを設置しておくべきである。ハニカム構造体8は面状発熱体によりその内部から加熱される。そのためハニカム構造体8表面の吸着剤は発熱体からの熱伝導によりすばやく温度上昇しその吸着等温線にそって水分を脱着する。脱着した水分はシロッコファン12により加湿空気導入経路を通って室内へと放出される。ここで加湿空気は露点が外気温よりも高くなる場合もあるため、導入経路は断熱を施した配管を用いる必要がある。本発明の調湿装置は空調装置に組み合わせても構わない。その場合、調湿装置は空調装置の室外機内に組み込み、加湿空気導入経路は空調装置の内外接続配管とともに室内機内に導入するのが工事性を容易にでき好ましい。
(加湿試験)
図4に示す調湿装置を電子天秤上にのせ、0℃50%RH雰囲気に設置し単位時間あたりの加湿量を検討した。ここでハニカム構造体は直径25cmのものを使用した。ここで平面状シートは白金抵抗体を幅20mm、長さ20m用いた。コルゲート状シートは無機繊維シートより作成した。水分吸脱着条件は、吸着時間4分、吸着時風量3m、脱着時間3分、脱着時風量0.5mとした。ハニカム構造体の表面温度が120℃となるように面状発熱体の両端に電圧印加した。ここで吸脱着1サイクルにおける調湿装置の吸着終了時からの重量減少量すなわち加湿に使用された水分量は25gであった。これを1時間あたりに換算すれば210g/hである。この時の消費電力量は250Whであった。
比較例としてこのハニカム構造体の外部にヒータを設け、同じ吸脱着サイクルで実験をおこなった。その結果、1サイクルにおける加湿に使用された水分量は10gであった。これを1時間に換算すれば86gで、本発明の調湿装置の半分以下しか水を取り出すことができなかった。またこの時の消費電力量は500Whであり本発明の調湿装置の2倍以
上の消費電力量であった。これは外部から加熱した場合は空気を暖めてこの暖気によりハニカム内の吸着材から水を脱着させる必要があるからと考えられる。
本発明による調湿用ハニカム構造体の一実施例の模式的な斜視図 本発明による調湿用ハニカム構造体の別の実施例の模式的な斜視図 本発明による調湿用ハニカム構造体の別の実施例の模式的な斜視図 本発明によるハニカム構造体を用いた調湿装置の一実施例の断面図
符号の説明
1 平面状シート
2 コルゲート状シート
3 面状発熱体
4 電極
5 電極
6 電極
7 電源
8 ハニカム構造体
9 プロペラファン
10 ダンパー
11 電源
12 シロッコファン

Claims (6)

  1. 平面状シートとコルゲート状シートが交互に積層され接着されてなるハニカム構造体であって、平面状シートとコルゲート状シートの少なくとも一方に面状発熱体を形成することを特徴とするハニカム構造体。
  2. 前記面状発熱体が白金抵抗体を含有することを特徴とする請求項1記載のハニカム構造体。
  3. 前記面状発熱体がPTCヒータであることを特徴とする請求項1記載の空調装置。
  4. 前記ハニカム構造体が前記平面状シートと前記コルゲート状シートが接着された複合接着物を成巻して得られたものであることを特徴とする請求項1記載のハニカム構造体。
  5. 前記成巻されたハニカム構造体の最内周部および最外周部と少なくともあと1点から電極が取り出され、分割して加熱することを特徴とする請求項4記載のハニカム構造体。
  6. 平面状シートとコルゲート状シートが交互に積層され接着されてなるハニカム構造体であって、平面状シートとコルゲート状シートの少なくとも一方に面状発熱体を含む調湿用ハニカム構造体を用い、雰囲気空気から水分を吸着し面状発熱体加熱時に水分を脱離することを特徴とする前記調湿用ハニカム構造体を用いた調湿装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012524230A (ja) * 2009-04-21 2012-10-11 エルジー・ハウシス・リミテッド 多孔性セラミック構造体及びこれを含む除湿/加湿装置
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