JP2005162690A - 新規化合物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒドロキシル基含有フルオロアルキルビニルエーテルの合成に有用な中間体となる新規化合物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式CF3COOCH2CFXCF2OSO2F(ここで、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である)で表わされる新規化合物。この新規化合物はトリフルオロ酢酸、テトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロペン、ホルムアルデヒド発生源化合物およびフルオロ硫酸を反応させることにより製造される。

Description

本発明は、新規化合物およびその製造方法に関する。更に詳しくは、ヒドロキシル基含有フルオロアルキルビニルエーテルの合成中間体として有用な新規化合物およびその製造方法に関する。
末端に水酸基を持ったヒドロキシル基含有フルオロアルキルビニルエーテルは、他の含フッ素モノマーと共重合させることで自己加硫性を持った重合物を提供するほか、それ自体にフッ素ゴムとの相溶性があるため加硫剤としても有効に使用される。また、末端の水酸基を他の官能基へと変換させることで、接着剤、コーティング剤、熱硬化性樹脂などの分野で有用なポリマーを提供することが考えられる。
このヒドロキシル基含有フルオロアルキルビニルエーテルの合成法としては、一般に両末端に官能基を持ったパーフルオロカルボン酸ジフロライドが出発原料として用いられる。例えば、パーフルオロマロン酸ジフロライドを使用した場合には、パーフルオロカルボン酸エステルを経て、ヒドロキシル基含有フルオロプロピルビニルエーテルが、次の反応式に示される如き行程で合成される。
Figure 2005162690
特公平3−80145号公報
しかしながら、このような合成方法では、第一段階のヘキサフルオロプロピレンオキサイド〔HFPO〕付加反応において、両側にヘキサフルオロプロピレンオキサイドが付加した副生成物が生じて収率が低下したり、また合成原料のパーフルオロマロン酸ジフロライドを製造するには、次のような合成過程が必要であり、ヒドロキシル基含有フルオロアルキルビニルエーテルを用いたヒドロキシ含有フルオロアルキルビニルエーテルの製造は、工業的生産には不向きであった。
Figure 2005162690
特開平1−149749号公報 特開平1−163173号公報
本発明の目的は、ヒドロキシル基含有フルオロアルキルビニルエーテルの合成に有用な中間体となる新規化合物およびその製造方法を提供することにある。
かかる本発明の目的は、一般式CF3COOCH2CFXCF2OSO2F(ここで、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である)で表わされる新規化合物によって達成され、これはトリフルオロ酢酸、テトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロペン、ホルムアルデヒド発生源化合物およびフルオロ硫酸を反応させることにより製造される。
本発明に係る新規化合物は、-COF基に容易に変換が可能な-CF2OSO2F基を持ち、かつ他方の末端基が容易にアルコールに変換することが可能であるので、ヘキサフルオロプロピレンオキサイド〔HFPO〕およびアルコール〔R-OH〕と反応させることにより、接着剤などの中間体として重要なヒドロキシル基含有フルオロアルキルビニルエーテルの出発原料として有効に用いられる。
Figure 2005162690
なお、CF3COOCH2CF(CF3)CF2OSO2Fからは、HOCH2CF(CF3)CF2OCF=CF2が導かれる。
上記一般式CF3COOCH2CFXCF2OSO2FでX=Fであるトリフルオロ酢酸2,2,3,3-テトラフルオロ-3-フルオロスルホニルオキシプロピルエステルを合成する反応は、トリフルオロ酢酸中に、ホルムアルデヒド重合物化合物およびフルオロ硫酸を仕込んだ後にテトラフルオロエチレンを仕込むことにより行われる。
Figure 2005162690
反応に用いられるホルムアルデヒドは、そのまま反応容器に仕込んで用いることも可能であるが、重合しやすく取り扱いが難しいので、より取扱いの容易なホルムアルデヒド重合体が好んで用いられる。ホルムアルデヒド重合物としては、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなどを用いることができる。
これらのホルムアルデヒド重合物からホルムアルデヒドを発生させる方法としては、熱分解、酸分解などがあるが、反応にフルオロ硫酸を使用しているため、酸分解によりホルムアルデヒドを発生させる方法が簡易である。ここで、フルオロ硫酸はホルムアルデヒド(HCHO)重合物を分解する酸として、以下のように働く。
Figure 2005162690
トリフルオロ酢酸は、ホルムアルデヒド重合物のホルムアルデヒド換算したモル数の1.0〜5.0当量、好ましくは1.0〜2.0当量の比率で用いられる。また、フルオロ硫酸は、ホルムアルデヒド重合物のホルムアルデヒド換算したモル数の1.0〜5.0当量、好ましくは1.0〜2.0当量の比率で用いられる。ただし、フルオロ硫酸およびトリフルオロ酢酸が、溶媒としても用いられる場合には、それぞれホルムアルデヒド重合物のホルムアルデヒド換算したモル数の1.0〜10.0当量、好ましくは1.0〜4.0当量の比率で用いられる。
反応は、常圧下あるいは加圧下で行われ、常圧下では未反応のテトラフルオロエチレンが系外に出てしまうことからテトラフルオロエチレンの流量を制限する必要があり、反応に時間がかかるため、好ましくは約0.2〜2MPa程度の加圧下で行われる。
反応は、0〜100℃、好ましくは30〜60℃の範囲で行われる。これより低い温度で反応が行われると反応速度が遅くなり、また副生成物が多く生成されるため収率が低下するようになる。一方、これより高い温度で反応が行われると、目的生成物が分解するなどしてやはり収率の低下につながるようになる。
同様の反応により、テトラフルオロエチレンの代りにヘキサフルオロプロペンを用いると、前記一般式でX=CF3であるトリフルオロ酢酸2,3,3-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-3-フルオロスルホニルオキシプロピルエステルを得ることができる。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1
容量500mlのオートクレーブにトリフルオロ酢酸160gおよびホルムアルデヒド源としてのパラホルムアルデヒド30gを仕込み、攪拌を行いながらフルオロ硫酸を140g仕込んだ。内温を30℃に保ちながら、テトラフルオロエチレンを0.54MPa(5.5kgf/cm2)の圧力になる迄仕込んだ。テトラフルオロエチレンを仕込み始めると、すぐに内温が上昇し、オートクレーブ内の圧力が降下した。内圧が0.44MPa(4.5kgf/cm2)に迄降下したところで、再度テトラフルオロエチレンを0.54MPa(5.5kgf/cm2)の圧力迄仕込み、オートクレーブ内の圧力降下がなくなる迄、テトラフルオロエチレンの分添を続け、分添終了後一夜攪拌を行った。反応終了後のオートクレーブの重量変化からテトラフルオロエチレンの仕込量は98gであった。
反応物は412g得られ、NMR分析により目的生成物であるCF3COOCH2CF2CF2OSO2Fが、42.2重量%の純度で得られた。次に、回収した反応物を減圧下で蒸留して精製し(沸点40℃/15mmHg)、CF3COOCH2CF2CF2OSO2F 188g(純度82%)を得た。パラホルムアルデヒド換算の収率は、47.3%であった。

19F-NMR(CFCl3基準) CF 3COOCH2CF 2CF 2OSO2 F
a b c d

a:- 75.0 ppm
b:-122.3 ppm
c:- 85.9 ppm
d:- 50.3 ppm

1 H-NMR CF3COOCH 2CF2CF2OSO2F

δ:4.87 ppm(2H、t、J=11.9Hz)
実施例2
実施例1において、ホルムアルデヒド源としてパラホルムアルデヒドの代わりにトリオキサンが同量用いられた。その結果、純度43.0%の反応物CF3COOCH2CF2CF2OSO2Fが408g得られた。

Claims (4)

  1. 一般式CF3COOCH2CFXCF2OSO2F(ここで、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である)で表わされる新規化合物。
  2. トリフルオロ酢酸、テトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロペン、ホルムアルデヒド発生源化合物およびフルオロ硫酸を反応させることを特徴とする請求項1記載の新規化合物の製造方法。
  3. トリフルオロ酢酸中にホルムアルデヒド発生源化合物およびフルオロ硫酸を仕込み、次にテトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロペンを添加して反応させる請求項2記載の新規化合物の製造方法。
  4. ホルムアルデヒド発生源化合物が、ホルムアルデヒド重合物である請求項2または3記載の新規化合物の製造方法。
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